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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023131416
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】液体用包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/60 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B65D75/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036166
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横山 吏世
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB28
3E067BA13A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB07
3E067EB10
3E067EB25
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】プラスチックフィルムを基材とする液体用包装袋において、包装袋の一部を切り裂いて開封し、内容物を注ぎ出す際に、内容物が予期せず飛び出すことを防止することが可能な、液体用包装袋の提供を課題とする。
【解決手段】包装袋は、積層体と積層体の間に、液体を内容物として収納、密封可能であって、周縁部のシールで囲まれた内側の領域には、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とを有しており、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とは、周縁部から連続するシールで仕切られており、周縁部、及び仕切りのシールのシール強度は、シール強度>6.0N/15mm、であり、弱シール部のシール強度は、5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm、の範囲であることを特徴とする、液体用包装袋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を収納可能な液体用包装袋であって、
包装袋は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する2枚の積層体を、シーラント層同士を対向させて重ね、周縁部をシールして製袋されており、
包装袋は、前記積層体と積層体の間に、液体を内容物として収納、密封可能であって、
前記周縁部のシールで囲まれた内側の領域には、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とを有しており、
内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とは、周縁部から連続するシールで仕切られており、
かつこの仕切りのシールの一部に、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とを連通可能な、流路予定部が設けられており、
この流路予定部は、シール強度が周縁及び仕切りのシールに比べて弱い、弱シール部でシールして封じられており、
前記周縁部、及び仕切りのシールのシール強度は
シール強度>6.0N/15mm
であり、
前記弱シール部のシール強度は、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲であり、
開封は包装袋を、エアーを充填した空間に近い端部から切り裂いて開口部を形成し、エアーを充填した空間を外部と連通させ、
続いて、内容物の液体を収納可能な空間側から加圧して、この時の液圧によって前記弱シール部を剥離させて流路予定部に流路を形成し、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とをこの流路で連通させ、
さらに内容物の液体を包装袋の外側から加圧することによって、収納された内容物の液体を、形成した前記流路及びエアーを充填した空間を経由して、包装袋の端部から切り裂いて形成した、前記開口部から注ぎ出すことが可能であることを特徴とする、液体用包装袋。
【請求項2】
前記開口部と、前記流路は、エアーを充填した空間の、両端に距離をとって設けてあることを特徴とする、請求項1に記載の液体用包装袋
【請求項3】
前記液体用包装袋は、それを構成する積層体中に、ガスバリア層を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の液体用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に係るものである。特にプラスチックフィルムを基材として構成され、包装袋の一部分を切り裂くなどして開封し、開封して設けた開口部から内容物の液体を安定して注ぎ出すことが可能な、液体用包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装袋は、プラスチックフィルムを基材とする単体または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、人々が現代生活を営む上で不可欠なものとなっている。
