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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139964
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】測距装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20230927BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G01C3/06 110A
G01S7/481 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045774
(22)【出願日】2022-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100196601
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 祐市
(72)【発明者】
【氏名】大畑 篤
(72)【発明者】
【氏名】野田 英希
(72)【発明者】
【氏名】柿本 剛
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA10
2F112CA12
2F112DA19
2F112DA25
2F112DA28
2F112DA32
2F112EA05
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA45
5J084AA05
5J084BA01
5J084BA20
5J084BA31
5J084BB10
5J084BB20
5J084DA05
5J084EA04
5J084EA31
(57)【要約】
【課題】本開示は、測距装置と電子機器を提供する。
【解決手段】本開示の測距装置は、投光光学系と受光光学系を含み、前記投光光学系は、第一の基板上に配置される第一のレンズユニットと前記第一の基板と異なる第三の基板上に配置される発光光源とを含み、前記受光光学系は、第二の基板上に配置される第二のレンズユニットと前記第二の基板と異なる第四の基板上に配置される受光素子とを含み、前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットとの参照波長は、同一である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距装置であって、投光光学系と受光光学系を含み、
前記投光光学系は、第一の基板上に配置される第一のレンズユニットと前記第一の基板と異なる第三の基板上に配置される発光光源とを含み
前記受光光学系は、第二の基板上に配置される第二のレンズユニットと前記第二の基板と異なる第四の基板上に配置される受光素子とを含み、
前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットとの参照波長は、同一であることを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記第一の基板と第二の基板は、いずれも透明基板であり、
前記第三の基板と第四の基板は、同一のものであり、前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットは、それぞれメタレンズ又は膜レンズ又は液体レンズ又は、液晶レンズを含むことを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記第一の基板と第二の基板の線膨張係数は、所定の閾値より小さいことを特徴とする請求項2に記載の測距装置。
【請求項4】
前記第一の基板と第二の基板の線膨張係数は、3×10-5/℃以下より小さいことを特徴とする請求項3に記載の前測距装置。
【請求項5】
前記第二の基板と第四の基板の間に、所定の波長範囲の光線のみを透過するバンドパスフィルタが設置されることを特徴とする請求項2に記載の測距装置。
【請求項6】
前記第一の基板及び/又は第二の基板は、所定の波長範囲の光線のみを透過することを特徴とする請求項2に記載の測距装置。
【請求項7】
前記第一の基板と第二の基板は、異なるものであるか、或いは、前記第一の基板と第二の基板は、同一基板の異なる部分であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の測距装置。
【請求項8】
