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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139862
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/38 20070101AFI20230927BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20230927BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230927BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H02M1/38
H01L25/04 Z
H02M7/48 M
H02M1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045606
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】杉山 亨
【テーマコード(参考)】
5H740
5H770
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
5H740MM12
5H770AA22
5H770GA01
5H770GA06
5H770HA03X
5H770LA02X
5H770LB02
5H770QA01
5H770QA04
5H770QA05
5H770QA06
5H770QA08
(57)【要約】
【課題】安全性を向上させた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板と、デプレッション型の第1トランジスタと、エンハンスメント形の第2トランジスタと、ゲート制御回路と、ゲート端子と、電源端子と、を備える。前記第1トランジスタは、前記基板上に設けられ、第1導電形の窒化物半導体を含むチャネル領域を有する。前記第2トランジスタは、前記基板上において、前記第1トランジスタに直列接続され、前記第1導電形とは反対の極性である第2導電形の反転層を介して動作する。前記ゲート制御回路は、前記基板上において、前記第2トランジスタのゲート電極に接続される。前記ゲート端子は、前記第1トランジスタのゲート電極に電気的に接続される。前記電源端子は、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの間に電気的に接続され、前記ゲート制御回路に電源電圧を供給するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、第1導電形の窒化物半導体を含むチャネル領域を有するデプレッション型の第1トランジスタと、
前記基板上において、前記第1トランジスタに直列接続され、前記第1導電形とは反対の極性である第2導電形の反転層を介して動作するエンハンスメント型の第2トランジスタと、
前記基板上において、前記第2トランジスタのゲート電極に接続されたゲート制御回路と、
前記第1トランジスタのゲート電極に電気的に接続されたゲート端子と、
前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの間に電気的に接続され、前記ゲート制御回路に電源電圧を供給する電源端子と、
前記第1トランジスタと前記第2トランジスタと前記ゲート制御回路とを前記基板上に封止した封止部材と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート制御回路は、前記第2トランジスタのソース・ドレイン間電圧を検出し、前記ソース・ドレイン間電圧が所定値を超えた時、前記第2トランジスタをオフするように構成される請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート制御回路は、前記電源電圧が前記第1トランジスタのしきい値電圧の絶対値以下である時、前記第2トランジスタをオフするように構成される請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電源電圧が前記第1トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも大きい時、前記第2トランジスタをオフするように構成される請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート制御回路は、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとが同時にオン状態とならないように構成される請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート制御回路を含み、前記基板上にマウントされる制御チップをさらに備える請求項1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記封止部材は、前記基板上にモールドされた樹脂を含む請求項1乃至6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体を材料とするトランジスタは、所謂、HEMT(High Electron Mobility Transistor)構造を有し、その多くはデプレッション型である。