(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131229
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230914BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B41J29/38 302
B41J11/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035830
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村越 利生
(72)【発明者】
【氏名】堀田 翔
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
【Fターム(参考)】
2C058AB15
2C058AC06
2C058AF03
2C058AF15
2C058AF31
2C058AF51
2C058GB15
2C058GB26
2C058GB39
2C058GB41
2C058GB48
2C058GB52
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AS06
2C061AS11
2C061AS14
2C061HJ02
2C061HK05
2C061HK06
2C061HK11
2C061HK23
2C061HN08
2C061HN15
2C061HN22
2C061HV13
(57)【要約】
【課題】タイミングマークの検出期間を正確に判断し、用紙の余白を一定にする。
【解決手段】タイミングマークが予め印刷された印刷用紙にデータを印刷するプリントヘッド121と、プリントヘッド121に印刷用紙を搬送するモータを制御するプリンタ制御部311と、タイミングマークを検出するマークセンサ327と、マークセンサ327の値に応じてプリンタ制御部311に検出結果を通知する制御部312と、制御部312は、プリンタ制御部311がモータを制御する制御信号が入力されるモータ制御信号入力部を有し、モータ制御信号入力部に入力される制御信号が前記マークセンサ327によりタイミングマークを検出するのに必要な送り量に対応して設定された条件を満たしたときに、マークセンサの検出値によってタイミングマークを検出したか印刷用紙の用紙切れを検出したかを判別することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイミングマークが予め印刷された印刷用紙にデータを印刷するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドに前記印刷用紙を搬送するモータを制御するプリンタ制御部と、
前記タイミングマークを検出するマークセンサと、
前記マークセンサの値に応じてプリンタ制御部に検出結果を通知する制御部と、
前記制御部は、前記プリンタ制御部が前記モータを制御する制御信号が入力されるモータ制御信号入力部を有し、
前記モータ制御信号入力部に入力される制御信号が前記マークセンサにより前記タイミングマークを検出するのに必要な送り量に対応して設定された条件を満たしたときに、前記マークセンサの検出値によって前記タイミングマークを検出したか前記印刷用紙の用紙切れを検出したかを判別することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記プリンタ制御部は、前記モータの回転に必要な駆動パルスを前記モータに印加することで制御し、前記駆動パルスを前記モータに印加するための複数の信号線を有しており、
前記モータ制御信号入力部には、前記信号線のうちの1本が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記プリンタ制御部は、
印刷開始時に前記マークセンサの値により前記印刷用紙の有無を確認し、
印刷中に前記マークセンサが用紙切れに対応した値を検知すると、マーク検知処理ループに移行し、
前記マーク検知処理ループのループ中に前記モータの前記駆動パルスが印加されるタイミングでカウンタを加算し、
