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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136176
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20230922BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G11B21/21 D
G11B21/21 C
G11B5/60 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041651
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸間 俊弥
(57)【要約】
【課題】接合体の望まぬ方向への広がりを抑制できるディスク装置を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係るディスク装置は、磁気ディスクと、磁気ヘッドと、フレキシャと、圧電素子と、第1の接合体と、第2の接合体と、凸部とを備える。前記フレキシャは、第1の外面と、前記第1の外面に設けられた第1のパッド及び第2のパッドと、を有する。前記圧電素子は、前記第1の外面に向く第2の外面と、前記第2の外面に設けられた第1の電極及び第2の電極と、を有する。前記第1の接合体は、前記第1のパッドと前記第1の電極とを接合する。前記第2の接合体は、前記第2のパッドと前記第2の電極とを接合する。前記凸部は、前記フレキシャに設けられ、前記第1の接合体と前記第2の接合体との間に位置し、前記第1の外面から突出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクと、
前記磁気ディスクに対して情報を読み書きするよう構成された磁気ヘッドと、
第1の外面と、前記第1の外面に設けられた第1のパッドと、前記第1のパッドから前記第1の外面に沿う第1の方向に離間した位置で前記第1の外面に設けられた第2のパッドと、を有し、前記磁気ヘッドが搭載された、フレキシャと、
前記第1の外面に向く第2の外面と、前記第2の外面に設けられた第1の電極と、前記第1の電極から前記第1の方向に離間した位置で前記第2の外面に設けられた第2の電極と、を有する圧電素子と、
前記第1のパッドと前記第1の電極とを接合する導電性の第1の接合体と、
前記第2のパッドと前記第2の電極とを接合する導電性の第2の接合体と、
前記フレキシャに設けられ、少なくとも部分的に前記第1の接合体と前記第2の接合体との間に位置し、前記第1の外面から突出する、凸部と、
を具備するディスク装置。
【請求項2】
前記フレキシャは、金属板と、第1の絶縁層と、前記金属板と前記第1の絶縁層との間に位置する第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に位置する導電層と、を有し、
前記導電層は、前記第1のパッドと、前記第2のパッドとを有し、
前記第1の絶縁層は、前記第1のパッドを露出させる第1の孔と、前記第2のパッドを露出させる第2の孔と、が設けられ、前記第1の孔が開口するとともに前記第1の外面に含まれる第1の面と、前記第2の孔が開口するとともに前記第1の外面に含まれる第2の面と、を有し、
前記凸部は、前記第2の外面に向くとともに前記第1の面及び前記第2の面のそれぞれよりも前記第2の外面に近い端面を有する、
請求項1のディスク装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記第1の方向において前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置し、前記第1の外面から突出する、第1の凸部を有する、
請求項2のディスク装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記第1の方向において前記第1のパッドと前記第2のパッドとの間に位置し、前記第1の外面から突出する、第2の凸部を有する、
請求項2又は請求項3のディスク装置。
【請求項5】
前記端面は、前記フレキシャのうちで最も前記圧電素子に近い、
請求項2乃至請求項4のいずれか一つのディスク装置。
【請求項6】
前記凸部は、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層のうち少なくとも一方に設けられる、
請求項2乃至請求項5のいずれか一つのディスク装置。
【請求項7】
前記フレキシャは、前記第1の外面と直交する方向において前記金属板と前記第2の絶縁層との間に位置し、前記第1の方向において少なくとも部分的に前記第1の接合体と前記第2の接合体との間に位置する、介在層、を有し、
前記凸部は、前記第1の絶縁層のうち前記第1の外面と直交する方向に前記介在層と重なる部分を有する、
請求項2乃至請求項5のいずれか一つのディスク装置。
【請求項8】
前記介在層は、絶縁層である、
請求項7のディスク装置。
【請求項9】
前記金属板は、前記第2の絶縁層を介して前記第1のパッド及び前記第2のパッドに向く第3の面と、前記第1の方向において少なくとも部分的に前記第1の接合体と前記第2の接合体との間に位置するとともに前記第3の面から前記圧電素子に向かって突出する内突起と、を有し、
前記凸部は、前記第1の絶縁層のうち前記第1の外面と直交する方向に前記内突起と重なる部分を有する、
請求項2乃至請求項5のいずれか一つのディスク装置。
【請求項10】
前記凸部は、前記第1の外面を覆う第3の絶縁層を有する、
請求項2乃至請求項5のいずれか一つのディスク装置。
【請求項11】
前記第1の外面と直交する方向における当該第1の面と前記端面との間の距離は、一定である、
請求項2乃至請求項10のいずれか一つのディスク装置。
【請求項12】
前記第1の外面に沿うとともに前記第1の方向と直交する第2の方向において、前記凸部は、前記圧電素子よりも長く、且つ前記圧電素子の両端を横断して延びる、
請求項1乃至請求項11のいずれか一つのディスク装置。
【請求項13】
前記第1の接合体及び前記第2の接合体は、導電性の接着剤であり、
前記第1の接合体及び前記第2の接合体のうち少なくとも一方は、前記凸部に付着する、
請求項1乃至請求項12のいずれか一つのディスク装置。
【請求項14】
前記凸部は、前記第2のパッドよりも前記第1のパッドの方に近く、前記第2のパッドに向かって窪むように曲がっている、
請求項1乃至請求項13のいずれか一つのディスク装置。
【請求項15】
前記フレキシャは、前記第1のパッドが設けられた第1の接続部と、前記第1の接続部から前記第1の方向に離間するとともに前記第2のパッドが設けられた第2の接続部と、を有し、前記第1の外面と直交する方向に前記圧電素子と重なるとともに前記第1の接続部と前記第2の接続部とを隔てる間隔が設けられた、