少なくとも、前記第一の基板と第二の基板の境界部に遮光用マスクが貼り付けられるか、或いは、少なくとも、前記第一の基板と第二の基板の境界部に遮光材が塗布され、前記境界部は、前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットとの間に位置することを特徴とする請求項7に記載の測距装置。
【請求項9】
前記第三の基板の発光光源と第四の基板の受光素子の間に遮光用の壁が建てられることを特徴とする請求項8に記載の測距装置。
【請求項10】
前記第一の基板と第二の基板は、異なるものである場合に、前記第一の基板と第二の基板が、直接に接着接続され、且つ少なくとも、前記第一の基板と第二の基板の間の接着面に遮光用マスク或いは遮光材が配置されることを特徴とする請求項7に記載の測距装置。
【請求項11】
前記受光素子の受光時間と前記発光光源の発光時間がずらされていることを特徴とする請求項7に記載の測距装置。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の測距装置を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学素子技術領域に係る。具体的に、測距装置及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
被写体の位置、形状の検出を目的とする測距装置は、一般に発光素子、投光光学系、受光素子、受光光学系を含む。ここで、投光光学系と受光光学系は、それぞれ単独に構成され、且つ近接に設置される。例えば、発光素子として、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)を採用し、受光素子として、PSD(Position Sensitive Detectors、位置検出素子)、CMOSを採用する測距装置がある。また、発光素子として、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を採用し、受光素子として、CMOSなどを採用し、発光と受光ともに、近赤外線であり、それぞれの光学系が、複数のレンズ、光学素子からなる測距装置などがある。これらの測距装置は工場の検査やロボットの位置検出、スマートフォンやタブレット端末等で採用されている。
【0003】
測距装置の投光光学系、受光光学系のそれぞれを複数枚のレンズで構成する場合、例えば測距距離をより拡大しようとする場合、受光強度の確保の為に受光光学系のFno(レンズの明るさを示す数値)をより明るくする必要があるが、この場合、レンズすなわち測距装置が大型化し、測距装置を搭載する製品サイズにも直結する。また、従来技術において、図1に示すように、投光光学系、受光光学系をそれぞれ独立の光学系として、レンズ1A~3Aを投光光学系の樹脂枠に取り付け配置し、レンズ1B~3Bを受光光学系の樹脂枠に取り付け配置する場合、装置の光軸方向だけでなく面積方向の小型化にも限界がある。
【0004】
また、従来技術において、測距装置の光学系にメタレンズを採用する案も提案されているが、投光光学系のみに適用した案であり、受光光学系も含む測距装置全体としての小型化、高精度化、環境変化に対する信頼性向上、最適化に対しては更なる改善の余地がある。
【0005】
更に受光素子の結像点の間隔から距離を算出する測距装置の場合、発光素子と受光素子の相対的な位置と傾きの精度が測距精度に大きく影響を与える。例えば外部環境変化(温湿度変化)による樹脂枠の変形や樹脂枠の取り付け板の変形の影響で投光光学系、受光光学系の相対的なシフト・チルト変化が発生し、その変化が測距精度に大きく影響する問題がある。対策として煩雑なキャリブレーションや樹脂枠材料の線膨張係数を配慮して特殊な材料にする、発光素子を増やす等の対策が必要であった。
例えば、投光光学系と受光光学系の間が線膨張係数70ppm/℃の樹脂で構成され、距離が5mmの場合、温度が30℃変化すると、投光/受光系間隔変化が70×10-6×5×30=10.5×10‐3(mm)発生する。発光素子や受光素子の基板の線膨張係数は、樹脂枠の略1/10程度であり、温度変化時の結像点の位置ずれは、ほぼ上記の投光/受光系間隔変化量で決まる。
【0006】
上記の温度変化時の結像点の位置ずれが、そのまま測距誤差となり、環境変化時対象距離の検出誤差に直結する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の少なくともの一つの実施例は、測距装置の小型化及び/温湿度変化による測距精度低下を抑制できる測距装置及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するために、本開示は、以下のように実現される。
第一の態様として、本開示実施例は、測距装置であって、投光光学系と受光光学系を含み、
前記投光光学系は、第一の基板上に配置される第一のレンズユニットと前記第一の基板と異なる第三の基板上に配置される発光光源とを含み、
