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  • 特開-遮音構造及び遮音構造の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131306
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】遮音構造及び遮音構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/43 20060101AFI20230914BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20230914BHJP
   E04B 1/82 20060101ALI20230914BHJP
   E04B 1/98 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
E04B5/43 H
E04F15/18 601A
E04B1/82 J
E04B1/98 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035977
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】593207787
【氏名又は名称】ツカ・カナモノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】針谷 義昭
(72)【発明者】
【氏名】小島 好徳
【テーマコード(参考)】
2E001
2E220
【Fターム(参考)】
2E001DF02
2E001EA10
2E001FA13
2E001GA11
2E001HD11
2E001HE01
2E001HE03
2E220AA19
2E220AB22
2E220AC03
2E220CA05
2E220CA12
2E220DB12
2E220EA11
2E220GA22Z
2E220GB32Z
2E220GB39Z
2E220GB40Z
(57)【要約】
【課題】 木造枠組壁工法の建物において、上階から下階への生活音の伝播を施工手間をかけずに低減することができる遮音構造を提供する。
【解決手段】遮音構造1は、住宅Hの上階H1から下階H2への音の伝播を低減するための構造であって、水平方向へ延び、上階の床Fを構成する長尺な根太材2と、根太材2の上に設置され、床仕上げ材31の下地となる板状の床下地材3と、根太材2の上面2aに固定され、2根太材と床下地材3との間に介在するパッキン材4と、を備え、パッキン材4は、根太材2の上面2aに固定される固定部41と、固定部41の上面41aから上方へ突出する複数の突起部42と、を有し、複数の突起部42は、根太材2の長手方向へ沿って互いに間隔を開けて形成されることにより、根太材2と、床下地材3との間に隙間7を形成する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の上階から下階への音の伝播を低減するための遮音構造であって、
水平方向へ延び、上階の床を構成する長尺な根太材と、
前記根太材の上に設置され、床仕上げ材の下地となる板状の床下地材と、
前記根太材の上面に固定され、前記根太材と前記床下地材との間に介在するパッキン材と、を備え、
前記パッキン材は、前記根太材の上面に固定される固定部と、当該固定部の上面から上方へ突出する複数の突起部と、を有し、
前記複数の突起部は、前記根太材の長手方向へ沿って互いに間隔を開けて形成されることにより、前記根太材と、前記床下地材との間に隙間を形成することを特徴とする遮音構造。
【請求項2】
前記根太材は、水平方向へ間隔をあけるとともに、互いに短手方向の側面を相対向させて配設される複数の床根太と、当該複数の床根太の長手方向の側面に固定される端根太と、最も屋外側に位置する前記床根太の短手方向且つ、屋外側の側面に固定される側根太と、前記複数の床根太間に配設され、前記端根太に当接する転び止め根太と、前記複数の床根太間に配設され、前記床下地材を固定する中間根太と、を有し、
前記パッキン材は、前記複数の床根太、前記端根太、前記側根太、前記転び止め根太、及び中間根太それぞれの上部に設置されることを特徴とする請求項1に記載の遮音構造。
【請求項3】
前記端根太及び前記側根太の屋外側には、外壁仕上げ材が設置され、
前記隙間は、前記端根太と前記外壁仕上げ材との間、及び前記側根太と前記外壁仕上げ材との間に形成される通気層と連通することを特徴とする請求項2に記載の遮音構造。