請求項1乃至請求項14のいずれか一つのディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブのようなディスク装置は、磁気ディスクと、当該磁気ディスクに対して情報を読み書きする磁気ヘッドとを有する。磁気ヘッドは、可撓性のフレキシャに搭載される。さらに、フレキシャを変形させることで磁気ヘッドの位置を調整する圧電素子が、導電性の接着剤のような接合体によりフレキシャに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-135906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接合体は、圧電素子の電極と、フレキシャのパッドとを接合する。圧電素子がフレキシャに取り付けられるとき、接合体は、圧電素子とフレキシャとの間で押し潰され、対応する電極とは異なる電極に向かって広がる虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、接合体の望まぬ方向への広がりを抑制できるディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態に係るディスク装置は、磁気ディスクと、磁気ヘッドと、フレキシャと、圧電素子と、導電性の第1の接合体と、導電性の第2の接合体と、凸部とを備える。前記磁気ヘッドは、前記磁気ディスクに対して情報を読み書きするよう構成される。前記フレキシャは、第1の外面と、前記第1の外面に設けられた第1のパッドと、前記第1のパッドから前記第1の外面に沿う第1の方向に離間した位置で前記第1の外面に設けられた第2のパッドと、を有し、前記磁気ヘッドが搭載される。前記圧電素子は、前記第1の外面に向く第2の外面と、前記第2の外面に設けられた第1の電極と、前記第1の電極から前記第1の方向に離間した位置で前記第2の外面に設けられた第2の電極と、を有する。前記第1の接合体は、前記第1のパッドと前記第1の電極とを接合する。前記第2の接合体は、前記第2のパッドと前記第2の電極とを接合する。前記凸部は、前記フレキシャに設けられ、少なくとも部分的に前記第1の接合体と前記第2の接合体との間に位置し、前記第1の外面から突出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブを分解して示す例示的な斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態のサスペンションの一部を示す例示的な斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態のサスペンションの一部を示す例示的な平面図ある。
図4図4は、第1の実施形態のサスペンションの一部を図3のF4-F4線に沿って示す例示的な断面図である。
図5図5は、第1の実施形態のフレキシャ及び治具を示す例示的な断面図である。
図6図6は、第1の実施形態のフレキシャ及び第2のMAを示す例示的な断面図である。
図7図7は、第1の実施形態の変形例に係るサスペンションの一部を示す例示的な断面図である。
図8図8は、第2の実施形態に係るサスペンションの一部を示す例示的な断面図である。
図9図9は、第3の実施形態に係るサスペンションの一部を示す例示的な断面図である。
図10図10は、第4の実施形態に係るサスペンションの一部を示す例示的な断面図である。
図11図11は、第4の実施形態の一つの変形例に係るサスペンションの一部を示す例示的な平面図である。
図12図12は、第4の実施形態の他の一つの変形例に係るサスペンションの一部を示す例示的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)10を分解して示す例示的な斜視図である。HDD10は、ディスク装置の一例であり、電子機器、記憶装置、外部記憶装置、又は磁気ディスク装置とも称され得る。
【0010】
HDD10は、筐体11と、複数の磁気ディスク12と、スピンドルモータ13と、複数の磁気ヘッド14と、アクチュエータアセンブリ15と、ボイスコイルモータ(VCM)16と、ランプロード機構17と、フレキシブルプリント配線板(FPC)18と、プリント配線板(PCB)19とを有する。磁気ヘッド14は、スライダとも称され得る。
【0011】
筐体11は、ベース21と、内カバー22と、外カバー23とを有する。ベース21は、有底の容器であり、底壁25と側壁26とを有する。底壁25は、略矩形(四角形)の板状に形成されている。側壁26は、底壁25の縁から突出している。
【0012】
内カバー22は、例えば、ネジによって側壁26の端部に取り付けられている。外カバー23は、内カバー22を覆うとともに、例えば溶接によって側壁26の端部に気密に固定されている。
【0013】
筐体11の内部は密封されている。筐体11の内部に、磁気ディスク12、スピンドルモータ13、磁気ヘッド14、アクチュエータアセンブリ15、VCM16、ランプロード機構17、及びFPC18が配置されている。
【0014】
内カバー22に通気口22aが設けられる。さらに、外カバー23に、通気口23aが設けられる。ベース21の内部に部品が取り付けられ、ベース21に内カバー22及び外カバー23が取り付けられた後、通気口22a,23aから筐体11の内部の空気が抜かれる。さらに、筐体11の内部に、空気とは異なる気体が充填される。
【0015】
筐体11の内部に充填される気体は、例えば、空気よりも密度が低い低密度ガスや、反応性の低い不活性ガス等である。例えば、ヘリウムが筐体11の内部に充填される。なお、他の流体が筐体11の内部に充填されても良い。また、筐体11の内部は、真空、真空に近い低圧、又は大気圧よりも低い陰圧に保たれても良い。
【0016】
外カバー23の通気口23aは、シール28により塞がれる。シール28は、通気口23aを気密に密封し、筐体11の内部に充填された流体が通気口23aから漏れることを防ぐ。
【0017】
磁気ディスク12は、例えば、上面及び下面のような記録面12aに設けられた磁気記録層を有するディスク状の記録媒体である。図1の例における磁気ディスク12の直径は、例えば、3.5インチであるが、この例に限られない。
【0018】
スピンドルモータ13は、記録面12aが向く方向に間隔を介して重ねられた複数の磁気ディスク12を支持するとともに回転させる。複数の磁気ディスク12は、例えば、クランプバネによってスピンドルモータ13のハブに保持される。
【0019】
磁気ヘッド14は、磁気ディスク12の記録層に対して、情報の記録及び再生を行う。言い換えると、磁気ヘッド14は、磁気ディスク12に対して情報を読み書きする。磁気ヘッド14は、アクチュエータアセンブリ15に搭載される。
【0020】
アクチュエータアセンブリ15は、磁気ディスク12から離間した位置に配置された支持軸31に、回転可能に支持される。VCM16は、アクチュエータアセンブリ15を回転させ、所望の位置に配置する。ランプロード機構17は、磁気ディスク12の最外周に移動した磁気ヘッド14を、磁気ディスク12から離間したアンロード位置に保持する。
【0021】
アクチュエータアセンブリ15は、アクチュエータブロック35と、複数のアーム36と、複数のヘッドサスペンションアセンブリ(サスペンション)37とを有する。サスペンション37は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)とも称され得る。
【0022】
アクチュエータブロック35は、例えば、軸受を介して、支持軸31に回転可能に支持される。複数のアーム36は、アクチュエータブロック35から、支持軸31と略直交する方向に突出している。アクチュエータブロック35及び複数のアーム36は、一体に形成される。
【0023】
複数のアーム36は、支持軸31が延びる方向に、間隔を介して配置される。アーム36はそれぞれ、隣り合う磁気ディスク12の間に進入可能な板状に形成される。複数のアーム36は、略平行に延びている。
【0024】
アクチュエータブロック35からアーム36の反対側に突出した突起に、VCM16のボイスコイルが設けられる。VCM16は、一対のヨークと、当該ヨークの間に配置されたボイスコイルと、ヨークに設けられた磁石と、を有する。
【0025】
上述のように、VCM16は、アクチュエータアセンブリ15を回転させる。言い換えると、VCM16は、アクチュエータブロック35、アーム36、及びサスペンション37を一体的に回転(移動)させる。
【0026】
サスペンション37は、対応するアーム36の先端部分に取り付けられ、当該アーム36から突出する。これにより、複数のサスペンション37は、支持軸31が延びる方向に、間隔を介して配置される。
【0027】
図2は、第1の実施形態のサスペンション37の一部を示す例示的な斜視図である。各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、サスペンション37の幅に沿って設けられる。Y軸は、サスペンション37の長さに沿って設けられる。Z軸は、サスペンション37の厚さに沿って設けられる。
【0028】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0029】
