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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130603
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】混合廃棄物の選別方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20230913BHJP
   B03B 5/10 20060101ALI20230913BHJP
   B03B 5/30 20060101ALI20230913BHJP
   B03B 7/00 20060101ALI20230913BHJP
   B03B 9/06 20060101ALI20230913BHJP
   B07B 1/22 20060101ALI20230913BHJP
   B03B 4/00 20060101ALI20230913BHJP
   B07B 4/08 20060101ALI20230913BHJP
   B07B 1/00 20060101ALI20230913BHJP
   B07B 1/12 20060101ALI20230913BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20230913BHJP
   B03C 1/30 20060101ALI20230913BHJP
   B09B 101/25 20220101ALN20230913BHJP
   B09B 101/90 20220101ALN20230913BHJP
   B09B 101/78 20220101ALN20230913BHJP
   B09B 101/85 20220101ALN20230913BHJP
   B09B 101/05 20220101ALN20230913BHJP
【FI】
B09B3/30
B03B5/10 ZAB
B03B5/30
B03B7/00
B03B9/06
B07B1/22 Z
B03B4/00
B07B4/08 Z
B07B1/00 B
B07B1/12 Z
B03C1/00 B
B03C1/30 Z
B09B101:25
B09B101:90
B09B101:78
B09B101:85
B09B101:05
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034979
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】320011155
【氏名又は名称】永田エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505073406
【氏名又は名称】星尊有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(72)【発明者】
【氏名】久保 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 孝勝
(72)【発明者】
【氏名】中務 真吾
(72)【発明者】
【氏名】原 大耕
(72)【発明者】
【氏名】柴谷 啓一
【テーマコード(参考)】
4D004
4D021
4D071
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA12
4D004AA26
4D004AA28
4D004AA31
4D004AA33
4D004AB01
4D004AC04
4D004CA09
4D004CA10
4D021AA15
4D021AB03
4D021CA03
4D021CA11
4D021EA10
4D021EB01
4D021FA09
4D021GA02
4D021GB01
4D021GB03
4D021HA01
4D021HA10
4D071AA14
4D071AA43
4D071AA81
4D071CA01
4D071CA03
4D071DA15
(57)【要約】
【課題】
本発明は、低コストで混合廃棄物を選別することが可能である混合廃棄物の選別方法を提供することにある。
【解決手段】
本発明の混合廃棄物の選別方法は、混合廃棄物を篩い分けにより、篩上産物と篩下産物とに分離する工程と、前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を比重選別する工程とからなることを特徴とする。また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、さらに、前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を磁力選別する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合廃棄物を篩い分けにより、篩上産物と篩下産物とに分離する工程と、前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を比重選別する工程とからなることを特徴とする混合廃棄物の選別方法。
【請求項2】
