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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135187
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/04 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
H01L23/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040271
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 駿
(57)【要約】
【課題】信号端子の配線のインダクタンスを削減しつつ、半導体装置の組み立てを簡易にする。
【解決手段】実施形態の半導体装置1は、ケース10と部品20とを含む。ケース10は、半導体回路を備える。部品20は、ケース10に取り付け可能に構成される。部品20は、信号端子TGUと、信号端子TGUと電気的に接続された配線22とを備える。配線22は、ケース10に部品20が取り付けられた場合に半導体回路に含まれた電極14と接するコンタクト部CPと、コンタクト部CPの上方に設けられた第1部分を有するリード部LPと、リード部LPの第1部分とコンタクト部CPとの間に設けられ、弾力性を有するばね部SPと、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体回路を備えるケースと、
前記ケースに取り付け可能に構成され、信号端子と、前記信号端子と電気的に接続された配線とを備える部品と、を備え、
前記配線は、前記ケースに前記部品が取り付けられた場合に前記半導体回路に含まれた電極と接するコンタクト部と、前記コンタクト部の上方に設けられた第1部分を有するリード部と、前記リード部の前記第1部分と前記コンタクト部との間に設けられ、弾力性を有するばね部と、を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記コンタクト部は、前記ケースに前記部品が取り付けられた場合に、前記ばね部により生じる圧接力により前記電極に押しつけられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線は、前記ばね部において、前記ケースの基板と平行な方向に突出するように折れ曲がった形状を有している。
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記配線は、前記ばね部において、ループ状に設けられた部分を有している、
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記配線の厚さは、前記ばね部よりも前記リード部の方が厚い、
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ケースは、ベース基板と、前記半導体回路の側部を囲み且つ前記ベース基板の上に設けられた第1絶縁部材と、を有し、
前記部品は、前記配線の前記リード部がインサート成形された第2絶縁部材を有し、
前記ケースに前記部品が取り付けられた場合に、前記第1絶縁部材と前記第2絶縁部材とが接触する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁部材は、少なくとも1つの受け部を有し、
前記第2絶縁部材は、前記少なくとも1つの受け部と対応するように設けられた少なくとも1つの爪部を有し、
前記少なくとも1つの受け部と前記少なくとも1つの爪部とがかみ合うことによって、前記ケースに前記部品が固定される、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁部材は、少なくとも1つの爪部を有し、
前記第2絶縁部材は、前記少なくとも1つの爪部と対応するように設けられた少なくとも1つの受け部を有し、
前記少なくとも1つの爪部と前記少なくとも1つの受け部とがかみ合うことによって、前記ケースに前記部品が固定される、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2絶縁部材は、板状に設けられた第2部分を有し、
前記ケースに前記部品が取り付けられた場合に、前記半導体回路は、前記ケースと、前記第1絶縁部材の前記第2部分とによって囲まれた空間に配置される、
請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体回路は、少なくとも1つのパワー半導体素子を備え、
前記パワー半導体素子は、トランジスタであり、
前記信号端子の前記配線は、前記トランジスタのゲート電極に接続される、
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力を実現する半導体装置として、パワーモジュールが知られている。パワーモジュールは、1つのパッケージに複数のパワー半導体が搭載されたデバイスである。パワーモジュールは、パワー半導体の数に応じて、1in1、2in1、6in1などと呼ばれる。パワーモジュールとしては、パワー半導体を含む半導体回路を備えるケースに、半導体回路に接続される信号端子を備える部品が取り付けられた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-335719号公報
【特許文献2】特開2012-248907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信号端子の配線のインダクタンスを削減しつつ、半導体装置の組み立てを簡易にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、ケースと部品とを含む。ケースは、半導体回路を備える。部品は、ケースに取り付け可能に構成される。部品は、信号端子と、信号端子と電気的に接続された配線とを備える。配線は、ケースに部品が取り付けられた場合に半導体回路に含まれた電極と接するコンタクト部と、コンタクト部の上方に設けられた部分を有するリード部と、リード部の第1部分とコンタクト部との間に設けられ、弾力性を有するばね部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の回路構成の一例を示す回路図。
