(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136694
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】マンコンベヤ安全装置及びマンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 29/04 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B66B29/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042516
(22)【出願日】2022-03-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富永 保介
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321GA28
(57)【要約】
【課題】 必要に応じて、第2接続体による本体と下構造体との接続を解除することができるマンコンベヤ安全装置を提供する。
【解決手段】 マンコンベヤ安全装置は、手摺ベルトよりも幅方向の外側に配置される本体と、本体を吊り下げるために、本体よりも上方に配置される上構造部と本体とを接続する第1接続体と、本体よりも下方に配置される下構造部と本体とを接続する第2接続体と、を備え、第2接続体は、本体に力が加えられることによって分離可能な分離手段を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺ベルトよりも幅方向の外側に配置される本体と、
前記本体を吊り下げるために、前記本体よりも上方に配置される上構造部と前記本体とを接続する第1接続体と、
前記本体よりも下方に配置される下構造部と前記本体とを接続する第2接続体と、を備え、
前記第2接続体は、前記本体に力が加えられることによって分離可能な分離手段を備える、マンコンベヤ安全装置。
【請求項2】
前記第2接続体は、
前記分離手段が分離したときに前記本体に接続される上接続部と、
前記分離手段が分離したときに前記下構造部に接続される下接続部と、を備え、
前記マンコンベヤ安全装置は、前記本体又は前記上接続部と前記下接続部とを接続する補助接続体を備える、請求項1に記載のマンコンベヤ安全装置。
【請求項3】
前記分離手段は、
分離したときに前記本体に接続される上分離部と、
分離したときに前記下構造部に接続される下分離部と、を備え、
人が搬送される搬送方向における前記上分離部及び前記下分離部間で分離を阻止する力は、前記幅方向における前記上分離部及び前記下分離部間で分離を阻止する力よりも、小さい、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ安全装置。
【請求項4】
前記分離手段は、前記第2接続体の上端に配置され、
前記上分離部は、前記本体に固定される、請求項3に記載のマンコンベヤ安全装置。
【請求項5】
前記上分離部は、環状に形成される環状部を備え、
前記下分離部は、前記環状部に止められるように、前記環状部の内部に挿通され、
前記環状部は、
前記本体に固定される固定部と、
内部を閉鎖する閉位置と内部を開放する開位置との間で移動可能となるように、前記幅方向を軸にして回動可能に前記固定部に接続される可動部と、
前記可動部を閉位置で保持させて且つ前記可動部に力が加えられることによって当該保持を解除する保持部と、を備える、請求項4に記載のマンコンベヤ安全装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のマンコンベア安全装置を備える、マンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤ安全装置及びマンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤ安全装置は、本体と、本体を吊り下げるために、上構造部と本体とを接続する第1接続体と、下構造部と本体とを接続する第2接続体とを備えている(例えば、特許文献1)。これにより、本体が揺動することを抑制している。
【0003】
ところで、本体が第1及び第2接続体に接続されているため、例えば、ステップで搬送される人が、本体に衝突した場合に、本体に大きな力が加えられる。これにより、例えば、本体が破損する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、必要に応じて、第2接続体による本体と下構造部との接続を解除することができるマンコンベヤ安全装置及びマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マンコンベヤ安全装置は、手摺ベルトよりも幅方向の外側に配置される本体と、前記本体を吊り下げるために、前記本体よりも上方に配置される上構造部と前記本体とを接続する第1接続体と、前記本体よりも下方に配置される下構造部と前記本体とを接続する第2接続体と、を備え、前記第2接続体は、前記本体に力が加えられることによって分離可能な分離手段を備える。
