(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133335
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20230914BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20230914BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
B81B3/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114405
(22)【出願日】2023-07-12
(62)【分割の表示】P 2019014755の分割
【原出願日】2019-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大幾
(72)【発明者】
【氏名】藁科 禎久
(57)【要約】
【課題】ミラーユニットの傾きを抑制可能な光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュール100は、ミラーユニット40と、磁石部50と、磁石部50を保持するパッケージ60と、を備える。磁石部50は、第1磁石51と第2磁石52とを含むハルバッハ構造を有する。パッケージ60は、第1磁石51に作用する力、及び、第2磁石52に作用する力に抗して磁石部50を一体に保持している。ミラーユニット40は、パッケージ60により磁石部50の上面50a上に支持されている。上面50aとミラーユニット40との間には、磁石部50からの応力を緩和するための緩和層80が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを含む可動ミラー部を有するミラーユニットと、
上面及び底面と前記上面から前記底面に延びる側面とを有し、前記可動ミラー部に作用する磁界を発生させる磁石部と、
前記磁石部を保持する保持部材と、
を備え、
前記磁石部は、前記上面から前記底面に向かう第1方向に力が作用する第1磁石と、前記底面から前記上面に向かう第2方向に力が作用する第2磁石と、を含むハルバッハ構造を有し、
前記保持部材は、前記上面を支持する規制部と、前記底面を支持する底壁部と、前記側面を支持し、前記規制部と前記底壁部とを接続する側壁部と、を有し、
前記保持部材は、前記第1方向に前記第1磁石に作用する力、及び、前記第2方向に前記第2磁石に作用する力に抗して前記磁石部を一体に保持しており、
前記ミラーユニットは、前記保持部材により前記上面上に支持されており、
前記上面と前記ミラーユニットとの間には、前記磁石部からの応力を緩和するための緩和層が設けられており、
前記緩和層は、前記上面上に形成された空気層を含む、
光モジュール。
【請求項2】
前記規制部は、前記緩和層の少なくとも一部を構成している、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記規制部は、前記上面と前記側面との接続部分から前記上面の内側に向けて延在すると共に、前記上面上に内縁を有しており、
前記緩和層は、前記規制部と、前記内縁によって規定される空間に形成された前記空気層と、によって構成されている、
請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記規制部は、前記側壁部と一体に形成されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記規制部は、前記上面に交差する方向からみて前記上面を覆うように前記上面上に設けられ、前記上面に接触する接触部を有し、
前記接触部は、前記側壁部に接続されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記上面に交差する方向における前記接触部の厚さは、前記上面に沿う方向における前記側壁部の厚さよりも薄い、
請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記緩和層は、前記接触部と、前記上面及び前記接触部上に形成された前記空気層と、を含む、
請求項5又は6に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記ミラーユニットは、前記上面に交差する方向からみて、前記第1磁石に重複しない位置において前記保持部材により支持されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記緩和層は、前記磁石部のヤング率よりも低いヤング率の部分を含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記規制部は、前記上面と前記側面との接続部分から前記上面の内側に向けて延在すると共に、前記上面上に内縁を有しており、前記磁石部の前記上面の一部を露出している、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記上面に交差する方向からみて、前記ミラーユニットの外縁は、前記磁石部の外縁よりも内側に位置している、
請求項1~10のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記磁石部は、前記第1磁石を挟むように配置された一対の前記第2磁石を含み、
前記ミラーユニットは、前記上面のうちの前記一対の第2磁石のそれぞれに対応するエリアにおいて、前記保持部材により支持されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プレーナ型アクチュエータが記載されている。このプレーナ型アクチュエータは、デバイス基板上に設置された枠状の固定部を備えている。固定部の内側には、支持梁としてのトーションバーを介して可動部が揺動自在に支持されている。また、固定部の周囲には、枠状のヨークが設置されており、このヨークの内側には、可動部を挟んで対向配置される一対の磁界発生手段が設置されている。固定部の駆動コイル部分には、磁界発生手段の斜め磁場が働くようにされている。
【0003】
このプレーナ型アクチュエータにおいては、可動部の駆動コイルに電流を流すと磁界が発生し、この磁界と磁界発生手段による静磁界との相互作用によりローレンツ力が発生する。これにより、トーションバーの軸方向と平行な可動部の対辺部分に互いに逆方向の回転力が発生し、この回転力とトーションバーの復元力とが釣合う位置まで可動部が揺動される。そして、駆動コイルに交流電流を流すことにより、可動部が揺動し、反射ミラーにより光ビームを偏向走査できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたプレーナ型アクチュエータにおいては、磁界発生手段の上端面に対して、磁界発生手段を連結して保持する保持手段としての保持板が接着剤等により取付けられ、磁界発生手段の強固な保持を図っている。ところで、このプレーナ型アクチュエータのように、可動部を支持するデバイス基板と磁界発生手段とが接触している状態であると、磁界発生手段の熱膨張による応力がデバイス基板及び可動部に作用する。その結果、デバイス基板及び可動部に意図しない傾きが発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、ミラーユニットの傾きを抑制可能な光モジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を進める中で、次のような知見を得た。すなわち、上述したような光モジュールにあっては、磁界発生手段として、ハルバッハ配列の複数の磁石を用いることが考えられる。ハルバッハ配列の磁石においては、その熱膨張の方向が磁化の向きによって異なる。このため、磁石に接する部材に対して複雑な応力が磁石から作用し得る。したがって、特にハルバッハ配列の磁石を用いた場合には、ミラーユニットの傾きを抑制するに際して、磁石からの応力のミラーユニットへの伝達を抑制することがより重要となる。本発者は、以上のような知見に基づいて更なる研究を重ねることにより、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る光モジュールは、コイルを含む可動ミラー部を有するミラーユニットと、上面及び底面と上面から底面に延びる側面とを有し、可動ミラー部に作用する磁界を発生させる磁石部と、磁石部を保持する保持部材と、を備え、磁石部は、上面から底面に向かう第1方向に力が作用する第1磁石と、底面から上面に向かう第2方向に力が作用する第2磁石と、を含むハルバッハ構造を有し、保持部材は、第1方向に第1磁石に作用する力、及び、第2方向に第2磁石に作用する力に抗して磁石部を一体に保持しており、ミラーユニットは、保持部材により上面上に支持されており、上面とミラーユニットとの間には、磁石部からの応力を緩和するための緩和層が設けられている。