前記マークセンサにより前記用紙切れに対応した値を検知したまま前記カウンタの値が閾値を超えた場合に、前記印刷用紙の用紙切れと判定することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙に印刷されたタイミングマークを用いて印字位置を決める印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検針などに用いられる携帯端末であるプリンタでは、印字用紙の有無や印字位置決めを行うために印字用紙に予め印字されたタイミングマークを用いることがある。従来、特許文献1などに開示されるように、タイミングマークの有無を一つの光学センサで検知していた。センサの特性上、「用紙切れ(紙無し)」と「タイミングマーク有り」はともに印字用紙からの反射光がない状態であり同じ検出結果になるため、タイミングマーク検出後の値の変化によって「用紙切れ」であるか「タイミングマーク有り」のいずれの状態であるかを判断することができる。特許文献1においては、センサと搬送モータを共通の制御部にて接続して制御することにより、搬送モータの駆動によってタイミングマーク検出後に印刷用紙が所定の距離搬送された時のセンサの検知結果によって「用紙切れ」であるか「タイミングマーク有り」であるかを判断可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センサ用制御ICと印刷用紙の搬送モータ用制御ICとが分かれた構成となる場合がある。その場合一般的には、センサ用制御ICからは用紙の搬送速度が分からないので、タイミングマーク検出後、あらかじめ定めた時間が経過した時のセンサの検知結果によって判断していた。この方式では、意図しない搬送速度の変化やタイミングマークの公差を考慮して長めの時間(マージン)を設定せざるを得ず、用紙の先端や後端に対応する長さの余白部分が生じてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を鑑み、本発明に係る印刷装置は、
タイミングマーク付きの印刷用紙に印刷するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドに前記印刷用紙を搬送するモータを制御するプリンタ制御部と、
前記タイミングマークを検出するマークセンサと、
前記マークセンサの値に応じてプリンタ制御部に検出結果を通知する制御部と、
前記制御部は、前記プリンタ制御部が前記モータを制御する制御信号が入力されるモータ制御信号入力部を有し、
前記モータ制御信号入力部に入力される制御信号が前記マークセンサにより前記タイミングマークを検出するのに必要な送り量に対応して設定された条件を満たしたときに、前記マークセンサの検出値によって前記タイミングマークを検出したか前記印刷用紙の用紙切れを検出したかを判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
印字用紙の有無と位置決めのためのタイミングマークの有無を一つのセンサで検知する際に、タイミングマークの検出期間を正確に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の外観斜視図
【
図2】本発明の一実施形態に係る印刷装置の外観斜視図
【
図3】本発明の一実施形態に係る印刷装置の電気的接続を示すブロック図
【
図4】本発明の一実施形態に係る印刷装置の制御部の処理手順を示すフローチャート
【
図5】本発明の一実施形態に係る印刷装置のプリンタ制御部の処理手順を示すフローチャート
【
図6】本発明の一実施形態に係る印刷装置の内部構成の側面断面図
【
図8】本発明の他の実施形態に係る印刷装置の制御部の処理手順を示すフローチャート
【
図9】本発明の他の実施形態に係る印刷装置の内部構成の側面断面図
【
図10】本発明の他の実施形態に係る印刷装置のブロック図
【
図11】本発明の他の実施形態に係る印刷装置のプリンタユニットの電源回路構成図
【
図12】本発明の他の実施形態に係る印刷装置の制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図中、同じ符号は各図を通して共通である。但し、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための印刷装置を例示するものであって、本発明の印刷装置は以下に説明するものに限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるハンディターミナル100の斜視図である。ハンディターミナル100の外形を構成する筐体102は、本体に向かって正面側(+Z方向)に配置される上筐体である上ケース103と、本体に向かって背面側(-Z方向)に配置される下筐体である下ケース104に2分割される。ハンディターミナル100の正面側には、向かって中央から上方(+Y方向)に表示部106が設けられ、下方(-Y方向)にキーボードであるテンキー105が備えられている。
【0010】
また、表示部106は、各種の情報を表示するためにLCDなどによって構成されており、ユーザーは、その表示部106に表示された表示内容を参照しながら、正面に配置されたテンキー105を操作する。
【0011】
さらに、筐体102の左側面には電源キー109(不図示)を備え、右側面には、Volume Up/Downキー110を備えている。電源キー109と、Volume Up/Downキー110は筐体102のテンキー105よりも上方(+Y方向)に配置される。
