(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135280
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20230921BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230921BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20230921BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20230921BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230921BHJP
H01L 21/761 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H01L29/78 301R
H01L29/06 301G
H01L29/78 301S
H01L29/78 301D
H01L27/088 A
H01L27/088 331C
H01L27/088 331G
H01L27/088 331B
H01L27/04 A
H01L21/76 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040411
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】小松 香奈子
(72)【発明者】
【氏名】石井 良明
(72)【発明者】
【氏名】篠原 大輔
【テーマコード(参考)】
5F032
5F038
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F032AA34
5F032AA44
5F032AB01
5F032BA01
5F032CA03
5F032CA17
5F038CA02
5F038CA06
5F038CA09
5F038EZ20
5F048AC01
5F048BE02
5F048BE09
5F048BG13
5F048BH01
5F140AB01
5F140AC21
5F140BA01
5F140BD19
5F140BG08
5F140BH14
5F140BH30
5F140BH40
5F140BH43
5F140CB04
5F140CB07
5F140CB08
5F140CD02
(57)【要約】
【課題】小型化が可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1導電形の半導体基板と、前記半導体基板上に設けられ、第1デバイス部分を含む第1導電形の半導体層と、前記半導体基板と前記第1デバイス部分との間に設けられた第2導電形の埋込層と、下端が前記埋込層に接し、上端が前記半導体層の上面に達し、前記第1デバイス部分の第1方向側に配置され、前記第1方向の反対の第2方向側には配置されていない第2導電形のガード領域と、前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1半導体領域と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、第1デバイス部分を含む第1導電形の半導体層と、
前記半導体基板と前記第1デバイス部分との間に設けられた第2導電形の埋込層と、
下端が前記埋込層に接し、上端が前記半導体層の上面に達し、前記第1デバイス部分の第1方向側に配置され、前記第1方向の反対の第2方向側には配置されていない第2導電形のガード領域と、
前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1半導体領域と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記ガード領域は、前記第1デバイス部分の前記第1方向と直交する第3方向側、及び、前記第3方向の反対の第4方向側に配置された請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ガード領域は、前記第1デバイス部分の前記第1方向と直交する第3方向側に位置する領域のうち前記第1方向側の一部、及び、前記第3方向の反対の第4方向側に位置する領域のうち前記第1方向側の一部に配置され、前記第1デバイス部分の前記第3方向側に位置する領域のうち前記第2方向側の一部、及び、前記第4方向側に位置する領域のうち前記第2方向側の一部には配置されていない請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ガード領域は、前記第1デバイス部分の前記第1方向と直交する第3方向側に配置され、前記第3方向の反対の第4方向側には配置されていない請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ガード領域は、前記第1デバイス部分の前記第1方向と直交する第3方向側、及び、前記第3方向の反対の第4方向側には配置されていない請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
上方から見た形状は矩形であり、
前記第1方向と平行な第1端面、及び、前記第1端面と直交する第2端面を有し、
前記第1デバイス部分の前記第2方向側の端面は端部領域を介して前記第2端面と対向している請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
上方から見た形状は矩形であり、
前記第1方向と平行な第1端面、及び、前記第1端面と直交する第2端面を有し、
前記第1デバイス部分の前記第2方向側の端面は前記第2端面と対向しており、
前記第1デバイス部分の前記第4方向側の端面は前記第1端面と対向している請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1ソース領域と、
前記第1半導体領域内に設けられた第2導電形の第1ドレイン領域と、
前記第1デバイス部分上に設けられた第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に設けられた第1ゲート電極と、
をさらに備えた請求項1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