図2】第1実施形態に係る半導体装置が備えるケースの平面レイアウトの一例を示す平面図。
図3】第1実施形態に係る半導体装置が備える部品の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の断面構造の一例を示す、図4のV-V線に沿った断面図。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の組み立て前後の断面構造を示す断面図。
図7】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の断面構造の一例を示す断面図。
図8】第2実施形態に係る半導体装置の断面構造の一例を示す断面図。
図9】第2実施形態に係る半導体装置の組み立て前後の断面構造を示す断面図。
図10】第3実施形態に係る半導体装置が備える部品の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図11】第3実施形態に係る半導体装置の組み立て前後の断面構造を示す断面図。
図12】第3実施形態の変形例に係る半導体装置の組み立て前後の断面構造を示す断面図。
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面の寸法や比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。図面の説明における“上側”、“下側”、“左側”及び“右側”は、参照している図面の上側、下側、左側、及び右側をそれぞれ示している。本明細書において、略同一の機能及び構成を有する構成要素には、同一の符号が付加されている。参照符号に付加された数字や文字は、同じ参照符号により参照され、且つ類似した要素同士を区別するために使用される。
【0008】
[1]第1実施形態
第1実施形態に係る半導体装置1は、パワーモジュールである。半導体装置1は、例えば、鉄道車両用の電力変換装置や、再生可能エネルギー発電システム用の産業用機器などに適用される。そして、半導体装置1は、ケース内の半導体回路と信号端子との接続に、弾力性(ばね性)を有する配線(リード)が使用された構成を備える。以下に、第1実施形態について、半導体装置1が2in1のパワーモジュールである場合を例に説明する。
【0009】
[1-1]半導体装置1の回路構成
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1の回路構成の一例を示す回路図である。図1に示すように、半導体装置1は、例えば、端子TP及びTN、端子TOUT、端子TGU及びTGL、トランジスタNMU及びNML、インダクタンスL1及びL2、ダイオードDU及びDL、端子TMVU、TMVL、TMCU及びTMCLを備える。
【0010】
端子TP及びTNのそれぞれは、半導体装置1の入力端子である。端子TP及びTNは、半導体装置1の回路構成において、それぞれ正極性及び負極性を有する。端子TPは、“正極端子”と呼ばれてもよい。端子TNは、“負極端子”と呼ばれてもよい。
【0011】
端子TOUTは、半導体装置1の出力端子である。端子TOUTは、“AC(Alternating Current)端子”と呼ばれてもよい。
【0012】
端子TGU及びTGLのそれぞれは、半導体装置1の制御端子である。制御端子は、半導体装置1に含まれたパワー半導体の素子を駆動するか否かの制御に使用される信号端子に対応する。端子TGUは、“上ゲート端子”と呼ばれてもよい。端子TGLは、“下ゲート端子”と呼ばれてもよい。
【0013】
トランジスタNMU及びNMLのそれぞれは、例えば、N型のMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタである。トランジスタNMU及びNMLは、端子TP及びTNの間に直列に接続される。トランジスタNMUは、端子TPに接続されたドレイン端と、端子TGUに接続されたゲート端と、ノードN1に接続されたソース端とを有する。トランジスタNMLは、ノードN2に接続されたドレイン端と、端子TGLに接続されたゲート端と、ノードN3に接続されたソース端とを有する。トランジスタNMUは、“上トランジスタ”と呼ばれてもよい。トランジスタNMLは、“下トランジスタ”と呼ばれてもよい。
【0014】
インダクタンスL1及びL2のそれぞれは、例えば、半導体装置1の回路構成における寄生インダクタンスである。インダクタンスL1は、トランジスタNMU及びNMLの間に接続される。具体的には、インダクタンスL1の第1端は、ノードN1に接続される。インダクタンスL1の第2端は、ノードN2に接続される。インダクタンスL2は、トランジスタNML及び端子TNの間に接続される。具体的には、インダクタンスL2の第1端は、ノードN3に接続される。インダクタンスL2の第2端は、ノードN4に接続される。ノードN4は、端子TNに接続される。
【0015】
ダイオードDUは、例えば、トランジスタNMUの寄生ダイオードである。ダイオードDLは、例えば、トランジスタNMLの寄生ダイオードである。端子TP及びTNの間において、ダイオードDUはトランジスタNMUと並列に接続され、ダイオードDLはトランジスタNMLと並列に接続される。ダイオードDU及びDLのそれぞれは、還流ダイオード(FWD:Free Wheeling Diode)として機能する。
【0016】
端子TMVU、TMVL、TMCU及びTMCLのそれぞれは、半導体装置1のモニタ端子である。モニタ端子は、半導体装置1の回路構成の電気的特性(例えば、電圧や電流)のモニタに使用される信号端子に対応する。
【0017】
端子TMVU及びTMVLのそれぞれは、トランジスタのソース電位のモニタ端子である。端子TMVU及びTMVLは、それぞれノードN1及びN3に接続される。すなわち、端子TMVUは、トランジスタNMUのソース端の電圧のモニタに使用される。端子TMVLは、トランジスタNMLのソース端の電圧のモニタに使用される。端子TMUは、“上ソースモニタ(センス)端子”と呼ばれてもよい。端子TMLは、“下ソースモニタ(センス)端子”と呼ばれてもよい。
【0018】