【0007】
マンコンベヤは、前記のマンコンベア安全装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】同実施形態に係るマンコンベヤ安全装置の全体正面図
【
図4】同実施形態に係るマンコンベヤ安全装置の要部正面図
【
図11】さらに他の実施形態に係る分離手段の正面図
【
図12】さらに他の実施形態に係る分離手段の正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0010】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0011】
以下、マンコンベヤ及びマンコンベヤ安全装置における一実施形態について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、マンコンベヤ及びマンコンベヤ安全装置の構成等の理解を助けるために例示するものであり、マンコンベヤ及びマンコンベヤ安全装置の構成を限定するものではない。
【0012】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対(
図1においては、一つのみ図示している)の欄干部4と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、駆動部5を制御する処理装置6とを備えていてもよい。
【0013】
なお、第1方向D1は、水平方向であって、幅方向D1といい、第2方向D2は、水平方向で且つ幅方向D1と直交する方向であって、前後方向D2といい、第3方向D3は、鉛直方向であって、上下方向D3といい、第4方向D4は、搬送部3が人を搬送する方向であって、前後方向D2に対して傾斜する搬送方向D4という。なお、第2~第4方向D2~D4は、それぞれ所定の同一仮想面に含まれる方向であって、第1方向D1は、当該仮想面に対して直交する方向である。
【0014】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0015】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部(例えば、チェーン)3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。例えば、走行部3aは、幅方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置され、且つ、それぞれの走行部3aに対して幅方向D1を軸にして回転可能に接続されている、という構成でもよい。
【0016】
欄干部4は、例えば、本実施形態のように、無端回転する環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bと、欄干本体部4bの下端部を覆うカバー部4cとを備えていてもよい。
【0017】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、駆動源(例えば、電動機)5aと、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられ、幅方向D1を軸にして回転する一対の回転部(例えば、スプロケット)5b,5bとを備えていてもよい。そして、駆動源5aからの駆動が走行部3a及び手摺ベルト4aに伝達されることによって、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期していてもよい。
【0018】
図2に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、幅方向D1視において、躯体や別のマンコンベヤ(
図2においては、躯体)と交差することによって、三角形状の空間を形成することがある。それに対して、マンコンベヤ1は、幅方向D1視において、当該三角形状の空間に、保護装置7及びマンコンベヤ安全装置(以下、単に「安全装置」ともいう)10を備えていてもよい。
【0019】
保護装置7及び安全装置10は、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト4aよりも幅方向D1の外側に配置されていてもよい。保護装置7は、例えば、上方に配置される上構造部X1に不動に固定されていてもよい。上構造部X1は、例えば、本実施形態のように、躯体(例えば、天井等)でもよく、また、例えば、上方に配置される別のマンコンベヤでもよい。
【0020】
図3に示すように、安全装置10は、例えば、手摺ベルト4aよりも幅方向D1の外側に配置される本体11と、本体11を吊り下げるために、本体11よりも上方に配置される上構造部X1と本体11とを接続する第1接続体12と、本体11よりも下方に配置される下構造部4dと本体11とを接続する第2接続体13と、第2接続体13に接続される補助接続体14とを備えていてもよい。
【0021】
