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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132601
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】陶芸用ろくろ
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/02 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B28B1/02 E
B28B1/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038020
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】522099490
【氏名又は名称】株式会社飯島アフターサービス
(71)【出願人】
【識別番号】522099504
【氏名又は名称】山科 統
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】飯島 肇
(72)【発明者】
【氏名】山科 統
(57)【要約】
【課題】容易に加工対象物を加工する。
【解決手段】陶芸用ろくろ1は、基台2と、基台2に回転可能に支持されて内部に第一中空部3aを有する回転シャフト3と、基台2に固定されて回転シャフト3を回転駆動するモータ4と、基台2に対して回転可能となるように回転シャフト3に固定された回転テーブル5と、回転シャフト3の第一中空部3aと連通された第二中空部6aを有する第一吸引パイプ6と、を備える。回転テーブル5は、回転シャフト3の回転軸線L上に形成されて回転シャフト3の第一中空部3aを回転テーブル5の天面5aに開放する第一貫通孔5bを有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に回転可能に支持されて内部に第一中空部を有する回転シャフトと、
前記基台に固定されて前記回転シャフトを回転駆動するモータと、
前記基台に対して回転可能となるように前記回転シャフトに固定された回転テーブルと、
前記回転シャフトの前記第一中空部と連通された第二中空部を有する第一吸引パイプと、を備え、
前記回転テーブルは、前記回転シャフトの回転軸線上に形成されて前記回転シャフトの前記第一中空部を前記回転テーブルの天面に開放する第一貫通孔を有する、
陶芸用ろくろ。
【請求項2】
前記第一吸引パイプに接続された第一吸引装置を更に備える、
請求項1に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項3】
前記第一吸引パイプは、前記第二中空部を開閉可能な開閉窓を有する、
請求項1又は2に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項4】
前記回転テーブルの前記天面には、前記回転シャフトの前記回転軸線を中心とした同心円状の複数の溝が形成されている、
請求項1~3の何れか一項に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項5】
前記回転シャフトと前記第一吸引パイプとを連通するロータ―シールを更に備え、
前記ロータ―シールは、前記第一吸引パイプと接続されるとともに、前記回転シャフトと回転自在に接続される、
請求項1~4の何れか一項に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項6】
前記回転テーブルに載置される弾性変形可能な円盤状の弾性マットを更に備え、
前記弾性マットは、前記弾性マットの半径方向中央部に形成された第二貫通孔を有する、
請求項1~4の何れか一項に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項7】
前記弾性マットは、透光性を有する、
請求項6に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項8】
前記回転テーブルの前記第一貫通孔に挿入される円筒状の穴径調整部材を更に備え、
前記穴径調整部材の内径は、前記回転シャフトの前記第一中空部の内径よりも小さい、
請求項1~7の何れか一項に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項9】
前記第一中空部の上端部である上端中空部は、先端に向かうほど孔径が大きくなる円錐台状に形成されており、
前記穴径調整部材は、前記上端中空部に対応する円錐台の筒状に形成されている、
請求項8に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項10】
前記回転テーブル及び前記穴径調整部材から突出するように前記穴径調整部材に取り付けられる弾性変形可能な円筒状の弾性アタッチメントを更に備える、
請求項8又は9に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項11】
前記弾性アタッチメントは、前記穴径調整部材の内径と略同一の外径を有する円筒部と、前記円筒部から円錐状に拡径されながら延びる円錐筒部と、を有する、
請求項10に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項12】
前記回転テーブルに載置されて内部に第三中空部を有する嵩上部材を更に備え、
前記嵩上部材は、前記嵩上部材の下部中央に形成されて前記第三中空部を下方に開放する下部開口と、前記嵩上部材の上部中央に形成されて前記第三中空部を上方に開放する上部開口と、を有し、
前記下部開口の内径は、前記回転テーブルの前記第一貫通孔よりも大径である、
請求項1~11の何れか一項に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項13】
前記回転テーブルを収容する収容空間を形成する吸引用カバーを更に備え、
前記吸引用カバーは、
前記回転テーブルの前記天面の外周部の上方に配置されて前記外周部との間に隙間を形成する隙間形成部と、
前記隙間形成部により形成されて、前記回転テーブルの前記天面の中央部の上方を開放する第一開口と、
前記収容空間を開放する第二開口と、を有する、
請求項1~12の何れか一項に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項14】
前記隙間形成部と前記外周部との対向方向における前記隙間の長さは、1mm以上30mm以下である、
請求項13に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項15】
前記天面の半径方向における前記外周部の幅は、1mm以上30mm以下である、
請求項13又は14に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項16】
前記第二開口に連通された第二吸引パイプと、
前記第二吸引パイプに接続された第二吸引装置と、を更に備える、
請求項13~15の何れか一項に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項17】
前記モータの作動制御を行う制御部と、
前記モータの作動制御を行うための入力装置と、を更に備え、
前記制御部は、前記入力装置の状態に基づいて前記モータの作動制御を行う、
請求項1~16の何れか一項に記載の陶芸用ろくろ。
【請求項18】
前記入力装置は、人の近接又は接触を検知する複数のセンサを有し、
前記制御部は、前記複数のセンサのうちの人の近接又は接触を検知したセンサに対応付けられている回転速度で前記モータを回転させる、
請求項17に記載の陶芸用ろくろ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陶芸用ろくろに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動ろくろと手動ろくろの機能を併せ持つ陶芸用ろくろが記載されている。この陶芸用ろくろでは、テーブルに連結された回転シャフトをモータによって回転駆動することにより、電動ろくろとして機能させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008―093908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、陶芸用ろくろでは、加工対象物を載置した回転テーブルを回転させながら加工対象物を加工する。しかしながら、回転テーブルを回転させるだけで加工対象物がぐらつきやすくなる。このため、回転テーブルを回転させながら加工対象物を加工するのは、趣味で陶芸を行っている一般人にとっては極めて難しい。
