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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135304
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】環状製品の外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
G01N21/95 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040450
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】305021292
【氏名又は名称】第一実業ビスウィル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】松井 公児
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩一
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051BA01
2G051BA08
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051CD06
2G051DA02
2G051DA08
2G051DA13
(57)【要約】
【課題】環状製品の外側面について、その広い領域の外観を検査することができる外観検査装置を提供する。
【解決手段】ガラス板11上に供給された検査対象物Kを当該ガラス板11の回転方向に搬送する搬送装置と、外側面撮像位置Pにおいて検査対象物Kを撮像する外側面撮像装置60と、撮像された画像に基づいて、検査対象物Kの外観の良否を判定する判定装置110とを備える。外側面撮像装置60は、検査用照明部65と、その周囲に配設された3つの撮像部61とを備える。各撮像部61は、検査用照明部65の下方から、検査対象物Kの外側面から反射光を受光する第1及び第2ミラー64a,64bと、第1及び第2ミラー64a,64bからの反射光を上方に反射させる第3ミラー64cと、第3ミラー64cの上方に配設された撮像カメラ62とを備える。
【選択図】図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の樹脂製品を検査対象物として、その外観を検査する外観検査装置であって、
水平に配設される透明な円板状のガラス板を備え、該ガラス板を水平回転させて、該ガラス板上に供給された前記検査対象物を該ガラス板の回転方向に搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される前記検査対象物の外側面を、前記検査対象物の搬送経路上に設定された外側面撮像位置において撮像する外側面撮像装置と、
前記外側面撮像装置によって撮像された画像を処理して、前記検査対象物の外観の良否を判定する判定装置と、を少なくとも備え、
前記外側面撮像装置は、前記外側面撮像位置において前記ガラス板の上方に配設される外側面検査用赤色照明部と、該外側面検査用赤色照明部の周囲に、前記外側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔に配設され第1、第2及び第3の外側面撮像部とを備え、
前記外側面検査用赤色照明部は、前記鉛直軸と同軸に配置される環状の投光部を有し、該投光部から赤色の光を中心側に向けて照射して、主に、前記外側面撮像位置に在る検査対象物の外側面を照明するように構成され、
前記第1、第2及び第3の外側面撮像部は、それぞれ、前記外側面検査用赤色照明部の下方から、前記検査対象物の外側面から反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラーと、該第1及び第2ミラーから反射された反射光を受光して上方に反射させる2つの反射面を備えた第3ミラーと、第3ミラーの上方に配設され、該第3ミラーによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する外側面撮像カメラとから構成されていることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記第1ミラーの受光光路と第2ミラーの受光光路とは、前記外側面撮像位置を中心として、水平面内で60°の角度を有していることを特徴とする請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記第1ミラーの受光光路及び第2ミラーの受光光路は、水平面に対して3.5°~4.5°の範囲の角度を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記外側面撮像装置は、前記外側面撮像位置より上方であって、前記外側面検査用赤色照明部の内側に配設され、赤色の光を下方の前記外側面撮像位置に向けて照射する外側面用上側強調照明部と、
前記外側面撮像位置において、前記ガラス板の下方に配設され、上方に向けて赤色の光を照射する外側面用下側強調照明部と、を更に備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記搬送装置によって搬送される前記検査対象物の下側の内側面を、前記検査対象物の搬送経路上に設定された下内側面撮像位置において撮像する下内側面撮像装置と、
前記検査対象物の上側の内側面を、前記検査対象物の搬送経路上に設定された上内側面撮像位置において撮像する上内側面撮像装置と、を更に備え、
前記下内側面撮像装置は、前記下内側面撮像位置において前記ガラス板の下方に配設される下内側面検査用赤色照明部と、該下内側面検査用赤色照明部の周囲に、前記下内側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔に配設され第1、第2及び第3の下内側面撮像部と、を備え、
前記下内側面検査用赤色照明部は、前記下内側面撮像位置における鉛直軸と同軸に配置される環状の投光部を有し、該投光部から赤色の光を中心側に向けて照射して、主に、前記下内側面撮像位置に在る検査対象物の下内側面を照明するように構成され、
前記第1、第2及び第3の下内側面撮像部は、それぞれ、前記下内側面検査用赤色照明部の下方から、前記検査対象物の下内側面からの反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラーと、該第1及び第2ミラーから反射された反射光を受光して下方に反射させる2つの反射面を備えた第3ミラーと、第3ミラーの下方に配設され、該第3ミラーによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する下内側面撮像カメラとから構成され、
前記上内側面撮像装置は、前記上内側面撮像位置において前記ガラス板の上方に配設される上内側面検査用赤色照明部と、該上内側面検査用赤色照明部の周囲に、前記上内側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔に配設され第1、第2及び第3の上内側面撮像部と、を備え、
前記上内側面検査用赤色照明部は、前記上内側面撮像位置における鉛直軸と同軸に配置される環状の投光部を有し、該投光部から赤色の光を中心側に向けて照射して、主に、前記上内側面撮像位置に在る検査対象物の上内側面を照明するように構成され、
前記第1、第2及び第3の上内側面撮像部は、それぞれ、前記上内側面検査用赤色照明部の上方から、前記検査対象物の上内側面からの反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラーと、該第1及び第2ミラーから反射された反射光を受光して上方に反射させる2つの反射面を備えた第3ミラーと、第3ミラーの上方に配設され、該第3ミラーによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する上内側面撮像カメラとから構成され、
前記判定装置は、前記外側面撮像装置によって撮像された画像に加えて、前記下内側面撮像装置及び上内側面撮像装置によって撮像された画像を処理して、前記検査対象物の外観の良否を判定するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
前記下内側面撮像装置の第1ミラーの受光光路と第2ミラーの受光光路とは、前記下内側面撮像位置を中心として、水平面内で60°の角度を有し、