【請求項4】
前記固定部は、前記根太材の長手方向へ沿って延びる帯状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の遮音構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の遮音構造の施工方法であって、
前記固定部を前記根太材の上面に固定した後、
前記根太材を下階の頭つなぎ材の上に固定し、
前記複数の突起部の上に前記床下地材を設置することを特徴とする遮音構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上階から下階への衝撃音の伝播を低減するための遮音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
木造枠組壁工法で建てられたモノコック構造の住宅は、耐震性や気密性が高い一方、上階から下階へ伝達される生活音の低減が課題となっている。これは、上階の生活音や、住宅に水平力が作用した際に生じる軋み音が、振動伝播音として下階へ伝わってしまうことの他に、上階の床と下階の天井との間に形成された閉鎖空間内で反響、増幅して所謂太鼓現象を起こすことが要因であり、従来より、床や天井の遮音性を向上させる発明が提案されている(例えば、特許文献1から特許文献3)。
【0003】
特許文献1の発明には、床下地材と床仕上げ材との間に、粘弾性材料からなる弾性体を配置することで、上階の床の防振性を向上させる床構造について記載されており、床仕上げ材の基材を軽量気泡コンクリートパネルや減衰シートにすることによって、より効果的に生活音の伝達を防止する旨が開示されている。
【0004】
また、特許文献2及び特許文献3などで知られる天井構造は、上階の床を構成する根太材とは別に、下階の天井を支持するための天井根太材を架け渡し、下階の天井を上階の床から独立させることで振動の伝播経路を効果的に遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-105253号公報
【特許文献2】特開2018-27238号公報
【特許文献3】特開2014-37751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の床構造は、施工現場において弾性体を設置する際に、弾性体の位置を微調整しなければならず、一般的な床構造と比較して施工手間がかかる。また特許文献2及び特許文献3に記載の天井構造においても、通常の構造材とは別に天井根太材を施工現場で架設しなければならず、容易に遮音性を向上させることができないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は上述した課題を鑑みてなされたものであって、木造枠組壁工法の建物において、上階から下階への生活音の伝播を施工手間をかけずに低減することができる遮音構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の遮音構造は、建物の上階から下階への音の伝播を低減するための遮音構造であって、水平方向へ延び、上階の床を構成する長尺な根太材と、前記根太材の上に設置され、床仕上げ材の下地となる板状の床下地材と、前記根太材の上面に固定され、前記根太材と前記床下地材との間に介在するパッキン材と、を備え、前記パッキン材は、前記根太材の上面に固定される固定部と、当該固定部の上面から上方へ突出する複数の突起部と、を有し、前記複数の突起部は、前記根太材の長手方向へ沿って互いに間隔を開けて形成されることにより、前記根太材と、前記床下地材との間に隙間を形成することを特徴としている。
【0009】
本発明の第2の遮音構造は、前記根太材が、水平方向へ間隔をあけるとともに、互いに短手方向の側面を相対向させて配設される複数の床根太と、当該複数の床根太の長手方向の側面に固定される端根太と、最も屋外側に位置する前記床根太の短手方向且つ、屋外側の側面に固定される側根太と、前記複数の床根太間に配設され、前記端根太に当接する転び止め根太と、前記複数の床根太間に配設され、前記床下地材を固定する中間根太と、を有し、前記パッキン材は、前記複数の床根太、前記端根太、前記側根太、前記転び止め根太、及び中間根太それぞれの上部に設置されることを特徴としている。
【0010】
本発明の第3の遮音構造は、前記端根太及び前記側根太の屋外側には、外壁仕上げ材が設置され、前記隙間が、前記端根太と前記外壁仕上げ材との間、及び前記側根太と前記外壁仕上げ材との間に形成される通気層と連通することを特徴としている。