【0005】
そこで、本発明は、容易に加工対象物を加工することができる陶芸用ろくろを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る陶芸用ろくろは、基台と、基台に回転可能に支持されて内部に第一中空部を有する回転シャフトと、基台に固定されて回転シャフトを回転駆動するモータと、基台に対して回転可能となるように回転シャフトに固定された回転テーブルと、回転シャフトの第一中空部と連通された第二中空部を有する第一吸引パイプと、を備え、回転テーブルは、回転シャフトの回転軸線上に形成されて回転シャフトの第一中空部を回転テーブルの天面に開放する第一貫通孔を有する。
【0007】
この陶芸用ろくろでは、回転シャフトの第一中空部が、第一吸引パイプの第二中空部と連通されるとともに、回転テーブルの天面に開放されている。このため、第一吸引パイプを吸引し、第一貫通孔を覆うように加工対象物を回転テーブルに載置することで、加工対象物を回転テーブルに吸着固定することができる。これにより、趣味で陶芸を行っている一般人であっても、容易に加工対象物を加工することができる。しかも、第一貫通孔は、回転シャフトの回転軸線上に形成されている。このため、加工対象物を回転テーブルの回転中心に載置しやすくなる。また、第一吸引パイプを吸引して加工対象物を回転テーブルの回転中心に載置することで、加工対象物を回転テーブルに吸着固定することができる。
【0008】
第一吸引パイプに接続された第一吸引装置を更に備えてもよい。この陶芸用ろくろでは、第一吸引パイプに第一吸引装置が接続されているため、別途吸引装置を用意しなくても、第一吸引パイプを吸引することができる。
【0009】
第一吸引パイプは、第二中空部を開閉可能な開閉窓を有してもよい。この陶芸用ろくろでは、第一吸引パイプが開閉窓を有するため、開閉窓を開閉することで、第二中空部に発生する吸引力を調整することができる。例えば、盃のように肉厚の薄い低強度の加工対象物を加工する場合は、開閉窓を開けて吸引力を逃がすことで、吸引力により加工対象物が破損するのを抑制することができる。
【0010】
回転テーブルの天面には、回転シャフトの回転軸線を中心とした同心円状の複数の溝が形成されていてもよい。この陶芸用ろくろでは、回転シャフトの回転軸線を中心とした同心円状の複数の溝が回転テーブルに形成されているため、加工対象物を回転テーブルの回転中心に載置しやすくなる。
【0011】
回転シャフトと第一吸引パイプとを連通するロータ―シールを更に備え、ロータ―シールは、第一吸引パイプと接続されるとともに、回転シャフトと回転自在に接続されていてもよい。この陶芸用ろくろでは、ロータ―シールにより、回転シャフトの回転を許容しつつ回転シャフトと第一吸引パイプとを連通することができるため、第一吸引パイプを吸引することで、回転テーブルの第一貫通孔に適切に吸引力を発生させることができる。
【0012】
回転テーブルに載置される弾性変形可能な円盤状の弾性マットを更に備え、弾性マットは、弾性マットの半径方向中央部に形成された第二貫通孔を有してもよい。この陶芸用ろくろでは、回転テーブルに円盤状の弾性マットが載置されるため、加工対象物は、弾性マットを介して回転テーブルに載置される。そして、弾性マットの第二貫通孔が回転テーブルの第一貫通孔及び回転シャフトの第一中空部に合うように弾性マットを回転テーブルに載置し、第一吸引パイプを吸引し、第二貫通孔を覆うように加工対象物を弾性マットに載置することで、加工対象物を弾性マットに吸着させることができる。また、弾性マットが弾性変形することで、加工対象物と弾性マットとの密着力が高まるため、加工対象物がぐらつくのを更に抑制することができる。しかも、第二貫通孔が弾性マットの半径方向中央部に形成されているため、第二貫通孔を第一貫通孔及び第一中空部に容易に合わせることができる。
【0013】
弾性マットは、透光性を有してもよい。この陶芸用ろくろでは、弾性マットが透光性を有するため、弾性マットを介して回転テーブルの天面を視認することができる。このため、例えば、回転テーブルの天面に、回転シャフトの回転軸線を中心とした同心円状の複数の溝が形成されている場合、弾性マットを介して、当該複数の溝を視認することができる。これにより、加工対象物を所望の位置に載置しやすくなる。
【0014】
回転テーブルの第一貫通孔に挿入される円筒状の穴径調整部材を更に備え、穴径調整部材の内径は、回転シャフトの第一中空部の内径よりも小さくてもよい。この陶芸用ろくろでは、穴径調整部材が回転テーブルの第一貫通孔に挿入されることで、第一吸引パイプを吸引した際の吸気流路が狭くなる。これにより、吸気の圧力損失が大きくなって吸引力が小さくなる。このため、例えば、盃のように肉厚の薄い低強度の加工対象物を加工する場合は、回転テーブルの第一貫通孔に穴径調整部材を挿入することで、吸引力により加工対象物が破損するのを抑制することができる。
【0015】
第一中空部の上端部である上端中空部は、先端に向かうほど孔径が大きくなる円錐台状に形成されており、穴径調整部材は、上端中空部に対応する円錐台の筒状に形成されていてもよい。この陶芸用ろくろでは、回転シャフトの上端中空部が円錐台状に形成されており、穴径調整部材が上端中空部に対応する円錐台筒状に形成されている。このため、回転シャフトに対して穴径調整部材を容易に挿入することができる。また、回転シャフトに対して穴径調整部材を押し込むことで、回転シャフトから穴径調整部材が抜けるのを抑制することができる。
【0016】
回転テーブル及び穴径調整部材から突出するように穴径調整部材に取り付けられる弾性変形可能な円筒状の弾性アタッチメントを更に備えてもよい。この陶芸用ろくろでは、弾性アタッチメントが回転テーブル及び穴径調整部材から突出するように穴径調整部材に取り付けられるため、弾性アタッチメントに加工対象物を載置することができる。そして、弾性アタッチメントは、円筒状に形成されているため、第一吸引パイプを吸引するとともに、弾性アタッチメントを覆うように加工対象物を弾性アタッチメントに載置することで、加工対象物を弾性アタッチメントに吸着させることができる。しかも、弾性アタッチメントが弾性変形することで、加工対象物と弾性アタッチメントとの密着力が高まるため、加工対象物がぐらつくのを更に抑制することができる。
【0017】
弾性アタッチメントは、穴径調整部材の内径と略同一の外径を有する円筒部と、円筒部から円錐状に拡径されながら延びる円錐筒部と、を有してもよい。この陶芸用ろくろでは、円筒部を穴径調整部材に挿入することで、円錐筒部が回転テーブル及び穴径調整部材から突出した状態で、弾性アタッチメントを穴径調整部材に取り付けることができる。しかも、円錐筒部は、円筒部から円錐状に拡径されながら延びるため、弾性アタッチメントに載置した加工対象物のぐらつきを抑制することができる。
【0018】
回転テーブルに載置されて内部に第三中空部を有する嵩上部材を更に備え、嵩上部材は、嵩上部材の下部中央に形成されて第三中空部を下方に開放する下部開口と、嵩上部材の上部中央に形成されて第三中空部を上方に開放する上部開口と、を有し、下部開口の内径は、回転テーブルの第一貫通孔よりも大径であってもよい。この陶芸用ろくろでは、回転テーブルに載置されて内部に第三中空部を有する嵩上部材が、第三中空部を下方及び上方に開放する下部開口及び上部開口を有し、下部開口の内径が回転テーブルの第一貫通孔よりも大径である。このため、下部開口で第一貫通孔を覆うように嵩上部材を回転テーブルに載置し、上部開口を覆うように加工対象物を嵩上部材に載置することで、加工対象物を回転テーブルより高い位置で吸着固定することができる。これにより、加工対象物の加工容易性を向上することができる。
【0019】
回転テーブルを収容する収容空間を形成する吸引用カバーを更に備え、吸引用カバーは、回転テーブルの天面の外周部の上方に配置されて外周部との間に隙間を形成する隙間形成部と、隙間形成部により形成されて、回転テーブルの天面の中央部の上方を開放する第一開口と、収容空間を開放する第二開口と、を有してもよい。この陶芸用ろくろでは、回転テーブルが吸引用カバーに収容されているが、吸引用カバーの第一開口により、回転テーブルの天面の中央部の上方が開放されているため、天面の中央部に加工対象物を載置して、加工対象物を加工することができる。そして、隙間形成部と外周部との間に隙間が形成されており、収容空間が第二開口において開放されている。このため、第二開口から収容空間を吸引することで、加工対象物の削り粉を、隙間形成部と天面の外周部との間の隙間から収容空間に吸引することができる。これにより、加工対象物の削り粉が回転テーブルの周囲に飛散するのを抑制することができる。
【0020】