【0003】
たとえば包装袋が液体容器として用いられる場合には、飲料のほかレトルト食品などの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。このように食品や飲料分野に限らず、液体容器として、様々な用途展開がなされている。
【0004】
プラスチックフィルムを基材としてなる包装袋の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、要求品質によってきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前及び流通や保管においても、軽量で省スペースであることが挙げられる。またこのような包装袋は、廃棄物を減らすという観点からは環境適応型であるといえる。
【0005】
すなわち、液体容器のもうひとつの形態として、ガラス瓶やプラスチックボトルがあって、たとえば洗剤やシャンプーなどのトイレタリー分野では一般的に用いられている。しかしながら、昨今の環境問題への意識の高まりを背景として、内容物を取り出した跡の廃棄や焼却について問題が提起されている。
【0006】
また包装袋の、外側から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップや差別化を図ることができ、内容物に関しての必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通やマーケティング情報の源泉ともなっている。
【0007】
たとえばシャンプーなどの詰め替え用包装袋を例にとって見ると、プラスチックフィルムを基材としてなる包装袋であって、矩形の包装袋のひとつのコーナー部分に注ぎ出しのための開口部が設けられており、注ぎ口を引き裂くなどして開封し、内容物を注ぎ出す方式のものは、その簡便性ゆえに広く用いられている。
【0008】
しかしながら、包装袋の引き裂きと、内容物の注ぎ出し作業は、相当の注意を払う必要がある作業であり、また相次いで行われるために、引き裂いた瞬間に内容物の液体が飛び出してしまい、手指や周囲への汚染などを引き起こす恐れがあった。
【0009】
特許文献1には、内容物が充填される部分と注ぎ出しの流路を隔てる区画シール部を設けて内容物の飛び出しを防止する提案がなされているが、この場合においても、引き裂きによって開封した後、区画シール部を弱シール部として液圧によって破壊して2段階に分けて流路を形成しようとするものであるが、区画シール部の剥離による内容物の飛び出しの恐れは依然として残ったままで、液漏れや内容物の飛び出しといった問題の解決とは言えないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6352728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、プラスチックフィルムを基材とする液体用包装袋において、包装袋の一部を切り裂いて開封し、内容物を注ぎ出す際に、内容物が予期せず飛び出すことを防止することが可能な、液体用包装袋の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
内部に液体を収納可能な液体用包装袋であって、
包装袋は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する2枚の積層体を、シーラント層同士を対向させて重ね、周縁部をシールして製袋されており、
包装袋は、前記積層体と積層体の間に、液体を内容物として収納、密封可能であって、
前記周縁部のシールで囲まれた内側の領域には、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とを有しており、
内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とは、周縁部から連続するシールで仕切られており、
かつこの仕切りのシールの一部に、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とを連通可能な、流路予定部が設けられており、
この流路予定部は、シール強度が周縁及び仕切りのシールに比べて弱い、弱シール部でシールして封じられており、
前記周縁部、及び仕切りのシールのシール強度は
シール強度>6.0N/15mm
であり、
前記弱シール部のシール強度は、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲であり、
開封は包装袋を、エアーを充填した空間に近い端部から切り裂いて開口部を形成し、エアーを充填した空間を外部と連通させ、
続いて、内容物の液体を収納可能な空間側から加圧して、この時の液圧によって前記弱シール部を剥離させて流路予定部に流路を形成し、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とをこの流路で連通させ、