端子TMCU及びTMCLのそれぞれは、半導体装置1を流れる電流のモニタ端子であり、端子TMVU及びTMVLと合わせて使用される。端子TMCU及びTMCLは、それぞれノードN2及びN4に接続される。トランジスタNMUを流れる電流は、インダクタンスL1に発生する電位差(すなわち、端子TMVU及びTMCUの間の電位差)を検出し、検出した電位差を逆算することによって算出され得る。トランジスタNMLを流れる電流は、インダクタンスL2に発生する電位差(すなわち、端子TMVL及びTMCLの間の電位差)を検出し、検出した電位差を逆算することによって算出され得る。
【0019】
なお、半導体装置1において、トランジスタNMU及びNMLのそれぞれは、IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)であってもよい。端子TP及びノードN1の間には、複数のトランジスタNMUが並列に接続されてもよい。端子TN及びノードN3の間には、複数のトランジスタNMLが並列に接続されてもよい。半導体装置1は、端子TGU、TGL、TMVU、TMVL、TMCU及びTMCL以外の信号端子を備えていてもよい。端子TMVU、TMVL、TMCU及びTMCLは、半導体装置1から省略されてもよい。各端子の数は、複数であってもよい。
【0020】
[1-2]半導体装置1の構造
以下に、半導体装置1の構造について説明する。半導体装置1は、ケース10及び部品20の組み合わせを有する。ケース10は、パワー半導体を含む半導体回路を備える。部品20は、少なくとも1つの制御端子及び配線(リード)を備える。以下の説明では、上トランジスタ(NMU)に対応して設けられた信号端子のことを、“端子TMU”と呼び、下トランジスタ(NML)に対応して設けられた信号端子のことを、“端子TML”と呼ぶ。端子TMUの構造は、端子TMVU及びTMCUのいずれにも適用され得る。端子TMLの構造は、端子TMVL及びTMCLのいずれにも適用され得る。以下では、半導体装置1が1組の端子TMU及びTMLを備える場合について例示する。
【0021】
[1-2-1]ケース10の平面レイアウト
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1が備えるケース10の平面レイアウトの一例を示す平面図である。図2に示すように、ケース10は、例えば、絶縁部材11、絶縁基板12a及び12b、導電体13a及び13b、導電体14a及び14b、導電体15a及び15b、導電体16a及び16b、導電体17a及び17b、並びに導電体18a、18b、18c及び18dを備える。さらに、ケース10は、図示が省略されたベース基板SUBを備える。
【0022】
ベース基板SUBは、半導体装置1の支持体である。ベース基板SUBは、平板形状を有する。ベース基板SUBは、半導体装置1の容器の下部に対応する。ベース基板SUBは、例えば、四隅にネジ穴を有する。ベース基板SUBは、ネジ穴を介して、半導体装置1の外部の機器(図示せず)に対して固定され得る。ベース基板SUBは、例えば、銅(Cu)又はセラミックスを含む。
【0023】
絶縁部材11は、ベース基板SUBの上に設けられる。絶縁部材11は、例えば、角筒形状を有する絶縁体である。絶縁部材11は、半導体装置1の容器の側部に対応し、ベース基板SUBに固定される。絶縁部材11は、例えば、樹脂部品であり、ポリフェニレンサルファイド(PPC:Poly-Phenylene Sulfide)を含む。本明細書では、ベース基板SUBと絶縁部材11との接触面に平行な平面を、XY平面と定義する。XY平面において、ベース基板SUBの長辺方向及び短辺方向を、それぞれX方向及びY方向と定義する。Z方向は、XY平面に対する鉛直方向に対応する。
【0024】
また、絶縁部材11は、受け部111a、111b、112a及び112bを有する。受け部111及び112のそれぞれは、例えば、絶縁部材11の内壁に形成された凹形状の部分である。受け部111及び112のそれぞれは、ケース10と部品20との固定に使用され、部品20が備える爪部が引っかかることが可能な形状であればよい。受け部111a及び111bは、絶縁部材11の内壁の上側において、X方向に並んでいる。受け部112a及び112bは、絶縁部材11の内壁の下側において、X方向に並んでいる。受け部111a及び112aは、左側に配置され、Y方向に向かい合っている。受け部111b及び112bは、右側に配置され、Y方向に向かい合っている。
【0025】
絶縁基板12a及び12bは、半導体装置1の回路構成を支持する絶縁性の基板である。絶縁基板12は、ベース基板SUBの上に設けられ、平面視において絶縁部材11によって囲まれている。つまり、絶縁部材11は、絶縁基板12の側部を囲っている。絶縁基板12a及び12bは、X方向に並んでおり、それぞれ左側及び右側に配置される。絶縁基板12は、例えば、窒化シリコン(SiN)を含む。
【0026】
導電体13a、14a、15a、16a及び17aは、絶縁基板12aの上に設けられる。導電体13a、14a、15a、16a及び17aは、互いに離れている。また、導電体13a、14a、15a、16a及び17aのそれぞれは、X方向に沿って延伸した部分を有する。導電体13a、14a、15a、16a及び17aのそれぞれのX方向に沿って延伸した部分は、この順番に、Y方向に沿って並んでいる。また、導電体15aは、Y方向に延伸した部分をさらに有する。導電体15aのY方向に延伸した部分は、例えば、導電体13a、14a、16a及び17aの左側に設けられた部分を有する。
【0027】
導電体13b、14b、15b、16b及び17bは、絶縁基板12bの上に設けられる。導電体13b、14b、15b、16b及び17bは、互いに離れている。また、導電体13b、14b、15b、16b及び17bのそれぞれは、X方向に沿って延伸した部分を有する。導電体13b、14b、15b、16b及び17bのそれぞれのX方向に沿って延伸した部分は、この順番に、Y方向に沿って並んでいる。また、導電体13bは、Y方向に延伸した部分を有する。導電体13bのY方向に延伸した部分は、例えば、導電体14bの右側に設けられた部分を有する。導電体15bは、Y方向に延伸した部分を有する。導電体15bのY方向に延伸した部分は、例えば、導電体16bの右側に設けられた部分を有する。
【0028】
