IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョビー エアロ,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特開-非線形電源能力判定 図1
  • 特開-非線形電源能力判定 図2
  • 特開-非線形電源能力判定 図3
  • 特開-非線形電源能力判定 図4
  • 特開-非線形電源能力判定 図5
  • 特開-非線形電源能力判定 図6
  • 特開-非線形電源能力判定 図7
  • 特開-非線形電源能力判定 図8
  • 特開-非線形電源能力判定 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138438
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】非線形電源能力判定
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/24 20060101AFI20230922BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20230922BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20230922BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B64D27/24
B64C27/04
G08G5/00 A
H02J7/00 P
H02J7/00 302D
H02J7/00 302C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023039631
(22)【出願日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】17/655,057
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】520437526
【氏名又は名称】ジョビー エアロ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JOBY AERO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アリア テドジャラティ
(72)【発明者】
【氏名】クリストス エム.バイス
(72)【発明者】
【氏名】アルパン チャクラボルティ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ルーシュウ
(72)【発明者】
【氏名】ポール ティ.スノー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク ダブリュ.イングリッシュ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H181
【Fターム(参考)】
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA02
5G503DA13
5G503DA17
5G503DA18
5G503EA05
5G503EA06
5G503FA06
5G503GD06
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB08
5H181BB13
5H181BB17
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF14
5H181FF33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非線形航空機電源の能力を判定する方法、コンピュータシステムを提供する。
【解決手段】非線形航空機電源の能力を判定する方法は、航空機内のエネルギー貯蔵システムの現在の状態を表すステータス値にアクセスすることと、エネルギー貯蔵システムに対する予想電力需要に関連する需要値にアクセスすることと、ステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するためにステータス値および需要値を使用してエネルギー貯蔵システムの進行中ステータスをモデル化することと、ステータス値が閾値に達することに基づいて航空機の能力の出力を提供することとを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のプロセッサによって実行される方法であって、
利用可能なエネルギーレベルを含む、航空機内のエネルギー貯蔵システムの現在の状態を表すステータス値にアクセスすることと、
前記エネルギー貯蔵システムに対する予想電力需要に関連する需要値にアクセスすることと、
前記利用可能なエネルギーレベル以外の前記ステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、前記ステータス値および前記需要値を使用して前記エネルギー貯蔵システムの進行中ステータスを計算するために動的モデルを実行することと、
前記ステータス値が前記閾値に達したことに基づいて、前記航空機の能力の出力を提供することと、
を備える方法。
【請求項2】
前記需要値が、前進飛行および垂直飛行を含む飛行の種類に部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動的モデルの実行は、前記エネルギー貯蔵システムに対する前記予想電力需要に基づいて、前記エネルギー貯蔵システムの予測状態を表す予測ステータス値のシーケンスを決定するために反復的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記動的モデルの実行は、温度値、電圧レベル、またはバッテリ容量のうちの1つが、いつ最初に閾値レベルに到達するかを決定するために反復的に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記需要値は、離陸、飛行経路、および着陸を含む飛行計画に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、前記ステータス値および1つ以上の代替需要値を使用して前記エネルギー貯蔵システムの第2の進行中ステータスを計算するために第2の動的モデルを実行することと、
前記1つ以上の代替需要値に基づいて前記ステータス値が前記閾値に達したことに基づいて、前記航空機の代替能力の出力を提供することと、
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
代替需要値が、前記航空機のホバリングに基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
代替需要値は、おおよその最大航続距離を提供する電力レベルである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
代替需要値が、前記航空機の能力の損失に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記エネルギー貯蔵システムは複数のエネルギー貯蔵モジュールを備え、前記航空機の能力の損失は、前記エネルギー貯蔵モジュールのうちの1つからの電力の損失である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記航空機は複数の推力発生モジュールを備え、前記航空機の能力の損失は、前記推力発生モジュールのうちの1つからの推力の損失である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータシステムであって、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記システムに動作を実行させる命令を記憶するメモリと、を備え、前記動作は、
利用可能なエネルギーレベルを含む、航空機内のエネルギー貯蔵システムの現在の状態を表すステータス値にアクセスすることと、
前記エネルギー貯蔵システムに対する予想電力需要に関連する需要値にアクセスすることと、
前記利用可能なエネルギーレベル以外の前記ステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、前記ステータス値および前記需要値を使用して前記エネルギー貯蔵システムの進行中ステータスを計算するために動的モデルを実行することと、
前記ステータス値が前記閾値に達したことに基づいて、前記航空機の能力の出力を提供することと、
を備える、コンピュータシステム。
【請求項13】
前記動的モデルの実行は、前記エネルギー貯蔵システムに対する前記予想電力需要に基づいて、前記エネルギー貯蔵システムの予測状態を表す予測ステータス値のシーケンスを決定するために反復的に行われる、請求項12に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
前記動的モデルの実行は、温度値、電圧レベル、またはバッテリ容量のうちの1つが、いつ最初に閾値レベルに到達するかを決定するために反復的に行われる、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
前記動作は、
