(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134154
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】充放電制御システム及び充放電制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20230920BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230920BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/32
H02J7/00 P
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039518
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000164391
【氏名又は名称】九電テクノシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】三壷 一俊
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G066KA12
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】取引用電力計等の電力計を使用することで、簡易な構成且つ低コストで効率良く充電制御を可能とする充放電制御システムを得る。
【解決手段】需要電力を供給する電源と、負荷設備と、充放電器と、前記需要電力の消費状態を検知して前記充放電器による充放電を制御する制御装置と、を備えた充放電制御システムであって、前記制御装置は、取引用電力計による需要電力の計測値を元に、ある30分間の前記負荷設備による消費電力についてn等分した各期間の平均電力anを算出する平均電力算出部と、前記各期間において前記需要電力の最大値となる目標電力Wtarと前記平均電力anとの差である充放電可能電力bnを算出する充放電可能電力算出部と、前記充放電可能電力bnを(n+1)分間に充放電する電力充放電部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力計を介して需要電力を供給する電源に対して、前記電源に接続して電力を消費する負荷設備と、前記電源に接続して充放電を行う充放電器と、前記電力計により前記需要電力の消費状態を検知して前記充放電器による充放電を制御する制御装置と、を備えた充放電制御システムであって、
前記制御装置は、
前記電力計による需要電力の計測値を元に、ある30分間の前記負荷設備による消費電力についてn等分した各期間の平均電力anを算出する平均電力算出部と、
前記各期間において前記需要電力の最大値となる目標電力Wtarと前記平均電力anとの差である充放電可能電力bnを算出する充放電可能電力算出部と、
前記充放電可能電力bnを(n+1)分間に充放電する電力充放電部と、
を備えたことを特徴とする充放電制御システム。
【請求項2】
前記平均電力anを基準に算出した(an-a0)/nを前記目標電力Wtarから減じた値を現実の目標電力値として設定し、この目標電力値を元に前記充放電可能電力bnを算出する
請求項1に記載の充放電制御システム。
【請求項3】
前記nを30とし前記各期間は1分間とする請求項1又は請求項2に記載の充放電制御システム。
【請求項4】
前記充放電器を複数設け、各充放電器に電気自動車を接続可能とした請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の充放電制御システム。
【請求項5】
需要電力を供給する電源に接続されて電力を消費する負荷設備に対して、前記電源に充放電器を介して接続される充放電対象物の充放電を行うに際し、前記負荷の電力消費状態を検知して各充放電器の充放電を制御する制御方法において、
電力計による需要電力の計測値を元に、ある30分間の前記負荷設備による消費電力についてn等分した各期間の平均電力anを算出する手順と、
各期間において前記需要電力の最大値となる目標電力Wtarから前記平均電力anを減じた充電可能電力bnを算出する手順を含み、
前記平均電力anを基準に算出した(an-a0)/nを前記目標電力から差し引いた値を現実の目標電力として充放電可能電力bnを(n+1)分間に充放電するよう制御する
ことを特徴とする充放電制御方法。
【請求項6】