隙間形成部と外周部との対向方向における隙間の長さは、1mm以上30mm以下であってもよい。この陶芸用ろくろでは、隙間形成部と外周部との対向方向における隙間の長さが1mm以上30mm以下であるため、加工対象物の削り粉の吸引効率を高めることができる。
【0021】
天面の半径方向における外周部の幅は、1mm以上30mm以下であってもよい。この陶芸用ろくろでは、天面の半径方向における外周部の幅が1mm以上30mm以下であるため、加工対象物の削り粉の吸引効率を高めることができる。
【0022】
第二開口に連通された第二吸引パイプと、第二吸引パイプに接続された第二吸引装置と、を更に備えてもよい。この陶芸用ろくろでは、吸引用カバーの第二開口に第二吸引パイプが連通されているとともに、第二吸引パイプに第二吸引装置が接続されているため、別途吸吸引パイプ及び引装置を用意しなくても、加工対象物の削り粉を隙間形成部と天面との間の隙間から収容空間に吸引することができる。
【0023】
モータの作動制御を行う制御部と、モータの作動制御を行うための入力装置と、を更に備え、制御部は、入力装置の状態に基づいてモータの作動制御を行ってもよい。この陶芸用ろくろでは、制御部が入力装置の状態に基づいてモータの作動制御を行うため、モータを適切に作動制御することができる。
【0024】
入力装置は、人の近接又は接触を検知する複数のセンサを有し、制御部は、複数のセンサのうちの人の近接又は接触を検知したセンサに対応付けられている回転速度でモータを回転させてもよい。この陶芸用ろくろでは、制御部が、人の近接又は接触を検知したセンサに対応付けられている回転速度でモータを回転させるため、手動操作を行わずにモータの回転速度を変更することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、容易に加工対象物を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第一実施形態に係る陶芸用ろくろの平面図である。
図2図1に示すII-II線における断面図である。
図3図1に示す陶芸用ろくろの一部を拡大した断面図である。
図4】回転テーブルの天面を示す平面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、第一吸引パイプの一例を示す断面図である。
図6】第二実施形態に係る陶芸用ろくろの断面図である。
図7図6に示す陶芸用ろくろの一部を拡大した断面図である。
図8】第三実施形態に係る陶芸用ろくろの一部を示す断面図である。
図9】第四実施形態に係る陶芸用ろくろの一部を示す断面図である。
図10】穴径調整部材及び弾性アタッチメントの断面図である。
図11】第五実施形態に係る陶芸用ろくろの一部を示す断面図である。
図12】第六実施形態に係る陶芸用ろくろの断面図である。
図13図12に示す陶芸用ろくろの一部を拡大した断面図である。
図14】第七実施形態に係る陶芸用ろくろの断面図である。
図15図14に示す陶芸用ろくろの平面図である。
図16図14に示す陶芸用ろくろの一部を拡大した断面図である。
図17】第二吸引装置により発生する気流を示した断面図である。
図18】第八実施形態に係る陶芸用ろくろの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明に係る陶芸用ろくろの実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0028】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1の平面図である。図2は、図1に示すII-II線における断面図である。図3は、図1に示す陶芸用ろくろ1の一部を拡大した断面図である。図1図3に示すように、第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1は、加工対象物Wを加工するためのろくろである。加工対象物Wとしては、例えば、石膏や、成型した粘土を乾燥させた乾燥成形体等が挙げられる。陶芸用ろくろ1は、基台2と、回転シャフト3と、モータ4と、回転テーブル5と、第一吸引パイプ6と、第一吸引装置7と、ロータ―シール8と、制御部100と、を備える。
【0029】
基台2は、回転テーブル5を支持するとともに、回転シャフト3、モータ4、第一吸引パイプ6、ロータ―シール8等を収容する。基台2は、例えば、箱状の筐体により形成されている。基台2の素材は、特に限定されるものではないが、強度保持の観点から、金属製であることが好ましい。
【0030】
回転シャフト3は、基台2に回転自在に支持されている。回転シャフト3は、鉛直方向に延びている。回転シャフト3の下部は、基台2に収容されており、回転シャフト3の上部は、基台2を貫通して基台2の上方まで延びている。回転シャフト3は、内部に第一中空部3aを有するパイプ状に形成されている。第一中空部3aは、回転シャフト3の両端から開放されている。回転シャフト3の素材は、特に限定されるものではないが、強度保持の観点から、金属製であることが好ましい。
【0031】
モータ4は、基台2に固定されて、回転シャフト3を回転シャフト3の軸線周りに回転駆動する。このため、回転シャフト3の軸線は、回転シャフト3の回転軸線Lと一致する。モータ4は、例えば、動力伝達機構9を介して回転シャフト3を回転駆動する。動力伝達機構9は、例えば、回転シャフト3に固定されたシャフト側プーリ10と、モータ4の回転軸4aに固定されたモータ側プーリ11と、シャフト側プーリ10とモータ側プーリ11とに掛け渡されたベルト12と、を備える。モータ4は、例えば、ブラケット13を介して基台2に固定されている。
【0032】
回転テーブル5は、基台2に対して回転可能となるように回転シャフト3に直接的又は間接的に固定されている。回転テーブル5は、加工対象物Wが載置される作業テーブルである。回転テーブル5は、円盤状に形成されている。天面5aが水平面となるように回転シャフト3の上端部に固定されている。加工対象物Wは、回転テーブル5の天面5aに直接的又は間接的に載置される。回転シャフト3に対する回転テーブル5の固定は、特に限定されるものではないが、回転シャフト3に対する回転テーブル5の固定力を高める観点から、回転テーブル5に補助板14を固定し、回転テーブル5及び補助板14の双方を回転シャフト3の上端部に固定することが好ましい。回転テーブル5の素材は、特に限定されるものではないが、加工精度、強度保持等の観点から、金属製であることが好ましい。
【0033】
回転テーブル5は、第一貫通孔5bを有する。第一貫通孔5bは、回転シャフト3の回転軸線L上かつ回転テーブル5の半径方向中央部に形成されている。そして、第一貫通孔5bは、回転シャフト3の第一中空部3aを回転テーブル5の天面5aに開放する。回転シャフト3は、第一貫通孔5bに挿入されていてもよく、第一貫通孔5bに挿入されていなくてもよい。回転シャフト3が第一貫通孔5bに挿入されている場合、回転シャフト3の上端は、天面5aと面一、又は天面5aから下方に引っ込んだ位置に配置されていることが好ましい。
【0034】
図4は、回転テーブル5の天面5aを示す平面図である。図4に示すように、回転テーブル5の天面5aには、回転シャフト3の回転軸線Lを中心とした同心円状の複数の溝5cが形成されている。溝5cの幅、深さ、数、間隔等、は、特に限定されるものではない。例えば、回転シャフト3の回転軸線L側の複数の溝5cの間隔は、回転シャフト3の回転軸線Lとは反対側の複数の溝5cの間隔よりも狭くてもよい。また、複数の溝5cは、色付けされていてもよい。
【0035】
図1及び図2に示すように、第一吸引パイプ6は、回転シャフト3の第一中空部3aと連通された第二中空部6aを有する。第一吸引パイプ6は、基台2に固定された基台側パイプ部6bと、基台側パイプ部6bに着脱可能に接続される吸引装置側パイプ部6cと、を有する。基台側パイプ部6bは、回転シャフト3の回転軸線Lと交差する方向、例えば、回転シャフト3の回転軸線Lと直交する方向(水平方向)に延びている。基台側パイプ部6bは、ロータ―シール8に接続されており、基台側パイプ部6bの第二中空部6aは、ロータ―シール8を介して回転シャフト3の第一中空部3aと連通されている。吸引装置側パイプ部6cは、第一吸引装置7に接続されている。吸引装置側パイプ部6cは、例えば、陶芸用ろくろ1の使用時にのみ基台側パイプ部4bに接続し、陶芸用ろくろ1の非使用時には基台側パイプ部4bから外しておいてもよい。基台側パイプ部6b及び吸引装置側パイプ部6cの素材は、特に限定されるものではないが、基台側パイプ部6bは、基台2に対する固定を容易に行える観点から、金属製であることが好ましく、吸引装置側パイプ部6cは、第一吸引装置7の設置自由度を高める観点から、柔らかい樹脂製であることが好ましい。
【0036】