前記上内側面撮像装置の第1ミラーの受光光路と第2ミラーの受光光路とは、前記上内側面撮像位置を中心として、水平面内で60°の角度を有していることを特徴とする請求項5記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記下内側面撮像装置の第1ミラーの受光光路及び第2ミラーの受光光路、並びに前記上内側面撮像装置の第1ミラーの受光光路及び第2ミラーの受光光路は、それぞれ、水平面に対して39.5°~40.5°の範囲の角度を有していることを特徴とする請求項5又は6記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記下内側面撮像装置は、前記下内側面撮像位置より下方であって、前記下内側面検査用赤色照明部より下方に配設され、赤色の光を上方の前記下内側面撮像位置に向けて照射する下内側面用下側強調照明部と、
前記下内側面撮像位置において、前記ガラス板の上方に配設され、下方に向けて赤色の光を照射する下内側面用上側強調照明部と、を更に備え、
前記上内側面撮像装置は、前記上内側面撮像位置より上方であって、前記上内側面検査用赤色照明部より上方に配設され、赤色の光を下方の前記上内側面撮像位置に向けて照射する上内側面用上側強調照明部と、
前記上内側面撮像位置において、前記ガラス板の下方に配設され、上方に向けて赤色の光を照射する上内側面用下側強調照明部と、を更に備えていることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像カメラを用いて物品の外観を撮像し、得られた画像を処理して当該物品の外観の良否を判定する外観検査装置に関し、特に、環状をした樹脂製品の外観を好適に検査することができる外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した環状樹脂製品の外観を検査する装置として、従来、特開2021-51032号公報に開示された外観検査装置が知られている。
【0003】
この外観検査装置は、水平に配設される透明な円板状のガラス板を備え、該ガラス板を水平回転させて、該ガラス板上に供給された検査対象物(環状樹脂製品)を該ガラス板の回転方向に搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送される前記検査対象物の表面を撮像する表面撮像装置と、前記検査対象物の裏面を撮像する裏面撮像装置と、前記検査対象物の外側面を撮像する外側面撮像装置と、前記検査対象物の内側面を撮像する内側面撮像装置と、前記各撮像装置によって撮像された画像を処理して、前記検査対象物の外観の良否を判定する判定装置とを備える。
【0004】
この外観検査装置によれば、検査対象物が搬送装置のガラス板上に供給されて、当該ガラス板の回転方向に搬送されている間に、前記表面撮像装置、裏面撮像装置、外側面撮像装置、及び内側面撮像装置によって、それぞれその表面、裏面、外側面及び内側面が撮像され、得られた画像が判定装置により処理されて、当該検査対象物の外観の良否が判定される。
【0005】
ところで、上記環状樹脂製品は、代表的な製品として、成形型によって成形されるOリングなどが例示され、このような成形品は、2つの成形型が合わせられる割面で生じるバリなどの欠陥が内側面及び外側面に存在するという特性を有する。したがって、かかる環状樹脂製品の外観を検査するには、その内側面及び外側面を確実に検査する必要がある。
【0006】
このため、上記従来の外観検査装置では、前記外側面撮像装置を、検査対象物の搬送経路上に設定された外側面撮像位置において、前記ガラス板より上方に配設され、前記外側面撮像位置に在る検査対象物の外側面の画像を撮像する外側面撮像カメラと、この外側面撮像カメラの下方に、前記外側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心として放射状に等間隔に配設され、検査対象物の外側面から反射された反射光を前記外側面撮像カメラに導く光路が形成された複数のプリズムと、前記外側面撮像位置に在る検査対象物を照明する外側面用照明部とから構成している。
【0007】
そして、前記外側面用照明部は、前記プリズムとガラス板との間に配設されるとともに、前記鉛直軸と同軸に配置される環状の投光部を有し、該投光部から赤色の光を中心側に向けて照射して、主に、前記外側面撮像位置に在る検査対象物の外側面を照明する外側面検査用赤色照明部と、前記外側面撮像位置より上方であって、前記プリズムの内側に配設され、赤色の光を下方の前記外側面撮像位置に向けて照射する外側面用上側強調照明部と、記外側面撮像位置において、前記ガラス板の下方に配設され、上方に向けて赤色の光を照射する外側面用下側強調照明部とから構成される。
【0008】
この外側面撮像装置によれば、検査部位である外側面を赤色光で照明しているので、当該外側面によって反射される十分な光量の反射光を、前記プリズムを介して前記外側面撮像カメラに導くことができる。したがって、検査対象物の外側面に凹部や傷が存在する場合には、当該凹部や傷が強調された画像が前記外側面撮像カメラによって撮像され、これにより、前記判定装置では、検査対象物の外側面に凹部や傷が存在するか否かを高精度に判定することができる。更に、前記外側面用上側強調照明部及び外側面用下側強調照明部により検査対象物の外側面を斜めから照明することで、この外側面に凹部や傷が存在する場合に、当該凹部や傷がより際立つように強調することができる。
【0009】
また、前記内側面撮像装置は、前記検査対象物の搬送経路上に設定された内側面撮像位置において、前記ガラス板より上方に配設され、前記内側面撮像位置に在る検査対象物の内側面の画像を撮像する内側面撮像カメラと、前記内側面撮像カメラの下方に、前記内側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心として放射状に等間隔に配設され、検査対象物の内側面から反射された反射光を前記内側面撮像カメラに導く光路が形成された複数のプリズムと、前記内側面撮像位置に在る検査対象物を照明する内側面用照明部とから構成している。
【0010】
そして、前記内側面用照明部は、前記プリズムと前記ガラス板との間に配設されるとともに、前記鉛直軸と同軸に配置される環状の投光部を有し、該投光部から赤色の光を中心側に向けて照射して、前記内側面撮像位置に在る検査対象物の内側面を照明する内側面検査用赤色照明部と、前記内側面撮像位置より上方であって、前記プリズムの内側に配設され、赤色の光を下方の前記内側面撮像位置に向けて照射する内側面用上側強調照明部と、前記内側面撮像位置において、前記ガラス板の下方に配設され、上方に向けて赤色の光を照射する内側面用下側強調照明部とから構成される。
【0011】
この内側面撮像装置によれば、上記外側面撮像装置と同様に、検査部位である内側面を赤色光で照明しているので、内側面によって反射される十分な光量の反射光を、前記プリズムを介して前記内側面撮像カメラに導くことができる。したがって、検査対象物の内側面に凹部や傷が存在する場合には、当該凹部や傷が強調された画像が前記内側面撮像カメラによって撮像され、これにより、前記判定装置では、検査対象物の内側面に凹部や傷が存在するか否かを高精度に判定することができる。更に、前記内側面用上側強調照明部及び内側面用下側強調照明部により検査対象物の内側面を斜めから照明することで、この内側面に凹部や傷が存在する場合に、当該凹部や傷がより際立つように強調することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2021-51032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、上述した従来の外観検査装置によれば、それより以前に比べて、環状樹脂製品の外側面及び内側面を高精度に検査することができるものの、構造上、外側面撮像装置及び内側面撮像装置における撮像方向に死角が形成され、必ずしも環状樹脂製品の全面を高精度に検査するという目的が十分に達成されていなかった(図11参照)。
【0014】
即ち、前記外側面撮像装置では、外側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心として放射状に等間隔に配設された複数のプリズムを用い、検査対象物の外側面から反射された反射光を一つの外側面撮像カメラに導くようにしているので、撮像光路を形成するためのプリズムと、検査対象物との間に、検査対象物の外側面を照明する環状の外側面検査用赤色照明部が配置されており、このため、プリズムによって形成される撮像光路(視野角)は、検査対象物に対して斜め上方からの角度となり、外側面の下側の部分については、撮像することができないのである(図11参照)。