第2導電側の第2半導体領域をさらに備え、
前記半導体層は前記第1デバイス部分から前記第1方向に離隔した第2デバイス部分をさらに含み、
前記第2半導体領域は前記第2デバイス部分内に設けられ、
前記ガード領域の少なくとも一部は、前記第1デバイス部分と前記第2デバイス部分との間に配置された請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2半導体領域に流れる電流は、前記第1半導体領域に流れる電流よりも大きい請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1導電形の半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、相互に離隔した第1デバイス部分及び第2デバイス部分を含む第1導電形の半導体層と、
前記半導体基板と前記第1デバイス部分との間に設けられた第2導電形の埋込層と、
下端が前記埋込層に接し、上端が前記半導体層の上面に達し、前記第1デバイス部分から見て、前記第1デバイス部分から前記第2デバイス部分に向かう第1方向側に配置され、前記第1方向の反対の第2方向側には配置されていない第2導電形のガード領域と、
前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1半導体領域と、
前記第2デバイス部分内に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
を備えた半導体装置。
【請求項12】
前記ガード領域は、前記第1デバイス部分から見て、前記第1方向と直交する第3方向側、及び、前記第3方向の反対の第4方向側に配置された請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記ガード領域は、前記第1デバイス部分から見て、前記第1方向と直交する第3方向側に位置する領域のうち前記第1方向側の一部、及び、前記第3方向の反対の第4方向側に位置する領域のうち前記第1方向側の一部に配置され、前記第1デバイス部分の前記第3方向側に位置する領域のうち前記第2方向側の一部、及び、前記第4方向側に位置する領域のうち前記第2方向側の一部には配置されていない請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ガード領域は、前記第1デバイス部分から見て、前記第1方向と直交する第3方向側に配置され、前記第3方向の反対の第4方向側には配置されていない請求項11に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ガード領域は、前記第1デバイス部分から見て、前記第1方向と直交する第3方向側、及び、前記第3方向の反対の第4方向側には配置されていない請求項11に記載の半導体装置。
【請求項16】
上方から見た形状は矩形であり、
前記第1方向と平行な第1端面、及び、前記第1端面と直交する第2端面を有し、
前記第1デバイス部分の前記第2方向側の端面は前記第2端面と対向している請求項11~15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項17】
上方から見た形状は矩形であり、
前記第1方向と平行な第1端面、及び、前記第1端面と直交する第2端面を有し、
前記第1デバイス部分の前記第2方向側の端面は前記第2端面に対向しており、
前記第1デバイス部分の前記第4方向側の端面は前記第1端面に対向している請求項14に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1ソース領域と、
前記第1半導体領域内に設けられた第2導電形の第1ドレイン領域と、
前記第1デバイス部分上に設けられた第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に設けられた第1ゲート電極と、
前記第2デバイス部分内に設けられた第2導電形の第2ソース領域と、
前記第2半導体領域内に設けられた第2導電形の第2ドレイン領域と、
前記第2デバイス部分上に設けられた第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に設けられた第2ゲート電極と、
をさらに備えた請求項11~17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項19】
前記半導体層上に設けられ、前記第2ソース領域に接続されたソースパッドと、
前記半導体層上に設けられ、前記第2ドレイン領域に接続されたドレインパッドと、
をさらに備えた請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
第1方向に平行な第1端面及び前記第1方向に直交する第2方向に平行な第2端面を含み第1導電形の半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、第1デバイス部分、並びに、前記第1デバイス部分から前記第1方向及び前記第2方向に離隔した第2デバイス部分を含む第1導電形の半導体層と、
前記半導体基板と前記第1デバイス部分との間に設けられた第2導電形の埋込層と、
下端が前記埋込層に接し、上端が前記半導体層の上面に達し、前記第1デバイス部分から見て、前記第1方向側及び前記第2方向側に配置され、前記第1方向の反対の第3方向側及び前記第2方向の反対の第4方向側には配置されていない第2導電形のガード領域と、
前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1半導体領域と、
前記第2デバイス部分内に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
を備えた半導体装置。
【請求項21】