図5(a)及び図5(b)は、第一吸引パイプ6の一例を示す断面図である。図5(a)及び図5(b)に示すように、第一吸引パイプ6は、第二中空部6aを開閉可能な開閉窓6dを有する。開閉窓6dは、特に限定されるものではないが、例えば、第一吸引パイプ6に形成された窓穴6eと、第一吸引パイプ6に沿ってスライドすることで窓穴6eを開閉するスライド蓋6fと、により構成することができる。
【0037】
図1及び図2に示すように、第一吸引装置7は、第一吸引パイプ6に接続されて第一吸引パイプ6の第二中空部6aを吸引する装置である。第一吸引装置7は、吸引装置側パイプ部6cに接続されるが、吸引装置側パイプ部6cを用いずに基台側パイプ部6bに接続されてもよい。第一吸引装置7は、吸引力を発生して第二中空部6aを吸引することで、第二中空部6a、回転シャフト3の第一中空部3a、及び回転テーブル5の第一貫通孔5bに、第一吸引装置7に向かう吸引力を発生させることができる。第一吸引装置7としては、例えば、真空ポンプ、掃除機等を用いることができる。
【0038】
ロータ―シール8は、回転シャフト3と第一吸引パイプ6とを連通する。つまり、ロータ―シール8は、回転シャフト3と第一吸引パイプ6との間に配置されて、回転シャフト3の第一中空部3aと第一吸引パイプ6の第二中空部6aとを連通する。ロータ―シール8は、基台2に固定されている。ロータ―シール8には、第一吸引パイプ6が接続されている。また、ロータ―シール8には、回転シャフト3が回転自在に接続されている。このため、回転シャフト3は、ロータ―シール8を介して、基台2に回転自在に支持されている。なお、モータ4と回転シャフト3との距離を一定にするために、ロータ―シール8は、モータ4を固定するブラケット13に固定されていてもよい。ロータ―シール8としては、市販の様々なロータ―シールを用いることができる。
【0039】
制御部100は、第一吸引装置7及びモータ4を制御する制御装置である。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコントローラ(MCU:Micro Control Unit)である。制御部100では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の制御を実行する。
【0040】
制御部100は、第一吸引装置7の作動制御を行う。具体的には、制御部100は、第一吸引装置7を作動させるとともに、作動している第一吸引装置7を停止させる。制御部100には、第一吸引装置7の作動制御を行うための吸引装置用入力装置101が電気的に接続されている。そして、制御部100は、吸引装置用入力装置101の状態に基づいて、第一吸引装置7の作動制御を行う。
【0041】
吸引装置用入力装置101は、オンとオフを切り替えるロータリースイッチである。そして、制御部100は、吸引装置用入力装置101がオン操作されると、第一吸引装置7を作動させ、吸引装置用入力装置101がオフ操作されると、作動している第一吸引装置7を停止させる。
【0042】
制御部100は、モータ4の作動制御を行う。具体的には、制御部100は、モータ4を作動させるとともに、作動しているモータ4を停止させる。また、制御部100は、モータ4の回転速度(回転数)を変更する。制御部100には、モータ4の作動制御を行うための第一モータ用入力装置102、第二モータ用入力装置103、第三モータ用入力装置104、及び第四モータ用入力装置105が電気的に接続されている。そして、制御部100は、第一モータ用入力装置102、第二モータ用入力装置103、第三モータ用入力装置104、及び第四モータ用入力装置105の状態に基づいて、モータ4の作動制御を行う。
【0043】
第一モータ用入力装置102は、オンとオフを切り替えるロータリースイッチ(切り替えスイッチ)である。そして、制御部100は、第一モータ用入力装置102がオン操作されると、モータ4を作動させ、第一モータ用入力装置102がオフ操作されると、作動しているモータ4を停止させる。
【0044】
第二モータ用入力装置103は、例えば、モータ4の回転を無段階に可変するロータリースイッチ(ボリュームスイッチ)である。そして、制御部100は、第二モータ用入力装置103で指示された速度に対応する回転速度でモータ4を回転させる。
【0045】
第三モータ用入力装置104は、モータ4の回転を低速、中速、高速の三段階で切り替えるロータリースイッチ(切り替えスイッチ)である。そして、制御部100は、第三モータ用入力装置104で選択された速度に対応付けられている回転速度でモータ4を回転させる。
【0046】
第四モータ用入力装置105は、モータ4の回転を低速、中速、高速の三段階で切り替えるための入力装置である。第四モータ用入力装置105は、複数のセンサを有する。具体的には、第四モータ用入力装置105は、低速に対応する低速センサ105a、中速に対応する中速センサ105b、及び高速に対応する高速センサ105cを備える。低速センサ105a、中速センサ105b及び高速センサ105cは、人の近接又は接触を検知する近接センサであり、基台2の側面又は底面に互いに離間するように設置されている。そして、制御部100は、低速センサ105aが人の近接又は接触を検知すると、低速センサ105aに対応付けられている低速の回転速度でモータ4を回転させ、中速センサ105bが人の近接又は接触を検知すると、中速センサ105bに対応付けられている中速の回転速度でモータ4を回転させ、高速センサ105cが人の近接又は接触を検知すると、高速センサ105cに対応付けられている高速の回転速度でモータ4を回転させる。
【0047】
なお、制御部100は、上記以外の入力装置に基づいて第一吸引装置7及びモータ4を制御してもよい。例えば、制御部100は、基台2から分離された1又は複数のフットコントローラ(不図示)の操作に基づいて、第一吸引装置7及びモータ4を制御してもよい。
【0048】
次に、陶芸用ろくろ1を用いた加工対象物Wの加工方法の一例について説明する。
【0049】
陶芸用ろくろ1を用いて加工対象物Wを加工する際は、まず、加工対象物Wを回転テーブル5の天面5aに載置し、第一吸引装置7及びモータ4を作動させる。このとき、加工対象物Wを、回転テーブル5の第一貫通孔5bを覆うように回転テーブル5の半径方向中央部に載置する。なお、加工対象物Wの回転テーブル5への載置、第一吸引装置7の作動、モータ4の作動は、何れを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。すると、第一吸引パイプ6の第二中空部6a、ロータ―シール8、回転シャフト3の第一中空部3a、及び回転テーブル5の第一貫通孔5bに第一吸引装置7の吸引力が伝達される。この吸引力により、加工対象物Wが回転テーブル5の天面5aに吸着固定される。また、モータ4の作動により、回転テーブル5が回転シャフト3の回転軸線L周りに回転する。これにより、回転テーブル5に載置された加工対象物Wが回転シャフト3の回転軸線L周りに回転する。そして、ヘラ等で加工対象物Wを削り、加工対象物Wを加工する。
【0050】
このように、本実施形態に係る陶芸用ろくろ1では、回転シャフト3の第一中空部3aが、第一吸引パイプ6の第二中空部6aと連通されるとともに、回転テーブル5の天面5aに開放されている。このため、第一吸引パイプ6を吸引し、第一貫通孔3bを覆うように加工対象物Wを回転テーブル5に載置することで、加工対象物Wを回転テーブル5に吸着固定することができる。これにより、趣味で陶芸を行っている一般人であっても、容易に加工対象物Wを加工することができる。しかも、第一貫通孔3bは、回転シャフト3の回転軸線L上に形成されている。このため、加工対象物Wを回転テーブル5の回転中心に載置しやすくなる。また、第一吸引パイプ6を吸引して加工対象物Wを回転テーブル5の回転中心に載置することで、加工対象物Wを回転テーブルに吸着固定することができる。
【0051】
また、この陶芸用ろくろ1では、第一吸引パイプ6に第一吸引装置7が接続されているため、別途吸引装置を用意しなくても、第一吸引パイプ6を吸引することができる。
【0052】
また、この陶芸用ろくろ1では、第一吸引パイプ6が開閉窓6dを有するため、開閉窓6dを開閉することで、第二中空部6aに発生する吸引力を調整することができる。例えば、盃のように肉厚の薄い低強度の加工対象物Wを加工する場合は、開閉窓6dを開けて吸引力を逃がすことで、吸引力により加工対象物Wが破損するのを抑制することができる。
【0053】
また、この陶芸用ろくろ1では、回転シャフト3の回転軸線Lを中心とした同心円状の複数の溝5cが回転テーブル5に形成されているため、加工対象物Wを回転テーブルの回転中心に載置しやすくなる。
【0054】
また、この陶芸用ろくろ1では、ロータ―シール8により、回転シャフト3の回転を許容しつつ回転シャフト3と第一吸引パイプ6とを連通することができるため、第一吸引パイプ6を吸引することで、回転テーブル5の第一貫通孔5bに適切に吸引力を発生させることができる。
