IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特開2023-130067情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデル
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデル 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデル 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデル 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデル 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130067
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデル
(51)【国際特許分類】
   B01D 37/04 20060101AFI20230912BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20230912BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B01D37/04
B01D29/38 520C
B01D29/38 520D
G06N3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034517
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】飛永 尚輝
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BB01
4D116BC22
4D116BC44
4D116DD05
4D116FF18B
4D116KK04
4D116QC02B
4D116QC06A
4D116QC06D
4D116QC14A
4D116QC23A
4D116QC23C
4D116QC23D
4D116QC29A
4D116QC29D
4D116QC36D
4D116QC51A
4D116QC51D
4D116RR01
4D116RR03
4D116RR04
4D116RR12
4D116RR17
4D116RR19
4D116RR28
4D116VV09
(57)【要約】
【課題】フィルタの洗浄時間を適切に設定することができる情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデルを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、濁度インターフェースと、プロセッサと、を備える。濁度インターフェースは、フィルタに供給される処理液の濁度を取得する。プロセッサは、前記濁度インターフェースを通じて、前記フィルタを洗浄して濾過を開始してから前記フィルタの洗浄を行うまでの稼働期間における濁度を取得し、前記濁度と前記稼働期間の長さとに基づいて前記フィルタの洗浄時間を算出する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタに供給される処理液の濁度を取得する濁度インターフェースと、
前記濁度インターフェースを通じて、前記フィルタを洗浄して濾過を開始してから前記フィルタの洗浄を行うまでの稼働期間における濁度を取得し、
前記濁度と前記稼働期間の長さとに基づいて前記フィルタの洗浄時間を算出する、
プロセッサと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記フィルタを通過した濾過液の流量を取得する流量インターフェースを備え、
前記プロセッサは、
前記流量に基づいて前記フィルタの洗浄を行うかを判定し、
前記フィルタの洗浄を行うと判定した場合、前記フィルタの洗浄時間を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記濁度と前記稼働期間の長さを入力し前記洗浄時間を出力する学習済みモデルを用いて前記洗浄時間を算出する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記洗浄時間に従って、前記フィルタが設置されている容器に気体を供給して前記フィルタを洗浄する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記濁度インターフェースを通じて、前記稼働期間において所定の間隔で前記濁度を取得する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
処理液に影響を及ぼす要因を示す要因情報を取得する要因情報インターフェースを備え、