導電体18a、18b、18c及び18dのそれぞれは、端子部とリードとを有し、例えば、絶縁部材11にインサート成形される。導電体18a、18b、18c及び18dのそれぞれの端子部は、絶縁部材11の上方に露出した部分を有する。導電体18a及び18bのそれぞれは、端子TOUTに対応する。導電体18a及び18bのそれぞれは、絶縁部材11の左側において、Y方向に並んでいる。導電体18a及び18bのそれぞれのリードは、導電体15aに接続される。導電体18c及び18dは、それぞれ端子TP及びTNに対応する。導電体18c及び18dのそれぞれは、絶縁部材11の右側において、Y方向に並んでいる。導電体18cのリードは、導電体13bに接続される。導電体18dのリードは、導電体17bに接続される。
【0029】
半導体装置1が備えるトランジスタNMU及びNMLのそれぞれは、例えば、縦型トランジスタである。図2において、トランジスタNMU及びNMLのそれぞれは、ハッチングが付加されていない四角形状の領域により示されている。当該領域の底面(ベース基板SUB側)が、トランジスタのドレイン端に対応する。当該領域でX方向に沿って2つ並んだドットが、ソース端に対応する。当該領域の下方に1つ配置されたドットが、ゲート端に対応する。
【0030】
導電体13aの上に、X方向に並んだ複数のトランジスタNMUが設けられる。以下では、導電体13aの上のトランジスタNMUのことを、“トランジスタNMUa”と呼ぶ。各トランジスタNMUaのドレイン端は、導電体13aに接続される。各トランジスタNMUaのゲート端は、導電体14aに接続される。各トランジスタNMUaのソース端は、導電体15aに接続される。
【0031】
導電体13bの上に、X方向に並んだ複数のトランジスタNMUが設けられる。以下では、導電体13bの上のトランジスタNMUのことを、“トランジスタNMUb”と呼ぶ。各トランジスタNMUbのドレイン端は、導電体13bに接続される。各トランジスタNMUbのゲート端は、導電体14bに接続される。各トランジスタNMUbのソース端は、導電体15bに接続される。
【0032】
導電体15aの上に、X方向に並んだ複数のトランジスタNMLが設けられる。以下では、導電体15aの上のトランジスタNMLのことを、“トランジスタNMLa”と呼ぶ。トランジスタNMLaのドレイン端は、導電体15aに接続される。トランジスタNMLaのゲート端は、導電体16aに接続される。トランジスタNMLaのソース端は、導電体17aに接続される。
【0033】
導電体15bの上に、X方向に並んだ複数のトランジスタNMLが設けられる。以下では、導電体15bの上のトランジスタNMLのことを、“トランジスタNMLb”と呼ぶ。トランジスタNMLbのドレイン端は、導電体15bに接続される。トランジスタNMLbのゲート端は、導電体16bに接続される。トランジスタNMLbのソース端は、導電体17bに接続される。
【0034】
そして、トランジスタNMUa及びNMUbのそれぞれのドレインは、電気的に接続される。トランジスタNMUa及びNMUbのそれぞれのソースと、トランジスタNMLa及びNMLbのそれぞれのドレインとは、電気的に接続される。トランジスタNMLa及びNMLbのそれぞれのソースは、電気的に接続される。具体的には、導電体13a及び13bの間と、導電体15a及び15bの間と、導電体17a及び17bの間とのそれぞれは、例えば、ワイヤーボンディングによって接続される。
【0035】
なお、導電体13a及び13bは、それぞれトランジスタNMUa及びNMUbのドレイン電極と呼ばれてもよい。導電体14a及び14bは、それぞれトランジスタNMUa及びNMUbのゲート電極と呼ばれてもよい。導電体15a及び15bは、それぞれトランジスタNMUa及びNMUbのソース電極、又は、トランジスタNMLa及びNMLbのドレイン電極と呼ばれてもよい。導電体16a及び16bは、それぞれトランジスタNMLa及びNMLbのゲート電極と呼ばれてもよい。導電体17a及び17bは、それぞれトランジスタNMLa及びNMLbのソース電極と呼ばれてもよい。
【0036】
[1-2-2]部品20の平面レイアウト
図3は、第1実施形態に係る半導体装置1が備える部品20の平面レイアウトの一例を示す平面図である。図3は、半導体装置1の組み立て後に部品20と重なって配置されるケース10の構成の一部を二点鎖線の領域により示している。図3に示すように、部品20は、例えば、絶縁部材21、導電体22、23、24及び25を備える。
【0037】
絶縁部材21は、例えば、角筒形状を有する絶縁体である。絶縁部材21のX方向の幅は、例えば、ケース10の絶縁部材11のX方向の幅よりも狭い。絶縁部材21のY方向の幅は、例えば、ケース10の絶縁部材11のY方向の幅と同じである。絶縁部材21は、例えば、樹脂部品であり、ポリフェニレンサルファイドを含む。
【0038】
また、絶縁部材21は、爪部211a、211b、212a及び212bを有する。爪部211及び212のそれぞれは、部品20をケース10に取り付けるための爪形構造を有する。具体的には、爪部211a、211b、212a及び212bのそれぞれは、ケース10の絶縁部材11の内壁よりも内側に突出した部分を有する。そして、これらの部分は、Z方向に沿ってケース10側に延伸してから、外側に曲がった形状を有する。爪部211及び212のそれぞれは、ケース10と部品20との固定に使用され、ケース10が備える受け部に引っかかることが可能な形状であればよい。部品20の爪部211a、211b、212a及び212bは、ケース10の受け部111a、111b、112a及び112bとそれぞれ対向して配置可能に設けられる。
【0039】
導電体22、23、24及び25のそれぞれは、絶縁部材21にインサート成形される。導電体22、23、24及び25は、互いに離れている。導電体22、23、24及び25は、それぞれ端子TGU、TMU、TGL及びTMLに対応する。すなわち、絶縁部材21は、複数の信号端子を保持している。導電体22、23、24及び25のそれぞれの端子部は、絶縁部材21の上方に露出した部分に対応する。また、導電体22、23、24及び25のそれぞれは、リード部LP、及びコンタクト部CPを有する。各リード部LPは、関連付けられた端子と電極(導電体)とを接続するための配線(リード)に対応する。各コンタクト部CPは、電極(導電体)と接触する部分に対応する。
【0040】