【0012】
ハンディターミナル100には、-Z方向を向いて眺めたときの正面上方に、印刷用紙の排出口111が設けられる。
【0013】
更に、ハンディターミナル100には、-Z方向を向いて眺めたときの正面上方で排出口111の下部に隣接して、窪み部112が形成される。窪み部112には印刷用紙の挿入口113が設けられる。
【0014】
図2は本発明の一実施形態におけるハンディターミナル100の背面図であり、表示部106の裏面となる位置にはカメラ部114が設けられており、その表面には、透光性のカメラ窓115を有し、その内部に不図示のカメラユニットを設けている。ハンディターミナル100の下(-Y方向)面にはスピーカ部116を設けており、スピーカ部116の左右に首からハンディターミナル100をぶら下げるためのネックストラップ取り付け部117を配置されている。
【0015】
<印刷装置の内部構成説明>
図3は、ハンディターミナル100の電気的接続を示すブロック図である。ハンディターミナル100は制御基板ユニット内に、LCD329、タッチパネル330、スピーカ333、プリンタ332(印字部)、マークセンサ327(センサ)、赤外線通信モジュール(IrDA)328、キーボード331、無線LAN I/F322、Bluetooth(登録商標) I/F323、携帯モジュール324、バックアップバッテリー326、メインバッテリー321、ボリュームUPキー334、ボリュームDOWNキー335、電源スイッチ336、バイブレータ337を備える。また、SIMカードスロットが設けられており、本実施形態においては、SIMカード325を備えている。
【0016】
また、制御基板には、CPU301、eMMC302、DDR SDRAM303、充電制御IC304、PMIC305、USB-C306、EC307、LEDドライバ308、タッチパネルコントローラ309、オーディオコーデック310、プリンタコントローラ311(プリンタ制御部)、FPGA312(制御部)、USB UART313、USB HUB314、拡張コネクタ315、Keyboardコントローラ316、LED317、リセットSW318、インジケータLED319、USBインターフェース320が搭載されている。
【0017】
メインバッテリー321は、充電を行うことにより繰り返し使用することのできる二次電池である。また、メインバッテリー321の電圧は、充電制御IC304による充電電圧の制御や過電圧の検知などに使用される。バックアップバッテリー326はCPUの時計情報保持のために使用される。
【0018】
CPU301は装置全体の制御、演算、情報転送を司る。また、装置内にある無線LAN I/F322、Bluetooth I/F323や携帯モジュール324などを使用して外部機器との通信を行うことができる。携帯電話番号やIMEI番号はSIMカード325に保管される。
【0019】
FPGA312は、信号の入力検知と出力制御を行う。入力検知されるものは、印刷用紙の位置決めのために印刷用紙にあらかじめ印刷されたタイミングマークや印刷用紙の有無を検出するために用いられるマークセンサ327からの入力信号や、IrDA328、拡張コネクタ315との間の入出力信号などである。また、後述するようにプリンタコントローラ311からのモータ制御信号も入力される。
【0020】
EC307には、接続される各種デバイスのコントローラが組み込まれており、ボリュームUPキー334、ボリュームDOWNキー335、電源スイッチ336、リセットSW318からの入力信号を受けて制御を行う。また、バイブレータ337、LED317の制御を行う。
【0021】
LEDドライバ308はLCD329に内蔵されたLEDの照度を制御する。また、LCD329の上部にはタッチパネル330が配置され、タッチパネルコントローラ309を介してCPU301によって制御される。
【0022】
キーボード331には、各種の操作を行うテンキーや電源キー、ファンクションキーといった複数の操作キーが並べられている。また、LCD329のタッチパネル330も、操作キーとして機能する。
【0023】
ハンディターミナル100はeMMC302を備えており、ハンディターミナル100のオペレーティングシステム(OS)からは個別のドライブとして認識される。DDR SDRAM303は、一時的なデータを保持する。一方eMMC302は、ファームウェアやアプリケーション、ユーザデータ等を保持する。
【0024】
プリンタ332はモータとプリントヘッドにより構成され、それぞれがプリンタコントローラ311により制御される。本実施形態においては、ダイレクトサーマル方式のプリントヘッドによって構成され、プリントヘッドの発熱がプリンタコントローラ311によって制御される。プリンタコントローラ311がプリンタ332のモータを制御する信号(モータパルス)はFPGA312のモータ制御信号入力部にも接続されており、FPGA312ではモータの回転速度を検出することができる。