前記ステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、前記ステータス値および1つ以上の代替需要値を使用して前記エネルギー貯蔵システムの第2の進行中ステータスを計算するために第2の動的モデルを実行することと、
前記1つ以上の代替需要値に基づいて前記ステータス値が前記閾値に達したことに基づいて、前記航空機の代替能力の出力を提供することと、
を更に備える、請求項12に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
代替需要値は、前記航空機の能力の損失に基づく、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体は命令を含み、前記命令は、1つ以上のディスプレイデバイス、1つ以上のカメラ、および概して垂直に配置されたタッチパッドを含む頭部装着型デバイスシステムによって実行されると、前記頭部装着型デバイスシステムに動作を行わせる命令を含み、前記動作は、
利用可能なエネルギーレベルを含む、航空機内のエネルギー貯蔵システムの現在の状態を表すステータス値にアクセスすることと、
前記エネルギー貯蔵システムに対する予想電力需要に関連する需要値にアクセスすることと、
前記利用可能なエネルギーレベル以外の前記ステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、前記ステータス値および前記需要値を使用して前記エネルギー貯蔵システムの進行中ステータスを計算するために動的モデルを実行することと、
前記ステータス値が前記閾値に達したことに基づいて、前記航空機の能力の出力を提供することと、
を備える、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記動的モデルの実行は、前記エネルギー貯蔵システムに対する前記予想電力需要に基づいて、前記エネルギー貯蔵システムの予測状態を表す予測ステータス値のシーケンスを決定するために反復的に行われる、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記動的モデルの実行は、温度値、電圧レベル、またはバッテリ容量のうちの1つが、いつ最初に閾値レベルに到達するかを決定するために反復的に行われる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記動作は、
前記ステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、前記ステータス値および1つ以上の代替需要値を使用して前記エネルギー貯蔵システムの第2の進行中ステータスを計算するために第2の動的モデルを実行することと、
前記1つ以上の代替需要値に基づいて前記ステータス値が前記閾値に達したことに基づいて、前記航空機の代替能力の出力を提供することと、
を更に備える、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に航空分野に関し、より詳細には、充電式バッテリパックなどの電源の能力の判定および提示に関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
任意の特定の要素または動作の説明を容易に識別するために、参照番号における最上位桁は、その要素が最初に導入される図番号を指す。
図1図1は、いくつかの実施例によるVTOL航空機の平面図である。
図2図2は、いくつかの実施例による航空機エネルギー貯蔵システムの概略図である。
図3図3は、いくつかの実施例による図1の航空機の電気アーキテクチャを示す。
図4図4は、いくつかの実施例による航空輸送ネットワークに関連付けられたコンピューティング環境を示す。
図5図5は、いくつかの実施例による、異なるシナリオの下での図2のエネルギー貯蔵システムの能力のモデリングの概略図を示す。
図6図6は、いくつかの実施例による、非線形電源の能力を判定するためのフローチャートを示す。
図7図7は、いくつかの実施例によるユーザインタフェースディスプレイを示す。
図8図8は、いくつかの実施例による、図7のユーザインタフェースの能力出力ディスプレイをより詳細に示す。
図9図9は、いくつかの実施例による、本明細書で論じられる方法のうちの任意の1つまたは複数を機械に実行させるために命令のセットが実行され得るコンピュータシステムの形態の機械の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本発明の実施例の以下の説明は、本発明をこれらの実施例に限定することを意図するものではなく、当業者が本発明を作製および使用することを可能にすることを意図するものである。
【0004】
アブガスまたはジェット燃料を使用する従来の航空機では、残りの飛行時間は、燃料タンクの残容量および現在の燃料消費率に直接関係する。パイロットがスロットルを新たな出力または推力レベルに調整する場合、関連する新しい燃料消費率が存在し、これを使用して、残りの燃料容量を新たな燃料消費率で割ることによって、その出力または推力レベルでの残りの利用可能な飛行時間を測定することができる。非線形電源の場合、残りの飛行時間または航続距離は、現在の電力需要と電源の残りの容量との組合せのみに依存しない場合がある。
【0005】
例えば、バッテリパックにおける電力消費の増加は、バッテリの容量が使い果たされる前に、バッテリの温度または電圧を望ましくないレベルに到達させ得る。地上または水上の車両の場合、バッテリ管理システムは、このようにして温度限界または電圧限界に達することを回避するために電力消費を管理することができるが、この手法は、航空機の安全な動作を保証するために、または航空機が適切な着陸地点に到達することができることを確実にするために、特定の電力レベルを提供することが必要とされ得る航空状況では適用可能ではない場合がある。ハイブリッドや水素ベースの動力源を持つ航空機にも同様の配慮が必要である。
【0006】
いくつかの実施例では、1つ以上のプロセッサによって実行される方法であって、航空機内のエネルギー貯蔵システムの現在の状態を表すステータス値(利用可能なエネルギーレベルを含む)にアクセスすることと、エネルギー貯蔵システムに対する予想電力需要に関連する需要値にアクセスすることと、利用可能なエネルギーレベル以外のステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、ステータス値および需要値を使用してエネルギー貯蔵システムの進行中ステータスを計算するために動的モデルを実行することと、ステータス値が閾値に達したことに基づいて航空機の能力の出力を提供することと、含む方法が提供される。需要値は、前進飛行および垂直飛行を含む飛行の種類に部分的に基づき得る。また、需要値は、離陸、飛行経路、および着陸を含む飛行計画に関連し得る。
【0007】
動的モデルの実行は、エネルギー貯蔵システムに対する予想電力需要に基づいて、エネルギー貯蔵システムの予測状態を表す予測ステータス値のシーケンスを決定するために反復的に行われ得る。いくつかの実施例では、動的モデルの実行は、温度値または電圧レベルが、いつ閾値レベルに到達するかを決定するために反復的に行われる。
【0008】
いくつかの実施例では、ステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するか、および、1つ以上の代替需要値に基づいてステータス値が閾値に達したことに基づいて、航空機の代替能力の出力を予測するために、ステータス値および1つ以上の代替需要値を使用してエネルギー貯蔵システムの第2の進行中ステータスを計算するために第2の動的モデルを実行され得る。代替需要値は、航空機のホバリングまたはおおよその最大航続距離を提供する電力レベルに基づき得る。
【0009】
代替需要値は、航空機の能力の損失に基づき得る。エネルギー貯蔵システムは複数のエネルギー貯蔵モジュールを備え得、航空機の能力の損失は、エネルギー貯蔵モジュールのうちの1つからの電力の損失であり得る。また、航空機は複数の推力発生モジュールを備え得、航空機の能力の損失は、推力発生モジュールのうちの1つからの推力の損失であり得る。
【0010】
いくつかの実施例では、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、上述の方法および制限のいずれかに対応する動作をシステムに実行させる命令を記憶するメモリとを含むコンピュータシステムが提供され、動作は、利用可能なエネルギーレベルを含む航空機内のエネルギー貯蔵システムの現在の状態を表すステータス値にアクセスすることと、エネルギー貯蔵システムに対する予想電力需要に関連する需要値にアクセスすることと、利用可能なエネルギーレベル以外のステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、ステータス値および需要値を使用してエネルギー貯蔵システムの進行中ステータスを計算するために動的モデルを実行することと、ステータス値が閾値に達したことに基づいて航空機の能力の出力を提供することとを含むが、これらに限定されない。
【0011】
