IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光モジュールおよび制御装置 図1
  • 特開-光モジュールおよび制御装置 図2
  • 特開-光モジュールおよび制御装置 図3
  • 特開-光モジュールおよび制御装置 図4A
  • 特開-光モジュールおよび制御装置 図4B
  • 特開-光モジュールおよび制御装置 図5
  • 特開-光モジュールおよび制御装置 図6
  • 特開-光モジュールおよび制御装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136149
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】光モジュールおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/40 20130101AFI20230922BHJP
   H04B 10/073 20130101ALI20230922BHJP
【FI】
H04B10/40
H04B10/073
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041617
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】津田 悠樹
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA51
5K102AA52
5K102AL02
5K102MA01
5K102MA02
5K102MB17
5K102PB01
5K102PB02
5K102PH31
5K102RD05
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】信号のゲイン調整を行うことができる光モジュールおよび制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態による光モジュールは、光電素子と、ゲイン調整部と、を備える。光電素子は、電気信号から光信号への変換、および、光信号から電気信号への変換の少なくとも一方を行う。ゲイン調整部は、光モジュールの試験において、光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを調整する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光モジュールであって、
電気信号から光信号への変換、および、光信号から電気信号への変換の少なくとも一方を行う光電素子と、
光モジュールの試験において、前記光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを調整するゲイン調整部と、
を備える、光モジュール。
【請求項2】
前記ゲイン調整部は、
光信号に変換されるように前記光電素子に入力される電気信号、および、光信号から変換されて前記光電素子から出力される電気信号の少なくとも一方の信号レベルを増幅する増幅器と、
前記増幅器のゲインを制御する増幅器制御部と、
を有する、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記ゲイン調整部は、前記ゲイン調整部のゲイン調整量に関するゲイン調整情報を取得し、前記ゲイン調整情報に基づいて、前記光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを調整する、請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記ゲイン調整部は、光モジュールの試験において、前記光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを低下させる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
光モジュールであって、
電気信号から光信号への変換、および、光信号から電気信号への変換の少なくとも一方を行う光電素子と、
光モジュールの試験において、前記光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを調整するゲイン調整部と、
を有する光モジュールと、
前記ゲイン調整部のゲイン調整量に関するゲイン調整情報を生成する調整情報生成部と、
前記光モジュールを介して出力される電気信号の信号レベルに基づいて、前記光モジュールの状態を判定する判定部と、
を備える、制御装置。
【請求項6】