さらに内容物の液体を包装袋の外側から加圧することによって、収納された内容物の液体を、形成した前記流路及びエアーを充填した空間を経由して、包装袋の端部から切り裂いて形成した、前記開口部から注ぎ出すことが可能であることを特徴とする、液体用包装袋である。
【0013】
また、請求項2に記載に発明は、
前記開口部と、前記流路は、エアーを充填した空間の、両端に距離をとって設けてあることを特徴とする、請求項1に記載の液体用包装袋である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、
前記液体用包装袋は、それを構成する積層体中に、ガスバリア層を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の液体用包装袋である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プラスチックフィルムを基材とする液体用包装袋において、包装袋の
一部を切り裂いて開封し、内容物を注ぎ出す際に、内容物が予期せず飛び出すことを防止することが可能な、液体用包装袋の提供が可能である。
【0016】
開封は包装袋を、エアーを充填した空間に近い端部から切り裂いて開口部を形成し、エアーを充填した空間を外部と連通させることによって、開口部を形成すると同時に内容物の液体が外に飛び出すことを防止することができる。
【0017】
本発明による包装袋は、プラスチックフィルムを基材とする包装袋であって、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する2枚の積層体をシーラント層同士を対向させて重ね、周縁部を強シールでシールして製袋されていることによって、積層体と積層体の間の空間に液体を内容物として収納、密封可能であって、包装容器として十分な性能を確保して、かつ開封性にも優れた液体用包装容器とすることができる。
【0018】
内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間との間の仕切りのシールの一部に設けられた流路予定部は、シール強度が周縁及び仕切りのシールに比べて弱い、弱シール部でシールして封じられており、周縁部、及び内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とを仕切るシール部のシール強度は、
シール強度>6.0N/15mm
であることによって、液体用包装容器として十分な強度を備え、収納する内容物の液体を内部に保持することが可能である。
【0019】
かつ内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とを連通可能な流路予定部の弱シール部のシール強度が、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲であることによって、手指等による加圧によって、周縁部、及び内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とを仕切るシール部の剥離を起こすことなく、弱シール部の選択的破壊を起こし、その結果包装袋内部の両空間をつなぐ流路を形成することが可能である。
【0020】
したがって、形成された流路を経由し、続いてエアーを充填した空間を経由して、更に包装袋の端部から切り裂いて形成した開口部から、内容物の液体の注ぎ出しをすることが可能になる。
【0021】
すなわち、エアーを充填した空間は、内容物の液体の注ぎ出しに際して、内容物を収納可能な空間と、外部との間に、迂回路として介在してバッファーとして機能する。そのため、包装袋の開封および注ぎ出しに際して、内容物が予期せず飛び出すことを防止して、安定した注ぎ出しを実現することが可能な、液体用包装袋の提供に有効である。
【0022】
また特に、請求項2に記載の発明によれば、開口部と、流路は、エアーを充填した空間の、両端に距離をとって設けてあることによって、開口部を形成し、次いで流路を形成して内容物の注ぎ出しを行うに際して、その距離があることによってバッファーとしてより効果的に作用するため、内容物が予期せず飛び出すことを、より効果的に防止することが可能である。
【0023】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、本発明による液体用包装袋は、それを構成する積層体中に、ガスバリア層を有することによって、ガスバリア層を有する包装容器として内容物の保存性の向上や、環境条件による内容物液体の劣化、変質等を防止することが可能になる。同時に内容物の液体の揮発成分やにおいなどの、外部への漏洩も防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は本発明に係る液体用包装袋の一実施態様を説明するための、平面模式図である。
図2図2は本発明に係る液体用包装袋の一実施態様を説明するための、開封の様子を示す平面模式図である。
図3図3は本発明に係る液体用包装袋の一実施態様を説明するための、内容物の液体の注ぎ出しの様子を示す平面模式図である。
