(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136724
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】駅務機器および駅務システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230922BHJP
【FI】
G07B15/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042571
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】大井 沙耶
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA43
3E127BA46
3E127CA02
3E127CA03
3E127CA04
3E127CA39
3E127FA09
(57)【要約】
【課題】 設置される駅に応じたセットアップを簡単に実行できる駅務機器および駅務システムを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、駅務機器は、通信部と位置取得部とプロセッサとを有する。通信部は、上位装置と通信する。位置取得部は、当該駅務機器の現在位置を示す位置情報を取得する。プロセッサは、位置取得部が取得した現在位置から選出する駅の駅都度ファイルを上位装置から取得し、取得した駅都度ファイルに従って設置駅の設定を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅に設置される駅務機器において、
上位装置と通信する通信部と、
当該駅務機器の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
前記位置取得部が取得した現在位置から選出する駅の駅都度ファイルを上位装置から取得し、取得した駅都度ファイルに従って設置駅の設定を行うプロセッサと、
を有する駅務機器。
【請求項2】
さらに、前記位置取得部が取得した現在位置を記憶する記憶部を有し、
前記プロセッサは、前記位置取得部が取得した現在位置が前記記憶部に記憶している前記位置取得部が前回取得した位置から移動している場合、前記現在位置から選出する駅の駅都度ファイルを上位装置から取得し、取得した駅都度ファイルに従って設置駅の設定を行う、
請求項1に記載の駅務機器。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記位置取得部が取得した現在位置が前記記憶部に記憶している前記位置取得部が前回取得した位置から移動している場合、前記現在位置から選出した駅を新たな設置駅として設定する指示を受け付け、前記指示に応じて前記現在位置から選出する駅の駅都度ファイルを上位装置から取得し、取得した駅都度ファイルに従って設置駅の設定を行う、
請求項2に記載の駅務機器。
【請求項4】
前記プロセッサは、さらに、前記位置取得部が取得した現在位置が前記記憶部に記憶している前記位置取得部が前回取得した位置から移動している場合、前記現在位置から選出した駅を新たな設置駅の候補として表示器に表示し、
前記表示器に候補として表示した駅を新たな設置駅とする指示入力に応じて前記新たな設置駅の駅都度ファイルを上位装置から取得し、取得した駅都度ファイルに従って設置駅の設定を行う、
請求項3に記載の駅務機器。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記位置取得部が取得した現在位置が前記記憶部に記憶している前記位置取得部が前回取得した位置から移動している場合、設置位置の移動を検出したことを示すメッセージとともに、前記現在位置から選出した駅を新たな設置駅の候補を表示器に表示する、
請求項4に記載の駅務機器。
【請求項6】
駅務機器と上位装置とを有する駅務システムにおいて、
前記駅務機器は、
前記上位装置と通信する第1の通信部と、
当該駅務機器の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
前記位置取得部が取得した現在位置から選出する駅の駅都度ファイルを上位装置から取得し、取得した駅都度ファイルに従って設置駅の設定を行う第1のプロセッサと、を有し、
前記上位装置は、
前記駅務機器と通信する第2の通信部と、
前記第2の通信部により駅務機器から駅の駅都度ファイルが要求された場合、前記駅務機器から要求された駅の駅都度ファイルを前記駅務機器へ供給する第2のプロセッサと、を有する、