前記プロセッサは、前記要因情報に基づいて前記洗浄時間を設定する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記要因は、前記処理液が排出される地域の雨量、前記地域の人口、又は、前記地域において汚水を排出する工場の規模若しくは個数の何れか1つである、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
プロセッサによって実行される情報処理方法であって、
フィルタを洗浄して濾過を開始してから前記フィルタの洗浄を行うまでの稼働期間において前記フィルタに供給される処理液の濁度を取得し、
前記濁度と前記稼働期間の長さとに基づいて前記フィルタの洗浄時間を算出する、
情報処理方法。
【請求項9】
プロセッサによって実行されるプログラムであって、
前記プロセッサに、
フィルタを洗浄して濾過を開始してから前記フィルタの洗浄を行うまでの稼働期間において前記フィルタに供給される処理液の濁度を取得する機能と、
前記濁度と前記稼働期間の長さとに基づいて前記フィルタの洗浄時間を算出する機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項10】
ニューラルネットワークの入力層に入力された、フィルタを洗浄して濾過を開始してから前記フィルタの洗浄を行うまでの稼働期間において前記フィルタに供給される処理液の濁度と前記稼働期間の長さと、に対して、前記ニューラルネットワークの重み付け係数に基づく演算を行い、前記ニューラルネットワークの出力層から前記フィルタの洗浄時間を出力するように、プロセッサに機能させるための学習済みモデルであって、
前記重み付け係数は、前記濁度と前記稼働期間の長さと前記洗浄時間とを教師データとした学習によって得られる、
学習済みモデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデルに関する。
【背景技術】
【0002】
水処理施設などにおいて処理液を濾過する濾過システムが提供されている。濾過システムは、濾過用のフィルタを通過する濾過液の流量が低下すると、フィルタを洗浄する。
【0003】
フィルタの洗浄が十分でないと、濾過システムは、短期間で再度フィルタを洗浄する必要がある。また、フィルタを過剰に洗浄すると、フィルタの劣化が早まる。
【0004】
従来、濾過システムは、フィルタの洗浄時間を適切に設定できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/070548号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するため、フィルタの洗浄時間を適切に設定することができる情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び学習済みモデルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報処理装置は、濁度インターフェースと、プロセッサと、を備える。濁度インターフェースは、フィルタに供給される処理液の濁度を取得する。プロセッサは、前記濁度インターフェースを通じて、前記フィルタを洗浄して濾過を開始してから前記フィルタの洗浄を行うまでの稼働期間における濁度を取得し、前記濁度と前記稼働期間の長さとに基づいて前記フィルタの洗浄時間を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る濾過システムの構成例を示す概略図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る制御器の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第2の実施形態に係る濾過システムの構成例を示す概略図である。
図4図4は、第2の実施形態に係る制御器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
【0010】
実施形態に係る濾過システムは、生活排水又は工業排水などの処理液を濾過する。濾過システムは、処理液にフィルタを通過させる。濾過システムは、フィルタを通過して濾過された処理液(濾過液)を下流の施設などに供給する。
また、濾過システムは、所定のタイミングでフィルタを洗浄する。
【0011】
図1は、濾過システム100の構成例を概略的に示す図である。図1が示すように、濾過システム100は、濾過装置2、処理液供給管3、開閉弁4、オーバーフロー管5、開閉弁6、気体供給管7、開閉弁8、凝縮廃液排出管9、開閉弁10、濾過液排出管11、開閉弁12、気体供給管13、開閉弁14、制御器20、濁度計30及び流量計40などを備える。
【0012】
なお、濾過システム100は、図1が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、濾過システム100から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0013】