サスペンション37は、アーム36から+Y方向に延びている。なお、アーム36も、アクチュエータブロック35から+Y方向に延びている。Y方向は、アーム36及びサスペンション37の長手方向である。
【0030】
複数のサスペンション37はそれぞれ、ベースプレート41と、ロードビーム42と、フレキシャ43とを有する。さらに、サスペンション37の先端部37aに磁気ヘッド14が配置される。先端部37aは、+Y方向におけるサスペンション37の端部である。なお、-Y方向におけるサスペンション37の端部は、アーム36に取り付けられている。また、本明細書において、端部は、要素の端のみならず、当該端の近傍の部分を含む。
【0031】
ベースプレート41及びロードビーム42は、例えば、ステンレスにより作られる。なお、ベースプレート41及びロードビーム42の材料は、この例に限られない。ベースプレート41は、板状に形成され、アーム36の先端部に取り付けられる。ロードビーム42は、ベースプレート41よりも薄い板状に形成される。ロードビーム42は、ベースプレート41の先端部に取り付けられ、ベースプレート41から突出する。
【0032】
フレキシャ43は、細長い帯状に形成される。なお、フレキシャ43の形状は、この例に限られない。フレキシャ43は、絶縁層と導電層とを有し、当該導電層に配線が設けられた、可撓性の積層板である。
【0033】
+Y方向におけるフレキシャ43の端部に、ロードビーム42の上に位置するとともに変位可能なジンバル部(弾性支持部)45が設けられる。ジンバル部45は、サスペンション37の先端部37aに設けられる。磁気ヘッド14は、フレキシャ43のジンバル部45に搭載される。
【0034】
-Y方向におけるフレキシャ43の端部は、例えばアクチュエータブロック35上において、FPC18に接続される。これにより、FPC18は、フレキシャ43の配線を介して、磁気ヘッド14に電気的に接続される。
【0035】
サスペンション37に、一対の第1のマイクロアクチュエータ(MA)47と、一対の第2のマイクロアクチュエータ(MA)48とが搭載される。第1のMA47及び第2のMA48は、圧電素子である。第1のMA47及び第2のMA48は、例えば、バルク型のピエゾ素子である。なお、第1のMA47及び第2のMA48は、バルク積層型又は薄膜型のピエゾ素子であっても良い。第1のMA47及び第2のMA48は、この例に限られない。
【0036】
一対の第1のMA47はそれぞれ、例えば、ベースプレート41とロードビーム42とを接続する。+Y方向における第1のMA47の端部はロードビーム42に取り付けら、-Y方向における第1のMA47の端部はベースプレート41に取り付けられる。なお、第1のMA47は、この例に限られない。一対の第1のMA47は、X方向に互いに離間して配置される。
【0037】
第1のMA47は、印加される電圧に応じて、Y方向に伸縮可能である。一対の第1のMA47が個別に伸縮することで、サスペンション37のうち第1のMA47よりも先端部37aに近い部分は、幅方向に弾性的に曲がる。これにより、第1のMA47は、サスペンション37の先端部37aに搭載された磁気ヘッド14を移動させる。
【0038】
一対の第2のMA48は、サスペンション37の先端部37aの近傍に配置される。例えば、第2のMA48は、ジンバル部45に搭載される。一対の第2のMA48は、X方向に互いに離間して配置される。
【0039】
第2のMA48は、印加される電圧に応じて、Y方向に伸縮可能である。一対の第2のMA48が個別に伸縮することで、サスペンション37の先端部37aは、X方向に弾性的に曲がる。これにより、第2のMA48は、サスペンション37の先端部37aに搭載された磁気ヘッド14を移動させる。
【0040】
上述のように、本実施形態のHDD10は、VCM16と、第1のMA47と、第2のMA48とによって磁気ヘッド14を移動させる、いわゆる三段アクチュエータ(Triple Stage Actuator:TSA)方式で磁気ヘッド14の位置を調整する。
【0041】
図1に示すPCB19は、例えば、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、多層基板又はビルドアップ基板等である。PCB19は、筐体11の外部に配置され、ベース21の底壁25の外部に取り付けられる。
【0042】
PCB19には、例えば、FPC18に接続される中継コネクタ、ホストコンピュータに接続されるインターフェース(I/F)コネクタ、及びHDD10の動作を制御するコントローラのような、種々の電子部品が搭載される。中継コネクタは、底壁25に設けられたコネクタを介して、FPC18に電気的に接続される。
【0043】
フレキシャ43は、外面43aを有する。外面43aは、第1の外面の一例である。外面43aは、おおよそ平坦に形成され、略+Z方向に向く。なお、外面43aには、微小な凹凸が設けられ得る。磁気ヘッド14が磁気ディスク12上に位置するとき、外面43aは、磁気ディスク12の記録面12aに向く。
【0044】
磁気ヘッド14は、外面43aに搭載される。例えば、外面43aに、複数のパッドが設けられる。磁気ヘッド14の電極が、例えば半田により、外面43aのパッドに接続される。さらに、磁気ヘッド14は、例えば接着剤により、外面43aに固定される。
【0045】
フレキシャ43のジンバル部45は、二つのMA取付部49を有する。二つの第2のMA48のそれぞれは、二つのMA取付部49のうち対応する一方において、フレキシャ43の外面43aに取り付けられる。
【0046】
図3は、第1の実施形態のサスペンション37の一部を示す例示的な平面図である。図3に示すように、二つのMA取付部49のそれぞれは、周部50と、第1の接続部51と、第2の接続部52とを有する。周部50は、第1の帯部55と、第2の帯部56と、第3の帯部57と、第4の帯部58とを有する。
【0047】
第1の帯部55は、対応する第2のMA48から+Y方向に離間し、略Y方向に延びている。第2の帯部56は、-Y方向における第1の帯部55の端部から、X方向におけるフレキシャ43の外側に向かって延びている。
【0048】
第3の帯部57は、対応する第2のMA48から-Y方向に離間している。第4の帯部58は、対応する第2のMA48から略X方向に離間した位置で、第2のMA48に沿って略Y方向に延びている。第4の帯部58は、X方向における第2の帯部56の端部と、X方向における第3の帯部57の端部と、に接続される。言い換えると、第4の帯部58は、第2の帯部56と第3の帯部57とを接続する。
【0049】
第1の帯部55、第2の帯部56、第3の帯部57、及び第4の帯部58は、対応する第2のMA48から離間しており、当該第2のMA48を三方から囲む。このように、周部50は、略C字状に形成される。Z方向と直交する方向において、第2のMA48は、周部50から離間した位置で、当該周部50に囲まれている。
【0050】
第1の接続部51は、第3の帯部57から+Y方向に突出している。第1の接続部51は、第1の帯部55、第2の帯部56、及び第4の帯部58から離間している。第1の接続部51において、外面43aに第1のパッド61が設けられる。
【0051】
第2の接続部52は、第1の帯部55から-Y方向に突出している。第2の接続部52は、第3の帯部57及び第4の帯部58から離間している。また、第2の接続部52は、第1の接続部51から、+Y方向に離間している。+Y方向は、外面43aに沿う方向であり、第1の方向の一例である。
【0052】
第2の接続部52において、外面43aに第2のパッド62が設けられる。すなわち、第2のパッド62は、第1のパッド61から+Y方向に離間した位置で外面43aに設けられる。
【0053】
第1のパッド61に、対応する第2のMA48の一方の端部が、第1の接着剤65によって接合される。第1の接着剤は、第1の接合体の一例である。第2のパッド62に、対応する第2のMA48の他方の端部が、第2の接着剤66によって接合される。第2の接着剤66は、第2の接合体の一例である。
