(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139318
(43)【公開日】2023-10-03
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/844 20230101AFI20230926BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20230926BHJP
H10K 59/173 20230101ALI20230926BHJP
【FI】
H10K50/844
H10K59/122
H10K59/173
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127840
(22)【出願日】2023-08-04
(62)【分割の表示】P 2021545508の分割
【原出願日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2019165939
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 真滋
(57)【要約】
【課題】樹脂層の端部の位置を構造体の位置によって調節することが一例として挙げられる。
【解決手段】第1側面(312)は、発光領域(142)側に位置している。第1側面(312)は、基板(100)の第1面(102)から離れるにつれて発光領域(142)に近づく側に向けて傾いている。第2側面(314)は、第1側面(312)の反対側に位置している。第2側面(314)は、基板(100)の第1面(102)から離れるにつれて発光領域(142)から離れる側に向けて傾いている。第1上面(316)は、第1側面(312)と第2側面(314)との間に位置しており、基板(100)の第1面(102)と実質的に平行になっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置する発光部と、
前記発光部を含む発光領域を囲む第1構造体と、
前記発光領域に対して前記第1構造体より外側に位置し、前記発光領域を囲む第2構造体と、
前記発光部と、前記第1構造体と、前記第2構造体と、を覆う封止層と、
前記封止層に対し前記発光部が位置する側とは反対側に位置し、前記封止層の少なくとも前記発光領域と重なる部分を覆う樹脂層と、
を備え、
前記第1構造体は、前記発光領域側に位置する第1側面と、前記第1側面の反対側に位置し、前記基板から離れるにつれて前記発光領域から離れる側に向けて傾く第2側面と、を有し、
前記第2構造体は、前記発光領域側に位置する第3側面と、前記第3側面の反対側に位置し、前記基板から離れるにつれて前記発光領域から離れる側に向けて傾く第4側面と、を有する、発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記第1構造体の前記第1側面は、前記基板から離れるにつれて前記発光領域側に向けて傾いている、発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記第2構造体の前記第3側面は、前記基板から離れるにつれて前記発光領域側に向けて傾いている、発光装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の発光装置において、
隣り合う前記発光部のそれぞれの陰極の間に位置する隔壁をさらに備え、
前記第1構造体は、前記隔壁と同じ材料を含む、発光装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記発光部上における前記樹脂層の上面は、前記基板に対して、前記第1構造体の上面より高い位置にある、発光装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記基板に垂直な方向から見て、前記第1構造体は、前記発光領域を連続に囲んでいる、発光装置。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記基板に垂直な方向から見て、前記第1構造体は、前記発光領域を不連続に囲んでいる、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を有する発光装置が開発されている。このような発光装置は、有機EL素子(発光部)を封止するための封止構造を有している。封止構造としては、例えば、発光部を覆う封止層、又は接着層を介して基板に接着された封止部材(例えば、封止缶)がある。
【0003】
特許文献1には、発光装置の封止構造の一例について記載されている。発光装置は、樹脂の構造体を備えている。構造体は、発光部を囲んでいる。構造体には、撥液処理が施されている。発光部は、樹脂層によって覆われている。樹脂層の端部は、構造体によって堰き止められている。したがって、樹脂層の端部の位置を構造体の位置によって調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1に記載されているように、樹脂層の端部の位置を構造体の位置によって調節することがある。本発明者は、特許文献1に記載の構造と異なる構造によって、樹脂層の端部の位置を構造体の位置によって調節することを検討した。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、樹脂層の端部の位置を構造体の位置によって調節することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、
基板と、
前記基板上に位置する発光部と、
前記発光部を含む発光領域を囲む構造体と、
前記発光部と、前記構造体と、を覆う封止層と、
前記封止層のうち、少なくとも前記発光領域と重なる部分を覆う樹脂層と、
を備え、
前記構造体は、前記発光領域側に位置する第1側面と、前記第1側面の反対側に位置し、前記基板から離れるにつれて前記発光領域から離れる側に向けて傾く第2側面と、を有する、発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】
図5から複数の第2電極を取り除いた図である。
【
図7】
図6から絶縁層及び複数の隔壁を取り除いた図である。
【