前記nを30とし前記各期間は1分間とする請求項5に記載の充放電制御方法。
【請求項7】
前記充電対象物は電気自動車である請求項5又は請求項6に記載の充放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車の車載バッテリー等の充電対象物に対して電力会社から供給される電力の充放電を行う装置に関し、電力会社が設置する取引用電力量計(最大需要電力計)を使用して簡易な構成で需要電力の管理を可能とした充放電制御システム、及び、このシステムを利用した充放電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各メーカーから各種電気自動車(HV,EV,PHV)が販売されているが、車載バッテリーの電力だけでモーター駆動する電気自動車(EV)を普及させるためには、充電スタンドの設置などのインフラ整備が不可欠となっている。
各種商業施設や交通施設、公共施設等に設置される電気自動車用の充電スタンドは、商用電源に接続された給電線に対して、負荷設備と電気自動車用充電器が並列に接続されている。負荷設備は、充電スタンドの設置者が保有する負荷であり、例えば商用電力が供給される既設の空調設備や照明器具、電動機等が含まれる。電気自動車用充電器は、電力変換器を備え、充電器の定格電力値に従って電力変換を行って直流電力を出力して電気自動車(EV)の車載バッテリーを充電する。
【0003】
車載バッテリーの充電に際して、負荷設備による消費電力値と充電器による充電電力値との合計は、電力会社と充電スタンドの設置者との間の契約電力値を超えることはできない。また、負荷設備による消費電力は常に一定ではなく、季節や時間帯、天候等によって変動する。負荷設備への給電は優先させる必要があるので、電気自動車への充電電力値は比較的低めに設定された一定の電力値の範囲内で充電器を使用することになる。そのため、充電に利用できる電力が少ないと充電時間が長くなり、いわゆる急速充電が不可能になるという不都合が生じていた。
【0004】
このような不都合を解消すべく、既設の負荷設備による消費電力が変動することに着目し、負荷設備が消費できる許容電力の範囲内で消費電力に応じて変動する余剰電力を最大限に利用して車載バッテリーを充電することにより、充電時間の短縮化を可能にした充電システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した充電システムによれば、リアルタイムの余剰電力を算出するために電力検出部及び消費電力測定部を設置して負荷の電力を測定することが行われている。そのため、充電システムに対して個別の消費電力測定を行うので、計測と制御機能を備えた専用PCS(パワーコンディショナ)の設置を必要としていた。また、電源及び給電線に対する現地で専用PCSを設置する場合、その状況次第では、電力検出部及び消費電力測定部が複数台必要となったり(三相3線200Vが複数に分岐)、電圧が高い場合は専用の変成器が必要となり、余剰電力を算出する構成が複雑化し設備コストがかかるという問題点が存在する。
【0007】
本願発明は、上記実情に鑑みて提案されたもので、電力会社が設置する取引用電力計等の電力計を使用可能とすることで、簡易な構成且つ低コストで効率良く充放電対象物(例えば、EV等の電気自動車)への充放電制御を可能とした充放電制御システム及び充放電制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明に係る請求項1は、電力計(取引用電力計7)を介して需要電力を供給する電源(電源系統2)に対して、前記電源に接続して電力を消費する負荷設備(4)と、前記電源に接続して充放電を行う充放電器(6)と、前記電力計により前記需要電力の消費状態を検知して前記充放電器(6)による充放電を制御する制御装置(10)と、を備えた充放電制御システム(1)であって、前記制御装置(10)は次の構成を含むことを特徴としている。
前記電力計による需要電力の計測値を元に、ある30分間の前記負荷設備(4)による消費電力についてn等分した各期間の平均電力anを算出する平均電力算出部(11)。
前記各期間において前記需要電力の最大値となる目標電力Wtarと前記平均電力anとの差である充放電可能電力bnを算出する充放電可能電力算出部(12)。
前記充放電可能電力bnを(n+1)分間に充放電する電力充放電部(13)。
【0009】
請求項2は、請求項1に記載の充放電制御システムにおいて、