駅務システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務機器および駅務システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の駅などには、改札機、券売機、精算機などの種々の駅務機器が設置される。これらの駅務機器は、設置した駅ごとに異なる設定内容で駅務を実施するために、設置した駅に応じた設定情報によってセットアップを実行する必要がある。従来の駅務機器は、新規に設置した場合、あるいは、交換などで他の駅に移設した場合、作業員の手動操作によって設置した駅に応じた設定ファイルを取り込んで設置した駅に適合した駅務を実施できるようにセットアップする。
【0003】
しかしながら、作業員による手動操作によって設置駅に応じたセットアップを実行する運用では、人的な手間が掛かるだけでなく、ヒューマンエラーによる設定間違いなどが起こる可能性が生じてしまう。このため、新規設置あるいは移設した場合におけるセットアップを簡単かつ確実に実施できる駅務機器が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、設置される駅に応じたセットアップを簡単に実行できる駅務機器および駅務システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、駅務機器は、通信部と位置取得部とプロセッサとを有する。通信部は、上位装置と通信する。位置取得部は、当該駅務機器の現在位置を示す位置情報を取得する。プロセッサは、位置取得部が取得した現在位置から選出する駅の駅都度ファイルを上位装置から取得し、取得した駅都度ファイルに従って設置駅の設定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る駅務機器を含む駅務システムの構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る駅務システムにおける駅務機器に対する上位装置としてのサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る駅務システムにおける駅務機器としての改札機に対する上位装置である監視盤の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る駅務システムにおける駅務機器の例である改札機の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る駅務システムにおける駅務機器の例である券売機および精算機の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る駅務システムにおける駅務機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る駅務システムにおける駅務機器が表示する操作画面の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る駅務システムにおける上位装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態に係る駅務システム10の全体構成を概略的に示す図である。
駅務システム10は、各駅に設けた駅務機器を接続するシステムである。
図1に示す構成例において、駅務システム10は、サーバ1、監視盤2、改札機3、券売機4A、および、精算機4Bなどを有する。
【0009】
サーバ1は、ネットワークを介して各駅務機器に接続される。サーバ1は、各駅務機器へ情報を供給する上位装置である。サーバ1は、駅ごとに設定される駅サーバであっても良いし、各駅を統括して管理するセンタに設けられるセンタサーバであっても良い。本実施形態に係る駅務システムにおいて、サーバ1は、各駅に設置する駅務機器に適用する設定データのファイルである駅都度ファイルを記憶する。サーバ1は、駅務機器が設置された駅(設置駅)に応じた駅都度ファイルを駅務機器へ供給する。
【0010】
監視盤2は、サーバ1に接続されるとともに複数の改札機3に接続される。監視盤2は、例えば、改札口または駅ごとに設けられ、改札口に設置された改札機3に接続される。監視盤2は、駅務機器の一例としての改札機3に対する上位装置である。監視盤2は、接続される各改札機3の動作状態を監視し、各改札機3に対して遠隔で動作指示を供給する。本実施形態に駅務システムにおいて、監視盤2は、監視対象とする改札機3に適用する設置駅ごとの設定データのファイルである駅都度ファイルを記憶する。監視盤2は、改札機3が設置された駅(設置駅)に応じた駅都度ファイルを改札機3へ供給する。また、監視盤2は、サーバ1から駅都度ファイルを取得し、改札機3へ設置駅に応じた駅都度ファイルを供給するようにしても良い。
【0011】