図9】実施形態3に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【
図10】実施形態3に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【
図11】実施形態3に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【
図12】実施形態3に係る発光装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において「AがB上に位置する」という表現は、例えば、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがB上に直接位置することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。さらに、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後ろ」等の向きを示す表現は、基本的に図面の向きと合わせて用いるものであって、例えば本明細書に記載された発明品の使用する向きに限定して解釈されるものではない。
【0010】
本明細書において「凸」という表現は、特に断らない限り、ある面から出ばっている態様のことを意味し、当該態様を限定するために使用されない。例えば、凸の一様態は、ある面から単に真っ直ぐに出ばっている。別の一態様は、ある面から湾曲しながら出ばっている。
【0011】
本明細書において「角度」は、2つの線の交点に対して定義できる。「AとBのなす角度」という表現は、Aのある1点を通る1つの接線と、Bのある1点を通る1つの接線と、の交点がなす1つの角度を意味する。また、AとBは離間していてもよい。また、「面Aと面Bのなす角度」の一例は、面Aと面Bを含む断面図において、面Aを示す線に対する第1の接線と、面Bを示す線に対する第2の接線と、の交点がなす一つの角度である。
【0012】
本明細書において「A及びBが重なる」という表現は、特に断らない限り、ある方向からの投影像において、Aの少なくとも一部がBの少なくとも一部と同じ場所にあることを意味する。このとき複数の要素同士は直接接していてもよいし、又は離間していてもよい。
【0013】
本明細書において「Aの外側」という表現は、特に断らない限り、Aの縁を境にAが位置しない側の部分のことを意味する。
【0014】
本明細書中における陽極とは、発光材料を含む層(例えば有機層)に正孔を注入する電極のことを示し、陰極とは、発光材料を含む層に電子を注入する電極のことを示す。また、「陽極」及び「陰極」という表現は、「正孔注入電極」及び「電子注入電極」又は「正極」及び「負極」等の他の文言を意味することもある。
【0015】
本明細書において「Aの端」という表現は、一方向から見たときのAとその他の要素との境界を意味し、「Aの端部」という表現は、当該境界を含むAの一部の領域を意味し、「Aの端点」という表現は、当該境界のある一点を意味する。
【0016】
本明細書における「発光装置」とは、ディスプレイや照明等の発光素子を有するデバイスを含む。また、発光素子と直接的、間接的又は電気的に接続された配線、IC(集積回路)又は筐体等も「発光装置」に含む場合もある。
【0017】
本明細書において「接続」とは、複数の要素が直接的又は間接的を問わずに接続している状態を表す。例えば、複数の要素の間に接着剤又は接合部材が介して接続している場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。また、複数の要素の間に、電流、電圧又は電位を供給可能又は伝送可能な部材が存在しており、「複数の要素が電気的に接続している」場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。
【0018】
本明細書において、特に断りがない限り「第1、第2、A、B、(a)、(b)」等の表現は要素を区別するためのものであり、その表現により該当要素の本質、順番、順序又は個数等が限定されるものではない。
【0019】
本明細書において、各部材及び各要素は単数であってもよいし、又は複数であってもよい。ただし、文脈上、「単数」又は「複数」が明確になっている場合はこれに限らない。
【0020】
本明細書において、「AがBを含む」という表現は、特に断らない限り、AがBのみによって構成されていることに限定されず、AがB以外の要素によって構成され得ることを意味する。
【0021】
本明細書において「断面」とは、特に断らない限り、発光装置を画素や発光材料等が積層した方向に切断したときに現れる面を意味する。
【0022】
本明細書において「有さない」、「含まない」、「位置しない」等の表現は、ある要素が完全に排除されていることを意味してもよいし、又はある要素が技術的な効果を有さない程度に存在していることを意味してもよい。
【0023】
本明細書において、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」等の時間的前後関係を説明する表現は、相対的な時間関係を表しているものであり、時間的前後関係が用いられた各要素が必ずしも連続しているとは限らない。各要素が連続していることを表現する場合、「直ちに」又は「直接」等の表現を用いることがある。
【0024】
本明細書において、「実質的に平行」という表現は、特に断らない限り、技術的効果を有する程度に斜めになっている状態も含む。例えば、二つの要素A及びBが-10°以上10°以下の角度で位置されている状態で、-10°以上10°以下の角度において臨界的な技術的効果を有さない場合は「A及びBは実質的に平行」と表現する。製造上の誤差により2つの要素A及びBが-10°以上10°以下の角度で位置されている状態も「A及びBは実質的に平行」と表現する。「平行」という表現は、二つの要素が数学的な意味で平行であることを意味する。
【0025】
本明細書において「AがBを覆う」 という表現は、特に断らない限り、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがBに接触することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0027】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る発光装置10の平面図である。