図4図4は本発明に係る液体用包装袋の、実施例1及び比較例4、比較例5、比較例6の実施形態を説明するための平面模式図である。
図5図5は本発明に係る液体用包装袋の、比較例1の実施形態を説明するための平面模式図である。
図6図6は本発明に係る液体用包装袋の、比較例2の実施形態を説明するための平面模式図である。
図7図7は本発明に係る液体用包装袋の、比較例3の実施形態を説明するための平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図1図3を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0026】
図1は本発明に係る液体用包装袋の一実施態様を説明するための、平面模式図である。
【0027】
本発明は、包装袋(10)に係るものであって、特に内部に液体を収納可能な液体用包装袋(10)である。内容物の液体(12)には、特段の限定を加えるものではなく、流動性を持つ幅広い液体に適用することが可能である。
【0028】
例を挙げれば、調味料のソースやサラダのドレッシングなどが可能であり、包装袋(10)の内部に収納、密封することができる。すなわち、包装袋(10)の開封、及びそれらの内容物の液体(12)の注ぎ出しにおいて、予期せぬ飛び出しなどが防止できる、液体用包装袋(10)である。
【0029】
予期せぬ飛び出しは、例えば包装袋(10)を手指で保持して直接開封して、開口部を形成する場合に、包装袋(10)の外側から内容物の液体(12)に対して、手指などで圧力がかかっている場合などは、開封と同時に開口部から内容物の液体(12)が外部に飛びだしてしまう。この内容物の液体(12)の予期せぬ飛び出しは、手指や周囲への汚染などを引き起こす恐れがあった。
【0030】
本発明による包装袋(10)においては、内容物の液体(12)を収納可能な空間(2)と、外部との間にエアーを充填した空間(3)を設けてあり、これをバッファーとして機能させる。そのため、包装袋の開封および注ぎ出しに際して、内容物が予期せず飛び出すことを防止することができる。
【0031】
したがって、本発明によれば、内容物の液体(12)の予期せぬ飛び出しによる、手指や周囲の汚染などを防止して、内容物の液体(12)を安定的に注ぎ出すことが可能な、液体用包装袋(10)を実現することができる。
【0032】
包装袋(10)は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する2枚の積層体を、シーラント層同士を対向させて重ね、周縁部のシール(1)によって製袋されている。
【0033】
包装袋(10)は、積層体と積層体との間に、液体の内容物(12)を収納、密封可能であって、周縁部のシール(1)で囲まれた内側の領域には、内容物の液体(12)を収納可能な空間(2)と、エアーを充填した空間(3)とを有している。
【0034】
内容物の液体(12)を収納可能な空間(2)と、エアーを充填した空間(3)とは、周縁部から連続する仕切りのシール(7)で仕切られている。これらの周縁部のシール(1)と、仕切りのシール(7)とは、後述の弱シール部(5)に比べてシール強度が大きく、包装袋(10)の、開封を含む取り扱い等において、剥離することがない十分な強度を有する。
【0035】
また、この仕切りのシール(7)の一部には、開封において流路を形成するための、流路予定部(4)が設けられており、この流路予定部(4)は、シール強度が周縁部のシール(1)及び仕切りのシール(7)に比べて弱い、弱シール部(5)でシールして封じられている。
【0036】
本発明による液体用包装袋(10)においては、周縁部のシール(1)、及び仕切りのシール(7)のシール強度は、
シール部のシール強度>6.0N/15mm
であり、
弱シール部(5)のシール強度は、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲である。
【0037】
我々は、本発明を完成させる過程において、鋭意検討を重ね、周縁部のシール(1)、及び仕切りのシール(7)、及び弱シール部(5)のシール強度がこの範囲であることが、容易で安定した開封、流路の形成、及び内容物の液体(12)の安定した注ぎ出しに有効であることを見出した。
【0038】
周縁部のシール(1)、及び仕切りのシール(7)については、
シール部のシール強度>6.0N/15mm
の範囲であることによって、内容物の液体(12)を充填してから開封に至る輸送、保管、取り扱い等において、シールが剥離して包装袋(10)が破袋することを回避することができる。すなわち、液体用包装容器として十分な強度を備え、収納する内容物の液体(12)を包装袋(10)内部に保持することを可能とするものである。
【0039】
また弱シール部(5)に関しては、本発明による液体用包装袋(10)において、手指を用いて内容物の液体(12)を収納可能な空間(2)側から加圧して、この時の液圧によって弱シール部(5)を選択的に剥離させて流路予定部(4)に流路を形成し、内容物の液体を収納可能な空間(2)と、エアーを充填した空間(3)とをこの流路で連通させることができる。
【0040】