さらに、前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を磁力選別する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記比重選別は、湿式及び/又は乾式である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記篩上産物の比重選別を、浮沈分離により行う請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記篩下産物の比重選別を、ジグ選別により行う請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記比重選別により選別された分別産物を、脱水する工程を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記脱水処理されて除去された固形物含有プロセス水を、固形物と水とに分離する工程を含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記固形物を、比重選別する工程を含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記水を循環水として再利用する工程を含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記混合廃棄物は、産業廃棄物、一般廃棄物、災害廃棄物、建設廃材、木材、コンクリート、土砂、金属、又はプラスチックを含む請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合廃棄物の選別方法に関し、特に篩い分け及び比重分離を特徴とする混合廃棄物の選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の素材から構成される工業製品、鉱物資源、さらには、産業廃棄物等においては、種々の異なる成分を含んでいる。このような成分毎の分離は、鉱物資源の精製、資源のリサイクル等を行う上で必要である。
【0003】
現在までのところ、分離方法としては主として、湿式分離法及び乾式分離法が知られている。
【0004】
例えば、乾式分離法として、流動化媒体となる粉体に気体を吹き込んで流動層を形成し、固気流動層内に石炭粒子を投入して流動層の見かけ密度より小さい密度の石炭粒子を浮揚させ、大きい密度の石炭粒子を沈降させて分離するようにした乾式石炭分離方法が知られている(特許文献1)。
【0005】
また、例えば、湿式分離法としては、主要な選別機別に、浮沈重液選別機、空気動ジグ、重液サイクロン、テーブル(湿式)、ウォータオンリサイクロン、スパイラル、浮選(浮遊選別)などの選別機による湿式分離方法が知られている。これらは分離対象物の比重差によって、分離対象物を分離選別している。例えば、空気動ジグを用いた廃材の選別について、樹脂付電子・電気部品を破砕機で破砕して破砕物とダストとし、前記破砕物を磁選機で磁性物と非磁性物に分け、前記非磁性物をジグ選別機により金属濃縮物と樹脂濃縮物に選別することを特徴とする樹脂付電子・電気部品からの金属の回収方法が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-61398
【特許文献2】特開2002-355661
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記乾式分離法は、装置コストが高く、効率も低いなどの問題がある。加えて、湿式分離法においては、廃液処理による環境汚染の問題や、水資源の少ないところでは利用できず、また、廃液処理や分離後の乾燥工程を必要とするなどの問題を抱えている。
【0008】
一方、昨今、大規模災害が多発している背景がある。大規模であるがゆえに残される災害廃棄物量も膨大な量になっている。被災地復興の観点から、廃棄物は速やかに撤去しなければならないが、一次処理に多大な時間とマンパワーを要する。一次処理とは、ガスボンベ、長尺物等の危険物、金属、コンクリートガラ、泥、砂、岩石等の不燃物、木材、プラスチック、紙等の可燃物等に仕分けるする処理を意味するが、これらは、災害発生現地で、しかも、特にこれらの一次処理の選別作業は人力に負うところが大きいのが現状である。
【0009】
廃棄物の仮置き場や分別後の廃棄物置き場など一定以上の敷地が必要であり、現状では、これらの敷地は災害発生現地で確保しているのが現状である。さらに、現地で廃棄物置き場を担っているため、廃棄物を積載した車両の渋滞化も問題視されている。このような車両の渋滞化は、迅速な復興の観点からも好ましいものではない。したがって、復興の妨げとなる可能性が大きく費用の掛かる現地での処理作業を軽減化するシステムが望まれる。
【0010】
そこで、本発明は、低コストで混合廃棄物を選別することが可能である混合廃棄物の選別方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは、現地での処理作業を如何に軽減できるかについて鋭意検討した結果、本発明の混合廃棄物の選別方法を見出すに至った。
【0012】