このため、電力制御用半導体装置には、窒化物半導体トランジスタとエンハンスメント型トランジスタとを直列接続した回路構成を用いることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-540477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、安全性を向上させた半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、基板と、デプレッション型の第1トランジスタと、エンハンスメント型の第2トランジスタと、ゲート制御回路と、ゲート端子と、電源端子と、封止部材と、を備える。前記第1トランジスタは、前記基板上に設けられ、第1導電形の窒化物半導体を含むチャネル領域を有する。前記第2トランジスタは、前記基板上において、前記第1トランジスタに直列接続され、前記第1導電形とは反対の極性である第2導電形の反転チャネルを介して動作する。前記ゲート制御回路は、前記基板上において、前記第2トランジスタのゲート電極に接続される。前記ゲート端子は、前記第1トランジスタのゲート電極に電気的に接続される。前記電源端子は、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの間に電気的に接続され、前記ゲート制御回路に電源電圧を供給するように構成される。前記封止部材は、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタと前記ゲート制御回路とを前記基板上に封止する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す模式平面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図3】第1実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の動作を示す模式図である。
図5】第2実施形態に係る半導体装置を示す模式平面図である。
図6】第2実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置1を示す模式平面図である。半導体装置1は、窒化物半導体、例えば、窒化ガリウム(GaN)を材料とするトランジスタを含む。
【0009】
図1に示すように半導体装置1は、デプレッション型の第1トランジスタTr1と、エンハンスメント型の第2トランジスタTr2と、ゲート制御素子30と、基板40と、を備える。
【0010】
第1トランジスタTr1は、ドレイン電極13と、ゲート電極15と、ソース電極17と、を有する。第1トランジスタTr1は、例えば、電界効果型トランジスタ(FET)であり、第1導電形の窒化物半導体を含むチャネル領域を有する。以下、第1導電形をn形、第2導電形をp形として説明する。
【0011】
第2トランジスタTr2は、ソース電極23と、ゲート電極25と、ドレイン電極27(図2参照)と、を有する。第2トランジスタTr2は、例えば、MOSゲート構造を有し、第1導電形とは反対の極性である第2導電形の反転チャネルを介して動作する。第2トランジスタTr2は、例えば、PMOSトランジスタである。
【0012】
ゲート制御素子30は、ゲート制御回路を含み、第2トランジスタTr2のゲート電極25に電気的に接続される。ゲート制御素子30は、例えば、シリコンICである。ゲート制御素子30は、入力端子31と、出力端子33と、接地端子35と、を有する。なお、実施形態は、この例に限定される訳ではなく、第2トランジスタTr2とゲート制御回路と集積化され、ゲート制御素子30を含まない構成でも良い。
【0013】
基板40は、絶縁ベース41(図2参照)と、マウントベッド43と、マウントベッド45と、を有する。マウントベッド43およびマウントベッド45は、絶縁ベース41上に設けられる。マウントベッド43およびマウントベッド45は、相互に離間して設けられる。第1トランジスタTr1および第2トランジスタTr2は、マウントベッド43上に実装される。ゲート制御素子30は、マウントベッド45上に実装される。
【0014】
基板40は、ソース端子51と、ドレイン端子53と、ゲート端子55と、電源端子57と、接地端子59と、をさらに有する。各端子は、絶縁ベース41上に、相互に離間して配置される。
【0015】
ソース端子51は、例えば、マウントベッド43につながり、マウントベッド43に電気的に接続される。ドレイン端子53は、マウントベッド43および45から離間した位置に設けられ、マウントベッド43および45から電気的に絶縁される。ゲート端子55および電源端子57は、マウントベッド43および45から離間した位置に設けられ、マウントベッド43および45から電気的に絶縁される。接地端子59は、例えば、マウントベッド45上に設けられ、マウントベッド45に電気的に接続される。