いくつかの実施例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供され、コンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のディスプレイデバイス、1つ以上のカメラ、および概して垂直に配置されたタッチパッドを含む頭部装着型デバイスシステムによって実行されると、頭部装着型デバイスシステムに、利用可能なエネルギーレベルを含む、航空機内のエネルギー貯蔵システムの現在の状態を表すステータス値にアクセスすることと、エネルギー貯蔵システムに対する予想電力需要に関連する需要値にアクセスすることと、利用可能なエネルギーレベル以外のステータス値のうちの1つがいつ閾値に達するかを予測するために、ステータス値および需要値を使用してエネルギー貯蔵システムの進行中ステータスを計算するために動的モデルを実行することと、ステータス値が閾値に達したことに基づいて航空機の能力の出力を提供することとを含むがこれらに限定されない、上述の方法および限定のいずれかに対応する動作を実行させる命令を含む。
【0012】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲から当業者には容易に明らかになるであろう。
図1は、いくつかの実施例によるVTOL航空機100の平面図である。航空機100は、胴体114と、2つの翼112と、尾翼110と、ナセル118内に配置された傾斜可能なロータアセンブリ116として具体化された推進システム108とを含む。航空機100は、ナセルバッテリパック104及び翼バッテリパック106として図1に具体化された1つ以上の非線形電源を含む。図示の実施例では、ナセルバッテリパック104は、インボードナセル102内に配置されているが、ナセルバッテリパック104は航空機100の一部を形成する他のナセル118内に配置可能であることが理解されよう。航空機100は、通常、電子インフラストラクチャ、制御面、冷却システム、着陸装置などの関連機器を含む。
【0013】
翼112は、前進飛行中に航空機100を支持するための揚力を発生させるように機能する。翼112は、追加的または代替的に、様々な構造的応力(例えば、空気力、重力、推進力、外部点荷重、分散荷重、および/または物体力など)の影響下で、バッテリパック202、バッテリモジュール204、および/または推進システム108を構造的に支持するように機能することができる。
【0014】
図2は、いくつかの実施例による航空機エネルギー貯蔵システム200の概略図である。示されるように、エネルギー貯蔵システム200は、1つ以上のバッテリパック202を含む。各バッテリパック202は、1つ以上のバッテリモジュール204を含んでもよく、それは、いくつかのセル206を備えてもよい。
【0015】
典型的には、バッテリパック202に関連付けられるのは、1つ以上の推進システム108と、それをエネルギー貯蔵システム200に接続するためのバッテリメイト208と、通気システムの一部としてのバースト膜210と、冷却のための流体循環システム212と、(動作中のバッテリから充電中のバッテリへの)電力の送達を調節し、バッテリパック202とエネルギー貯蔵システム200の電子インフラストラクチャとの統合を提供するためのパワーエレクトロニクス214とである。以下でより詳細に説明するように、推進システム108は、複数のロータアセンブリを備え得る。
【0016】
電子インフラストラクチャおよびパワーエレクトロニクス214は、追加的または代替的に、バッテリパック202を航空機のエネルギー貯蔵システム200に統合するように機能することができる。電子インフラストラクチャは、バッテリ管理システム(BMS)、パワーエレクトロニクス(HVアーキテクチャ、パワーコンポーネント等)、LVアーキテクチャ(例えば、車両ワイヤハーネス、データ接続など)、および/または任意の他の適切なコンポーネントを含むことができる。電子インフラストラクチャは、バッテリパックおよび/またはモジュール間で電力および/またはデータを伝送することができるモジュール間電気接続を含むことができる。モジュール間は、バルクヘッド接続、バスバー、ワイヤハーネス、および/または任意の他の好適なコンポーネントを含むことができる。
【0017】
バッテリパック202は、推進システム108に供給するための電気化学エネルギーを再充電可能な方法で蓄積するように機能する。バッテリパック202は、任意の適切な方法で航空機の周りに配置および/または分散され得る。バッテリパックは、翼内(例えば、翼の空洞の内側)、ナセルの内側、および/または航空機上の任意の他の適切な位置に配置することができる。特定の実施例では、システムは、左翼のインボード部分内の第1のバッテリパックと、右翼のインボード部分内の第2のバッテリパックとを含む。第2の特定の実施例では、システムは、左翼のインボードナセル内の第1のバッテリパックと、右翼のインボードナセル内の第2のバッテリパックとを含む。バッテリパック202は、複数のバッテリモジュール204を含み得る。
【0018】
エネルギー貯蔵システム200は、動作中または充電中にバッテリパック202によって生成された熱を除去するためにバッテリパック202内で作動流体を循環させるように機能する冷却システム(例えば、流体循環システム212)を任意選択で含むことができる。バッテリセル206、バッテリモジュール204、および/またはバッテリパック202は、任意の適切な方法で冷却システムによって直列および/または並列に流体接続され得る。
【0019】
図3は、いくつかの実施例による図1の航空機の電気アーキテクチャを示す。電気アーキテクチャ302は、エネルギー貯蔵システム200、複数の飛行デバイス304、複数の飛行コンピュータ306、および分配ネットワーク308を含む。ネットワーク308は、いくつかのスイッチ310と、ネットワーク308内における電気アーキテクチャ302の他のコンポーネントとの適切な有線または無線データ伝送リンクとを含む。
【0020】
電気アーキテクチャ302は、飛行デバイス304と、飛行コンピュータ306と、エネルギー貯蔵システム200との間に冗長かつフォールトトレラントな電力およびデータ接続を提供するように機能する。飛行デバイス304は、航空機飛行に関連するとともに、例えば、補助翼、フラップ、ラダーフィン、着陸装置、センサ(例えば、IMU等の運動学センサ、カメラ等の光学センサ、マイクロフォンおよびレーダ等の音響センサ、温度センサ、高度計、圧力センサ、および/または任意の他の好適なセンサ)、客室システム等のアクチュエータおよび操縦翼面を含む任意の構成要素を含むことができる。
【0021】
飛行コンピュータ306は、飛行データを解釈し、制御可能な飛行コンポーネントに送信され、それによって解釈され得るコマンドに変換することを含む、航空機100の全体的な機能を制御する。データは、コマンド、航空機状態情報、及び/又は任意の他の適切なデータであり得る。航空機状態情報は、故障(故障インジケータ、故障ステータス、故障ステータス情報等)、速度、高度、圧力、GPS情報、加速度、ユーザ制御入力(例えば、パイロットまたはオペレータから)、測定されたモータRPM、レーダ、画像、または他のセンサデータ等の飛行コンポーネントによって収集されたセンサ信号または情報、コンポーネントステータス(例えば、モータコントローラ出力、センサステータス、オン/オフ等)、エネルギー貯蔵システム200状態情報(バッテリパック202電圧、充電レベル、温度等)、および/または任意の他の適切な情報を含み得る。コマンドは、故障(故障インジケータ、故障ステータス、故障ステータス情報等)、制御コマンド(例えば、ロータRPM(またはトルク、電力、推力、揚力等の他の関連パラメータ)を命令すること、記憶されるデータ、無線伝送を命令すること、ディスプレイ出力を命令すること等)、および/または任意の他の適切な情報を含んでもよい。
【0022】
飛行コンピュータ306には、パイロットまたは他のオペレータから入力を受け取り、パイロットまたは他のオペレータに出力を提供するために使用されるI/Oコンポーネント942(図9参照)が含まれる。I/Oコンポーネント942は、例えば、ジョイスティック、インセプタ、または他の飛行制御入力デバイス、キーボードおよびタッチ入力デバイスなどのデータ入力デバイス、ならびに飛行および他の情報をパイロットまたは他のオペレータに提供するための1つ以上の表示画面を含み得る。
【0023】
また、飛行コンピュータ306のうちの1つ以上は、I/Oコンポーネント942から受信されたデータ、パイロットによって入力されたデータ、以下に説明されるデータリポジトリ410等の1つ以上の遠隔サーバから読み出されたデータ、ならびに航空機およびバッテリ状態情報に基づいて、エネルギー貯蔵システム200の能力を判定するために、以下に説明される方法を行う。
【0024】
図4は、いくつかの実施例による航空輸送ネットワークに関連付けられたコンピューティング環境400を示す。図4に示す実施例では、コンピューティング環境400は、輸送ネットワーク計画システム402と、輸送サービス調整システム404と、航空機406の組と、ノード管理システム408と、クライアントデバイス412の組とを含み、これらはすべてネットワーク308を介して接続されている。他の実施例では、コンピューティング環境400は、異なる要素および/または追加の要素を含む。また、機能は、説明されるものとは異なる方法で要素間に分散されてもよい。例えば、ノード管理システム408は省略されてもよく、ノードに関する情報が輸送ネットワーク計画システム402において記憶され、更新されてもよい。
【0025】
輸送ネットワーク計画システム402は、輸送ネットワークの計画および設計を支援する。いくつかの実施例では、輸送ネットワーク計画システム402は、輸送サービスの需要を推定し、その需要を満たす助けとなる輸送ノードの位置を提案し、ノード間の乗客及び航空機406の流れをシミュレートしてネットワーク計画を支援する。