すなわち、本発明の混合廃棄物の選別方法は、混合廃棄物を篩い分けにより、篩上産物と篩下産物とに分離する工程と、前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を比重選別する工程とからなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、さらに、前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を磁力選別する工程を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、前記比重選別は、湿式及び/又は乾式であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、前記篩上産物の比重選別を、浮沈分離により行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、前記篩下産物の比重選別を、ジグ選別により行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、前記比重選別により選別された分別産物を、脱水する工程を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、さらに、前記脱水処理されて除去された固形物含有プロセス水を、固形物と水とに分離する工程を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、さらに、前記固形物を、比重選別する工程を含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、さらに、前記水を循環水として再利用する工程を含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、前記混合廃棄物は、産業廃棄物、一般廃棄物、災害廃棄物、建設廃材、木材、コンクリート、土砂、金属、又はプラスチックを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の混合廃棄物の選別方法によれば、手選別に依存していた作業の大部分を置き換えることが可能であるという有利な効果を奏する。また、本発明の混合廃棄物の選別方法によれば、手選別に頼らないため、長時間の運転が可能であり、処理数量を大幅に改善することが可能であるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明における混合廃棄物の選別方法の一実施態様における概略図を示す。
図2図2は、本発明において適用可能なジグの選別機構を示す。
図3図3は、本発明の混合廃棄物の選別方法に適用可能な木片除去装置の一例を示す。
図4図4は、本発明の混合廃棄物の選別方法に適用可能な水処理とスラッジ回収システムの一例を示す。
図5図5は、本発明の混合廃棄物の選別方法の一実施態様における概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の混合廃棄物の選別方法は、混合廃棄物を篩い分けにより、篩上産物と篩下産物とに分離する工程と、前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を比重選別する工程とからなることを特徴とする。本発明において、篩い分けを行うこととしたのは、比重選別を行う場合に高い比重分離性能を得られるのに適した処理粒度があるためである。例えば、15mm~300mmのサイズを有する混合廃棄物の比重分離の場合、当該サイズに適した分離方法として、浮沈分離機などを挙げることができる。一方で、0.5mm~50mmのサイズを有する混合廃棄物の比重分離の場合、当該サイズに適した分離方法として、ジグや重液サイクロンなどを挙げることができる。いずれかの比重分離装置を利用してもよいが、より精密な選別を行う場合には、サイズ調整のみのために破砕を行う必要がある。例えば、本来、大塊として、そのまま可燃物等により処理できる場合であっても、すなわち、混合廃棄物の破砕を省ける場合であっても、サイズ調整のみのために破砕を行う必要性が生じる虞がある。この場合、一般的には、破砕に多大なエネルギーを要するので、破砕を省くことが可能であれば、省エネ対策を実現することも可能となる。さらに、破砕プロセスを入れることにより、本来廃棄物に分類されるべき物(リサイクル源ではなく、破棄されるべき物)も破砕しなければならず、無駄なエネルギーの損失を招く虞もある。例えば、50mm以下のサイズに適した分離方法のみを使用した場合、篩い分けにより、50mm以下の篩下産物は、良好に選別分離可能であるが、50mm以上の篩上産物は、粉砕を余儀なくされることとなる。すなわち、サイズ調整のため、破砕プロセスが必要となり、破砕により50mm以下に調整し直して、再度比重分離を行う必要が生じることになる。したがって、粉砕等の必要がないように、適宜、比重選別機を選択しながら、選別を行うことが好ましい。
【0025】
なお、上述したように、50mmのサイズを境に篩い分けを行っているが、50mmの篩い分けは、振動トロンメルスクリーンを適用することができる。振動トロンメルスクリーンが好ましい理由としては、原料が湿っている場合、原料形状が不定形である場合、又は原料に付着しやすい粘土類が混入している場合には、汎用の振動スクリーンで篩い分けが難しい場合があるためである。例えば、ドラムロットスクリーン(型番DS1014Ls、DS1220LS、又はDS1420Ls。株式会社幸袋テクノ社製。)等を用いることができ、当該装置は篩い分け後の産物のサイズが50mm±αになるように格子幅(50mm×50mmの格子や50mm×100mmの格子)を設計しているので、厳密には、正確に50mmで区切る必要はない。