【0009】
この光モジュールにおいては、ミラーユニットの可動ミラー部に作用する磁界を発生させる磁石部が、第1磁石と第2磁石とを含むハルバッハ構造を有している。このような磁石部は、保持部材によって、第1磁石及び第2磁石に作用する力に抗して一体に保持されている。ミラーユニットは、この保持部によって、磁石部の上面上に支持されている。そして、磁石部の上面とミラーユニットとの間には、磁石部からの応力を緩和するための緩和層が設けられている。したがって、このようなハルバッハ構造の磁石部を用いた光モジュールにおいて、磁石部からミラーユニットへの応力の伝達が抑制され、ミラーユニットの傾きが抑制される。
【0010】
本発明に係る光モジュールにおいては、保持部材は、上面上に位置し、第2方向への磁石部の移動を規制するための規制部を有し、ミラーユニットは、規制部に支持されていてもよい。この場合、磁石部が保持部材によって確実に一体に保持され得る。また、ミラーユニットが、磁石部の上面上の規制部に支持されるので、上面とミラーユニットとの間に緩和層を設けることが容易となる。
【0011】
本発明に係る光モジュールにおいては、規制部は、緩和層の少なくとも一部を構成していてもよい。この場合、緩和層の少なくとも一部を規制部と共通化できる。
【0012】
本発明に係る光モジュールにおいては、規制部は、上面とミラーユニットとの間を充填しており、緩和層の全体を構成していてもよい。この場合、規制部と緩和層の全体とを共通化できる。
【0013】
本発明に係る光モジュールにおいては、規制部は、上面と側面との接続部分から上面の内側に向けて延在すると共に、上面上に内縁を有しており、緩和層は、規制部と、内縁によって規定される空間に形成された空気層と、によって構成されていてもよい。この場合、規制部によって磁石部の移動を規制しつつ、磁石部からミラーユニットへの応力の伝達を空気層によって確実に抑制可能である。
【0014】
本発明に係る光モジュールにおいては、保持部材は、側面を支持する側壁部を有し、規制部は、側壁部と一体に形成されていてもよい。この場合、規制部を含む保持部材の構成が簡略化される。
【0015】
本発明に係る光モジュールにおいては、保持部材は、側面を支持する側壁部を有し、規制部は、上面に交差する方向からみて上面を覆うように上面上に設けられ、上面に接触する接触部を有し、接触部は、側壁部に接続されていてもよい。この場合、磁石部の上面を接触しつつ覆う接触部が側壁部に接続されることにより、磁石部をより強固に保持できる。
【0016】
本発明に係る光モジュールにおいては、上面に交差する方向における接触部の厚さは、上面に沿う方向における側壁部の厚さよりも薄くてもよい。この場合、ミラーユニットと磁石部との間の距離が小さくなるので、ミラーユニットにおいて磁石部の磁界を効率的に利用できる。この結果、消費電力を低減可能である。
【0017】
本発明に係る光モジュールにおいては、緩和層は、接触部と、上面及び接触部上に形成された空気層と、を含んでもよい。この場合、接触部によって磁石部を強固に保持しつつ、磁石部からミラーユニットへの応力の伝達を空気層によって確実に抑制可能である。
【0018】
本発明に係る光モジュールにおいては、ミラーユニットは、上面に交差する方向からみて、第1磁石に重複しない位置において保持部材により支持されていてもよい。この場合、第2磁石部に熱膨張が生じたとしても、ミラーユニットが傾きにくい。
【0019】
本発明に係る光モジュールにおいては、緩和層は、磁石部のヤング率よりも低いヤング率の部分を含んでもよい。このように、磁石部のヤング率よりも低いヤング率の部分を含む緩和層によって、磁石部からミラーユニットへの応力の伝達を抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ミラーユニットの傾きを抑制可能な光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る光モジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された光モジュールの平面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線に沿っての模式的な断面図である。
【
図4】
図1に示されるMEMSミラーの平面図である。
【
図6】本実施形態に係る光モジュールの断面図である。
【
図7】第1変形例に係る光モジュールを示す図である。
【
図8】第2変形例に係る光モジュールを示す図である。
【
図9】第3変形例に係る光モジュールを示す斜視図である。
【
図10】第4変形例に係る光モジュールを示す斜視図である。
【
図11】第5変形例に係る光モジュールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、同一の要素同士、または、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
[第1実施形態]
【0023】
図1は、本実施形態に係る光モジュールを示す斜視図である。
図2は、
図1に示された光モジュールの平面図である。
図3は、
図2におけるIII-III線に沿っての模式的な断面図である。
図5は、磁石部及びパッケージを示す図である。
図1~3,5に示される光モジュール100は、ミラーユニット40と、磁石部50と、パッケージ60(保持部材)と、を備えている。ミラーユニット40は、電磁駆動方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー1と、MEMSミラー1を収容するミラーパッケージ41を有している。ミラーパッケージ41は、ベース42と、側壁43と、窓材44と、を有している。
【0024】
ベース42は、例えば、窒化アルミニウム又は酸化アルミニウム等の非磁性材料によって矩形板状に形成されている。側壁43は、例えば、窒化アルミニウム又は酸化アルミニウム等の非磁性材料によって矩形筒状に形成されている。窓材44は、例えば、ガラス等の透光性材料によって形成された矩形板状の基材の両表面に反射防止膜が形成されることで、構成されている。
【0025】
窓材44は、側壁43の一方の開口を気密に封止するように、例えば低融点ガラス等の接合材によって側壁43に接合されている。ベース42は、側壁43の他方の開口を気密に封止するように、例えば低融点ガラス等の接合材によって側壁43に接合されている。窓材44と側壁43との接合、及び、側壁43とベース42との接合としては、低融点ガラスを用いた接合以外にも、例えば、樹脂接着剤、低温はんだ(Sn/Pb、Sn/Cu系)、低温ロウ材(Au/Sn合金、Au/Ge合金等)、高温ロウ材(Ag系等)、プロジェクション溶接、シームシール溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接等を用いた封止でもよい。窓材44及び側壁43の一方の開口(すなわち、窓材44によって封止される開口)は、ベース42に対向している。ベース42と側壁43とは、非磁性材料によって一体的に形成されていてもよい。