前記調整情報生成部は、前記光モジュールが他の制御装置と接続された状態で、前記光モジュールに入力される前記ゲイン調整情報を生成する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記調整情報生成部は、前記光モジュールの試験の時間間隔に応じた前記ゲイン調整量に関する前記ゲイン調整情報を生成する、請求項5または請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記調整情報生成部は、1つの前記光モジュールに対して、前記ゲイン調整量が異なる複数の前記ゲイン調整情報を生成する、請求項5または請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記光モジュールを介して出力される電気信号の信号レベルと、所定信号レベルと、の比較に基づいて、前記光モジュールの状態を判定する、請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記判定部の判定結果を表示部に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項5から請求項9のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、光モジュールおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御装置等のコントローラ製品は保守期間が長いため、使用している部品が寿命を迎え、部品の交換が必要となることが多々ある。また、使用環境等の影響で想定寿命よりも早い段階で特性が劣化する可能性がある。特性が劣化したことに気づかずに使用を続けると、意図しない動作状態となり、想定外の不具合が起きる可能性がある。
【0003】
例えば、コントローラ製品の耐用年数よりも寿命の短い光モジュールが、接続用モジュールとして使用される場合がある。光モジュールは、時間経過とともに出力パワーが低下する。光モジュールの交換の目安として、例えば、10年経過後に出力パワーの測定が行われる。パワー測定のためには、専用の測定器の準備、および、系の組み換えなどの作業が発生するため、メンテナンスの手間がかかる。より少ない手間で光モジュールの特性劣化を診断することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-37811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
信号のゲイン調整を行うことができる光モジュールおよび制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による光モジュールは、光電素子と、ゲイン調整部と、を備える。光電素子は、電気信号から光信号への変換、および、光信号から電気信号への変換の少なくとも一方を行う。ゲイン調整部は、光モジュールの試験において、光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを調整する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による制御システムおよび操作装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態による光通信モジュールの構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態による光モジュールの構成の一例を示すブロック図である。
図4A】第1実施形態による光通信モジュールの接続の一例を示す図である。
図4B】第1実施形態による光通信モジュールの接続の一例を示す図である。
図5】第1実施形態による光モジュールの劣化診断試験の結果の例を示すブロック図である。
図6】第1実施形態による光モジュールの劣化診断試験方法の一例を示すフロー図である。
図7】比較例による光通信モジュールの接続の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による制御システム1および操作装置2の構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
制御システム1は、複数の制御装置を備える。以下では、制御システム1が3台の制御装置10、20、30を備える場合について説明する。しかし、制御装置の数は、後で説明するように、少なくとも2以上であればよい。
【0011】
制御装置10、20、30は、ループ状に接続される。
【0012】
操作装置2は、制御システム1の操作が可能なように、ユーザからの入力を受け付ける。操作装置2は、例えば、制御システム1の操作に必要なプログラム(ツール)が導入されたPC(Personal Computer)である。
【0013】
次に、制御装置10の内部構成について説明する。
【0014】
制御装置10は、制御部11と、光通信モジュール12と、電源13と、を備える。
【0015】
制御部11は、制御対象の機器(図示せず)を制御する。
【0016】
光通信モジュール12は、制御装置10と、他の制御装置20、30と、の間を接続し、通信を行う。尚、光通信モジュール12に詳細については、図2を参照して、後で説明する。
【0017】
電源13は、制御部11および光通信モジュール12に電力を供給する。
【0018】
次に、制御装置20および制御装置30の内部構成について説明する。
【0019】
