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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139529
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/012 20060101AFI20230927BHJP
   G11B 5/09 20060101ALI20230927BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20230927BHJP
   G11B 20/12 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G11B5/012
G11B5/09 301
G11B5/09 331
G11B5/09 311Z
G11B5/09 108
G11B20/10 301Z
G11B20/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045105
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 郁子
【テーマコード(参考)】
5D044
【Fターム(参考)】
5D044BC01
5D044CC04
5D044DE03
5D044DE37
5D044DE38
5D044DE46
5D044DE96
5D044EF03
(57)【要約】
【課題】SMR方式でライト処理を実行している場合に、適切にディスク状態のチェックを実行する。
【解決手段】ディスク装置は、磁気ディスクと、コントローラとを備える。磁気ディスクは、SMRによって隣接するトラック同士の一部を重ねてデータを記録する領域であるSMR領域を有する。コントローラは、所定のタイミングで、磁気ディスクのライトポインタより後の箇所にダミーデータをライトして、ダミーデータをライトした後にスキャン処理を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SMR(Shingled Magnetic Recording)によって隣接するトラック同士の一部を重ねてデータを記録する領域であるSMR領域を有する磁気ディスクと、
所定のタイミングで、前記磁気ディスクのライトポインタより後の箇所にダミーデータをライトして、前記ダミーデータをライトした後にスキャン処理を実行するコントローラと、を備えるディスク装置。
【請求項2】
前記タイミングは、スキャン処理を実行する前である、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記タイミングは、一度スキャン処理を実行した結果、前記磁気ディスクのリードエラーが発生した箇所が、前記ライトポインタより後の箇所であると判断したタイミングである、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記磁気ディスクのライトポインタの後方の隣接箇所におけるリトライ処理を制限する、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記磁気ディスクのライトポインタの後方の隣接箇所に前記ダミーデータをライトした場合、リトライ制限数を減らす、請求項4に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記磁気ディスクのライトポインタより、所定トラック以上後ろの箇所にダミーデータをライトする、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記ディスク装置は、隣接するトラックが重ならないようにデータを記録する領域であるCMR(Conventional Magnetic Recording)領域をさらに有する、請求項1に記載のディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置用の記憶装置として、磁気ディスク装置が多く使用されている。磁気ディスク装置における磁気ディスクに記録するデータの記録密度向上のための技術として、近年、SMR(Shingled Magnetic Recording)と称される技術の開発が進められている。SMRは、データの記録の仕方から、瓦記録方式とも呼ばれる。
【0003】
磁気ディスクには、同心円状に複数のトラックが設けられる。SMR方式では、磁気ディスクへデータをライト(書き込み)する際に、隣接するトラック同士の一部を重ねる。これにより、トラックピッチを狭くし、記録密度を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9383923号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディスクの状態をチェックするために、セルフテストが実行される。このセルフテストは、例えば、リードエラーの有無を判断するスキャン処理である。SMR方式では、ライトポインタの位置以降は、実際にリード・ライト不可でない場合でもエラーが発生してしまい、適切にディスク状態のチェックを実行することができない。
【0006】
一つの実施形態は、SMR方式でライト処理を実行している場合に、適切にディスク状態のチェックを実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施形態によれば、ディスク装置は、磁気ディスクと、コントローラとを備える。磁気ディスクは、SMRによって隣接するトラック同士の一部を重ねてデータを記録する領域であるSMR領域を有する。コントローラは、所定のタイミングで、磁気ディスクのライトポインタより後の箇所にダミーデータをライトして、ダミーデータをライトした後にスキャン処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態にかかる磁気ディスク装置の構成の一例を示す模式的な図である。