前記受光光学系は、第二の基板上に配置される第二のレンズユニットと前記第二の基板と異なる第四の基板上に配置される受光素子とを含み、
前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットとの参照波長は、同一である。
前記第1の基板と第2の基板は異なる樹脂枠を介在しないで接着固定される。
第一の態様として、本開示実施例は、電子機器であって、前記第一の態様の前記測距装置を含む。
【発明の効果】
【0009】
従来技術に比べて、本開示実施例に提供される測距装置及び電子機器は、投光用メタレンズと受光用メタレンズを異なる樹脂枠を介在しないで配置するため、光学系の光軸方向の厚みが大幅に減少されるのみではなく、光軸方向と垂直の断面積も小型化できる。また、本開示実施例は、温湿度変化による測距精度低下を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来技術による測距装置の構造概念図である。
図2】本開示実施例による測距装置の構造概念図である。
図3】本開示実施例による測距装置の別の構造概念図である。
図4】本開示実施例による測距装置の別の構造概念図である。
図5】本開示実施例による測距装置の別の構造概念図である。
図6】本開示実施例による測距装置の別の構造概念図である。
図7】本開示実施例による測距装置の別の構造概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施例の図面とともに、本開示の実施例の技術手段を明確且つ完全的に記載する。明らかに、記載する実施例は、本開示の実施例の一部であり、全てではない。本開示の実施例に基づき、当業者が創造性のある作業をしなくても為しえる全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属するものである。
【0012】
本開示の明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」などは、類似した対象を区別するためのものであり、必ずしも特定の順序又は優先順位を説明するためのものではない。ここで説明した本開示の実施例が、例えばここでの図示又は説明以外の順序でも実施できるように、このように使用されたデータは、適宜入れ替えてもよいと理解すべきである。尚且つ、用語「第1」、「第2」などにより区別される対象は、通常同種なものであり、対象な数を限定しない。例えば、第一対象は、一つでもよく、複数でもよい。なお、明細書及び特許請求の範囲における「及び/又は」は、接続対象の少なくとも1つを表す。文字「/」は、一般に、前後関連な対象が「或いは」の関係となることを示す。
【0013】
本開示実施例による測距装置は、測距装置の小型化と温湿度変化による測距精度低下を抑制できる。投光・受光光学系のレンズの代わりに、光学系を提供する。具体的に、少なくとも1枚の透明基板にナノスケール(nano scale)の異なる微細構造の投光光学系と受光光学系のメタレンズを配置し、各光学系の光軸方向の厚みと断面積を小型化する。また、本開示実施例では、投光・受光レンズを異なる樹脂枠を介在しないで配置するため、温湿度変化による相対的なシフト・チルト誤差や画角変化、歪曲変化も抑制して、環境変化による測距精度低下を抑制する。例えは、通常の樹脂枠の線膨張係数70ppm/℃程度に対して、透明基板を例えば光学ガラスのBK7にすると7.5ppm/℃程度となり、温度変化による投光・受光間隔変化を略1/10程度にすることが可能となる。
【0014】
本開示実施例による測距装置は、投光光学系と受光光学系を含む。ここで、前記投光光学系は、第一の基板上に配置される第一のレンズユニットを含み、前記受光光学系は、第二の基板上に配置される第二のレンズユニットを含む。
【0015】
前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットとの参照波長は、同一である。前記第一の基板と第二の基板は、いずれも透明基板である。
【0016】
また、前記第一の基板と第二の基板の線膨張係数は、一般に、所定の閾値より小さく、例えば、前記第一の基板と第二の基板の線膨張係数は一般に、いずれも樹脂材料より小さい値である。樹脂枠材の線膨張係数が一般に7×10-5/℃程度なので、閾値として5×10-5/℃を想定すればよい。オプションとして、前記第一の基板と第二の基板の線膨張係数は、一般に、いずれも3×10-5/℃より小さければより好ましい。前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットが、それぞれ、複数の微細構造のレンズをそれぞれ含むことができる。このレンズは、具体的に、メタレンズ又は膜レンズ又は液体レンズ又は液晶レンズなどであってもよい。