【0026】
MEMSミラー1が有する支持部2は、例えば樹脂によってベース42の内側表面42a(ベース42の表面のうちミラーパッケージ41の内面を構成する面)に取り付けられている。磁石部50は、ベース42の外側表面42b(ベース42の表面のうちミラーパッケージ41の外面を構成する面)に対向するように、パッケージ60に収容されている。磁石部50は、パッケージ60の一部、及び、ベース42を介して、MEMSミラー1が有する第1可動部3と対向している。MEMSミラー1及び磁石部50については、後に詳述する。
【0027】
図4は、
図1に示されるMEMSミラーの平面図である。
図4に示されるように、MEMSミラー1は、支持部2と、第1可動部(可動部)3、第2可動部(可動部)4、一対の第1連結部5、一対の第2連結部6、及び、ミラー7を含む可動ミラー部10と、を有している。支持部2、第1可動部3、第2可動部4、一対の第1連結部5及び一対の第2連結部6は、例えばシリコンによって一体的に形成されている。
【0028】
第1可動部3は、例えば矩形板状に形成されている。第2可動部4は、光軸方向Aから見た場合に隙間を介して第1可動部3を囲むように、例えば矩形環状に形成されている。支持部2は、光軸方向Aから見た場合に隙間を介して第2可動部4を囲むように、例えば矩形枠状に形成されている。つまり、支持部2は、光軸方向Aから見た場合に第1可動部3及び第2可動部4を囲むように枠状に形成されている。
【0029】
第1可動部3は、第1軸線X1周りに揺動可能となるように、一対の第1連結部5を介して第2可動部4に連結されている。つまり、第1可動部3は、支持部2において第1軸線X1周りに揺動可能となるように支持されている。第1可動部3は、第1部分31と、第2部分32と、を含んでいる。第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に例えば円形状に形成されている。第2部分32は、光軸方向Aから見た場合に例えば矩形環状に形成されている。第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に第2部分32に囲まれており、複数(ここでは2つ)の接続部分33を介して第2部分32と接続されている。つまり、第1部分31と第2部分32との間には、複数の接続部分33を除いて隙間が形成されている。
【0030】
接続部分33は、例えば、矩形状の第2部分32の内縁のうち第2軸線X2に交差する2辺の中央部に位置している。すなわち、接続部分33は、ここでは、第2軸線X2上に位置している。第1部分31は、少なくとも第2軸線X2に沿った方向において第2部分32に接続されていればよい。第2可動部4は、第2軸線X2周りに揺動可能となるように、一対の第2連結部6を介して支持部2に連結されている。つまり、第2可動部4は、支持部2において第2軸線X2周りに揺動可能となるように支持されている。第1軸線X1及び第2軸線X2は、光軸方向Aに垂直であり、互いに交差している(ここでは、互いに直交している)。なお、第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に矩形状又は多角形状に形成されていてもよい。また、第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に、円形状(例えば楕円形状)に形成されていてもよい。第2部分32は、光軸方向Aから見た場合に五角形以上の多角形環状又は円環状に形成されていてもよい。
【0031】
一対の第1連結部5は、第1可動部3の第2部分32と第2可動部4との間の隙間において、第1可動部3を挟むように第1軸線X1上に配置されている。各第1連結部5は、トーションバーとして機能する。一対の第2連結部6は、第2可動部4と支持部2との間の隙間において、第2可動部4を挟むように第2軸線X2上に配置されている。各第2連結部6は、トーションバーとして機能する。
【0032】
ミラー7は、第1可動部3の第1部分31に設けられている。ミラー7は、第1軸線X1と第2軸線X2との交点を含むように、第1部分31の一方の表面(窓材44側の表面)に形成されている。ミラー7は、例えば、アルミニウム、アルミニウム系合金、金又は銀等の金属材料によって、円形、楕円形又は矩形の膜状に形成されており、ミラー7の中心は、光軸方向Aから見た場合に、第1軸線X1と第2軸線X2との交点に一致している。このように、複数の接続部分33を介して第2部分32と接続された第1部分31にミラー7が設けられているため、第1可動部3が共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動しても、ミラー7に撓み等の変形が生じることが抑制される。
【0033】
更に、MEMSミラー1は、第1駆動用コイル(コイル)11と、第2駆動用コイル(コイル)12と、配線15a,15bと、配線16a,16bと、電極パッド21a,21bと、電極パッド22a,22bと、を有している。なお、
図2では、説明の便宜上、第1駆動用コイル11及び第2駆動用コイル12を一点鎖線で示し、配線15a,15b及び配線16a,16bを実線で示す。
【0034】
第1駆動用コイル11は、第1可動部3の第2部分32に設けられている。第1駆動用コイル11は、光軸方向Aから見た場合におけるミラー7の外側の領域(すなわち、第2部分32)においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。第1駆動用コイル11には、磁石部50によって発生させられる磁界が作用する。
【0035】
第1駆動用コイル11は、第1可動部3の表面に形成された溝内に配置されている。つまり、第1駆動用コイル11は、第1可動部3に埋め込まれている。第1駆動用コイル11の一端は、配線15aを介して電極パッド21aに接続されている。配線15aは、第1可動部3から、一方の第1連結部5、第2可動部4及び一方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。配線15a及び電極パッド21aは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第1駆動用コイル11と配線15aとは、互いに接続されている。
【0036】
第1駆動用コイル11の他端は、配線15bを介して電極パッド21bに接続されている。配線15bは、第1可動部3から、他方の第1連結部5、第2可動部4及び他方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。配線15b及び電極パッド21bは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第1駆動用コイル11と配線15bとは、互いに接続されている。
【0037】
第2駆動用コイル12は、第2可動部4に設けられている。第2駆動用コイル12は、第2可動部4においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。第2駆動用コイル12には、磁石部50によって発生させられる磁界が作用する。第2駆動用コイル12は、第2可動部4の表面に形成された溝内に配置されている。つまり、第2駆動用コイル12は、第2可動部4に埋め込まれている。
【0038】