【0025】
オーディオコーデック310で変換された音声信号はスピーカ333から出力される。
【0026】
<処理手順>
図6は本発明の第1の実施形態における印刷用紙、タイミングマーク、マークセンサ327、プリントヘッド121、プラテンローラ122、用紙カッター123の位置関係を示す。この図に示すように、挿入口113に挿入された印刷用紙がプラテンローラ122の回転によって給紙される。給紙された印刷用紙に対し、マークセンサ327によって検出されたタイミングマークに基づいて印刷タイミングが決定され、プラテンローラ122との間で印刷用紙を挟持するプリントヘッド121によって印刷用紙への印刷が行われた後、排出口111から排紙される。ロール紙などの場合には用紙カッター123で排紙後の印刷用紙が裁断される。
【0027】
ここで、印刷用紙には、
図7に示されるようにあらかじめ裏面にプレ印刷としてタイミングマークが印刷され、表面が感熱紙となっており、印字機構のプリントヘッド121で加熱すると発色して印字される用紙となっている。
【0028】
図7は、
図6に示すタイミングマークの位置関係を平面上に表現した構成である。本印刷装置は、ロール状の連続用紙を使用することができ、図示していない搬送モータによりプラテンローラ122を回転して用紙を搬送する用紙搬送機構、マークセンサ327、プリントヘッド121を採用して用紙に印字を行う印字機構にて構成される。
【0029】
図4は、マークセンサ327がタイミングマークを検出してから、あらかじめ設定された時間が経過した後の検出結果によりタイミングマークの有無、または印刷用紙の有無を検出する、ハンディターミナルの制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【0030】
タイミングマークがプレ印刷された印刷用紙の初期状態は、印刷用紙がハンディターミナル100の挿入口113にセットされ、かつ、タイミングマークがマークセンサ327の検知位置に到達していない状態である。ここで、マークセンサ327は反射型のセンサであるので、用紙がある場合は白、すなわちHigh信号が、用紙がない又はタイミングマーク有の場合は黒、すなわちLow信号がFPGA312に入力されるように構成されている。以下の説明においては、Low信号が入力されることをセンサのオン(判定の結果であればYes)として説明することがある。
【0031】
印刷開始時に、まず、ステップS401においてマークセンサ327の出力を確認する。ここでマークセンサ327が黒を検知したときの検出値がFPGA312に入力されると、ステップS402にてFPGA312がプリンタコントローラ311に紙無し検知信号を出力する。
【0032】
ステップS401において、センサが黒を検知しない場合は、ステップS403でカウンタをリセットする。本実施例形態においては、このカウンタは後述するように時間のカウントに用いられる。
【0033】
ステップS403にてカウンタがリセットされるとステップS404~ステップS407の間の通常処理ループへ移行する。
【0034】
ステップ405にてセンサが黒を検知しない場合、ステップ406へ移行しモータパルスを検出できるかを判断する。ステップ406でモータパルスを検出し、印字中であると判断すればステップ407へ移行し、ステップ404からの通常処理ループを継続する。
【0035】
ステップ406でモータパルスを検出できない場合は、終了処理を行う。
【0036】
ステップ405においてセンサが黒を検知した場合には、ステップS408で、時間のカウントを開始し、カウンタがあらかじめ設定されたタイミングマークを通過する時間にマージンを追加した時間を上回るまでウエイトし、タイミングマークがマークセンサ327を通過するのを待つ。次に、ステップ409でセンサ検知を行う。
【0037】
ステップ409でセンサが黒を検知した場合、タイミングマーク(マージン込み)が通過した直後にまた黒を検知したということは紙無し(用紙切れ)による黒を検知していたと判断し、ステップ402に移行してFPGA312がプリンタコントローラ311に紙無し検知信号を出力する。
【0038】
ステップ409でセンサが黒を検知しない場合、ステップ410にてFPGA312がプリンタコントローラ311にマーク検知信号を出力する(
図7(b))。この場合、正常にタイミングマークが検知されたとして、印字が継続される。
【0039】
このように、本実施形態においては、搬送モータにより印刷用紙を搬送してから、S405でタイミングマークを検知するまでの間、S406の判定でモータパルスを利用することにより、印刷用紙が正しく搬送されているかどうかの判定を行っている。