【0055】
また、この陶芸用ろくろ1では、制御部100が第一モータ用入力装置102、第二モータ用入力装置103、第三モータ用入力装置104、及び第四モータ用入力装置105の状態に基づいて、モータ4の作動制御を行うため、モータ4を適切に作動制御することができる。
【0056】
また、この陶芸用ろくろ1では、制御部100が、低速センサ105a、中速センサ105b及び高速センサ105cのうちの人の近接又は接触を検知したセンサに対応付けられている回転速度でモータ4を回転させるため、手動操作を行わずにモータ4の回転速度を変更することができる。
【0057】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aについて説明する。第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aは、基本的に第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1と同様であり、弾性マットを更に備える点のみ第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1と相違する。このため、以下では、第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1と相違する事項のみを説明し、第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1と同様の事項の説明を省略する。
【0058】
図6は、第二実施形態に係る陶芸用ろくろの断面図である。図7は、図6に示す陶芸用ろくろの一部を拡大した断面図である。図6及び図7に示すように、第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aは、基台2と、回転シャフト3と、モータ4と、回転テーブル5と、第一吸引パイプ6と、第一吸引装置7と、ロータ―シール8と、弾性マット15と、を備える。
【0059】
弾性マット15は、回転テーブル5の天面5aに載置される弾性変形可能な部材である。弾性マット15は、回転テーブル5の天面5aと略同径の円盤状に形成されている。弾性マット15の厚みは、特に限定されるものではないが、適度な弾性変形が得られる観点から、2mm以上10mm以下であることが好ましい。弾性マット15の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、シリコンゴムが用いられる。また、弾性マット15は、透光性を有しないものであってもよいが、弾性マット15を介して回転テーブル5の天面5aを視認できる観点から、透光性を有するものであることが好ましい。透光性を有するとは、完全な透明である必要はなく、回転テーブル5の天面5aを僅かに視認できる程度の半透明であってもよい。
【0060】
弾性マット15は、第二貫通孔15aを有する。第二貫通孔15aは、弾性マット15の半径方向中央部に形成されている。第二貫通孔15aの穴径は、特に限定されるものではないが、弾性マット15により回転テーブル5の第一貫通孔5b又は回転シャフト3の第一中空部3aの一部又は全部が塞がれるのを抑制する観点から、第一貫通孔5bの穴径又は第一中空部3aの穴径よりも大きい方が好ましい。
【0061】
次に、陶芸用ろくろ1Aを用いた加工対象物Wの加工方法の一例について説明する。
【0062】
陶芸用ろくろ1Aを用いて加工対象物Wを加工する際は、まず、回転テーブル5の天面5aに弾性マット15を載置して、第二貫通孔15aを第一貫通孔5bに合わせる。そして、加工対象物Wを弾性マット15に載置し、第一吸引装置7及びモータ4を作動させる。すると、第一吸引装置7が発生する吸引力により、加工対象物Wが天面5aに引き寄せられ、加工対象物Wと天面5aとの間に配置された弾性マット15が弾性変形する。これにより、加工対象物Wは、弾性マット15に吸着固定される。そして、ヘラ等で加工対象物Wを削り、加工対象物Wを加工する。
【0063】
このように、本実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aでは、回転テーブル5に円盤状の弾性マット15が載置されるため、加工対象物Wは、弾性マット15を介して回転テーブル5に載置される。そして、弾性マット15の第二貫通孔15aが回転テーブル5の第一貫通孔5b及び回転シャフト3の第一中空部3aに合うように弾性マット15を回転テーブル5に載置し、第一吸引パイプ6を吸引し、第二貫通孔15aを覆うように加工対象物Wを弾性マット15に載置することで、加工対象物Wを弾性マット15に吸着させることができる。また、弾性マット15が弾性変形することで、加工対象物Wと弾性マット15との密着力が高まるため、加工対象物Wがぐらつくのを更に抑制することができる。しかも、第二貫通孔15aが弾性マット15の半径方向中央部に形成されているため、第二貫通孔15aを第一貫通孔5b及び第一中空部3aに容易に合わせることができる。
【0064】
また、この陶芸用ろくろ1Aでは、弾性マット15が透光性を有するため、弾性マット15を介して回転テーブル5の天面5aを視認することができる。このため、弾性マットを介して、回転テーブル5の天面5aに形成された複数の溝5cを視認することができる。これにより、加工対象物Wを所望の位置に載置しやすくなる。
【0065】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bについて説明する。第三実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bは、基本的に第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと同様であり、回転シャフトの形状が異なり、穴径調整部材を更に備える点のみ第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと相違する。このため、以下では、第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと相違する事項のみを説明し、第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと同様の事項の説明を省略する。
【0066】
図8は、第三実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bの一部を示す断面図である。図8に示すように、第三実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bは、基台2(図6参照)と、回転シャフト3Bと、モータ4(図6参照)と、回転テーブル5と、第一吸引パイプ6(図6参照)と、第一吸引装置7(図6参照)と、ロータ―シール8(図6参照)と、弾性マット15と、穴径調整部材16と、を備える。
【0067】
回転シャフト3Bは、基本的に第二実施形態の回転シャフト3と同様であり、第一中空部の形状のみ、第二実施形態の回転シャフト3と相違する。回転シャフト3Bの第一中空部3Baの上端部である上端中空部3Bbは、先端に向かうほど孔径が大きくなる円錐台状に形成されている。
【0068】
穴径調整部材16は、回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入される部材である。本実施形態では、回転シャフト3Bが回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入されているため、穴径調整部材16は、回転シャフト3Bの第一中空部3Baに挿入されることで、回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入される。
【0069】
穴径調整部材16は、第一中空部3Baの上端中空部3Bbに対応する円錐台の筒状に形成されており、半径方向中央部に貫通孔が形成されている。つまり、穴径調整部材16の外径は、穴径調整部材16が第一中空部3Baの上端中空部3Bbに当接するように、一方端部(上端部)に向かうほど大きくなっている。穴径調整部材16の内径は、穴径調整部材16の延在方向の全域において同じである。穴径調整部材16の内径は、回転シャフト3Bの内径よりも小さい。
【0070】
穴径調整部材16の上端位置は、弾性マット15に対する加工対象物Wの吸着固定を阻害しなければ、特に限定されるものではない。例えば、穴径調整部材16の上端は、回転テーブル5の天面5aと面一となる位置であってもよく、回転テーブル5の天面5aから上方に突出した位置であってもよい。
【0071】
次に、陶芸用ろくろ1Bを用いた加工対象物Wの加工方法の一例について説明する。
【0072】