図2は、
図1のA-A断面図である。
図1において、A-A方向は、発光部140(発光領域142)のうち
図1内の左側の外縁に沿って延伸する第1構造体310又は第2構造体320の延伸方向に垂直な方向である。説明のため、
図1では、封止層210(
図2)は示していない。
【0028】
発光装置10は、基板100、発光部140(発光領域142)、封止層210、樹脂層220、第1構造体310及び第2構造体320を備えている。
【0029】
基板100は、単層であってもよいし、又は複数層であってもよい。基板100の厚さは、例えば、10μm以上1000μm以下である。基板100は、第1面102及び第2面104を有している。発光部140、封止層210、樹脂層220、第1構造体310及び第2構造体320は、基板100の第1面102上に位置している。第2面104は、第1面102の反対側にある。基板100は、例えば、ガラス基板である。基板100は、有機材料(例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)又はポリイミド)を含む樹脂基板であってもよい。基板100が樹脂基板である場合、基板100の第1面102及び第2面104の少なくとも一方上には、無機バリア層(例えば、SiN又はSiON)が位置していてもよい。
【0030】
本実施形態において、発光装置10は、基板100の第2面104側から光を発する。すなわち、発光装置10は、ボトムエミッションである。この場合、基板100は、透光性を有している。基板100の可視光の透過率は、例えば、75%以上100%以下である。ただし、発光装置10は、発光装置10の第1面102側から光を発してもよい。すなわち、発光装置10は、トップエミッションであってもよい。或いは、発光装置10は、基板100の第2面104側及び第1面102側の双方から光を発してもよい。
【0031】
発光領域142は、発光部140を含んでいる。発光領域142は、発光部140によって光が発せられる領域である。発光部140は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を有している。有機EL素子は、発光層を含む有機層を有している。本実施形態において、発光部140は、発光領域142の全体に亘って広がる面光源である。言い換えると、発光装置10は、発光パネルとなっている。なお、発光装置10の基板100及び発光部140(発光領域142)の形状は、
図1に示す例(矩形)に限定されない。
【0032】
封止層210は、基板100の第1面102と、発光部140と、第1構造体310と、第2構造体320と、を覆っている。封止層210は、一又は複数の無機層を含んでいる。無機層は、無機材料、例えば、シリコン窒化物(SiN
x)、シリコン酸化物(SiO
2)、シリコン酸窒化物(SiON)、アルミニウム酸化物(Al
2O
3)及びチタン酸化物(TiO
2)のうち少なくとも一つを含んでいる。封止層210は、段差被覆性に優れている。したがって、
図3に示すように、一断面において、封止層210は、基板100の第1面102上において、発光部140と、第1構造体310と、第2構造体320と、によって形成された凹凸に沿って延伸している。
【0033】
基板100の第1面102に垂直な方向から見た場合(
図1)において、樹脂層220は、封止層210のうち、少なくとも発光領域142と重なる部分(発光部140を覆う部分)を覆っている。また、基板100の第1面102に垂直な方向から見た場合(
図1)において、樹脂層220は、封止層210のうち発光領域142と重なる部分だけでなく、封止層210のうち発光領域142の外側に位置する部分とも重なっている。樹脂層220及び封止層210は、発光部140を封止するための封止構造として機能している。また、樹脂層220は、発光部140及び封止層210を保護するための保護層として機能している。樹脂層220は、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂又はシリコン系樹脂を含んでいる。樹脂層220の上面222は、発光領域142と重なる領域及びその周辺において、基板100の第1面102と実質的に平行になっている。言い換えると、発光領域142と重なる領域及びその周辺において、基板100の第1面102に対する樹脂層220の上面222の高さは、当該領域及び当該周辺内の位置によらず、ほぼ一定となっている。この場合において、発光装置10が透光性を有する発光装置であるとき、発光装置10の透過像の歪みを低減することができる。発光領域142と重なる領域及びその周辺において樹脂層220の上面222が基板100の第1面102と実質的に平行となるためには、樹脂層220の広がり、すなわち、樹脂層220の端部の位置を高精度に調節する必要がある。本実施形態においては、後述するように、第1構造体310又は第2構造体320によって、樹脂層220の端部の位置を高精度に調節することができる。
【0034】
基板100の第1面102に垂直な方向から見た場合(
図1)において、樹脂層220は、発光領域142及び第1構造体310と重なっており、かつ樹脂層220の外端は、第1構造体310の外端(後述する第2側面314)に沿って延伸している。ただし、樹脂層220の外端の形状は、
図1に示す例に限定されない。例えば、樹脂層220の外端の一部分は、第1構造体310の内端(後述する第1側面312)、第2構造体320の外端(後述する第4側面324)又は第2構造体320の内端(後述する第3側面322)に沿って延伸していてもよい。後述するように、本実施形態においては、樹脂層220の外端の位置を、第1構造体310の内端(後述する第1側面312)又はその近傍と、第2構造体320の外端(後述する第4側面324)又はその近傍と、の間に位置させることができる。
【0035】
基板100の第1面102に垂直な方向から見た場合(
図1)において、第1構造体310は、発光領域142を連続に囲んでいる。言い換えると、第1構造体310は、発光領域142の外縁に沿って連続に延伸しており、発光領域142の周囲のいずれの部分においても途切れていない。基板100の第1面102に垂直な方向から見た場合(