【0040】
図5は、
図4で示した制御部のタイミングマークの有無、または印刷用紙の有無を検出する処理の結果を受けて処理を行うプリンタ制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS501にてプリンタコントローラ311がプリンタに内蔵するモータを回転させることにより用紙を搬送する。用紙が搬送されるとステップS502にてFPGA312からプリンタコントローラ311に通知される紙無し検知信号がイネーブルであるかディセーブルであるかを判断する。このディセーブル信号は
図4のS402で出力された信号に対応する(紙無し時は、紙無し検知信号イネーブル)。
【0042】
ステップS502において紙無し検知信号がディセーブルの場合、ステップS503にてFPGA312からプリンタコントローラ311に通知されるマーク検知信号がイネーブルであるかディセーブルであるかを判断する。このマーク検知信号は
図4のステップS410で出力された信号に対応する(マーク検知時は、マーク検知信号イネーブル)。
【0043】
ステップS503において、マーク検知信号がイネーブルである場合、ステップS504に移行し、プリンタコントローラ311はプリンタ332を制御して印刷を行う。次に、ステップS505ヘ移行し、プリンタコントローラ311はプリンタ332を制御して用紙搬送を停止する。
【0044】
ステップS502において紙無し検知信号がイネーブルの場合、ステップS506に移行し、プリンタコントローラ311はプリンタ332を制御して用紙搬送を停止する。次にステップS507へ移行し、プリンタコントローラ311はCPU301に紙無しエラーを出力して処理を終了する。
【0045】
ステップS503においてマーク検知信号がディセーブルの場合、ステップS508へ移行して、プリンタコントローラ311はプリンタ332を制御してあらかじめ決めた既定の距離だけ用紙を搬送する。これは、タイミングマークの無い用紙が挿入された場合に印刷できるようにする対処である。
【0046】
以上説明したように、本実施形態においては、プリンタコントローラ311からのプリンタ332の駆動信号(モータパルス)をFPGA312に入力することにより、印刷用紙のタイミングマークに対応した長さの分搬送した位置において紙無し検知を行うことができ、印刷された用紙の余白を一定にすることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態おけるハンディターミナルにおいて、タイミングマークの有無、または印刷用紙の有無を検出する制御部の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施形態の基本的な構成、制御については第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0048】
ここで、
図9に示すのは印刷用紙に印刷されているタイミングマークと閾値の関係である。印刷用紙の搬送方向(図の矢印)に対し、タイミングマーク先端から、第2の閾値(TH2)<タイミングマーク長さに対応したパルス数<第1の閾値(Th1)の大小関係となるように設定されている。次に
図8のフローチャートを説明する。
【0049】
まず、印刷開始時に、まず、ステップS801において、マークセンサ327の出力を確認する。ここで、マークセンサ327が黒を検知すると、ステップS802にてFPGA312がプリンタコントローラに紙無し検知信号を出力する。
【0050】
ステップS801において、センサが黒を検知しなかった場合は、ステップS803でカウンタをリセットする。
【0051】
ステップS803にてカウンタがリセットされるとステップS804~ステップS807の間の通常処理ループへ移行する。
【0052】
ステップS805にてセンサが黒を検知しない場合には、ステップS806へ移行しモータパルスを検出できるか判断する。
【0053】
ステップS806でモータパルスを検出できれば印刷中であるとしてステップS807へ移行し、ステップS804からの通常処理ループを継続する。ステップS806でモータパルスを検出できない場合は、終了処理を行う。
【0054】
一方、ステップS805においてセンサが黒を検知した場合(
図9(a)に対応)には、ステップS808でマーク検知処理ループに移行する。
【0055】
ステップS809においてセンサが黒を検知するとステップS810においてモータパルスを検知し、ステップS611においてカウンタを1加算する。
【0056】
ステップS812においてカウンタ値がTh1以上であればステップS802に移行してFPGA312がプリンタコントローラに紙無し検知信号を出力する。
【0057】