改札機3は、駅の改札口に設置され、利用者が提示する乗車券媒体に記憶されている情報に基づいて改札口における改札処理(入場処理および出場処理)を実行する。改札機3は、監視盤2に動作状態を示す情報を供給したり、監視盤2から動作指示や設定に関する情報などの情報を取得したりする。例えば、改札機3は、設置駅に応じた設定データのファイルである駅都度ファイルを監視盤2から取得し、監視盤2から取得した駅都度ファイルに従って設定を行う。
【0012】
また、改札機3が処理する乗車券媒体は、例えば、定期券、ポストペイカードあるいはSF(ストアードフェア)カードなどとして利用される券である。改札機3が処理する乗車券媒体は、利用者が携帯でき、改札機3が読み取り可能な情報(乗車券情報などの改札処理に必要な情報)が記録されるものであれば良い。例えば、改札機3が処理する乗車券媒体としては、非接触通信により情報の送受信を行う非接触式ICカード、磁気記録部に情報が記録される磁気式の記録媒体(磁気券)、2次元コードなどのコード化した情報を記録(印刷または表示)する記録媒体、非接触ICカードと同様な機能を有する携帯電話機などのモバイル端末、或は、2次元コードなどのコード化した情報を表示するモバイル端末などがある。
【0013】
券売機4Aおよび精算機4Bは、乗車券媒体の処理を実行する駅務機器の例である。
券売機4Aは、駅等に設置され、利用者自身の操作に応じて乗車券の発券などを実行する駅務機器である。例えば、券売機4は、乗車券を販売するための発券操作画面を表示し、利用者が発券操作画面に対して入力する内容(発券情報)に応じて発券処理を行う。また、券売機4Aは、上位装置としてのサーバ1と通信する。券売機4Aは、設置駅に応じた設定データのファイルである駅都度ファイルをサーバ1から取得し、サーバ1から取得した駅都度ファイルに従って設定を行う。
【0014】
精算機4Bは、駅の構内などに設置され、利用者自身の操作に応じて利用者が所持する乗車券に対する精算などを実行する駅務機器である。例えば、精算機4Bは、乗車券に対する精算処理を実行するための精算操作画面を表示し、利用者が精算操作画面に対して入力する内容に応じて精算処理を行う。また、精算機4Bは、上位装置としてのサーバ1と通信する。精算機4Bは、設置駅に応じた設定データのファイルである駅都度ファイルをサーバ1から取得し、サーバ1から取得した駅都度ファイルに従って設定を行う。
【0015】
また、本実施形態において、駅務システム10における改札機3、券売機4Aおよび精算機4Bなどの駅務機器は、位置を示す情報を出力するデバイスである位置情報出力器5からの信号に基づいて現在の位置を特定する機能を備えるものとする。すなわち、改札機3、券売機4Aおよび精算機4Bは、位置情報出力器5が出力する信号を受信し、位置情報出力器5から受信する信号に基づいてそれぞれの現在の位置(設置位置)を特定する機能を備える。
【0016】
次に、実施形態に係る駅務システム10における上位装置の例としてのサーバ1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る駅務システム10における上位装置の例としてのサーバ1の構成例を示すブロック図である。
図2に示す構成例によれば、サーバ1は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、記憶部14、および、通信部15などを有する。
プロセッサ11は、サーバ1全体の制御を司る。プロセッサ11は、例えば、CPUである。プロセッサ11は、ROM12あるいは記憶部14に記憶されている種々のプログラムに基づいて動作することにより種々の機能を実現する。
【0017】
ROM12は、予めプログラムおよび制御データなどが記憶されている不揮発性のメモリである。例えば、ROM12は、プログラムメモリとして機能する。RAM13は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11が処理中のデータなどを一時保管するバッファメモリとして機能する。また、RAM13は、通信部15が送受信するデータを一時的に記憶する。
【0018】
記憶部14は、書き換えが可能な不揮発性のメモリである。記憶部14は、例えば、HDDあるいはSSDなどのデータの書き込み、および、書き換えが可能な不揮発性のメモリにより構成される。記憶部14は、例えば、改札処理および改札機での料金精算に必要な情報を記憶する。また、本実施形態において、記憶部14は、各駅に設置する駅務機器に適用する設定データのファイルである駅都度ファイルを記憶する。
【0019】
通信部15は、監視盤2、および、駅務機器と通信するための通信インターフェースである。
図2に示す構成例において、通信部15は、改札機3が接続される監視盤2と、券売機4Aおよび精算機4Bなどの駅務機器と通信するように構成される。例えば、通信部15は、券売機4Aおよび精算機4Bなどの駅務機器から設置駅を示す情報を受信し、駅務機器から受信した設置駅に応じた駅都度ファイルを駅務機器へ送信するための通信インターフェースとして用いられる。