図2図2は、第1の実施形態にかかるSMRの方式を説明するための模式的な図である。
図3図3は、第1の実施形態にかかるライトポインタとトラックとの位置関係の一例を示す模式的な図である。
図4図4は、第1の実施形態にかかる全面スキャン処理のフローチャートである。
図5図5は、第2の実施形態にかかる全面スキャン処理のフローチャートである。
図6図6は、第3の実施形態にかかるライトポインタとトラックとの位置関係の一例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる磁気ディスク装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる磁気ディスク装置および磁気ディスク装置の制御方法を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の磁気ディスク装置1の構成の一例を示す図である。
【0012】
磁気ディスク装置1は、ホスト40に接続される。磁気ディスク装置1は、ホスト40からアクセス要求を受信することができる。データをライトするためのライト要求やデータをリードするためのリード要求などが、ここでいうアクセス要求に該当する。
【0013】
磁気ディスク装置1は、磁気ディスクであるディスク媒体11を備える。磁気ディスク装置1は、アクセス要求に応じてディスク媒体11にデータをライトしたりディスク媒体11からデータをリードしたりする。
【0014】
磁気ディスク装置1は、磁気ヘッド22を介してディスク媒体11にデータをライトし、磁気ヘッド22を介してディスク媒体11からデータをリードする。具体的には、磁気ディスク装置1は、ディスク媒体11、スピンドルモータ12、モータドライバ21、磁気ヘッド22、アクチュエータアーム15、ボイスコイルモータ(VCM)16、ランプ13、プリアンプ24、リードライトチャネル(RWC)25、バッファメモリ29、および制御回路30を備える。制御回路30は、ハードディスクコントローラ(HDC)23、およびプロセッサ26を備える。
【0015】
ディスク媒体11は、スピンドルモータ12により、回転軸を中心に所定の回転速度で回転される。スピンドルモータ12の回転は、モータドライバ21により駆動される。
【0016】
磁気ヘッド22は、それに備わるライト素子22wおよびリード素子22rにより、ディスク媒体11に対してデータのライトやリードを行う。また、磁気ヘッド22は、アクチュエータアーム15の先端にあって、モータドライバ21によって駆動されるVCM16により、ディスク媒体11の径方向に沿って移動される。ディスク媒体11の回転が停止しているときなどは、磁気ヘッド22は、ランプ13上に移動される。
【0017】
プリアンプ24は、リード動作時に、磁気ヘッド22がディスク媒体11からリードした信号を増幅して出力し、RWC25に供給する。また、プリアンプ24は、RWC25から供給されたディスク媒体11にデータをライトするための信号を増幅して、磁気ヘッド22に供給する。
【0018】
制御回路30は、ライト処理およびリード処理を実行する。また、制御回路30は、ライトポインタを管理して、当該ライトポインタに基づいてライト処理を実行する。ライトポインタは、ライトされたデータの末尾に後続する位置の論理アドレスを示す。ライトポインタが示す位置に対して次のライトが実行される。制御回路30は、RAM27、FROM28、バッファメモリ29、またはRWC25など、他の要素を含んでいてもよい。制御回路30は、コントローラの一例である。
【0019】
HDC23は、I/Fバスを介してホスト40との間で行われるデータの送受信の制御や、バッファメモリ29の制御、ならびに、リードされたデータの誤り訂正処理などを行う。
【0020】
バッファメモリ29は、ホスト40との間で送受信されるデータのバッファとして用いられる。バッファメモリ29は、特に、ディスク媒体11にライトされるデータを一時記憶するために用いられる。
【0021】
バッファメモリ29は、例えば、高速な動作が可能な揮発性メモリによって構成される。バッファメモリ29を構成するメモリの種類は、特定の種類に限定されない。バッファメモリ29は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)によって構成され得る。
【0022】
RWC25は、HDC23から供給される、ディスク媒体11にライトされるデータをコード変調してプリアンプ24に供給する。また、RWC25は、ディスク媒体11からリードされプリアンプ24から供給された信号をコード復調してデジタルデータとしてHDC23へ出力する。
【0023】
プロセッサ26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ26には、RAM27、FROM(Flash Read Only Memory)28およびバッファメモリ29が接続されている。
【0024】
RAM27は、例えばDRAMやSRAMによって構成される。RAM27は、プロセッサ26によって動作用のメモリとして使用される。RAM27は、ファームウェア(プログラムデータ)がロードされる領域や、各種の管理データが保持される領域として使用される。
【0025】
FROM28は、不揮発性メモリの一例である。プロセッサ26は、FROM28およびディスク媒体11に予め記憶されたファームウェアに従って、この磁気ディスク装置1の全体的な制御を行う。例えば、プロセッサ26は、FROM28およびディスク媒体11に予め記憶されたファームウェアをRAM27にロードし、ロードされたファームウェアに従って、モータドライバ21、プリアンプ24、RWC25、HDC23などの制御を実行する。