ステップS812においてカウンタ値がTH1に満たない場合は、ステップS813に移行する。
【0058】
ステップS813では印字が継続しているかを判別している。継続している場合はステップS814に移行してマーク検知処理ループを継続する。
【0059】
ステップS813にて印字が継続していない場合は、印刷処理を終了する。
【0060】
ステップS810にてモータパルスを検知しなければ、モータの回転は停止しているのでステップS812へ移行する。
【0061】
ステップS809においてセンサが黒を検知しなければ(
図9(b)に対応)、用紙有りなのでステップS815へ移行する。ここでカウンタ値がTh2未満であるかを判別して、TH2未満でなければステップS816に移行しマーク検知信号を出力して処理を終了する。ステップS815でカウンタ値がTH2未満であれば、ステップS806で印字中であるか判別する。これは、一時的にマークセンサ327で黒を検知したものの、ノイズ等を含め何らかの一時的な影響であり、タイミングマークでも紙無し検知する状態でもない場合に対応する。
【0062】
なお、以上説明した実施形態によれば、プリンタコントローラ311がプリンタ332のモータを制御する信号(モータパルス)の一部がFPGA312に入力される。具体的には翻字し形態においてはモータ制御信号を4つの信号線によって構成し、それぞれの信号線に対し順次駆動パルスを印加することでモータの駆動制御をしており、そのうちの1本の信号線をFPGA312に対しても入力することで、モータの駆動パルスの1/4の数のパルス信号によってモータによる印刷用紙の搬送距離(移動量)を算出することができる。
【0063】
すなわち、タイミングマークなのか用紙切れなのかを判定するための処理として、タイミングマークの先端が検知されてからの時間で行うよりも、実際に印刷用紙が搬送された搬送距離を正確に算出することができるため、タイミングマークの後端から検知位置までのマージンを短くすることができる。つまり、タイミングマークの検出期間を正確に判断できるため、印刷用紙の先端や後端にできる余白部分をより一定にすることが可能となる。
【0064】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る印刷装置について説明する。上記実施形態で説明したような印刷装置、特に可搬型の印刷装置(モバイルプリンタ)においては、次のような課題がある。
【0065】
すなわち、プリンタを携帯端末に搭載する際には、印加電圧に依存して変化する印字濃度の調整や、プリンタ駆動による電圧低下から端末のシステムを保護するためにバッテリや外部電源からの供給電圧を監視することが必要となる。モバイルプリンタに対して行う電圧の監視と動作制御には多くの手段があるが、その手段の一つとしてマイコンを用いてプリンタへの印加電圧の取得と諸々の動作制御を行うことがある。
【0066】
ここで、汎用的なプリンタに対する動作制御用マイコンを用いてプリンタを制御する場合、特定の製品向けにマイコンの制御内容を調整できず、そのままだと、各種制御機能が製品仕様、特に電池特性に対して不適切な設定になってしまっていることも多い。
【0067】
一例として、電池電圧を供給されて駆動するプリンタユニットと、プリンタに供給される電圧を検出して制御を行う制御用マイコンを挙げる。この構成では、制御用マイコンに対して既存の内容から調整を行うことができない場合、使用している電池の放電特性に合わず、システム保護用の停止機能が働くための電圧検出閾値(システム保護電圧)が、電池の放電終止電圧未満となっていることがある。この場合、電池電圧が制御用マイコンのシステム保護電圧に到達する前に放電終止電圧に到達し、電池の出力が不安定に停止するため、プリンタ回路が不正な終了によって破損する恐れがある。
【0068】
これを解決するために、本実施形態では電圧検出に基づく動作制御を行う汎用マイコンに対して、システム保護用の制御設定を、外部回路のみで変更することを目的とする。
【0069】
本実施形態に係る印刷装置は、上記問題を解決するために、電池によって駆動するモバイルプリンタの制御に使用される汎用的なマイコンについて、供給されている電圧値を検知する電圧検知部と、上記プリンタに供給される上記電池の電圧を検知する電圧検知部と、上記マイコンへの入力電圧を低下させる切替部とを備える。
【0070】
また、上記マイコンは印加される上記入力電圧を検出する機能と、システム保護用の第1閾値電圧以下の上記入力電圧を検出したときに上記プリンタの動作を停止させる機能とを有し、上記第1閾値電圧は、上記電池の放電終止電圧以下であり、上記切替部は上記電圧検知部で検出される電圧が、上記放電終止電圧よりも大きい第2閾値電圧を下回ったことに基づいて、上記マイコンへ認可される上記入力電圧を上記第1閾値電圧以下まで低下させることを特徴とする。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、電池を主電源とするモバイルプリンタについて、検出電圧を元に動作制御を行う制御用の汎用マイコンを用いた場合であっても、容易にシステム保護を構成することが可能となる。