陶芸用ろくろ1Bを用いて加工対象物Wを加工する際は、まず、穴径調整部材16を回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入された回転シャフト3Bの上端中空部3Bbに挿入し、回転テーブル5の天面5aに弾性マット15を載置する。そして、加工対象物Wを弾性マット15に載置し、第一吸引装置7及びモータ4を作動させる。そして、ヘラ等で加工対象物Wを削り、加工対象物Wを加工する。
【0073】
このように、本実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bでは、穴径調整部材16が回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入されることで、第一吸引パイプ6を吸引した際の吸気流路が狭くなる。これにより、吸気の圧力損失が大きくなって吸引力が小さくなる。このため、例えば、盃のように肉厚の薄い低強度の加工対象物Wを加工する場合は、回転テーブル5の第一貫通孔5bに穴径調整部材16を挿入することで、吸引力により加工対象物Wが破損するのを抑制することができる。
【0074】
また、回転シャフト3Bの上端中空部3Bbが、先端に向かうほど孔径が大きくなる円錐台状に形成されており、穴径調整部材16が、第一中空部3Baの上端中空部3Bbに対応する円錐台筒状に形成されている。このため、回転シャフト3Bに対して穴径調整部材16を容易に挿入することができる。また、回転シャフト3Bに対して穴径調整部材16を押し込むことで、回転シャフト3Bから穴径調整部材16が抜けるのを抑制することができる。
【0075】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cについて説明する。第四実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cは、基本的に第三実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bと同様であり、弾性マットを備えず、弾性アタッチメントを更に備える点のみ第三実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bと相違する。このため、以下では、第三実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bと相違する事項のみを説明し、第三実施形態に係る陶芸用ろくろ1Bと同様の事項の説明を省略する。
【0076】
図9は、第四実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cの一部を示す断面図である。図9に示すように、第四実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cは、基台2(図6参照)と、回転シャフト3Bと、モータ4(図6参照)と、回転テーブル5と、第一吸引パイプ6(図6参照)と、第一吸引装置7(図6参照)と、ロータ―シール8(図6参照)と、穴径調整部材16と、弾性アタッチメント17と、を備える。
【0077】
図10は、穴径調整部材16及び弾性アタッチメント17の断面図である。図9及び図10に示すように、弾性アタッチメント17は、回転テーブル5及び穴径調整部材16から突出するように穴径調整部材16に取り付けられる弾性変形可能な部材である。弾性アタッチメント17は、円筒状に形成されており、半径方向中央部に貫通孔が形成されている。弾性アタッチメント17の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、シリコンゴムが用いられる。弾性アタッチメント17は、円筒部17aと、円錐筒部17bと、を有する。
【0078】
円筒部17aは、延在方向の全域にわたって内径及び外径が変わらない円筒状に形成されている。そして、穴径調整部材16に対して円筒部17aを着脱可能に取り付けることができるように、円筒部17aの外径は、穴径調整部材16の内径と略同一となっている。
【0079】
円錐筒部17bは、円筒部17aから円錐状に拡径されながら延びている。円錐筒部17bの最大外径は、穴径調整部材の内径よりも大きくなっている。
【0080】
次に、陶芸用ろくろ1Cを用いた加工対象物Wの加工方法の一例について説明する。
【0081】
陶芸用ろくろ1Cを用いて加工対象物Wを加工する際は、まず、弾性アタッチメント17を穴径調整部材16に取り付け、穴径調整部材16を回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入された回転シャフト3Bの上端中空部3Bbに挿入する。そして、加工対象物Wを弾性アタッチメント17に載置し、第一吸引装置7及びモータ4を作動させる。すると、第一吸引装置7が発生する吸引力により、加工対象物Wが弾性アタッチメント17に引き寄せられに、弾性アタッチメント17が弾性変形する。これにより、加工対象物Wは、弾性マット15に吸着固定される。そして、ヘラ等で加工対象物Wを削り、加工対象物Wを加工する。
【0082】
このように、本実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cでは、弾性アタッチメント17が回転テーブル5及び穴径調整部材16から突出するように穴径調整部材16に取り付けられるため、弾性アタッチメント17に加工対象物Wを載置することができる。そして、弾性アタッチメント17は、円筒状に形成されているため、第一吸引パイプ6を吸引するとともに、弾性アタッチメント17を覆うように加工対象物Wを弾性アタッチメント17に載置することで、加工対象物Wを弾性アタッチメント17に吸着させることができる。しかも、弾性アタッチメント17が弾性変形することで、加工対象物Wと弾性アタッチメント17との密着力が高まるため、加工対象物Wがぐらつくのを更に抑制することができる。
【0083】
また、この陶芸用ろくろ1Cでは、円筒部17aを穴径調整部材16に挿入することで、円錐筒部が回転テーブル及び穴径調整部材から突出した状態で、弾性アタッチメント17を穴径調整部材16に取り付けることができる。しかも、円錐筒部17bは、円筒部17aから円錐状に拡径されながら延びるため、弾性アタッチメント17に載置した加工対象物Wのぐらつきを抑制することができる。
【0084】
[第五実施形態]
次に、第五実施形態に係る陶芸用ろくろ1Dについて説明する。第五実施形態に係る陶芸用ろくろ1Dは、基本的に第四実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cと同様であり、第二実施形態の弾性テーブルを更に備え、穴径調整部材の高さ位置が異なる点のみ第四実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cと相違する。このため、以下では、第四実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cと相違する事項のみを説明し、第四実施形態に係る陶芸用ろくろ1Cと同様の事項の説明を省略する。
【0085】
図11は、第五実施形態に係る陶芸用ろくろ1Dの一部を示す断面図である。図11に示すように、第五実施形態に係る陶芸用ろくろ1Dは、基台2(図6参照)と、回転シャフト3Bと、モータ4(図6参照)と、回転テーブル5と、第一吸引パイプ6(図6参照)と、第一吸引装置7(図6参照)と、ロータ―シール8(図6参照)と、弾性マット15と、穴径調整部材16と、弾性アタッチメント17と、を備える。
【0086】
弾性マット15は、第二実施形態と同様のものである。そして、弾性アタッチメント17の上端が、弾性マット15よりも上方に突出した位置となっている。例えば、穴径調整部材16の上端が、回転テーブル5の天面5aから上方に突出した位置となることで、弾性アタッチメント17の上端が弾性マット15よりも上方に突出した位置となっていてもよい。また、弾性アタッチメント17の円錐筒部17bの長さが弾性マット15の厚みよりも長いことで、弾性アタッチメント17の上端が弾性マット15よりも上方に突出した位置となっていてもよい。
【0087】
次に、陶芸用ろくろ1Dを用いた加工対象物Wの加工方法の一例について説明する。
【0088】
陶芸用ろくろ1Dを用いて加工対象物Wを加工する際は、まず、弾性アタッチメント17を穴径調整部材16に取り付け、穴径調整部材16を回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入された回転シャフト3Bの上端中空部3Bbに挿入し、弾性マット15を回転テーブル5の天面5aに載置する。そして、加工対象物Wを弾性アタッチメント17に載置し、第一吸引装置7及びモータ4を作動させる。すると、第一吸引装置7が発生する吸引力により、加工対象物Wが弾性アタッチメント17に吸着固定される。そして、ヘラ等で加工対象物Wを削り、加工対象物Wを加工する。