さらに内容物の液体(12)を収納可能な空間(2)から、包装袋(10)外部までが連通することによって、内容物の液体(12)を包装袋(10)の外側から加圧することによって、内容物の液体(12)を、形成した流路及びエアーを充填した空間(3)を経由して、包装袋(10)の端部から切り裂いて形成した、開口部から注ぎ出すことができる。
【0041】
前述のように我々は、本発明を完成させる過程において、弱シール部(5)のシール強度は、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲であることが適当であることを見出した。
【0042】
さらには我々は、本発明を完成させる過程において、さらに検討を重ねた結果、弱シール部(5)のシール強度は、
3.0N/15mm>弱シール部(5)のシール強度>2.0N/15mm
である場合には、加圧による流路形成をより容易かつ安定して行うことが可能であり、内容物の液体(12)の開口部からの安定した注ぎ出しを行うに際して、最適であることを見出した。
【0043】
すなわち、この範囲であることによって、本発明が課題とするところの、プラスチックフィルムを基材とする液体用包装袋(10)において、包装袋(10)の一部を切り裂いて開封し、内容物を注ぎ出す際に、内容物が予期せず飛び出すことを防止することが可能な、液体用包装袋(10)の提供が可能である。
【0044】
図2は本発明に係る液体用包装袋の一実施態様を説明するための、開封の様子を示す平面模式図である。
【0045】
本発明による液体用包装袋(10)の開封は、初めに包装袋(10)を、エアーを充填した空間(3)に近い端部から切り裂いて開口部(9)を形成し、エアーを充填した空間(3)を外部と連通させる。
【0046】
包装袋(10)端部からの切り裂きについては、その方法に特段の限定を加えるものではなく、例えば図2に示す例のように鋏(8)を用いて切り裂くことも可能であり、鋏(8)のほかカッターなどの刃物を用いることも可能である。そのほか刃物を用いるのではなく、手指で切り裂くのでもよい。
【0047】
手指による切り裂きの場合には、図1に示す例のノッチ(6)を設けて切り裂きのきっかけとすることができる。また、開封予定線を設ける場合には、外部から視認しやすいよう印刷などによって、その位置を明示することができる。
【0048】
さらに開封予定線が易開封機構を備えた開封予定線である場合には、開封作業に当たって一層利便性は高い。易開封機構は、積層体に例えばハーフカットなどの脆弱部を設けて、切り裂きを容易にすることができる。
【0049】
あるいは、積層体を構成するプラスチックフィルムの分子配向性を用いて、その方向を切り裂き方向とするのでもよい。すなわち、これらの方式の中から適宜選択すればよく、或いは組み合わせても用いることができる。
【0050】
本発明による液体用包装袋においては、周縁部のシール(1)で囲まれた内側の領域に、内容物の液体(12)を収納可能な空間(2)と、エアーを充填した空間(3)とを有している。
【0051】
前述の包装袋端部からの引き裂きによる開口部(9)の形成に続いて、内容物の液体の加圧によって、弱シール部(5)を選択的に剥離させて、流路予定部(4)に流路(11)を形成し、内容物の液体(12)を収納可能な空間(2)と、エアーを充填した空間(3)とをこの流路(11)で連通させる。
【0052】
すなわち、内容物の液体(12)の注ぎ出しにおいては、、内容物の液体(12)を収納可能な空間(2)から、流路(11)、エアーを充填した空間(3)、開口部(9)を
、この順に経由して、注ぎ出しが行われる。
【0053】
図3は本発明に係る液体用包装袋の一実施態様を説明するための、内容物の液体の注ぎ出しの様子を示す平面模式図である。
【0054】
流路(11)の形成に引き続いて、内容物の液体(12)を包装袋(10)の外側から加圧することによって、収納された内容物の液体(12)を、形成した流路(11)及びエアーを充填した空間(3)を経由して、包装袋(10)の端部から切り裂いて形成した、開口部(9)から注ぎ出すことができる。
【0055】
また、開口部(9)と、流路(11)は、エアーを充填した空間(3)の、両端に距離をとって設けることができる。
【0056】
図3に示す例においては、開口部(9)と、流路(11)は、エアーを充填した空間(3)の、上下の両端に距離をとって設けてある例である。すなわち、開口部(9)はエアーを充填した空間(3)の上端に近く、流路(11)はエアーを充填した空間(3)の下端に近い位置に設けてある。
【0057】
このようにする場合には、その距離によってエアーを充填した空間(3)がバッファーとしてより効果的に作用するため、注ぎ出しにおいて内容物の液体(12)が予期せず飛び出すことを、より効果的に防止することが可能である。
【0058】
また、本発明による液体用包装袋(10)は、それを構成する積層体中に、ガスバリア層を設けることができる。液体用包装袋(10)が、積層体中にガスバリア層を有することによって、ガスバリア層を有する包装容器として内容物の保存性の向上や、環境条件による内容物の劣化、変質等を防止することが可能になる。同時に内容物の液体(12)の揮発成分やにおいなどが、外部へ漏洩することも防止することができる。
【0059】
ここで本発明による液体用包装袋(10)に係る、個々の構成要素に関して、それらの材料について説明を加える。