図1)において、第2構造体320は、発光領域142に対して第1構造体310より外側に位置しており、発光領域142を連続に囲んでいる。言い換えると、第2構造体320は、第1構造体310の外縁に沿って連続に延伸しており、第1構造体310の周囲のいずれの部分においても途切れていない。
【0036】
基板100に垂直な断面において、具体的には、基板100の第1面102に垂直、かつ第1構造体310又は第2構造体320の延伸方向(
図1において、発光領域142の外縁に沿って第1構造体310又は第2構造体320が延伸する方向)に垂直な断面(例えば、
図2に示す断面)において、第1構造体310は、第1側面312、第2側面314及び第1上面316を有している。第1側面312は、発光領域142側に位置している。第1側面312は、基板100の第1面102から離れるにつれて発光領域142に近づく側に向けて傾いている。第2側面314は、第1側面312の反対側に位置している。第2側面314は、基板100の第1面102から離れるにつれて発光領域142から離れる側に向けて傾いている。第1上面316は、第1側面312と第2側面314との間に位置しており、基板100の第1面102と実質的に平行になっている。言い換えると、一断面(例えば、
図2に示す断面)における第1構造体310の形状は、下底(基板100の第1面102に接している底)が上底(基板100の第1面102から離れた底:第1上面316)より短い台形となっている。
【0037】
基板100に垂直な断面において、具体的には、基板100の第1面102に垂直、かつ第1構造体310又は第2構造体320の延伸方向(
図1において、発光領域142の外縁に沿って第1構造体310又は第2構造体320が延伸する方向)に垂直な断面(例えば、
図2に示す断面)において、第2構造体320は、第3側面322、第4側面324及び第2上面326を有している。第3側面322は、第1構造体310側に位置している。第3側面322は、基板100の第1面102から離れるにつれて第1構造体310に近づく側に向けて傾いている。第4側面324は、第3側面322の反対側に位置している。第4側面324は、基板100の第1面102から離れるにつれて第1構造体310から離れる側に向けて傾いている。第2上面326は、第3側面322と第4側面324との間に位置しており、基板100の第1面102と実質的に平行になっている。言い換えると、一断面(例えば、
図2に示す断面)における第2構造体320の形状は、下底(基板100の第1面102に接している底)が上底(基板100の第1面102から離れた底:第2上面326)より短い台形となっている。
【0038】
第1構造体310及び第2構造体320は、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂等の樹脂を含んでいる。言い換えると、第1構造体310及び第2構造体320は、樹脂体にしてもよい。第1構造体310及び第2構造体320は、同一の材料を含んでいてもよいし、又は互いに異なる材料を含んでいてもよい。また、第1構造体310及び第2構造体320は、電気的絶縁性を有している。
【0039】
本実施形態においては、樹脂層220の端部の位置を第1構造体310又は第2構造体320の位置によって調節することができる。その理由は、以下のとおりである。
【0040】
本実施形態においては、封止層210は、封止層210のうち第1構造体310の第1上面316を覆う部分と、封止層210のうち第1構造体310の第2側面314を覆う部分と、の間において、鋭角の角度θ1に折れ曲がっている。樹脂層220は、比較的低粘度の未硬化樹脂層を硬化することで形成される。発光装置10の製造プロセスにおいて第1構造体310によって囲まれた領域内に未硬化樹脂層が形成され、かつ未硬化樹脂層が発光部140の外側に向けて広がった場合、封止層210のうち第1構造体310の第1上面316を覆う部分を濡れ広がってきた未硬化樹脂層は、角度θ1が直角又は鈍角である場合と比較して、封止層210のうち第1構造体310の第2側面314を覆う部分に濡れ広がりにくい。このため、樹脂層220の端部の位置を第1構造体310の位置によって調節することができる。また、仮に、樹脂層220の端部が発光領域142に対して第1構造体310の外側に広がったとしても、第2構造体320は、第1構造体310の構造と同様の構造を有している。したがって、樹脂層220の端部の位置を第2構造体320の位置によって調節することができる。
【0041】
本実施形態においては、発光部140上における樹脂層220の上面222は、基板100の第1面102に対して、第1構造体310の第1上面316及び第2構造体320の第2上面326より高い位置にある。言い換えると、基板100の第1面102に垂直な方向における、発光部140上の樹脂層220の上面222と、基板100の第1面102と、の間の距離は、基板100の第1面102に垂直な方向における、第1構造体310の第1上面316と、基板100の第1面102と、の間の距離、又は基板100の第1面102に垂直な方向における、第2構造体320の第2上面326と、基板100の第1面102と、の間の距離より大きくなっている。この場合、発光装置10の製造プロセスにおいて第1構造体310によって囲まれた領域内に未硬化樹脂層が形成され、かつ未硬化樹脂層が発光部140の外側に向けて広がった場合、未硬化樹脂層は、第1構造体310の第1上面316又は第2構造体320の第2上面326を覆いやすい。しかしながら、本実施形態においては、上述したように、樹脂層220の端部の位置を第1構造体310又は第2構造体320の位置によって調節することができる。
【0042】
本実施形態においては、封止層210及び第1構造体310又は第2構造体320の形状によって、樹脂層220の端部の位置が調節されている。言い換えると、封止層210又は第1構造体310の表面の処理(例えば、撥液処理)を施すことなく、樹脂層220の端部の位置を調節することができる。このため、発光装置10の製造プロセスが容易となる。ただし、封止層210のうち第1構造体310又は第2構造体320を覆う部分には、撥液処理が施されていてもよい。
【0043】
次に、発光装置10の製造方法の一例を説明する。
【0044】