【0015】
同様に、前記内側面撮像装置では、内側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心として放射状に等間隔に配設された複数のプリズムを用い、検査対象物の内側面から反射された反射光を一つの内側面撮像カメラに導くようにしているので、撮像光路を形成するためのプリズムと、検査対象物との間に、検査対象物の外側面を照明する環状の内側面検査用赤色照明部が配置されており、このため、プリズムによって形成される撮像光路(視野角)は、検査対象物に対して斜め上方からの角度となり、内側面の下側の部分については、撮像することができない(図11参照)。また、この内側面撮像装置では、主として検査対象物の内側面を照明するための内側面用上側強調照明部をプリズムの内側に配設する必要があるため、当該内側面用上側強調照明部の大きさが制限され、このため十分な光量で内側面を照明することができず、この結果、均一な画像を得難いという不都合もある。
【0016】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、特に、従来に比べて、環状製品の外側面の広い領域について、その外観を検査することができ、更には、内側面についても、その広い領域の外観を検査することができる外観検査装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための本発明は、
環状の樹脂製品を検査対象物として、その外観を検査する外観検査装置であって、
水平に配設される透明な円板状のガラス板を備え、該ガラス板を水平回転させて、該ガラス板上に供給された前記検査対象物を該ガラス板の回転方向に搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される前記検査対象物の外側面を、前記検査対象物の搬送経路上に設定された外側面撮像位置において撮像する外側面撮像装置と、
前記外側面撮像装置によって撮像された画像を処理して、前記検査対象物の外観の良否を判定する判定装置と、を少なくとも備え、
前記外側面撮像装置は、前記外側面撮像位置において前記ガラス板の上方に配設される外側面検査用赤色照明部と、該外側面検査用赤色照明部の周囲に、前記外側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔に配設され第1、第2及び第3の外側面撮像部とを備え、
前記外側面検査用赤色照明部は、前記鉛直軸と同軸に配置される環状の投光部を有し、該投光部から赤色の光を中心側に向けて照射して、主に、前記外側面撮像位置に在る検査対象物の外側面を照明するように構成され、
前記第1、第2及び第3の外側面撮像部は、それぞれ、前記外側面検査用赤色照明部の下方から、前記検査対象物の外側面からの反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラーと、該第1及び第2ミラーから反射された反射光を受光して上方に反射させる2つの反射面を備えた第3ミラーと、第3ミラーの上方に配設され、該第3ミラーによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する外側面撮像カメラとから構成された外観検査装置に係る。
【0018】
この態様(第1の態様)の外観検査装置によれば、搬送装置のガラス板上に検査対象物である環状樹脂製品が適宜供給され、当該ガラス板の水平回転によってその回転方向に搬送される。そして、検査対象物は外側面撮像位置において外側面撮像カメラによりその外側面のカラー画像が撮像され、撮像されたカラー画像を基に、判定装置においてその外観の良否が判定される。
【0019】
そして、前記外側面撮像位置において、前記外側面検査用赤色照明部により、照明光として反射光が散乱し難い赤色の照明光を用いて当該検査対象物の外側面を照明しているので、当該外側面によって反射される十分な光量の反射光を、前記外側面撮像カメラに導くことができる。したがって、検査対象物の外側面に凹部や傷が存在する場合には、当該凹部や傷が強調された画像が前記外側面撮像カメラによって撮像され、これにより、前記判定装置では、検査対象物の外側面に凹部や傷が存在するか否かを高精度に判定することができる。
【0020】
また、この第1の態様の外観検査装置では、前記第1、第2及び第3の外側面撮像部によって、前記検査対象物の外側面を、その周りの3方向から撮像するとともに、各方向について、更に所定の角度で2方向、即ち、合わせて6方向から撮像し、更には、前記外側面検査用赤色照明部の下方から前記検査対象物の画像を撮像するようにしているので、従来に比べて、検査対象物の外側面の広い領域の画像を取得することができる。斯くして、このようにして得られた広い領域の画像に基づいて、その外観を判定するようにしているので、従来に比べて、検査対象物の外側面の広い領域について、その外観の良否を判定することができる。
【0021】
上記第1の態様において、前記第1ミラーの受光光路と第2ミラーの受光光路とは、前記外側面撮像位置を中心として、水平面内で60°の角度を有する態様を採ることができる。この態様(第2の態様)によれば、検査対象物の外側面について、均等にその全周面の画像を撮像することができる。
【0022】
また、上記の第1又は第2の態様において、前記第1ミラーの受光光路及び第2ミラーの受光光路は、水平面に対して3.5°~4.5°の範囲の角度を有する態様を採ることができる。この態様(第3の態様)によれば、検査対象物の外側面の下側の領域について、可能な限り当該下側の領域まで、その画像を撮像することができる。
【0023】
また、上記の第1から第3のいずれかの態様において、
前記外側面撮像装置は、前記外側面撮像位置より上方であって、前記外側面検査用赤色照明部の内側に配設され、赤色の光を下方の前記外側面撮像位置に向けて照射する外側面用上側強調照明部と、
前記外側面撮像位置において、前記ガラス板の下方に配設され、上方に向けて赤色の光を照射する外側面用下側強調照明部と、を更に備えた態様を採ることができる。
【0024】
この態様(第4の態様)の外観検査装置によれば、前記外側面用上側強調照明部及び外側面用下側強調照明部により検査対象物の外側面を照明するようにしているので、この外側面に凹部や傷が存在する場合に、当該凹部や傷がより際立つように強調することができる。
【0025】
また、上記の第1から第4のいずれかの態様において、
前記搬送装置によって搬送される前記検査対象物の下側の内側面を、前記検査対象物の搬送経路上に設定された下内側面撮像位置において撮像する下内側面撮像装置と、
前記検査対象物の上側の内側面を、前記検査対象物の搬送経路上に設定された上内側面撮像位置において撮像する上内側面撮像装置と、を更に備え、
前記下内側面撮像装置は、前記下内側面撮像位置において前記ガラス板の下方に配設される下内側面検査用赤色照明部と、該下内側面検査用赤色照明部の周囲に、前記下内側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔に配設され第1、第2及び第3の下内側面撮像部と、を備え、
前記下内側面検査用赤色照明部は、前記下内側面撮像位置における鉛直軸と同軸に配置される環状の投光部を有し、該投光部から赤色の光を中心側に向けて照射して、主に、前記下内側面撮像位置に在る検査対象物の下内側面を照明するように構成され、
前記第1、第2及び第3の下内側面撮像部は、それぞれ、前記下内側面検査用赤色照明部の下方から、前記検査対象物の下内側面からの反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラーと、該第1及び第2ミラーから反射された反射光を受光して下方に反射させる2つの反射面を備えた第3ミラーと、第3ミラーの下方に配設され、該第3ミラーによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する下内側面撮像カメラとから構成され、
前記上内側面撮像装置は、前記上内側面撮像位置において前記ガラス板の上方に配設される上内側面検査用赤色照明部と、該上内側面検査用赤色照明部の周囲に、前記上内側面撮像位置の中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔に配設され第1、第2及び第3の上内側面撮像部と、を備え、