濾過装置2は、処理液を濾過する装置である。濾過装置2は、上流の水処理施設などから処理液を供給される。濾過装置2は、処理液を濾過して、濾過された処理液(濾過液)を下流の水処理施設などに供給する。
【0014】
濾過装置2は、フィルタ1、処理液室2a及び濾過液室2bなどを備える。
処理液室2aは、濾過装置2の下部を構成する。処理液室2aは、処理液を格納する容器である。処理液室2aは、所定の大きさに形成された容器である。
【0015】
処理液室2aの内部は、フィルタ1が設置されている。フィルタ1は、処理液室2aの中央に設置されている。フィルタ1は、処理液室2aが格納する処理液を濾過するフィルタである。処理液は、フィルタ1を通過すると、濾過液となる。たとえば、フィルタ1は、中空糸膜フィルタである。
【0016】
処理液室2aの上部には、濾過液室2bが形成されている。濾過液室2bは、フィルタ1を介して処理液室2aに接続する。即ち、濾過液室2bは、フィルタ1を通過した濾過液を格納する容器である。
【0017】
処理液室2aには、処理液供給管3が接続されている。処理液供給管3は、上流の水処理施設などから処理液室2aへ処理液を供給する。
【0018】
処理液供給管3には、開閉弁4が設置されている。開閉弁4は、処理液供給管3を開閉することで、処理液室2aへの処理液の供給を制御する。開閉弁4は、制御器20からの制御に従って開閉する。たとえば、開閉弁4は、処理液供給管3を開閉する弁と弁を駆動させるモータとなどから構成される。
【0019】
処理液室2aには、オーバーフロー管5が接続されている。オーバーフロー管5は、所定の高さに接続されている。オーバーフロー管5は、処理液室2aからオーバーフローした処理液を系外に排出する。
【0020】
オーバーフロー管5には、開閉弁6が設置されている。開閉弁6は、オーバーフロー管5を開閉することで、処理液室2aから系外への処理液の排出を制御する。開閉弁6は、制御器20からの制御に従って開閉する。たとえば、開閉弁6は、オーバーフロー管5を開閉する弁と弁を駆動させるモータとなどから構成される。
【0021】
処理液室2aの下部には、気体供給管7が接続されている。ここでは、気体供給管7は、フィルタ1の下端よりも下に接続されている。気体供給管7は、処理液室2aに加圧気体を供給する。
【0022】
気体供給管7には、開閉弁8が設置されている。開閉弁8は、気体供給管7を開閉することで、処理液室2aへの加圧気体の供給を制御する。開閉弁8は、制御器20からの制御に従って開閉する。たとえば、開閉弁8は、気体供給管7を開閉する弁と弁を駆動させるモータとなどから構成される。
【0023】
処理液室2aの底部には、凝縮廃液排出管9が接続されている。凝縮廃液排出管9は、処理液室2aに貯留された凝縮廃液を系外に排出する。
【0024】
凝縮廃液排出管9には、開閉弁10が設置されている。開閉弁10は、凝縮廃液排出管9を開閉することで、処理液室2aから系外への凝縮廃液の排出を制御する。開閉弁10は、制御器20からの制御に従って開閉する。たとえば、開閉弁10は、凝縮廃液排出管9を開閉する弁と弁を駆動させるモータとなどから構成される。
【0025】
濾過液室2bの上部には、濾過液排出管11が接続されている。濾過液排出管11は、濾過液室2bから濾過液を排出する。たとえば、濾過液排出管11は、下流の水処理施設へ濾過液を供給する。
【0026】
濾過液排出管11には、開閉弁12が設置されている。開閉弁12は、濾過液排出管11を開閉することで、濾過液室2bからの濾過液の排出を制御する。開閉弁12は、制御器20からの制御に従って開閉する。たとえば、開閉弁12は、濾過液排出管11を開閉する弁と弁を駆動させるモータとなどから構成される。
【0027】
濾過液排出管11には、気体供給管13が接続されている。気体供給管13は、開閉弁12と濾過液室2bとの間に接続されている。気体供給管13は、濾過液室2bに加圧気体を供給する。
【0028】
気体供給管13には、開閉弁14が設置されている。開閉弁14は、気体供給管13を開閉することで、濾過液室2bへの加圧気体の供給を制御する。開閉弁14は、制御器20からの制御に従って開閉する。たとえば、開閉弁14は、気体供給管13を開閉する弁と弁を駆動させるモータとなどから構成される。
【0029】
濁度計30は、処理液供給管3を通過する処理液の濁度(処理液の濁りの程度)を測定する。即ち、濁度計30は、フィルタ1に供給される処理液の濁度を測定する。濁度計30は、制御器20からの制御に従って処理液の濁度を測定する。濁度計30は、測定された濁度を示す濁度情報を制御器20に送信する。
【0030】
流量計40は、濾過液排出管11を通過する濾過液の流量(単位時間あたりに移動する量(体積又は質量など))を測定する。即ち、流量計40は、フィルタ1を通過する濾過液の流量を測定する。流量計40は、制御器20からの制御に従って濾過液の流量を測定する。流量計40は、測定された流量を示す流量情報を制御器20に送信する。
【0031】