まず、基板100の第1面102上に発光部140、第1構造体310及び第2構造体320を形成する。第1構造体310及び第2構造体320は、発光部140を形成する工程内において形成されてもよいし、又は発光部140を形成する工程の前若しくは後に形成されてもよい。一例において、第1構造体310及び第2構造体320は、第1構造体310及び第2構造体320となるレジストのフォトリソグラフィによって形成される。例えば、ネガ型レジストの露光及び現像によって、レジストのうち露光された部分を、第1構造体310及び第2構造体320として残すことができる。この場合、第1構造体310及び第2構造体320は、同一工程によって形成される。ただし、第1構造体310を形成する工程と、第2構造体320を形成する工程とは、互いに異なる工程であってもよい。
【0045】
次いで、基板100の第1面102上に封止層210を形成する。封止層210は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)によって形成される。ただし、封止層210は、ALDとは異なる方法、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)又はスパッタによって形成されてもよい。
【0046】
次いで、基板100の第1面102上に樹脂層220を形成する。具体的には、まず、樹脂層220となる未硬化樹脂層を、第1構造体310によって囲まれた領域内に形成する。未硬化樹脂層は、例えば、インクジェット等の塗布プロセス又は蒸着等の堆積プロセスによって形成される。未硬化樹脂層の粘度は比較的低い。このため、未硬化樹脂層は、基板100の第1面102上において広がりやすい。しかしながら、本実施形態においては、第1構造体310又は第2構造体320によって未硬化樹脂層の広がりを制限することができる。すなわち、未硬化樹脂層の端部の位置を第1構造体310又は第2構造体320の位置によって調節することができる。次いで、未硬化樹脂層を硬化させて、未硬化樹脂層を樹脂層220に形成する。未硬化樹脂層の硬化には、例えば、光硬化又は熱硬化が用いられる。
【0047】
このようにして、発光装置10が製造される。
【0048】
本実施形態において、発光装置10は、2つの構造体(第1構造体310及び第2構造体320)を備えている。しかしながら、発光装置10内の構造体の数は1つのみであってもよい。或いは、発光装置10は、3つ以上の構造体を備えていてもよい。
【0049】
本実施形態において、第1構造体310の第1側面312は、基板100の第1面102に垂直な方向(
図2における上下方向)に対して発光領域142側(
図2における右側)に向けて傾いている。しかしながら、第1構造体310の第1側面312は、基板100の第1面102に垂直な方向(
図2における上下方向)に沿っていてもよいし、又は基板100の第1面102に垂直な方向に対して発光領域142の反対側(
図2における左側)に向けて傾いていてもよい。同様にして、第2構造体320の第3側面322は、基板100の第1面102に垂直な方向(
図2における上下方向)に沿っていてもよいし、又は基板100の第1面102に垂直な方向に対して発光領域142の反対側(
図2における左側)に向けて傾いていてもよい。
【0050】
本実施形態において、発光部140は、有機EL素子を有している。しかしながら、発光部140は、有機EL素子と異なる発光部、例えば、無機EL素子又は半導体LED(Light-Emitting Diode)を有していてもよい。
【0051】
図3は、
図2の変形例を示す図である。
図3に示す例は、樹脂層220の端部の位置を除いて、
図2に示した例と同様である。本変形例においても、樹脂層220の端部の位置を第1構造体310又は第2構造体320の位置によって調節することができる。その理由は、以下のとおりである。
【0052】
本変形例においては、封止層210は、封止層210のうち第1構造体310の第1側面312を覆う部分と、封止層210のうち第1構造体310の第1上面316を覆う部分と、の間において、鋭角の角度θ2に折れ曲がっている。樹脂層220は、比較的低粘度の未硬化樹脂層を硬化することで形成される。発光装置10の製造プロセスにおいて第1構造体310によって囲まれた領域内に未硬化樹脂層が形成され、かつ未硬化樹脂層が発光部140の外側に向けて広がった場合、封止層210のうち第1構造体310の第1側面312を覆う部分を濡れ広がってきた未硬化樹脂層は、角度θ2が直角又は鈍角である場合と比較して、封止層210のうち第1構造体310の第1上面316を覆う部分に濡れ広がりにくい。このため、樹脂層220の端部の位置を第1構造体310の位置によって調節することができる。また、仮に、樹脂層220の端部が発光領域142に対して第1構造体310の外側に広がったとしても、第2構造体320は、第1構造体310の構造と同様の構造を有している。したがって、樹脂層220の端部の位置を第2構造体320の位置によって調節することができる。
【0053】
本変形例において、第1構造体310の第2側面314は、基板100の第1面102に垂直な方向(
図3における上下方向)に対して発光領域142の反対側(
図2における左側)に向けて傾いている。しかしながら、第1構造体310の第2側面314は、基板100の第1面102に垂直な方向(
図3における上下方向)に沿っていてもよいし、又は基板100の第1面102に垂直な方向に対して発光領域142側(
図3における右側)に向けて傾いていてもよい。同様にして、第2構造体320の第4側面324は、基板100の第1面102に垂直な方向(
図3における上下方向)に沿っていてもよいし、又は基板100の第1面102に垂直な方向に対して発光領域142側(
図3における右側)に向けて傾いていてもよい。
【0054】
【0055】
基板100の第1面102に垂直な方向から見た場合(
図4)において、第1構造体310は、発光領域142を不連続に囲んでいる。言い換えると、第1構造体310は、発光領域142の外縁に沿って断続に延伸しており、発光領域142の周囲の少なくとも1つの部分において途切れている。基板100の第1面102に垂直な方向から見た場合(
図4)において、第2構造体320は、発光領域142に対して第1構造体310より外側に位置しており、発光領域142を不連続に囲んでいる。言い換えると、第2構造体320は、第1構造体310の外縁に沿って断続に延伸しており、第1構造体310の周囲の少なくとも1つの部分において途切れている。
【0056】