前記上内側面検査用赤色照明部は、前記上内側面撮像位置における鉛直軸と同軸に配置される環状の投光部を有し、該投光部から赤色の光を中心側に向けて照射して、主に、前記上内側面撮像位置に在る検査対象物の上内側面を照明するように構成され、
前記第1、第2及び第3の上内側面撮像部は、それぞれ、前記上内側面検査用赤色照明部の上方から、前記検査対象物の上内側面からの反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラーと、該第1及び第2ミラーから反射された反射光を受光して上方に反射させる2つの反射面を備えた第3ミラーと、第3ミラーの上方に配設され、該第3ミラーによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する上内側面撮像カメラとから構成され、
前記前記判定装置は、前記外側面撮像装置によって撮像された画像に加えて、前記下内側面撮像装置及び上内側面撮像装置によって撮像された画像を処理して、前記検査対象物の外観の良否を判定するように構成された態様をとることができる。
【0026】
この態様(第5の態様)の外観検査装置によれば、前記第1、第2及び第3の下内側面撮像部によって、前記検査対象物の下内側面を、その周りの3方向から撮像するとともに、各方向について、更に所定の角度で2方向、即ち、合わせて6方向から撮像し、更に、前記第1、第2及び第3の上内側面撮像部によって、前記検査対象物の上内側面を、その周りの3方向から撮像するとともに、各方向について、更に所定の角度で2方向、即ち、合わせて6方向から撮像するようにしているので、従来に比べて、検査対象物の内側面の広い領域の画像を取得することができる。斯くして、このようにして得られた広い領域の画像に基づいて、その外観を判定するようにしているので、従来に比べて、検査対象物の内側面の広い領域について、その外観の良否を判定することができる。
【0027】
また、上記第5の態様において、前記下内側面撮像装置の第1ミラーの受光光路と第2ミラーの受光光路とは、前記下内側面撮像位置を中心として、水平面内で60°の角度を有し、前記上内側面撮像装置の第1ミラーの受光光路と第2ミラーの受光光路とは、前記上内側面撮像位置を中心として、水平面内で60°の角度を有する態様を採ることができる。この態様(第6の態様)によれば、検査対象物の内側面について、均等にその全周面の画像を撮像することができる。
【0028】
また、上記の第5又は第6の態様において、
前記下内側面撮像装置の第1ミラーの受光光路及び第2ミラーの受光光路、並びに前記上内側面撮像装置の第1ミラーの受光光路及び第2ミラーの受光光路は、それぞれ、水平面に対して39.5°~40.5°の範囲の角度を有する態様を採ることができる。この態様によれば、この態様(第3の態様)によれば、検査対象物の内側面の下側及び上側の領域について、それぞれその極限のまでの領域の画像を撮像することができる。
【0029】
また、上記の第5の態様から第7の態様のいずれかにおいて、
前記下内側面撮像装置は、前記下内側面撮像位置より下方であって、前記下内側面検査用赤色照明部より下方に配設され、赤色の光を上方の前記下内側面撮像位置に向けて照射する下内側面用下側強調照明部と、
前記下内側面撮像位置において、前記ガラス板の上方に配設され、下方に向けて赤色の光を照射する下内側面用上側強調照明部と、を更に備え、
前記上内側面撮像装置は、前記上内側面撮像位置より上方であって、前記上内側面検査用赤色照明部より上方に配設され、赤色の光を下方の前記上内側面撮像位置に向けて照射する上内側面用上側強調照明部と、
前記上内側面撮像位置において、前記ガラス板の下方に配設され、上方に向けて赤色の光を照射する上内側面用下側強調照明部と、を更に備えた態様を採ることができる。
【0030】
この態様(第8の態様)の外観検査装置によれば、前記下内側面用上側強調照明部、下内側面用下側強調照明部、上内側面用上側強調照明部、及び上内側面用下側強調照明部により検査対象物の内側面を照明するようにしているので、内側面に凹部や傷が存在する場合に、当該凹部や傷がより際立つように強調することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明に係る外観検査装置によれば、前記第1、第2及び第3の外側面撮像部によって、前記検査対象物の外側面を、その周りの3方向から撮像するとともに、各方向について、更に所定の角度で2方向、即ち、合わせて6方向から撮像し、更には、前記外側面検査用赤色照明部の下方から前記検査対象物の画像を撮像するようにしているので、従来に比べて、検査対象物の外側面の広い領域の画像を取得することができる。そして、このようにして得られた広い領域の画像に基づいて、その外観を判定するようにしているので、従来に比べて、検査対象物の外側面の広い領域について、その外観の良否を判定することができる。
【0032】
また、前記第1、第2及び第3の下内側面撮像部によって、前記検査対象物の下内側面を、その周りの3方向から撮像するとともに、各方向について、更に所定の角度で2方向、即ち、合わせて6方向から撮像し、更に、前記第1、第2及び第3の上内側面撮像部によって、前記検査対象物の上内側面を、その周りの3方向から撮像するとともに、各方向について、更に所定の角度で2方向、即ち、合わせて6方向から撮像する態様を採用すれば、従来に比べて、検査対象物の内側面の広い領域の画像を取得することができる。そして、このようにして得られた広い領域の画像に基づいて、その外観を判定するようにしているので、従来に比べて、検査対象物の内側面の広い領域について、その外観の良否を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る外観検査装置の概略構成を一部ブロック図で示した平面図である。
図2】本実施形態に係る表面撮像装置の主要な構成物を示した縦断面図である。
図3】本実施形態に係る表面撮像装置で撮像される画像を示した説明図である。
図4】本実施形態に係る裏面撮像装置の主要な構成物を示した縦断面図である。
図5】本実施形態に係る裏面撮像装置で撮像される画像を示した説明図である。
図6】本実施形態に係る下内側面撮像装置、上内側面撮像装置及び外側面撮像装置の概略的な配置関係を示した図であり、下内側面撮像装置については底面図、上内側面撮像装置及び外側面撮像装置については平面図に相当する。
図7】本実施形態に係る下内側面撮像装置の主要な構成物を一部断面で示した説明図である。
図8】本実施形態に係る上内側面撮像装置の主要な構成物を一部断面で示した説明図である。
図9】本実施形態に係る外側面撮像装置の主要な構成物を一部断面で示した説明図である。
図10】本実施形態に係る外観検査装置の効果を説明するための説明図である。
図11】従来の外観検査装置の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る外観検査装置の概略構成を一部ブロック図で示した平面図である。
【0035】
図1に示すように、本例の外観検査装置1は、動作機構部5、判定装置110及び制御装置100から構成され、前記動作機構部5は、検査対象物Kを搬送する搬送装置10、この搬送装置10の搬送方向に沿って順次配設された表面撮像装置20、裏面撮像装置30、下内側面撮像装置40、上内側面撮像装置50、外側面撮像装置60、良品回収装置70、不良品回収装置80、及び未検査品回収装置90などから構成される。尚、判定装置110及び制御装置100は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成される。
【0036】
[搬送装置]
前記搬送装置10は、水平に配設された透明な円板状のガラス板11と、このガラス板11を水平回転させる駆動モータ12とから構成され、上流側に設けられる供給装置(図示せず)から当該ガラス板11上に順次供給される検査対象物Kを当該ガラス板11の回転方向に搬送する。尚、本例では、Oリング、ガスケット、パッキンなどの環状樹脂成形品を検査対象物としている。
【0037】
[表面撮像装置]
前記表面撮像装置20は、図2に示すように、表面撮像カメラ21、表面側青色照明部22、表面側赤色照明部25、及び表面検査用緑色照明部26を備えて構成される。前記表面撮像カメラ21は、前記検査対象物Kの搬送経路上に設定された表面撮像位置Pの上方に配設され、当該表面撮像位置Pに在る検査対象物Kの表面のカラー画像を撮像する。尚、この表面撮像カメラ21は3-COMSイメージセンサを備えた所謂カラーカメラである。
【0038】