第2駆動用コイル12の一端は、配線16aを介して電極パッド22aに接続されている。配線16aは、第2可動部4から、一方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。配線16a及び電極パッド22aは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第2駆動用コイル12と配線16aとは、互いに接続されている。
【0039】
第2駆動用コイル12の他端は、配線16bを介して電極パッド22bに接続されている。配線16bは、第2可動部4から、他方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。配線16b及び電極パッド22bは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第2駆動用コイル12と配線16bとは、互いに接続されている。
【0040】
以上のMEMSミラー1における可動ミラー部10の動作の例を挙げる。第1例としては、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流が印加される。このとき、第1駆動用コイル11には、磁石部50によって発生させられた磁界が作用しているため、第1駆動用コイル11にローレンツ力が発生する。これにより、第1可動部3は、例えば、共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させられる。
【0041】
また、第2駆動用コイル12には、一定の大きさの駆動電流が印加される。このとき、第2駆動用コイル12には、磁石部50によって発生させられた磁界が作用しているため、第2駆動用コイル12にローレンツ力が発生する。これにより、第2可動部4は、例えば、駆動電流の大きさに応じて第2軸線X2周りにおいて回動させられ、その状態で停止させられる。これにより、MEMSミラー1によれば、所定の光源からの光をミラー7により反射させつつ走査することが可能とされている。この第1例では、第1可動部3が共振周波数で揺動されると共に第2可動部4が静的に用いられる。
【0042】
第2例としては、第1例の第1可動部3の動作と同様に、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流が印加されることによって第1可動部3が共振周波数に応じて揺動されると共に、第2駆動用コイル12に高周波数の駆動電流が印加されることによって第2可動部4が共振周波数に応じて揺動される。このように、この第2例では、第1可動部3及び第2可動部4の両方が、共振周波数で揺動される。
【0043】
第3例としては、第1例の第2可動部4の動作と同様に、第1駆動用コイル11に対して一定の大きさの駆動電流が印加されることによって、第1可動部3が駆動電流の大きさに応じて第1軸線X1周りにおいて回動させられて停止させられると共に、第2駆動用コイル12に対して一定の大きさの駆動電流が印加されることによって、第2可動部4が駆動電流の大きさに応じて第2軸線X2周りにおいて回動させられて停止させられる。このように、この第3例では、第1可動部3及び第2可動部4の両方が、静的に用いられる。
【0044】
第4例としては、例えば第2可動部4が設けられていない場合等であって、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流が印加されることにより、第1可動部3のみが共振周波数に応じて揺動される。さらに、第5例としては、同様の場合であって、第1駆動用コイル11に対して一定の大きさの駆動電流が印加されることによって、第1可動部3が駆動電流の大きさに応じて第1軸線X1周りにおいて回動させられて停止させられる。これらの第4例及び第5例では、第1可動部3のみが揺動または静的に用いられる。
【0045】
なお、
図3に示されるように、ベース42の内側表面42aには、第1可動部3及び第2可動部4と対向するように凹部42cが形成されている。第1可動部3及び第2可動部4は、この凹部42cによって、ベース42に干渉することなく揺動可能とされている。
【0046】
再び
図1~3,5を参照する。磁石部50は、ミラーユニット40(MEMSミラー1)に作用する磁界を発生させる。磁石部50は、上面50aと、上面50aの反対側の底面50bと、上面50aから底面50bに延びて上面50aと底面50bとを互いに接続する側面50sと、を有している。磁石部50は、多角形柱状を呈している。ここでは、磁石部50は、六角柱状である。したがって、上面50a及び底面50bは、六角形状であり、側面50sは六角形環状である。上面50aと底面50bとは、互いに略平行である。
【0047】
磁石部50は、複数の磁石が組み合わせられて構成されている。ここでは、磁石部50は、第1磁石51と、第1磁石を挟むように配置された一対の第2磁石52,53と、を含む。第1磁石51は、上面50aから底面50bに至るように延びる多角形柱状(ここでは四角柱状)である。したがって、第1磁石51は、その端面が、上面50a及び底面50bの一部のエリアを構成する。より具体的には、第1磁石51は、上面50aにおけるエリア51aと、底面50bにおけるエリア51bと、を含む。
【0048】
第2磁石52,53は、それぞれ、上面50aから底面50bに至るように延びる多角形柱状(ここでは三角柱状)である。したがって、第2磁石52,53は、その端面が、上面50a及び底面50bの一部のエリアを構成する。より具体的には、第2磁石52は、上面50aにおけるエリア52aと、底面50bにおけるエリア52bと、を含む。また、第2磁石53は、上面50aにおけるエリア53aと、底面50bにおけるエリア53bと、を含む。ここでは、上面50aは、エリア51a,52a,53aから構成されており、底面50bは、エリア51b,52b,53bから構成されている。
【0049】
第2磁石52,53のエリア52a,53aは、ここでは、それぞれ三角形状を呈している。したがって、第2磁石52のエリア52aは、磁石部50の外側に臨む第1辺部分52p及び第2辺部分52rを含む。また、第2磁石53のエリア53aは、磁石部50の外側に臨む第3辺部分53p及び第4辺部分53rを含む。
【0050】
第1磁石51及び第2磁石52,53は、それぞれの磁極がハルバッハ配列となるように配列されている(すなわち、磁石部50は、ハルバッハ構造を有している)。ここでは、第2磁石52は、その第1磁極(例えばN極)が底面50b側に位置し、且つ、その第2磁極(例えばS極)が上面50a側に位置するように配置されている。第2磁石53は、第2磁石52と逆向きに配置されている。すなわち、第2磁石53は、その第1磁極が上面50a側に位置し、且つ、その第2磁極が底面50b側に位置するように配置されている。一方、第1磁石51は、第2磁石53側に第1磁極が位置し、且つ、第2磁石52側に第2磁極が位置するように配置されている。
【0051】
第1磁石51、第2磁石52,53は、以上のような磁極の配列となるように配置されて組み合わされている。このため、磁極同士の引力及び斥力によって、第1磁石51には、上面50aから底面50bに向かう第1方向D1に力が作用する。一方、第2磁石52,53には、底面50bから上面50aに向かう第2方向D2に力が作用する。したがって、磁石部50を一体的に保持するための構成が必要となる。本実施形態においては、パッケージ60がその機能を有する。
【0052】
パッケージ60は、磁石部50を収容している。パッケージ60は、底壁部61、側壁部62、及び規制部63を備えている。底壁部61と側壁部62とは、互いに一体的に形成されている。規制部63は、底壁部61及び側壁部62と別体に形成されている。パッケージ60は、全体として直方体状を呈している。底壁部61は、矩形の平板状を呈している。底壁部61は、磁石部50の底面50bに接触して底面50bを支持している。すなわち、底壁部61は、第1磁石51のエリア51b、第2磁石52のエリア52b、及び、第2磁石53のエリア53bを支持している。