【0011】
本発明の第4の遮音構造は、前記固定部が、前記根太材の長手方向へ沿って延びる帯状であることを特徴としている。
【0012】
本発明の第1の遮音構造の施工方法は、第1から第4のいずれかに記載の遮音構造の施工方法であって、前記固定部を前記根太材の上面に固定した後、前記根太材を下階の頭つなぎ材の上に固定し、前記複数の突起部の上に前記床下地材を設置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の遮音構造によると、上階の床を構成する根太材と床下地材との間にパッキン材を介在させるので、パッキン材が床仕上げ材上で起きた衝撃音を直接吸収するとともに、根太材への固体振動伝播音を減衰し、下階へ伝達される上階からの生活音を低減することができる。また、パッキン材の複数の突起部が、根太材の長手方向へ沿って間隔を開けて形成されることにより、根太材と床下地材との間に隙間を形成するので、床仕上げ材上で起きた衝撃音を隙間を通じて隣接する空間へ逃がすことができ、天井懐を深くした場合と同じように下階へ伝わる空気伝播音を低減して太鼓現象を極小化することができる。
【0014】
本発明の第2の遮音構造によると、パッキン材は、複数の床根太だけでなく、端根太、側根太、転び止め根太及び中間根太それぞれの上部に設置されるので、建物に水平力が作用した場合に、重要耐力を担う上階の壁枠材と床下地材との接合部付近で生じる軋み音の下階への伝達を効果的に減衰することができる。
【0015】
本発明の第3の遮音構造によると、根太材と床下地材との間に形成される隙間は、端根太と外壁仕上げ材との間、及び側根太と外壁仕上げ材との間に形成される通気層と連通するので、床仕上げ材上で起きた衝撃音を隙間から通気層へ逃がすことができ、振動伝播音や太鼓現象によって生じる騒音をより効果的に減衰することができる。
【0016】
本発明の第4の遮音構造によると、固定部が、根太材の長手方向へ沿って延びる帯状であるため、パッキン材を根太材に固定する際に、複数の突起部の配置を微調整することなく容易にパッキン材を固定することができ、施工性を向上させることができる。
【0017】
本発明の第1の遮音構造の施工方法によると、パッキン材の固定部を根太材の上面に固定した後、根太材を下階の頭つなぎ材の上に固定するので、施工現場における建て方工事を通常通りの工程でスムーズに行うことができ、施工手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】遮音構造を示す部分省略断面図。
図2】根太材を示す斜視図。
図3】パッキン材を示す平面図及び断面図。
図4】パッキン材の別の形態を示す平面図及び断面図。
図5図1のA-A線水平断面図。
図6】パッキン材を根太材に固定する状況を示す斜視図。
図7】床根太を頭つなぎ材に設置した状態を示す斜視図。
図8】根太材を頭つなぎ材に設置した状態を示す斜視図。
図9】床下地材を根太材の上に設置した状態を示す斜視図。
図10】上階の壁枠材及び床仕上げ材を設置した状態を示す斜視図。
図11図1のX部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の遮音構造の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本願の遮音構造は、主に木造枠組壁工法を用いてモノコック構造の2階建住宅を建設する際に使用されるが、2以上の階を有する木造建物や他の工法を使用する木造建物に用いてもよい。ここでは、木造枠組壁工法の2階建住宅に用いる場合について説明する。なお、本発明における「建物」は、本実施形態においては「住宅H」が相当する。また、図中において、部材同士を固定する釘やステーブルなどの固定具は記載を省略する。
【0020】
図1に示すように、遮音構造1は、住宅Hの上階H1から下階H2への音の伝播を低減するための構造であって、水平方向へ延び、上階の床Fを構成する長尺な根太材2と、根太材2の上に設置され、床仕上げ材31の下地となる板状の床下地材3と、根太材2の上面2aに固定され、根太材2と床下地材3との間に介在するパッキン材4と、を備えている。
【0021】