前記表面側青色照明部22は、前記表面撮像位置Pの上方であって、前記表面撮像カメラ21と前記ガラス板11との間において、上側に配設される第1表面側青色照明部23、及び下側に配設される第2表面側青色照明部24からなる。第1表面側青色照明部23は、表面撮像カメラ21の撮像光軸と同軸且つ環状に配設された複数の投光部23b、及びこの投光部23bを支持する上面及び下面が開口したカップ状の支持体23aから成り、投光部23bは支持体23aの凹部底面に配設され、下方の前記表面撮像位置Pに向けて指向性のある青色の光を照射する。
【0039】
また、前記第2表面側青色照明部24は、下端部が開口するとともに、上端部に前記支持体23aが連結される開口を有するドーム状の反射部材であって、内面が拡散反射面となった反射部材24aと、この反射部材24aの下端部に設けられたリング部材24bと、このリング部材24bの上面であって前記反射部材24a内に環状に配設され、前記反射部材24aの内面に向けて青色の光を照射する複数の投光部24cとから構成される。この投光部24cから照射された青色の光は、反射部材24aの拡散反射面で反射された後、指向性の無い均質な光として前記表面撮像位置Pに向けて照射される。
【0040】
前記表面側赤色照明部25は、前記第2表面側青色照明部24と前記ガラス板11との間に、前記表面撮像カメラ21の撮像光軸と同軸に配設されたリング状の支持体25a、及びこの支持体25aの内周面に環状に配設されて、支持体25aの中心側に向けて指向性を有する赤色の光を照射する複数の投光部25bを備える。この投光部25bから照射された光は、主に、前記表面撮像位置Pに在る検査対象物Kの表面側の外周面及び内周面を照明する。
【0041】
前記表面検査用緑色照明部26は、前記表面撮像位置Pにおいて、前記ガラス板11の下方に配設されるもので、多行多列の平面状に配設され、上方に向けて緑色の光を照射する複数の投光部26bと、この投光部26bを支持する上面が開口したカップ状の支持体26aと、この支持体26aの上面を閉塞する拡散板26cとから構成される。この表面検査用緑色照明部26は、表面撮像位置Pに在る検査対象物Kを下方から指向性の無い均質な光で照明して当該検査対象物Kの輪郭を映し出すバックライトとして機能する。
【0042】
[裏面撮像装置]
前記裏面撮像装置30は、図4に示すように、前記表面撮像装置20を上下反転させた構成を備えるもので、裏面撮像カメラ31、裏面側青色照明部32、裏面側赤色照明部35及び裏面検査用緑色照明部36を備えて構成される。裏面撮像カメラ31は、前記検査対象物Kの搬送経路上に設定された裏面撮像位置Pの下方に配設され、当該裏面撮像位置Pに在る検査対象物Kの裏面のカラー画像を撮像する。尚、この裏面撮像カメラ31は3-COMSイメージセンサを備えた所謂カラーカメラである。
【0043】
前記裏面側青色照明部32は、前記裏面撮像位置Pの下方であって、前記裏面撮像カメラ31と前記ガラス板11との間において、下側に配設される第1裏面側青色照明部33、及び上側に配設される第2裏面側青色照明部34からなる。第1裏面側青色照明部33は、裏面撮像カメラ31の撮像光軸と同軸且つ環状に配設された複数の投光部33b、及びこの投光部33bを支持する上面及び下面が開口したカップ状の支持体33aから成り、投光部33bは支持体33aの凹部底面に配設され、上方の前記裏面撮像位置Pに向けて指向性を有する青色の光を照射する。
【0044】
また、前記第2裏面側青色照明部34は、上端部が開口するとともに、下端部に前記支持体33aが連結される開口を有する、ドームを反転した形状の反射部材であって、内面が拡散反射面となった反射部材34aと、この反射部材34aの上端部に設けられたリング部材34bと、このリング部材34bの下面であって前記反射部材34a内に環状に配設され、前記反射部材34aの内面に向けて青色の光を照射する複数の投光部34cとから構成される。この投光部34cから照射された青色の光は、反射部材34aの拡散反射面で反射された後、指向性の無い均質な光として前記裏面撮像位置Pに向けて照射される。
【0045】
前記裏面側赤色照明部35は、前記第2裏面側青色照明部34と前記ガラス板11との間に、前記裏面撮像カメラ31の撮像光軸と同軸に配設されたリング状の支持体35a、及びこの支持体35aの内周面に環状に配設されて、支持体35aの中心側に向けて指向性を有する赤色の光を照射する複数の投光部35bを備える。この投光部35bから照射された光は、主に、前記裏面撮像位置Pに在る検査対象物Kの裏面側の外周面及び内周面を照明する。
【0046】
前記裏面検査用緑色照明部36は、前記表面撮像位置Pにおいて、前記ガラス板11の上方に配設されるもので、多行多列の平面状に配設され、下方に向けて緑色の光を照射する複数の投光部36bと、この投光部36bを支持する下面が開口したカップ状の支持体36aと、この支持体36aの下面を閉塞する拡散板36cとから構成される。この裏面検査用緑色照明部36は、裏面撮像位置Pに在る検査対象物Kを上方から指向性の無い均質な光で照明して当該検査対象物Kの輪郭を映し出すバックライトとして機能する。
【0047】
[下内側面撮像装置]
前記下内側面撮像装置40は、図6及び図7に示すように、3つの下内側面撮像部41,41,41と、下内側面検査用赤色照明部45、下内側面用下側強調照明部46、下内側面用上側強調照明部47を備えて構成される。尚、上述したように、図6は、下内側面撮像装置の概略的な配置関係を示した図であり、底面図に相当するものである。
【0048】
前記下内側面検査用赤色照明部45は、前記検査対象物Kの搬送経路上に設定された下内側面撮像位置Pにおいて前記ガラス板11の下方に配設されるもので、前記下内側面撮像位置Pの中心を通る鉛直軸と同軸に配設されたリング状の支持体45a、及びこの支持体45aの内周面に上下2段に環状に配設されて、支持体45aの中心側に向けて指向性を有する赤色の光を照射する複数の投光部45bを備える。この投光部45bから照射された光は、主に、前記下内側面撮像位置Pに在る検査対象物Kの外側面及び内側面を照明する。
【0049】
前記下内側面用下側強調照明部46は、前記下内側面撮像位置Pにおいて、前記下内側面検査用赤色照明部45より下方に設けられ、赤色の光を上方の前記下内側面撮像位置Pに向けて照射する複数の投光部46bと、この投光部46bを支持する上面が開口したカップ状の支持体46aと、この支持体46aの上面を閉塞する拡散板46cとから構成される。この下内側面用下側強調照明部46は、下内側面撮像位置Pに在る検査対象物Kを下方から指向性の無い均質な光で照明する。
【0050】
前記下内側面用上側強調照明部47は、前記下内側面撮像位置Pにおいて、前記ガラス板11の上方に配設され、下方に向けて赤色の光を照射する複数の投光部47bと、この投光部47bを支持する下面が開口したカップ状の支持体47aと、この支持体47aの下面を閉塞する拡散板47cとから構成される。この下内側面用上側強調照明部47は、下内側面撮像位置Pに在る検査対象物Kを上方から指向性の無い均質な光で照明する。
【0051】
前記3つの下内側面撮像部41,41,41は、前記下内側面検査用赤色照明部45及び下内側面用下側強調照明部46の周囲に、前記下内側面撮像位置Pの中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔、即ち、120°間隔に配設されている。
【0052】
各下内側面撮像部41,41,41は、それぞれ同じ構成を備えており、前記下内側面検査用赤色照明部45の下方から、前記検査対象物Kの下内側面からの反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラー44a,44bと、この第1及び第2ミラー44a,44bから反射された反射光を受光して下方に反射させる2つの反射面を備えた三角柱状をした第3ミラー44cと、この第3ミラー44cの下方に配設され、当該第3ミラー44cによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する下内側面撮像カメラ42とから構成される。尚、第1ミラー44a,第2ミラー44b及び第3ミラー44cは適宜支持体43によって支持されている。また、前記下内側面撮像カメラ42は、3-COMSイメージセンサを備えた所謂カラーカメラとすることができるが、単色の画像を撮像するものであるため、コスト面からモノクロカメラとしても良い。
【0053】
前記第1ミラー44aの受光光路と第2ミラー44bの受光光路とは、前記下内側面撮像位置Pを中心として、水平面内で60°(=θ4a)の角度を有し、また、第1ミラー44aの受光光路及び第2ミラー44bの受光光路は、それぞれ、水平面に対する角度θ4b,θ4c)が39.5°~40.5°の範囲内に設定されている。