【0016】
第1トランジスタTr1のドレイン電極13は、金属ワイヤMW1を介して、ドレイン端子53に電気的に接続される。第1トランジスタTr1のゲート電極15は、金属ワイヤMW2を介して、ゲート端子55に電気的に接続される。
【0017】
第1トランジスタTr1のソース電極17は、金属ワイヤMW3を介して、第2トランジスタTr2のソース電極23に電気的に接続される。また、第1トランジスタTr1のソース電極17は、金属ワイヤMW4を介して、電源端子57に電気的に接続される。すなわち、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2とは直列接続され、電源端子57は、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2との間に電気的に接続される。
【0018】
ゲート制御素子30の入力端子31は、金属ワイヤMW5を介して、電源端子57に電気的に接続される。出力端子33は、金属ワイヤMW6を介して、第2トランジスタTr2のゲート電極25に電気的に接続される。接地端子35は、例えば、金属ワイヤMW7を介して、基板40の接地端子59に電気的に接続される。
【0019】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。図2は、図1中に示すA-A線に沿った断面を示す模式図である。
【0020】
図2に示すように、第1トランジスタTr1および第2トランジスタTr2は、マウントベッド43を介して、絶縁ベース41上に設けられる。絶縁ベース41は、例えば、セラミックもしくは樹脂を含む。マウントベッド43は、例えば、銅(Cu)等を含む金属膜である。
【0021】
第1トランジスタTr1は、接続部材19を介して、マウントベッド43上にマウントされる。接続部材19は、例えば、はんだ材である。第1トランジスタTr1は、半導体部10を含む。ドレイン電極13、ゲート電極15(図1参照)およびソース電極17は、半導体部10の表面上に設けられる。
【0022】
第1トランジスタTr1の半導体部10は、例えば、半導体基板11と、第1導電形のエピタキシャル成長層12と、を含む。半導体基板11は、例えば、低抵抗のシリコン基板である。エピタキシャル成長層12は、半導体基板11上に設けられ、第1導電形の窒化物半導体、例えば、窒化ガリウム(GaN)層および窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層を含む。
【0023】
エピタキシャル成長層12は、例えば、半導体基板11上に設けられるノンドープGaN層と、ノンドープGaN層上のGaNチャネル層と、GaNチャネル層上のAlGaN層と、を含む積層構造を有する。GaNチャネル層とAlGaN層との界面には、例えば、2次元電子ガスが誘起される。すなわち、エピタキシャル成長層12は、GaNチャネル層とAlGaN層とを含むFETのチャネル領域を有する。エピタキシャル成長層12のチャネル領域は、ノンドープGaN層により、低抵抗の半導体基板11およびマウントベッド43から電気的に絶縁される。
【0024】
第2トランジスタTr2は、接続部材29を介して、マウントベッド43上にマウントされる。接続部材29は、例えば、はんだ材である。第2トランジスタTr2は、半導体部20を含む。ソース電極23およびゲート電極25(図1参照)は、半導体部20の表面上に設けられる。第2トランジスタTr2のドレイン電極27は、半導体部20の裏面上に設けられる。ドレイン電極27は、半導体部20と接続部材29との間に位置する。
【0025】
第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2およびゲート制御素子30(図1参照)は、例えば、樹脂部材47により、基板40上に封じられる。樹脂部材47は、例えば、ソース端子51、ドレイン端子53、ゲート端子55、電源端子57および接地端子59のそれぞれの一部を露出するように成形される。なお、実施形態は、この例に限定される訳ではなく、例えば、樹脂封止に代えて、ハーメチック封止される形態でも良い。
【0026】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置1を示す回路図である。図3には、ゲートドライバなどの外部回路も記載されている。
【0027】
図3に示すように、ゲート端子55には、ドライバICを介して、第1トランジスタTr1を駆動する入力信号が供給される。入力信号は、ゲート端子55を介して、第1トランジスタTr1のゲート電極15に供給される。
【0028】
電源端子57には、電源電圧VDDが供給される。電源電圧VDDは、電源端子57を介して、第1トランジスタTr1のソース電極17および第2トランジスタTr2のソース電極23に供給される。また、電源電圧VDDは、ゲート制御素子30の入力端子31にも供給される。