【0026】
なお、ディスク媒体11は、SMR(Shingled Magnetic Recording)と呼ばれる方式でデータがライトされるSMR領域を有する。ここで、図2を用いてSMR方式について説明する。
【0027】
図2は、第1の実施形態にかかるSMRの方式を説明するための模式的な図である。SMRは、各トラックと隣接するトラックの一部とが重なるように、ライト素子22wによってデータをライトする記録方式である。
【0028】
例えば、トラック#2は、トラック#1に一部が重なる。また、トラック#3は、トラック#2に一部が重なる。即ち、SMRによれば、1つのトラックが、すでにデータがライトされた隣接トラックの一部に重なることが繰り返される。
【0029】
これによって、各トラックのトラックピッチ(TP)が磁気ヘッド22のライト素子22wのコア幅(WHw)よりも狭められる。その結果、記録密度の向上が実現する。
【0030】
なお、図2は、ディスク媒体11のアウター側からインナー側に向かってライトが行われる場合の各トラックの様子を示している。ライトの方向は、これに限定されない。ディスク媒体11のインナー側からアウター側に向かってライトが行われてもよい。
【0031】
なお、磁気ディスク装置1の制御回路30は、所定のタイミングでスキャン処理を実行する。スキャン処理とは、ディスク媒体11に記録されている媒体データの記録状態を検査する処理である。媒体データの記録状態を検査する処理として、BMS(Background Medium Scan)処理またはATI(Adjacent Track Interference)対策処理を例示することができる。BMS処理は、アイドル期間中にBackground Taskとして、全ユーザデータ中のLBAをシーケンシャルにスキャンし、将来不良セクタになる可能性があるセクタを早期に検出する処理である。ATI処理は、ディスク媒体11へのデータライト動作により発生するサイドイレーズなどの影響をデータの書き直しにより修復し、データの消失を防ぐ処理である。このとき、BMS処理またはATI対策処理の開始時間でなくても、閑散期であれば、BMS処理またはATI対策処理を実施できるようにしてもよい。
【0032】
SMRの領域に対してスキャン処理を実行する場合、最後にライトしたトラックの次のトラックは、メディア上問題あるわけではないが、リードエラーとなる。これは、1つのトラックが、すでにデータがライトされた隣接トラックの一部に重なることが繰り返されるという特性によるものである。よって、メディア上問題無いにも関わらずエラーが発生していると出力してしまうことになってしまう。
【0033】
そこで、SMR方式でライト処理を実行している場合に、メディア上問題無いにも関わらずエラーが発生していると出力してしまうことを回避して、適切にディスク状態のチェックを実行する。
【0034】
第1の実施形態にかかる磁気ディスク装置1では、制御回路30が、スキャン処理を実行する際に、ライトポインタを参照して、当該ライトポインタより後をダミーデータでライトした後にスキャン処理を実行する。
【0035】
制御回路30は、スキャン処理を実行するタイミングにおいて、ライトポインタの位置を特定する。そして、制御回路30は、ライトポインタの位置より後のトラックに対してダミーデータをライトする。
【0036】
ここで、図3にライトポインタと、トラックとの位置関係を示す。制御回路30は、外周側(outer side)から内周側(inner side)へライトする。図3では、ライトポインタWPが、トラックTR5の位置を示しているものとする。この場合に、制御回路30は、トラックTR6以降のトラックにダミーデータをライトする。その後で、制御回路30は、全体をスキャン処理する。この場合、ライトポインタWPの位置以降にデータがライトされた状態になるため、メディアに問題が無いにも関わらずリードエラーが発生してしまうことを回避することができる。
【0037】
図4は、第1実施形態におけるスキャン処理のフローチャートである。制御回路30は、全面スキャンタイミングである場合に(ステップS1:Yes)、ライトポインタWPを特定する(ステップS2)。続いて、制御回路30は、ライトポインタWP以降のトラックにダミーデータをライトする(ステップS3)。そして、制御回路30は、全面スキャンを実行する(ステップS4)。
【0038】
第1実施形態にかかる磁気ディスク装置1は、SMRの領域に対して全面スキャン処理を実行する前に、ライトポインタWPより後ろの箇所にダミーデータをライトして、ダミーデータをライトした後にスキャン処理を実行する。
【0039】
この場合、磁気ディスク装置1は、ライトポインタWPより後ろの箇所にダミーデータをライトした後に、スキャン処理を実行するので、メディア上問題あるわけではないのに最後にライトしたトラックの次のトラックがリードエラーとなることを回避することができる。すなわち、磁気ディスク装置1は、SMR方式でライト処理を実行している場合に、適切にディスク状態のチェックを実行することができる。
【0040】
(第2実施形態)
第2実施形態では、スキャン処理を実行し、リードエラーが発生した箇所が、ライトポインタより後の箇所である場合、その箇所にダミーデータをライトして再度スキャン処理を実行するものである。磁気ディスク装置1の構成は、第1実施形態と共通する。
【0041】
図5は、第2実施形態におけるスキャン処理のフローチャートである。制御回路30は、全面スキャンを実行する(ステップS11)。制御回路30は、全面スキャンを実行した結果、リードエラーの有無を判断する(ステップS12)。リードエラーが無い場合(ステップS12:No)、処理を終了する。一方、リードエラーがある場合(ステップS12:Yes)、制御回路30は、ライトポインタを特定する(ステップS13)。
【0042】