前記第1デバイス部分の前記第3方向側の端面は前記第2端面に対向している請求項20に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第1デバイス部分の前記第4方向側の端面は前記第1端面に対向している請求項20または21に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記第2デバイス部分の前記第4方向側の端面は前記第1端面に対向している請求項22に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、電力制御回路等の大電流を扱う回路と信号処理回路等の小電流を扱う回路を混在させる場合がある。このような半導体装置においては、大電流回路において発生したノイズが小電流回路の動作に影響を及ぼすことがある。このため、大電流回路の周囲にガードリング領域を設けて、絶縁膜による分離やpn分離により、周囲から電気的に分離する技術が提案されている。しかしながら、ガードリング領域を設けることにより、半導体装置の小型化を阻害してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、小型化が可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の半導体基板と、前記半導体基板上に設けられ、第1デバイス部分を含む第1導電形の半導体層と、前記半導体基板と前記第1デバイス部分との間に設けられた第2導電形の埋込層と、下端が前記埋込層に接し、上端が前記半導体層の上面に達し、前記第1デバイス部分の第1方向側に配置され、前記第1方向の反対の第2方向側には配置されていない第2導電形のガード領域と、前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1半導体領域と、を備える。
【0006】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の半導体基板と、前記半導体基板上に設けられ、相互に離隔した第1デバイス部分及び第2デバイス部分を含む第1導電形の半導体層と、前記半導体基板と前記第1デバイス部分との間に設けられた第2導電形の埋込層と、下端が前記埋込層に接し、上端が前記半導体層の上面に達し、前記第1デバイス部分から見て、前記第1デバイス部分から前記第2デバイス部分に向かう第1方向側に配置され、前記第1方向の反対の第2方向側には配置されていない第2導電形のガード領域と、前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1半導体領域と、前記第2デバイス部分内に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、を備える。
【0007】
実施形態に係る半導体装置は、第1方向に平行な第1端面及び前記第1方向に直交する第2方向に平行な第2端面を含み第1導電形の半導体基板と、前記半導体基板上に設けられ、第1デバイス部分、並びに、前記第1デバイス部分から前記第1方向及び前記第2方向に離隔した第2デバイス部分を含む第1導電形の半導体層と、前記半導体基板と前記第1デバイス部分との間に設けられた第2導電形の埋込層と、下端が前記埋込層に接し、上端が前記半導体層の上面に達し、前記第1デバイス部分から見て、前記第1方向側及び前記第2方向側に配置され、前記第1方向の反対の第3方向側及び前記第2方向の反対の第4方向側には配置されていない第2導電形のガード領域と、前記第1デバイス部分内に設けられた第2導電形の第1半導体領域と、前記第2デバイス部分内に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における第1デバイス部分及びガード領域を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における第2デバイス部分を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の第3の変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図8】
図8(a)は第2の実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、
図8(b)は
図8(a)の領域Bを示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2は、
図1に示すA-A’線による断面図である。
なお、各図は模式的なものであり、構成要素は適宜簡略化若しくは省略、又は誇張されている。また、図間において、構成要素の数及び寸法比は必ずしも一致していない。後述する他の図においても同様である。
【0010】
先ず、本実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、1つのチップに2種類の回路が混載された装置である。以下、この2種類の回路を、便宜上、「小電流回路」及び「大電流回路」という。小電流回路の少なくとも一部は後述する第1デバイス部分20に形成されており、大電流回路の少なくとも一部は第2デバイス部分30に形成されている。
【0011】
半導体装置1においては、半導体基板10が設けられている。半導体基板10は例えば単結晶のシリコンからなり、その導電形は例えばp形である。半導体基板10上には、半導体層11が設けられている。半導体層11は例えば、半導体基板10の上面を起点としてエピタキシャル成長した単結晶のシリコンからなり、その導電形はp形である。
【0012】
半導体層11においては、第1デバイス部分20と第2デバイス部分30が設定されている。第1デバイス部分20と第2デバイス部分30は相互に離隔している。半導体層11の第1デバイス部分20と半導体基板10との間、及び、第2デバイス部分30と半導体基板10との間には、導電側がn
+形の埋込層12が設けられている。半導体層11上には、層間絶縁膜50が設けられている。なお、
図1においては、層間絶縁膜50は図示を省略している。
【0013】
以下、本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。半導体基板10と半導体層11との界面に平行な方向のうち、第1デバイス部分20から第2デバイス部分30に向かう方向を「-X方向」とし、その反対方向を「+X方向」とする。また、半導体基板10と半導体層11との界面に平行な方向のうち、+X方向に直交する一方向を「+Y方向」とし、その反対方向を「-Y方向」とする。更に、半導体基板10から半導体層11に向かう方向を「+Z方向」とし、その反対方向を「-Z方向」とする。なお、+Z方向を「上」ともいい、-Z方向を「下」ともいうが、この表現も便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。また、+X方向と-X方向を総称して単に「X方向」ともいう。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0014】