【0054】
本実施形態において、第1の接着剤65及び第2の接着剤66は、導電性の接着剤である。例えば、第1の接着剤65及び第2の接着剤66は、銀のような導電体のフィラーが混ぜられたエポキシ系接着剤である。なお、第1の接合体及び第2の接合体は、半田のような他の導電性の接合体であっても良い。
【0055】
第1の接続部51及び第2の接続部52は、略C字状の周部50から、当該周部50の内側へ突出している。フレキシャ43に、第1の接続部51と第2の接続部52との間を隔てる間隔Gが設けられる。
【0056】
間隔Gは、フレキシャ43を略Z方向に貫通する孔又は切り欠きである。間隔Gは、第1の接続部51と第2の接続部52との間において、対応する第2のMA48に略Z方向に重なる。Z方向は、第1の外面と直交する方向の一例である。
【0057】
第2のMA48がY方向に伸縮することで、第1の接続部51と第2の接続部52との間の距離が変化する。例えば、一方のMA取付部49における第1の接続部51と第2の接続部52との間の距離が縮み、他方のMA取付部49における第1の接続部51と第2の接続部52との間の距離が延びることで、サスペンション37の先端部37aが弾性的に曲がる。
【0058】
図4は、第1の実施形態のサスペンション37の一部を図3のF4-F4線に沿って示す例示的な断面図である。図4に示すように、第2のMA48は、圧電体70と、第1の電極71と、第2の電極72とを有する。
【0059】
圧電体70は、Y方向に延びる略直方体状に形成される。圧電体70は、底面70aと、第1の端面70bと、第2の端面70cとを有する。底面70aは、第2の外面の一例である。
【0060】
底面70aは、-Z方向における圧電体70の端部に設けられる。底面70aは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。底面70aは、隙間を介してフレキシャ43の外面43aに向く。
【0061】
底面70aは、第1の接続部51の外面43aに向くとともに、第2の接続部52の外面43aに向く。底面70aと外面43aとは、略平行に配置される。なお、底面70aは、外面43aに対して傾いていても良い。
【0062】
第1の端面70bは、-Y方向における圧電体70の端部に設けられる。第2の端面70cは、第1の端面70bの反対側に位置し、+Y方向における圧電体70の端部に設けられる。
【0063】
図3に示すように、圧電体70は、二つの側面70dをさらに有する。側面70dは、圧電素子の両端の一例である。二つの側面70dは、X方向における圧電体70の両端部に設けられる。
【0064】
図4の第1の電極71は、例えば、第2のMA48の正極である。第1の電極71は、底面70a及び第1の端面70bに設けられる。第1の電極71は、第2の端面70cから離間している。
【0065】
第2の電極72は、例えば、第2のMA48の負極である。第2の電極72は、底面70aに設けられる。第2の電極72は、第2の端面70cの近傍に位置し、第1の電極71から+Y方向に離間している。
【0066】
第1の電極71の少なくとも一部は、第1のパッド61とZ方向に重なる。第1の接着剤65は、第1のパッド61と第1の電極71とを接合する。言い換えると、第1の接着剤65は、第1のパッド61と第1の電極71とを物理的及び電気的に接続する。
【0067】
第2の電極72の少なくとも一部は、第2のパッド62とZ方向に重なる。第2の接着剤66は、第2のパッド62と第2の電極72とを接合する。言い換えると、第2の接着剤66は、第2のパッド62と第2の電極72とを物理的及び電気的に接続する。
【0068】
フレキシャ43は、裏打ち層81と、ベース層82と、導電層83と、カバー層84とを有する。裏打ち層81は、金属板の一例である。ベース層82は、第2の絶縁層の一例である。カバー層84は、第1の絶縁層の一例である。裏打ち層81、ベース層82、導電層83、及びカバー層84は、Z方向に積層されている。
【0069】
裏打ち層81は、例えば、ステンレスのような金属で作られた金属板である。裏打ち層81は、二つの表面81a,81bを有する。表面81aは、第3の面の一例である。表面81aは、略平坦に形成され、+Z方向に向く。表面81bは、表面81aの反対側に位置する。表面81bは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。表面81bは、外部に露出されており、フレキシャ43のうち外面43aの反対側の面を形成する。
【0070】
ベース層82及びカバー層84は、例えば、ポリイミド(PI)のような絶縁体で作られる。ベース層82の材料は、カバー層84の材料と同じである。なお、ベース層82の材料と、カバー層84の材料とが、互いに異なっても良い。
【0071】
ベース層82は、裏打ち層81の表面81aを覆い、表面81aに固定される。ベース層82は、例えば接着層により表面81aに接着されても良いし、直接的に表面81aに付着していても良い。
【0072】
ベース層82は、二つの表面82a,82bを有する。表面82aは、略平坦に形成され、+Z方向に向く。表面82bは、表面82aの反対側に位置する。表面82bは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。表面82bは、裏打ち層81の表面81aに固定される。
【0073】
導電層83は、ベース層82の表面82a上に配置される。導電層83は、銅のような導電体で作られる。導電層83は、裏打ち層81よりも薄い。なお、裏打ち層81及び導電層83の厚さは、この例に限ら得ない。
【0074】
導電層83は、例えば、複数の配線パターン及びパッドを有する。導電層83は、第1のパッド61及び第2のパッド62を有する。さらに、導電層83は、磁気ヘッド14に接続されるパッドと、FPC18に接続されるパッドと、複数のパッドを互いに接続する配線パターンと、を有する。なお、導電層83は、この例に限られない。
【0075】
カバー層84は、ベース層82の表面82aと導電層83の少なくとも一部とを覆い、ベース層82及び導電層83に固定される。すなわち、カバー層84は、導電層83の少なくとも一部を覆うとともに、導電層83が設けられない位置においてベース層82を覆う。カバー層84は、例えば接着層により表面82aに接着されても良いし、直接的に表面82aに付着していても良い。
【0076】
フレキシャ43において、ベース層82は、裏打ち層81とカバー層84との間に位置する。さらに、導電層83は、ベース層82とカバー層84との間に位置する。なお、フレキシャ43は、ベース層82の代わりに複数の絶縁層と複数の導電層とを有する多層基板であっても良い。
【0077】
カバー層84は、二つの表面84a,84bを有する。表面84aは、外部に露出されており、フレキシャ43の外面43aの一部を形成する。表面84bは、表面84aの反対側に位置する。表面84bは、ベース層82の表面82a及び導電層83に固定される。
【0078】
カバー層84に、第1の孔85と、第2の孔86とが設けられる。第1の孔85及び第2の孔86のそれぞれは、カバー層84を略Z方向に貫通し、表面84a,84bに開口する。
【0079】
第1の孔85は、第1の接続部51に設けられ、第1のパッド61の少なくとも一部をフレキシャ43の外部に露出させる。第1のパッド61のうち第1の孔85により露出された面は、フレキシャ43の外面43aの一部を形成する。
【0080】
第1の接着剤65は、第1の孔85を通じて、第1のパッド61と第1の電極71とを接合する。第1の接着剤65は、第1の孔85によって露出された第1のパッド61を覆う。すなわち、第1のパッド61は、第1の孔85によってフレキシャ43の外部に露出されるが、第1の接着剤65のようなフレキシャ43と異なる要素に覆われても良い。
【0081】