【0026】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、さらに、前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を磁力選別する工程を含むことを特徴とする。前記篩上産物、及び/又は前記篩下産物を磁力選別することとしたのは、鉄類は、磁選機で回収可能だからである。また、大量の金属類が混入している場合、ジグ等の網面を覆ってしまう虞があるので、可能な限り金属を除去することが好ましいためである。
【0027】
なお、金属類は、鉄類及び非鉄金属も含めて、磁選機等により前処理において回収することも可能である。サイズが大きい金属類は回収が容易である一方で、細かいサイズを有する金属類は、処理対象物中に埋もれている可能性があるため、回収が難しい。したがって、前処理においても磁選機等により金属類を回収する利点があり、また、複数回磁選機等により選別することも、より正確な選別においては利点を有する。
【0028】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、前記比重選別は、湿式及び/又は乾式であることを特徴とする。まず、湿式分離方法の分離の原理について説明すると、以下のようになる。例えば、脈動について、空気を使用した一例について、原理を説明する。網板のついたU字管で分離をする場合の例としては、当該U字管の一方に分離対象物を入れ分離対象物粒子が完全に水没するまでU字管に注水する。注入された水がピストンの往復作用により分離対象物粒子も水も同じように往復運動を起こす。
【0029】
この往復運動(脈動)を繰り返すことにより、重比重粒子は次第に上層から下層へ、軽比重粒子(比重(小)の粒子)は上層へ移動する。このようにして粒子の比重に従って分離対象物粒子は層状に整列する。即ち、上層に軽比重粒子、下層になるに従い重比重粒子(比重(大)の粒子)が層を成したように整列する。このような作用を成層と呼ぶ。
【0030】
例えば、分離対象物が石炭であれば、成層された石炭粒子群(ベッド)を任意のラインで分割すれば、軽比重粒子(低灰分)と高比重粒子(高灰分)の産物を得ることが出来る。空気動ジグは、このような作用(脈動に基づく成層作用=jigging)を利用した選別機であり、脈動はピストンではなく空気を使用することができる。なお、空気動ジグの特徴と優位性については、安価なランニングコスト、大処理能力、容易なメインテナンス、広い適用性、長寿命などを挙げることができる。
【0031】
また、乾式分離方法の分離の原理について説明すると、以下のようになる。すなわち、粉体を流動化させ、液体系の比重選別と同様な粉体流動化媒体、言い換えれば固気流動層(以下では、単に流動層ともいう。)を利用して分離対象物を主としてその密度によって、分離するものであるか、粉体を用いなくても、気体を流動層へ導入することによって、分離対象物は、密度偏析を生じるため、当該密度偏析現象を利用して、分離対象物を分離しようとするものである。
【0032】
まず、固気流動層による分離の概念を以下に説明する。粉体に気体を送り浮遊流動化させた場合、粉体からなる流動層は、液体と同様の挙動を示す。従って、流動層の見掛け密度ρfbは下記の式で表される。
【0033】
ρfb=Wp /Vf =(1-εf )ρp
ここでWp は流動化媒体の粉体重量、Vf は流動化時の体積、εf は流動化時の空隙率、ρp は流動化媒体の粉体密度である。
【0034】
このような見掛け密度ρfbを有する流動層中に密度ρs の分離対象物を混在させたとき、ρs <ρfbの分離対象物成分は流動層上部に浮揚し、ρs >ρfbの当該分離対象物成分は流動層下部に沈降する。そしてρs =ρfbの当該分離対象物成分は流動層中間部を浮遊する。このことを利用して分離対象物の比重選別を行うのである。
【0035】
また、いわゆる粉体を用いない場合の本発明の分離の原理について説明すると、以下のようになる。すなわち、分離対象物を流動層内で流動化及び/又は循環させて、当該分離対象物の比重差及び/又はサイズ差を利用して分離対象物を分離するものである。すなわち、固気流動層に使用する流動化媒体の影響を受けやすい粒状混合物については、固気流動層を用いず、むしろそのまま分離対象物自体を流動化させて、偏析現象及び飛散現象を利用して分離対象物を分離せんとするものである。
【0036】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、混合廃棄物は、そのサイズ幅が広いため篩い分けにより、より適した分離方法を適用することが好ましいという観点から、前記篩上産物の比重選別を、浮沈分離により行うことを特徴とする。また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、同様に、混合廃棄物は、そのサイズ幅が広いため篩い分けにより、より適した分離方法を適用することが好ましいという観点から、前記篩下産物の比重選別を、ジグ選別により行うことを特徴とする。例えば、混合廃棄物の篩い分けに用いるメッシュを適宜設定して、比重選別機に適したサイズに振り分けることが可能である。例えば、15~300mm、好ましくは50~300mmのサイズを有する廃棄物の比重分離には、浮沈分離機などが適しており、また、0.5mm~50mmのサイズを有する廃棄物の比重分離には、ジグや重液サイクロンなどが適しているので、これらのサイズに合わせて、適宜最適な分離方法を採用することが可能である。混合廃棄物のうち、金属、コンクリート塊、木片、等を適度な前処理によって、大塊、長尺ものを除くことが可能であり、適当な前処理によって、サイズ調整された混合廃棄物を本発明に適用することができる。また、鉄類は磁選機で回収、非鉄金属も回収できるサイズは前処理にて回収することができる。