【0029】
ゲート制御素子30は、第1回路37と、第2回路39と、を含む。第1回路37および第2回路39は、ゲート制御回路を構成する。第1回路37は、接地電位に対して第1トランジスタTr1のしきい値電圧Vth1(図4参照)の絶対値より大きい基準電圧Ref1を出力するように構成される。第2回路39は、電源電圧VDDと基準電圧Ref1とを比較し、電源電圧VDDが基準電圧Ref1よりも高いとき、0V(接地電位)を出力する。また、電源電圧VDDが基準電圧Ref1よりも低いとき、電源電圧VDDを出力するように構成される。
【0030】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置1の動作を示す模式図である。図4は、電源電圧VDD、第1トランジスタTr1のゲート電圧VG1および第2トランジスタTr2のゲート電圧VG2のそれぞれの時間変化を示すタイムチャートである。この例では、ゲート端子55への入力信号はないものとしている。
【0031】
図4に示すように、電源電圧VDDは、時間の経過につれて0Vから15Vへ上昇し、15Vから0Vへ低下する。図4は、半導体装置1が実装される電力変換装置への電源投入から電源切断の過程を表している。
【0032】
第1トランジスタTr1のゲート電圧VG1は、電源電圧VDDの上昇と共に低下し、しきい値電圧Vth1より低くなると、第1トランジスタTr1は、オン状態からオフ状態に変化する。さらに、電源電圧VDDの低下と共にゲート電圧VG1は上昇し、ゲート電圧VG1がしきい値電圧Vth1よりも高くなると、第1トランジスタTr1は、オフ状態からオン状態に変化する。この例では、しきい値電圧Vth1は、12.5Vであり、電源電圧VDDは、15Vである。
【0033】
一方、第2トランジスタTr2のゲート電極25には、第2回路39(図3参照)の出力が供給される。電源電圧VDDが基準電圧Ref1よりも低い時、第2回路39からゲート電極25に電源電圧VDDが供給され、ゲート電圧VG2は0Vとなる。基準電位Refは、例えば、13.5Vである。ゲート電圧VG2は、電源電圧VDDと第2回路39の出力との差である。電源電圧VDDが基準電圧Ref1よりも高くなると、第2回路39の出力は0Vになる。このため、ゲート電圧VG2は、-VDDまで低下する。
【0034】
図4に示すように、ゲート電圧VG2は、電源電圧VDDが基準電圧Ref1を超えた時点において0Vから低下し始め、-VDDまで低下する。ゲート電圧VG2が第2トランジスタTr2のしきい値電圧Vth2よりも低くなると、第2トランジスタTr2は、オフ状態からオン状態に変化する。さらに、電源電圧VDDが低下し、ゲート電圧VG2がしきい値電圧Vth2よりも高くなると、第2トランジスタTr2は、オン状態からオフ状態に変化する。
【0035】
続いて、電源電圧VDDが低下し、基準電圧Ref1よりも小さくなると、第2回路39から第2トランジスタTr2のゲート電極25に電源電圧VDDが供給され、ゲート電圧Vth2は0Vになる。その後、電源電圧VDDが第1トランジスタTr1のしきい値電圧Vth1の絶対値よりも小さくなると、第1トランジスタTr1は、オフ状態からオン状態へ変化する。
【0036】
このように、ゲート制御素子30により、第1トランジスタTr1がオン状態の時、第2トランジスタTr2がオン状態にならないように制御される。基準電圧Ref1を第1トランジスタTr1のしきい値電圧の絶対値よりも大きい値に設定することにより、第2トランジスタTr2のゲート電極25にゲート電圧Vth2が供給されるタイミングを遅らせることができる。また、第2トランジスタTr2のゲート電極25に供給されるゲート電圧Vth2を0Vにするタイミングを、第1トランジスタTrがオン状態となるタイミングよりも早くできる。これにより、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2とが同時にオン状態となることを回避し、半導体装置1を安全に動作させることができる。
【0037】
なお、半導体装置1は、ゲート制御素子30により、第1トランジスタTr1がオフ状態にあり、第2トランジスタTr2がオン状態にある期間内において、ゲート端子55に供給される入力信号よりスイッチング動作を行う。
【0038】
実施形態に係る半導体装置1は、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2およびゲート制御素子30を、絶縁ベース41と樹脂部材47とで構成されるパッケージ内に収容することにより、例えば、金属ワイヤMW1~MW9のそれぞれの長さを短くすることができる。これにより、寄生インダクタンスを抑制し、外部雑音に起因するゲート制御素子30の誤動作を防ぐことができる。すなわち、半導体装置1をより安全に動作させることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る半導体装置2を示す模式平面図である。半導体装置2は、半導体装置1のゲート制御素子30に代えて、ゲート制御素子60を備える。