【0053】
側壁部62は、底壁部61の外縁に沿って立設されている。したがって、ここでは、側壁部62は、矩形環状となっている。側壁部62は、磁石部50の側面50sに接触して側面50sを支持している。
【0054】
規制部63は、磁石部50の上面50a上に設けられている。規制部63は、磁石部50の上面50aに接触して上面50aを支持している。規制部63は、上面50aの全体にわたって配置されており、第1磁石51のエリア51a、第2磁石52のエリア52a、及び、第2磁石53のエリア53aを支持している。規制部63は、第2方向D2への磁石部50(例えば第2磁石52,53)の移動を規制する。これにより、パッケージ60は、全体として、少なくとも第1方向D1に第1磁石51に作用する力、及び、第2方向D2に第2磁石52,53に作用する力に抗して磁石部50を一体に保持している。
【0055】
規制部63は、複数の部分から構成されている。具体的には、規制部63は、接触部63aと蓋部63bとを含む。接触部63aは、全体として概ね平板状に形成されている。接触部63aは、ここでは、磁石部50の上面50aの全体にわたって延在している。したがって、ここでは、接触部63aは、上面50aに交差(直交)する方向からみて上面50aを覆うように上面50a上に設けられ、上面50aの全体に接触している。
【0056】
蓋部63bは、側壁部62における底壁部61と反対側の端部に設けられている。蓋部63bは、側壁部62の端部の一部に設けられており、側壁部62に沿った方向からみて略U字の枠状に形成されている。蓋部63bは、側壁部62から上面50a上に張り出すように延在している。換言すれば、蓋部63bは、側壁部62から磁石部50の上面50aに掛け渡されるように延在している。さらに換言すれば、蓋部63bは、磁石部50の側面50sと上面50aとの接続部分から上面50aの内側に向けて延在している。
【0057】
これにより、蓋部63bは、上面50aに交差する方向からみて(
図5の(b)参照)六角形状の上面50aの3つの辺部分を覆っている。特に、蓋部63bは、上面50aに交差する方向からみて、第2磁石52のエリア52aの第1辺部分52pの大部分(例えば全体)を覆うと共に、第2辺部分52rの大部分を覆っている。さらに、蓋部63bは、上面50aに交差する方向からみて、第2磁石53のエリア53aの第3辺部分53pの大部分を覆っている。ただし、蓋部63bは、第2磁石53のエリア53aの第4辺部分53rを解放しており(覆っておらず)、露出させている。この蓋部63bの解放部分63pは、後述するように配線部の引出部を形成している。なお、ここでは、蓋部63bは、第1磁石51のエリア51aの4つの角部のうちの3つを覆っている。
【0058】
以上のような蓋部63bと磁石部50の上面50aとの間には、接触部63aの周縁部の少なくとも一部(例えば4つの辺部分のうちの3つ)が挟まれている。接触部63aは、上面50a及び蓋部63bの両方に接触している。蓋部63bは、接触部63aに接触した状態において、例えばボルト等の締結部材64によって側壁部62に締結されている。これにより、接触部63a及び蓋部63b(すなわち規制部63)は、側壁部62に対して固定され、第2方向D2への磁石部50(例えば第2磁石52,53)の移動を規制する。このように、ここでは、接触部63aは、パッケージ60の側壁部62とは別体に形成されているものの、側壁部62に接続されている(側壁部62に至っている)。
【0059】
このように、パッケージ60は、底壁部61、側壁部62、及び、規制部63が、磁石部50の各面を支持することにより、磁石部50を機械的に一体的に保持している。パッケージ60は、全体として、磁石部50の互いに連続する(接続された)上面50a、底面50b、及び、側面50sに接触している。また、ここでのパッケージ60は、規制部63が締結部材64からの外力によって側壁部62に締結されることにより、全体として一体化されている。
【0060】
ここで、接触部63aは、磁石部50と反対側に臨む表面63sと、当該表面63sから突出する支持部63cと、を含む。ここでは、一対の支持部63cが表面63sに設けられている。支持部63cは、長尺の矩形板状に形成されており、互に離間した状態において互いに略平行に延在している。ミラーユニット40は、この支持部63c上に載置され、支持部63cによって支持されている。すなわち、ミラーユニット40は、パッケージ60(特に支持部63cを含む規制部63)により上面50a上に支持されている。ここでは、ミラーユニット40のベース42の外側表面42bが、上面50a側に臨み支持部63cに接触している。ベース42は、例えば、接着樹脂等によって支持部63cに接合されている。
【0061】
このような支持構造とすることにより、ミラーユニット40(外側表面42b)と磁石部50の上面50aとの間には、ミラーユニット40及び磁石部50と異なる部分が介在することとなる。ここでは、ミラーユニット40と上面50aとの間には、規制部63の接触部63a、及び、支持部63cの高さに相当する空気層63dから構成される層が介在されている。換言すれば、ミラーユニット40は、直接的に磁石部50に接触することなく、上面50a上に支持されている。
【0062】
ミラーユニット40と上面50aとの間に介在する層は、磁石部50からの応力を緩和するための緩和層として機能する。すなわち、光モジュール100においては、ミラーユニット40と上面50aとの間には、磁石部50の応力を緩和するための緩和層80が設けられている。より具体的には、第2方向D2(上面50aに交差(直交)する方向)からみたときにミラーユニット40と磁石部50とが重なる領域において、ミラーユニット40と磁石部50との間に介在する部分が緩和層80として機能する。磁石部50からの応力は、例えば、磁石部50が熱により膨張した際に生じする応力である。ここでは、緩和層80は、上面50a上に、上面50aに交差する方向に順に配置された中実の接触部63aと空間である空気層63dとの2層から構成される。換言すれば、緩和層80は、接触部63aと、上面50a及び接触部63a上に形成された空気層63dと、を含む。
【0063】
特に、ここでは、接触部63aの支持部63cは、第1磁石51を挟む一対の第2磁石52,53上に設けられており、ミラーユニット40がこの支持部63cによって支持されている。また、上面50aに交差(直交)する方向における接触部63aの(支持部63cを含めた)厚さT63は、上面50aに沿う方向における側壁部62の厚さT62よりも薄い。なお、接触部63aの厚さT63とは、第1方向D1(上面50aに交差(直交)する方向)からみたときにミラーユニット40と接触部63aとが重なる領域における接触部63aの底面から頂面までの距離のことをいう。特に、接触部63aに支持部63cが設けられている場合には、接触部63aの厚さT63とは、第1方向D1からみたときにミラーユニット40と接触部63aとが重なる領域における接触部63aの底面から支持部63cの頂面までの距離のことである。接触部63aの底面とは、接触部63aにおける磁石部50に臨む面であり、接触部63a及び支持部63cの頂面とは、それぞれにおける磁石部50と反対側に臨む面である。
【0064】
緩和層80は、空気等の気体であるか、気体でない場合は磁石部50のヤング率よりも低くされている。本実施形態においては、緩和層80は、空気等の気体である部分(空気層63d)と、ヤング率が磁石部50のヤング率よりも低い部分(接触部63a)と、を含む。なお、緩和層80が、気体でない複数の部分(例えば、上面50a上に積層された複数の層)を含む場合、当該部分(層)ごとに磁石部50のヤング率と比較し、少なくとの1つの部分(1つの層)のヤング率が磁石部50のヤング率よりも低ければよい。
【0065】