第1構造体310のうち発光領域142の外縁に沿って互いに離間した複数の部分と、第2構造体320のうち発光領域142の外縁に沿って互いに離間した複数の部分と、は、発光領域142の外縁に沿って互い違いに並んでいる。このため、仮に、第1構造体310のうち発光領域142の外縁に沿って互いに隣り合う間の領域から樹脂層220の一部分が発光領域142の外側に向けて広がってしまったとしても、樹脂層220のこの一部分の広がりを第2構造体320によって制限することができる。ただし、第1構造体310のうち発光領域142の外縁に沿って互いに離間した複数の部分と、第2構造体320のうち発光領域142の外縁に沿って互いに離間した複数の部分と、は、発光領域142の外縁に沿って互いに揃っていてもよい。
【0057】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係る発光装置10の平面図である。
図6は、
図5から複数の第2電極130を取り除いた図である。
図7は、
図6から絶縁層150及び複数の隔壁160を取り除いた図である。
図8は、
図5のB-B断面図である。
図5から
図8において、X方向は、各第1電極110の延伸方向(各第1電極110の長手方向)を示しており、Y方向は、X方向に交わる方向、具体的には、X方向に直交する方向を示しており、各第2電極130の延伸方向(各第2電極130の長手方向)を示している。
図5において、B-B方向は、X方向に沿っている。説明のため、
図5から
図7では、有機層120及び封止層210(
図8)を示していない。実施形態2に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態1に係る発光装置10と同様である。
【0058】
発光装置10は、基板100、複数の第1電極110、複数の第1配線112、複数の有機層120、複数の第2電極130、複数の第2配線132、絶縁層150、複数の隔壁160、封止層210、樹脂層220、第1構造体310及び第2構造体320を備えている。
【0059】
発光装置10は、発光ディスプレイとなっている。具体的には、発光装置10は、X方向及びY方向に沿って行列状に並ぶ複数の発光部140を備えている。
図5から
図7に示す例において、複数の発光部140は、X方向に4行かつY方向に7列に並んでいる。ただし、複数の発光部140のレイアウトは、
図5から
図7に示す例に限定されない。各発光部140は、発光ディスプレイの画素となっている。
【0060】
発光装置10の発光領域142は、複数の発光部140を含んでいる。発光領域142は、次のようにして画定されている。発光領域142の形状は、X方向に沿って延伸する2辺と、Y方向に沿って延伸する2辺と、を有する矩形となっている。発光領域142のうちX方向に沿って延伸する2辺は、複数の発光部140のうちY方向において最も外側に位置する発光部140の1辺(当該発光部140におけるX方向に沿って延伸する2辺のうちのY方向における外側の1辺)と重なっている。発光領域142のうちY方向に沿って延伸する2辺は、複数の発光部140のうちX方向において最も外側に位置する発光部140の1辺(当該発光部140におけるY方向に沿って延伸する2辺のうちのX方向における外側の1辺)と重なっている。
【0061】
本実施形態において、発光装置10は、基板100の第2面104側から光を発する。すなわち、発光装置10は、ボトムエミッションである。ただし、発光装置10は、発光装置10の第1面102側から光を発してもよい。すなわち、発光装置10は、トップエミッションであってもよい。或いは、発光装置10は、基板100の第2面104側及び第1面102側の双方から光を発してもよい。
【0062】
複数の第1電極110は、基板100の第1面102上に位置している。複数の第1電極110は、X方向に沿って延伸しており、Y方向に沿って並んでいる。各第1電極110は、透光性を有している。各第1電極110の可視光の透過率は、例えば、75%以上100%以下となっている。各第1電極110は、陽極として機能することができる。一例において、第1電極110は、酸化物半導体を含んでいる。酸化物半導体は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)又はIGZO(Indium Galium Zinc Oxide)である。
【0063】
複数の有機層120は、複数の第1電極110と交差するように、基板100の第1面102上及び複数の第1電極110上に位置している。複数の有機層120は、Y方向に沿って延伸しており、X方向に沿って並んでいる。各有機層120は、例えば、第1電極110から第2電極130に向けて、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)を順に含んでいてもよい。ただし、各有機層120に含まれる層の例は、ここで説明した例に限定されない。
【0064】
複数の第2電極130は、複数の第1電極110と交差するように、基板100の第1面102上、複数の第1電極110上及び複数の有機層120上に位置している。複数の第2電極130は、Y方向に沿って延伸しており、X方向に沿って並んでいる。各第2電極130は、陰極として機能することができる。一例において、各第2電極130は、金属又は合金を含んでいてもよい。金属又は合金は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn及びInからなる群の中から選択される少なくとも1つの金属又はこの群から選択される金属の合金である。
【0065】
絶縁層150は、複数の第1開口152を有している。絶縁層150は、例えば、ポリイミド等の有機絶縁材料を含んでいる。絶縁層150は、複数の第1電極110のそれぞれの一部分が各第1開口152から露出されるように、基板100の第1面102上及び複数の第1電極110上に位置している。複数の第1開口152のそれぞれは、複数の発光部140のそれぞれを画定している。具体的には、各第1開口152内において、各第1電極110の一部分と、各有機層120の一部分と、各第2電極130の一部分と、が基板100の第1面102から順に並び、かつ重なり合っている。言い換えると、各発光部140は、各第1電極110のうち第1開口152と重なる部分と、各有機層120のうち第1開口152と重なる部分と、各第2電極130のうち第1開口152と重なる部分と、を有している。