導電体22のリード部LPは、導電体14a及び14bとそれぞれ重なる2つの部分を有し、当該2つの部分とそれぞれ重なるように導電体22の2つのコンタクト部CPが設けられる。導電体23のリード部LPは、導電体15aと重なる部分を有し、当該部分と重なるように導電体23のコンタクト部CPが設けられる。導電体24のリード部LPは、導電体16a及び16bとそれぞれ重なる2つの部分を有し、当該2つの部分とそれぞれ重なるように導電体24の2つのコンタクト部CPが設けられる。導電体25のリード部LPは、導電体17aと重なる部分を有し、当該部分と重なるように導電体25のコンタクト部CPが設けられる。なお、信号端子に対応する導電体は、端子部とリード部LPとが一体で形成されてもよいし、分割されて形成されてもよい。信号端子に対応する導電体は、少なくとも、端子部とリード部LPとが電気的に接続されていればよい。
【0041】
[1-2-3]半導体装置1の平面レイアウト
図4は、第1実施形態に係る半導体装置1の平面レイアウトの一例を示す平面図である。図4は、ケース10に部品20が取り付けられた状態の平面レイアウトに対応し、ケース10内のワイヤーボンディングなどの配線を省略して示している。図4に示すように、半導体装置1は、例えば、かみ合わせ部EPUa、EPUb、EPLa及びEPLbを備える。
【0042】
かみ合わせ部EPUa、EPUb、EPLa及びEPLbのそれぞれでは、対向して配置されたケース10の受け部と部品20の爪部とがかみ合っている。具体的には、かみ合わせ部EPUaでは、受け部111aと爪部211aとがかみ合っている。かみ合わせ部EPUbでは、受け部111bと爪部211bとがかみ合っている。かみ合わせ部EPLaでは、受け部112aと爪部212aとがかみ合っている。かみ合わせ部EPLbでは、受け部112bと爪部212bとがかみ合っている。これにより、部品20がケース10に取り付けられ、部品20がケース10に固定される。
【0043】
部品20がケース10に取り付けられると、導電体22(端子TGU)の2つのコンタクト部CPが、それぞれ導電体14a及び14bに圧接される。同様に、導電体23(端子TMU)のコンタクト部CPが、導電体15aに圧接される。同様に、導電体24(端子TGL)の2つのコンタクト部CPが、それぞれ導電体16a及び16bに圧接される。同様に、導電体25(端子TML)のコンタクト部CPが、導電体17bに圧接される。そして、半導体装置1は、コンタクト部CPと導電体とを圧接するための圧力(以下、圧接力と呼ぶ)を得るために、弾力性(ばね性)を有する配線を利用する。
【0044】
なお、図示が省略されているが、部品20の上には、蓋が設けられ得る。蓋は、例えば、部品20に対して固定され、半導体装置1の回路が設けられた空間を密閉する。蓋は、絶縁体であり、例えば、ポリフェニレンサルファイドを含む。
【0045】
[1-2-4]半導体装置1の断面構造
図5は、第1実施形態に係る半導体装置1の断面構造の一例を示す、図4のV-V線に沿った断面図である。図5は、第1実施形態の信号端子の構造の一例として、導電体22(端子TGU)に対応する領域を抽出して示している。図5に示すように、ケース10の上に、部品20が取り付けられている。ベース基板SUBの上に、絶縁部材11と、絶縁基板12とのそれぞれが設けられる。絶縁基板12の上に、導電体13及び14のそれぞれが設けられる。絶縁部材11の高さは、絶縁基板12及び導電体13の合計の高さよりも高い。ケース10の絶縁部材11の上に、部品20の絶縁部材21が設けられる。
【0046】
導電体22は、端子部(端子TGU)と、リード部LPと、コンタクト部CPと、ばね部SPとを有する。端子TGUと、リード部LPと、ばね部SPと、コンタクト部CPとは、この順番に、連続的に設けられる。なお、端子TGUとリード部LPとの間は、電気的に接続されていればよく、別々に形成されてもよい。導電体22において、リード部LPとばね部SPとコンタクト部CPとが連続的に設けられた部分が、“信号端子の配線(リード)”と呼ばれてもよい。リード部LPは、“配線の梁部分”と呼ばれてもよい。
【0047】
端子TGU及びリード部LPは、絶縁部材21にインサート成形された部分を有する。端子TGUは、Z方向に延伸した部分を有し、例えば、絶縁部材21から上方に突出している。リード部LPは、Y方向に延伸した板状の部分を有する。コンタクト部CPは、導電体14と面で接触可能な板状に設けられる。コンタクト部CPは、リード部LPの端部と、Z方向に重なった部分を有する。リード部LPの端部とコンタクト部CPとの間は、Z方向に沿って延伸した板状の部分を介して繋がっている。
【0048】
ばね部SPは、リード部LPの端部とコンタクト部CPとの間の部分に設けられる。ばね部SPは、屈曲部と呼ばれてもよい。ばね部SPにおいて導電体22は、XY平面と平行な方向に突出するように折れ曲がった形状を有している。具体的には、ばね部SPにおいて導電体22は、例えば、半楕円の円周に沿って折れ曲がった形状を有している。ばね部SPは、弾力性(ばね性)を有している。半導体装置1では、コンタクト部CPが、ばね部SPの弾力性に基づいた圧力より、導電体14に圧接されている。
【0049】
以上の説明では、信号端子の構造の一例として導電体22(端子TGU)について説明したが、その他の信号端子も端子TGUと同様の構造を有している。なお、リード部LPは、ケース10に部品20が取り付けられた際に、ばね部SPよりも変形を抑制可能に構成されることが好ましい。リード部LPは、Z方向に変形した部分を有していてもよい。ばね部SPの形状は、曲がった板状に限定されず、ばね性を有していればよい。
【0050】
[1-3]半導体装置1の組み立て前後の断面構造
図6は、第1実施形態に係る半導体装置1の組み立て前後の断面構造を示す断面図である。図6の(A)及び(B)は、それぞれは、半導体装置1の組み立て前及び組み立て後に対応する。また、図6は、ケース10の受け部と部品20の爪部とがかみ合う様子と、図3に示された部品20の上側及び下側にそれぞれ配置された端子TGU及びTGLが電極に接続される様子とを表現するために、半導体装置1の構造を概略的に示している。
【0051】
なお、以下では、ケース10の絶縁部材11のうち、図2に示されたケース10の上側に配置された部分を“絶縁部材11U”と呼び、図2に示されたケース10の下側に配置された部分を“絶縁部材11L”と呼ぶ。同様に、部品20の絶縁部材21のうち、図3に示された部品20の上側に配置された部分を“絶縁部材21U”と呼び、図3に示された部品20の下側に配置された部分を“絶縁部材21L”と呼ぶ。