【0089】
このように、本実施形態に係る陶芸用ろくろ1Dでは、弾性アタッチメント17の上端が、弾性マット15よりも上方に突出した位置となっているため、加工対象物Wを弾性アタッチメント17に載置して吸着固定することができる。
【0090】
また、この陶芸用ろくろ1Dでは、弾性マット15を備えるため、弾性アタッチメント17に載置した加工対象物Wがぐらついたとしても、加工対象物Wが回転テーブル5に直接的に衝突して破損するのを抑制することができる。
【0091】
[第六実施形態]
次に、第六実施形態に係る陶芸用ろくろ1Eについて説明する。第六実施形態に係る陶芸用ろくろ1Eは、基本的に第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと同様であり、嵩上部材を更に備える点のみ第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと相違する。このため、以下では、第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと相違する事項のみを説明し、第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと同様の事項の説明を省略する。
【0092】
図12は、第六実施形態に係る陶芸用ろくろ1Eの断面図である。図13は、図12に示す陶芸用ろくろ1Eの一部を拡大した断面図である。図12及び図13に示すように、第六実施形態に係る陶芸用ろくろ1Eは、基台2と、回転シャフト3と、モータ4と、回転テーブル5と、第一吸引パイプ6と、第一吸引装置7と、ロータ―シール8と、弾性マット15と、嵩上部材18と、を備える。
【0093】
嵩上部材18は、回転テーブル5の天面5aに直接的又は間接的に載置される加工対象物Wの高さ位置を高くするために、回転テーブル5の天面5aに載置される部材である。嵩上部材18は、内部に第三中空部18aを有するドーム状に形成されている。嵩上部材18の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、加工対象物Wと同様に、石膏や、成型した粘土を乾燥させた乾燥成形体等が挙げられる。嵩上部材18は、嵩上部材18の下部中央に形成されて第三中空部18aを下方に開放する下部開口18bと、嵩上部材18の上部中央に形成されて第三中空部18aを上方に開放する上部開口18cと、を有する。つまり、嵩上部材18の第三中空部は、下部開口18b及び上部開口18cを通って嵩上部材18を貫通している。
【0094】
嵩上部材18には、円形リング18dが取り付けられている。円形リング18dは、加工対象物Wを握り付ける際の緩衝材として作用するとともに、加工対象物Wに密着して吸着力を保持するための部材である。円形リング18dは、ゴム等の弾性変形可能な部材により形成されている。円形リング18dは、例えば、嵩上部材18の上面に形成された円環状の凹部に埋め込まれて、接着剤等で嵩上部材18に固定されている。嵩上部材18に対する円形リング18dの固定位置は、特に限定されるものではないが、加工対象物Wと嵩上部材18とが直接接触しないように、嵩上部材18の上面の外周側であることが好ましい。円形リング18dは、嵩上部材18の上面の外周縁に固定されていてもよい。
【0095】
下部開口18bの内径は、回転テーブル5の第一貫通孔5bよりも大径となっている。上部開口18cの内径は、特に限定されるものではないが、下部開口18bの内径より小さいことが好ましい。
【0096】
次に、陶芸用ろくろ1Eを用いた加工対象物Wの加工方法の一例について説明する。
【0097】
陶芸用ろくろ1Eを用いて加工対象物Wを加工する際は、まず、回転テーブル5の天面5aに弾性マット15を載置し、弾性マット15に嵩上部材18を載置して嵩上部材18の下部開口18bで回転テーブル5の第一貫通孔5bを覆う。そして、加工対象物Wが嵩上部材18の上部開口18cを覆うように加工対象物Wを嵩上部材18に載置し、第一吸引装置7及びモータ4を作動させる。すると、嵩上部材18の上部開口18cに吸引力が発生し、この吸引力により加工対象物Wが嵩上部材18に吸着固定される。そして、ヘラ等で加工対象物Wを削り、加工対象物Wを加工する。
【0098】
このように、本実施形態に係る陶芸用ろくろ1Eでは、回転テーブル5に載置されて内部に第三中空部18aを有する嵩上部材18が、第三中空部18aを下方及び上方に開放する下部開口18b及び上部開口18cを有し、下部開口18bの内径が回転テーブル5の第一貫通孔5bよりも大径である。このため、下部開口18bで第一貫通孔5bを覆うように嵩上部材18を回転テーブル5に載置し、上部開口18cを覆うように加工対象物Wを嵩上部材18に載置することで、加工対象物Wを回転テーブル5より高い位置で吸着固定することができる。これにより、加工対象物Wの加工容易性を向上することができる。
【0099】
[第七実施形態]
次に、第七実施形態に係る陶芸用ろくろ1Fについて説明する。第七実施形態に係る陶芸用ろくろ1Fは、基本的に第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと同様であり、吸引用カバー、第二吸引パイプ、及び第二吸引装置を更に備える点のみ第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと相違する。このため、以下では、第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと相違する事項のみを説明し、第二実施形態に係る陶芸用ろくろ1Aと同様の事項の説明を省略する。
【0100】
図14は、第七実施形態に係る陶芸用ろくろ1Fの断面図である。図15は、図14に示す陶芸用ろくろの平面図である。図14及び図15に示すように、第七実施形態に係る陶芸用ろくろ1Fは、基台2と、回転シャフト3と、モータ4と、回転テーブル5と、第一吸引パイプ6と、第一吸引装置7と、ロータ―シール8と、弾性マット15と、吸引用カバー19と、第二吸引パイプ20と、第二吸引装置21と、を備える。
【0101】
吸引用カバー19は、回転テーブル5を収容する収容空間Sを形成する。収容空間Sは、吸引用カバー19及び基台2により形成される。吸引用カバー19は、加工対象物Wの削り粉を吸引するための部材である。吸引用カバー19は、胴部19aと、隙間形成部19bと、第一開口19cと、第二開口19dと、を有する。
【0102】
胴部19aは、吸引用カバー19の本体を成す部位である。胴部19aは、回転テーブル5の周囲を囲むように、基台2から回転テーブル5よりも高い位置まで延びている。胴部19aの形状は、特に限定されるものではなく、例えば、上下方向にまっすぐ延びる円筒状又は角筒状であってもよく、上下方向で径が異なるように屈曲又は湾曲しながら延びる変形円筒状又は変形角筒状であってもよい。
【0103】
図16は、図14に示す陶芸用ろくろの一部を拡大した断面図である。図14図16に示すように、隙間形成部19bは、加工対象物Wの削り粉を吸引するために、回転テーブル5の天面5aの外周部5eの上方に配置されて外周部5eとの間に隙間Gを形成する。外周部5eは、天面5aの全周にわたる環状領域である。隙間形成部19bと外周部5eとの対向方向における隙間Gの長さAは、特に限定されるものではないが、加工対象物Wの削り粉を効率的に吸引できる観点から、1mm以上30mm以下とすることが好ましい。なお、弾性マット15は、外周部5eと隙間形成部19bとの間に配置されているため、天面5aの外周部5eと隙間形成部19bとの間の隙間Gは、弾性マット15から隙間形成部19bまでの空間となる。また、天面5aの半径方向における外周部5eの幅B(天面5aの半径方向の幅)は、特に限定されるものではないが、加工対象物Wの削り粉を効率的に吸引できる観点から、1mm以上30mm以下とすることが好ましい。隙間形成部19bは、例えば、胴部19aの上端から胴部19aの内側に向けて、回転テーブル5の天面5aと平行に延びている。
【0104】
第一開口19cは、回転テーブル5の天面5aの中央部5fの上方に形成された吸引用カバー19の開口である。中央部5fは、外周部5eに囲まれる部分であって、加工対象物Wが載置される部分である。第一開口19cは、例えば、隙間形成部19bにより形成される。つまり、隙間形成部19bは、胴部19aの上端から天面5aの外周部5eの上方まで延びており、隙間形成部19bの内周側が、第一開口19cとなっている。
【0105】
第二開口19dは、収容空間Sを吸引するために、収容空間Sを開放する開口である。第二開口19dの形成位置は、特に限定されるものではないが、第二開口19dを容易に形成できる観点から、胴部19aに形成されていることが好ましい。