【0020】
次に、実施形態に係る駅務システム10における監視盤(上位装置)2の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る監視盤2の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、監視盤2は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、記憶部24、通信部25、および、操作盤26を備える。
プロセッサ21は、監視盤2における各種の動作を制御する。プロセッサ21は、プログラムを実行することにより各種の処理を実行する。プロセッサ21は、例えば、CPUである。プロセッサ21は、RAM23を用いてROM22または記憶部24が記憶するプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。
【0021】
ROM22は、予めプログラムおよび制御データなどが記憶されている不揮発性のメモリである。例えば、ROM22は、プログラムメモリとして機能する。RAM23は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21が処理中のデータなどを一時保管するバッファメモリとして機能する。また、RAM23は、通信部25が送受信するデータを一時的に記憶する。
【0022】
記憶部24は、各種のデータを記憶する。記憶部24は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)あるいはSSD(ソリッドステートドライブ)などの書き換え可能な不揮発性のメモリで構成する。また、本実施形態において、記憶部24は、監視対象とする改札機3に適用する設置駅に応じた設定内容を示す設定データのファイルである駅都度ファイルを記憶する。
【0023】
通信部25は、監視対象とする改札機3およびサーバ1と通信するための通信インターフェースである。
図3に示す構成例において、通信部25は、各改札機3と通信するための通信インターフェースとサーバ1と通信するための通信インターフェースとを含む。例えば、通信部25は、監視対象とする改札機3から設置駅を示す情報を受信し、改札機3から受信した設置駅に応じた駅都度ファイルを改札機3へ送信するための通信インターフェースとして用いられる。
【0024】
操作盤26は、係員に情報を報知したり、係員からの動作指示を受け付けたりするための機器である。例えば、操作盤26は、タッチパネル内蔵の表示装置によって構成される。操作盤26は、監視対象とする各改札機3の動作状態を示す情報を表示し、係員が入力する各改札機3に対する動作指示を受け付ける。例えば、監視盤2において、プロセッサ21は、各改札機3の動作状態を監視し、各改札機3の動作状態を操作盤26に表示する。また、プロセッサ21は、係員による操作盤26への指示入力に応じて動作指示を改札機3へ供給する。
【0025】
次に、実施形態に係る駅務システム10における駅務機器の一例としての改札機3の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る駅務システム10における駅務機器の一例としての改札機3の構成例を示すブロック図である。
図4に示す構成例において、改札機3は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、記憶部34、通信部35、媒体処理部36、表示部37、ドア制御部38、保守パネル39、および、位置情報取得部40などを有する。
【0026】
プロセッサ31、ROM32およびRAM33は、改札機3全体を制御する制御部として機能する。プロセッサ31は、例えば、CPUなどの演算部である。プロセッサ31は、ROM32または記憶部34が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理機能を実現する。
【0027】
ROM32は、不揮発性のメモリであり、プログラムメモリとして機能する。ROM32は、プロセッサ31が実行するプログラムや制御データなどを記憶する。RAM33は、一時的にデータを保持するワーキングメモリとして機能する。RAM33は、プログラムをロードしたり、プロセッサ31が処理中のデータを保持したりする。RAM33は、通信データなどを一時的に保持するバッファメモリとしても機能する。
【0028】
記憶部34は、データを記憶するメモリである。記憶部34は、HDDあるいはSSDなどの書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶部34は、改札処理に用いる運賃情報などの情報を記憶する。また、記憶部34は、監視盤2から駅務都度ファイルを受信すると、受信した駅都度ファイルに従った各種の設定情報を記憶する。さらに、記憶部34は、プロセッサ31が実行するプログラムを記憶しても良い。