【0052】
図6の(A)に示すように、絶縁部材11Uに設けられた受け部111と、絶縁部材21Uに設けられた爪部211とは、Z方向に向かい合って配置されている。絶縁部材11Lに設けられた受け部112と、絶縁部材21Lに設けられた爪部212とは、Z方向に向かい合って配置されている。絶縁部材21Uにインサート成形された導電体22(端子TGU)のばね部SPは、外部から加重がかかっていない状態である。同様に、絶縁部材21Lにインサート成形された導電体24(端子TGL)のばね部SPは、外部から加重がかかっていない状態である。部品20は、ベース基板SUB側に押し込まれると、ケース10に取り付けられる。
【0053】
図6の(B)に示すように、ケース10に部品20が取り付けられると、受け部111と爪部211とがかみ合い、かみ合わせ部EPUが形成される。同様に、受け部112と爪部212とがかみ合い、かみ合わせ部EPLが形成される。これにより、部品20が、ケース10に固定される。また、部品20がケース10に取り付けられる過程において、導電体22のコンタクト部CPが導電体14に接触すると、導電体22のばね部SPは、導電体22のリード部LPを介してZ方向の圧力が加えられることにより変形する。そして、部品20がケース10に取り付けられると、導電体22のばね部SPの弾力性に基づいた圧接力が、導電体22のコンタクト部CPに加えられる。言い換えると、導電体22のコンタクト部CPが、導電体14(電極)の上に押しつけられる。その結果、導電体22のコンタクト部CPの底面が、導電体14の上面に対して圧接され、導電体14と電気的に接続される。同様に、導電体24のコンタクト部CPの底面が、導電体16の上面に対して圧接され、導電体16と電気的に接続される。
【0054】
[1-4]第1実施形態の効果
信号端子と半導体回路が備えるゲート端子との接続方法としては、ワイヤーボンディング、超音波接合、はんだ接合などが知られている。しかしながら、ワイヤーボンディングが使用された場合、ゲート配線の配線が長くなり、配線のインダクタンスが大きくなるおそれがある。また、ワイヤーボンディングのために設けられた領域が、デッドスペースになり得る。超音波接合は、ベース基板としてセラミック基板が使用された場合に、セラミック基板が割れるおそれがある。また、超音波接合は、ベース基板として樹脂基板が使用された場合に、利用できない。はんだ接合の場合、ケースがリフロー温度に耐えられないため、製造プロセスが増えるおそれがある。
【0055】
そこで、第1実施形態に係る半導体装置1は、信号端子がインサート成型された部品20を備える。そして、半導体装置1では、部品20がケース10にはめ込まれると、信号端子の配線(リード)が、ばね部SPの圧接力により内部回路に押しつけられ、内部回路と電気的に接続される。つまり、半導体装置1の製造プロセスでは、信号端子と内部回路との接続のための、ワイヤーボンディング、超音波接合、はんだ接合などの追加プロセスが不要であり、ケース10と部品20との組み立てに要する工程が削減される。
【0056】
これにより、半導体装置1では、組み立ての難易度が抑制され、製造コストが抑制され得る。また、半導体装置1では、信号端子と内部回路との接続のためのワイヤーボンディングなどの領域が不要となるため、信号端子の配線が、コンパクトに設計され得る。信号端子の配線がコンパクトに設計されることによって、インダクタンスが削減され得る。従って、第1実施形態に係る半導体装置1は、信号配線をコンパクトにすることで主配線のエリアを拡大し、信号端子及び主配線のインダクタンスと配線抵抗とを削減しつつ、半導体装置1の組み立てを簡易にすることができる。
【0057】
なお、半導体装置1において、信号端子と内部回路との間は、圧着が利用されるため、応力フリーで固定され得る。その結果、半導体装置1は、信号端子と内部回路との接続の信頼性を向上させることができる。
【0058】
なお、パワーモジュールでは、外部端子が規格で定められている。このため、信号端子として独自の規格が使用された場合に、汎用性が失われてしまう。これに対して、第1実施形態に係る半導体装置1では、単純な配線構造で信号端子と電極とが電気的に接続されるため、規格に合わせた設計が可能となる。従って、第1実施形態に係る半導体装置1は、パワーモジュールを用いるシステム側の設計コストなどを抑制することができる。
【0059】
[1-5]第1実施形態の変形例
第1実施形態で説明された信号端子の配線の厚さは、略均一でなくてもよい。
【0060】
図7は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1aの断面構造の一例を示す断面図である。図7に示すように、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1aは、ケース10及び部品20aを備える。部品20aは、第1実施形態の部品20における導電体22(端子TGU)が、導電体22aに置き換えられた構成を有する。
【0061】
導電体22aは、端子部(端子TGU)と、リード部LPaと、コンタクト部CPと、ばね部SPとを有する。リード部LPaにおける導電体22aは、その他の配線部分(例えば、ばね部SP及びコンタクト部CP)よりも厚く設けられている。言い換えると、導電体22a(信号端子の配線)の厚さは、ばね部SPよりもリード部LPaの方が厚い。これにより、リード部LPaは、第1実施形態のリード部LPよりも高い剛性を有している。なお、第1実施形態の変形例における端子TGU以外の信号端子の構造は、導電体22aと類似しているため、説明を省略する。第1実施形態の変形例に係る半導体装置1aのその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0062】
リード部LPの変形は、コンタクト部CPと電極との接点が点接点になる要因となり得る。つまり、リード部LPの変形は、コンタクト部CPの接触状態のばらつきの要因となり得る。これに対して、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1は、ケース10に部品20aが取り付けられた際のリード部LPの変形を、第1実施形態よりも抑制することができる。従って、第1実施形態の変形例に係る半導体装置1は、コンタクト部CPの接触状態に基づくパワーモジュールの特性のばらつきを第1実施形態よりも抑制することができる。