ここで、パッケージ60の規制部63以外の部分は、例えばインサート成型により磁石部50を収容した状態において一体成型される。具体的には、この例では、パッケージ60の規制部63以外の部分は、接触部63aが設けられた磁石部50を金型に配置した後に第1磁石51及び第2磁石52,53が互いに分離しないように保持しながら、金型に樹脂を導入することにより一体成型される。
【0066】
パッケージ60の材料は、例えば、スーパーエンジニアリングプラスチックやエンジニアリングプラスチックに分類される樹脂が好ましく、例えばPPS(ポリフェニレンスルファイド)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等である。更にパッケージ60の材料は、機械的強度や耐熱性を向上させるためにフィラー強化されていても良い。一方、磁石部50の材料は、例えば、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石等である。緩和層80を構成する規制部63の材料、及び、磁石部50の材料は、例えば上記の材料の中で、上述したヤング率の関係を満たすように選択され得る。
【0067】
なお、光モジュール100は、コネクタ70と、コネクタ70に接続された配線部71と、をさらに備えている。コネクタ70は、パッケージ60の側壁部62内に埋設されている。配線部71は、コネクタ70から延び、規制部63の解放部分63pを介して光モジュール100(例えばベース42)に接続されている。配線部71とMEMSミラー1とは、例えばワイヤWによって電気的に接続されている。
【0068】
以上説明したように、光モジュール100においては、ミラーユニット40の可動ミラー部10に作用する磁界を発生させる磁石部50が、第1磁石51と第2磁石52,53とを含むハルバッハ構造を有している。このような磁石部50は、パッケージ60によって、第1磁石51及び第2磁石52,53に作用する力(例えば互いの磁力による相互作用により生じる力)に抗して一体に保持されている。ミラーユニット40は、このパッケージ60によって、磁石部50の上面50a上に支持されている。そして、磁石部50の上面50aとミラーユニット40との間には、磁石部50からの応力を緩和するための緩和層80が設けられている。したがって、このようなハルバッハ構造の磁石部50を用いた光モジュール100において、磁石部50からミラーユニット40への応力の伝達が抑制され、ミラーユニット40の傾きが抑制される。
【0069】
また、光モジュール100においては、パッケージ60は、上面50a上に位置し、第2方向D2への磁石部50の移動を規制するための規制部63を有している。そして、ミラーユニット40は、規制部63に支持されている。このため、磁石部50がパッケージ60によって確実に一体に保持され得る。また、ミラーユニット40が、磁石部50の上面50a上の規制部63に支持されるので、上面50aとミラーユニット40との間に緩和層80を設けることが容易となる。
【0070】
特に、光モジュール100においては、規制部63の接触部63aの表面63sに支持部63cが突設されており、ミラーユニット40が当該支持部63cに支持されている。このため、ミラーユニット40の支持のための接触面の面積が小さくなり、磁石部50からミラーユニット40への応力の伝達が確実に抑制される。
【0071】
また、光モジュール100においては、規制部63は、緩和層80の少なくとも一部を構成している。このため、緩和層80の少なくとも一部を規制部63と共通化できる。
【0072】
さらに、光モジュール100においては、緩和層80のヤング率は、磁石部50のヤング率よりも低い。このように、磁石部50のヤング率よりも低いヤング率の緩和層80によって、磁石部50からミラーユニット40への応力の伝達を抑制できる。
【0073】
ここで、光モジュール100においては、緩和層80が、上面50aに交差する方向からみて上面50aを覆うように上面50aに接触する中実の接触部63aと、上面50a及び接触部63a上に設けられた空間に形成された空気層63dと、の二層を含む。この場合、磁石部50に接触する接触部63aによって磁石部50の上面50aが覆われることにより、磁石部50がより強固に保持される。そのうえに、空気層63dによって磁石部50からミラーユニット40への応力の伝達が確実に抑制される。
【0074】
特に、光モジュール100においては、一対の第2磁石52,53上に設けられた支持部63cによって、ミラーユニット40が支持されている。換言すれば、第1磁石51上にはミラーユニット40の支持構造が介在しない。さらに換言すれば、ミラーユニット40は、上面50aに交差(直交)する方向からみて、第1磁石51に重複しない位置においてパッケージ60(支持部63c)により支持されている。これにより、次のような効果が得られる。
【0075】
すなわち、第2磁石52,53は、熱膨張による膨張方向が互いに同一である(第1磁石51の膨張方向は異なる)。したがって、第2磁石52,53上の支持部63cによってミラーユニット40を支持すれば、第2磁石52,53に熱膨張が生じたとしても、ミラーユニット40が傾きにくい。すなわち、ミラーユニット40の支持構造は、どこに配置されていてもよいが、上面50aに交差(直交)する方向からみて第1磁石51に重複しない位置に配置されていることがさらに好ましい。
【0076】
また、光モジュール100においては、上面50aに交差する方向における接触部63aの厚さT63が、上面50aに沿った方向における側壁部62の厚さT62よりも薄い。このため、ミラーユニット40と磁石部50との間の距離が小さくなるので、ミラーユニット40において磁石部50の磁界を効率的に利用できる。この結果、消費電力を低減可能である。
[第2実施形態]
【0077】
引き続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る光モジュールの断面図である。
図6に示される光モジュール100Aは、
図1~5に示された光モジュール100と比較して、規制部63の構造、及び、ミラーユニット40の支持構造において光モジュール100と相違しており、他の点において光モジュール100と一致している。光モジュール100Aにおいては、規制部63の一部が、底壁部61及び側壁部62と一体に形成されている。この点についてより具体的に説明する。
【0078】
図6に示されるように、光モジュール100Aにおいては、接触部63aが底壁部61及び側壁部62と別体に形成されると共に、蓋部63bが側壁部62と一体に形成されている。蓋部63bは、側壁部62における底壁部61と反対側の端部に設けられている。蓋部63bは、側壁部62から上面50a上に張り出すように、側壁部62から連続的に延在している。換言すれば、蓋部63bは、側壁部62から磁石部50の上面50aに掛け渡されるように延在している。さらに換言すれば、蓋部63bは、磁石部50の側面50sと上面50aとの接続部分から上面50aの内側に向けて延在している。これにより、蓋部63bは、上面50a上に内縁63eを有することとなる。接触部63aは、光モジュール100の接触部63aと比較して、支持部63cを有していない点において相違している。接触部63aは、平板状に形成されている。
【0079】
そして、光モジュール100Aにおいては、ミラーユニット40が蓋部63b上に載置され、蓋部63bによって支持されている。すなわち、ここでも、ミラーユニット40は、パッケージ60(特に蓋部63bを含む規制部63)により上面50a上に支持されている。ここでも、ミラーユニット40のベース42の外側表面42bが、上面50a側に臨み蓋部63bに接触している。このように、ここでは、接触部63aは、パッケージ60の側壁部62とは別体に形成されているものの、側壁部62に接続されている(側壁部62に至っている)。ベース42は、例えば接着樹脂等によって蓋部63bに接合されている。
【0080】