【0017】
前記投光光学系は、前記第一の基板と異なる第三の基板上に配置される発光光源を更に含む。前記受光光学系は、前記第二の基板と異なる第四の基板上に配置される受光素子を更に含む。
【0018】
本開示実施例において、前記第一の基板と第二の基板は、同一なもの、或いは、異なるものであってもよい。前記第三の基板と第四の基板も、同一なもの、或いは、異なるものであってもよい。
【0019】
図2は、前記第一の基板と第二の基板は、異なるものであり、且つ前記第三の基板と第四の基板も異なるものである場合を示す。このとき、第一の基板21に投光用の第一のレンズユニット25が配置され、前記第二の基板22に受光用の第二のレンズユニット26が配置され、前記第三の基板23に発光光源が配置され、前記第四の基板24に受光素子が配置される。また、前記第1の基板21と第2の基板22は異なる樹脂枠を介在しないで接着固定される。
【0020】
図3は、前記第一の基板と第二の基板は、同一なものであり、且つ前記第三の基板と第四の基板も同一なものである場合を示す。このとき、前記第一の基板と第二の基板は、それぞれ基板201の異なる部分である。例えば、基板201の第一部分に第一のレンズユニット25が配置され、基板201の第二部分に第二のレンズユニット26が配置される。前記第三の基板と第四の基板は、それぞれ基板203の異なる部分である。例えば、基板203の第一部分に発光光源が配置され、前記基板203の第二部分に受光素子が配置される。
【0021】
以上の実施例は、複数の微細構造を持つ投光用メタレンズと受光用メタレンズを同一或いは異なる透明基板に配置して、各メタレンズが同様な参照波長で設計されて、発光光源と受光素子を上記の透明基板と異なる基板に配置する。このように、本開示実施例の上記構造に、投光用メタレンズと受光用メタレンズを異なる保持枠を介さずに設置するため、光学系の光軸方向の厚みを大幅に削減するだけでなく、光軸方向に垂直の断面積も小型化できる。また、保持枠が樹脂製の場合、投光用レンズと受光用レンズの相対的な位置精度を向上させようとすると保持枠位置の調整等が必要だが、本開示実施例では、同一基板にメタレンズが配置されると、この相対的な位置精度は、メタレンズを作成する機器の精度によるため、調整なしで、超高精度を実現できる。
【0022】
さらに、上記基板は、例えば、樹脂枠の線膨張係数より小さい基板を用いるため、温湿度変化による投光レンズ、受光レンズの相対的なシフト・チルトは、樹脂枠を介する場合に比べて、大幅に抑制される。
測距への不要な光の影響を削減するために、本開示実施例が、前記第二の基板と第四の基板の間に、所定の波長範囲の光線のみを透過させるバンドパスフィルタが設置される。例えば、図2において、第一の基板22と第二の基板24の間にバンドパスフィルタを配置し、図3において、基板201の第二の部分と基板203の第二の部分の間にバンドパスフィルタを配置することで、所定の波長範囲の光線のみがバンドパスフィルタを透過して受光素子に達する。
【0023】
別の実現方式として、第二のレンズユニットを配置する第二の基板は、所定の波長範囲の光線のみを透過させる。このとき、第二の基板も上記のバンドパスフィルタの機能を実現できる。図4に示すように、第二の基板22は、所定の波長範囲の光線のみを透過させるバンドパスフィルタの機能を有する。図5に示すように、基板203は、所定の波長範囲の光線のみを透過させるバンドパスフィルタの機能を有する。当然のこと、ここで、基板203の第二の部分のみで上記のバンドパスフィルタの機能を実現してもよい。当然のこと、図4において、前記の第一の基板21と第二の基板の少なくとも一つは、上記のバンドパスフィルタの機能を有する。
【0024】
上記基板に特定の波長の光線のみを透過させる波長選択機能(バンドパスフィルタに相当する)を実現することで、本開示実施例は、測距への不要な光線の干渉を削減することができる。例えば、測距装置の発光光源は、通常、測距装置に隣接して配置される撮像カメラへの影響をなくすために特定の近赤外波長光源を採用するが、この場合、受光用メタレンズも特定の近赤外波長を参照波長として設計される。しかし、受光素子には発光光源からの近赤外光の被写体からの反射光だけではなく、通常の外部光も入射する。前記基板にこれらの外部光を除去させるバンドパスフィルタ機能を持たせることで、外部光による受光ノイズを抑制し、測距精度をより改善させることが可能となる。また、前記基板にフィルタ機能を持たせることで、図2或いは図3より1部品削減でき、コスト及び厚み方向のサイズダウンをより進めることが可能となる。
【0025】