上方(+Z方向)から見て、第1デバイス部分20及び第2デバイス部分30の形状は、例えば、それぞれ矩形である。第1デバイス部分20の一対の端面はX方向に平行であり、他の一対の端面はY方向に平行である。同様に、第2デバイス部分30の一対の端面はX方向に平行であり、他の一対の端面はY方向に平行である。
【0015】
第1デバイス部分20においては、小電流を扱う小電流回路の一部が形成されている。小電流回路は、例えば、信号処理回路であり、例えばデジタル回路である。第1デバイス部分20には、導電形がn形のディープnウェル21(第1半導体領域)が設けられている。
【0016】
一方、第2デバイス部分30においては、大電流を扱う大電流回路の一部が形成されている。大電流回路は、例えば、電流制御回路であり、例えばアナログ回路である。第2デバイス部分30には、導電形がn形のnウェル31(第2半導体領域)が設けられている。また、層間絶縁膜50上には、ソースパッド32及びドレインパッド33が相互に離隔して設けられている。ソースパッド32及びドレインパッド33は、例えば、モータ等の負荷又は電源供給線に接続されている。
【0017】
後述するように、ソースパッド32及びドレインパッド33は、第2デバイス部分30に形成された大電流回路の一部分に接続されている。なお、
図1及び
図2においては、ソースパッド32及びドレインパッド33が第2デバイス部分30の直上域に配置された例を示しているが、これには限定されず、ソースパッド32及びドレインパッド33は例えば半導体装置1の上面の略全体に配置されていてもよい。
【0018】
そして、第1デバイス部分20から見て、-X方向側、+Y方向側、及び、-Y方向側には、導電形がn形のガード領域40が設けられている。すなわち、上方から見て、ガード領域40の形状は第1デバイス部分20の三方を囲むC字状である。ガード領域40の下端は埋込層12に接している。ガード領域40の上端は半導体層11の上面に達している。
【0019】
埋込層12、ガード領域40及び層間絶縁膜50により、第1デバイス部分20は+X方向を除く5方向において、周囲から電気的に区画されている。一方、第1デバイス部分20の+X方向には、ガード領域40は配置されていない。このため、第1デバイス部分20は+X方向において、半導体層11における第1デバイス部分20を除く部分と電気的に連続している。
【0020】
また、第2デバイス部分30から見て、+X方向側、-X方向側、+Y方向側、及び、-Y方向側には、n形のガード領域40が設けられている。すなわち、上方から見て、ガード領域40の形状は第2デバイス部分30を囲む枠状である。ガード領域40の下端は埋込層12に接している。ガード領域40の上端は半導体層11の上面に達している。埋込層12、ガード領域40及び層間絶縁膜50により、第2デバイス部分30は全ての方向において、周囲から電気的に区画されている。
【0021】
次に、第1デバイス部分20及びガード領域40の詳細な構成例を説明する。
図3は、本実施形態における第1デバイス部分及びガード領域を示す断面図である。
なお、以下に説明する第1デバイス部分20及びガード領域40の構成は一例であり、この例には限定されない。後述する第2デバイス部分30の構成についても同様である。
【0022】
図3に示すように、半導体層11の第1デバイス部分20においては、導電形がp形のディープpウェル22が設けられている。ディープpウェル22の不純物濃度は半導体層11の不純物濃度よりも高い。なお、本明細書において、「不純物濃度」とは半導体の導電特性に影響を及ぼす不純物の濃度をいい、ある領域にアクセプタとなる不純物とドナーとなる不純物の双方が含まれている場合には、相殺分を除いた実効的な濃度をいう。
【0023】
ディープpウェル22上には、上述のディープnウェル21が配置されている。ディープnウェル21の上部の中央部分には、導電形がp形のpウェル23が設けられている。pウェル23の不純物濃度は半導体層11の不純物濃度よりも高く、ディープpウェル22の不純物濃度よりも低い。pウェル23の上層部分の一部には、導電形がn+形のソース領域24s及びドレイン領域24dが相互に離隔して設けられている。ソース領域24s及びドレイン領域24dの不純物濃度は、ディープnウェル21の不純物濃度よりも高い。pウェル23の上層部分の他の一部には、導電形がp+形のコンタクト領域25が設けられている。コンタクト領域25の不純物濃度はpウェル23の不純物濃度よりも高い。
【0024】
ディープnウェル21の上部におけるpウェル23の周囲には、導電形がn形のnウェル26が設けられている。nウェル26の不純物濃度はディープnウェル21の不純物濃度よりも高い。nウェル26の上層部分の一部には、導電形がn+形のコンタクト領域27が設けられている。コンタクト領域27の不純物濃度はnウェル26の不純物濃度よりも高い。
【0025】
半導体層11の上部におけるディープnウェル21の周囲には、導電形がp形のpウェル28が設けられている。pウェル28の不純物濃度は半導体層11の不純物濃度よりも高く、ディープpウェル22の不純物濃度よりも低い。pウェル28の上層部分の一部には、導電形がp+形のコンタクト領域29が設けられている。コンタクト領域29の不純物濃度はpウェル28の不純物濃度よりも高い。
【0026】
pウェル23上であって、ソース領域24sとドレイン領域24dとの間のチャネル領域の直上域には、ゲート絶縁膜51が設けられている。ゲート絶縁膜51は、例えば、シリコン酸化物により形成されている。ゲート絶縁膜51上にはゲート電極52が設けられている。ゲート絶縁膜51及びゲート電極52は、層間絶縁膜50内に配置されている。
【0027】
第1デバイス部分20においては、ソース領域24s、ドレイン領域24d、pウェル23、ゲート絶縁膜51及びゲート電極52により、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が形成されている。
図3においては、図を簡略化するために、MOSFETを1つのみ示したが、第1デバイス部分20には、このようなMOSFETが多数設けられていてもよい。
【0028】