このような支持構造とすることにより、ミラーユニット40(外側表面42b)と磁石部50の上面50aとの間には、蓋部63bのミラーユニット40が載置される部分、接触部63a、及び、蓋部63bの高さに相当する空気層63dから構成される緩和層80が介在することとなる。すなわち、光モジュール100Aにおいても、ミラーユニット40と上面50aとの間には、磁石部50の応力を緩和するための緩和層80が設けられている。空気層63dは、蓋部63bの内縁63eにより規定される空間に形成される。
【0081】
すなわち、ここでも、緩和層80は、接触部63aと、上面50a及び接触部63a上に形成された空気層63dと、を含む。上面50aに交差(直交)する方向における接触部63aの厚さと蓋部63bの厚さとの合計の厚さのT6は、上面50aに沿う方向における側壁部62の厚さT62よりも薄い。これにより、ミラーユニット40と磁石部50との間の距離が小さくなるので、ミラーユニット40において磁石部50の磁界を効率的に利用できる。この結果、消費電力を低減可能である。
【0082】
以上のような光モジュール100Aによっても、光モジュール100と同様の効果を奏することができる。特に、光モジュール100Aによれば、接触部63aの構造、及び、ミラーユニット40の支持構造が簡略化される。また、光モジュール100Aの製造の際には、接触部63aが設けられた磁石部50のインサート成型により、規制部63の一部である蓋部63bを底壁部61及び側壁部62と一体に形成できる。
【0083】
なお、光モジュール100Aにおいては、第2磁石52,53のみの上に蓋部63bが配置されるように、蓋部63bの形状を変更してもよい。この場合、第1磁石51上にはミラーユニット40の支持構造が介在しないことになる。換言すれば、ミラーユニット40は、上面50aに交差(直交)する方向からみて、第1磁石51に重複しない位置においてパッケージ60(蓋部63b)により支持されることとなる。この場合には、第2磁石52,53に熱膨張が生じたとしても、ミラーユニット40が傾きにくくなる。
【0084】
以上の実施形態は、本発明の一実施形態について説明したものである。したがって、本発明は、上述した光モジュール100,100Aに限定されない。本発明は、上述した光モジュール100を任意に変更したものとし得る。引き続いて、変形例について説明を行う。
【0085】
図7は、第1変形例に係る光モジュールを示す図である。
図7の(a)は断面図であり、
図7の(b)は模式的な平面図である。
図7に示される光モジュール100Bは、
図6に示された光モジュール100Aと比較して、規制部63の構造、及び、ミラーユニット40の支持構造において光モジュール100Aと相違しており、他の点において光モジュール100Aと一致している。
【0086】
光モジュール100Bにおいては、規制部63が単一の部分からなり、その全体が、底壁部61及び側壁部62と一体に形成されている。より具体的には、ここでは、規制部63が、磁石部50の上面50aと、側壁部62における底壁部61と反対側の端部と、の間において、側壁部62から上面50a側に張り出すように、側壁部62から連続的に延在している。規制部63は、側壁部62から磁石部50の上面50aに掛け渡されるように延在している。換言すれば、規制部63は、磁石部50の側面50sと上面50aとの接続部分から上面50aの内側に向けて延在している。規制部63は、上面50aの全体にわたって延びておらず、上面50a上に内縁63eを有する。
【0087】
そして、光モジュール100Bにおいては、ミラーユニット40が規制部63上に載置され、規制部63によって支持されている。すなわち、ここでも、ミラーユニット40は、パッケージ60(特に規制部63)により上面50a上に支持されている。ここでも、ミラーユニット40のベース42の外側表面42bが、上面50a側に臨み規制部63に接触している。ベース42は、例えば接着樹脂等によって規制部63に接合されている。
【0088】
このような支持構造とすることにより、ミラーユニット40(外側表面42b)と磁石部50の上面50aとの間には、規制部63のミラーユニット40が載置される部分、及び、規制部63の高さに相当する空気層63dから構成される緩和層80が介在することとなる。すなわち、光モジュール100Bにおいても、ミラーユニット40と上面50aとの間には、磁石部50の応力を緩和するための緩和層80が設けられている。空気層63dは、規制部63の内縁63eにより規定される空間に形成される。
【0089】
以上の光モジュール100Bによっても、光モジュール100Aと同様の効果を奏することが可能である。また、光モジュール100Bによれば、規制部63によって磁石部50の移動を規制しつつ、磁石部50からミラーユニット40への応力の伝達を空気層63dによって確実に抑制可能である。さらに、光モジュール100Bにおいては、規制部63が単一の部分からなるため、パッケージ60の構造、及び、ミラーユニット40の支持構造が簡略化される。また、光モジュール100Bの製造の際には、磁石部50のインサート成型により、規制部63の全体を底壁部61及び側壁部62と一体に形成できる。
【0090】
なお、以上の光モジュール100,100A,100Bにおいては、可動ミラー部10の2つの揺動軸(第1軸線X1及び第2軸線X2)に対して、磁石部50による磁界Mの向きが斜めになるような磁石部50の構成とされている。
【0091】
図8は、第2変形例に係る光モジュールを示す図である。
図8の(a)は断面図であり、
図8の(b)は模式的な平面図である。
図8に示される光モジュール100Cは、
図7に示された光モジュール100Bと比較して、規制部63の構造、ミラーユニット40の支持構造、及び、磁石部50の構成において光モジュール100Bと相違しており、他の点において光モジュール100Aと一致している。
【0092】
光モジュール100Cにおいても、光モジュール100Bと同様に、規制部63が単一の部分からなると共に、底壁部61及び側壁部62と一体に形成されている。ただし、ここでは、規制部63(ここでは接触部でもある)は、側壁部62における底壁部61と反対側の端部から上面50aの全体を覆うように延設されている。つまり、ここでは、磁石部50が、底壁部61、側壁部62、及び、規制部63からなるパッケージ60によって覆われる。
【0093】
そして、光モジュール100Cにおいては、ミラーユニット40は、規制部63上に載置され、規制部63に支持されている。ここでも、ミラーユニット40は、パッケージ60(特に規制部63)により上面50a上に支持されている。ここでも、ミラーユニット40のベース42の外側表面42bが、上面50a側に臨み規制部63に接触している。ベース42は、例えば接着樹脂等によって規制部63に接合されている。
【0094】
光モジュール100Cにおいては、規制部63は、ミラーユニット40と上面50aとの間を充填している。すなわち、ここでは、ミラーユニット40と上面50aとの間に介在する緩和層80の全体が規制部63から構成される。なお、規制部63の厚さは、側壁部62の幅よりも薄い方が、磁石部50の磁力を効率的に利用でき、消費電力を低減できるため、さらに好ましい。なお、規制部63の厚さとは、規制部63における磁石部50に臨む底面と磁石部50の反対側に臨む頂面との間の距離である。また、側壁部62の幅(厚さT62)とは、側壁部62における磁石部50に臨む内側面と磁石部50の反対側に臨む外側面との間の距離である。
【0095】
以上の光モジュール100Cによっても、光モジュール100Bと同様の効果を奏することが可能である。特に、光モジュール100Cによれば、規制部63と緩和層80の全体とを共通化できる。なお、