下構造部4dは、例えば、本実施形態のように、カバー部4cに固定されるフック材でもよい。なお、下構造部4dは、例えば、躯体(例えば、マンコンベヤ間の隙間に配置される建具等)でもよく、また、例えば、下方に配置される別のマンコンベヤでもよい。
【0022】
本体11は、例えば、本実施形態のように、搬送方向D4(前後方向D2)及び上下方向D3に沿って配置される板部11aと、搬送方向D4(前後方向D2)の端部に配置され、上下方向D3に延びる円柱部11bとを備えていてもよい。特に限定されないが、本体11は、例えば、透明の硬質樹脂(例えば、アクリル樹脂)で形成されていてもよい。
【0023】
本体11の下方部は、例えば、本実施形態のように、幅方向D1視において、欄干部4と重なっていてもよい。これにより、本体11の上端は、手摺ベルト4aよりも上方に配置されており、本体11の下端は、手摺ベルト4aよりも下方に配置されている。
【0024】
円柱部11bの直径は、例えば、板部11aの厚み(幅方向D1の寸法)よりも、大きくなっていてもよい。これにより、円柱部11bの外周面の曲率半径が大きくなっているため、搬送される人が本体11の円柱部11bに当たるときに、例えば、人に与える衝撃を小さくすることができる。
【0025】
第1接続体12は、例えば、本実施形態のように、上構造部X1と本体11の上端部とにそれぞれ回動可能に接続されていてもよい。そして、第1接続体12の個数は、特に限定されないが、第1接続体12は、例えば、本実施形態のように、複数(本実施形態においては、二つ)備えられていてもよい。これにより、本体11が上下方向D3を軸として揺動することを抑制することができる。
【0026】
第1接続体12の構成は、特に限定されないが、例えば、外力によって変形可能な長尺体でもよい。なお、本明細書において、「外力によって変形可能な長尺体」とは、例えば、本実施形態のように、チェーンでもよく、また、例えば、ロープ(例えば、金属ロープ、樹脂ロープ等)や弾性体(例えば、スプリング等)等も含む。
【0027】
第2接続体13は、例えば、本実施形態のように、下構造部4dと本体11の下端部とにそれぞれ接続されていてもよい。そして、第2接続体13の個数は、特に限定されないが、第2接続体13は、例えば、本実施形のように、複数(本実施形態においては、二つ)備えられていてもよい。これにより、本体11が上下方向D3を軸として揺動することを抑制することができる。第2接続体13の構成は、特に限定されないが、第2接続体13は、例えば、外力によって変形可能な長尺体であってもよい。
【0028】
図4及び
図5に示すように、第2接続体13は、例えば、本体11に力が加えられることによって分離可能な分離手段13aを備えていてもよい。これにより、第2接続体13は、分離手段13aが分離したときに本体11に接続される上接続部13bと、分離手段13aが分離したときに下構造部4dに接続される下接続部13cとを備えている。
【0029】
したがって、分離手段13aは、上接続部13bの下端である上分離部13dと、上分離部13dと着脱可能であって、下接続部13cの上端である下分離部13eとを備えている。即ち、分離手段13aが分離したときに、上分離部13dは、上接続部13bの少なくとも一部(本実施形態においては、全部)を構成し、本体11に接続されており、下分離部13eは、下接続部13cの少なくとも一部(本実施形態においては、一部)を構成し、下構造部4dに接続されている。
【0030】
補助接続体14は、例えば、本実施形態のように、上接続部13bと下接続部13cとを接続していてもよい。補助接続体14の構成は、特に限定されないが、補助接続体14は、例えば、外力によって変形可能な長尺体であってもよい。
【0031】
なお、特に限定されないが、例えば、分離手段13aが分離したときに、下分離部13eが下構造部4dから離れるように、補助接続体14の長さが設定されていてもよい。これにより、分離手段13aが分離したときに、下分離部13eが落下してカバー部4cや下構造部4dに衝突することを抑制することができる。
【0032】
図6に示すように、例えば、上分離部13dは、環状に形成される環状部13fを備えており、下分離部13eは、環状部13fの内部に挿通されている、という構成でもよい。これにより、下分離部13eが環状部13fの内周部に止められることによって、上分離部13d及び下分離部13eは、連結されている。
【0033】
環状部13fは、例えば、本実施形態のように、本体11の下端部に固定される固定部13gと、固定部13gに対して幅方向D1を軸にして回動可能となるように、固定部13gに接続される可動部13hと、可動部13hを保持する保持部13iとを備えていてもよい。これにより、分離手段13aは、第2接続体13の上端に配置されており、上分離部13dは、固定部13gによって、本体11に固定されている。
【0034】
保持部13iは、例えば、本実施形態のように、可動部13hに弾性復元力を加える弾性体であってもよい。特に限定されないが、保持部13iは、例えば、トーションバネとしてもよい。そして、例えば、本実施形態のように、保持部13iが可動部13hに弾性復元力を加え、固定部13gの係合部13jと可動部13hの係合部13kとが当たることによって、可動部13hは、環状部13fの内部を閉鎖する閉位置(