ガード領域40においては、下から上に向かって、導電形がn+形のガードリング層41、導電形がn形のnウェル42、導電形がn+形のコンタクト領域43がこの順に設けられている。ガードリング層41の下端は、埋込層12における-X方向側の端部、+Y方向側の端部、-Y方向側の端部に接している。nウェル42の下端はガードリング層41の上端に接している。コンタクト領域43はnウェル42の上端に接している。これにより、ガードリング層41、nウェル42及びコンタクト領域43からなるn形のガード領域40は、p形の半導体層11をZ方向に貫通している。すなわち、ガード領域40の下端は埋込層12に接しており、上端は半導体層11の上面に達している。
【0029】
半導体層11の上部のうち、ソース領域24s、ドレイン領域24d、ソース領域24sとドレイン領域24dとの間のチャネル領域、コンタクト領域25、コンタクト領域27、コンタクト領域29及びコンタクト領域43を除く領域には、STI(Shallow Trench Isolation:素子分離絶縁膜)53が設けられている。STI53は例えばシリコン酸化物からなる。STI53は層間絶縁膜50の下方に配置されている。
【0030】
層間絶縁膜50内には、複数のコンタクト54と、複数の配線55が設けられている。ゲート電極52、ソース領域24s、ドレイン領域24d、コンタクト領域25、コンタクト領域27、コンタクト領域29、コンタクト領域43は、それぞれ、コンタクト54を介して配線55に接続されている。
【0031】
次に、第2デバイス部分30の詳細な構成例を説明する。
図4は、本実施形態における第2デバイス部分を示す断面図である。
【0032】
図4に示すように、半導体層11の第2デバイス部分30においては、導電形がp形のディープpウェル34が設けられている。ディープpウェル34の不純物濃度は半導体層11の不純物濃度よりも高い。ディープpウェル34上には、上述のnウェル31が配置されている。nウェル31はディープpウェル34から半導体層11を介して離隔している。nウェル31の上部の中央部分には、導電形がn
+形のドレイン領域35が設けられている。ドレイン領域35の不純物濃度は、nウェル31の不純物濃度よりも高い。
【0033】
半導体層11の上部におけるnウェル31の周囲には、nウェル31から離隔して、導電形がp形のpウェル36が設けられている。pウェル36の不純物濃度は半導体層11の不純物濃度よりも高い。pウェル36の上層部分の一部には、導電形がn+形のソース領域37及び導電形がp+形のコンタクト領域38が設けられている。コンタクト領域38の不純物濃度はpウェル36の不純物濃度よりも高い。ソース領域37及びコンタクト領域38は、ドレイン領域35を挟む位置に一対又は複数対設けられている。
【0034】
pウェル36におけるソース領域37と半導体層11との間の部分上、半導体層11におけるpウェル36とnウェル31との間のチャネル領域上、及び、nウェル31におけるpウェル36側の部分上には、ゲート絶縁膜56が設けられている。上方から見て、ゲート絶縁膜56とドレイン領域35との間には、ステップ絶縁膜57が設けられている。ステップ絶縁膜57はnウェル31上に配置され、ゲート絶縁膜56と接している。ステップ絶縁膜57はゲート絶縁膜56よりも厚い。ゲート絶縁膜56及びステップ絶縁膜57は、例えば、シリコン酸化物により形成されている。ゲート絶縁膜56上及びステップ絶縁膜57上には、ゲート電極58が設けられている。ゲート絶縁膜56、ステップ絶縁膜57及びゲート電極58は、層間絶縁膜50内に配置されている。
【0035】
ゲート電極58、ソース領域37及びコンタクト領域38、ドレイン領域35は、それぞれ、コンタクト54を介して配線55に接続されている。ソース領域37は、あるコンタクト54及び配線55を介して、ソースパッド32(
図1及び
図2参照)に接続されている。ドレイン領域35は、他のコンタクト54及び配線55を介して、ドレインパッド33(
図1及び
図2参照)に接続されている。
【0036】
第2デバイス部分30においては、ソース領域37、pウェル36、半導体層11におけるpウェル36とnウェル31との間のチャネル領域、nウェル31、ドレイン領域35、ゲート絶縁膜56、ステップ絶縁膜57及びゲート電極58により、LDMOS(Laterally Double-Diffused MOSFET:横型二重拡散MOSFET)が形成されている。
図4においては、図を簡略化するために、LDMOSを1対のみ示したが、第2デバイス部分30には、このようなLDMOSが複数対設けられていてもよい。
【0037】
半導体基板10と第2デバイス部分30の間にも、導電側がn+形の埋込層12が設けられている。また、上方から見て第2デバイス部分30を囲むように、ガード領域40が設けられている。ガード領域40の断面構造は上述のとおりである。なお、第2デバイス部分30の周囲には、埋込層12及びガード領域40が設けられていなくてもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係る半導体装置の動作について説明する。
半導体装置1においては、コンタクト領域43を介してガード領域40及び埋込層12に基準電位を印加する。基準電位は例えば接地電位とする。この状態で、第1デバイス部分20及び第2デバイス部分30を駆動する。
【0039】
例えば、
図3に示すように、第1デバイス部分20においては、ソース領域24sに第1ソース電位、例えば、接地電位を印加し、ドレイン領域24dに第1ソース電位よりも高い第1ドレイン電位を印加する。この状態で、ゲート電極52に第1ゲート電位を印加することにより、MOSFETのオン/オフを切り替える。
【0040】
また、
図4に示すように、第2デバイス部分30においては、ソース領域37に第2ソース電位、例えば接地電位を印加し、ドレイン領域35に第2ソース電位よりも高い第2ドレイン電位を印加する。例えば、第2ドレイン電位は第1ドレイン電位よりも高い。この状態で、ゲート電極58に第2ゲート電位を印加することにより、LDMOSのオン/オフを切り替える。
【0041】
第2デバイス部分30のドレイン領域35には、ネガティブキャリアが注入される場合がある。ネガティブキャリアは、例えば、電源出力の降圧回路、又は、Hブリッジ出力の貫通防止期間において、ドレイン領域35に注入される。例えば、ドレインパッド33がモータ等の負荷に接続されている場合に、第2デバイス部分30のLDMOSをターンオフすると、ドレインパッド33、配線55及びコンタクト54を介して、ドレイン領域35にネガティブキャリアが注入される場合がある。