【0037】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、前記比重選別により選別された分別産物を、脱水する工程を含むことを特徴とする。湿式分離方法を採用する場合に、前記比重選別により選別された分別産物を脱水することにより、分別産物を回収することができる。なお、湿式分離方法において、媒体としては限定されず、例えば、水、マグネタイト、フェロシリコンなどを使用することができる。但し、水以外のメジューム等を使用すると、産物に付着したメジュームの洗浄、回収、比重調整などの回路が必要となり煩雑でコストがかかるため、媒体としては、好ましくは、水を挙げることができる。又、水を用いた場合、水による洗浄作用も兼ねているので脱泥(微粒の泥除去)、脱塩(付着した塩分の低下)も期待できる。
【0038】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、さらに、前記脱水処理されて除去された固形物含有プロセス水を、固形物と水とに分離する工程を含むことを特徴とする。また、好ましい実施態様において、さらに、前記固形物を、比重選別する工程を含むことを特徴とする。さらに、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、さらに、前記水を循環水として再利用する工程を含むことを特徴とする。例えば、振動スクリーン等の網下産物である微粒子(固形物)を含むプロセス水(固形物含有プロセス水)は、水処理システムに送られ固形物を分離後、分離後の水は再び選別プロセスに循環されることにより水の再利用が可能である。分離された固形物は回収するか、再度選別プロセスにおいて選別することが可能である。
【0039】
また、本発明の混合廃棄物の選別方法の好ましい実施態様において、前記混合廃棄物は、産業廃棄物、一般廃棄物、災害廃棄物、建設廃材、木材、コンクリート、土砂、金属、又はプラスチックを含むことを特徴とする。混合廃棄物は、そのサイズ幅が広いこと、後工程において支障、例えば、大量の金属が混合廃棄物に混入している場合、ジグ等の網面を覆ってしまう虞がある等の支障をきたす虞があるため、例えば、大塊、長尺もの、金属等を前処理にて除去しておくことが好ましい。したがって、前処理によって大塊等を除去し、又は粉砕等により、混合廃棄物のサイズを、適当なサイズに調整することが好ましい。たとえば、混合廃棄物のサイズとしては、より適した分離方法を適用することが好ましいという観点から、400mm以下、より好ましくは、300mm以下とすることができる。
【0040】
なお、これら混合廃棄物のサイズについて、便宜上300mmを境に異なる装置を使用することが利点であるが、当該サイズは正確に300mmを要求するものではない。
【0041】
例えば、混合廃棄物は、板状、塊状、棒状、粘土、土、プラスチックなどの混合物等が含まれている。篩い分け機械の目詰まりを防止する観点から、混合廃棄物のサイズの篩い分けには、グリズリ(バースクリーン)を使用することができる。当該装置は、平行なバーを設置しており、例えば、300mm間隔のバーのものであれば、混合廃棄物のいずれかの寸法が300mm以下である場合、篩い下に入る設定となっている。それ以外の大きいサイズは、篩い上に入る設定である。従って、長寸法が300mmを超えるサイズの混合廃棄物であっても、いずれかの幅が300mm以下の混合廃棄物は、篩い下に入ることができ、このようなサイズも篩い下の物として処理可能である。例えば、ゴムスプリンググリズリフィーダ(型番RGH―85A、RGH―160A、RGH―260A、RGH―350A、RGH―500A、RGH―700A、RGH―1000A等)などを篩い分けに使用することが可能である。
【0042】
次に、本発明の混合廃棄物の一実施態様を図面に基づいて説明する。震災廃棄物などの混合廃棄物の組成は、概ね木材、コンクリート・泥・砂、金属、プラスチック、等の混合物であるがその比率は不明である。一般廃棄物と産業廃棄物の混ざったような組成か、建設廃材みたいなものか、と推定するが地域的な差にも起因する。いずれにしても木材などの可燃物とコンクリートなどの不燃物に大別し処理する必要がある。今後起こると想定されている大震災廃棄物の発生量については、2500万トン以上、海中の廃棄物を含めれば3000万トン以上といわれており、膨大な量である。処理方法としては、埋め立て、焼却処分などが検討されているが、可能な限り資源としてリサイクルすることが理想的である。
【0043】
処理のための基本条件として、やはり、まず分別が必要である。大きく分けて木材・プラスチックなどの可燃物、コンクリートや砂・泥などの無機物、金属類に分別する必要がある。処理対象物のどのような性質の差に着目して分別するべきかについて、検討した結果、装置の汎用性、信頼性、コストなど考慮すると、まず物理的分別に着目すべきである。即ち混合廃棄物たる分別対象物には明らかに、大きさ(粒度)、比重、磁性の差がある。これらの性質の差をうまく利用すれば比較的低コストでの分別が可能である。
【0044】