制御装置20は、制御部21と、光通信モジュール22と、電源23と、を備える。制御装置30は、制御部31と、光通信モジュール32と、電源33と、を備える。
【0020】
制御部21、31の構成は、制御部11の構成とほぼ同様であるため、その詳細な説明を省略する。光通信モジュール22、32の構成は、光通信モジュール12の構成とほぼ同様であるため、その詳細な説明を省略する。電源23、33の構成は、電源13の構成とほぼ同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0021】
次に、光通信モジュール12、22、32の構成について説明する。
【0022】
図2は、第1実施形態による光通信モジュール12、22の構成の一例を示すブロック図である。尚、図2では、光通信モジュール32は省略されている。
【0023】
光通信モジュール12は、通信部121と、光モジュール122と、パワー調整部123と、判定部124と、表示制御部125と、表示部126と、を有する。尚、通信部121およびパワー調整部123は、光通信制御回路内に設けられる。
【0024】
通信部121は、電気信号を光モジュール122に送信し、または、光モジュール122から電気信号を受信する。
【0025】
光モジュール122は、電気信号を光信号に変換し、または、電気信号を光信号に変換する。すなわち、光通信モジュール12と光通信モジュール22との間の信号の伝送には、光信号が用いられる。光信号は、電気信号と比較して低ノイズであるため、長距離通信で利用される。
【0026】
尚、光モジュール122の構成の詳細については、図3を参照して、後で説明する。
【0027】
パワー調整部(調整情報生成部)123は、調整コードを生成して、光モジュール122に出力する。パワー調整部123は、光モジュール122の劣化診断試験(劣化試験モード)において、調整コードを生成する。尚、パワー調整部123は、通常動作モードでは、調整コードを生成しない。
【0028】
尚、調整コードを用いたゲイン調整による光モジュールの劣化診断試験については、図5を参照して、後で説明する。
【0029】
判定部124は、光モジュール122、222を介して出力される電気信号、すなわち、通信部121に入力される電気信号の信号レベルに基づいて、光モジュール122、222の状態(通信状態)を判定する。判定部124は、光モジュール122、222が通信可能状態であるか否かを判定する。より詳細には、判定部124は、光モジュール122、222を介して出力される電気信号の信号レベルと、所定信号レベルと、の比較に基づいて、光モジュール122、222の状態を判定する。
【0030】
また、劣化試験モードでは、通常動作モードと同様に動作する判定部124による通信状態の判定が用いられらる。すなわち、判定部124は、光モジュール122の劣化診断試験において、調整コードが入力された光モジュール122、222を介して出力される電気信号の信号レベルに基づいて、光モジュールの状態を判定する。
【0031】
表示制御部125は、判定部124の判定結果を表示部126に表示させる。
【0032】
表示部126は、判定部124の判定結果、すなわち、光モジュール122、222の接続状態を表示する。表示部126は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。LEDは、例えば、光モジュール122の通信が正常に行われている場合に点灯し、光モジュール122の通信が正常に行われていない場合に消灯する。
【0033】
尚、表示部126の表示の詳細については、図4Aおよび図4Bを参照して、後で説明する。
【0034】
光通信モジュール22は、通信部221と、光モジュール222と、パワー調整部223と、判定部224と、表示制御部225と、表示部226と、を有する。尚、通信部221およびパワー調整部223は、光通信制御回路内に設けられる。上記のように、光通信モジュール22の構成は、光通信モジュール12の構成とほぼ同様である。
【0035】
光通信モジュール12、22は、送信(TX)モードおよび受信(RX)モードで動作する。光通信モジュール12が送信モードで動作する場合、光通信モジュール22は受信モードで動作する。光通信モジュール12が受信モードで動作する場合、光通信モジュール22は送信モードで動作する。送信モードの光通信モジュール12では、通信部121は光モジュール122に電気信号を送信し、光モジュール122は光モジュール222に光信号を送信する。受信モードの光通信モジュール22では、光モジュール222は光モジュール122から光信号を受信し、通信部221は光モジュール222から電気信号を受信する。
【0036】
次に、光モジュール122を例として、光モジュールの構成の詳細について説明する。
【0037】
図3は、第1実施形態による光モジュール122の構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
光モジュール122は、光インターフェースOIと、電気的インターフェースEIと、の間で信号変換を行う。光インターフェースOIは、例えば、光ファイバー等である。尚、図3に示す光モジュール122の例では、図2に示す光モジュール122と比較して、光インターフェースOIおよび電気的インターフェースEIの左右の位置関係が逆になっている。