制御器20(情報処理装置)は、濾過システム100全体を制御する。たとえば、制御器20は、処理液を濾過して濾過液を排出する。また、制御器20は、フィルタ1を洗浄する時間(洗浄時間)を設定する。制御器20は、洗浄時間に従ってフィルタ1を洗浄する。
【0032】
次に、制御器20の構成例について説明する。
図2は、制御器20の構成例を示すブロック図である。図2が示すように、制御器20は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、NVM24、操作部25、表示部26、濁度計インターフェース27、流量計インターフェース28及び開閉弁インターフェース29などを備える。
【0033】
プロセッサ21と、ROM22、RAM23、NVM24、操作部25、表示部26、濁度計インターフェース27、流量計インターフェース28及び開閉弁インターフェース29とは、データバス又はインターフェースなどを介して互いに接続する。
なお、制御器20は、図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、制御器20から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0034】
プロセッサ21は、制御器20全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ21は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ21は、内部メモリ、ROM22又はNVM24が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0035】
なお、プロセッサ21がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ21は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0036】
ROM22は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM22に記憶される制御プログラム及び制御データは、制御器20の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0037】
RAM23は、揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM23は、プロセッサ21からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM23は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0038】
NVM24は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM24は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM24は、制御器20の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0039】
操作部25は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部25は、入力された操作を示す信号をプロセッサ21へ送信する。たとえば、操作部25は、キーボード、マウス又はタッチパネルなどから構成される。
【0040】
表示部26は、プロセッサ21からの画像データを表示する。たとえば、表示部26は、液晶モニタから構成される。操作部25がタッチパネルから構成される場合、表示部26は、操作部25としてのタッチパネルと一体的に形成される。
【0041】
濁度計インターフェース27(濁度インターフェース)は、濁度計30と通信するためのインターフェースである。たとえば、濁度計インターフェース27は、所定のネットワークなどを通じて濁度計30に接続する。たとえば、濁度計インターフェース27は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースである。
【0042】
流量計インターフェース28(流量インターフェース)は、流量計40と通信するためのインターフェースである。たとえば、流量計インターフェース28は、所定のネットワークなどを通じて流量計40に接続する。たとえば、流量計インターフェース28は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
【0043】
開閉弁インターフェース29は、開閉弁4、6、8、10、12及び14と通信するためのインターフェースである。たとえば、開閉弁インターフェース29は、所定のネットワークなどを通じて開閉弁4、6、8、10、12及び14に接続する。たとえば、開閉弁インターフェース29は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
【0044】
開閉弁インターフェース29は、開閉弁4、6、8、10、12及び14とそれぞれ通信するインターフェースから構成されるものであってもよい。