なお、混合廃棄物の比重は、0.1~8程度までの軽量プラスチック、木材、廃石、金属等の種々雑多なものを含むため、前処理で例えば磁選機により鉄などの磁性物を回収することが好ましい。また、水に浮く物は、大部分が可燃物となり、水に沈む物は、大部分が不燃物となる傾向がある。不燃物は、プラスチック類、砂利、砂、廃石、金属(非鉄金属)等に選別可能となる。
【0045】
図1は、本発明における混合廃棄物の選別方法の一実施態様における概略図を示す。この例においては、まず、混合廃棄物のサイズを300mm以下に調整を行った。サイズを300mm以下に調整された混合廃棄物を篩い分けにより、篩上産物と篩下産物とに分離した。具体的には、50mmのサイズを境に選別できるように振動スクリーン(例えば、湿潤物でも篩い分けが可能な振動式トロンメルスクリーンなど)を用いて、50~300mmと、50mm以下とに選別した。混合廃棄物のうち、50~300mmのサイズを有する篩上産物について、磁選機により、鉄と、非鉄金属と、その他を選別した。磁選機を経た混合廃棄物について、浮沈分離により選別を行い、岩石、コンクリート屑などの重比重物(Sp.Gr.+1.0)と、木片、プラスチックなどの軽比重物(Sp.Gr.-1.0)とに分離した。なお、これらを成分毎に比重選別する場合については、50mm以下に粉砕することによりサイズ調整して、後述する篩下産物とともに再度磁選、選別を行うことができる。
【0046】
一方、50mm以下にサイズ調整された篩下産物について、磁選機を経た混合廃棄物について、ジグ選別を行った。このように複数の選別方法を利用したのは、上述のように、単一の選別方法の場合、当該選別方法に適したサイズ、粒度調整を行う必要があり、粒度調整のために、破砕プロセスが必須になる結果、多大なエネルギーを必要となるため、この破砕の工程を極力減らし、省エネルギー化を目的とする観点からである。また破砕プロセスを入れることで、廃棄物となるべきものは、本来加工が不要であるにもかかわらず、破砕工程を余儀なくされ、エネルギーの損失となるためである。
【0047】
このようにして、ジグ選別により、木片、プラスチック等の軽比重物、岩石、コンクリート塊等の中の軽比重物、岩石、コンクリート塊等の中の重比重物、及び非鉄金属に、選別した。
【0048】
また、ジグ選別により選別された分別産物、及び木片除去機を経た残存物を、脱水し、水処理及び水循環システムにより、脱水処理されて除去された固形物含有プロセス水を、固形物と水とに分離した。その後、固形物を、再度、比重選別した。一方、固形物含有プロセス水から固形物が除去された水は循環水として再利用した。なお、水処理及び水循環システムにより、例えば、砂(サイズ0.3~2.0mm)及び泥(サイズ0.3mm以下)とに選別することが可能である。例えば、湿式分級サイクロン又は溢流式分級機などを適用すれば、0.3mm前後で分級することができる。分級サイクロンについては後述する。
【0049】
また、図示しないが、浮沈分離を利用する場合には、以下の方法を適用可能である。すなわち、浮沈分離型重液選別機として、ドルボーイ型(永田エンジニアリング株式会社製、Drew Boy。型番DB1232、DB1634、DB2038、DB2645、DB3253、DB4072、DB5080など。))のほかに、ドラム型、スクレーパ型など様々な型式の装置を適用することが可能である。
【0050】
重液選別では、任意の比重液を製造するため媒体として微粒の鉱物を使用する。例えば、マグネタイト(Fe3O4)の水スラリー使用することができる。比重の調整範囲は、1.30-1.90位である。勿論、水を使えば比重は1.0になり、水で浮沈分離可能な物は本装置で連続分離操作が可能である。資源リサイクル分野で稼働中の重液選別機のように、マグネタイトやフェロシリコンを使用して(分離比重:2.8-3.0)、選別を行うことも可能である。なお、重液選別の場合は、媒体の回収システムが必要であり、分離産物を水で洗浄し媒体を回収する。媒体を含む希薄濃度の洗浄液は磁選機に送られここで媒体が回収され重液ラインに返送される。重液ライン、重材回収ライン、洗浄水ラインが必要となりシステムが複雑になるが、選別精度は高いのが重液選別の特徴である。このような比重選別も本方法に適用可能である。
【0051】
また、図2は、本発明において適用可能なジグの選別機構を示す。図2中、1は分離対象物供給ホッパー、2はチェーンフィダー、3は沈降物、4は浮揚物、5はフロート、6はスライドゲート、7はスターホイールを、それぞれ示す。図2は、比重選別機として、空気動ジグ(通称、水洗機 or ジグ)の例を示す。空気動ジグは、水の脈動による個々の粒子の比重に基づく成層作用を利用した比重選別機である。供給された混合廃棄物は、供給端から水の脈動により成層作用を繰りかえしながら排出端に達する。成層完了したベッドを要求される品質を得られるレベルで正確に2産物から複数産物に分離することができる。例えば、軽比重物は溢流させて回収することができ、重比重物は水槽下部に落下させバケットエレベーターにて回収することができる。ポイントは、如何に効率よく成層させるか、そして成層したベッドを如何に正確に分離するか、という点である。ベッドの分離についてはフロートセンサーを用いて自動制御することができる。比重:1.3-2.6あたりでの比重分離装置として機能させることができる。ジグの最大の特徴は、大容量処理機であること、かつ、媒体が水を用いることができ、この場合、イニシャルコスト、ランニングコストが重液選別に比較して低いことなどを挙げることができる。