図示するように、上階の床Fは、下階の頭つなぎ材6を介して下階の壁枠材5の上に設置される。根太材2は、図2に示すように、水平方向へ間隔をあけるとともに、互いに短手方向の側面21aを相対向させて配設される複数の床根太21と、当該複数の床根太21の長手方向の側面21bに固定される端根太22と、複数の床根太21のうち、最も屋外側(外壁側)に位置する床根太21の短手方向且つ屋外側(外壁側)の側面21cに固定される側根太23と、複数の床根太21間に配設される転び止め根太24、及び中間根太25を有している。図1に示す床根太21は、互いに相対向する一対の下階の壁枠材5上に架け渡される部材であり、長手方向の端部を、図7に示すように、それぞれ下階の頭つなぎ材6の上面6aの幅半分まで載置される。また端根太22及び側根太23は、最も屋外側(外壁側)に配置される根太材2であり、それぞれ、頭つなぎ材6の上面6aのうち、各床根太21の縁端から屋外側(外壁側)へ突出した部分に載置される。一方、図1及び図8に示す転び止め根太24は、端根太22に当接するように隣り合う床根太21間へ配設され、中間根太25は、隣り合う床根太21間且つ、床下地材3の縁端部が位置する部位に固定される。
【0022】
各根太材2は、それぞれ幅35mm~40mm程度、高さ230mm~290mm程度で構成されており、床根太21は、隣接する床根太21との中心間距離が455mm程度又は303mm程度となるように配置される。また図9に示す床下地材3は、パッキン材4を介して根太材2の上に配置される板状部材であり、厚さ12mm~15mm程度の構造用合板で構成され、板の長手方向が床根太21の長手方向と直交するように根太材2の上全体に配置される。
【0023】
図3及び図6に示すパッキン材4は、上階H1で生じた衝撃音が下階H2への伝達することを抑制するための部材であり、各根太材2の上面2aに固定される固定部41と、当該固定部41の上面41aから上方へ突出する複数の突起部42と、を有している。固定部41は、各根太材2の長手方向へ沿って延びる帯状の部材であり、厚さを1mm~2mm程度、幅を各根太材2に合わせて35mm~40mm程度とすることが望ましい。
【0024】
複数の突起部42は、固定部41及び各根太材2の長手方向へ沿って互いに間隔を開けて形成されることにより、図11に示すように、各根太材2と、床下地材3との間に隙間7を形成することができる。突起部42の高さは5mm~10mm程度であり、この程度の高さであれば各根太材2と床下地材3との間に十分な隙間7を形成することができる。また突起部42の平面視形状は、根太材2と床下地材3との間に隙間7を形成することが可能であれば特に限定されないが、図3等に示す略矩形状とすることが好ましく、また図4に示す円形状としてもよい。なお突起部42の平面視形状を略矩形状とした場合は、一辺を25mm~30mm程度、突起部42の平面視形状を円形とした場合は、直径を30mm程度とすることが望ましい。また隣り合う突起部42同士の離間距離Lは、各突起部42を平面視略矩形状とした場合は10mm~15mm程度とすることが好ましく、各突起部42を平面視円形状とした場合は40mm~45mm程度とすることが好ましい。また、パッキン材4の材質は特に限定されないが、遮音性及び防振性に優れたアスファルトプレート、免震ゴム、及びプラスチック素材等とすることが望ましく、好適には弾性不織布とアスファルトプレートとを積層した不織布・アスファルト積層体を使用することができる。
【0025】
図1及び図5に示す下階の壁枠材5は、外壁仕上げ材8を支持する枠状部材であり、水平方向へ延び、建物基礎10に固定される第1下枠材51と、水平方向へ互いに間隔を開けて配置され、第1下枠材51の上に立設する複数の第1縦材52と、水平方向へ延び、複数の第1縦材52の上に固定される第1上枠材53と、からなり、第1上枠材53の上に下階の頭つなぎ材6が設置される。また図1及び図10に示すように、床下地材3の上には、下階の壁枠材5と同様に、外壁仕上げ材8を支持する上階の壁枠材9が設置される。上階の壁枠材9は、水平方向へ延び、床下地材3に固定される第2下枠材91と、水平方向へ互いに間隔を開けて配置され、第2下枠材91の上に立設する複数の第2縦材92と、水平方向へ延び、複数の第2縦材92の上に固定される第2上枠材93と、によって構成される。下階の壁枠材5及び上階の壁枠材9の屋外側(外壁側)には、構造用合板などの壁下地材81、透湿防水シート82、垂直方向へ延びる胴縁83、及び外壁仕上げ材8が順に設置される。なお図5及び図10に示すように、胴縁83は、水平方向へ間隔を開けて複数配置されるため、透湿防水シート82と外壁仕上げ材8との間には通気層84が形成される。
【0026】