第2の孔86は、第2の接続部52に設けられ、第2のパッド62の少なくとも一部をフレキシャ43の外部に露出させる。第2のパッド62のうち第2の孔86により露出された面は、フレキシャ43の外面43aの一部を形成する。すなわち、外面43aは、カバー層84の表面84aと、第1のパッド61のうち第1の孔85により露出された面と、第2のパッド62のうち第2の孔86により露出された面とを含む。
【0082】
第2の接着剤66は、第2の孔86を通じて、第2のパッド62と第2の電極72とを接合する。第2の接着剤66は、第2の孔86によって露出された第2のパッド62を覆う。すなわち、第2のパッド62は、第2の孔86によってフレキシャ43の外部に露出されるが、第2の接着剤66のようなフレキシャ43と異なる要素に覆われても良い。
【0083】
本実施形態において、カバー層84の厚さは、略一定である。このため、カバー層84のうち導電層83を覆う部分と、カバー層84のうちベース層82を覆う部分とは、Z方向において異なる位置に設けられ得る。
【0084】
表面84aは、第1の領域84aaと、第2の領域84abと、第3の領域84acとを有する。第1の領域84aaは、第1の面の一例である。第2の領域84abは、第2の面の一例である。第1の領域84aa、第2の領域84ab、及び第3の領域84acのそれぞれは、外面43aの一部であり、外面43aに含まれる。
【0085】
第1の領域84aaは、カバー層84のうち第1のパッド61を覆う部分に設けられる。このため、第1の領域84aaに、第1の孔85が開口する。第2の領域84abは、カバー層84のうち第2のパッド62を覆う部分に設けられる。このため、第2の領域84abに、第2の孔86が開口する。
【0086】
第3の領域84acは、カバー層84のうちベース層82を覆う部分に設けられる。このため、第3の領域84acは、第1の領域84aa及び第2の領域84abよりも、ベース層82に近い。一方で、第1の領域84aa及び第2の領域84abのそれぞれは、第3の領域84acよりも第2のMA48に近い。
【0087】
なお、カバー層84の厚さは、一定でなくても良い。例えば、Z方向において、第1の領域84aaの位置と、第2の領域84abの位置と、第3の領域84acの位置とが、略同一であっても良い。
【0088】
Z方向と直交する方向において、裏打ち層81の形状及び大きさと、ベース層82の形状及び大きさとは、おおよそ等しい。このため、裏打ち層81は、Z方向に第1の接続部51及び第2の接続部52と重なり、第1の接続部51及び第2の接続部52の剛性を向上させる。裏打ち層81の表面81aは、ベース層82を介して第1のパッド61及び第2のパッド62に向く。
【0089】
フレキシャ43に、二つの凸部90が設けられる。凸部90は、例えば、壁又は堰とも称され得る。二つの凸部90は、第1の凸部91と、第2の凸部92とを含む。言い換えると、二つの凸部90のうち一方が第1の凸部91であり、二つの凸部90のうち他方が第2の凸部92である。以下、第1の凸部91と第2の凸部92とに共通する説明は、凸部90の説明として記載される。
【0090】
二つの凸部90のそれぞれは、フレキシャ43の外面43aから、略+Z方向に突出する。第1の凸部91は、第1の接続部51において、外面43aから突出する。第2の凸部92は、第2の接続部52において、外面43aから突出する。このため、第1の凸部91と第2の凸部92とは、Y方向に間隔を介して並べられる。
【0091】
二つの凸部90のそれぞれは、少なくとも部分的に第1の接着剤65と第2の接着剤66との間に位置する。さらに、二つの凸部90のそれぞれは、Y方向(+Y方向)において、第1のパッド61と第2のパッド62との間に位置する。
【0092】
二つの凸部90のそれぞれは、端面90aを有する。端面90aは、+Z方向における凸部90の端部に設けられ、略+Z方向に向く。Z方向における端面90aの位置は、略一定である。言い換えると、Z方向における第1の領域84aa又は第2の領域84abと端面90aとの間の距離は、略一定である。なお、端面90aは、この例に限られず、凹凸又は傾斜を有しても良い。
【0093】
第1の凸部91は、Y方向において、第1の電極71と第2の電極72との間に位置する。第1の凸部91の端面90aは、圧電体70の底面70aに向く。本実施形態において、第1の凸部91の端面90aは、底面70aに接触する。なお、第1の凸部91の端面90aは、底面70aから離間していても良い。
【0094】
第2の凸部92は、Y方向において、Y方向における第2の電極72の両端の間に位置する。このため、第2の凸部92の端面90aは、第2の電極72に向く。言い換えると、第2の凸部92の端面90aは、第2の電極72が設けられた底面70aに向く。本実施形態において、第2の凸部92の端面90aは、第2の電極72に接触する。なお、第2の凸部92の端面90aは、第2の電極72から離間していても良い。
【0095】
凸部90は、例えば、フレキシャ43の外面43aのうち、第3の領域84acから突出する。凸部90は、第3の領域84acから、第1の領域84aa及び第2の領域84abを越えて突出する。このため、凸部90の端面90aは、カバー層84の第1の領域84aa及び第2の領域84abよりも、圧電体70の底面70aに近い。
【0096】
端面90aは、フレキシャ43のうち最も第2のMA48に近い部分である。なお、フレキシャ43は、端面90aと同じくらい第2のMA48に近い部分を有しても良いし、端面90aよりも第2のMA48に近い部分を有しても良い。
【0097】
図3に示すように、二つの凸部90のそれぞれは、略X方向に直線状に延びている。このため、二つの凸部90は、略平行に延びている。なお、凸部90は、他の方向に延びても良いし、曲線状に延びても良い。
【0098】
X方向において、二つの凸部90のそれぞれは、第2のMA48よりも長い。さらに、X方向において、二つの凸部90のそれぞれは、圧電体70の二つの側面70dを横断して延びる。X方向は、外面43aに沿うとともにY方向(+Y方向)と直交する方向であり、第2の方向の一例である。なお、X方向における凸部90の長さは、この例に限られない。
【0099】
図4に示すように、本実施形態において、凸部90は、ベース層82及びカバー層84に設けられる。なお、凸部90は、ベース層82及びカバー層84のうち一方に設けられても良い。
【0100】
具体的には、+Y方向における第1の接続部51の端部において、ベース層82の一部とカバー層84の一部とが、外面43aから+Z方向に突出するように曲げられる。これにより、ベース層82の当該一部とカバー層84の当該一部とが、第1の凸部91を形成する。
【0101】
さらに、-Y方向における第2の接続部52の端部において、ベース層82の一部とカバー層84の一部とが、外面43aから+Z方向に突出するように曲げられる。これにより、ベース層82の当該一部とカバー層84の当該一部とが、第2の凸部92を形成する。
【0102】
第1の接着剤65は、第1のパッド61と、第1の電極71と、第1の凸部91とに付着する。このため、第1の凸部91に含まれるベース層82の一部とカバー層84の一部とは、第1の接着剤65によって、外面43aから突出した姿勢に保たれる。
【0103】
第2の接着剤66は、第2のパッド62と、第2の電極72と、第2の凸部92とに付着する。このため、第2の凸部92に含まれるベース層82の一部とカバー層84の一部とは、第2の接着剤66によって、外面43aから突出した姿勢に保たれる。
【0104】
以下、図4乃至図6を参考に、サスペンション37の製造方法の一部としての、フレキシャ43への第2のMA48の搭載方法の一例について例示する。なお、第2のMA48の搭載方法は以下の方法に限らず、他の方法を用いても良い。
【0105】
図5は、第1の実施形態のフレキシャ43及び治具Jを示す例示的な断面図である。まず、フレキシャ43の一部が治具Jによって曲げられ、凸部90を形成する。すなわち、+Y方向における第1の接続部51の端部と、-Y方向における第2の接続部52の端部と、において、ベース層82の一部とカバー層84の一部とが曲げられる。図5は、曲げられる前のベース層82の一部とカバー層84の一部をと二点鎖線で仮想的に示す。