【0052】
また、フロート5は、所望の特定比重を設定可能である。当該フロートは、特定比重を設定することができ、ひいては、センサーとしての機能を有することができる。すなわち、分離対象物の比重に応じて、適宜設定することが可能である。すなわち、当該フロートによって、液体中における、分離対象物の位置を把握することが可能である。すなわち、選別中に、フロートの高さが上がっていけば、分離対象物の層が厚くなっていることを推測でき、この場合、十分な分離対象物のほぐれ状態を作れない虞がある。特に、比重2以上の分離対象物の場合、移動速度が遅くなる傾向が強い。
【0053】
そこで、当該フロートの高さを一定、すなわち、分離対象物の層が一定になるようにすることが重要な要素の一つとすることができる。フロートの高さの情報は、分離対象物の供給量と連動してもよく、浮揚物の回収手段(以下、第一の回収手段ともいう。)又は沈降物の回収手段(以下、第二の回収手段ともいう。)により、回収速度を調整することにより、フロートの高さを一定に保ってもよい。すなわち、フロート高さが高くなれば、その情報を、供給量調整装置に指示し、分離対象物の供給量を少なくすることができ、逆に、フロート高さが低くなれば、その情報を、供給量調整装置に指示し、分離対象物の供給量を多くすることもできる。また、フロート高さが高くなれば、その情報を、第一及び/又は第二の回収手段に指示し、分離対象物の回収量を多くすることができ、逆に、フロート高さが低くなれば、その情報を、第一及び/又は第二の回収手段に指示し、分離対象物の回収量を少なくすることもできる。
【0054】
すなわち、フロート高さは、自動制御で設定することもでき、フロート高さ設定値を一定に保持することにより、高比重産物の低比重産物への混入や、逆に低比重産物の高比重産物への混入を防止することができる。これは、製品品質を維持することができ、また、自動制御化により、作業の安定化を図ることができる。
【0055】
また、本発明の湿式分離装置の好ましい実施態様において、特に、分離対象物の比重が、2以上であり、比較的高い比重を有する場合には、フロートのセンサーとしての機能を確実にするという観点から、前記フロートの比重は、前記分離対象物を分離するための分離比重より低く設定されていることを特徴とする。これは、分離対象物の比重が2以上など比較的高い場合には、フロート自体が動かなくなる虞があり、本来のフロートの機能を発揮できない虞があるためである。すなわち、フロートは液体の脈動と同様に動いて、センサーとしての機能をより発揮し得るものであり、フロートが設定比重のような動きをしてくれなければ、正確な分離対象物の層厚を把握することが不可能となる虞がある。
【0056】
なお、分離比重とは、例えば、分離対象物中の2つの成分、すなわち、軽比重成分(比重(小))と、重比重成分(比重(大))を分離したい場合に、これらの成分が、首尾よく分離できるように、設定した比重である。
【0057】
また、好ましい実施態様において、沈降物の回収手段は、スターホイル式、単独又は複数のゲート式であり、一定量の前記沈降物を回収するために、仕切り部材(図示せず)を有することを特徴とする。当該仕切り部材の存在は、一定量の沈降物の回収量を正確に制御する機能を有する。すなわち、開放的に回収する場合、回収量を制限できないため、上記分離対象物の層厚の問題等に正確に対応できない虞がある。仕切り部材の位置についても特に限定されない。所望の回収量にしたがって、適宜仕切り部材を設定することが可能である。例えば、図2のスターホイール7の右上に設定してもよい。
【0058】
例えば、フロートを有する場合に、フロートのセンサーにより、フロート高さが高く又は低くなったという情報が、第一及び/又は第二の回収手段に指示されたとしても、分離対象物の回収量をきめ細かく多くしたり、少なくしたりすることが容易ではなくなる可能性がある。
【0059】
なお、仕切り部材は、一例であり、回収量を制限することができる部材であれば特に限定されない。また、仕切り部材のような回収量を制限することができる部材は、第二の回収手段のみならず、第一の回収手段に設けてもよい。
【0060】
図3は、本発明の混合廃棄物の選別方法に適用可能な木片除去装置の一例を示す。図3中、20は分離対象物供給、21は木片、22は木片以外の分離対象物、23は水位を、それぞれ示す。木片除去装置は特に限定されず、常法を用いることができる。木片除去装置は、混合廃棄物中の木片を除去することが可能であり、一般に、水媒体で浮沈分離作用を利用する装置である。
【0061】
図4は、本発明の混合廃棄物の選別方法に適用可能な水処理とスラッジ回収システムの一例を示す。3産物ジグ及び浮沈選別機はともに、この例において、湿式分離方法を用いる例である。3産物ジグ及び浮沈選別機の比重選別により選別された分別産物を、脱水スクリーン(振動スクリーン)において、脱水する。このとき、-0.5-1.0mmの微粒子も篩下産物として除去される。脱水スクリーンにより処理された処理水は、分級サイクロンフィードサンプへ送られ、その後、分級サイクロンフィードポンプにより分級サイクロンへ送られる。
【0062】
なお、分級サイクロフィードサンプの役割は以下の通りである。すなわち、分級サイクロンの分離性能は、供給圧力がほぼ一定でなければ不安定になる傾向があり、このため、分級サイクロンフィードサンプの設置は、当該レベルを一定に保持しながらポンプにてサイクロンに供給する役割を有する。また、分級サイクロンの役割は以下の通りである。脱水スクリーン網下は微粒子(固形物)を含んでいる虞があるため、このままで循環水として循環使用できない場合がある。そのため、分級サイクロンの適用は、含まれる固形物のうち粗粒部分を除いて(サイクロンDFとして系統から除く)、循環使用を可能とする役割を有する。