【0063】
[2]第2実施形態
第2実施形態に係る半導体装置1bは、第1実施形態に係る半導体装置1と異なる構造のばね部SPを介して、半導体回路と信号端子とが接続される構成を有する。以下に、第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0064】
[2-1]半導体装置1の断面構造
図8は、第2実施形態に係る半導体装置1bの断面構造の一例を示す断面図である。図8に示すように、第2実施形態に係る半導体装置1bは、ケース10及び部品20bを備える。部品20bは、第1実施形態の部品20における導電体22(端子TGU)が、導電体22bに置き換えられた構成を有する。
【0065】
導電体22bは、端子部(端子TGU)と、リード部LPと、コンタクト部CPと、ばね部SPaとを有する。ばね部SPaは、リード部LPの端部とコンタクト部CPとの間の部分に設けられる。ばね部SPaにおいて、導電体22bは、ループ形状を有している。言い換えると、導電体22bにおいて、リード部LPの端部とコンタクト部CPとの間は、ループ状に設けられた部分を介して連続的に設けられている。ばね部SPaは、弾力性(ばね性)を有している。半導体装置1bでは、コンタクト部CPが、ばね部SPaの弾力性に基づいた圧力より、導電体14に圧接されている。なお、第2実施形態における端子TGU以外の信号端子の構造は、導電体22bと類似しているため、説明を省略する。第2実施形態に係る半導体装置1bのその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0066】
[2-2]半導体装置1の組み立て前後の断面構造
図9は、第2実施形態に係る半導体装置1bの組み立て前後の断面構造を示す断面図である。図9の(A)及び(B)は、それぞれは、半導体装置1bの組み立て前及び組み立て後に対応する。また、図9は、ケース10の受け部と部品20の爪部とがかみ合う様子と、部品20bの端子TGU及びTGLが電極に接続される様子とを表現するために、半導体装置1bの構造を概略的に示している。
【0067】
図9の(A)に示すように、絶縁部材21Uにインサート成形された導電体22b(端子TGU)のばね部SPaは、外部から加重がかかっていない状態である。同様に、絶縁部材21Lにインサート成形された導電体24b(端子TGL)のばね部SPaは、外部から加重がかかっていない状態である。
【0068】
図9の(B)に示すように、ケース10に部品20bが取り付けられると、第1実施形態と同様に、かみ合わせ部EPU及びEPLが形成され、部品20が、ケース10に固定される。また、部品20bがケース10に取り付けられる過程において、導電体22bのコンタクト部CPaが導電体14に接触すると、導電体22bのばね部SPaは、導電体22bのリード部LPによりZ方向の圧力が加えられることにより変形する。そして、部品20bがケース10に取り付けられると、導電体22bのばね部SPaの弾力性に基づいた圧接力が、導電体22bのコンタクト部CPに加えられる。その結果、導電体22bのコンタクト部CPaの底面が、導電体14の上面に対して略均一に圧接され、導電体14と電気的に接続される。同様に、導電体24のコンタクト部CPaの底面が、導電体16の上面に対して略均一に圧接され、導電体16と電気的に接続される。
【0069】
[2-3]第2実施形態の効果
以上で説明されたように、第2実施形態に係る半導体装置1bでは、信号端子のリードに設けられたばね部SPaが、ループ形状を有している。これにより、ケース10と部品20cとが組み立てられた際にコンタクト部CPに加わる圧力が、ループ形状が潰れることによって、第1実施形態よりも均等になり得る。従って、第2実施形態に係る半導体装置1cは、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、且つ、コンタクト部CPの接触状態に基づくパワーモジュールの特性のばらつきを第1実施形態よりも抑制することができる。
【0070】
[3]第3実施形態
第3実施形態に係る半導体装置1cは、ケース10に対する蓋としての機能が追加された部品20cを備える。以下に、第3実施形態について、第1及び第2実施形態と異なる点を説明する。
【0071】
[3-1]部品20aの平面レイアウト
図10は、第3実施形態に係る半導体装置1cが備える部品20cの平面レイアウトの一例を示す平面図である。図10は、部品20cの内部又は底部に設けられる部分を、破線により示している。図10に示すように、部品20cは、例えば、絶縁部材21a、導電体22、23、24及び25を備える。
【0072】
絶縁部材21aは、例えば、板状の絶縁体である。絶縁部材21aは、絶縁部材21と同様に、爪部211a、211b、212a及び212bを有する。絶縁部材21aの爪部211a、211b、212a及び212bのそれぞれは、ケース10と部品20cとの固定に使用され、ケース10が備える受け部に引っかかることが可能な形状に設けられる。そして、部品20cの爪部211a、211b、212a及び212bは、ケース10の受け部111a、111b、112a及び112bとそれぞれ対向して配置可能に設けられる。
【0073】
部品20cの導電体22、23、24及び25のそれぞれの端子部は、絶縁部材21aの上方に露出した部分に対応する。部品20cの導電体22、23、24及び25のそれぞれは、絶縁部材21aにインサート成形される。部品20cの導電体22、23、24及び25のそれぞれのリード部LPは、例えば、絶縁部材21aの中に設けられている。第3実施形態に係る半導体装置1cのその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0074】
[3-2]半導体装置1の組み立て前後の断面構造
図11は、第3実施形態に係る半導体装置1cの組み立て前後の断面構造を示す断面図である。図11の(A)及び(B)は、それぞれは、半導体装置1cの組み立て前及び組み立て後に対応する。また、図11は、ケース10の受け部と部品20cの爪部とがかみ合う様子と、部品20cの端子TGU及びTGLが電極に接続される様子とを表現するために、半導体装置1cの構造を概略的に示している。
【0075】