図8の(b)に示されるように、光モジュール100Cにおいては、可動ミラー部10が第1軸線X1又は第2軸線X2のみを揺動軸とする場合に、その揺動軸に対して、磁石部50による磁界Mの向きが直交するような磁石部50の構成とされている。ただし、光モジュール100Cにおいても、光モジュール100Bと同様に、可動ミラー部10の2つの揺動軸(第1軸線X1及び第2軸線X2)に対して、磁石部50による磁界Mの向きが斜めになるような磁石部50の構成を採用してもよい。
【0096】
図9は、第3変形例に係る光モジュールを示す斜視図である。
図9に示される光モジュール100Dにおいては、MEMSミラー1の電気的な接続のためのリードフレームが、パッケージ60にインサート成型により一体形成されている。ここでは、1つの側壁部62内に複数の第1リード91が埋設されており、第1リード91の頂部が規制部63の外表面に露出されてパッド部が形成されている。また、互に対向する一対の側壁部62(ここでは第1リード91が形成された側壁部62とは別の側壁部62)の底壁部61側の側面からは、第1リード91に電気的に接続された第2リード92が突設されている。MEMSミラー1は、ベース42に設けられたワイヤ93が第1リード91に接続されることにより、第1リード91及び第2リード92を介して外部に電気的に接続され得る。なお、第2リード92は、パッケージ60の底壁部61に突設されていてもよい。
【0097】
図10は、第4変形例に係る光モジュールを示す斜視図である。
図10に示される光モジュール100Eにおいては、MEMSミラー1の電気的な接続のための配線パターンがパッケージ60の外表面に形成されている。ここでは、互に対向する一対の側壁部62の外表面から規制部63の外表面(ミラーユニット40側の表面)にわたって延在する配線94が形成されている。規制部63の外表面には、配線94の終端にパッド部が設けられている。一方、ベース42の外側表面42bには、配線94側のパッド部と対応する位置にパッド部が設けられている。ベース42の外側表面42bのパッド部と規制部63の外表面のパッド部とは、例えば半田接続等により電気的に接続されている。ベース42の外側表面42bのパッド部は、ベース42の内部に設けられた内部配線とワイヤWを用いたワイヤボンディングによって、MEMSミラー1と電気的に接続されている。これにより、MEMSミラー1の配線94を介した電気的な接続を行い得る。
【0098】
図11は、第5変形例に係る光モジュールを示す斜視図である。
図11に示される光モジュール100Fにおいては、パッケージ60の1つの側壁部62の外表面から規制部63の外表面(ミラーユニット40側の表面)の端部にわたって延在する配線95が形成されている。配線95の規制部63上の部分はパッド部とされており、ベース42に設けられた別のパッド部96との間をワイヤ93により接続することにより、MEMSミラー1の配線95を介した電気的な接続を行い得る。
【0099】
以上の実施形態は、本発明に係る光モジュールの一実施形態について説明したものである。したがって、本発明に係る光モジュールは、上述した光モジュール100~100Fに限定されず、光モジュール100~100Fを任意に変更したものとされ得る。
【0100】
例えば、光モジュール100~100Fの間において、各部の構造を相互に変更して適用し得る。より具体的には、光モジュール100~100Cにおいて、光モジュール100D~100Fのような、MEMSミラー1の電気的な接続構造を採用してもよい。或いは、光モジュール100~100Bにおいて、光モジュール100Cのように、可動ミラー部10が第1軸線X1又は第2軸線X2のみを揺動軸とする場合に、その揺動軸に対して、磁石部50による磁界Mの向きが直交するような磁石部50の構成を採用してもよい。
【0101】
また、光モジュールにおいては、上述した光モジュール100~100Fのように、規制部63がミラーユニット40を支持する態様に限らず、例えば、上面50aに交差する方向からみて磁石部50に重複しない位置において側壁部62に設けられた凸部等に、ミラーユニット40が支持される態様であってもよい。すなわち、光モジュールとしては、上面50aとミラーユニット40との間に緩和層80を形成しつつ、保持部材としてのパッケージ60にミラーユニット40が支持されていればよい。
【0102】
さらに、可動ミラー部を含むチップを搭載(実装)するセラミック基板等を備えない場合には、可動ミラー部を含むチップのみがミラーユニットである。すなわち、ミラーユニットとは、例えば、ベース42(セラミック基板等)を備えない場合には、MEMSミラー1(可動ミラーを含むチップ)のみである。この場合、MEMSミラー1の支持部2が、パッケージ60により上面50a上に支持されると共に、MEMSミラー1と上面50aとの間に緩和層80が形成される。
【0103】
より具体的には、この場合、上記の第1実施形態(例えば
図1)においては、MEMSミラー1が、パッケージ60の接触部63aの支持部63cに載置されて支持されることとなる。また、この場合、第2実施形態(例えば
図6)においては、MEMSミラー1がパッケージ60の蓋部63bに載置されて支持されることとなる。また、この場合、
図7,8に示された例においては、MEMSミラー1がパッケージ60の規制部63に載置されて支持されることとなる。さらに、この場合、上面50aに交差する方向からみて磁石部50に重複しない位置において側壁部62に設けられた凸部等に、MEMSミラー1が載置されて支持されてもよい。
【0104】
また、ミラーユニットが可動ミラー部を含むチップのみである場合、
図9に示された例においては、MEMSミラー1から直接的に、第1リード91のパッド部にワイヤWを接続することによって、MEMSミラー1の電気的な接続を行うことができる。また、
図10に示された例においては、MEMSミラー1の裏面にパッド部を設けると共に、配線94のパッド部とバンプによって接続することにより、MEMSミラー1の電気的な接続を行うことができる。さらに、
図11に示された例においては、MEMSミラー1から直接的に、配線95のパッド部にワイヤWを接続することにより、MEMSミラー1の電気的な接続を行うことができる。
【0105】
一方、可動ミラー部を含むチップがセラミック基板等に搭載(実装)されている場合には、可動ミラー部を含むチップに加えて、セラミック基板等を含んでミラーユニットである。例えば、MEMSミラー1(可動ミラーを含むチップ)がベース42(セラミック基板等)に搭載(実装)されている場合、ベース42をも含んでミラーユニットである。この場合については、上記実施形態にて説明されたとおりである。可動ミラーを含むチップが搭載(実装)されたセラミック基板等は、保持部材に載置されることで保持部材に支持されている。すなわち、保持部材が磁石部を一体に保持しているのに対して、この場合のセラミック基板等は磁石部の一体的な保持に寄与しない。
【0106】
この場合については、上記実施形態に記載されたとおりである。また、ここでの搭載(実装)とは、可動ミラーを含むチップが、電気的及び/又は機械的及び/又は構造的にセラミック基板等に接続されていることを意味し、可動ミラーを含むチップがセラミック基板等に載置されるのみの場合を除く。可動ミラーを含むチップが、電気的にセラミック基板等に接続される場合には、セラミック基板等は配線基板として機能し得る。なお、セラミック基板等は、セラミック基板の他に、ガラスエポキシからなる基板であってもよい。
【0107】
さらに、ミラーユニットを磁石部の上面に接着剤により直接接合した場合に、ミラーユニットと磁石部との間に介在する接着剤は緩和層として機能しない。
【符号の説明】
【0108】
10…可動ミラー部、11…第1駆動用コイル(コイル)、12…第2駆動用コイル(コイル)、40…ミラーユニット、50…磁石部、50a…上面、50b…底面、50s…側面、51…第1磁石、52,53…第2磁石、60…パッケージ(保持部材)、63…規制部、63d…空気層、63e…内縁、80…緩和層、100~100F…光モジュール。