【0054】
[上内側面撮像装置]
前記下内側面撮像装置50は、前記上内側面撮像装置40を上下反転させた構成を備えるもので、図6及び図8に示すように、3つの上内側面撮像部51,51,51と、上内側面検査用赤色照明部55、上内側面用上側強調照明部56、上内側面用下側強調照明部57を備えて構成される。尚、上述したように、図6は、上内側面撮像装置の概略的な配置関係を示した図であり、平面図に相当するものである。
【0055】
前記上内側面検査用赤色照明部55は、前記検査対象物Kの搬送経路上に設定された上内側面撮像位置Pにおいて前記ガラス板11の上方に配設されるもので、前記上内側面撮像位置Pの中心を通る鉛直軸と同軸に配設されたリング状の支持体55a、及びこの支持体55aの内周面に上下2段に環状に配設されて、支持体55aの中心側に向けて指向性を有する赤色の光を照射する複数の投光部55bを備える。この投光部55bから照射された光は、主に、前記上内側面撮像位置Pに在る検査対象物Kの外側面及び内側面を照明する。
【0056】
前記上内側面用上側強調照明部56は、前記上内側面撮像位置Pにおいて、前記上内側面検査用赤色照明部55より上方に設けられ、赤色の光を下方の前記上内側面撮像位置Pに向けて照射する複数の投光部56bと、この投光部56bを支持する下面が開口したカップ状の支持体56aと、この支持体56aの下面を閉塞する拡散板56cとから構成される。この上内側面用上側強調照明部56は、上内側面撮像位置Pに在る検査対象物Kを上方から指向性の無い均質な光で照明する。
【0057】
前記上内側面用下側強調照明部57は、前記上内側面撮像位置Pにおいて、前記ガラス板11の下方に配設され、上方に向けて赤色の光を照射する複数の投光部57bと、この投光部57bを支持する上面が開口したカップ状の支持体57aと、この支持体57aの上面を閉塞する拡散板57cとから構成される。この上内側面用下側強調照明部57は、上内側面撮像位置Pに在る検査対象物Kを下方から指向性の無い均質な光で照明する。
【0058】
前記3つの上内側面撮像部51,51,51は、前記上内側面検査用赤色照明部55及び上内側面用上側強調照明部56の周囲に、前記上内側面撮像位置Pの中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔、即ち、120°間隔に配設されている。
【0059】
各上内側面撮像部51,51,51は、それぞれ同じ構成を備えており、前記上内側面検査用赤色照明部55の上方から、前記検査対象物Kの上内側面からの反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラー54a,54bと、この第1及び第2ミラー54a,54bから反射された反射光を受光して上方に反射させる2つの反射面を備えた三角柱状をした第3ミラー54cと、この第3ミラー54cの上方に配設され、当該第3ミラー54cによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する上内側面撮像カメラ52とから構成される。尚、第1ミラー54a,第2ミラー54b及び第3ミラー54cは適宜支持体53によって支持されている。また、前記上内側面撮像カメラ52は、3-COMSイメージセンサを備えた所謂カラーカメラとすることができるが、単色の画像を撮像するものであるため、コスト面からモノクロカメラとしても良い。
【0060】
また、前記第1ミラー54aの受光光路と第2ミラー54bの受光光路とは、前記上内側面撮像位置Pを中心として、水平面内で60°(=θ5a)の角度を有し、また、第1ミラー54aの受光光路及び第2ミラー54bの受光光路は、それぞれ、水平面に対する角度θ5b,θ5c)が39.5°~40.5°の範囲内に設定されている。
【0061】
[外側面撮像装置]
前記外側面撮像装置60は、図6及び図9に示すように、3つの外側面撮像部61,61,61と、外側面検査用赤色照明部65、外側面用上側強調照明部66、外側面用下側強調照明部67を備えて構成される。尚、上述したように、図6は、外側面撮像装置の概略的な配置関係を示した図であり、平面図に相当するものである。
【0062】
前記外側面検査用赤色照明部65は、前記検査対象物Kの搬送経路上に設定された外側面撮像位置Pにおいて前記ガラス板11の上方に配設されるもので、前記外側面撮像位置Pの中心を通る鉛直軸と同軸に配設されたリング状の支持体65a、及びこの支持体65aの内周面に上下2段に環状に配設されて、支持体65aの中心側に向けて指向性を有する赤色の光を照射する複数の投光部65bを備える。この投光部65bから照射された光は、主に、前記外側面撮像位置Pに在る検査対象物Kの外側面及び内側面を照明する。
【0063】
前記外側面用上側強調照明部66は、前記外側面撮像位置Pにおいて、前記外側面検査用赤色照明部65より上方に設けられ、赤色の光を下方の前記外側面撮像位置Pに向けて照射する複数の投光部66bと、この投光部66bを支持する下面が開口したカップ状の支持体66aと、この支持体66aの下面を閉塞する拡散板66cとから構成される。この外側面用上側強調照明部66は、外側面撮像位置Pに在る検査対象物Kを上方から指向性の無い均質な光で照明する。
【0064】
前記外側面用下側強調照明部67は、前記外側面撮像位置Pにおいて、前記ガラス板11の下方に配設され、上方に向けて赤色の光を照射する複数の投光部67bと、この投光部67bを支持する上面が開口したカップ状の支持体67aと、この支持体67aの上面を閉塞する拡散板67cとから構成される。この外側面用下側強調照明部67は、外側面撮像位置Pに在る検査対象物Kを下方から指向性の無い均質な光で照明する。
【0065】
前記3つの外側面撮像部61,61,61は、前記外側面検査用赤色照明部65及び外側面用上側強調照明部66の周囲に、前記外側面撮像位置Pの中心点を通る鉛直軸を中心としてその周方向に等間隔、即ち、120°間隔に配設されている。
【0066】
各外側面撮像部61,61,61は、それぞれ同じ構成を備えており、前記外側面検査用赤色照明部65の下方から、前記検査対象物Kの外側面からの反射光を受光するように、所定の間隔を空けて配置された第1及び第2ミラー64a,64bと、この第1及び第2ミラー64a,64bから反射された反射光を受光して上方に反射させる2つの反射面を備えた三角柱状をした第3ミラー64cと、この第3ミラー64cの上方に配設され、当該第3ミラー64cによって反射された2光路の光を受光してカラー画像を生成する外側面撮像カメラ62とから構成される。尚、第1ミラー64a,第2ミラー64b及び第3ミラー64cは適宜支持体63によって支持されている。また、前記外側面撮像カメラ62は、3-COMSイメージセンサを備えた所謂カラーカメラとすることができるが、単色の画像を撮像するものであるため、コスト面からモノクロカメラとしても良い。
【0067】
また、前記第1ミラー64aの受光光路と第2ミラー64bの受光光路とは、前記上内側面撮像位置Pを中心として、水平面内で60°(=θ6a)の角度を有し、また、第1ミラー64aの受光光路及び第2ミラー64bの受光光路は、それぞれ、水平面に対する角度θ6b,θ6c)が3.5°~4.5°の範囲内に設定されている。
【0068】
[良品回収装置、不良品回収装置及び未検査品回収装置]
前記良品回収装置70、不良品回収装置80及び未検査品回収装置90は、それぞれ前記ガラス板11の中心部から半径方向外側に向けた方向に圧縮空気を吐出するノズルと、このノズルから吐出された圧縮空気流によって半径方向外側に吹き飛ばされた検査対象物Kを回収する回収ボックスとを備えている。そして、前記制御装置80による制御の下で、前記良品回収装置70は良品と判断された検査対象物Kを回収し、不良品回収装置80は不良品と判断された検査対象物Kを回収し、未検査品回収装置90は未検査品と判断された検査対象物Kを回収する。
【0069】
[判定装置]
前記判定装置110は、前記表面撮像装置20、裏面撮像装置30、下内側面撮像装置40、上内側面撮像装置50及び外側面撮像装置60によって撮像された各画像を処理して、例えば、得られた画像の輝度レベルから、検査対象物Kに凹部や傷が存在するか否かを判別するとともに、画像の輪郭形状からバリが存在するか否かを判別して、凹部、傷及びバリが存在しない場合には良品と判定し、凹部、傷及びバリの何れかが存在する場合には不良品と判定する。そして、判定装置110は判定結果を前記制御装置100に送信する。
【0070】
[制御装置]