【0039】
光モジュール122は、受信部Rと、送信部Tと、ゲイン制御部1221と、を有する。
【0040】
受信部Rは、光インターフェースOIから光信号を受信し、光信号を電気信号に変換して電気的インターフェースEIに送信する。受信部Rは、受光素子R1と、増幅器R2と、を有する。
【0041】
受光素子R1は、光信号を電気信号に変換する。受光素子R1は、例えば、フォトダイオード等である。
【0042】
増幅器R2は、光信号から変換されて受光素子R1から出力される電気信号の信号レベルを増幅する。
【0043】
送信部Tは、電気的インターフェースEIから電気信号を受信し、電気信号を光信号に変換して光インターフェースOIに送信する。送信部Tは、発光素子T1と、増幅器T2と、を有する。
【0044】
発光素子T1は、電気信号を光信号に変換する。発光素子T1は、例えば、半導体レーザまたは発光ダイオード等である。
【0045】
増幅器T2は、光信号に変換されるように発光素子T1に入力される電気信号の信号レベルを増幅する。光信号の信号レベルは、電気信号の信号レベルに応じて変化する。従って、増幅器T2は、発光素子T1に入力される電気信号の信号レベルを変化させることにより、発光素子T1から出力される光信号の信号レベルを変化させることができる。
【0046】
尚、受光素子R1および発光素子T1は、合わせて光電素子とも呼ばれる場合がある。
【0047】
ゲイン制御部1221は、増幅器R2、T2のゲインを制御する。尚、ゲイン制御部1221は、増幅器R2、T2のゲイン制御に必要な情報を記憶する記憶部を有していてもよい。
【0048】
受信部R、送信部T、およびゲイン制御部1221は、ゲイン調整部Gとも呼ばれる場合がある。ゲイン調整部Gは、光モジュール122の劣化診断試験において、光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを調整する。
【0049】
ゲイン調整部Gは、ゲイン調整量に関する調整コードを取得する。より詳細には、ゲイン制御部1221は、光モジュール122の劣化診断試験において、増幅器R2、T2のゲインを調整可能な調整コード(ゲイン調整情報)を取得する。
【0050】
ゲイン調整部Gは、ゲイン調整部Gのゲイン調整量に関する調整コードに基づいて、光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを調整する。より詳細には、ゲイン制御部1221は、光モジュール122の劣化診断試験において、調整コードに基づいて、増幅器R2、T2のゲインを制御する。
【0051】
ゲイン調整部Gは、光モジュール122の試験において、光電素子から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを低下させる。調整コードは、増幅器R2、T2のゲインを低下させる情報である。これにより、ゲイン調整部G(ゲイン制御部1221)は、光モジュール122を、擬似的に劣化状態にすることができる。
【0052】
劣化診断試験は、判定部124、224が、擬似的に劣化状態にされた光モジュール122、222を用いた通信状態を判定することにより行われる。
【0053】
次に、表示部126の表示例、および、光通信モジュール12、22、32の接続例について説明する。
【0054】
図4Aおよび図4Bのそれぞれは、第1実施形態による光通信モジュール12、22、32の接続の一例を示す図である。
【0055】
図4Aおよび図4Bは、図1に示すように、3つの光通信モジュール12、22、32がループ状に接続されている例を示す。
【0056】
図4Aは、光通信モジュール12と光通信モジュール22との間の通信が正常状態である場合を示す。図4Bは、光通信モジュール12と光通信モジュール22との間の通信が異常状態である場合、すなわち、通信エラーが発生した場合を示す。
【0057】
光通信モジュール12(Module1)は、2つの光モジュール122a(CN1)、122b(CN2)と、2つの表示部126a(Link1)、126b(Link2)と、を有する。光通信モジュール22(Module2)は、2つの光モジュール222a(CN1)、222b(CN2)と、2つの表示部226a(Link1)、226b(Link2)と、を有する。光通信モジュール32(Module3)は、2つの光モジュール322a(CN1)、322b(CN2)と、2つの表示部326a(Link1)、326b(Link2)と、を有する。
【0058】
また、光通信モジュール12、22は、ケーブルC1によって接続されている。光通信モジュール22、32は、ケーブルC2によって接続されている。光通信モジュール32、12は、ケーブルC3によって接続されている。ケーブルC1、C2、C3は、例えば、光ファイバーケーブルである。
【0059】
ケーブルC1は、光モジュール122aと光モジュール222bとを接続する。ケーブルC2は、光モジュール222aと光モジュール322bとを接続する。ケーブルC3は、光モジュール322aと光モジュール122bとを接続する。