【0072】
以下、本実施形態について、図面に基づいて説明する。図中、同じ符号は各図を通して共通である。ただし、以下の実施形態は本発明の技術思想を具現化するための装置を例示するものであって、本発明は電気回路装置を以下のものに特定しない。
【0073】
図10は本発明を適用可能な携帯端末である印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10の例において印刷装置201は電池11によって駆動し、プリンタ回路202と、ユーザが状態を把握するための表示部17と、印刷装置201を操作するための入力部18と、外部システムと通信するための外部通信制御部20を備える。
【0074】
プリンタ回路202は、印刷装置201が備える印刷機能の制御や紙の搬送を行う搬送モータの駆動制御、印刷を行う印刷ヘッドを制御することによる印字制御をCPU203からの通信内容を元に実行する。CPU203は印刷装置全体の制御を行う制御装置であり、フラッシュメモリ15などに記憶されているプログラムの実行を行う。システムバス13はCPU203から各周辺モジュール間のデータアクセスに用いられる。RAM14はCPUが実行するプログラムやデータなどが適宜一時的に記憶される。フラッシュメモリ15はCPU203が実行するプログラム、データ、及びOSが保存される。フラッシュメモリ15はハードディスクドライブ(HDD)など他の不揮発性の記憶媒体でも構わない。
【0075】
電池11は印刷装置201に内蔵されている主電源であり、電源制御部12とプリンタ回路202へ電力供給を行う。プリンタ回路202への電力供給については、電力供給に支障がなければ電源制御部12を介しても構わない。
【0076】
電源制御部12は電池11から供給された電力について、電圧変換や省電力制御を行い、各回路上で必要とされる仕様の電力供給をおこなう。
【0077】
外部出力制御部16は表示部17の制御を行っており、表示部17ではLCD(Liquid Crystal Display)やスピーカなどのモジュールを用いて、ユーザが必要とする各種情報を表示している。
【0078】
入力部18は、テンキーやファンクションキー、タッチパネルにより構成され、ユーザが印刷装置201を操作するための操作入力を受け付ける。外部入力制御19は入力部18で操作されたデバイスからの信号により制御を行う。
【0079】
外部通信制御部20は、無線LANやBluetoothによる無線通信機能やUSBによる有線通信機能を備える。外部通信制御部20により、印刷装置201は外部システムと通信し、取得したプログラムやデータをフラッシュメモリ15に記憶することができる。
【0080】
図11は本実施形態に係る印刷装置のプリンタ回路202におけるプリンタユニット205の電源回路構成図の構成図である。
図2において、プリンタ機能を備えた印刷装置201は印刷制御および実行が可能なプリンタ回路202と少なくとも印刷装置全体の処理に用いるCPU203により構成される。
【0081】
プリンタ回路202は、電池電圧Vinの入力電源204、プリンタユニット205、制御用マイコン206、制御用マイコンが検知する電圧を調整するための抵抗207、切替部208(スイッチングデバイス)、電圧検知部209を少なくとも備えている。
【0082】
CPU203は、印刷装置201に関する演算を行っており、印刷装置201で印刷動作を実行する際には制御用マイコン206と通信を行い、印刷動作を開始させる。
【0083】
入力電源204は、印刷装置201に装着され主電源となる電池からの電源ラインであり、プリンタユニット205に供給され、その駆動に用いられている。
【0084】
プリンタユニット205は、用紙に対する搬送、印字を実行するユニット部分であり、本実施形態においてはダイレクトサーマル方式のプリンタで構成され、制御用マイコン206に対しては自身の発熱や搬送速度といった動作情報を伝えている。
【0085】
制御用マイコン206は、プリンタ回路202を制御するためのマイコンである。CPU203との通信により印字を開始し、プリンタユニット205の制御を行う。また、制御用マイコンの検出電圧V1が検出閾値Vth1未満になると、プリンタ回路202の動作を停止させることで電圧低下を防ぎシステム保護を図る機能を有する。
【0086】