前記制御装置100は、前記搬送装置10、表面撮像装置20、裏面撮像装置30、下内側面撮像装置40、上内側面撮像装置50及び外側面撮像装置60の動作を制御するとともに、前記判定装置110から送信された判定結果に従って前記良品回収装置70,不良品回収装置80及び未検査品回収装置90の動作を制御する。
【0071】
以上の構成を備えた本例の外観検査装置1によれば、以下のようにして、検査対象物Kである環状樹脂製品の外観が検査される。
【0072】
即ち、検査対象物Kは上流側に設けられる適宜供給装置(図示せず)から、順次、搬送装置10のガラス板11上に供給され、当該ガラス板11の回転方向(図1に示す矢示方向)に搬送され、前記表面撮像装置20、裏面撮像装置30、下内側面撮像装置40、上内側面撮像装置50及び外側面撮像装置60に順次経由する。
【0073】
そして、前記表面撮像装置20、裏面撮像装置30、下内側面撮像装置40、上内側面撮像装置50及び外側面撮像装置60において、検査対象物Kの表面、裏面、下内側面、上内側面及び外側面の画像が撮像され、撮像された画像が前記判定装置110に送信される。
【0074】
具体的には、前記表面撮像装置20では、前記表面撮像位置Pにおいて、検査対象物Kが第1表面側青色照明部23及び第2表面側青色照明部24からなる表面側青色照明部22、表面側赤色照明部25、及び表面検査用緑色照明部26によって照明された状態で、表面撮像カメラ21によりその表面のカラー画像が撮像される。
【0075】
即ち、前記第1表面側青色照明部23から指向性のある青色の光が検査対象物Kの上面に照射され、前記第2表面側青色照明部24から拡散された青色の光が検査対象物Kの上面に照射され、これらの光によって検査対象物Kの上面が照明される。また、前記表面側赤色照明部25から指向性のある赤色の光が検査対象物Kの表面側の外周面及び内周面に照射される。更に、前記表面検査用緑色照明部26から緑色の光がバックライトとして検査対象物Kを下方から照射される。斯くして、このように照明された検査対象物Kが表面撮像カメラ21によって撮像され、図3に示すように、背景部FGaが緑色をし、外周部及び内周部FGbが赤色をし、上面部FGc及びFGbが青色をしたカラー画像FGが得られる。
【0076】
青色の光は散乱し易いため、検査対象物Kからの反射光量が少ないという特性を有し、赤色の光は散乱し難いため、検査対象物Kからの反射光量が多いという特性を有する。一方、検査対象物Kの形状特性から、その表面側の外周面及び内周面は反射光量が得られ難く、逆に、検査対象物の外周面及び内周面以外の表面は反射光量が得られ易い傾向にある。
【0077】
そこで、上記のように、反射光量が得られ難い検査対象物Kの外周面及び内周面に、散乱性の低い赤色の光を照射することで、当該外周面及び内周面に存在する凹部及び傷を検出できる適度な反射光量を前記表面撮像カメラ21に導くことができる。また、反射光量が得られ易い、検査対象物Kの外周面及び内周面以外の表面には、散乱性の高い青色の光を照射することで、当該表面に存在する凹部及び傷を検出できる適度な反射光量を前記表面撮像カメラ21に導くことができる。また、青色及び赤色以外の緑色の光をバックライトとして照明することによって、検査対象物Kの輪郭を映し出すことができ、検査対象物Kの外周面及び内周面にバリが存在する場合には、検査対象物Kの輪郭としてこのバリの形状が映し出される。
【0078】
斯くして、この表面撮像装置20では、検査対象物Kの表面に凹部及び傷が存在する場合には、当該凹部及び傷が強調された画像が得られ、また、検査対象物Kの外周面及び内周面にバリが存在する場合には、当該バリが強調された画像が得られる。そして、前記判定装置70では、このような画像を基に検査対象物Kの表面に凹部や傷、バリといった欠陥が存在するか否かが判別されるので、当該判定を高精度に行うことができる。
【0079】
前記裏面撮像装置30においても、前記表面撮像装置20と同様に、前記裏面撮像位置Pにおいて、検査対象物Kが第1裏面側青色照明部33及び第2裏面側青色照明部34からなる裏面側青色照明部32、裏面側赤色照明部35、及び裏面検査用緑色照明部36によって照明された状態で、裏面撮像カメラ31によりその裏面のカラー画像が撮像される。
【0080】
即ち、前記第1裏面側青色照明部33から指向性のある青色の光が検査対象物Kの下面に照射され、前記第2裏面側青色照明部34から拡散された青色の光が検査対象物Kの下面に照射され、これらの光によって検査対象物Kの下面が照明される。また、前記裏面側赤色照明部35から指向性のある赤色の光が検査対象物Kの裏面側の外周面及び内周面に照射される。更に、前記裏面検査用緑色照明部36から緑色の光がバックライトとして検査対象物Kを上方から照射される。斯くして、このように照明された検査対象物Kが裏面撮像カメラ31によって撮像され、図5に示すように、背景部RGaが緑色をし、外周部及び内周部RGbが赤色をし、下面部RGc及びRGbが青色をしたカラー画像RGが得られる。
【0081】
上述したように、反射光量が得られ難い検査対象物Kの外周面及び内周面に、散乱性の低い赤色の光を照射することで、当該外周面及び内周面に存在する凹部及び傷を検出できる適度な反射光量を前記裏面撮像カメラ31に導くことができる。また、反射光量が得られ易い、検査対象物Kの外周面及び内周面以外の裏面には、散乱性の高い青色の光を照射することで、当該裏面に存在する凹部及び傷を検出できる適度な反射光量を前記裏面撮像カメラ31に導くことができる。また、青色及び赤色以外の緑色の光をバックライトとして照明することによって、検査対象物Kの輪郭を映し出すことができ、検査対象物Kの外周面及び内周面にバリが存在する場合には、検査対象物の輪郭としてこのバリの形状が映し出される。
【0082】
斯くして、この裏面撮像装置30では、検査対象物Kの裏面に凹部及び傷が存在する場合には、当該凹部及び傷が強調された画像が得られ、また、検査対象物Kの外周面及び内周面にバリが存在する場合には、当該バリが強調された画像が得られる。そして、前記判定装置70では、このような画像を基に検査対象物Kの裏面に凹部や傷、バリといった欠陥が存在するか否かが判別されるので、当該判定を高精度に行うことができる。
【0083】
前記下内側面撮像装置40では、前記下内側面撮像位置Pにおいて、前記下内側面検査用赤色照明部45から指向性のある赤色の光が検査対象物Kの外側面及び内側面に照射され、前記下内側面用下側強調照明部46から拡散された均質な赤色の光が検査対象物Kの下側の外側面及内側面に照射されるとともに、前記下内側面用上側強調照明部47から同じく拡散された均質な赤色の光が検査対象物Kの上側の外側面及内側面に照射される。
【0084】
そして、上記のようにして照明される検査対象物Kの下側の内側面から反射された反射光が、周方向に等間隔に配設された3つの下内側面撮像部41,41,41の各第1及び第2ミラー44a,44b、及び第3ミラー44cによって形成される光路を経て、それぞれ対応する下内側面撮像カメラ42に入射され、各下内側面撮像カメラ42は、それぞれ、検査対象物Kの下側の内側面を主体とする2経路の画像、即ち、2方向からの2つの画像を1フレーム中に形成し、形成した画像を前記判定装置110に送信する。そして、判定装置110には、各下内側面撮像カメラ42,42,42によって撮像された検査対象物Kの下側の内側面に係る6方向の6つの画像が送信される。斯くして、このように6方向から検査対象物Kの下側の内側面を撮像するようにしているので、従来に比べて、検査対象物Kの下側の内側面について、その広い領域の画像を取得することができる。そして、このようにして得られた広い領域の画像に基づいて、その外観を判定するようにしているので、従来に比べて、検査対象物Kの内側面の下側の広い領域について、その外観の良否を判定することができる。
【0085】
また、前記第1ミラー44aの受光光路と第2ミラー44bの受光光路とは、前記下内側面撮像位置Pを中心として、水平面内で60°の角度を有し、更に、第1ミラー44aの受光光路及び第2ミラー44bの受光光路は、それぞれ、水平面に対する角度が39.5°~40.5°の範囲内に設定されているので、検査対象物Kの下側の内側面について、均等にその全周面の画像を撮像することができ、また、検査対象物の内側面の下側の領域について、その極限のまでの領域の画像を撮像することができる。
【0086】
また、この下内側面撮像装置40では、照明光として反射光が散乱し難い赤色の照明光を用い、この赤色の光を検査対象物Kの下内側面に照射するようにしているので、当該下内側面によって反射される十分な光量の反射光を、前記下内側面撮像カメラ42に導くことができる。