【0042】
ドレイン領域35にネガティブキャリアが注入されると、ドレイン領域35の電位はソース電位(例えば、接地電位)よりも低くなる。この場合、p形の半導体層11とnウェル31からなる寄生ダイオードに順方向電圧が印加され、導通する。このため、コンタクト領域38、pウェル36、半導体層11、nウェル31、ドレイン領域35の順に電流が流れる。これにより、半導体層11の電位が降下し、半導体基板10に電子電流が流れる。この電子電流がノイズとして第1デバイス部分20に到達すると、第1デバイス部分20の動作が影響を受ける。
【0043】
上述の如く、第2デバイス部分30流れる電流は第1デバイス部分20を流れる電流よりも大きい。このため、駆動に伴って放出するノイズは、第1デバイス部分20よりも第2デバイス部分30の方が大きい。一方、外部から流入するノイズの影響は、第2デバイス部分30よりも第1デバイス部分20の方が大きい。このため、第1デバイス部分20と第2デバイス部分30を同時に駆動させると、第2デバイス部分30は加害回路(Aggressor)になりやすく、第1デバイス部分20は被害回路(Victim)になりやすい。
【0044】
本実施形態においては、第1デバイス部分20の下面をn+形の埋込層12によって覆い、第1デバイス部分20から見て第2デバイス部分30が位置する-X方向側の端面と、-X方向と直交する+Y方向側及び-Y方向側の端面をガード領域40によって覆っているため、第2デバイス部分30から伝播する電子電流がガード領域40によって外部に吸い出され、ノイズを軽減できる。
【0045】
また、本実施形態においては、第1デバイス部分20から見て第2デバイス部分30の反対側にあたる+X方向側にはガード領域40を設けていない。これにより、第1デバイス部分20の+X方向側にガード領域40を設ける場合と比較して、ガード領域40の厚さの分だけ、半導体装置1を小型化することができる。
【0046】
なお、第1デバイス部分20の+X方向側にガード領域40を設けないことにより、第2デバイス部分30から放射されたノイズが、第1デバイス部分20に+X方向側から流入する可能性がある。しかしながら、このノイズは埋込層12又はガード領域40を回り込んで流入するため、第2デバイス部分30からの経路長が長く、十分に減衰する。このため、第1デバイス部分20の動作に及ぼす影響は小さい。
【0047】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、第1デバイス部分20の下面を埋込層12によって覆い、三方の端面をガード領域40によって覆っているため、第2デバイス部分30において発生したノイズが第1デバイス部分20の動作に及ぼす影響を抑制できる。この結果、第1デバイス部分20と第2デバイス部分30との距離を短縮し、半導体装置1の小型化を図ることができる。また、第1デバイス部分20の+X方向側にガード領域40を設けないことにより、ノイズの影響を抑えつつ、半導体装置1の小型化を図ることができる。
【0048】
<第1の実施形態の第1の変形例>
次に、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。
図5は、本変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
なお、
図5においては、層間絶縁膜50、ソースパッド32及びドレインパッド33は図示が省略されている。後述する
図6~
図10についても同様である。
【0049】
図5に示すように、本変形例に係る半導体装置1aにおいては、第1の実施形態と同様に、第2デバイス部分30は、第1デバイス部分20から見て-X方向に位置する。そして、ガード領域40は、第1デバイス部分20から見て、-X方向側の全体、+Y方向側に位置する領域のうち-X方向側の一部、及び、-Y方向側に位置する領域のうち-X方向側の一部に配置されている。一方、ガード領域40は、第1デバイス部分20から見て、+X方向側の全体、+Y方向側に位置する領域のうち+X方向側の一部、及び、-Y方向側に位置する領域のうち+X方向側の一部には配置されていない。第1デバイス部分20及び第2デバイス部分30の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
本変形例によれば、第1の実施形態と比較してガード領域40のX方向の長さを短くすることにより、半導体装置のより一層の小型化を図ることができる。本変形例において第1デバイス部分20が受けるノイズの影響が第1の実施形態よりも小さい場合には、本変形例によっても、十分にノイズの影響を抑制できる。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0051】
<第1の実施形態の第2の変形例>
次に、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。
図6は、本変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【0052】
図6に示すように、本変形例に係る半導体装置1bにおいても、第1の実施形態と同様に、第2デバイス部分30は、第1デバイス部分20から見て-X方向に位置する。そして、ガード領域40は、第1デバイス部分20から見て、-X方向側の全体に配置されている。一方、ガード領域40は、第1デバイス部分20から見て、+X方向側の全体、+Y方向側の全体、及び、-Y方向側の全体には配置されていない。すなわち、上方から見て、ガード領域40の形状はY方向に延びる帯状である。
【0053】
本変形例によれば、第1デバイス部分20の+Y方向側及び-Y方向側にガード領域40を設けていないため、第1の実施形態と比較して、半導体装置1bをY方向において小型化することができる。これにより、半導体装置のより一層の小型化を図ることができる。本変形例が第1の変形例と比較して、第1デバイス部分20が第2デバイス部分30から放射されるノイズの影響を受けにくい場合には、本変形例によっても、十分にノイズの影響を軽減することができる。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
<第1の実施形態の第3の変形例>
次に、第1の実施形態の第3の変形例について説明する。
図7は、本変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【0055】