【0106】
ベース層82の一部とカバー層84の一部とは、曲げられることで、弾性変形する。治具Jは、曲げられたベース層82の当該一部とカバー層84の当該一部とを保持する。これにより、治具Jは、ベース層82の当該一部とカバー層84の当該一部とが元の形状に復元することを抑制する。
【0107】
図6は、第1の実施形態のフレキシャ43及び第2のMA48を示す例示的な断面図である。次に、第1のパッド61に第1の接着剤65が塗布されるとともに、第2のパッド62に第2の接着剤66が塗布される。このとき、第1の接着剤65及び第2の接着剤66は、硬化されておらず、流動性を有する。なお、第1の接着剤65は、第1の電極71に塗布されても良い。また、第2の接着剤66は、第2の電極72に塗布されても良い。
【0108】
次に、例えばマウンターにより、第2のMA48がフレキシャ43に載せられる。マウンターは、第2のMA48が凸部90に当接するまで、第2のMA48をフレキシャ43に近付ける。第2のMA48がフレキシャ43に近付くことで、フレキシャ43の外面43aと圧電体70の底面70aとの間で、第1の接着剤65及び第2の接着剤66が押し潰される。
【0109】
押し潰された第1の接着剤65及び第2の接着剤66は、外面43aと底面70aとに沿って広がる。例えば、第1の接着剤65及び第2の接着剤66は、X方向及びY方向に広がる。
【0110】
押し潰された第1の接着剤65の縁は、例えば、第2のパッド62、第2の接着剤66、及び第2の電極72に近付く。しかし、図4に示すように、第1の凸部91が第1の接着剤65を堰き止める。言い換えると、第1の凸部91は、第1の接着剤65に付着するとともに、第1の接着剤65が第2のパッド62、第2の接着剤66、及び第2の電極72にさらに近付くことを制限する。
【0111】
第1の凸部91は、Y方向において、第1の電極71と第2の電極72との間に位置する。このため、第1の凸部91に付着した第1の接着剤65は、第2の電極72から離間している。さらに、第1の接着剤65は、第2のパッド62及び第2の接着剤66から離間している。
【0112】
第2の凸部92は、Y方向において、Y方向における第2の電極72の両端の間に位置する。このため、第2の凸部92に付着した第2の接着剤66は、第1の電極71から離間している。さらに、第2の接着剤66は、第1のパッド61及び第1の接着剤65から離間している。
【0113】
上述のように、第1の凸部91及び第2の凸部92は、第1の接着剤65及び第2の接着剤66が互いに近付くことを制限する。しかし、第1の接着剤65及び第2の接着剤66は、第1の凸部91及び第2の凸部92を越えて流れ出しても良い。しかし、第1の凸部91及び第2の凸部92は、当該第1の凸部91及び第2の凸部92を越えて流れ出す第1の接着剤65及び第2の接着剤66の量を低減することができる。
【0114】
次に、第1の接着剤65及び第2の接着剤66が硬化させられる。これにより、第1の接着剤65は、第1の凸部91を外面43aから突出した姿勢に保つ。さらに、第2の接着剤66は、第2の凸部92を外面43aから突出した姿勢に保つ。
【0115】
次に、治具Jが、フレキシャ43から取り外される。これにより、フレキシャ43への第2のMA48の搭載が完了する。なお、治具Jは、Z方向における第2のMA48の位置決めを行っても良い。
【0116】
以上の例において、凸部90は、ベース層82及びカバー層84を曲げることで形成される。しかし、凸部90は、他の方法で形成されても良い。例えば、凸部90は、フレキシャ43の製造時におけるエッチングにより形成されても良い。
【0117】
図7は、第1の実施形態の変形例に係るサスペンション37の一部を示す例示的な断面図である。図7に示すように、変形例において、フレキシャ43は、ベース層82の代わりにベース層182を有し、カバー層84の代わりにカバー層184を有する。ベース層182は、下記に説明される点を除き、ベース層82に等しい。カバー層184は、下記に説明される点を除き、カバー層84に等しい。ベース層182及びカバー層184は、凸部90を形成するように曲げられた部分を有さない。
【0118】
例えば、ベース層182が作られるとき、ベース層182の一部の厚さが、エッチングによって減らされる。これにより、ベース層182に表面82aが形成される。一方で、ベース層182のうち厚さを減らされなかった部分は、表面82aから突出し、突出端部182cを形成する。
【0119】
フレキシャ43は、凸部90の代わりに凸部190を有する。凸部190は、下記に説明される点を除き、凸部90に等しい。カバー層184のうち突出端部182cを覆う部分は、カバー層184のうち表面82aを覆う部分から+Z方向に突出する。これにより、カバー層184のうち突出端部182cを覆う部分が段差状になり、当該部分が凸部190を形成する。
【0120】
また、例えば、カバー層184が作られるとき、カバー層184の一部の厚さが、エッチングによって減らされる。これにより、カバー層184に表面84aが形成される。一方で、カバー層184のうち厚さを減らされなかった部分は、表面84aから突出し、突出端部184cを形成する。すなわち、突出端部184cは、フレキシャ43の外面43aから突出している。このため、突出端部184cが段差状になり、当該突出端部184cが凸部190を形成する。
【0121】
以上説明された第1の実施形態に係るHDD10において、導電性の第1の接着剤65が、第1のパッド61と第1の電極71とを接合する。導電性の第2の接着剤66が、第2のパッド62と第2の電極72とを接合する。フレキシャ43に、凸部90が設けられる。凸部90は、少なくとも部分的に第1の接着剤65と第2の接着剤66との間に位置し、外面43aから突出する。例えば、第2のMA48がフレキシャ43に搭載されるとき、第1の接着剤65及び第2の接着剤66は、第2のMA48とフレキシャ43との間で押し潰され、外面43a及び底面70aに沿って広がる。凸部90は、外面43a及び底面70aに沿って広がる第1の接着剤65及び第2の接着剤66のうち少なくとも一方を堰き止め、第1の接着剤65及び第2の接着剤66が当該凸部90を越えて互いに近付くことを制限できる。これにより、HDD10は、第1の接着剤65及び第2の接着剤66の望まぬ方向への広がりを抑制でき、ひいては第1の接着剤65と第2の接着剤66とが第1の電極71と第2の電極72とを短絡してしまうことを抑制できる。従って、HDD10は、電気的な特性を安定させることができる。
【0122】
カバー層84に、第1のパッド61を露出させる第1の孔85と、第2のパッド62を露出させる第2の孔86と、が設けられる。カバー層84は、第1の孔85が開口するとともに外面43aに含まれる第1の領域84aaと、第2の孔86が開口するとともに外面43aに含まれる第2の領域84abと、を有する。第1の領域84aa及び第2の領域84abを含むカバー層84の一部は、第1のパッド61及び第2のパッド62を含む導電層83の一部を覆う。このため、第1の領域84aa及び第2の領域84abは、カバー層84のうち導電層83を覆わない部分よりも、底面70aに近い。凸部90は、底面70aに向くとともに第1の領域84aa及び第2の領域84abのそれぞれよりも底面70aに近い端面90aを有する。すなわち、凸部90は、第1の領域84aa及び第2の領域84abよりも高く外面43aから突出する。これにより、凸部90は、外面43a及び底面70aに沿って広がる第1の接着剤65及び第2の接着剤66のうち少なくとも一方を堰き止め、第1の接着剤65及び第2の接着剤66が当該凸部90を越えて互いに近付くことを制限できる。
【0123】
凸部90は、第1の凸部91を有する。第1の凸部91は、+Y方向において第1の電極71と第2の電極72との間に位置し、外面43aから突出する。これにより、第1の凸部91は、第1の電極71に付着する第1の接着剤65と、第2の電極72に付着する第2の接着剤66と、が当該第1の凸部91を越えて互いに近付くことを制限できる。
【0124】