【0060】
本発明による包装袋(10)に用いる積層体を構成するプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
【0061】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0062】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、包装袋に対する要求品質に応じて適宜設計することができる。
【0063】
前述のように、本発明による液体用包装袋(10)は、それを構成する積層体中に、ガスバリア層を設けることができる。ガスバリア層として積層体中のひとつの層として、独立した層を設けることができるほか、プラスチックフィルムの表面にガスバリア層を設けてなるガスバリアフィルムを用いることができる。
【0064】
またアルミニウムなどの金属箔もガスバリア層として有効ではあるが、電子レンジでの加熱調理を前提とする場合には、高周波によるスパークなどが発生するために不適当である。
【0065】
ガスバリアフィルムの場合には、用いられるプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルム基材とする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0066】
ガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、コーティング層で構成することができ、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、コーティング層を順次設ける。
【0067】
ガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いるほか、一般に知られているコーティング方法を用いて塗膜を形成することができる。
【0068】
蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けたプラスチックフィルム上にコーティングし、真空蒸着法による無機化合物層を形成することができる。ちなみに蒸着層の厚みは15nm~30nmが良い。
【0069】
コーティング層を形成する方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0070】
無機化合物層は真空蒸着法による薄膜のみでもガスバリア性を有するが、コーティング法による無機化合物層であるコーティング層を真空蒸着法による無機化合物層である蒸着層に重ねて塗膜形成し、ガスバリア層とすることができる。
【0071】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とコーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成される。
【0072】
そのため、ガスバリアフィルムとしてより高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、外力による変形に耐えられる可撓性を有するため、包装材料としての適性も具備することができる。
【0073】
またガスバリア層として、たとえばSiOを用いる場合にはその被膜は透明であるために、内容物を包装袋(10)の外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、要求品質によって適宜使い分けをすればよい。
【0074】
シーラント層は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧してヒートシールすることによって互いを接着させ、包装袋(10)に製袋することを可能にする。
【0075】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0076】
また、シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0077】
必要に応じて、商品としてのイメージアップや、内容物についての必要な情報表示や意匠性の向上を目的として、プラスチックフィルムを基材とする積層体中の、包装袋(10)外側から見える層に印刷層を設けることができる。印刷層は包装袋(10)の最外層に設けるのでも構わない。
【0078】
また印刷層は、包装袋(10)の一部に設けるのでもよく、また包装袋(10)の全面に渡って設けるのでもよい。あるいは、積層体に印刷された印刷層を用いずに表示部を設ける方法としては、たとえば包装袋(10)の表面に、印刷されたシールを貼着することも可能である。
【0079】
ここで、印刷方法、および印刷インキには、とくに制約を設けるものではないが、既知の印刷方法の中からプラスチックフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、また内容物が食品や飲料の場合には、食品容器としての安全性などを考慮すれば適宜選択してよい。
【0080】