図7に示すように、本変形例に係る半導体装置1cにおいては、第1の実施形態とは異なり、第2デバイス部分30は、第1デバイス部分20から見て-X方向及び+Y方向に離隔している。そして、ガード領域40は、第1デバイス部分20から見て、-X方向側の全体及び+Y方向側の全体に配置されている。一方、ガード領域40は、第1デバイス部分20から見て、+X方向側の全体、及び、-Y方向側の全体には配置されていない。すなわち、上方から見て、ガード領域40の形状はL字形である。
【0056】
本変形例によれば、第1デバイス部分20から見て-X方向且つ+Y方向に離隔して第2デバイス部分30が配置されている場合に、第1デバイス部分20の-X方向側及び+Y方向側にガード領域40を設けることにより、第2デバイス部分30から放射されるノイズを効果的に遮断することができる。一方、第1デバイス部分20の+X方向側及び-Y方向側にガード領域40を設けないことにより、X方向及びY方向の双方において半導体装置の小型化を図ることができる。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0057】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図8(a)は本実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、
図8(b)は
図8(a)の領域Bを示す図である。
【0058】
図8(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置2の形状はチップ状であり、上方から見て矩形である。したがって、上方から見て、半導体基板10及び半導体層11の形状も矩形である。半導体装置2は、上面及び下面に加えて、4つの端面61~64を有する。+X方向に面した端面61及び-X方向に面した端面62はYZ平面に平行であり、+Y方向に面した端面63及び-Y方向に面した端面64はXZ平面に平行である。
【0059】
上方から見て、半導体装置2の周辺部分は、端部領域70となっている。端部領域70は、ウェーハをダイシングする前はスクライブライン領域であった領域であり、半導体装置2の機能を担う素子は設けられていない。
【0060】
第1の実施形態と同様に、第1デバイス部分20の-X方向側、+Y方向側及び-Y方向側の三方にはガード領域40が設けられている。第1デバイス部分20の+X方向側には、ガード領域40は設けられていない。また、第1デバイス部分20の下方(-Z方向)側には埋込層12が設けられている。
【0061】
一方、本実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、第1デバイス部分20の+X方向側の端面20Xは、端部領域70に接しており、端部領域70を介して端面61に対向している。換言すれば、第1デバイス部分20は半導体装置2の+X方向側の端部に配置されている。
【0062】
本実施形態によれば、第1デバイス部分20の+X方向側の端面20Xが端部領域70を介して半導体装置2の端面61に対向しているため、ノイズの伝播経路が制約される。これにより、+X方向側から第1デバイス部分20へのノイズの流入を抑制できる。この結果、本実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、第2デバイス部分30から放射されたノイズが第1デバイス部分20に流入することをより効果的に抑制でき、半導体装置のより一層の小型化を図ることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0063】
<第2の実施形態の第1の変形例>
次に、第2の実施形態の第1の変形例について説明する。
図9は、本変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【0064】
図9に示すように、本変形例に係る半導体装置2aおいては、第1デバイス部分20の-X方向側及び+Y方向側にガード領域40が設けられており、第1デバイス部分20の+X方向側及び-Y方向側にはガード領域40は設けられていない。すなわち、上方から見て、第1デバイス部分20の周囲に設けられたガード領域40の形状はL字状である。
【0065】
そして、第1デバイス部分20の-Y方向側の端面20Y、及び、第2デバイス部分30の-Y方向側の端面30Yは端部領域70に接しており、端部領域70を介して半導体装置2の端面64に対向している。一方、第1デバイス部分20の+XY方向側の端面20Xは端部領域70から離れている。
【0066】
また、第2デバイス部分30の-X方向側、+X方向側、及び、+Y方向側にもガード領域40が設けられている。第2デバイス部分30の-Y方向側にはガード領域40は設けられていない。すなわち、第2デバイス部分30の周囲に設けられたガード領域40の形状はC字状である。
【0067】
本変形例によれば、第1デバイス部分20の-Y方向側、及び、第2デバイス部分30の-Y方向側には、端部領域70しか存在しておらず、ノイズの伝播経路が制約されている。このため、第1デバイス部分20の-Y方向側にガード領域40を設けなくても、第2デバイス部分30から第1デバイス部分20に至るノイズの伝播を抑制することができる。そして、第1デバイス部分20の-Y方向側にガード領域40を設けないことにより、半導体装置をより一層小型化することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第2の実施形態と同様である。
【0068】
<第2の実施形態の第2の変形例>
次に、第2の実施形態の第2の変形例について説明する。
図10は本変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【0069】
図10に示すように、本変形例に係る半導体装置2bおいても、第2の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置2a(
図9参照)と同様に、第1デバイス部分20の-X方向側及び+Y方向側にガード領域40が設けられており、第1デバイス部分20の+X方向側及び-Y方向側にはガード領域40は設けられていない。なお、第2デバイス部分30の周囲のガード領域40の形状は、第2の実施形態の第1の変形例と同様である。