前記平均電力anを基準に算出した(an-a0)/nを前記目標電力Wtarから減じた値を現実の目標電力値として設定し、この目標電力値を元に前記充放電可能電力bnを算出する
ことを特徴としている。
【0010】
請求項3は、請求項1又は請求項2に記載の充放電制御システムにおいて、
前記nを30とし前記各期間は1分間とする
ことを特徴としている。
【0011】
請求項4は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の充放電制御システムにおいて、
前記充放電器を複数設け、各充放電器に電気自動車を接続可能とした
ことを特徴としている。
【0012】
請求項5は、需要電力を供給する電源に接続されて電力を消費する負荷設備に対して、前記電源に充放電器を介して接続される充放電対象物の充放電を行うに際し、前記負荷の電力消費状態を検知して各充放電器の充放電を制御する制御方法であって、
電力計による需要電力の計測値を元に、ある30分間の前記負荷設備による消費電力についてn等分した各期間の平均電力anを算出する手順と、
各期間において前記需要電力の最大値となる目標電力Wtarから前記平均電力anを減じた充電可能電力bnを算出する手順を含み、
前記平均電力anを基準に算出した(an-a0)/nを前記目標電力から差し引いた値を現実の目標電力として充放電可能電力bnを(n+1)分間に充放電するよう制御する
ことを特徴としている。
【0013】
請求項6は、請求項5に記載の充放電制御方法において、
前記nを30とし前記各期間は1分間とする
ことを特徴としている。
【0014】
請求項7は、請求項5又は請求項6に記載の充放電制御方法において、
前記充電対象物は電気自動車である
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、負荷設備の電力消費状態を検知して充放電器(6)による充放電対象物(電気自動車(20)や蓄電器)への充放電を制御するに際して、直近の過去の電力量の平均値を元に算出した値により制御するので、リアルタイムに余剰電力を求めるのではなく、目標電力値に対する差異(正符号、負符号共に)として使用することで、充放電器(6)に接続された充放電対象物に対する充放電制御を行うことができる。
【0016】
また、電力会社との契約で設定された目標電力から、平均電力anを基準に算出した(an-a0)/nを減じた値を現実の目標電力値として設定して算出した充放電可能電力bnを(n+1)分間に供給することで、契約電力超過の防止を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の充放電制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】充放電制御システムにおける制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】需要電力の計測値、負荷設備電力、充放電可能電力の関係を示すモデル図であり、(a)は充電時、(b)は放電時をそれぞれ示す。
【
図4】需要電力の電力量の計測からan(負荷設備電力)の算出を30分単位で行った場合のグラフである。
【
図5】
図4において目標電力Wtarとの差である電力量(充電可能電力)bnを示したグラフである。
【
図6】
図4においてn時間の電力量anに電力量b(n-1)を加算した場合のグラフである。
【
図7】本発明方法により充放電制御を行う場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る充放電制御システムの構成を示すブロック図である。この充放電制御システム1は、例えば複数の電気自動車20への充電を行う充電スタンドで使用される。ここでいう電気自動車20は、プラグを介して充電可能な車載バッテリーを搭載した車両であり、EVやPHVが対象となる。
【0019】
充放電制御システム1は、商用電源である電源系統2に給電線(電源供給ライン)3を介して接続されている。充放電制御システム1は、電源系統2に接続して電力を消費する負荷設備4と、給電線3に対して給電線(電源供給ライン)5を介して接続される複数の充放電器6と、各充放電器6による電気自動車20への充放電について通信ラインを介して制御する制御装置10と、を含んで構成される。
各充放電器6には、それぞれ電気自動車20が接続可能に構成されることで、電気自動車20の車載バッテリーに対して制御装置10で制御された充放電が行われる。
【0020】