【0060】
表示部126a、126bは、それぞれ光モジュール122a、122bの通信状態を表示する。表示部226a、226bは、それぞれ光モジュール222a、222bの通信状態を表示する。表示部326a、326bは、それぞれ光モジュール322a、322bの通信状態を表示する。
【0061】
図4Aに示す例では、上記のように、光通信モジュール12と光通信モジュール22との間の通信が正常状態である。光モジュール122aから出力される電気信号は、所定信号レベル以上である。表示部126aのLEDは、例えば、緑色に点灯している。同様に、光モジュール222bから出力される電気信号は、所定信号レベル以上である。表示部226bのLEDは、例えば、緑色に点灯している。
【0062】
図4Bに示す例では、上記のように、光通信モジュール12と光通信モジュール22との間の通信が異常状態である。光モジュール122aから出力される電気信号は、所定信号レベル未満である。表示部126aのLEDは、消灯している。同様に、光モジュール222bから出力される電気信号は、所定信号レベル未満である。表示部226bのLEDは、消灯している。
【0063】
次に、調整コードを用いたゲイン調整による光モジュール122、222の劣化診断試験の方法について説明する。
【0064】
劣化診断試験は、図6を参照して後で説明するように、例えば、図1に示す操作装置2によって、ソフトウェア上で通常動作モードから劣化試験モードに切り替えることによって行われる。劣化試験モードでは、図2に示すパワー調整部123により生成される調整コードが用いられる。尚、通常動作モードと劣化試験モードとの切替には、ケーブルの接続切替、および、別の装置の取り付け等は行われない。
【0065】
図5は、第1実施形態による光モジュール122、222の劣化診断試験の結果の例を示すブロック図である。図5は、光通信モジュール12が送信(TX)モードであり、光通信モジュール22が受信(RX)モードである場合の例を示す。図5は、条件1~条件4のそれぞれにおける判定結果を示す。
【0066】
また、図5に示す例では、通信部121のデフォルトの信号レベルは、-4dBmである。また、判定部224は、光モジュール222から出力される電気信号(通信部221に入力される電気信号)の信号レベルが-8dBm以下である場合、通信状態が異常であると判定する。
【0067】
図5に示す「pcont」は、信号レベルの調整量に関する調整コードを示す。調整コードが入力された光モジュール(光モジュール122、123少なくとも一方)を介して出力される電気信号の信号レベルに基づいて、光モジュール122、222の状態が判定される。
【0068】
条件1では、光モジュール122、222はまだほとんど劣化していない。また、ゲイン調整は行われていない。
【0069】
条件1では、光モジュール122の劣化量は0dBであり、光モジュール122の調整量は0dBである。従って、光モジュール122は、-4dBmの光信号を出力する。条件1では、光モジュール222の劣化量は0dBであり、光モジュール222の調整量は0dBである。従って、光モジュール222は、-4dBmの電気信号を出力する。
【0070】
条件1における判定部224は、光モジュール222から出力される電気信号の信号レベルである-4dBmが所定信号レベル(例えば、-8dBm)よりも高いため、光モジュール222の通信状態が正常であると判定する。従って、図4Aに示すように、表示部226bは点灯する。
【0071】
条件2では、条件1と比較して、光モジュール122の劣化が進んでいる。また、ゲイン調整は行われていない。
【0072】
条件2では、光モジュール122の劣化量は3dBであり、光モジュール122の調整量は0dBである。従って、光モジュール122は、-7dBmの光信号を出力する。条件2では、光モジュール222の劣化量は0dBであり、光モジュール222の調整量は0dBである。従って、光モジュール222は、-7dBmの電気信号を出力する。
【0073】
条件2における判定部224は、光モジュール222から出力される電気信号の信号レベルである-7dBmが所定信号レベル(例えば、-8dBm)よりも高いため、光モジュール222の通信状態が正常であると判定する。従って、図4Aに示すように、表示部226bは点灯する。
【0074】
条件3では、条件2と比較して、光モジュール122のゲイン調整が行われる。
【0075】
条件3では、光モジュール122の劣化量は3dBであり、光モジュール122の調整量は-1dBである。従って、光モジュール122は、-8dBmの光信号を出力する。条件3では、光モジュール222の劣化量は0dBであり、光モジュール222の調整量は0dBである。従って、光モジュール222は、-8dBmの電気信号を出力する。
【0076】
条件3における判定部224は、光モジュール222から出力される電気信号の信号レベルである-8dBmが所定信号レベル(例えば、-8dBm)と同じであるため、光モジュール222の通信状態が異常であると判定する。従って、図4Bに示すように、表示部226bは消灯する。