【0040】
ゲート制御素子60は、入力端子61と、出力端子63と、接地端子65と、第1モニタ端子67と、第2モニタ端子69と、を有する。
【0041】
図5に示すように、入力端子61は、金属ワイヤMW5を介して、電源端子57に電気的に接続される。出力端子63は、金属ワイヤMW6を介して、第2トランジスタTr2のゲート電極25に電気的に接続される。接地端子65は、金属ワイヤMW7を介して、基板40の接地端子59に電気的に接続される。
【0042】
第1モニタ端子67は、金属ワイヤMW8を介して、第2トランジスタTr2のソース電極23に電気的に接続される。第2モニタ端子69は、金属ワイヤMW9を介して、マウントベッド43に電気的に接続される。ゲート制御素子60は、出力端子63から第2トランジスタTr2のゲート電極25にゲート電圧を供給すると共に、第1モニタ端子67および第2モニタ端子69により、第2トランジスタTr2のドレイン・ソース間電圧を監視するように構成される。
【0043】
図6は、第2実施形態に係る半導体装置2を示す回路図である。半導体装置2においても、第1トランジスタTr1および第2トランジスタTr2は直列接続され、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2との間に、電源電圧VDDが供給される。第1トランジスタTr1のゲート電極15には、外部から入力信号が供給される。
【0044】
ゲート制御素子60は、第1回路71と、第2回路73と、第3回路75と、第4回路77と、第5回路79と、を含む。
【0045】
第1回路71は、接地電位に対して第1トランジスタTr1のゲートしきい値電圧Vth1の絶対値より大きい基準電圧Ref1を出力するように構成される。
【0046】
第2回路73は、基準電圧Ref1と電源電圧VDDとを比較し、その結果に対応した電圧を出力する。例えば、電源電圧VDDが基準電圧Ref1よりも低い時、第2回路73は、Low電位を出力し、電源電圧VDDが基準電圧Ref1よりも高くなると、第2回路73は、High電位を出力する。
【0047】
第3回路75は、第2モニタ端子69を介してマウントベッド43に電気的に接続される。第3回路75は、マウントベッド43の電位に対応する所定の基準電圧Ref2を出力する。基準電圧Ref2は、例えば、第2トランジスタTr2に流れる過電流に対応する電圧である。
【0048】
第4回路77は、第1モニタ端子67(図5参照)を介して、第2トランジスタTr2のソース電極23に電気的に接続される。第4回路77は、第2トランジスタTr2のソース電極23の電圧と基準電圧Ref2とを比較し、その結果を出力する。例えば、ソース電極23の電圧が基準電圧Ref2よりも高くなれば、第4回路77は、High電位を出力する。また、ソース電極23の電圧が基準電圧Ref2よりも低くなれば、第4回路77は、Low電位を出力する。
【0049】
第5回路79は、第2回路73および第4回路75の出力を受けて、それらに対応した出力を、出力端子63を介して、第2トランジスタTr2のゲート電極25に供給する。
【0050】
第2回路73の出力がHighとなり、第3回路75の出力がHighであれば、第5回路79はVDDを出力し、第2トランジスタTr2をオフする。
【0051】
第2回路73の出力がHighとなり、第3回路75の出力がLowであれば、第5回路79の出力は0Vとなり、第2トランジスタTr2をオンする。
【0052】
第2回路73の出力がLowとなり、第3回路75の出力がHighであれば、第5回路79はVDDを出力し、第2トランジスタTr2をオフする。
【0053】
第2回路73の出力がLowとなり、第3回路75の出力がLowであれば、第5回路79はVDDを出力し、第2トランジスタTr2をオフする。
【0054】
半導体装置2では、ゲート制御素子60による上記の制御により、例えば、過電流を遮断することができる。これにより、半導体装置2をより安全に動作させることができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1、2…半導体装置、 10、20…半導体部、 11…半導体基板、 12…エピタキシャル成長層、 13、27…ドレイン電極、 15、25…ゲート電極、 17、23…ソース電極、 19、29…接続部材、 30、60…ゲート制御素子、 31、61…入力端子、 33、63…出力端子、 35、65…接地端子、 37、71…第1回路、 39、73…第2回路、 40…基板、 41…絶縁ベース、 43、45…マウントベッド、 47…樹脂部材、 51…ソース端子、 53…ドレイン端子、 55…ゲート端子、 57…電源端子、 59…接地端子、 67…第1モニタ端子、 69…第2モニタ端子、 75…第3回路、 77…第4回路、 79…第5回路、 MW1~MW9…金属ワイヤ、 Tr1…第1トランジスタ、 Tr2…第2トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6