【0026】
輸送サービス調整システム404は、輸送ノードの組が運用可能になると、輸送サービスを調整する。輸送サービス調整システム404は、輸送サービスを要求するユーザ(乗客)を特定の航空機406とペアリングする。輸送サービス調整システム404は、旅行サービスを調整するために地上輸送と相互作用してもよい。例えば、輸送サービス調整システム404は、ライドシェアサービス等の既存の輸送サービスコーディネータの拡張であってもよい。
【0027】
航空機406は、輸送ネットワーク内のノード間を飛行する車両である。航空機406は、人間のパイロット(車両内または地上)によって制御されてもよく、または自律型であってもよい。いくつかの実施例では、航空機406は航空機100である。便宜上、コンピューティング環境400の様々なコンポーネントは、この実施例を参照して説明される。しかしながら、ヘリコプター、垂直以外の角度で離陸する飛行機等の他のタイプの航空機が使用されてもよい。
【0028】
航空機406は、ステータス情報を(例えば、ネットワーク414を介して)コンピューティング環境400の他の要素に通信する電気アーキテクチャ302を含み得る。ステータス情報は、現在位置、現在のバッテリ充電、コンポーネントの故障の可能性などを含み得る。また、航空機406の電気アーキテクチャ302は、ルーティング情報、気象情報、及び航空機が配置される予定である又は現在配置されているノードにおけるエネルギー利用可能性(例えば、ノードにおいて送電網から引き出すことができるキロワット数)などの情報を受信し得る。
【0029】
ノード管理システム408は、輸送ネットワーク内のノードにおいて機能を提供する。ノードは、航空機が着陸および離陸することが意図される場所である。輸送ネットワーク内には、異なるタイプのノードがあってもよい。例えば、大量の乗客スループットを有する中央位置のノードは、16機(又はそれ以上)の航空機406が同時に(又はほぼ同時に)離陸または着陸するのに十分なインフラストラクチャを含むことができる。同様に、そのようなノードは、バッテリ駆動式航空機406を再充電するための複数の充電ステーションを含み得る。一方、人口の少ない郊外に位置するノードは、単一の航空機406のためのインフラストラクチャを含み、充電ステーションを有さない場合があり得る。ノード管理システム408は、ノードに配置されてもよく、遠隔に配置されてもよく、ネットワーク414を介して接続されてもよい。後者の場合、単一のノード管理システム408が複数のノードにサービスを提供し得る。
【0030】
いくつかの実施例では、ノード管理システム408は、ノードにおける機器のステータスを監視し、輸送ネットワーク計画システム402に報告する。例えば、充電ステーションに故障がある場合、ノード管理システム408は、それが航空機406の充電に利用不可能であることを自動的に報告し、保守または交換を要求し得る。また、ノード管理システム408は、ノードにおける機器を制御し得る。例えば、いくつかの実施例では、ノードは、離陸/着陸位置から乗車/降車位置に移動し得る1つ以上の発射台を含む。ノード管理システム408は、(例えば、輸送サービス調整システム404および/または航空機406から受信した命令に応答して)発射台の移動を制御し得る。
【0031】
クライアントデバイス412は、ユーザが輸送ネットワーク内で輸送サービスを手配することができるコンピューティングデバイスである。いくつかの実施例では、クライアントデバイス412は、輸送サービスを手配するためのアプリケーションを実行するモバイルデバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなど)である。ユーザは、アプリケーション内に乗車位置および目的地を提供し、クライアントデバイス412は、輸送サービスの要求を輸送サービス調整システム404に送信する。代替的に、ユーザは目的地を提供してもよく、乗車位置は、ユーザの現在位置(例えば、クライアントデバイス412のGPSデータから決定される)に基づいて決定される。
【0032】
それらがどのように生成されるかにかかわらず、輸送サービス調整システム404は、輸送要求をサービスする方法を決定する。いくつかの実施例では、輸送要求は、地上輸送と航空輸送との組合せによってサービスされ得る。輸送サービス調整システム404は、要求がどのようにサービスされるかについての情報(例えば、ユーザがどの車両に乗り込むべきか、必要であればどこを歩くべきかの指示など)をユーザのクライアントデバイスに送信する。
【0033】
データリポジトリ410は、航空輸送ネットワークのプロバイダによってホストされてもされなくてもよい1つ以上のサーバを含む。データリポジトリ410は、ノードにおける気象情報(気圧、露点、気温、風向)、ノードに関する地理的情報(高度、経度/緯度など)など、コンピューティング環境400の他のコンポーネントによって使用することができる情報を提供し、これらの情報は、輸送ネットワーク計画システム402または航空機406によってトリップ計画のために使用することができ、以下でより詳細に説明するようにエネルギー貯蔵システム200の能力を判定する際に使用することができる。いくつかの実施例では、データリポジトリ410は、気象サービスプロバイダ、マッピングまたは他の地理的情報のプロバイダなどであり得る。データリポジトリ410はまた、輸送サービス調整システム404およびノード管理システム408などのコンピューティング環境400の他の構成要素の一部としてホストされてもよく、またはそれらの間で分散されてもよい。
【0034】
ネットワーク414は、ネットワーク化されたコンピューティング環境400の他の要素が通信するための通信チャネルを提供する。ネットワーク414は、有線および/または無線通信システムの両方を使用する、ローカルエリアネットワークおよび/またはワイドエリアネットワークの任意の組合せを含み得る。
【0035】
図5は、いくつかの実施例による、異なるシナリオの下でのエネルギー貯蔵システム200の能力のモデリングの概略図を示す。モデリングは、飛行デバイス304および関連するセンサから受信されるデータおよび入力ならびに飛行ミッションパラメータおよび環境状況を併せて、かつ基づいて、飛行コンピュータ306のうちの1つ以上によって実行される。理解されるように、飛行コンピュータ306は、初期または現在のバッテリ状態502、ならびに、現在の入力パラメータ506および変更された入力パラメータ512などの関連する入力パラメータを含む入力を受信するいくつかのバッテリモデル504を含む。現在のバッテリ状態502および入力パラメータに基づいて、バッテリモデル504は、バッテリ能力を判定し、次いで、それは、出力、例えば、能力出力508または能力出力510として提供される。
【0036】
バッテリモデル504は、現在のバッテリ状態502(例えば、現在のバッテリ温度、現在のバッテリ残量、現在のバッテリ電圧を含む)およびバッテリに対する電力需要に基づいて、将来の時間における予測バッテリ状態を判定することができる多次元動的モデルである。バッテリに対する電力需要は、現在の(実際の)電力需要値、または、予想される飛行計画もしくは1つ以上の代替シナリオに基づく予測のもしくは仮定の電力需要値のいずれかである。
【0037】
システムの動的モデルの一例は、実行されたときにシステムの状態またはステータスの経時的な変化を計算するコンピュータコードを含む。エネルギー貯蔵システムの動的モデルは、バッテリ貯蔵システムの初期状態およびエネルギー貯蔵システムへの特定の入力パラメータに基づいて、エネルギー貯蔵システムの挙動または経時的なバッテリ状態のモデルを表す1組の動的方程式を定義するコンピュータコードに対応し得る。
【0038】
例えば、航空機100が、時間t(n)において高度の変化を伴わずに定常対気速度で飛行しており、X(n)℃の温度においてW(n)kWの電力を消費しており、Y(n)%(またはkWh)の残存バッテリ容量、およびZ(n)ボルトのバッテリ電圧を伴う場合、バッテリモデル504は、時間t(n+1)において、バッテリが、X(n+1)℃の温度、Y(n+1)%(またはkWh)の残存バッテリ容量、およびZ(n+1)ボルトのバッテリ電圧を含む予測ステータスを有することを決定することができる。次いで、時刻t(n+1)における予測されたバッテリステータスおよび任意の更新された電力需要値をバッテリモデル504に提供して、時刻t(n+2)における更新されたバッテリステータスを決定することができる。
【0039】
任意の特定のミッションプロファイルについて、予測または予想消費電力は、航空機100のパラメータ(重量など)、出発地および目的地におけるパラメータ(高度、外気温など)、飛行中パラメータ(現在または意図された巡航高度、巡航速度および風向など)、ならびに意図された離陸および着陸のタイプ(垂直、ショートまたは従来型など)、滑走時間などの動作パラメータから決定することができる。
【0040】
予想消費電力、現在のバッテリ状態502、及び現在の入力パラメータ506に基づいて、バッテリモデル504は、意図されたミッションプロファイル全体にわたる予想消費電力をステップスルーして、意図されたミッションプロファイル全体にわたるバッテリ状態を決定し、能力出力508、例えば、意図されたミッションプロファイルに従う場合の航空機100の航続距離または得られる飛行時間を提供することができる。したがって、バッテリモデルは、エネルギー貯蔵システム200が現在の条件または提案された条件下でどれだけ長く使用され得るかの推定値を決定するために、バッテリ使用量の反復順伝播シミュレーションを使用する。