【0045】
なお、濁度計インターフェース27、流量計インターフェース28及び開閉弁インターフェース29(又はそれらの一部)は、一体的に形成されるものであってもよい。
【0046】
次に、制御器20が実現する機能について説明する。制御器20が実現する機能は、プロセッサ21が内部メモリ、ROM22又はNVM24などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0047】
まず、プロセッサ21は、処理液を濾過する機能を有する。
たとえば、プロセッサ21は、操作部25を通じてオペレータから濾過を開始する操作を入力する。当該操作を入力すると、プロセッサ21は、開閉弁6、8、10及び14を閉鎖する。また、プロセッサ21は、開閉弁4及び12を開放する。
【0048】
開閉弁4が開放されたことで、処理液供給管3から処理液が処理液室2aに供給される。処理液室2aに供給された処理液は、フィルタ1で濾過される。フィルタ1で濾過された濾過液は、濾過液室2bに蓄積され、濾過液室2bから濾過液排出管11を介して排出される。
【0049】
また、処理液中の懸濁物などは、フィルタ1で捕捉され、フィルタ1の外表面に付着する。
【0050】
また、プロセッサ21は、処理液の濁度及び濾過液の流量を測定する機能を有する。
【0051】
処理液を濾過している間において、プロセッサ21は、濁度計30を用いて、処理液の濁度を測定する。たとえば、プロセッサ21は、所定の間隔で処理液の濁度を測定する。
【0052】
即ち、プロセッサ21は、所定の間隔で、濁度計30から濁度情報を取得する。プロセッサ21は、取得された濁度情報をNVM24に格納する。
【0053】
また、処理液を濾過している間において、プロセッサ21は、流量計40を用いて、濾過液の流量を測定する。たとえば、プロセッサ21は、所定の間隔で濾過液の流量を測定する。
即ち、プロセッサ21は、所定の間隔で、流量計40から流量情報を取得する。
【0054】
また、プロセッサ21は、フィルタ1の洗浄を行うか否かを判定する機能を有する。
フィルタ1の外表面に処理液中の懸濁物などが付着すると、処理液室2aと濾過液室2bとの圧力差である濾過差圧が上昇する。したがって、濾過差圧がフィルタ1の種類、濾過システム100の設計容量などによって定まる使用限界差圧に達した時点でフィルタ1の洗浄が要求される。
【0055】
ここでは、プロセッサ21は、流量情報に基づいてフィルタ1の洗浄を行うか否かを判定する。たとえば、プロセッサ21は、流量情報が示す流量が所定の閾値以下になると、フィルタ1の洗浄を行うと判定する。
【0056】
また、プロセッサ21は、フィルタ1の洗浄時間を設定する機能を有する。
フィルタ1の洗浄を行うと判定すると、プロセッサ21は、前回の洗浄からフィルタ1の洗浄を行うと判定したまでの期間(稼働期間)における濁度情報を取得する。
【0057】
たとえば、プロセッサ21は、前回の洗浄を行った日時(又は、前回の洗浄を行った後に濾過を開始した日時)をNVM24に予め格納する。プロセッサ21は、前記の洗浄を行った日時とフィルタ1の洗浄を行うと判定した日時との間(稼働期間)において取得された濁度情報を取得する。ここでは、プロセッサ21は、稼働期間において所定の間隔で取得された複数の濁度情報を取得する。
【0058】
稼働期間における濁度情報を取得すると、プロセッサ21は、稼働期間の長さ(稼働時間)を算出する。
【0059】
たとえば、プロセッサ21は、前記の洗浄を行った日時とフィルタ1の洗浄を行うと判定した日時との差に基づいて稼働時間を算出する。
【0060】
稼働時間を算出すると、プロセッサ21は、取得された濁度情報と算出された稼働時間とに基づいてフィルタ1の洗浄時間を設定する。
【0061】
ここでは、NVM24は、濁度情報と稼働時間とを入力すると洗浄時間を出力する学習済みモデルを予め格納する。
【0062】
たとえば、学習済みモデルは、ニューラルネットワークから構成される。学習済みモデルは、ニューラルネットワークの入力層に濁度情報と稼働時間とを入力し、ニューラルネットワークの重み付け係数に基づく演算を行い、ニューラルネットワークの出力層から洗浄時間を出力する。
【0063】
たとえば、学習済モデルの重み付け係数は、過去に行われた洗浄の履歴(教師データ)に基づく学習によって得られる。教師データは、過去の洗浄の稼働期間における濁度情報、稼働時間、及び、洗浄時間を含む。洗浄時間は、過去の洗浄において作業員が設定した値であってもよい。
【0064】
学習済モデルは、教師データにおける濁度情報及び稼働時間の入力に対して教師データにおける洗浄時間を出力するように学習されたモデルである。
【0065】
プロセッサ21は、学習済みモデルに取得された濁度情報と算出された稼働時間とを入力して洗浄時間を算出する。
【0066】
また、プロセッサ21は、洗浄時間に従ってフィルタ1を洗浄する機能を有する。