図6の位置)で保持されていてもよい。なお、
図6の一点鎖線領域の拡大図は、当該領域の縦断面を図示している。
【0035】
そして、例えば、本実施形態のように、可動部13hが閉位置に位置することによって、環状部13fの内部は、完全に閉鎖されてもよい。なお、例えば、可動部13hが閉位置に位置することによって、環状部13fが一部で開放されているものの、下分離部13eが通過できないように、環状部13fの内部が閉鎖されていてもよい。
【0036】
次に、本実施形態に係る安全装置10の動作について、
図6~
図8を参照しながら説明する。
【0037】
図6に示すように、例えば、風や人が幅方向D1から本体11に当たり、本体11に幅方向D1の力が加えられた場合に、下分離部13eは、環状部13f(固定部13g、可動部13h)に幅方向D1の力を加える。しかしながら、可動部13hは、幅方向D1の力に対して、回動しない。これにより、環状部13fの内部が閉鎖されたままであるため、下分離部13eが上分離部13dから分離することを抑制することができる。
【0038】
このように、幅方向D1において、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、大きくなっている。これにより、例えば、風や人が幅方向D1から本体11に当たった場合に、本体11が幅方向D1に揺動することを抑制することができる。したがって、例えば、幅方向D1に揺動する本体11がステップ3bで搬送されている人に当たることを抑制することができる。
【0039】
一方で、
図7に示すように、例えば、本体11に搬送方向D4の力が加えられることによって、下分離部13eが可動部13hに搬送方向D4の力を加えた場合に、可動部13hは、保持部13iの力に反して、幅方向D1を軸にして回動する。これにより、保持部13iによる可動部13hの保持が、解除されるため、可動部13hは、環状部13fの内部を開放する開位置(
図7の位置)へ移動する。したがって、環状部13fの内部が開放されるため、下分離部13eが上分離部13dから分離される。
【0040】
このように、搬送方向D4において、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、小さくなっている。これにより、ステップ3bで搬送される人が本体11に衝突したときに、分離手段13aに搬送方向D4の力が加えられることによって、分離手段13aは、分離される。したがって、必要に応じて、第2接続体13による本体11と下構造部4dとの接続を解除することができる。
【0041】
ところで、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、方向D1,D4で差を有している。具体的には、搬送方向D4における上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、幅方向D1における上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力よりも、小さくなっている。それに対して、上分離部13dが本体11に固定されているため、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力の方向性は、本体11に対して維持されている。
【0042】
なお、分離手段13aが分離した場合でも、下接続部13cは、補助接続体14によって、上接続部13bと接続されている。これにより、下接続部13cが上接続部13bから離れることを抑制することができる。したがって、例えば、
図8に示すように、補助接続体14を用いて、下接続部13cが持ち上げられることによって、上接続部13bの上分離部13dと下接続部13cの下分離部13eとを容易に連結することができる。
【0043】
以上より、本実施形態に係るマンコンベヤ1は、前記のマンコンベア安全装置10を備える。
【0044】
そして、本実施形態に係るマンコンベア安全装置10は、手摺ベルト4aよりも幅方向D1の外側に配置される本体11と、前記本体11を吊り下げるために、前記本体11よりも上方に配置される上構造部X1と前記本体11とを接続する第1接続体12と、前記本体11よりも下方に配置される下構造部4dと前記本体11とを接続する第2接続体13と、を備え、前記第2接続体13は、前記本体11に力が加えられることによって分離可能な分離手段13aを備える、という構成が好ましい。
【0045】
斯かる構成によれば、本体11に力が加えられることによって、第2接続体13の分離手段13aは、分離される。これにより、必要に応じて、第2接続体13による本体11と下構造部4dとの接続を解除することができる。
【0046】
そして、本実施形態に係るマンコンベア安全装置10においては、前記第2接続体13は、前記分離手段13aが分離したときに前記本体11に接続される上接続部13bと、前記分離手段13aが分離したときに前記下構造部4dに接続される下接続部13cと、を備え、前記マンコンベヤ安全装置10は、前記本体11又は前記上接続部13b(本実施形態においては、上接続部13b)と前記下接続部13cとを接続する補助接続体14を備える、という構成が好ましい。