【0106】
なお、吸引用カバー19は、基台2に単に載置されるだけのものであってもよく、基台2に載置されて位置決めされるものであってもよく、基台2に着脱可能に取り付けられるものであってもよく、基台2に固定されるものであってもよい。
【0107】
第二吸引パイプ20は、吸引用カバー19又は基台2に接続されて、第二開口19dに連通されている。第二開口19dが胴部19aに形成されている場合は、第二吸引パイプ20も胴部19aに接続される。なお、第二吸引パイプ20は、吸引用カバー19又は基台2に固定されていてもよく、着脱可能に接続されていてもよい。
【0108】
図17は、第二吸引装置により発生する気流を示した断面図である。図14図17に示すように、第二吸引装置21は、第二吸引パイプ20に接続されて第二吸引パイプ20を吸引する装置である。第二吸引装置21は、吸引力を発生して第二吸引パイプ20を吸引することで、第二開口19d、収容空間S、及び隙間Gに吸引力を発生させることができる。この吸引力により、回転テーブル5の周囲から、隙間G、収容空間S、及び第二吸引パイプ20に向かって流れる気流が発生する。第二吸引装置21としては、例えば、真空ポンプ、掃除機等を用いることができる。また、第一吸引装置7を、第二吸引装置21として兼用してもよい。つまり、第一吸引装置7及び第二吸引装置21を一つの吸引装置で実現してもよい。なお、第二吸引装置21は、制御部100(図1参照)により作動制御される。
【0109】
次に、陶芸用ろくろ1Fを用いた加工対象物Wの加工方法の一例について説明する。
【0110】
陶芸用ろくろ1Fを用いて加工対象物Wを加工する際は、まず、弾性マット15を回転テーブル5の天面5aに載置し、基台2に吸引用カバー19を設置する。そして、加工対象物Wを弾性マット15に載置し、第一吸引装置7、第二吸引装置21及びモータ4を作動させる。すると、第一吸引装置7が発生する吸引力により、加工対象物Wが弾性アタッチメント17に吸着固定される。そして、ヘラ等で加工対象物Wを削り、加工対象物Wを加工すると、加工対象物Wの削り粉が弾性マット15又は弾性マット15の上方に飛散しようとする。しかしながら、第二吸引装置21が発生する吸引力により、加工対象物Wの削り粉が、隙間形成部19bと天面5aとの間の隙間Gから収容空間Sに吸い込まれ、更に収容空間Sから第二吸引パイプ20を通って第二吸引装置21に吸引される。
【0111】
このように、本実施形態に係る陶芸用ろくろ1Fでは、回転テーブル5が吸引用カバー19に収容されているが、吸引用カバー19の第一開口19cにより、回転テーブル5の天面5aの中央部5fが上方に開放されているため、天面5aの中央部5fに加工対象物Wを載置して、加工対象物Wを加工することができる。そして、隙間形成部19bと外周部5eとの間に隙間Gが形成されており、収容空間Sが第二開口19dにおいて開放されている。このため、第二開口19dから収容空間Sを吸引することで、加工対象物Wの削り粉を、隙間形成部19bと外周部5eとの間の隙間Gから収容空間Sに吸引することができる。これにより、加工対象物Wの削り粉が回転テーブルの周囲に飛散するのを抑制することができる。
【0112】
また、この陶芸用ろくろ1Fでは、隙間形成部19bと外周部5eとの対向方向における隙間の長さAが1mm以上30mm以下であるため、加工対象物Wの削り粉の吸引効率を高めることができる。
【0113】
また、この陶芸用ろくろ1Fでは、天面5aの半径方向における外周部5eの幅Bが1mm以上30mm以下であるため、加工対象物Wの削り粉の吸引効率を高めることができる。
【0114】
また、この陶芸用ろくろ1Fでは、吸引用カバー19の第二開口19dに第二吸引パイプ20が連通されているとともに、第二吸引パイプ20に第二吸引装置21が接続されているため、別途吸吸引パイプ及び引装置を用意しなくても、加工対象物Wの削り粉を隙間形成部19bと天面5aとの間の隙間Gから収容空間Sに吸引することができる。
【0115】
[第八実施形態]
次に、第八実施形態に係る陶芸用ろくろ1Gについて説明する。第八実施形態に係る陶芸用ろくろ1Gは、基本的に第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1と同様であり、回転シャフトの形状が異なり、蓋を備える点のみ第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1と相違する。このため、以下では、第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1と相違する事項のみを説明し、第一実施形態に係る陶芸用ろくろ1と同様の事項の説明を省略する。
【0116】
図18は、第八実施形態に係る陶芸用ろくろ1Gの一部を示す断面図である。図18に示すように、第八実施形態に係る陶芸用ろくろ1Gは、基台2(図6参照)と、回転シャフト3Gと、モータ4(図6参照)と、回転テーブル5と、第一吸引パイプ6(図6参照)と、第一吸引装置7(図6参照)と、ロータ―シール8(図6参照)と、蓋22と、を備える。
【0117】
回転シャフト3Gは、第三実施形態の回転シャフト3B(図8参照)と同様であり、回転シャフト3Gの第一中空部3Gaの上端部である上端中空部3Gbが、先端に向かうほど孔径が大きくなる円錐台状に形成されている。
【0118】
蓋22は、回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入された回転シャフト3Gの上端中空部3Gbに挿入されて、第一貫通孔5b及び第一中空部3Gaを塞ぐ部材である。蓋22は、第一中空部3Gaの上端中空部3Gbに対応する円錐台状に形成されている。つまり、蓋22の外径は、蓋22が第一中空部3Gaの上端中空部3Gbに当接するように、一方端部(上端部)に向かうほど大きくなっている。
【0119】
次に、陶芸用ろくろ1Gを用いた加工対象物Wの加工方法の一例について説明する。
【0120】
陶芸用ろくろ1Gを用いて加工対象物Wを加工する際は、まず、蓋22を回転テーブル5の第一貫通孔5bに挿入された回転シャフト3Gの上端中空部3Gbに挿入する。そして、加工対象物Wを回転テーブル5に載置し、第一吸引装置7を作動させずに、加工対象物Wを加工する。このとき、モータ4を作動させて加工対象物Wを加工してもよい。
【0121】
このように、本実施形態に係る陶芸用ろくろ1Gでは、蓋22により回転テーブル5の第一貫通孔5b及び回転シャフト3Gの第一中空部3Gaが塞がれるため、第一吸引装置7により吸引力を発生させない場合に、加工対象物W等が第一貫通孔5b及び第一中空部3Gaに入り込んだり落下したりするのを防止することができる。
【0122】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、各実施形態の各構成は、他の実施形態の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0123】
1…陶芸用ろくろ、1A…陶芸用ろくろ、1B…陶芸用ろくろ、1C…陶芸用ろくろ、1D…陶芸用ろくろ、1E…陶芸用ろくろ、1F…陶芸用ろくろ、1G…陶芸用ろくろ、2…基台、3…回転シャフト、3a…第一中空部、3b…第一貫通孔、3B…回転シャフト、3Ba…第一中空部、3Bb…上端中空部、3G…回転シャフト、3Ga…第一中空部、3Gb…上端中空部、4…モータ、4a…回転軸、4b…基台側パイプ部、5…回転テーブル、5a…天面、5b…第一貫通孔、5c…溝、5e…外周部、5f…中央部、6…第一吸引パイプ、6a…第二中空部、6b…基台側パイプ部、6c…吸引装置側パイプ部、6d…開閉窓、6e…窓穴、6f…スライド蓋、7…第一吸引装置、8…シール、9…動力伝達機構、10…シャフト側プーリ、11…モータ側プーリ、12…ベルト、13…ブラケット、14…補助板、15…弾性マット、15a…第二貫通孔、16…穴径調整部材、17…弾性アタッチメント、17a…円筒部、17b…円錐筒部、18…嵩上部材、18a…第三中空部、18b…下部開口、18c…上部開口、18d…円形リング、19…吸引用カバー、19a…胴部、19b…隙間形成部、19c…第一開口、19d…第二開口、20…第二吸引パイプ、21…第二吸引装置、22…蓋、100…制御部、101…吸引装置用入力装置、102…第一モータ用入力装置、103…第二モータ用入力装置、104…第三モータ用入力装置、105…第四モータ用入力装置、105a…低速センサ、105b…中速センサ、105c…高速センサ、A…長さ、B…幅、G…隙間、L…回転軸線、S…収容空間、W…加工対象物。
図1
図2
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