フィルタ1の洗浄を行うと判定すると、プロセッサ21は、開閉弁4及び12を閉鎖して処理液の濾過を停止する。処理液の濾過を停止すると、プロセッサ21は、フィルタ1を洗浄する。ここで、プロセッサ21は、洗浄時間を算出する。
【0067】
まず、プロセッサ21は、開閉弁14を開放する。開閉弁14が開放されると、気体供給管13から加圧気体が濾過液室2bに供給される。濾過液室2bに供給された加圧気体により濾過液室2b内の濾過液がフィルタ1の濾過方向と逆方向に押し出される。
【0068】
濾過液室2b内の濾過液がフィルタ1の濾過方向と逆方向に押し出されると、プロセッサ21は、開閉弁8を開放する。また、プロセッサ21は、開閉弁8を開放すると同時にタイマを開始する。
【0069】
開閉弁8が開放されると気体供給管7から加圧気体が処理液室2aに供給される。即ち、処理液室2aにおいてフィルタ1の下方から気泡が上方に向かって噴出される。噴出された気泡により、フィルタ1は、振動する。フィルタ1の振動により、フィルタ1に付着した濾過物などが剥離され処理液室2aの底部に沈殿する。
【0070】
プロセッサ21は、タイマが洗浄時間に達するまで開閉弁8の開放を維持する。
タイマが洗浄時間に達すると、プロセッサ21は、開閉弁8を閉鎖する。開閉弁8を閉鎖すると、プロセッサ21は、開閉弁10を開放して濾過物などを含む凝縮廃液を凝縮廃液排出管9から系外に排出する。
【0071】
凝縮廃液を排出すると、プロセッサ21は、凝縮廃液の排出が完了した日時を洗浄が完了した日時としてNVM24に格納する。また、プロセッサ21は、洗浄を完了した後に濾過を開始した日時をNVM24に格納してもよい。
【0072】
なお、洗浄時間は、開閉弁14を開放してから開閉弁8を閉鎖するまでの時間であってもよい。
【0073】
また、プロセッサ21は、薬液の投入など他の方法でフィルタ1を洗浄するものであってもよい。
また、プロセッサ21は、フィルタ1を洗浄しなくともよい。この場合、プロセッサ21は、洗浄時間を外部装置又はオペレータに提示するものであってもよい。
【0074】
また、プロセッサ21は、処理液の濾過を一時停止した場合には、前記の洗浄を行った日時とフィルタ1の洗浄を行うと判定した日時との差から一時停止した時間を減算して稼働時間を算出してもよい。
【0075】
以上のように構成された濾過システムは、稼働期間における処理液の濁度と稼働期間とに基づいて洗浄時間を設定する。その結果、濾過システムは、適切な洗浄時間を設定して、洗浄の不足又は洗浄の過剰などを防止することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る濾過システムは、処理液に影響を及ぼす要因にさらに基づいて洗浄時間を設定する点で第1の実施形態に係るそれと異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0077】
図3は、第2の実施形態に係る濾過システム100’の構成例を示す。図3が示すように、濾過システム100’は、濾過装置2、処理液供給管3、開閉弁4、オーバーフロー管5、開閉弁6、気体供給管7、開閉弁8、凝縮廃液排出管9、開閉弁10、濾過液排出管11、開閉弁12、気体供給管13、開閉弁14、制御器20’、濁度計30、流量計40及び情報提供装置50などを備える。
【0078】
なお、濾過システム100’は、図3が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、濾過システム100’から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0079】
制御器20’ (情報処理装置)は、濾過システム100’全体を制御する。たとえば、制御器20’は、処理液を濾過して濾過液を排出する。また、制御器20’は、フィルタ1を洗浄する時間(洗浄時間)を設定する。制御器20’は、洗浄時間に従ってフィルタ1を洗浄する。
【0080】
情報提供装置50は、処理液(処理液の量又は濁度など)に影響を及ぼす要因に関する要因情報を制御器20’に提供する。たとえば、要因は、処理液の量又は濁度などに影響を及ぼす。
【0081】
要因情報は、要因として、処理液が排出される地域(対象地域)の雨量、対象地域の人口、対象地域において汚水を排出する工場の規模及び個数、などを示す。なお、要因情報が示す要因は、特定の構成に限定されるものではない。
【0082】
情報提供装置50は、要因が発生した日時と当該要因を示す要因情報とを対応付けて格納する。
【0083】
情報提供装置50は、制御器20’からのリクエストに基づいて、リクエストが示す稼働期間における要因情報を制御器20’に送信する。
たとえば、情報提供装置50は、サーバなどである。
【0084】
次に、制御器20’の構成例について説明する。
図4は、制御器20’の構成例を示すブロック図である。図4が示すように、制御器20は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、NVM24、操作部25、表示部26、濁度計インターフェース27、流量計インターフェース28、開閉弁インターフェース29及び通信部201などを備える。