【0047】
斯かる構成によれば、分離手段13aが分離された場合でも、下接続部13cは、補助接続体14によって、本体11又は上接続部13bと接続されている。これにより、下接続部13cが本体11又は上接続部13bから離れることを抑制することができる。
【0048】
そして、本実施形態に係るマンコンベア安全装置10においては、前記分離手段13aは、分離したときに前記本体11に接続される上分離部13dと、分離したときに前記下構造部4dに接続される下分離部13eと、を備え、人が搬送される搬送方向D4における前記上分離部13d及び前記下分離部13e間で分離を阻止する力は、前記幅方向D1における前記上分離部13d及び前記下分離部13e間で分離を阻止する力よりも、小さい、という構成が好ましい。
【0049】
斯かる構成によれば、人が搬送される搬送方向D4において、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、小さくなっている。これにより、ステップ3bで搬送される人が本体11に衝突したときに、分離手段13aに搬送方向D4の力が加えられることによって、分離手段13aは、分離される。一方で、幅方向D1において、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、大きくなっている。これにより、本体11が幅方向D1に揺動することを抑制することができる。
【0050】
そして、本実施形態に係るマンコンベア安全装置10においては、前記分離手段13aは、前記第2接続体13の上端に配置され、前記上分離部13dは、前記本体11に固定される、という構成が好ましい。
【0051】
斯かる構成によれば、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力が、方向D1,D4で差を有していることに対して、分離手段13aは、第2接続体13の上端に配置されており、上分離部13dは、本体11に固定されている。これにより、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力の方向性を、本体11に対して維持することができる。
【0052】
そして、本実施形態に係るマンコンベア安全装置10においては、前記上分離部13dは、環状に形成される環状部13fを備え、前記下分離部13eは、前記環状部13fに止められるように、前記環状部13fの内部に挿通され、前記環状部13fは、前記本体11に固定される固定部13gと、内部を閉鎖する閉位置と内部を開放する開位置との間で移動可能となるように、前記幅方向D1を軸にして回動可能に前記固定部13gに接続される可動部13hと、前記可動部13hを閉位置で保持させて且つ前記可動部13hに力が加えられることによって当該保持を解除する保持部13iと、を備える、という構成が好ましい。
【0053】
斯かる構成によれば、下分離部13eが上分離部13dの環状部13fの内部に挿通されているため、下分離部13eは、環状部13fに止められている。そして、本体11に搬送方向D4の力が加えられることによって、下分離部13eが可動部13hに搬送方向D4の力を加えた場合に、保持部13iによる保持が解除され、可動部13hは、軸方向D1を軸にして回動し、開位置に位置する。これにより、環状部13fの内部が開放されるため、下分離部13eが上分離部13dから分離される。
【0054】
一方で、本体11に幅方向D1の力が加えられることによって、下分離部13eが可動部13hに幅方向D1の力を加えた場合に、可動部13hが、幅方向D1を軸にして回動可能に固定部13gに接続されているため、可動部13hは、回動せずに、閉位置に位置している。これにより、環状部13fの内部が閉鎖されたままであるため、下分離部13eが上分離部13dから分離することを抑制することができる。
【0055】
なお、マンコンベヤ1及びマンコンベヤ安全装置10は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1及びマンコンベヤ安全装置10は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0056】
(1)上記実施形態に係るマンコンベヤ安全装置10においては、上分離部13dは、環状に形成される環状部13fを備え、下分離部13eは、環状部13fの内部に挿通される、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ安全装置10は、斯かる構成に限られない。
【0057】
例えば、
図9及び
図10に示すように、上分離部13dは、下分離部13eを幅方向D1で挟む、という構成でもよい。具体的には、上分離部13dは、下分離部13eを幅方向D1で挟む一対の挟み部13m,13mを備えていてもよい。
【0058】