凸部90は、第2の凸部92を有する。第2の凸部92は、+Y方向において第1のパッド61と第2のパッド62との間に位置し、外面43aから突出する。これにより、第2の凸部92は、第1のパッド61に付着する第1の接着剤65と、第2のパッド62に付着する第2の接着剤66と、が当該第2の凸部92を越えて互いに近付くことを制限できる。
【0125】
端面90aは、フレキシャ43のうちで最も第2のMA48に近い。これにより、凸部90は、フレキシャ43に沿って広がる第1の接着剤65及び第2の接着剤66のうち少なくとも一方を堰き止め、第1の接着剤65及び第2の接着剤66が当該凸部90を越えて互いに近付くことを制限できる。
【0126】
凸部90は、カバー層84及びベース層82のうち少なくとも一方に設けられる。これにより、HDD10は、凸部90を形成するために部材及び部品を追加する必要が無く、コストの増大を抑制できる。
【0127】
外面43aと直交するZ方向における第1の領域84aaと端面90aとの間の距離は、一定である。言い換えると、凸部90の高さは一定である。これにより、凸部90は、第1の接着剤65及び第2の接着剤66が当該凸部90を越えて互いに近付くことを制限できる。
【0128】
外面43aに沿うとともに+Y方向と直交するX方向において、凸部90は、第2のMA48よりも長く、第2のMA48の両方の側面70dを横断して延びる。凸部90は、底面70aに沿って広がる第1の接着剤65及び第2の接着剤66のうち少なくとも一方を堰き止め、第1の接着剤65及び第2の接着剤66が当該凸部90を越えて互いに近付くことを制限できる。
【0129】
凸部90は、例えば、弾性変形したフレキシャ43の一部により形成される。第1の接着剤65及び第2の接着剤66のうち少なくとも一方は、凸部90に付着する。これにより、第1の接着剤65及び第2の接着剤66のうち少なくとも一方は、凸部90の形状を保つことができる。
【0130】
フレキシャ43は、第1の接続部51と、第2の接続部52とを有する。第1の接続部51に、第1のパッド61が設けられる。第2の接続部52は、第1の接続部51から+Y方向に離間するとともに第2のパッド62が設けられる。フレキシャ43に、外面43aと直交するZ方向に第2のMA48と重なるとともに第1の接続部51と第2の接続部52とを隔てる間隔Gが設けられる。これにより、第2のMA48が-Y方向に伸び縮みすることで、フレキシャ43の第1の接続部51を含む部分が、第2の接続部52を含む部分に対して揺動することができる。
【0131】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図8を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0132】
図8は、第2の実施形態に係るサスペンション37の一部を示す例示的な断面図である。第2の実施形態において、サスペンション37は、フレキシャ43の代わりに、フレキシャ243を有する。フレキシャ243は、下記に説明される点を除き、フレキシャ43に等しい。
【0133】
フレキシャ243は、ベース層82の代わりにベース層282を有し、カバー層84の代わりにカバー層284を有する。ベース層282は、下記に説明される点を除き、ベース層82に等しい。カバー層284は、下記に説明される点を除き、カバー層84に等しい。ベース層282及びカバー層284は、凸部90を形成するように曲げられた部分を有さない。
【0134】
フレキシャ243は、裏打ち層81、ベース層282、導電層83、及びカバー層284に加え、介在層281をさらに有する。介在層281は、例えば、PIのような絶縁体で作られた絶縁層である。なお、介在層281は、導電体で作られても良い。
【0135】
介在層281は、Z方向において、裏打ち層81とカバー層284との間に位置する。本実施形態において、介在層281は、ベース層282とカバー層284との間に位置する。なお、介在層281は、この例に限られず、例えば、裏打ち層81とベース層282との間に位置しても良い。介在層281の厚さは、導電層83の厚さよりも厚い。
【0136】
介在層281は、Y方向(+Y方向)において、少なくとも部分的に第1の接着剤65と第2の接着剤66との間に位置する。例えば、介在層281の一部は、+Y方向における第1の接続部51の端部に位置する。また、介在層281の他の一部は、-Y方向における第2の接続部52の端部に位置する。
【0137】
フレキシャ243は、二つの凸部90の代わりに、二つの凸部290を有する。凸部290は、下記に説明される点を除き、凸部90に等しい。カバー層284のうち介在層281を覆う部分は、他の部分から段差状に盛り上がる。これにより、カバー層284のうち介在層281を覆う部分は、フレキシャ243の外面43aから突出し、凸部290を形成する。言い換えると、凸部290は、カバー層284のうち、Z方向に介在層281と重なる部分を有する。
【0138】
以上説明された第2の実施形態のHDD10において、フレキシャ243は、介在層281をさらに有する。介在層281は、外面43aと直交するZ方向において裏打ち層81とカバー層284との間に位置し、+Y方向において第1の接着剤65と第2の接着剤66との間に位置する。凸部290は、カバー層284のうちZ方向に介在層281と重なる部分を有する。すなわち、カバー層284のうち介在層281と重なる部分は、当該介在層281の厚さの分、他の部分から盛り上がり、凸部290を形成する。これにより、HDD10は、凸部290を容易に形成することができる。
【0139】
例えば介在層281が導電体である場合、当該介在層281が短絡やノイズを生じさせる可能性が有る。しかし、本実施形態の介在層281は、絶縁層である。これにより、HDD10は、介在層281が導電体である場合に比べ、介在層281がフレキシャ243に電気的な影響を生じさせることを抑制できる。
【0140】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図9を参照して説明する。図9は、第3の実施形態に係るサスペンション37の一部を示す例示的な断面図である。第3の実施形態において、フレキシャ43は、裏打ち層81の代わりに裏打ち層381を有し、ベース層82の代わりにベース層382を有し、カバー層84の代わりにカバー層384を有する。裏打ち層381は、下記に説明される点を除き、裏打ち層81に等しい。
【0141】
ベース層382は、下記に説明される点を除き、ベース層82に等しい。カバー層384は、下記に説明される点を除き、カバー層84に等しい。ベース層382及びカバー層384は、凸部90を形成するように曲げられた部分を有さない。
【0142】
裏打ち層381は、二つの内突起381cをさらに有する。二つの内突起381cのそれぞれは、Y方向(+Y方向)において、少なくとも部分的に第1の接着剤65と第2の接着剤66との間に位置するとともに、裏打ち層381の表面81aから第2のMA48に向かって突出する。
【0143】
内突起381cは、例えば、曲げられた裏打ち層381の一部により形成される。なお、内突起381cは、この例に限られず、例えば、エッチング、プレス成型、切削、又は他の方法で形成されても良い。
【0144】
フレキシャ43は、二つの凸部90の代わりに、二つの凸部390を有する。凸部390は、下記に説明される点を除き、凸部90に等しい。カバー層384のうち内突起381cを覆う部分は、他の部分から段差状に盛り上がる。これにより、カバー層384のうち内突起381cを覆う部分は、フレキシャ43の外面43aから突出し、凸部390を形成する。言い換えると、凸部390は、カバー層384のうち、Z方向に内突起381cと重なる部分を有する。
【0145】