投光光学系と受光光学系との間の光線干渉を削減するために、本開示実施例は、更に、少なくとも、前記第一の基板と第二の基板の境界部に遮光用マスクが貼り付けられるか、或いは、少なくとも、前記第一の基板と第二の基板の境界部に遮光材が塗布される。前記境界部は、前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットとの間に位置する。さらに、前記第三の基板の発光光源と前記第四の基板の受光素子の間に遮光用の壁が建てられてもよい。
【0026】
例えは、前記第一の基板と前記第二の基板が同一基板である場合に、図6に示すように、第一のレンズユニット25と第二のレンズユニット26が同一基板201に設置される。上記基板201は、第一のレンズユニット25と第二のレンズユニット26の境界部に遮光用マスク或いは塗布材が塗られて、基板203の受光素子と発光光源の間に、遮光用の壁が建てられている。具体的に、同一枠内に前記基板と発光光源と受光素子が配置されて、前記発光素子と受光素子の境界部に遮光用の壁が建てられている。
【0027】
以上の実施例は、投光用メタレンズと受光用メタレンズを同一基板に配置して、1つの枠内に基板と発光光源と受光素子を配置してかつ、発光光源と受光光源を出来るだけ近接配置する場合、前記基板上に遮光用マスク或いは塗布材を塗り、想定画角外からの外部迷光が受光素子に入射するのを防ぐことで受光信号のノイズ成分を減らして測距精度をより向上することが可能となる。特に塗布材の塗位置精度は、マスクの貼り付け精度より高いため、遮光精度をより高めることが可能となる。また、発光素子と受光素子間に遮光用の壁を立てることで、発光光源からの光の迷光成分が受光素子に入射するのを防ぎ、測距精度の更なる改善が可能となる。
【0028】
図7に示すように、本開示実施例の第一の基板21と第二の基板22が異なる基板であってもよい。このとき、複数の微細構造を持つ投光用の第一のレンズユニット25と受光用の第二のレンズユニット26がそれぞれ各基板に作成され、前記第一の基板と第二の基板は、直接に接着され、且つ少なくとも、前記第一の基板21と第二の基板22の間の接着面に遮光用マスク或いは遮光材が配置される。このように、第一の基板と第二の基板は、枠を介せずに、直接接着され、各レンズは、同様な参照波長で設計されて、発光光源と受光素子を上記基板と異なる同一基板に配置する。
【0029】
上記の構成によれば、本開示実施例の投光用レンズと受光用レンズを従来の様に異なる保持枠を介在させず直接に接着して配置するため、メタレンズを採用することによる光軸方向の厚みを大幅に削減するだけでなく、光軸に垂直な断面積も小型化することが出来る。また従来のように保持枠が樹脂製の場合、投光用レンズと受光用レンズの相対的な位置精度を向上させようとすると調整等が必要だが、レンズ基板どうしを直接接着配置する場合、その相対的な位置精度はレンズ単体の精度に依存するため、接着時の調整なしで極めて高精度配置を実現することが出来る。更に樹脂枠を介在する場合に比べて、温湿度変化による投光受光レンズの相対シフト・チルトも格段に抑制することが可能となる。また投光・受光光学系を近づけて配置すると、投光光学系からの迷光が受光光学系で受光し、それがノイズになる課題が出てくるが、本開示実施例が接着境界部にそれぞれ個別に遮光材塗布後に接着することで、特に境界付近で反射する迷光を抑制することが出来、測距精度を向上させることが可能となる。また、例えば受光用光学系と投光用光学系のどちらかのみにバンドパスフィルタが必要な場合、どちらかのレンズ基板にのみバンドパス機能を持たせることが可能となる。すなわち、前記第一の基盤21および/または第二の基板22に、所定の波長範囲の光線のみ透過させる。
【0030】
以上の各実施例において、投光用レンズと受光用レンズの基板(例えば第一の基板と第二の基板)が、同一の枠(樹脂枠であってもよい)に設置できる。
以上の各実施例から分かるように、本開示実施例において、透明基板(上記の第一の基板と第二の基板)にメタレンズを配置する光学系を提案した。ここで、前記第一の基板と第二の基板は、異なるものであるか、もしくは、前記第一の基板と第二の基板は、同一基板の異なる部分である。しかし、透明基板上に配置することが可能であればメタレンズに限らず、例えば液体レンズや液晶レンズで構成することも可能である。更に基板は1枚に限らず、スペックにより2枚や3枚構成もありうる。
【0031】
また、本開示実施例の透明基板の材料に関して特に規定はしないが、一般的なレンズ枠として使われる樹脂枠材の線膨張係数が7×10-5/℃程度(例えば帝人製L-1225Yは7×10-5/℃、DN5615Bは5×10-5/℃)なので、温度信頼性を劇的に改善したい場合は、基板の線膨張係数が1.5×10-5/℃以下の硝子などの透明体を用いることが好ましい。