これにより、本体11(上分離部13d)に搬送方向D4の力が加えられた場合に、下分離部13eが挟み部13m,13m間をスライドすることによって、上分離部13dと下分離部13eとは、分離できる。したがって、搬送方向D4における上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、幅方向D1における上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力よりも、小さくなる。
【0059】
(2)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ安全装置10においては、保持部13iは、可動部13hに弾性復元力を加える弾性体である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ安全装置10は、斯かる構成に限られない。
【0060】
例えば、保持部13iは、可動部13hを挟むことによって保持する、という構成でもよい。そして、可動部13hに力が加えられることによって、可動部13hが保持部13iから離脱し、保持部13iによる可動部13hの保持が解除される、という構成でもよい。
【0061】
(3)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ安全装置10においては、分離手段13aは、第2接続体13の上端に配置され、上分離部13dは、本体11に固定されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ安全装置10は、斯かる構成に限られない。例えば、
図11及び
図12に示すように、分離手段13aは、第2接続体13の上端から離れた中間部に配置されている、という構成でもよい。
【0062】
なお、特に限定されないが、例えば、マンコンベア安全装置10が補助接続体14を備えている構成においては、分離手段13aは、第2接続体13の上下方向D3の中心から上方に配置されていることが好ましい。これにより、例えば、ステップ3bに乗った状態で、補助接続体14を用いて、下接続部13cを持ち上げることによって、上接続部13bの上分離部13dと下接続部13cの下分離部13eとを容易に連結することができる。
【0063】
また、特に限定されないが、例えば、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力が、方向D1、D4で差を有している構成においては、分離手段13aは、第2接続体13の上下方向D3の中心から上方に配置されていることが好ましい。これにより、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力の方向性が本体11に対して変化することを抑制することができる。
【0064】
(4)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ安全装置10においては、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、幅方向D1及び搬送方向D4間で異なる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ安全装置10は、斯かる構成に限られない。例えば、
図11及び
図12に示すように、上分離部13d及び下分離部13e間で分離を阻止する力は、幅方向D1及び搬送方向D4間で同じ、という構成でもよい。
【0065】
例えば、
図11に示すように、上分離部13d及び下分離部13eのそれぞれは、互いに吸引し合う磁石13n,13nを備えていてもよい。また、例えば、
図12に示すように、上分離部13d及び下分離部13eのそれぞれは、互いに嵌め合う嵌合部13p,13pを備えていてもよい。なお、
図11及び
図12の一点鎖線領域の拡大図は、当該領域の縦断面を図示している。
【0066】
(5)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ安全装置10においては、補助接続体14は、上接続部13bと下接続部13cとを接続する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ安全装置10は、斯かる構成に限られない。例えば、補助接続体14は、本体11と下接続部13cとを接続する、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…マンコンベヤ、2…構造体、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…カバー部、4d…下構造部、5…駆動部、5a…駆動源、5b…回転部、6…処理装置、7…保護装置、10…マンコンベヤ安全装置、11…本体、11a…板部、11b…円柱部、12…第1接続体、13…第2接続体、13a…分離手段、13b…上接続部、13c…下接続部、13d…上分離部、13e…下分離部、13f…環状部、13g…固定部、13h…可動部、13i…保持部、13j…係合部、13k…係合部、13m…挟み部、13n…磁石、13p…嵌合部、14…補助接続体、D1…幅方向、D2…前後方向、D3…上下方向、D4…搬送方向、X1…上構造部