【0066】
複数の第1電極110のそれぞれは、複数の第1配線112のそれぞれに接続されている。本実施形態において、各第1電極110及び各第1配線112は、共通の導電層となっている。各第1配線112は、例えば、共通の導電層のうち絶縁層150の外縁の外側の部分である。ただし、各第1電極110及び各第1配線112は、互いに異なる導電層であってもよい。第1配線112の一部は、発光領域142に対して第1構造体310及び第2構造体320の外側に位置している。したがって、発光装置10の外部から第1配線112を介して第1電極110に電圧を供給することができる。
【0067】
複数の第2電極130のそれぞれは、複数の第2配線132のそれぞれに接続されている。各第2配線132は、例えば、第1電極110において説明した材料を含んでいる。各第2配線132の一端部は、絶縁層150によって覆われている。絶縁層150は、複数の第2開口154を有している。各第2配線132の当該一端部の一部分は、絶縁層150の各第2開口154から露出されており、各第2電極130と接触している。第2配線132の他端部は、発光領域142に対して第1構造体310及び第2構造体320の外側に位置している。したがって、発光装置10の外部から第2配線132を介して第2電極130に電圧を供給することができる。
【0068】
複数の隔壁160は、絶縁層150上に位置している。複数の隔壁160は、Y方向に沿って延伸しており、複数の第2電極130と交互にX方向に沿って並んでいる。言い換えると、各隔壁160は、隣り合う第2電極130の間に位置している。隔壁160は、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂等の樹脂を含んでいる。言い換えると隔壁160は、樹脂体にしてもよい。
【0069】
基板100に垂直な断面において、具体的には、基板100の第1面102に垂直、かつ隔壁160の延伸方向(Y方向)に垂直な断面(例えば、
図8に示す断面)において、隔壁160は、第5側面162、第6側面164及び第3上面166を有している。第5側面162及び第6側面164は、互いに反対側にある。第5側面162は、基板100の第1面102から離れるにつれて第6側面164から離れる側に向けて傾いている。第6側面164は、基板100の第1面102から離れるにつれて第5側面162から離れる側に向けて傾いている。第3上面166は、第5側面162と第6側面164との間に位置しており、基板100の第1面102と実質的に平行になっている。
【0070】
隔壁160の高さT3(基板100の第1面102に垂直な方向における隔壁160の長さ)は、第1構造体310の高さT1(基板100の第1面102に垂直な方向における第1構造体310の長さ)又は第2構造体320の高さT2(基板100の第1面102に垂直な方向における第2構造体320の長さ)とほぼ等しくなっている。例えば、隔壁160の高さT3は、第1構造体310の高さT1の90%以上110%以下となっており、又は第2構造体320の高さT2の90%以上100%以下となっている。ただし、隔壁160の高さT3は、第1構造体310の高さT1又は第2構造体320の高さT2と異なっていてもよい。
【0071】
隔壁160の第3上面166上には、有機層120a及び導電層130aが位置している。有機層120aは、有機層120と同じ材料を含んでおり、導電層130aは、第2電極130と同じ材料を含んでいる。
【0072】
封止層210は、基板100の第1面102と、複数の第1電極110と、複数の第2電極130と、絶縁層150と、隔壁160(隔壁160の第3上面166上の有機層120a及び導電層130aを含む。)と、第1構造体310と、第2構造体320と、を覆っている。封止層210は、段差被覆性に優れている。したがって、
図8に示すように、一断面において、封止層210は、基板100の第1面102上において、発光部140と、絶縁層150と、隔壁160(隔壁160の第3上面166上の有機層120a及び導電層130aを含む。)と、第1構造体310と、第2構造体320と、によって形成された凹凸に沿って延伸している。
【0073】
樹脂層220は、実施形態1と同様にして、発光領域142内の封止層210を覆っている。本実施形態においても、実施形態1と同様にして、樹脂層220の端部の位置を第1構造体310又は第2構造体320の位置によって調節することができる。
【0074】
次に、発光装置10の製造方法の一例を説明する。
【0075】
まず、基板100の第1面102上に複数の第1電極110(複数の第1配線112を含む。)及び複数の第2配線132を形成する。複数の第1電極110及び複数の第2配線132は、例えば、導電層のパターニングによって形成される。複数の第1電極110、複数の第1配線112及び複数の第2配線132が共通の導電層から形成される場合、複数の第1電極110、複数の第1配線112及び複数の第2配線132は、同一の材料を含む。
【0076】
次いで、絶縁層150となる絶縁層を基板100の第1面102上に形成し、この絶縁層を露光及び現像して、絶縁層150、複数の第1開口152及び複数の第2開口154を形成する。
【0077】
次いで、基板100の第1面102上及び絶縁層150上に、複数の隔壁160、第1構造体310及び第2構造体320を形成する。具体的には、各隔壁160、第1構造体310及び第2構造体320は、各隔壁160、第1構造体310及び第2構造体320となるレジストのフォトリソグラフィによって形成される。例えば、ネガ型レジストの露光及び現像によって、レジストのうち露光された部分を、各隔壁160、第1構造体310及び第2構造体320として残すことができる。この場合、複数の隔壁160、第1構造体310及び第2構造体320は、同一工程によって形成される。このため、発光装置10の製造プロセスを簡易にすることができる。またこの場合、複数の隔壁160、第1構造体310及び第2構造体320は、同じ材料(例えば、同じ樹脂)を含む。また、隔壁160の高さT3は、第1構造体310の高さT1又は第2構造体320の高さT2とほぼ等しくなる。ただし、複数の隔壁160を形成する工程と、第1構造体310又は第2構造体320を形成する工程とは、互いに異なる工程であってもよい。また、各隔壁160に含まれる材料と、第1構造体310又は第2構造体320に含まれる材料とは、互いに異なっていてもよい。