【0032】
更に、本開示実施例では測距装置内での受光光学系と投光光学系の一体化を提案しているが、例えばスマートフォンなどの測距装置の場合、メインカメラの撮像光学系も同一基板上に一体化することで、搭載製品の小型化をより進めることが可能となる。
【0033】
更に本開示実施例では、ゴースト対策の為にマスクや塗布材、遮光用の壁等ハードウエア上の対策を採用したが、例えば発光と受光のタイミングをずらして、発光光源からの迷光対策をしてもよい。
【0034】
更に、レンズ基板に特定の波長のみを透過させる場合、基板に薄膜を積層させてバンドパス機能を持たせる方式等が、現実的な方法の1つである。
【0035】
本開示実施例では、同一基板上に投光系・受光系メタレンズを配置する構成を提案しているが、別枠構成と比べて、このように構成することで、小型化だけでなく、投光系と受光系の配置の調整が不要であり、不良発生時の部品交換等のリワーク効率も格段によくなる。測距装置は、その性質上、受光系レンズと投光系レンズの参照波長は同一となり、メタレンズはその性質上、微細構造の形状や高さが設計参照波長に依存するため、同一参照波長の受光系レンズと投光系レンズを同一基板に製造する場合、製造方法によっては、製造プロセスの劇的な簡略化が可能となる点もメリットと考える。また、メタレンズはその微細構造の為に、センサーなどと同じく半導体製造プロセスを用いて製造されるが、メタレンズと受光センサー、光源素子を同一の半導体工場で生産すれば、製造・組み立てプロセスがより効率化・自動化出来、組み立て時のごみ混入リスクなども減らせるメリットがある。
【0036】
以上、図面とともに、本開示の実施例を説明したが、本開示は、上記の具体的な実施例に限らず、上記の具体的な実施例は、例示なものであり、制限されるものではない。本開示の示唆で、当業者は、本開示の主旨および請求項に保護される範囲を逸脱しなければ、さらに様々な方式をしてもよく、いずれも本開示の保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距装置であって、投光光学系と受光光学系を含み、
前記投光光学系は、第一の基板上に配置される第一のレンズユニットと前記第一の基板と異なる第三の基板上に配置される発光光源とを含み
前記受光光学系は、第二の基板上に配置される第二のレンズユニットと前記第二の基板と異なる第四の基板上に配置される受光素子とを含み、
前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットとの参照波長は、同一であり、
前記第一の基板と第二の基板は、異なるものであり、
前記第一の基板と第二の基板は、異なるものである場合に、前記第一の基板と第二の基板が、直接に接着接続され、且つ少なくとも、前記第一の基板と第二の基板の間の接着面に遮光用マスク或いは遮光材が配置されることを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記第一の基板と第二の基板は、いずれも透明基板であり、
前記第三の基板と第四の基板は、同一のものであり、前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットは、それぞれメタレンズ又は膜レンズ又は液体レンズ又は、液晶レンズを含むことを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記第一の基板と第二の基板の線膨張係数は、所定の閾値より小さいことを特徴とする請求項2に記載の測距装置。
【請求項4】
前記第一の基板と第二の基板の線膨張係数は、3×10-5/℃以下より小さいことを特徴とする請求項3に記載の測距装置。
【請求項5】
前記第二の基板と第四の基板の間に、所定の波長範囲の光線のみを透過するバンドパスフィルタが設置されることを特徴とする請求項2に記載の測距装置。
【請求項6】
前記第一の基板及び/又は第二の基板は、所定の波長範囲の光線のみを透過することを特徴とする請求項2に記載の測距装置。
【請求項7】
少なくとも、前記第一の基板と第二の基板の境界部に遮光用マスクが貼り付けられるか、或いは、少なくとも、前記第一の基板と第二の基板の境界部に遮光材が塗布され、前記境界部は、前記第一のレンズユニットと第二のレンズユニットとの間に位置することを特徴とする請求項に記載の測距装置。
【請求項8】
前記第三の基板の発光光源と第四の基板の受光素子の間に遮光用の壁が建てられることを特徴とする請求項に記載の測距装置。
【請求項9】
前記受光素子の受光時間と前記発光光源の発光時間がずらされていることを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の測距装置を含むことを特徴とする電子機器。