【0029】
通信部35は、通信インターフェースである。通信部35は、改札機3に対する上位装置である監視盤2と通信するための通信インターフェースである。通信部35は、監視盤2に設置駅を通知し、監視盤2から設置駅に応じた駅務都度ファイルを取得する通信インターフェースとして機能する。
【0030】
媒体処理部36は、利用者が所持する乗車券媒体を処理するものである。媒体処理部36は、乗車券媒体から情報を読み取る媒体処理部として機能する。媒体処理部36は、利用者が所持する乗車券媒体から乗車券情報を読取れるものであれば良い。例えば、乗車券媒体がICカードであれば、媒体処理部36は、ICカードとのデータ通信(ICカードに対する読取および書込み)を行うカードリーダライタで構成する。また、乗車券媒体が非接触式ICカードであれば、媒体処理部36としてのカードリーダライタは、ICカードと近距離無線通信を行うためのアンテナおよび通信制御部などにより構成する。
【0031】
表示部37は、改札口を通過する利用者に対する案内を表示する表示器である。表示部37は、例えば、改札口を通過する利用者が視認しやすいように、改札機3本体の中央付近または出口側付近に設置される。表示部37に表示される案内は、プロセッサ31により制御される。すなわち、プロセッサ31は、処理状況に応じて表示部37の表示制御を行う。
【0032】
ドア制御部38は、利用者の通行を制御するものである。ドア制御部38は、例えば、当該改札機3が改札口に形成する通路の通行を遮断するためのドアの開閉を制御する。ドア制御部38は、プロセッサ31からの指示に応じてドアを開閉するドア開閉機構を含む。プロセッサ31は、処理状況に応じてドアの開閉制御(通行制御)を行う。
【0033】
保守パネル39は、作業員(係員)が操作指示を入力する操作部を含む。保守パネル39は、例えば、筐体内に設けられ、当該改札機3の設定作業を実行する作業員による操作指示を入力する場合に使用される。保守パネル39は、タッチパネル(操作部)付きの表示器で構成しても良いし、操作ボタン等で構成するものであっても良い。
【0034】
位置情報取得部40は、駅務機器としての当該改札機3の設置位置(現在位置)を示す位置情報を取得する。位置情報取得部40は、位置を特定するための信号を出力するデバイスである位置情報出力器5からの信号に基づいて現在の位置を特定する。例えば、位置情報取得部40は、位置情報出力器5からの信号に基づいて現在位置の経度と緯度とを特定し、現在位置の緯度と経度とを含む位置情報を取得する。
【0035】
位置情報取得部40は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて位置を特定するものであっても良い。また、位置情報取得部40は、モバイル通信ネットワークの基地局などの電波を出力する機器からの信号を受信することにより現在の位置を特定するものであっても良い。
【0036】
次に、実施形態に係る駅務システム10における駅務機器の例である券売機4Aおよび精算機4Bの構成について説明する。
図5は、実施形態に係る駅務システム10における駅務機器の例である券売機4Aおよび精算機4Bの構成例を示すブロック図である。
図5に示す構成例において、券売機4Aおよび精算機4Bは、プロセッサ41、ROM42、RAM43、記憶部44、通信部45、媒体処理部46、表示部47、操作部48、決済処理部49、および、位置情報取得部50などを有する。なお、以下の
図5に関する説明では、券売機4Aの構成について説明するものとするが、精算機4Bも同様な構成を備えるものとする。
【0037】
プロセッサ41、ROM42およびRAM43は、装置全体を制御する制御部として機能する。プロセッサ41は、例えば、CPUなどの演算器である。プロセッサ41は、ROM42または記憶部44が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理機能を実現する。
【0038】
ROM42は、不揮発性のメモリであり、プログラムメモリとして機能する。ROM42は、プロセッサ41が実行するプログラムや制御データなどを記憶する。RAM43は、一時的にデータを保持するワーキングメモリとして機能する。RAM43は、プログラムをロードしたり、プロセッサ41が処理中のデータを保持したりする。RAM43は、通信データなどを一時的に保持するバッファメモリとしても機能する。
【0039】
記憶部44は、データを記憶するメモリである。記憶部44は、HDD或はSSDなどの書き換え可能な不揮発性メモリで構成する。記憶部44は、例えば、サーバ1から供給される停止区間データを記憶する。また、記憶部44は、各種の操作画面あるいは案内画面として表示部47に表示する表示データなどを記憶する。また、記憶部44は、プロセッサ41が実行するプログラムを記憶しても良いし、各種の処理に用いる情報を記憶しても良い。