抵抗207は、入力電源204と制御用マイコン206を接続するライン上に設けられている。抵抗207は切替部208がON状態となり切替部208に電流が流れているとき、入力電源204の電池電圧Vinが降下しないように十分大きな値で設定される。また、後述するように、抵抗207によって切替部208がON状態になったときに制御用マイコン206の検出電圧V1がVth下回る値に設定されている。ただし、切替部208がOFF状態である時、漏れ電流によって抵抗207の両端にかかる電位差が十分無視できる程度の値である。
【0087】
切替部208は、電圧検知部209によってスイッチング制御されている。本実施形態においては、FETで構成され、そのゲート端子に電圧検知部209の出力が入力される。切替部208がON状態であるとき、制御用マイコン206の検出電圧V1は必ずV1<Vth1となるまで低下する。また、切替部208がOFF状態である場合、V1=Vin>Vth1が検出される。
図11においては、切替部208の一例としてFETによって示しているが、実際は他のスイッチングデバイスを用いてもよい。
【0088】
電圧検知部209は、電池電圧Vinを監視しており、回路保護を行う電圧として設定されたプリンタ動作下限の電圧閾値Vth2を下回ったことを検出する。この電圧閾値Vth2は検出閾値Vth1より必ず大きな値が設定される。電池電圧Vinが電圧閾値Vth2以上であれば、電圧検知部209は切替部208がOFF状態になる信号を出力するように構成されている。この時、制御用マイコン206ではV1=Vin≧Vth2>Vth1となる電圧が入力されている。また、電池電圧Vinが電圧閾値Vth2未満となれば、電圧検知部209は切替部208がON状態になるように信号を出力することにより、V1<Vth1となることが制御用マイコン206で検出されるため、システム保護のためにプリンタ回路は停止する。
【0089】
図12は本実施形態における制御用マイコン206の制御フローチャートである。プリンタ動作についてはCPU203から制御用マイコン206に対して印刷指示が行われることで開始される。このとき、入力電源204からプリンタ回路202の間にスイッチング素子を接続して、CPU203からの制御信号によりスイッチング素子をON状態とすることで電源供給の制御を行っても構わない。
【0090】
印刷動作が開始されると、電圧検知部209で電池電圧Vinが検出される。ステップS21では、電池電圧Vinと電圧閾値Vth2とを比較して状態遷移する。
【0091】
Vin>Vth2の時(ステップS21でYes)、切替部208はOFF状態を維持し、制御用マイコン206で検出される電圧V1がVinと等しくなる。このときV1=Vin≧Vth2>Vth1であるため、制御用マイコン206で検出される電圧V1は検出閾値Vth1を超えており、プリンタユニット205に入力される電圧と同等の値となる(ステップS22)。
【0092】
ステップS23では制御用マイコン206からプリンタユニット205に対して正規のプリンタ動作を実行する。CPU203から受けた印刷指示が完了したのち、プリンタ回路202を停止させ、終了する。
【0093】
一方で、ステップS21においてVin<Vth2であった場合(S21でNo)は、ステップS31で切替部208がON状態に遷移し、V1がVth1未満の値に降下する。ただし、Vinに対する電圧降下は無視できる程度である。
【0094】
切替部208によってV1<Vth1となったことで、制御用マイコンはプリンタユニット205への供給電圧が不足しているものと判断する(ステップS32)。
【0095】
制御用マイコン206はシステム保護のためにプリンタ回路202に対して停止処理を実行する。これによってCPU203から受けた印刷指示は破棄され、プリンタ回路202を停止させて終了する(ステップS33)。
【0096】
以上説明した本実施形態に関する印刷装置をまとめると、下記のとおりとなる。
【0097】
(付記1)
電池からの供給電力で動作するプリンタと、上記プリンタの制御用に使用される汎用的なマイコンと、上記プリンタに供給される上記電池の電圧を検知する電圧検知部と、上記マイコンへの入力電圧を低下させる切替部とを備える印刷装置。
【0098】
(付記2)
上記マイコンは印加される上記入力電圧を検出する機能と、システム保護用の第1閾値電圧以下の上記入力電圧を検出したときに上記プリンタの動作を停止させる機能とを有し、上記第1閾値電圧は、上記電池の放電終止電圧以下であり、上記切替部は上記電圧検知部で検出される電圧が、上記放電終止電圧よりも大きい第2閾値電圧を下回ったことに基づいて、上記マイコンへ認可される上記入力電圧を上記第1閾値電圧以下まで低下させることを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0099】
以上、本発明の実施形態に係る発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に記載の構造に限るものではなく、種々の変更が可能である。