図11の(A)に示すように、絶縁部材21aにインサート成形された導電体22(端子TGU)のばね部SPは、外部から加重がかかっていない状態である。同様に、絶縁部材21aにインサート成形された導電体24(端子TGL)のばね部SPは、外部から加重がかかっていない状態である。
【0076】
図11の(B)に示すように、ケース10に部品20cが取り付けられると、第1実施形態と同様に、かみ合わせ部EPU及びEPLが形成され、部品20cが、ケース10に固定される。また、部品20cがケース10に取り付けられると、導電体22のばね部SPの弾力性に基づいた圧接力が、導電体22のコンタクト部CPに加えられる。その結果、導電体22のコンタクト部CPの底面が、導電体14の上面に対して圧接され、導電体14と電気的に接続される。同様に、導電体24のコンタクト部CPの底面が、導電体16の上面に対して圧接され、導電体16と電気的に接続される。
【0077】
[3-3]第3実施形態の効果
以上で説明されたように、第3実施形態に係る半導体装置1cは、信号端子を保持する絶縁部材21aが、ケース10の蓋と一体化された構成を有している。ケース10と部品20cとが組み立てられると、ケース10と絶縁部材21aとによって囲まれた空間に、半導体回路が配置される。すなわち、絶縁部材21aが半導体装置1cの蓋としても使用される。その結果、第3実施形態に係る半導体装置1cは、部品点数を削減し、且つ組み立て工数を削減することができる。従って、第3実施形態に係る半導体装置1cは、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、且つ、パワーモジュールの製造コストをさらに抑制することができる。
【0078】
[3-4]第3実施形態の変形例
第3実施形態に係る半導体装置1cでは、ケース10の受け部が爪部に置き換えられ、且つ部品20cの爪部が受け部に置き換えれてもよい。すなわち、部品20を固定するための爪部は、ケース10側に形成されてもよい。
【0079】
図12は、第3実施形態の変形例に係る半導体装置1dの組み立て前後の断面構造を示す断面図である。図12の(A)及び(B)は、それぞれは、半導体装置1dの組み立て前及び組み立て後に対応する。また、図12は、ケース10aの爪部と部品20dの受け部とがかみ合う様子と、部品20dの端子TGU及びTGLが電極に接続される様子とを表現するために、半導体装置1dの構造を概略的に示している。
【0080】
図12に示すように、ケース10aは、第1実施形態のケース10において、絶縁部材11U及び11Lが、それぞれ絶縁部材11aU及び11aLに置き換えられた構成を有する。絶縁部材11aU及び11aLは、それぞれ爪部113及び114を有する。部品20dは、第3実施形態の部品20cにおいて、絶縁部材21aが、絶縁部材21bに置き換えられた構成を有する。絶縁部材21bは、爪部113に対応してれ受け部213を有し、爪部114に対応して受け部214を有する。
【0081】
図12の(A)に示すように、絶縁部材11aUに設けられた爪部113と、絶縁部材21bに設けられた受け部213とは、Z方向に向かい合って配置されている。絶縁部材11aLに設けられた爪部113と、絶縁部材21bに設けられた受け部214とは、Z方向に向かい合って配置されている。部品20dは、ベース基板SUB側に押し込まれると、ケース10aに取り付けられる。
【0082】
図12の(B)に示すように、ケース10aに部品20cが取り付けられると、第1実施形態と同様に、かみ合わせ部EPU及びEPLが形成され、部品20dが、ケース10aに固定される。また、部品20dがケース10に取り付けられることによって、導電体22のコンタクト部CPの底面が、導電体14の上面に対して圧接され、導電体14と電気的に接続される。同様に、導電体24のコンタクト部CPの底面が、導電体16の上面に対して圧接され、導電体16と電気的に接続される。
【0083】
以上で説明された第3実施形態の変形例に係る半導体装置1dは、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
[4]その他
各実施形態では、半導体装置1が2in1のパワーモジュールである場合を例に説明したが、これに限定されない。各実施形態の構成は、1in1や6in1など、その他のパワーモジュールにも適用され得る。各実施形態では、信号端子の配線が絶縁部材21にインサート成型されている場合を例に説明したが、これに限定されない。信号端子の配線は、絶縁部材21にアウトサート成型されてもよい。各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。例えば、第2実施形態で説明されたばね部SPaは、第2及び第3実施形態のいずれと組み合わされてもよい。第3実施形態の変形例で説明された絶縁部材11a及び21bのそれぞれの構造は、第1及び第2実施形態のいずれと組み合わされてもよい。なお、半導体装置1は、複数の端子TMUを備えていてもよいし、複数の端子TMLを備えていてもよい。端子TMU及びTMLの数は、異なっていてもよい。半導体装置1が備える信号端子の数は、半導体装置1の設計に応じて適宜変更され得る。
【0085】
本明細書において“接続”は、電気的に接続されている事を示し、間に別の素子を介することを除外しない。“電気的に接続される”は、電気的に接続されたものと同様に動作することが可能であれば、絶縁体を介していてもよい。“平面視”は、例えば、ベース基板SUBの表面に対して鉛直な方向に対象物を見ることに対応している。“厚さ”は、例えば、配線の延伸方向に対して垂直な方向の長さのことを示している。“爪形構造”及び“爪部”は、ケース10に部品20が取り付けられる際に、弾性変形し得る。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1…半導体装置、10…ケース、11…絶縁部材、12…絶縁基板、13~18…導電体、20…部品、21…絶縁部材、22~25…導電体、111,112,213,214…受け部、113,114,211,212…爪部、NMU,NML…トランジスタ、DU,DL…ダイオード、L…インダクタンス、TP,TN,TOUT,TGU,TGL,TMU,TML,TMVU,TMVL,TMCU,TMCL…端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12