以上説明された第3の実施形態のHDD10において、裏打ち層381は、表面81aと、内突起381cとを有する。表面81aは、ベース層382を介して第1のパッド61及び第2のパッド62に向く。内突起381cは、+Y方向において少なくとも部分的に第1の接着剤65と第2の接着剤66との間に位置するとともに表面81aから第2のMA48に向かって突出する。凸部390は、カバー層384のうちZ方向に内突起381cと重なる部分を有する。すなわち、カバー層384のうち内突起381cと重なる部分は、当該内突起381cの高さの分、他の部分から盛り上がり、凸部390を形成する。これにより、HDD10は、凸部390を容易に形成することができる。さらに、HDD10は、凸部390を形成するために部材及び部品を追加する必要が無く、コストの増大を抑制できる。
【0146】
(第4の実施形態)
以下に、第4の実施形態について、図10を参照して説明する。図10は、第4の実施形態に係るサスペンション37の一部を示す例示的な断面図である。第4の実施形態において、サスペンション37は、フレキシャ43の代わりに、フレキシャ443を有する。フレキシャ443は、下記に説明される点を除き、フレキシャ43に等しい。
【0147】
フレキシャ443は、ベース層82の代わりにベース層482を有し、カバー層84の代わりにカバー層484を有する。ベース層482は、下記に説明される点を除き、ベース層82に等しい。カバー層484は、下記に説明される点を除き、カバー層84に等しい。ベース層482及びカバー層484は、凸部90を形成するように曲げられた部分を有さない。
【0148】
フレキシャ443は、裏打ち層81、ベース層482、導電層83、及びカバー層484に加え、突出層481をさらに有する。突出層481は、第3の絶縁層の一例である。突出層481は、例えば、PIのような絶縁体で作られた絶縁層である。突出層481は、カバー層484の表面84a上に設けられる。言い換えると、突出層481は、外面43aを覆う。
【0149】
突出層481は、Y方向(+Y方向)において、少なくとも部分的に第1の接着剤65と第2の接着剤66との間に位置する。例えば、突出層481の一部は、+Y方向における第1の接続部51の端部に位置する。また、突出層481の他の一部は、-Y方向における第2の接続部52の端部に位置する。
【0150】
フレキシャ443は、二つの凸部90の代わりに、二つの凸部490を有する。凸部490は、下記に説明される点を除き、凸部90に等しい。突出層481は、外面43aから突出し、凸部490を形成する。言い換えると、凸部490は、突出層481を有する。
【0151】
以上説明された第4の実施形態のHDD10において、凸部490は、外面43aを覆う突出層481を有する。すなわち、凸部490は、突出層481が外面43aの上に積層されることで形成される。これにより、HDD10は、凸部490を容易に形成することができる。さらに、HDD10は、凸部490の高さを容易に調整することができる。
【0152】
突出層481は、絶縁性の接着剤で作られても良い。例えば、フレキシャ43への第2のMA48の搭載時に、導電性の第1の接着剤65及び第2の接着剤66が第1のパッド61及び第2のパッド62に塗布されるとともに、絶縁性の接着剤としての突出層481が外面43aに塗布される。
【0153】
突出層481は、フレキシャ443と第2のMA48との間で押し潰されながら、外面43aと底面70aとに沿って広がる第1の接着剤65及び第2の接着剤66を堰き止めることができる。突出層481は、第2のMA48に付着し、第2のMA48をフレキシャ443に固定することができる。
【0154】
図11は、第4の実施形態の一つの変形例に係るサスペンション37の一部を示す例示的な平面図である。図11の変形例において、二つの凸部490は、第1の凸部91及び第2の凸部92の代わりに、第1の凸部491及び第2の凸部492を有する。第1の凸部491は、下記に説明される点を除き、第1の凸部91に等しい。第2の凸部492は、下記に説明される点を除き、第2の凸部92に等しい。
【0155】
第1の凸部491は、第2のパッド62よりも第1のパッド61の方に近い。言い換えると、第1の凸部491と第1のパッド61との間の距離は、第1の凸部491と第2のパッド62との間の距離よりも短い。
【0156】
第1の凸部491は、第2のパッド62に向かって窪むように曲がっている。言い換えると、第1の凸部491は、第1のパッド61を囲むような曲線状に延びている。第1の凸部491は、二つの側面491a,491bを有する。
【0157】
Z軸と交差する方向において、側面491aは、第1のパッド61に向く。側面491aは、第2のパッド62に向かって窪むように曲がった曲面である。側面491bは、側面491aの反対側に位置する。側面491bは、第2のパッド62に向かって張り出すように曲がった曲面である。なお、側面491bは、直線状に延びていても良い。
【0158】
第1の凸部491と第2の凸部492とは、間隔Gの両側で略鏡面対称に形成される。すなわち、第2の凸部492は、第1のパッド61よりも第2のパッド62の方に近い。第2の凸部492は、第1のパッド61に向かって窪むように曲がっている。
【0159】
以上の図11の変形例に係るHDD10によれば、第1の凸部491は、第2のパッド62よりも第1のパッド61の方に近い。第1の凸部491は、第2のパッド62に向かって窪むように曲がっている。言い換えると、第1の凸部491は、おおよそ第1のパッド61を囲むように延びている。これにより、第1の凸部491は、外面43a及び底面70aに沿って広がる第1の接着剤65を効果的に堰き止めることができる。
【0160】
図12は、第4の実施形態の他の一つの変形例に係るサスペンション37の一部を示す例示的な平面図である。図12の変形例において、凸部490は、第1の凸部91及び第2の凸部92の代わりに、第1の凸部495及び第2の凸部496を有する。第1の凸部495は、下記に説明される点を除き、第1の凸部91に等しい。第2の凸部496は、下記に説明される点を除き、第2の凸部92に等しい。
【0161】
第1の凸部495は、第2のパッド62よりも第1のパッド61の方に近い。第1の凸部495は、側面495aを有する。Z軸と交差する方向において、側面495aは、第1のパッド61に向く。側面495aは、第1のパッド61に向かって先細る。
【0162】
第1の凸部495と第2の凸部496とは、間隔Gの両側で略鏡面対称に形成される。すなわち、第2の凸部496は、第1のパッド61よりも第2のパッド62の方に近い。第2の凸部496は、第2のパッド62に向かって先細る側面496aを有する。
【0163】
以上の図12の変形例に係るHDD10によれば、第1の凸部495は、第1のパッド61に向かって先細る。これにより、第1の凸部495は、外面43a及び底面70aに沿って広がる第1の接着剤65が第2のパッド62に近付くことを制限できる。
【0164】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以上の説明において、制限は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0165】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0166】
10…ハードディスクドライブ、12…磁気ディスク、14…磁気ヘッド、43,243,443…フレキシャ、43a…外面、48…第2のマイクロアクチュエータ、51…第1の接続部、52…第2の接続部、61…第1のパッド、62…第2のパッド、65…第1の接着剤、66…第2の接着剤、70a…底面、70d…側面、71…第1の電極、72…第2の電極、81,381…裏打ち層、81a…表面、82,182,282,382,482…ベース層、83…導電層、84,184,284,384,484…カバー層、84aa…第1の領域、84ab…第2の領域、85…第1の孔、86…第2の孔、90,190,290,390,490…凸部、91,491,495…第1の凸部、92,492,496…第2の凸部、90a…端面、281…介在層、381c…内突起、481…突出層、G…間隔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12