【0040】
通信部45は、ネットワークを介して通信する通信インターフェースである。本実施形態において、通信部45は、券売機4Aおよび精算機4Bに対する上位装置としてのサーバ1と通信するための通信インターフェースである。通信部45は、サーバ1から当該駅務機器の設置駅の駅務都度ファイルを取得する取得部として機能する。
【0041】
媒体処理部46は、乗車券として用いられる乗車券媒体を処理する。例えば、媒体処理部46は、乗車券媒体として利用する非接触式ICカードあるいは磁気式のカードを処理する処理ユニットを備える。券売機4Aの媒体処理部46としては、利用者からの指示に応じて乗車券あるいは定期券などの券を発券する。また、媒体処理部46は、利用者が既に所持している乗車券媒体を処理する機能も有する。例えば、精算機4Bの媒体処理部46は、利用者が提示する乗車券媒体から乗車券情報を読み取って精算処理などを施して精算券を発券するものであっても良い。
【0042】
表示部47は、操作案内あるいは処理状況などを表示する表示器である。表示部47は、報知器の一例である。操作部48は、各種の操作キーあるいはタッチパネルなどにより構成される。操作部48は、利用者または係員により操作され、操作指示された内容を示す情報をプロセッサ41へ供給する。例えば、当該券売機4Aの設置(設定)作業を実行する作業員は、操作部48により操作指示を入力する。
【0043】
表示部47および操作部48は、操作部としてのタッチパネルを具備する表示装置により構成されるようにしても良いし、操作ボタンと表示装置とで構成されるようにしても良い。本実施形態において、表示部47および操作部48は、タッチパネルを具備する表示装置として構成され、表示部47には操作部48としてのタッチパネルで選択可能な釦が表示されるものとする。
【0044】
決済処理部49は、決済処理を行う。決済処理部49は、例えば、決済用のカードを処理するカード処理ユニットおよび現金を処理する現金処理ユニットなどを含む。決済処理部49の現金処理ユニットは、利用者が投入する現金を受け入れたり、利用者へ支払う釣銭あるいは払戻金などを放出したりする。決済処理部49としての現金処理ユニットは、利用者が投入した現金を鑑査する鑑査部、現金を搬送する搬送部、現金を貯留する保管部、保管部が貯留する現金を放出する放出部などにより構成される。
【0045】
位置情報取得部50は、位置情報取得部40と同様、駅務機器としての当該券売機4Aまたは精選機4Bの設置位置(現在位置)を示す位置情報を取得する。位置情報取得部50は、位置を特定するための信号を出力するデバイスである位置情報出力器5からの信号に基づいて現在の位置を特定する。例えば、位置情報取得部50は、位置情報出力器5からの信号に基づいて現在位置の経度と緯度とを特定し、現在位置の緯度と経度とを含む位置情報を取得する。
【0046】
例えば、位置情報取得部50は、GPS(Global Positioning System)を用いて位置を特定するものであっても良い。また、位置情報取得部50は、モバイル通信ネットワークの基地局などの電波を出力する機器からの信号を受信することにより現在の位置を特定するものであっても良い。
【0047】
次に、実施形態に係る駅務システム10を構成する改札機3、券売機4Aおよび精算機4Bなどの駅務機器における駅都度ファイルの設定動作について説明する。
ここでは、駅務システム10における駅務機器の例として、監視盤2を上位装置とする改札機3の動作について説明するものとする。ただし、サーバ1を上位装置とする券売機4Aおよび精算機4Bなどの駅務機器についても、後述する改札機3と同様な流れの動作が実施できるものとする。
【0048】
図6は、実施形態に係る駅務システム10を構成する駅務機器の一例である改札機3のける設置駅の設定の動作例を説明するためのフローチャートである。
まず、改札機3が電源オフの状態から電源がオンの状態になると、プロセッサ31は、各部の起動させる起動処理を開始する。起動処理を開始すると(ST11、YES)、プロセッサ31は、位置情報取得部40から現在位置を示す情報を取得する(ST12)。位置情報取得部40は、プロセッサ31からの起動指示に応じて動作し、位置情報出力器5からの信号を受信することにより現在位置を特定する。位置情報取得部40は、現在位置を特定すると、現在位置を示す位置情報をプロセッサ31へ供給する。
【0049】
プロセッサ31は、位置情報取得部40から現在位置を示す位置情報を取得すると、取得した位置情報を記憶部34に保存する。ここで、プロセッサ31は、現在時刻(位置を計測した時刻)を示す情報に対応づけて位置情報取得部40から取得した位置情報を記憶部34に保存するようにしても良い。