そして、制御回路30は、リードエラー箇所がライトポインタより後ろであるか否かを判断する(ステップS14)。リードエラー箇所がライトポインタより後ろである場合、メディア上問題あるわけではないが、リードエラーとなってしまった可能性がある。そこで、リードエラー箇所がライトポインタより後ろである場合(ステップS14:Yes)、制御回路30は、ライトポインタ以降にダミーデータをライトする(ステップS15)。そして、制御回路30は、全面スキャンを再実行する(ステップS16)。
【0043】
なお、ステップS14において、リードエラー箇所がライトポインタより後ろでない場合(ステップS14:No)、メディア上問題があることによりリードエラーとなっていると考えられるため、制御回路30は、リードエラー出力する(ステップS17)。
【0044】
第2実施形態にかかる磁気ディスク装置1は、一度全面スキャン処理を実行した結果、リードエラー箇所がある場合に、リードエラー箇所がライトポインタより後ろの箇所である場合にその箇所にダミーデータをライトして全面スキャン処理を再実行する。この場合、磁気ディスク装置1は、リードエラー箇所がライトポインタWPより後ろであるとき、ライトポインタWPより後ろの箇所にダミーデータをライトした後に、スキャン処理を再実行するので、メディア上問題あるわけではないのに最後にライトしたトラックの次のトラックがリードエラーとなることを回避することができる。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態では、ディスク媒体11が、SMR領域だけでなく、非SMR領域も含む場合においてスキャン処理を実行するものである。ここで、非SMR領域では、CMR(Conventional Magnetic Recording)と呼ばれる方式でデータがライトされる。CMRは、各トラックが重ならないようにライトを行う記録方式である。
【0046】
図6に、SMR領域と、CMR領域とを含むディスク媒体の例を示す。トラックTR11およびトラックTR12が、CMR領域であり、トラックTR13~トラックTR18がSMR領域である。また、制御回路30は、トラックTR11からトラックTR18の方向へライトするものとする。
【0047】
また、ライトポインタWPは、トラックTR16を示しているものとする。この場合、制御回路30は、全面スキャンするタイミングである場合に、ライトポインタWPがトラックTR16を示していることを特定する。続いて、制御回路30は、ライトポインタWP以降のトラックにダミーデータをライトする。そして、制御回路30は、全面スキャンを実行する。
【0048】
第3実施形態にかかる磁気ディスク装置1は、CMR領域を含むディスク媒体についても、全面スキャンするタイミングで、ライトポインタWP以降のトラックにダミーデータをライトして、全面スキャン処理を実行する。この場合、磁気ディスク装置1は、ライトポインタWPより後ろの箇所にダミーデータをライトした後に、スキャン処理を実行するので、メディア上問題あるわけではないのに最後にライトしたトラックの次のトラックがリードエラーとなることを回避することができる。
【0049】
(変形例)
上述の実施形態では、特に述べなかったが、制御回路30はリトライ処理について制御するようにしてもよい。具体的に以下に述べる。制御回路30は、所定のトラックでリード処理を実行した結果、リードエラーが生じた場合、リードエラーが生じたトラックを再度リードする処理(以下、リトライ処理と称する)を実行する。制御回路30は、所定の回数(以下、リトライ閾値と称する)、リトライ処理を実行しても所定のトラックでリードエラーが生じた場合、リードエラーであることを示す信号を出力する。
【0050】
例えば、制御回路30が、リード処理を実行して、リードエラーが生じた場合に、ライトポインタの位置に基づいて各トラックのリトライ処理を制御するようにしてもよい。
【0051】
具体的に、制御回路30は、ライトポインタの位置に隣接するトラックにおけるリトライ処理回数を減らすように制御するようにしてもよい。仮に、ライトポインタの位置に隣接トラックで頻繁にリトライすると、ライトポインタの位置の周囲のトラックのリード処理に悪影響が出ることがある。制御回路30は、ライトポインタの位置に隣接トラックにおけるリトライ回数を制限することで、上記の問題点を解消することができる。
【0052】
より詳細に、制御回路30は、ライトポインタの後方の隣接箇所のトラックにダミーデータをライトした場合、ライトポインタの後方の隣接箇所のトラックにおけるリトライ閾値を減らすように制御する。このように、制御回路30は、ライトポインタの位置に隣接トラックにおけるリトライ回数を減らすことで、周囲のトラックのリード処理に悪影響が出ること回避することができる。
【0053】
また、制御回路30は、ライトポインタの後方の隣接箇所にダミーデータをライトせずに所定トラック離れた位置のトラックからダミーデータをライトするようにしてもよい。この場合、制御回路30は、ライトポインタの位置の周囲のトラックのリード処理に悪影響が出ることを回避することができる。
【0054】
また、上述の実施形態では、磁気ディスク装置1に適用する場合について述べたが、SSD(Solid State Drive)等の他の種々の記憶装置に適用するようにしてもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 磁気ディスク装置、11 ディスク媒体、12 スピンドルモータ、13 ランプ、15 アクチュエータアーム、16 VCM、21 モータドライバ、22 磁気ヘッド、22r リード素子、22w ライト素子、23 HDC、24 プリアンプ、25 RWC、26 プロセッサ、27 RAM、28 FROM、29 バッファメモリ、30 制御回路、40 ホスト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6