【0077】
条件4では、条件2と比較して、光モジュール222のゲイン調整が行われる。
【0078】
条件4では、光モジュール122の劣化量は3dBであり、光モジュール122の調整量は0dBである。従って、光モジュール122は、-7dBmの光信号を出力する。条件4では、光モジュール222の劣化量は0dBであり、光モジュール222の調整量は-1dBである。従って、光モジュール222は、-8dBmの電気信号を出力する。
【0079】
条件4における判定部224は、光モジュール222から出力される電気信号の信号レベルである-8dBmが所定信号レベル(例えば、-8dBm)と同じであるため、光モジュール222の通信状態が異常であると判定する。従って、図4Bに示すように、表示部226bは消灯する。
【0080】
条件3と条件4とを比較すると、光モジュール122、222のいずれのゲイン調整が行われてもよい。
【0081】
条件2と、条件3、4と、を比較すると、光モジュール122、222の劣化量の合計が、3dBからゲイン調整によって擬似的に4dBになっている。条件2に示す状態から、光モジュール122、222の劣化量の合計が1dBさらに増大すると、実際の光モジュール122、222は、通信ができなくなってしまう。例えば、次の劣化診断試験までに、光モジュール122、222の劣化量の合計が1dBm以上増大する可能性がある場合、光モジュール122、222を交換する必要がある。
【0082】
パワー調整部123、223は、劣化診断試験の時間間隔に応じた調整量(ゲイン調整量)に関する調整コードを生成する。例えば、劣化診断試験の時間間隔が2年であり、光モジュール122、222の出力が2年で1dB以上は下がらない場合、パワー調整部123、223は、調整量が-1dBである調整コードを生成する。これにより、劣化診断試験で正常と判断された光モジュール122、222は、2年の動作期間マージンが補償される。
【0083】
次に、光モジュールの劣化試験モードのフローについて説明する。
【0084】
図6は、第1実施形態による光モジュールの劣化診断試験方法の一例を示すフロー図である。
【0085】
操作装置2には、通常動作モードに必要な制御システム1のプログラム(ツール)に、光モジュールの劣化試験モード用のプログラムが予め追加されている。制御システム1内で使われる光モジュール122、222、322等は、制御システム1のツールに予め登録されている。ユーザは、例えば、操作装置2を操作して、制御システム1のツールから劣化試験モードを選択することにより、モード切替を行う。
【0086】
まず、操作装置2は、ツールの設定情報から、使用する光通信モジュールおよび光モジュールの数を取得する(S10)。図4Aおよび図4Bに示す例では、光通信モジュール12、22、32の使用台数は、3台である。操作装置2は、光通信モジュールの使用台数から診断の必要な光モジュールの数を計算する。光モジュールが1台の光通信モジュールに2個設けられているため、診断される光モジュール122a、122b、222a、222b、322a、322bの数は、6個である。
【0087】
次に、操作装置2は、ツールの設定情報から、各光通信モジュールの接続情報を取得する(S20)。接続情報は、接続元および接続先の光通信モジュールの情報を含む。図4Aおよび図4Bに示す例では、光モジュール122aは、光モジュール222bと接続される(診断1)。光モジュール122bは、光モジュール322aと接続される(診断2)。光モジュール222aは、光モジュール322bと接続される(診断3)。光モジュール222bは、光モジュール122aと接続される(診断4)。光モジュール322aは、光モジュール122bと接続される(診断5)。光モジュール322bは、光モジュール222aと接続される(診断6)。
【0088】
次に、通信部、パワー調整部および判定部は、上記の診断1~6の接続情報ごとに送信側の出力パワーを調整して診断を行う(S30)。診断1では、接続元の光モジュール122aが送信(TX)モードに設定され、接続先の光モジュール222bが受信(RX)モードに設定される。送信側のパワー調整部は、光モジュール122aの出力パワーを調整するように、調整コードを生成する。送信側および受信側の通信部は、出力パワーが調整された状態で、通信を行う。受信側の判定部は、光モジュール222bの通信状態を判定する。操作装置2は、通信状態が正常と判定された場合、光モジュール222bの診断結果を正常としてログに残す。操作装置2は、通信状態が異常と判定された場合、光モジュール222bの診断結果を異常としてログに残す。
【0089】
診断2~6も、診断1と同様に行われる。尚、診断4は、診断1における送信モードと受信モードとの関係が逆になっている。すなわち、診断4では、送信元の光モジュール222bが送信モードに設定され、接続先の光モジュール122aが受信モードに設定される。
【0090】
尚、ステップS30において、図5の条件4に示すように、受信側の出力パワーの調整が行われてもよい。
【0091】