【0085】
プロセッサ21と、ROM22、RAM23、NVM24、操作部25、表示部26、濁度計インターフェース27、流量計インターフェース28、開閉弁インターフェース29及び通信部201とは、データバス又はインターフェースなどを介して互いに接続する。
なお、制御器20’は、図4が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、制御器20’から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0086】
通信部201(要因情報インターフェース)は、情報提供装置50と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部201は、所定のネットワークなどを通じて情報提供装置50に接続する。たとえば、通信部201は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
【0087】
なお、濁度計インターフェース27、流量計インターフェース28、開閉弁インターフェース29及び通信部201(又はそれらの一部)は、一体的に形成されるものであってもよい。
【0088】
次に、制御器20’が実現する機能について説明する。制御器20’が実現する機能は、プロセッサ21が内部メモリ、ROM22又はNVM24などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0089】
制御器20’が実現する機能は、第1の実施形態に係る制御器20が実現する機能に加えて以下の機能を実現する。
【0090】
プロセッサ21は、要因情報を取得する機能を有する。
前述の通り、プロセッサ21は、フィルタ1の洗浄を行うと判定すると、稼働期間を設定する。稼働期間を設定すると、プロセッサ21は、通信部201を通じて、稼働期間における要因情報を要求するリクエストを情報提供装置50に送信する。
【0091】
プロセッサ21は、通信部201を通じて、稼働期間における要因情報を含むレスポンスを情報提供装置50から受信する。
【0092】
プロセッサ21は、稼働期間における複数の日時に対応する要因情報を含むレスポンスを受信するものであってもよい。
【0093】
なお、プロセッサ21は、処理液を濾過している間において要因情報を情報提供装置50から取得してもよい。
【0094】
また、プロセッサ21は、要因情報にさらに基づいてフィルタ1の洗浄時間を設定する機能を有する。
【0095】
前述の通り、プロセッサ21は、フィルタ1の洗浄を行うと判定すると、稼働期間における濁度情報を取得し稼働時間を算出する。
【0096】
プロセッサ21は、取得された濁度情報と取得された要因情報と算出された稼働時間とに基づいてフィルタ1の洗浄時間を設定する。
【0097】
ここでは、NVM24は、濁度情報と要因情報と稼働時間とを入力すると洗浄時間を出力する学習済みモデルを予め格納する。
【0098】
たとえば、学習済みモデルは、ニューラルネットワークから構成される。学習済みモデルは、ニューラルネットワークの入力層に濁度情報と要因情報と稼働時間とを入力し、ニューラルネットワークの重み付け係数に基づく演算を行い、ニューラルネットワークの出力層から洗浄時間を出力する。
【0099】
たとえば、学習済モデルは、過去に行われた洗浄の履歴(教師データ)に基づいて学習される。教師データは、過去の洗浄の稼働期間における濁度情報並びに要因情報、稼働時間及び、洗浄時間を含む。洗浄時間は、過去の洗浄において作業員が設定した値であってもよい。
【0100】
学習済モデルは、教師データにおける濁度情報、要因情報及び稼働時間の入力に対して教師データにおける洗浄時間を出力するように学習されたモデルである。
【0101】
プロセッサ21は、学習済みモデルに取得された濁度情報と取得された要因情報と算出された稼働時間とを入力して洗浄時間を算出する。
【0102】
以上のように構成された濾過システムは、処理液に影響を及ぼす要因にさらに基づいて洗浄時間を設定する。その結果、濾過システムは、より適切に洗浄時間を設定することができる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1…フィルタ、2…濾過装置、2a…処理液室、2b…濾過液室、3…処理液供給管、4…開閉弁、5…オーバーフロー管、6…開閉弁、7…気体供給管、8…開閉弁、9…凝縮廃液排出管、10…開閉弁、11…濾過液排出管、12…開閉弁、13…気体供給管、14…開閉弁、20…制御器、20’…制御器、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…NVM、25…操作部、26…表示部、27…濁度計インターフェース、28…流量計インターフェース、29…開閉弁インターフェース、30…濁度計、40…流量計、50…情報提供装置、100…濾過システム、100’…濾過システム、201…通信部。
図1
図2
図3
図4