次に、遮音構造1の施工方法について説明する。図1に示すように、下階H2には、予め一対の壁枠材5が、互いに相対向するように建物基礎10上に設置されており、上枠材53の上には頭つなぎ材6が固定されている。まず、図6に示すように、パッキン材4の固定部41を各根太材2のそれぞれの上面2aに載置し、固定部41にタッカーでステーブルを打ち込み固定する。このパッキン材4の各根太材2への取付けは、材料取り工程で予め行うことが望ましく、そうすることによって、施工現場における建て方工事をスムーズに行うことができ、施工性を向上させることができる。
【0027】
そして、図7に示すように、複数の床根太21を互いに短手方向の側面21aを相対向させた状態で水平方向へ間隔をあけて頭つなぎ材6の上に架け渡す。そして、各床根太21の長手方向の端部を、各々頭つなぎ材6の上面6aの幅半分まで載置して釘で固定する。次に、複数の床根太21の長手方向の側面21bに端根太22を固定するとともに、最も屋外側(外壁側)に位置する床根太21の短手方向且つ屋外側(外壁側)の側面21cに側根太23を固定し、釘を斜め打ちして頭つなぎ材6に固定する。そして図8に示すように、転び止め根太24を端根太22に当接するように隣り合う床根太21間へ配設して釘で頭つなぎ材6に固定し、中間根太25を所定位置に配設して釘で床根太21に固定する。
【0028】
続いて、図9に示すように、床下地材3をパッキン材4の上に配置するとともに、パッキン材4を介して床下地材3を各根太材2に釘で固定し、遮音構造1を完成させる。そして、図1及び10に示すように、床下地材3の上に上階の壁枠材9、緩衝材32、床仕上げ材31を設置して上階の床Fを形成するとともに、下階の壁枠材5及び上階の壁枠材9の屋外側(外壁側)に、壁下地材81、透湿防水シート82、胴縁83、及び外壁仕上げ材8を順に設置し、外壁Wを完成させる。なおこのとき、図11に示すように、壁下地材81及び透湿防水シート82は、パッキン材4が通気層84に面するように位置を調整して設置される。またこの後、床根太21の下部には天井材が設置され、下階の天井(図示せず)が形成される。
【0029】
図1及び図11に示すように、遮音構造1は、各根太材2と床下地材3との間にパッキン材4を介在させるので、パッキン材4が床仕上げ材31上で起きた衝撃音を直接吸収するとともに、各根太材2への固体伝播音を減衰し、下階H2へ伝達される衝撃音を効果的に低減することができる。また、各根太材2と床下地材3との間にはパッキン材4によって隙間7が形成されるため、この隙間7を通じて隣り合う各根太材2の間に空気の通り道を形成することができる。そのため、上階H1で衝撃音が起きた際に、隙間7を通じて空気の流れを隣接するスペースへ逃がすことができ、天井懐を深くした場合と同じように下階H2へ伝わる空気伝播音を低減して太鼓現象を極小化することができる。さらにパッキン材4は、複数の床根太21だけでなく、端根太22、側根太23、転び止め根太24、及び中間根太25それぞれに設置されるので、住宅Hに水平力が作用した場合、重要耐力を担う第2下枠材91と床下地材3との接合部付近で生じる軋み音の下階H2への伝達を効果的に減衰することができる。
【0030】
また、端根太22と床下地材3との間に形成される隙間7、及び側根太23と床下地材3との間に形成される隙間7は、外壁Wに形成される通気層84と連通することになるので、床仕上げ材31上で起きた衝撃音を隙間7を通じて通気層84へ逃がすことができ、振動伝播音や太鼓現象によって生じる騒音をより効果的に減衰することができる。すなわち、近年わが国で一般的に用いられている壁体内通気工法を利用することで、より効果的な遮音構造を構築することが可能となる。
【0031】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る遮音構造は、2以上の階を有する木造枠組壁工法の建物を建設する場合に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 遮音構造
2 根太材
2a 根太材の上面
21 床根太
21a 床根太の短手方向の側面
21b 床根太の長手方向の側面
21c 床根太の短手方向且つ屋外側の側面
21d 床根太の長手方向の端部
22 端根太
23 側根太
24 転び止め根太
25 中間根太
3 床下地材
31 床仕上げ材
4 パッキン材
41 固定部
41a 固定部の上面
42 突起部
5 下階の壁下地材
6 下階の頭つなぎ材
7 隙間
8 外壁仕上げ材
84 通気層
H 住宅
F 上階の床
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11