たとえば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの既知の印刷方法から選択して用いることができる。中でもグラビア印刷法は、生産性、プラスチックフィルムへの印刷適性、および絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
【0081】
このようにして本発明によれば、プラスチックフィルムを基材とする液体用包装袋(10)において、包装袋(10)の一部を切り裂いて開封し、内容物の液体(12)を注ぎ出す際に、内容物の液体(12)が予期せず飛び出すことを防止することが可能な、液体用包装袋(10)の提供が可能である。
【実施例0082】
以下本発明を、実施例1及び比較例1~比較例6によって、更に具体的な説明を加える。実施例、及び比較例は、図4図7を参照しながら説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0083】
液体用包装袋の評価用サンプルを作成して、評価を行った。
評価用サンプルの構成は下記のとおりである。
【0084】
(1)包装袋を構成する積層体の層構成:
包装袋外側から、
無機化合物蒸着層つきポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)/接着剤/延伸ポリアミドフィルム(厚さ15μm)/接着剤/ポリエチレン(厚さ100μm 出光ユニテック製 ユニクレストMS-615C)
とした。
【0085】
(2)包装袋の寸法:
100mm×100mm
とした。
【0086】
評価項目は4項目とし、下記のとおりである。
内容物の液体を充填して後、開封及び注ぎ出しを行って評価した。
・開封時の液漏れ
・押し出しによる内容物の液体の注ぎ出しやすさ
・押し出した時の内容物の液体の飛び出し
・包装袋を加圧した時の内容物の液体の漏れやすさ
とした。
【0087】
評価基準は下記のとおりである。
最終評価は各評価項目の総合評価とし、
4項目の評価項目すべてに問題がないと判定される場合に○評価、
いずれか1以上の評価項目に問題ありと判定される場合に×評価とした。
【0088】
なお、以下実施例、及び比較例において、シール部に関しては周縁及び仕切りのシールを強シール部とし、内容物の液体の押圧によって剥離する、流路予定部のシールを弱シール部とする。
【0089】
<実施例1>
図4は本発明に係る液体用包装袋の、実施例1の実施形態を説明するための平面模式図である。
【0090】
シール条件は下記のとおりである。
強シール部(周縁及び仕切りのシール):160℃ 0.2MPa 1.0秒
弱シール部(流路予定部):100℃ 0.2MPa 2.0秒
シール強度は下記のとおりである。
強シール部(周縁及び仕切りのシール):20N/15mm
弱シール部(流路予定部):3.0N/15mm
とした。
実施例1の評価用サンプルの実施形態は、すべて本発明に規定する範囲内である。
【0091】
<比較例1>
図5は本発明に係る液体用包装袋の、比較例1の実施形態を説明するための平面模式図である。
【0092】
この形態は、重ねた積層体の周縁部をシールして製袋したもので、エアー充填部は設けておらず、また弱シール部は設けておらず、開封は矩形の隅をハサミで切り取って開口部
としたものである。
シール強度は下記のとおりである。
強シール部(周縁及び仕切りのシール):20N/15mm
弱シール部(流路予定部):該当部分なし
とした。
比較例1の評価用サンプルの実施形態は、エアー充填部を設けていない、弱シール部を設けていないなど、本発明が規定する範囲外である。
【0093】
<比較例2>
図6は本発明に係る液体用包装袋の、比較例2の実施形態を説明するための平面模式図である。
【0094】
この形態は、重ねた積層体の周縁部をシールして製袋したもので、エアー充填部は設けておらず、矩形の上辺の一部に弱シール部を設けてあり、開封は上辺をシール部及び弱シール部を残して切り取ったのちに、加圧して弱シール部を剥離して開口部とするものである。
シール強度は下記のとおりである。
強シール部(周縁及び仕切りのシール):20N/15mm
弱シール部(流路予定部):3.0N/15mm
とした。
比較例2の評価用サンプルの実施形態は、エアー充填部を設けていないなど、本発明が規定する範囲外である
【0095】
<比較例3>
図7は本発明に係る液体用包装袋の、比較例3の実施形態を説明するための平面模式図である。
【0096】
この形態は、重ねた積層体の周縁部をシールして製袋したもので、エアー充填部は設けておらず、上辺には開口部が設けてあり、矩形の上辺の下方に弱シール部を幅方向に設けてあり、開封は加圧して弱シール部を剥離して、上辺の開口部を注ぎ出し口とするものである。
シール強度は下記のとおりである。
強シール部(周縁及び仕切りのシール):20N/15mm
弱シール部(流路予定部):3.0N/15mm
とした。
比較例3の評価用サンプルの実施形態は、エアー充填部を設けていないなど、本発明が規定する範囲外である
【0097】
<比較例4>
図4は本発明に係る液体用包装袋の、比較例4の実施形態を説明するための平面模式図である。
【0098】
シール強度は下記のとおりである。
強シール部(周縁及び仕切りのシール):20N/15mm
弱シール部(流路予定部):6.0N/15mm