【0050】
プロセッサ31は、位置情報取得部40から現在位置を示す位置情報を取得すると、取得した位置情報を示す現在位置が前回位置情報取得部40が特定した位置から移動しているか否かにより当該改札機3の設置位置が移動しているか否かを判定する(ST13)。例えば、プロセッサ31は、位置情報取得部40から取得した位置情報が特定される現在位置と、記憶部34に保存している位置情報取得部40が前回取得した位置情報が示す位置とが所定距離(例えば、位置情報取得部40が位置を特定する際に生じする誤差の最大値)以上離れているか否かにより当該改札機3の設置位置が移動しているか否かを判定する。
【0051】
当該改札機3の設置位置が移動していないと判定した場合(ST13、NO)、プロセッサ31は、設置駅の設定を更新する必要がないため、駅都度ファイルを更新することなく、設置駅の設定動作を終了する。
【0052】
当該改札機3の設置位置が移動していると判定した場合(ST13、YES)、プロセッサ31は、位置情報取得部40が取得した位置情報が示す現在位置から当該改札機3が現在設置されている駅の候補を選出する(ST14)。例えば、記憶部34は、各駅の位置情報(経度および緯度)を記憶しておく。プロセッサ31は、位置情報取得部40が取得した位置情報が示す現在位置の緯度および経度と各駅の経度および緯度とを比較することにより、現在位置に最も近い駅を設置駅の候補として選出する。
【0053】
なお、位置情報取得部40が特定した現在位置から選出した設定駅の候補が現在設定されている設置駅と同一であれば、プロセッサ31は、駅都度ファイルを更新する必要がないものとして、駅都度ファイルの設定を終了するようにしても良い。
【0054】
位置情報取得部40が取得した位置情報(現在位置)から設置駅の候補を選出すると、プロセッサ31は、設置位置が変更された旨の注意メッセージとともに、現在位置から選出した設置駅の候補を含む設定駅の変更を指示するための指示画面を表示部37または保守パネル39の表示器に表示する(ST15)。例えば、プロセッサ31は、設置駅の変更なし、あるいは、現在位置から選出した設置駅の何れかを作業員に選択させる指示画面を表示する。また、プロセッサ31は、設置駅の変更なし、現在位置から選出した設置駅、または、作業員による設置駅の指定の何れかを作業員に選択させる指示画面を表示するようにしても良い。
【0055】
図7は、改札機3の設置位置の移動が検出された場合に表示する設置駅の設定に関する指示画面の表示例である。
図7に示す指示画面の例によれば、プロセッサ31は、設置位置の移動が検出されたことを示すメッセージとともに、作業員が選択可能な3つのボタン(第1ボタンb1、第2ボタンb2、第3ボタンb3)を表示する。
【0056】
第1ボタンb1は、設定駅の変更を実施しないことを指示するボタンである。例えば、試験または保守などのために当該改札機3を移動させた場合、当該改札機3としては、設置駅の設定を変更する必要がないことがある。このような場合、作業員が第1ボタンb1を指示することにより、改札機は、設置位置を移動させた場合であっても設置駅の設定(駅都度ファイルの変更)を実施しないようにできる。
【0057】
第2ボタンb2は、設置駅を現在位置から選出された駅に変更することを指示するボタンである。例えば、当該改札機3を新規に設置した場合、あるいは、当該改札機3を別の駅に設置した場合、当該改札機3としては、設置駅に応じた設定を新たに設置した駅の設定に変更する必要がある。このような場合、設置位置が移動した改札機(駅務機器)は、現在位置から選出する新たな設置駅の候補を作業員に提示することできる。作業員が第2ボタンb2を指示することにより、改札機(駅務機器)は、設置駅の設定を現在位置から選出した新たな設置駅の設定(駅都度ファイルに基づく設定)に変更できる。この結果、作業員が現在位置から選出された設置駅の候補を選択するだけで簡単かつ確実に設置駅の設定変更を指示できる。
【0058】
第3ボタンb3は、設置駅を作業員が指定する駅に変更することを指示するボタンである。例えば、位置情報取得部40が正確な位置を取得し難い設置環境である場合、あるいは、複数の駅が近接することなどにより位置情報から設置駅の候補が選出できなかった場合、作業員が設置駅を指定する必要が生じることがある。このような場合、作業員が第3ボタンb3を指示することにより、改札機(駅務機器)は、設置駅の設定を作業員が指定する駅の設定に変更できる。
【0059】
設置位置の移動を検出したことにより表示する指示画面において設置駅の変更なしが指示された場合(ST16、NO)、プロセッサ31は、設置駅の設定を終了する。例えば、
図7に示す指示画面において作業員が第1ボタンb1を指示した場合、プロセッサ31は、設定データなどを変更することなく設置駅の設定を終了する。