【0063】
振動スクリーンの網下産物である微粒子を含むプロセス水は、水処理システムに送られ固形物を分離後、選別プロセスに循環されることになる。分離媒体として使用するプロセス水は循環使用するものとする。処理対象は主としてプロセス水に含まれる懸濁固形物の回収である。この処理・循環プロセスとしては、分級サイクロンによる分級・濃縮及び沈殿池(機械式シックナーがベスト)による重力沈降分離を利用した浄化で対応することが可能である。
【0064】
このようにして、選別機で使用されたプロセス水は全量分級サイクロンフィードサンプに送られる。続いてフィードポンプにてサイクロンに送られ微粒固形物は40~50μm程度で分級(50%配分粒子径)される。
【0065】
なお、分級サイクロンについて補足説明すれば以下の通りである。Over Flow中の粒子群の量をWOFとし、Under Flow中の粒子群の量をWUFとすると、Under Flow中への配分率は、WUF/(WOF+WUF)×100(%)で表すことができる。通常、分級粒度といえば、50%配分率相当の粒子径:D50を示す。例えば、D95の場合、95%の量がUnder Flow(アンダーフロー)中に含まれるので、D95以上のものがUnder Flowで回収できると考えることができる。分級粒度及び処理能力は概ねサイクロン径に比例し、φ200-300mmのサイクロンを処理水量に合わせて数本~数10本使用する。サイクロンへ送られたプロセス水のうち80-90%以上はサイクロンオーバーフローで回収され、そのまま選別機に循環する。循環水中に微粒固形物が累積するのを防止するため循環水の一部を系統から抜き沈殿池に導入、浄化して返送することができる。
【0066】
沈殿池の容量に限度があり、プロセス水の浄化能力が限定される場合は高分子凝集剤添加を用いることができる。なお、プロセス水として循環する水は、清水である必要はなく固形物濃度:2-3wt%程度の懸濁水でも選別に支障はない。本システムでは、分離産物が付着水分としてプロセス水を系統外に持ち出すので常時補給水を用いてもよい。特に、処理産物に付着して系統内に持ち込まれる水量より、分離産物に付着して系統外に持ち出される水量が多い場合には、補給水が有効であり必要となる。
【0067】
図5は、本発明の混合廃棄物の選別方法の一実施態様における概略を示す。篩下産物(-25-35mm)は、空気動ジグにて処理することができ、3産物空気動ジグを適用すれば、混入している小粒度の金属、砂・コンクリート、木材等の3産物に分離することが可能である。但し、大量の金属が混入している場合は、ジグの網面を覆ってしまうので出来るだけ金属は前処理にて除去することが好ましい。
【0068】
以上述べたように、本発明によれば、その処理能力は、時間当たり1000トンに至る大容量の装置構成が可能である。また、廃棄物の大分類として、可燃物及び不燃物に分けることができ、:木、紙、プラスチック等の可燃物は、低比重物(比重:0.6~1.0)として、1)金属、2)コンクリートガラ、土石、等の高比重物(比重:2.0~2.6)、レンガ、塩ビ、等の中比重物(比重:1.1~2.0)などの不燃物に分けることができる。このように、比重に着目した本発明の方法によれば、比重分離できれば、大まかな分別が可能となり、低比重物は可燃物が大半であり、燃料資源になりえる。高比重物は、高度処理をすれば骨材資源になりえる、といったように分別することにより、資源回収・リサイクルの可能性を見出すことが可能である。
【0069】
なお、本発明の混合廃棄物の選別方法においては、上記以外のその他のプロセス機器、例えば、泥スラリーの分級、濃縮等を目的として、分級サイクロンを適用してもよい。分級サイクロンは、大量の微粒固形物を含む懸濁水の浄化に有効な装置であり、選炭に限らず多くの水を使用する工業で使用されているものを適用可能である。また、スラリーの浄化として、大量の水浄化装置で凝集剤を使用すれば、高度な浄化水を得ることが可能である。
【0070】
以上の結果、本発明の混合廃棄物の選別方法により、従来手選別により行っていた作業を、比重選別等に置き換えることが可能となり、短時間での処理が可能であり、大容量(大きな処理能力)を実現できることが判明した。また、本発明の混合廃棄物の選別方法により、ランニングコストが低く、可能な限り機械化し必要となる作業員を少なくすることが可能であることが判明した。また、本発明の混合廃棄物の選別方法により、災害地での敷地を確保する必要がなく、プラント内で、混合廃棄物を選別することが可能であり、渋滞等の問題も解決可能であることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明により、自動車シュレッダーダストをはじめとするリサイクルのための素材分離の分野に広く貢献することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 分離対象物供給ホッパー
2 チェーンフィダー
3 沈降物
4 浮揚物
5 フロート
6 スライドゲート
7 スターホイール
20 分離対象物供給
21 木片
22 木片以外の分離対象物
23 水位
図1
図2
図3
図4
図5