【0087】
また、前記上内側面撮像装置50では、前記上内側面撮像位置Pにおいて、前記上内側面検査用赤色照明部55から指向性のある赤色の光が検査対象物Kの外側面及び内側面に照射され、前記上内側面用上側強調照明部56から拡散された均質な赤色の光が検査対象物Kの上側の外側面及内側面に照射されるとともに、前記上内側面用下側強調照明部57から同じく拡散された均質な赤色の光が検査対象物Kの下側の外側面及内側面に照射される。
【0088】
そして、上記のようにして照明される検査対象物Kの上側の内側面から反射された反射光が、周方向に等間隔に配設された3つの上内側面撮像部51,51,51の各第1及び第2ミラー54a,54b、及び第3ミラー54cによって形成される光路を経て、それぞれ対応する上内側面撮像カメラ52に入射され、各上内側面撮像カメラ52は、それぞれ、検査対象物Kの上側の内側面を主体とする2経路の画像、即ち、2方向からの2つの画像を1フレーム中に形成し、形成した画像を前記判定装置110に送信する。そして、判定装置110には、各上内側面撮像カメラ42,42,42によって撮像された検査対象物Kの上側の内側面に係る6方向の6つの画像が送信される。斯くして、このように6方向から検査対象物Kの上側の内側面を撮像するようにしているので、従来に比べて、検査対象物Kの上側の内側面について、その広い領域の画像を取得することができる。そして、このようにして得られた広い領域の画像に基づいて、その外観を判定するようにしているので、従来に比べて、検査対象物Kの内側面の上側の広い領域について、その外観の良否を判定することができる。
【0089】
また、前記第1ミラー54aの受光光路と第2ミラー54bの受光光路とは、前記上内側面撮像位置Pを中心として、水平面内で60°の角度を有し、更に、第1ミラー54aの受光光路及び第2ミラー54bの受光光路は、それぞれ、水平面に対する角度が39.5°~40.5°の範囲内に設定されているので、検査対象物Kの上側も内側面について、均等にその全周面の画像を撮像することができ、また、検査対象物の内側面の上側の領域について、その極限のまでの領域の画像を撮像することができる。
【0090】
また、この上内側面撮像装置50では、照明光として反射光が散乱し難い赤色の照明光を用い、この赤色の光を検査対象物Kの上側の内側面に照射するようにしているので、当該上側の内側面によって反射される十分な光量の反射光を、前記上内側面撮像カメラ52に導くことができる。
【0091】
また、前記外側面撮像装置60では、前記外側面撮像位置Pにおいて、前記外側面検査用赤色照明部65から指向性のある赤色の光が検査対象物Kの外側面及び内側面に照射され、前記外側面用上側強調照明部66から拡散された均質な赤色の光が検査対象物Kの上側の外側面及内側面に照射されるとともに、前記外側面用下側強調照明部67から同じく拡散された均質な赤色の光が検査対象物Kの下側の外側面及内側面に照射される。
【0092】
そして、上記のようにして照明される検査対象物Kの外内側面から反射された反射光が、周方向に等間隔に配設された3つの外側面撮像部61,61,61の各第1及び第2ミラー64a,64b、及び第3ミラー64cによって形成される光路を経て、それぞれ対応する外側面撮像カメラ62に入射され、各外側面撮像カメラ62は、それぞれ、検査対象物Kの外側面を主体とする2経路の画像、即ち、2方向からの2つの画像を1フレーム中に形成し、形成した画像を前記判定装置110に送信する。そして、判定装置110には、各外側面撮像カメラ62,62,62によって撮像された検査対象物Kの外側面に係る6方向の6つの画像が送信される。斯くして、このように6方向から検査対象物Kの外側面を撮像するようにしているので、従来に比べて、検査対象物Kの外側面について、その広い領域の画像を取得することができる。そして、このようにして得られた広い領域の画像に基づいて、その外観を判定するようにしているので、従来に比べて、検査対象物Kの外側面の広い領域について、その外観の良否を判定することができる。
【0093】
また、前記第1ミラー64aの受光光路と第2ミラー64bの受光光路とは、前記外側面撮像位置Pを中心として、水平面内で60°の角度を有し、更に、第1ミラー64aの受光光路及び第2ミラー64bの受光光路は、それぞれ、水平面に対する角度が3.5°~4.5°の範囲内に設定されているので、検査対象物Kの外側面について、均等にその全周面の画像を撮像することができ、また、検査対象物の外側面の下側の領域について、その極限のまでの領域の画像を撮像することができる。
【0094】
また、この外側面撮像装置60では、照明光として反射光が散乱し難い赤色の照明光を用い、この赤色の光を検査対象物Kの外側面に照射するようにしているので、当該外側面によって反射される十分な光量の反射光を、前記外側面撮像カメラ62に導くことができる。
【0095】
そして、前記判定装置110は、上述したように、前記表面撮像装置20、裏面撮像装置30、下内側面撮像装置40、上内側面撮像装置50及び外側面撮像装置60によって撮像された各画像に基づいて、検査対象物Kに欠陥が存在するか否かを判定し、判定結果を前記制御装置100に送信する。そして、制御装置100は、この判定結果を受信して、欠陥が検出されなかった検査対象物Kについては、当該検査対象物Kが良品回収装置70に到達したタイミングで、当該良品回収装置70を駆動して、当該検査対象物Kを回収し、欠陥が検出された検査対象物Kについては、当該検査対象物Kが不良品回収装置80に到達したタイミングで、当該不良品回収装置80を駆動して、当該検査対象物Kを回収し、未検査品である判断された検査対象物Kについては、当該検査対象物Kが未検査品回収装置90に到達したタイミングで、当該未検査品回収装置90を駆動して、当該検査対象物Kを回収する。
【0096】
以上詳述したように、本例の外観検査装置1によれば、検査対象物の外側面及び内側面について、従来に比べて、広い領域の画像を取得して、その外観を判定するようにしているので、従来に比べて、検査対象物の外側面及び内側面の広い領域について、その外観の良否を判定することができる。
【0097】
また、本例の外観検査装置1では、表面撮像装置20、裏面撮像装置30、下内側面撮像装置40、上内側面撮像装置50及び外側面撮像装置60により、検査対象物Kを撮像するようにしているので、検査対象物の全面を撮像することができ、死角の無い外観検査を行うことができる(図10参照)。
【0098】
また、環状の樹脂製品である検査対象物Kの外周面及び内周面を含む表裏面に凹部や傷、バリ等の欠陥が存在する場合には、これを高精度に検出して分別することができる。特に、濃色又は黒色の樹脂成形品の場合には、白色光による照明では凹部や傷を検出し難いが、本例の外観検査装置1によれば、このような濃色又は黒色の樹脂成形品の場合でも、凹部や傷の有無を高精度に検出することができる。
【0099】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何ら上例のものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0100】
1 外観検査装置
10 搬送装置
20 表面撮像装置
21 表面撮像カメラ
22 表面側青色照明部
23 第1表面側青色照明部
24 第2表面側青色照明部
25 表面側赤色照明部
26 表面検査用緑色照明部
30 裏面撮像装置
31 裏面撮像カメラ
32 裏面側青色照明部
33 第1裏面側青色照明部
34 第2裏面側青色照明部
35 裏面側赤色照明部
36 裏面検査用緑色照明部
40 下内側面撮像装置
41 下内側面撮像部
42 下内側面撮像カメラ
44a 第1ミラー
44b 第2ミラー
44c 第3ミラー
45 下内側面検査用赤色照明部
46 下内側面用下側強調照明部
47 下内側面用上側強調照明部
50 上内側面撮像装置
51 上内側面撮像部
52 上内側面撮像カメラ
54a 第1ミラー
54b 第2ミラー
54c 第3ミラー
55 上内側面検査用赤色照明部
56 上内側面用上側強調照明部
57 上内側面用下側強調照明部
60 外側面撮像装置
61 外側面撮像部
62 外側面撮像カメラ
64a 第1ミラー
64b 第2ミラー
64c 第3ミラー
65 外側面検査用赤色照明部
66 外側面用上側強調照明部
67 外側面用下側強調照明部
70 良品回収装置
80 不良品回収装置
90 未検査品回収装置
100 制御装置
110 判定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11