【0041】
能力出力は、航空機100が下降して目的地で意図した着陸を行うことができるように、示された航続距離の終わりに十分な残りのバッテリ能力を提供する。すなわち、いくつかの航続距離決定について、バッテリモデル504は、中間セグメントに対する推定最大航続距離が決定されるまで、ミッションプロファイルの最終セグメントを通して予想消費電力を繰り返す。
【0042】
図5の楕円によって示されるように、いくつかのバッテリモデル504が、変更された入力パラメータ512の異なるグループによって表されるいくつかの異なるシナリオに基づいて、異なる能力出力510を提供するために利用され得る。
【0043】
場合によっては、推進システム108のうちの1つからの推力の損失、またはエネルギー貯蔵システム200内のバッテリパック202もしくは1つ以上のバッテリモジュール204からの電力の損失などの緊急シナリオがモデル化され得る。例えば、エネルギー貯蔵システム200が4つのバッテリパック202を含み、バッテリパック202のうちの1つがもはやエネルギーを供給することができず、飛行モードまたは対気速度の変化がないと仮定する場合、他のバッテリパック202に対する需要は、容量の損失を補償するために約33%増加し得る。同様に、推進システム108のうちの1つからの推力の損失は、飛行モードまたは対気速度の変化がないと仮定すると、残りの推進システム108からの推力の増加を要求するであろう。残りの推進システム108による需要の増加は、バッテリパック202が異なる推進システム108にどのように接続されているかに起因して、バッテリパック202のうちの1つ以上に対する追加の電力需要を生み出し得る。緊急事態に起因するバッテリパック202のうちの1つ以上に対する電力供給需要の増加は、エネルギー貯蔵システム200が臨界温度または電圧閾値に達するのにかかる時間に影響を及ぼす。
【0044】
航空機100は動的システムであり、緊急シナリオにおける実際の電力消費は、飛行モード、および、パイロットによってとられるアクションまたは航空機100自体の飛行コンピュータ306によって命令されるアクションを含む、いくつかの要因に依存する。例えば、航空機100が前進飛行中である場合、バッテリパック202からの電力損失は、より遅い命令対気速度をもたらし得、したがって、モデル化された緊急シナリオ電力消費からの他の動作可能なバッテリパック202に対する需要の低減をもたらし得、これは、次に、モデル化された能力出力510と比較して増加した実際の能力をもたらすであろう。
【0045】
場合によっては、緊急事態に応じた自動調節が、モデル化された能力出力510の決定に含まれてもよい。しかしながら、緊急シナリオにおける航空機100の能力の控えめな指示を提供するために、モデル化された能力出力510は、仮定的な緊急状況における最大予想または可能消費電力に基づいてもよい。実際の緊急事態の場合には、現在の状況および緊急事態に対処するために取られる任意のステップが、現在の入力パラメータ506の一部として飛行コンピュータ306に提供され、これは、現在のバッテリ状態502とともに、バッテリモデル504が以前のようにリアルタイム能力出力508を提供することを可能にする。
【0046】
緊急状況下で、および目的地への計画された着陸が行われない可能性があるという仮定の下で、エネルギー貯蔵システム200の能力の明確な表示を提供するために、能力出力510は、いくつかの実施例では、特定の飛行構成に基づく航続距離または飛行時間の表現、たとえば、現在の条件下で緊急状況が発生した場合にどのくらいのホバー時間が利用可能であるか、であってもよい。
【0047】
モデル化される他のシナリオは、公称航続距離または航続時間、および最上持久(best endurance(BE))航続距離または航続時間を含む。公称航続距離または航続時間は、公称で動作するすべての航空機システムの消費電力に基づき、水平飛行の合計航続距離および利用可能なホバリング時間として表すことができる。最上持久航続距離または航続時間は、理論的に最上の持久性をもたらす航空機の既知の公表された対気速度に基づく。
【0048】
図6は、いくつかの実施例による、非線形電源の能力を判定するためのフローチャート600を示す。説明のために、フローチャート600の動作は、本明細書では、連続して、またはリニアに行われるものとして説明される。しかしながら、フローチャート600の複数の動作が並行して行われてもよい。加えて、フローチャート600の動作は示される順序で実行される必要はなく、および/または、フローチャート600の1つ以上のブロックは実行される必要はなく、および/または、他の動作によって置換され得る。また、フローチャート600の動作は、典型的には、飛行コンピュータ306のうちの1つ以上において実行されるが、動作の一部または全部は、ノード管理システム408または輸送サービス調整システム404などにおいて、ローカルに存在し得るか、またはネットワーク414を介してアクセスされ得る他のコンピュータプロセッサにおいて実行され得る。
【0049】
フローチャート600は、入力パラメータおよび現在のバッテリ状態502への飛行コンピュータ306によるアクセスまたは受信を伴う動作602で始まる。上述したように、入力パラメータは、航空機100のパラメータ(重量など)、出発地および目的地におけるパラメータ(高度、外気温など)、飛行中パラメータ(現在の又は意図された巡航高度、巡航速度、風向、外気温度、飛行モードなど)、および意図された離陸及び着陸のタイプ(垂直、ショート又は従来型など)、滑走時間などの動作パラメータを含む(がこれらに限定されない)。
【0050】
バッテリ状態(例えば、現在のバッテリ温度、現在のバッテリ残量、現在のバッテリ電圧を含む)は、エネルギー貯蔵システム200から取得される。また、入力パラメータとして使用するために提供または導出されるのは、バッテリの電力需要であり、これは、航空機100の動作中の現在の(実際の)電力需要値、または予想される飛行計画もしくは1つ以上の代替シナリオに基づく予測もしくは仮定された電力需要値のいずれかである。
【0051】
動作602において、飛行コンピュータは、バッテリモデル504を使用して、入力パラメータおよびバッテリ状態に基づいて、更新されたバッテリ状態を決定する。更新されたバッテリ状態は、バッテリ状態の変化が本質的に線形で予測可能であるのに十分に短い将来のある時間増分において、パラメータに基づいてバッテリ使用の順方向伝搬シミュレーションとして決定される。
【0052】
次に、飛行コンピュータ306は、動作606において、更新されたバッテリ状態のバッテリパラメータ(バッテリ温度、バッテリ電圧、バッテリ容量)のいずれか1つが閾値に達したかどうかを判定する。動作606において、更新されたバッテリ状態における関連するバッテリパラメータのいずれも閾値に達していない場合、動作608において、本方法の次の反復のためのバッテリ状態が、更新されたバッテリ状態に設定される。
【0053】
エネルギー貯蔵システム200の能力は、動作610において更新される。例えば、バッテリ状態の順方向シミュレーションで使用される時間増分が5秒である場合、ホバリング能力の決定のために、初期バッテリ状態からのホバー時間の累計に5秒が加算される。同様に、航続距離の決定のために、5秒に実際のまたは意図された対地速度を乗じたものに等しい距離が、初期バッテリ状態からの航続距離の累計に加算される。
【0054】
次いで、飛行コンピュータ306は、動作614において、入力パラメータが変化したかどうか(または飛行中のこの時点で変化するかどうか)を判定する。例えば、特定の瞬間における特定の飛行計画では、航空機100は、着陸するために水平飛行から垂直飛行に移行し得る。このような場合、飛行モードは、順方向シミュレーションのこの時点で水平飛行モードから垂直飛行モードに変化する。場合によっては、どの能力が判定されているかに応じて、入力パラメータの変化は、方法の再スタートを必要とする場合がある。したがって、例えば、現在の電力レベルについて総航続距離または飛行時間が決定されており、電力レベルがパイロットによって増加される場合、航続距離または飛行時間の任意の処理中の値はもはや有効ではなく、フローチャート600は、新しい電力レベルでバッテリ能力を判定するために動作602で再開する。
【0055】
動作612において入力パラメータが変化していない場合、フローチャート600は動作604に戻り、そこから継続する。動作612において入力パラメータが変化した場合、動作604において使用するための入力パラメータが動作614において更新され、フローチャート600は動作604で継続する。動作604から動作612/動作614までのフローチャート600のループ内の動作は、動作606においてバッテリ閾値に達するまで、飛行コンピュータ306によって実行され続ける。そのとき、フローチャート600において決定された累積能力(航続距離や飛行時間など)は、以下で説明するように、動作616において、表示画面上などのI/Oコンポーネント942のうちの1つ以上を介して報告される。
【0056】
動作中の航空機100は動的システムであり、バッテリの実際の状態を含む条件は絶えず変化している可能性が高いので、フローチャート600の動作は、時間が経過し飛行が進むにつれて、新しい現在のバッテリ状態および任意の新しい入力条件を用いて繰り返し行う、または、再開する。