とした。
比較例4の評価用サンプルの実施形態において、弱シール部のシール強度は本発明の規定する、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲を上方に逸脱するものである。
【0099】
<比較例5>
図4は本発明に係る液体用包装袋の、比較例5の実施形態を説明するための平面模式図である。
【0100】
シール強度は下記のとおりである。
強シール部(周縁及び仕切りのシール):20N/15mm
弱シール部(流路予定部):0.5N/15mm
とした。
比較例5の評価用サンプルの実施形態において、弱シール部のシール強度は本発明の規定する、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲を下方に逸脱するものである。
【0101】
<比較例6>
図4は本発明に係る液体用包装袋の、比較例6の実施形態を説明するための平面模式図である。
【0102】
シール強度は下記のとおりである。
強シール部(周縁及び仕切りのシール):2.0N/15mm
弱シール部(流路予定部):3.0N/15mm
とした。
比較例6の評価用サンプルの実施形態において、強シール部のシール強度は本発明に規定する、
シール強度>6.0N/15mm
の範囲を下方に逸脱するものである。
【0103】
評価結果を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
表1から明らかなように、本発明による液体用包装袋である実施例1においては、評価項目すべてにおいて問題がなく、したがって総合評価は○評価である。
【0106】
反対に、本発明によって規定する、形態、シール強度を逸脱する比較例1~比較例6においては、1以上の評価項目において何らかの不具合が生じており、開封、注ぎ出しにおいて実用上の困難がともなう。したがって、総合評価は×評価である。
【0107】
実施例1においては、本発明によって規定する形状、数値範囲をすべて持たしており、その結果、本発明が課題とするところの、プラスチックフィルムを基材とする液体用包装袋において、包装袋の一部を切り裂いて開封し、内容物を注ぎ出す際に、内容物が予期せず飛び出すことを防止することが可能な、液体用包装袋(10)の提供を実現できたものである。
【0108】
比較例1においては、矩形の隅をハサミで切り取って開口部を設けることによって、直接注ぎ出しが可能になる反面、バッファの機能が備わっていないために、開封時の液漏れ、飛び出しに困難が伴う結果となった。
【0109】
比較例2においては、弱シール部への加圧によって開口部を設けることができるが、直接注ぎ出しが可能になる反面、エアー充填部によるバッファの機能が備わっていないため
に、内容物の液体の飛び出しに困難が伴う結果となった。
【0110】
比較例3においては、エアー充填部は設けておらず、上辺には開口部が設けてあり、矩形の上辺の下方に弱シール部を幅方向に設けてあり、開封は加圧して弱シール部を剥離して、上辺の開口部を注ぎ出し口とする形態であって、弱シール部が上辺全体の長さにわたっており、取り扱いなどにおいて、加圧による漏れ易さの点で困難が伴う結果となった。
【0111】
比較例4においては、弱シール部のシール強度が本発明の規定する、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲を上方に逸脱する結果、内容物の液体を収納可能な空間側から加圧して、この時の液圧によって弱シール部を剥離させて、流路予定部に流路を形成し、内容物の液体を収納可能な空間と、エアーを充填した空間とをこの流路で連通させるようとする際に、強圧を必要としてこれが開封時の液漏れにつながる結果となった。
【0112】
比較例5においては、弱シール部のシール強度は本発明の規定する、
5.0N/15mm>弱シール部のシール強度>1.0N/15mm
の範囲を下方に逸脱する結果、開封時において流路が簡単に連通する結果、液漏れを起こす原因となり、また取り扱いなどの加圧による漏れ易さの点で困難が伴う結果となった。
【0113】
比較例6においては、強シール部のシール強度は本発明に規定する、
シール強度>6.0N/15mm
の範囲を下方に逸脱する結果、包装袋の周縁部は十分なシール強度が確保できておらず、漏れ易さの項目で実用上の問題が出る結果となっている。特に弱シール部に比べてシール強度がさらに弱い状況であって、強弱逆転しており、流路形成以前に破袋する恐れがあり、したがって開封において困難をきたすものと考えられる。
【0114】
このようにして、本発明によれば、プラスチックフィルムを基材とする液体用包装袋において、包装袋の一部を切り裂いて開封し、内容物を注ぎ出す際に、内容物が予期せず飛び出すことを防止することが可能な、液体用包装袋の提供が可能であることを検証することができた。
【符号の説明】
【0115】
1・・・周縁部のシール
2・・・空間
3・・・空間
4・・・流路予定部
5・・・弱シール部
6・・・ノッチ
7・・・仕切りのシール
8・・・鋏
9・・・開口部
10・・・包装袋
11・・・流路
12・・・内容物の液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7