充放電制御システム1の入力側には、電力会社が需要電力量を管理するために無償で設置する取引用電力計7等の電力計が接続されることで、電源系統2から給電線3に供給される需要電力の電力量の計測が行われている。ユーザーは、電力会社との契約で最大需要電力量が決められているが、取引用電力計7の設置により、ユーザーがこの値の範囲内で電気を使用しているかを管理し、超えた場合には使用電力量を増加する再契約の必要性を告知することが行われる。
【0021】
取引用電力計7の具体的な構成は、例えば電力量(Wh)が一定量積算したらスイッチが一瞬ONになるような動作(電力会社との高圧受電契約におけるサービスパルス発生)することで、ユーザーの使用電力量を常時管理することが行われている。
また、取引用電力計7の計測値について、通信手段を介して瞬時電力計測値(W)、累積電力量計測値(Wh)、直近の30分値(kWh)などを取得している。30分値(kWh)とは、毎時00分~30分、30分~00分の30分間で積算した電力量である。
【0022】
充放電器6の入力側には、電気自動車20への充放電の電力量を計測する充放電電力計8が接続され、充放電電力計8による計測値は計測ラインを介して制御装置10へ出力されている。この例では、充放電器6と充放電電力計8とを別個の構成としたが、充放電器6に内在される測定器で電力量が通信ラインを介して制御装置10へ出力される構成でもよい。
【0023】
次に、制御装置10の詳細な構成について、
図2ないし
図5を参照しながら説明する。
図2のブロックに示すように、制御装置10は、充放電制御システム1が需要電力として消費する電力値(
図3における計測値)を計測して負荷設備電力を算出する平均電力算出部11と、負荷設備4が消費する電力値(
図3(a)における負荷設備電力)に対して充放電可能な電力値(
図3(a)における充電可能電力)を算出する充放電可能電力算出部12と、充放電可能電力を充放電器6へ通知する電力充放電部13とを備え、CPU等による演算処理が行なわれることで、通信ラインを介して制御信号が各充放電器6へ送出するよう構成されている。
【0024】
平均電力算出部11は、取引用電力計7により計測した需要電力(
図3(a)における計測値)と、充放電電力計8で計測した充放電電力(
図3(a)における充電電力)から、充放電制御システム1におけるある30分間の負荷設備電力についてn等分した各期間の平均電力anを算出する。
すなわち、
図4に示すように、ある30分間の需要電力のうち、デマンド開始時刻を0:00、デマンド終了時刻を30:00 とした時、各1分間の平均電力をan,算出した30 分電力をWdemとすると、Wdemは式1の計算式で算出される。
【0025】
【0026】
充放電可能電力算出部12は、各期間において需要電力の最大値となる目標電力Wtar(電力会社との契約で決まる最大電力)と平均電力anとの差である充放電可能電力bnを式2から算出する。
【0027】
【0028】
bnは目標電力Wtarとの差であるため、当該時間に目標電力Wtarを超過せずに充電できる充電可能電力であると言える(
図5参照)。
制御装置10が充電を制御する場合に、bn分の指令を出す制御を実施した場合、bnはn分間経過後にその値が判明するためn分から(n+1)分間にbn分の制御をすることとなる(
図6参照)。
【0029】
このように充電出力を制御したと仮定すると、実際に計測される需要電力Wは式3で求められる。
【0030】
【0031】
この需要電力Wと目標電力Wtarを比較すると、両者の差分は式4で求められる。
【0032】
【0033】
図6に示すように、上記差分によりデマンドを超過するおそれがあるため、目標電力は実際に与えられる目標電力Wtarからマージンをもった設計が好ましく、上記差分が0であればデマンドを超過するおそれがない。すなわち、目標電力Wtarに対して差分(a30-a0)だけマージンを採ればデマンド超過を回避可能となる。差分 (a30-a0)を目標電力程度であると仮定すると、およそ3%のマージン(a30-a0)/30があると超過のおそれは小さくなると推察される。
【0034】
そのため電力充放電部13では、平均電力anを基準に算出した(a30-a0)/30を目標電力値から減じて目標電力値を用いて算出した充放電可能電力bnを(n+1)分間に電気自動車20へ充放電するように充放電器6を制御する。
【0035】