【0057】
上述したように、複数のバッテリモデル504は、現在の飛行計画の航続距離および飛行時間、現在の電力レベルでの航続距離、最上持久航続距離、利用可能なホバー時間、推力の限界損失(「CLT」)、ホバー時間などを含む異なるシナリオについて、飛行コンピュータ306のうちの1つ以上によって同時に実行される。
【0058】
図7は、いくつかの実施例によるユーザインタフェースディスプレイを示す。ユーザインタフェース700は、飛行の準備および航空機100の飛行中に使用するためにパイロットに提供される。ユーザインタフェース700では、パイロットが見るもの全てが航空機100の能力であるように、バッテリの健全性及び状態は抽象化されている。バッテリモデル504では、バッテリの健全性、経年数、および他の要因が考慮される。同じ任務に対して、古いバッテリパックは、新しいバッテリよりも短い航続距離および残り時間を示すであろう。ユーザインタフェース700は、パイロットが、エネルギー貯蔵システム200の性質、経年数、ロー容量(raw capacity)、または状態を懸念することなく決定を行うことを可能にする。
【0059】
ユーザインタフェース700の左下には、パイロットによって入力されるか、または、例えば航空機100に配置されたGPS受信機から得られるGPS座標によって決定される航空機100の位置に基づいて、データリポジトリ410からネットワーク414を介して飛行計画パラメータを自動的に取得する(そしてパイロットによって検証される)ディスプレイが表示される。飛行計画パラメータは、一般に静的であるか、または飛行計画の目的のために静的であると考えることができるが、飛行が進むにつれてパイロットによって、またはネットワーク414を介して自動的に更新することができる。出発地パラメータディスプレイ702、飛行中パラメータディスプレイ704、および目的地パラメータディスプレイ706が示されている。
【0060】
図示されたユーザインタフェース700では、出発地パラメータディスプレイ702、飛行中パラメータディスプレイ704、および目的地パラメータディスプレイ706は、出発地および目的地の場所を識別せず、目的地および出発地におけるパラメータの入力または値、ならびに離陸および着陸のタイプならびに意図される巡航高度および巡航速度等のパイロットが行うことを意図するもののみを有する。これは、必要なパラメータのみの入力を提供する。いくつかの代替の実施例では、出発地および目的地の位置情報も提供され得る。
【0061】
示された実施例では、出発地パラメータディスプレイ702は、航空機重量、意図された滑走時間、外気温度(OAT)、露点温度、平均海面(MSL)上の密度高度、および離陸が垂直(VTO)、ショート(STO)または従来型(CTO)のいずれであるかを含む。
【0062】
飛行中パラメータディスプレイ704は、風速および風向、意図された巡航高度、意図された巡航速度、国際標準大気(ISA)温度オフセット、ならびに3つの予備飛行時間設定、(i)なし、(ii)昼間飛行用のもの、および(iii)夜間飛行用のものを含む。
【0063】
目的地パラメータディスプレイ706は、平均海面上の目的地高度、バロメータ設定、外気温、露点温度、平均海面上の密度高度、および着陸が垂直(VL)、ショート(SL)または従来型(CL)のいずれであるかを含む。
【0064】
これらのパラメータに基づいて、バッテリモデル504は、上述のように飛行計画の航続距離および残りの飛行時間を決定し、これは、図8を参照して以下でより詳細に説明する能力出力ディスプレイ708に表示される。出発地において、能力出力ディスプレイ708に表示される航続距離が、飛行計画に従った出発地と目的地との間の距離よりも大きい場合、パイロットは飛行を進めることができる。いくつかの実施例では、これはパイロットのみによって検証されるが、他の実施例では、これは電気アーキテクチャ302またはコンピューティング環境400内のシステムのうちの1つによって検証される。そのような場合、航空機100は、達成可能な飛行計画が提供されるまで使用不能にされ得る。
【0065】
いくつかの実施例では、航続距離および残りの飛行時間の飛行前決定のためにバッテリモデル504によって使用されるパラメータに飛行時間予備能力が含まれる。予備能力は、規定によって要求されてもよく、例えば、昼間飛行に対して30分の予備飛行時間、夜間飛行に対して45分の予備飛行時間など、時刻によって変化してもよい。そのような場合、バッテリモデル504は、現地時刻および日付を取得し、出発時刻または推定到着時刻が夜間であるとみなされる時間帯に含まれるかどうかを判定し得る。そのような場合、より保守的な夜間値が、飛行計画のための航続距離および残りの飛行時間のバッテリモデル504による決定において使用される。
【0066】
実施態様に応じて、航続距離および残りの飛行時間の表示は、離陸前の予備能力を含んでも含まなくてもよい。予備能力が飛行前ディスプレイに含まれない場合、パイロットが飛行計画を評価することは、より容易かつより便利であり得る。しかしながら、飛行が開始されると、航続距離および残りの飛行時間ディスプレイには予備能力が含まれるため、航空機100の実際の能力が示される。
【0067】
飛行中パラメータディスプレイ704、目的地パラメータディスプレイ706、および能力出力ディスプレイ708内のパラメータによって定義される飛行計画についての推定消費電力対時間のプロット712が、電力プロファイルグラフ710に示されている。飛行中の実際の消費電力対時間のプロットも、推定消費電力のプロット712と区別するために、異なる色などで電力プロファイルグラフ710に示すことができる。パイロットは、実際の電力消費量対推定電力消費量の表示を使用して、飛行がほぼ計画通りに進行していることを確認することができる。
【0068】
また、ユーザインタフェース700には、ステータスディスプレイ714が含まれており、これは、様々なサブディスプレイを含むことができ、航空機モード(準備完了、充電中、スタンバイなど)、インセプタ位置およびトリム(Trim)ディスプレイ、ならびに乗務員警告システム(CAS)ディスプレイを含むことができる。
【0069】
図8は、いくつかの実施例による、図7のユーザインタフェース700の能力出力ディスプレイ708をより詳細に示す。能力出力ディスプレイ708の要素は、明確にするために図8では別々に広げられている。
【0070】
図の左側には、現在の電力能力ディスプレイ802がある。現在の電力能力ディスプレイ802は、現在の電力の値818を示す列と、現在の飛行モード(垂直飛行または前進飛行)における対応する残りの分(minutes)814の値820を示す列とを含む。残りの分(minutes)814のディスプレイに示される値820の各々は、現在の電力812のディスプレイにおける隣接する値に対応する。したがって、現在の電力能力ディスプレイ802は、実際の電力レベルに関係なく、いずれの電力レベルに対しても航空機100が何を可能にするかを一目で示す。例えば、消費電力が500kWである場合、飛行可能時間は10分未満であるが、約650kWでは飛行可能時間は2分程度であることが容易に分かる。
【0071】
残りの分(minuites)814のディスプレイにおける値820は、対数スケールまたは他の非線形スケール上に配置されてもよく、またはより多くの値が、より短い残り時間に対して提供されてもよく、その結果、より重要なより短い飛行時間がより顕著に見える。図示のように、10分未満の3つの時間値(5、2、および1)が示されているが、10分を超える2つの値(30および60)のみが示されている。また、現在の消費電力および対応する飛行時間の残りの分に対する数値816も示されている。
【0072】
現在の(実際の)電力量は、現在の消費電力ポインタ822によって現在の電力能力ディスプレイ802上に示される。このポインタは、飛行中に電力が変化するにつれて、現在の電力能力ディスプレイ802で上下に移動する。現在の消費電力ポインタ822は、現在の消費電力と、対応する残りの飛行可能時間の分(minutes)との両方を示し、上に示された数値816に対応する。現在の電力能力ディスプレイ802には、BE消費電力ポインタ824も示されており、これは、最上持久電力レベルおよび対応する残りの分(minutes)をマークし、BE残りの分(minutes)の数に対応する数値を含む。
【0073】
能力出力ディスプレイ708は、海里単位の航続距離および対応する飛行時間の分(minutes)の数を提供する現在の航続距離出力804も含む。現在の航続距離出力804内の値は、(残りの)飛行プロファイルに基づくが、現在の消費電力ポインタ822によって示される残りの分(minutes)は、現在の消費電力に基づく。
【0074】
また、現在のバッテリレベルを示す「燃料タンク」であるバッテリレベル出力806も含まれる。前述したように、利用可能容量は、バッテリの温度および電圧レベルなどのいくつかの要因(バッテリレベルを含む)に依存するので、バッテリの利用可能エネルギーは、通常、利用可能容量に対応しない。周囲状況ディスプレイ810は、密度高度、外気温度、およびISA温度調整を含む現在の状況を提供する。
【0075】