【0060】
また、設置位置の移動を検出したことにより表示する指示画面において現在位置から選出した設置駅の候補が指示された場合(ST16、YES)、プロセッサ31は、設置駅を現在位置から選出された設置駅の候補に変更するものとする。この場合、プロセッサ31は、現在位置から選出された設置駅の駅都度ファイルを上位装置である監視盤2に要求する(ST17)。
【0061】
また、新たな設置駅を作業員が指定する場合、プロセッサ31は、保守パネル39を用いた作業員による設置駅の指定を受け付け、設置駅を作業員が指定する駅に変更するものとする。この場合、プロセッサ31は、作業員が指定した駅(設置駅)の駅都度ファイルを上位装置である監視盤2に要求する。
【0062】
設置駅の駅都度ファイルを要求した後、プロセッサ31は、監視盤2から設置駅の駅都度ファイルを取得する(ST18)。監視盤2から設置駅の駅都度ファイルを取得すると、プロセッサ31は、監視盤2から取得した駅都度ファイルに基づく設定を実行する(ST19)。
【0063】
なお、上述した動作例によれば、ST14~17において位置情報取得部が特定する現在位置から選出する設置駅への変更を作業員の指示に応じて実行するようにしたが、作業員による指示なしで、現在位置から選出する設置駅の駅都度ファイルを上位装置へ要求するようにしても良い。このような動作にすれば、位置情報取得部が特定する現在位置から選出する設置駅の駅都度ファイルを起動時に取得することができ、作業員による操作指示を不要とすることができる。
【0064】
また、上述した動作例では、駅務機器の例としての改札機における動作を想定して説明したが、券売機および精算機などの駅務機器においても同様な処理手順で設置駅の変更が実施できる。例えば、券売機および精算機などの駅務機器は、位置情報取得部が特定する現在位置から選出した設置駅への変更が指示された場合、設置駅の駅都度ファイルをサーバ1に要求し、サーバ1から設置駅の駅都度ファイルを取得するようにすれば良い。
【0065】
次に、実施形態に係る駅務システム10における上位装置としてのサーバ1および監視盤2の動作について説明する。
図8は、実施形態に係る駅務システム10を構成する上位装置の一例である監視盤2の動作例を説明するためのフローチャートである。
監視盤2は、監視対象とする改札機3と通信部25を介して通信可能に接続される。監視盤2のプロセッサ21は、改札機3からの駅都度ファイルの要求を受け付ける(ST21)。ここで、上位装置としての監視盤2は、記憶部24に各駅の駅都度ファイルを保存しているものとする。
【0066】
監視盤2のプロセッサ21は、改札機3から駅都度ファイルが要求された場合(ST21、YES)、改札機3から指定される設置駅の駅都度ファイルを記憶部24から読み出す。プロセッサ21は、記憶部24から読み出した改札機3から指定された設置駅の駅都度ファイルを通信部25により当該改札機3へ供給する(ST22)。
【0067】
なお、監視盤2は、サーバ1から駅都度ファイルを取得するようにしても良い。この場合、監視盤2は、改札機3から指定された設定駅の駅都度ファイルをサーバ1から取得し、取得した駅都度ファイルを当該改札機3へ供給するようにすれば良い。
【0068】
以上のように、実施形態に係る駅務システムでは、駅に設置される駅務機器が位置情報取得部を備える。駅務機器は、起動するごとに位置情報取得部が特定する現在位置に基づいて当該駅務機器の設置位置が移動したかを判定する。駅務機器は、位置情報取得部が特定する現在位置に基づいて当該駅務機器の設置位置が移動したことを検出した場合、位置情報取得部が特定する現在位置から選出する駅の駅都度ファイルを上位装置から取得し、取得した駅都度ファイルに従って設置駅の設定を実行する。
【0069】
これにより、駅務機器は、新規に設置した場合あるいは設置位置を変更した場合において現在位置から特定される設置駅に応じたセットアップを高速かつ簡単に実施できる。この結果、人手による設定作業を削減することができ、設置時における設定作業の時間を削減したり人的な設定のミスをなくしたりすることができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…サーバ(上位装置)、2…監視盤(上位装置)、3…改札機(駅務機器)、4A…券売機(駅務機器)、4B…精算機(駅務機器)、10…駅務システム、11、21…プロセッサ(第2のプロセッサ)、12、22…ROM、13、23…RAM、14、24…記憶部、15、25…通信部(第2の通信部)、31、41…プロセッサ(第1のプロセッサ)、32、42…ROM、33、43…RAM、34、44…記憶部、35、45…通信部(第1の通信部)、36、46…媒体処理部、37、47…表示部、39…保守パネル(操作部)、48…操作部、40、50…位置情報取得部。