【0070】
そして、第1デバイス部分20の-Y方向側の端面20Y、及び、第2デバイス部分30の-Y方向側の端面30Yは端部領域70に接しており、端部領域70を介して半導体装置2の端面64に対向している。また、第1デバイス部分20の+X方向側の端面20Xも端部領域70に接しており、端部領域70を介して半導体装置2の端面61に対向している。すなわち、本変形例においては、第1デバイス部分20は-Y方向側の端面20Y及び+X方向側の端面20Xにおいて、半導体装置2の端面64及び端面61にそれぞれ対向している。換言すれば、第1デバイス部分20は、半導体装置2の+X方向側且つ-Y方向側の角部に配置されている。
【0071】
本変形例によれば、第1デバイス部分20の-Y方向側、及び、第2デバイス部分30の-Y方向側には、端部領域70しか存在しておらず、ノイズの伝播経路が制約されている。また、第1デバイス部分20の+X方向側にも端部領域70しか存在しておらず、ノイズの伝播経路が制約されている。このため、第1デバイス部分20の-Y方向側及び+X方向側にガード領域40を設けなくても、第2デバイス部分30から第1デバイス部分20に至るノイズの伝播を抑制することができる。この結果、半導体装置2bをより一層小型化することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第2の実施形態と同様である。
【0072】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図11は本実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【0073】
図11に示すように、本実施形態に係る半導体装置3においては、複数の第1デバイス部分20と1つの第2デバイス部分30が設けられている。そして、各第1デバイス部分20について、第2デバイス部分30との位置関係に応じてガード領域40の配置が決定されている。
【0074】
具体的には、上方から見て半導体装置3の中央付近に1つの第2デバイス部分30が配置されており、その周囲に複数の第1デバイス部分20が配置されている。そして、第2デバイス部分30に近い位置に配置された第1デバイス部分20aについては、第1の実施形態(
図1参照)において説明したように、第1デバイス部分20aから見て第2デバイス部分30の反対側にはガード領域40が配置されておらず、それ以外の三方向側にガード領域40が配置されている。
【0075】
また、第2デバイス部分30から中程度の距離に配置された第1デバイス部分20bについては、第1の実施形態の第1の変形例(
図5参照)において説明したように、第1デバイス部分20bから見て第2デバイス部分30に対向する側の全体と、両側方の領域における第2デバイス部分30側の部分のみにガード領域40が配置されている。
【0076】
さらに、第2デバイス部分30から遠い位置に配置された第1デバイス部分20cに対しては、第1の実施形態の第2の変形例(
図6参照)において説明したように、第1デバイス部分20cから見て第2デバイス部分30に対向する側のみにガード領域40が配置されている。
【0077】
さらにまた、第2デバイス部分30に対して対角の位置に配置された第1デバイス部分20dに対しては、第1の実施形態の第3の変形例(
図7参照)において示したように、第1デバイス部分20dから見て第2デバイス部分30に対向する2つの端面上のみにガード領域40が配置されている。
【0078】
さらにまた、チップの端部領域70に接する第1デバイス部分20eについては、第2の実施形態(
図8(a)及び(b)参照)及びその変形例(
図9及び
図10参照)において説明したように、第1デバイス部分20eとチップの端面との間にはガード領域40が配置されていない。
【0079】
このように、各第1デバイス部分20と第2デバイス部分30との位置関係に応じてガード領域40を配置することにより、ノイズの伝播経路の実効的な距離を所定距離以上とし、第1デバイス部分20に及ぼす影響の抑制と半導体装置3の小型化の両立を図ることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0080】
なお、半導体装置には複数の第2デバイス部分30を設けてもよい。また、複数の第1デバイス部分20に対して、1つのガード領域40を設けてもよい。この場合において、1つのガード領域40に対応する複数の第1デバイス部分20については、共通の埋込層12を設けてもよく、第1デバイス部分20毎に埋込層12を設けてもよい。第1デバイス部分20毎に埋込層12を設けることにより、第1デバイス部分20毎に基準電位を異ならせることができる。
【0081】
以上説明した実施形態によれば、小型化が可能な半導体装置を実現することができる。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態及びその変形例を説明したが、これらの実施形態及びその変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態及びその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、上述の実施形態及び変形例は、相互に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1、1a、1b、1c、2、2a、2b、3:半導体装置
10:半導体基板
11:半導体層
12:埋込層
20、20a、20b、20c、20d、20e:第1デバイス部分
20X、20Y:端面
21:ディープnウェル(第1半導体領域)
22:ディープpウェル
23:pウェル
24d:ドレイン領域
24s:ソース領域
25:コンタクト領域
26:nウェル
27:コンタクト領域
28:pウェル
29:コンタクト領域
30:第2デバイス部分
30Y:端面
31:nウェル(第2半導体領域)
32:ソースパッド
33:ドレインパッド
34:ディープpウェル
35:ドレイン領域
36:pウェル
37:ソース領域
38:コンタクト領域
40:ガード領域
41:ガードリング層
42:nウェル
43:コンタクト領域
50:層間絶縁膜
51:ゲート絶縁膜
52:ゲート電極
53:STI
54:コンタクト
55:配線
56:ゲート絶縁膜
57:ステップ絶縁膜
58:ゲート電極
61、62、63、64:端面
70:端部領域