ホバー能力ディスプレイ808は、公称ホバー時間826およびCLTホバー時間828の表示を提供する。公称ホバー時間は、航空機100のすべてのシステムが公称的に動作することに基づくが、推力の臨界損失(CLT:critical loss of thrust)ホバー時間は、航空機性能を低下させるバッテリ故障または最悪のモータ故障に基づく。航空機100は、飛行プロファイルの変動性を考慮して、推力の重大な損失の場合に安全な垂直着陸を確実にするために、所定の最小量の利用可能なホバー時間(10、20、30、60、120、または任意の適切なもしくは必要な秒数など)がない限り、垂直に動作することができない。利用可能なCLTホバー時間828が利用可能なホバー時間の所定の最小量未満である場合、パイロットは、垂直飛行モードに入ることを許可されず、従来通りに航空機100を着陸させることが要求される。
【0076】
現在の周囲状況における公称状況およびCLT状況に対する利用可能なホバー時間の数値830が、ホバー能力ディスプレイ808に示されている。また、ホバー時間の列840も示されている。2つの公称ホバー時間および2つのCLTホバー時間が列840に示されている。グレーアウトされた2つのポインタは、航空機100が着陸のために垂直飛行モードに入る可能性が高い目的地における状況で利用可能なホバー時間を示す。公称ホバー時間のための目的地状況ポインタ832およびCLTホバー時間のための目的地状況ポインタ834が示されている。現在状況ポインタ836は、現在の状況に対する公称ホバー時間を示し、現在状況ポインタ838は、現在の状況に対するCLTホバー時間を示す。
【0077】
3分未満の利用可能なホバー時間に対して十分な分解を保証するために、列840の値は3分を上限としている。3分より大きい任意のホバー値は、対応するポインタによって3分として示される。図8に示される実施例に見られるように、公称ホバーのための目的地状況ポインタ832は、したがって、3分を示し、一方、数値830内の公称値によって示される実際の量は、4:12である。
【0078】
図9は、いくつかの実施例による、本明細書で論じられる方法のうちの任意の1つまたは複数を機械に実行させるために命令のセットが実行され得るコンピュータシステムの形態の機械900の概略図を示す。具体的には、図9は、コンピュータシステムの例示的な形態における機械900の概略図を示し、その中で、本明細書で論じられる方法のうちの任意の1つまたは複数を機械900に実行させるための命令908(例えば、ソフトウェア、プログラム、アプリケーション、アプレット、アプリ、または他の実行可能コード)が実行され得る。命令908は、一般的なプログラムされていない機械900を、説明され、図示された機能を説明された方法で実行するようにプログラムされた特定の機械900に変換する。代替例では、機械900は、スタンドアロンデバイスとして動作するか、または他の機械に結合(例えば、ネットワーク化)され得る。ネットワーク化された配置では、機械900は、サーバ-クライアントネットワーク環境におけるサーバマシンもしくはクライアントマシンの立場で、またはピアツーピア(もしくは分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作し得る。機械900は、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブック、セットトップボックス(STB)、PDA、エンターテイメントメディアシステム、携帯電話、スマートフォン、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)、スマートホームデバイス(例えば、スマートアプライアンス)、他のスマートデバイス、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ネットワークブリッジ、又は機械900によって行われる動作を指定する命令908を順次又は他の方法で実行することができる任意の機械を含んでもよいが、これらに限定されない。さらに、単一の機械900のみが図示されているが、「機械」という用語は、本明細書で説明される方法のうちの任意の1つまたは複数を実行するために命令908を個別にまたは共同で実行する複数の機械900の集合を含むとも解釈されるものとする。
【0079】
機械900は、プロセッサ902、メモリ904、及びI/Oコンポーネント942を含み得、これらは、バス944などを介して互いに通信するように構成され得る。一実施例では、プロセッサ902(例えば、中央処理装置(CPU)、縮小命令セットコンピューティング(RISC)プロセッサ、複合命令セットコンピューティング(CISC)プロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、無線周波数集積回路(RFIC)、別のプロセッサ、またはそれらの任意の適切な組合せ)は、例えば、命令908を実行し得るプロセッサ906およびプロセッサ910を含み得る。「プロセッサ」という用語は、命令を同時に実行することができる2つ以上の独立したプロセッサ(「コア」と呼ばれることもある)を備え得るマルチコアプロセッサを含むことを意図している。図9は複数のプロセッサ902を示しているが、機械900は、単一のコアを有する単一のプロセッサ、複数のコアを有する単一のプロセッサ(例えば、マルチコアプロセッサ)、単一のコアを有する複数のプロセッサ、複数のコアを有する複数のプロセッサ、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0080】
メモリ904は、メインメモリ912、スタティックメモリ914、およびストレージユニット916を含み得、両方とも、バス944などを介してプロセッサ902にアクセス可能である。メインメモリ904、スタティックメモリ914、およびストレージユニット916は、本明細書で説明される方法または機能のうちの任意の1つまたは複数を具現化する命令908を記憶する。また、命令908は、機械900によるその実行中に、メインメモリ912内、スタティックメモリ914内、ストレージユニット916内のマシン可読媒体918内、プロセッサ902のうちの少なくとも1つ内(例えば、プロセッサのキャッシュメモリ内)、またはそれらの任意の適切な組合せに、完全にまたは部分的に存在し得る。
【0081】
I/Oコンポーネント942は、入力を受信し、出力を提供し、出力を生成し、情報を送信し、情報を交換し、測定値を取り込む等のための多種多様なコンポーネントを含み得る。特定の機械に含まれる特定のI/Oコンポーネント942は、機械のタイプに依存する。例えば、携帯電話などの携帯機器は、タッチ入力装置または他のそのような入力機構を含む可能性が高いが、ヘッドレスサーバマシンは、そのようなタッチ入力装置を含まない可能性が高い。I/Oコンポーネント942が、図9に示されない多くの他のコンポーネントを含み得ることが理解されるであろう。I/Oコンポーネント942は、単に以下の説明を簡略化するために機能に従ってグループ化されており、このグループ化は決して限定的なものではない。様々な実施例において、I/Oコンポーネント942は、出力コンポーネント928及び入力コンポーネント930を含み得る。出力コンポーネント928は、視覚コンポーネント(例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プロジェクタ、または陰極線管(CRT)などのディスプレイ)、聴覚コンポーネント(例えば、スピーカ)、触覚コンポーネント(例えば、振動モータ、抵抗機構)、他の信号発生器などを含み得る。入力コンポーネント930は、英数字入力コンポーネント(例えば、キーボード、英数字入力を受け取るように構成されたタッチスクリーン、フォトオプティカルキーボード、または他の英数字入力コンポーネント)、ポイントベースの入力コンポーネント(例えば、マウス、タッチパッド、トラックボール、ジョイスティック、モーションセンサ、または別のポインティング機器)、触覚入力コンポーネント(例えば、物理ボタン、タッチまたはタッチジェスチャの位置および/または力を提供するタッチスクリーン、または他の触覚入力コンポーネント)、音声入力コンポーネント(例えば、マイクロフォン)などを含み得る。
【0082】
さらなる実施例では、I/Oコンポーネント942は、多種多様な他のコンポーネントの中でも、バイオメトリックコンポーネント932、モーションコンポーネント934、環境コンポーネント936、またはポジションコンポーネント938を含み得る。例えば、バイオメトリックコンポーネント932は、表情(例えば、手の表情、顔の表情、声の表情、身振り、または視線追跡)を検出し、生体信号(例えば、血圧、心拍数、体温、発汗、または脳波)を測定し、人を識別する(例えば、音声識別、網膜識別、顔識別、指紋識別、または脳波ベースの識別)などのコンポーネントを含み得る。モーションコンポーネント934は、加速度センサコンポーネント(例えば、加速度計)、重力センサコンポーネント、回転センサコンポーネント(例えば、ジャイロスコープ)などを含み得る。環境コンポーネント936は、例えば、照明センサコンポーネント(例えば、光度計)、温度センサコンポーネント(例えば、周囲温度を検出する1つ以上の温度計)、湿度センサコンポーネント、圧力センサコンポーネント(例えば、気圧計)、音響センサコンポーネント(例えば、背景ノイズを検出する1つ以上のマイクロフォン)、近接センサコンポーネント(例えば、近くの物体を検出する赤外線センサ)、ガスセンサ(例えば、安全のために有害ガスの濃度を検出するか、または大気中の汚染物質を測定するガス検出センサ)、または周囲の物理的環境に対応する表示、測定値、もしくは信号を提供し得る他のコンポーネントを含み得る。ポジションコンポーネント938は、位置センサコンポーネント(例えば、GPS受信機コンポーネント)、高度センサコンポーネント(例えば、高度が導出され得る空気圧を検出する高度計または気圧計)、方位センサコンポーネント(例えば、磁力計)などを含み得る。