【0078】
次いで、有機層120となる有機層を、蒸着によって、基板100の第1面102上に形成する。この場合、有機層は、各隔壁160によって互いに分断されて複数の有機層120となるとともに、各隔壁160上には有機層120aが残る。ただし、有機層120は、蒸着と異なる方法、例えば、インクジェット等の塗布プロセスによって形成されてもよい。この場合、有機層が複数の隔壁160によって分断されることがなく、各隔壁160上に有機層120aが残らない。
【0079】
次いで、第2電極130となる導電層を、蒸着によって、基板100の第1面102上に形成する。この場合、導電層は、各隔壁160によって互いに分断されて複数の第2電極130となるとともに、各隔壁160上には導電層130aが残る。
【0080】
次いで、基板100上に封止層210を形成する。封止層210の形成方法は、実施形態1で説明した方法と同様である。
【0081】
次いで、基板100の第1面102上に樹脂層220を形成する。樹脂層220の形成方法は、実施形態1で説明した方法と同様である。
【0082】
このようにして、発光装置10が製造される。
【0083】
(実施形態3)
図9から
図12は、実施形態3に係る発光装置10の製造方法の一例を説明するための断面図である。実施形態3に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態1又は実施形態2に係る発光装置10と異なっている。
【0084】
まず、
図9に示すように、基板100の第1面102上に、第1構造体310及び隣り合う2つのレジスト膜400を形成する。
図9に示す例において、第1構造体310及び各レジスト膜400は、例えば
図2に示した第1構造体310と同様にして、紙面に垂直な方向に沿って延伸している。一例において、第1構造体310及び各レジスト膜400は、第1構造体310及び各レジスト膜400となるレジストのフォトリソグラフィによって形成される。例えば、ネガ型レジストの露光及び現像によって、レジストのうち露光された部分を、第1構造体310及び各レジスト膜400として残すことができる。この場合、第1構造体310及び各レジスト膜400は、同一工程によって形成される。またこの場合、第1構造体310及び各レジスト膜400は、同じ材料を含む。ただし、第1構造体310を形成する工程と、各レジスト膜400を形成する工程とは、互いに異なる工程であってもよい。
【0085】
次いで、
図10に示すように、第1配線112及び導電層112a(導電層112aについては後述する。)となる導電層を、隣り合う2つのレジスト膜400上と、基板100の第1面102のうち当該隣り合う2つのレジスト膜400の間に位置する部分上と、に堆積させる。この導電層は、例えば、蒸着によって堆積される。レジスト膜400によって、導電層は、基板100の第1面102のうち当該隣り合う2つのレジスト膜400の間に位置する部分上の導電層(第1配線112)と、隣り合う2つのレジスト膜400のそれぞれ上の導電層(導電層112a)と、に分離される。
【0086】
次いで、
図11に示すように、第1構造体310を保護層410によって覆いつつ、隣り合う2つのレジスト膜400は保護層410によって覆わない。保護層410は、例えば、第1構造体310及びレジスト膜400に含まれる材料と異なる材料を含むレジストである。
【0087】
次いで、
図12に示すように、第1構造体310を基板100の第1面102上に残しつつ、レジスト膜400を導電層112aとともに基板100の第1面102から除去する。言い換えると、レジスト膜400をリフトオフさせる。具体的には、レジスト膜400を溶解させる溶剤によってレジスト膜400を除去することができる。この場合において、第1構造体310及びレジスト膜400が同じ材料を含んでいたとしても、第1構造体310は、保護層410によって溶剤から保護される。このようにして、基板100の第1面102上に第1構造体310を形成しつつ、第1配線112をパターニングすることができる。
【0088】
次いで、保護層410を基板100の第1面102から除去する。
【0089】
本実施形態においては、
図9から
図12に示した工程の前又は後、或いは
図9から
図12に示した工程内において、基板100の第1面102上に発光部140(発光領域142)を形成する。発光部140及び第1構造体310を形成した後、実施形態1及び実施形態2と同様にして、封止層210及び樹脂層220を形成する。基板100の第1面102に垂直な方向から見て、第1構造体310は、発光領域142を囲んでいる。また、基板100の第1面102に垂直な方向から見て、第1配線112は、発光領域142と第1構造体310との間に位置していてもよいし、又は発光領域142に対して第1構造体310の外側に位置していてもよい。本実施形態においても、樹脂層220の端部の位置を第1構造体310の位置によって調節することができる。
【0090】
本実施形態においては、レジスト膜400のリフトオフによって、第1配線112をパターニングしている。しかしながら、レジスト膜400のリフトオフによってパターニングされる導電層は、第1配線112と異なる導電層であってもよく、例えば、第2配線132であってもよい。
【0091】
以上、図面を参照して実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0092】
この出願は、2019年9月12日に出願された日本出願特願2019-165939号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0093】
10 発光装置
100 基板
102 第1面
104 第2面
110 第1電極
112 第1配線
120 有機層
120a 有機層
130 第2電極
130a 導電層
132 第2配線
140 発光部
142 発光領域
150 絶縁層
152 第1開口
154 第2開口
160 隔壁
162 第5側面
164 第6側面
166 第3上面
210 封止層
220 樹脂層
222 上面
310 第1構造体
312 第1側面
314 第2側面
316 第1上面
320 第2構造体
322 第3側面
324 第4側面
326 第2上面
400 レジスト膜
410 保護層