次に、操作装置2は、各光モジュールの診断結果を、ツールの画面上に表示する(S40)。これにより、劣化診断試験が終了する。
【0092】
以上のように、第1実施形態によれば、光モジュールは、光モジュールの劣化診断試験において、光電素子(受光素子R1および発光素子T1の少なくとも一方)から出力される電気信号および光信号の少なくとも一方の信号レベルのゲインを調整するゲイン調整部Gを備える。これにより、劣化診断試験において、信号のゲイン調整を行うことができる。
【0093】
また、パワー調整部は、劣化試験モードにおいて、ゲイン調整部Gのゲイン調整量に関する調整コードを生成する。判定部は、光モジュールを介して出力される電気信号の信号レベルに基づいて、光モジュールの通信状態を判定する。光モジュールの診断機能として入出力パワーの制御機能を入れることにより、光モジュールを擬似的(仮想的)に特性劣化状態にすることができる。この結果、光モジュールの特性劣化を診断し、光モジュールを交換するか否かの判断を行うことができる。
【0094】
また、パワー調整部は、光モジュールが他の制御装置と接続された状態で、光モジュールに入力される調整コードを生成する。すなわち、劣化試験モードは、通常動作モードと 同じ接続構成で行われる。
【0095】
第1実施形態では、制御システム1は、3台の制御装置を備える。しかし、制御システム1は、2台の制御装置を備えていてもよく、4台以上の制御装置を備えていてもよい。4台以上の制御装置は、図4Aおよび図4Bに示す例と同様に、ループ状に接続される。劣化診断試験は、2つの光通信モジュール間を接続する、全ての接続に対して行われる。
【0096】
次に、光パワーメータ3を用いて劣化診断試験を行う場合の比較例について説明する。
【0097】
図7は、比較例による構成の一例を示す図である。
【0098】
光パワーメータ3は、ケーブルC4を介して光モジュール122aと接続され、光モジュール122aの出力パワーを測定する。光パワーメータ3の測定結果に基づいて、光モジュール122aを交換するか否かの判定が行われる。例えば、測定結果と、通信異常となるパワーに対してマージンを持った値と、の比較に基づいて、劣化診断試験の判定が行われる。
【0099】
しかし、光パワーメータ3を接続する場合、劣化診断試験を行う際に、光モジュール122に接続されるケーブルC1、C4の付け外しが必要になる。これは、ケーブル挿抜等の作業時間の増大、および、構成変更ミスの発生につながる可能性がある。また、劣化診断試験のための専用の測定器を準備する必要がある。また、劣化診断試験で異常と判断された場合に、いつから特性が劣化していたかを確認することが難しい。例えば、光モジュール122が異常と判定された場合に、通信が可能であっても過去の特性劣化のタイミングが問題になる可能性がある。
【0100】
これに対して、第1実施形態では、通常動作モードと同じ構成で、モード切替によって、光モジュール122の劣化を診断することができる。モードの切替は、例えば、操作装置2を用いて行われる。これにより、ケーブルC1、C4および他の測定器等の構成を、劣化診断試験のために変更する手間を抑制することができる。また、動作期間マージンを知ることができれば、特性劣化が起こる可能性の低い動作期間マージン内で光モジュール122を動作させることができるように、光モジュール122の交換を計画することができる。
【0101】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と比較して、パワー調整部123が生成する調整コードが異なっている。
【0102】
パワー調整部123は、1つの光モジュール122に対して、調整量が異なる複数の調整コードを生成する。ゲイン調整部Gは、例えば、判定部124によって通信状態の異常が判定されるまで、信号レベルのゲインをスイープするように調整する。これにより、光モジュール122の動作出力マージンを確認することができる。
【0103】
第2実施形態のように、パワー調整部123が生成する調整コードが変更されてもよい。第2実施形態による光モジュール122、222、322および制御装置10、20、30は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0104】
本実施形態による光モジュールの劣化診断試験方法の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、劣化診断試験方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、劣化診断試験方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0106】
1 制御システム、10 制御装置、12 光通信モジュール、122 光モジュール、1221 ゲイン制御部、123 パワー調整部、124 判定部、125 表示制御部、126 表示部、C1 ケーブル、C2 ケーブル、C3 ケーブル、R 受信部、R2 増幅器、T 送信部、T2 増幅器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7