【0083】
通信は、多種多様な技術を使用して実現され得る。I/Oコンポーネント942は、それぞれ結合924および結合926を介して機械900をネットワーク920またはデバイス922に結合するように動作可能な通信コンポーネント940を含み得る。例えば、通信コンポーネント940は、ネットワーク920とインタフェースで接続するためのネットワークインタフェースコンポーネントまたは別の適切なデバイスを含み得る。さらなる実施例において、通信コンポーネント940は、有線通信コンポーネント、無線通信コンポーネント、セルラー通信コンポーネント、近距離無線通信(NFC)コンポーネント、Bluetooth(登録商標)コンポーネント(例えば、Bluetooth(登録商標)Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)コンポーネント、および他のモダリティを介して通信を提供する他の通信コンポーネントを含み得る。デバイス922は、別の機械または多種多様な周辺デバイス(例えば、USBを介して接続された周辺デバイス)のいずれかであり得る。
【0084】
さらに、通信コンポーネント940は、識別子を検出してもよく、または識別子を検出するように動作可能なコンポーネントを含み得る。例えば、通信コンポーネント940は、無線周波数識別(RFID)タグリーダコンポーネント、NFCスマートタグ検出コンポーネント、光学リーダコンポーネント(例えば、ユニバーサルプロダクトコード(UPC)バーコードなどの一次元バーコード、Quick Response(QR)コード、Aztecコード、Data Matrix、Dataglyph、MaxiCode、PDF417、Ultra Code、UCC RSS-2Dバーコード、および他の光学コードなどの多次元バーコードを検出するための光学センサ)、または音響検出コンポーネント(例えば、タグ付けされたオーディオ信号を識別するためのマイクロフォン)を含み得る。加えて、インターネットプロトコル(IP)ジオロケーションを介したロケーション、Wi-Fi(登録商標)信号三角測量を介したロケーション、特定のロケーションを示し得るNFCビーコン信号の検出によるロケーションなど、様々な情報が通信コンポーネント940を介して導出され得る。
【0085】
実行可能命令およびマシン記憶媒体
様々なメモリ(すなわち、メモリ904、メインメモリ912、スタティックメモリ914、および/またはプロセッサ902のメモリ)および/または記憶ユニット916は、本明細書で説明される方法または機能のうちの任意の1つまたは複数を具現化するかまたはそれらによって利用される命令およびデータ構造(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットを記憶し得る。これらの命令(例えば、命令908)は、プロセッサ902によって実行されると、開示された実施例を実施するための様々な動作を引き起こす。
【0086】
本明細書で使用される場合、「マシン記憶媒体」、「デバイス記憶媒体」、「コンピュータ記憶媒体」という用語は、同じものを意味し、本開示では互換的に使用され得る。これらの用語は、実行可能な命令および/またはデータを記憶する単一又は複数の記憶装置および/または媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュ及びサーバ)を指す。したがって、これらの用語は、プロセッサの内部または外部のメモリを含む、ソリッドステートメモリ、ならびに光学式および磁気媒体を含むが、これらに限定されないと解釈されるものとする。マシン記憶媒体、コンピュータ記憶媒体、および/またはデバイス記憶媒体の特定の例は、例えば、EPROM(erasable programmable read-only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)、FPGA、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスを含む不揮発性メモリ、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む。「マシン記憶媒体」、「コンピュータ記憶媒体」、および「デバイス記憶媒体」という用語は、搬送波、変調データ信号、および他のこのような媒体を特に除外するが、これらの少なくとも一部は、以下で説明する「信号媒体」という用語の下でカバーされる。
【0087】
伝送媒体
様々な実施例では、ネットワーク920の1つまたは複数の部分は、アドホックネットワーク、イントラネット、エクストラネット、VPN、LAN、WLAN、WAN、WWAN、MAN、インターネット、インターネットの一部分、PSTNの一部分、POTS(plain old telephone service)ネットワーク、セルラー電話ネットワーク、ワイヤレスネットワーク、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク、別のタイプのネットワーク、または2つ以上のそのようなネットワークの組合せであり得る。例えば、ネットワーク920またはネットワーク920の一部は、ワイヤレスまたはセルラーネットワークを含み得、結合924は、CDMA(Code Division Multiple Access)接続、GSM(Global System for Mobile)接続、または別のタイプのセルラーもしくはワイヤレス接続であり得る。この例では、結合924は、1xRTT(Single Carrier Radio Transmission Technology)、EVDO(Evolution-Data Optimized)テクノロジー、GPRS(General Packet Radio Service)、EDGE(Enhanced Data rates for GSM Evolution)テクノロジー、3Gを含む3GPP(third Generation Partnership Project)、4G(fourth generation wireless)ネットワーク、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、HSPA(High Speed Packet Access)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)規格、様々な標準化団体によって定義された他のもの、他の長距離プロトコル、または他のデータ転送技術など、様々なタイプのデータ転送技術のいずれかを実装することができる。
【0088】
命令908は、ネットワークインタフェースデバイス(例えば、通信コンポーネント940に含まれるネットワークインタフェースコンポーネント)を介して伝送媒体を使用し、いくつかのよく知られている転送プロトコル(例えば、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP))のうちのいずれか1つを利用して、ネットワーク920上で送信または受信され得る。同様に、命令908は、デバイス922への結合926(たとえば、ピアツーピア結合)を介して送信媒体を使用して送信または受信され得る。「伝送媒体」および「信号媒体」という用語は、同じものを意味し、本開示において互換的に使用され得る。「伝送媒体」および「信号媒体」という用語は、機械900による実行のための命令908を記憶、符号化、または搬送することが可能であり、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルもしくはアナログ通信信号または他の無形媒体を含む、任意の無形媒体を含むと解釈されるものとする。したがって、「伝送媒体」および「信号媒体」という用語は、変調データ信号、搬送波などの任意の形態を含むように解釈されるものとする。「変調データ信号」という用語は、当該信号中の情報を符号化するように、その特性のうちの1つ以上が設定または変更された信号を意味する。
【0089】
コンピュータ可読媒体
「マシン可読媒体」、「コンピュータ可読媒体」、および「デバイス可読媒体」という用語は、同じものを意味し、本開示では互換的に使用され得る。これらの用語は、マシン記憶媒体および伝送媒体の両者を含むように定義される。したがって、これらの用語は、記憶装置/媒体および搬送波/変調データ信号の両者を含む。
【0090】
システムおよび/または方法の実施例は、様々なシステムコンポーネントおよび様々な方法プロセスのあらゆる組合せおよび順列を含むことができ、本明細書で説明される方法および/またはプロセスの1つまたは複数のインスタンスは、本明細書で説明されるシステム、要素、および/またはエンティティの1つまたは複数のインスタンスによって、および/またはそれらを使用して、非同期に(例えば、順次に)、同時に(例えば、並列に)、または任意の他の適切な順序で実行することができる。
【0091】
当業者であれば、前述の詳細な説明ならびに図面および特許請求の範囲から認識するように、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される本発明の実施例に対して修正および変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】