上記例では、充放電器6により電気自動車20を充電する場合について説明したが、同じ構成で需要電力Wと目標電力Wtarとの差分W-Wtarの値がマイナスになる場合は、充放電システム1において電気自動車20の車載バッテリーからの放電制御が行われる。
放電制御の場合、充放電制御システム1が需要電力として消費する電力値(計測値)と、負荷設備電力、放電必要電力との関係は
図3(b)のようになる。
【0036】
以下、上述した充放電制御システムの充放電動作について、
図7のフローチャートを参照して説明する。充放電制御システム1の各充放電器6には電気自動車20の車載バッテリーが接続されている状態とする。
【0037】
取引用電力計7による計測から需要電力量(
図3における計測値に相当)を取得し、過去1分間の平均電力を算出する(ステップ51)。
充放電電力計8による計測から各充放電電力(
図3における充電電力、放電電力に相当)を取得し、過去1分間の平均電力を算出する(ステップ52)
【0038】
電気自動車20が接続された状態における負荷設備電力(計測値-充電(放電)電力であり平均電力anに相当)を計算する(ステップ53)
【0039】
目標電力と負荷設備電力を比較する(ステップ54)。
負荷設備電力が目標電力より小さい場合は、各充放電器6に充電指令(先1分間)を発して電気自動車20の車載バッテリーへの充電を行う(ステップ55)
負荷設備電力が目標電力より大きい場合は、各充放電器6に放電指令(先1分間)を発して電気自動車20の車載バッテリーからの放電を行う(ステップ56)
【0040】
上述した充放電制御システム1によれば、電力会社との契約による最大需要電力(デマンド値)の算出は取引用電力計7により毎00分~30分(30分~00分)の平均電力により演算されていることに着目し、取引用電力計7で計測から算出された平均電力anを元に充放電可能電力bnを算出し(n+1)分間に供給することで、需要電力の30分間の平均値が契約電力以下になるように制御することができる。
そして、平均電力anを元に充放電可能電力bnを算出するに際して、電力会社との契約で設定された目標電力から、平均電力anを基準に算出した(an-a0)/nを減じた値を現実の目標電力値として設定することで、契約電力超過の防止を図ることができる。
【0041】
上述した充放電制御システム1では、n=30として制御を行ったが、n=15,45,60等の整数として制御しても良い。nの数が多くなるほどリアルタイム制御に近い状態となる。また、nが少なくなると、需要電力と目標電力との差分となる(an-a0)/nの値が大きくなるので、デマンド超過を回避するためのマージンについて、契約電力から計算される目標電力Wtarに対して多くとる必要がある。
【0042】
上述の例では、本発明の充放電制御システム1を充電スタンドに適用した例について説明したが、電力会社が設置する取引用電力計7と同様の構成の電力計を接続すれば個人宅に設置することも可能となる。
また、充放電器6には電気自動車20の他に蓄電器等の充放電対象物を接続してもよい。
【0043】
上述した充放電システムによれば、電力会社が設置する取引用電力計7を利用することで、負荷の電力消費状態を検知して充放電器6による電気自動車20への充放電を制御するに際して、直近の過去の電力量の平均値を元に充放電可能電力値を算出して制御するので、リアルタイムに余剰電力を求めて瞬間的なピーク電力を調整するのではなく、目標電力に対する差分(正符号、負符号共に)として使用することで、専用PCSの計測器を使用することなく充放電器6に接続された電気自動車20に対する充放電動作が可能となる。
その結果、電力値を測定して充電可能電力を算出するに際し、電力会社が設置する取引用電力計7を使用するため、計測値の校正などが不要となり、安価な設備で充電可能電力量を管理することが可能となる。
【0044】
また、制御装置10における平均電力算出部11による電力量の計測を30分単位とすることで、実質30分間の平均値で演算される契約電力値(電力会社測定値)と同じにすることで、同種の計測での制御が可能となる。
また、電力会社が設置する取引用電力計7の測定値を使用するため、システム全体が把握している電力値と、電力会社との契約電力との測定器誤差が同じとなり、「契約電力を超過しない」という成果を得やすいという効果がある。
【符号の説明】
【0045】
1 充放電制御システム
2 電力系統(商用電源)
3 給電線
4 負荷設備
5 給電線
6 充放電器
7 取引用電力計
8 充放電電力計
10 制御装置
11 平均電力算出部
12 充放電可能電力算出部
13 電力充放電部
20 電気自動車(EV)