(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140242
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】伝統的構法木造建築物の耐震補強・免震構造:工法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/48 20060101AFI20230927BHJP
E02D 27/34 20060101ALI20230927BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20230927BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
E02D27/48
E02D27/34 B
E04H9/02 331Z
E04G23/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022063657
(22)【出願日】2022-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】522137839
【氏名又は名称】株式会社1級建築士事務所 重企画設計室
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 重美
【テーマコード(参考)】
2D046
2E139
2E176
【Fターム(参考)】
2D046DA11
2D046DA12
2E139AA01
2E139AB20
2E139AC23
2E139CA30
2E139CC13
2E139CC15
2E176AA09
2E176BB27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】立地:軟弱地盤、柱脚部基礎構造:石場建てである、伝統的構法木造建築物の「耐震補強・免震構造:工法」を提供する。
【解決手段】軟弱地盤である建物地盤面を、構造耐力を有する耐圧盤基礎に置換施工する際に、石場建て構造の礎石を直接支持する。置換られた耐圧盤基礎の裏側は平滑で大規模地震の際に軟弱地盤上の滑走が想定され、対応策として、耐圧盤基礎の裏面を基礎ワッフル梁形状構造とし、更に上記耐圧盤基礎より直下の支持地層まで、支持鋼管杭を地中圧入施工し、耐圧盤基礎の不動沈下を阻止し、基礎ワッフル梁形状+基礎杭=基礎複合体、を形成し、鋼管杭に杭頭部確保筒を装着し、免震装置としての機能を具備し、大規模地震発生に対応し、基礎複合体に軟弱地盤地層の粘性特性が係るフリクション効果を有する伝統木造建築物の構造耐力を併せて確保する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川流域の氾濫平野に存する多くの伝統的構法木造建築物の支持地盤は、N値=3~4の軟弱地盤であって前記木造建築物の主要軸組みである柱脚部基礎構造は、石場建てと呼ばれ、礎石が直接建物地盤面に配置されコンクリート基礎及び土台等一切無く、建築物の重量・地震力・風力等の応力は主要軸組み柱及び床束下端の一点ともいえる礎石に集中して働き、既述軟弱地盤は著しく地耐力不足といえる。前記木造建築物の構造的改善策として、石場建て構造の礎石を支持する建物地盤面を、構造耐力を有する鉄筋コンクリート構造耐圧盤に置換・構造改善し併せて、置換工事中、前記木造建築物及び石場建て構造を含め全て現状維持状態で上記工事を実施可能とすることを特徴とする伝統木造建築物の耐震補強・免震構造工法。
【請求項2】
上記前記木造建築物の置換られた前記耐圧盤基礎の裏側は平滑で大規模地震の際に軟弱地盤上の水平変位が想定され、対応策として軟弱地盤の特性である粘性抵抗が即応する様に耐圧盤基礎の裏面をワッフル梁形状とし、凹部に取り込まれた軟弱地盤の粘性抵抗に拠り水平変位を抑制する免震効果を特徴とする、請求項1記載の前記木造建築物の耐震・免震構法。
【請求項3】
上記伝統木造建築物の支持地盤面の地質は軟弱地盤であり、置換えられた耐圧盤ワッフル梁構造は将来的に沈下等の可能性が懸念され然るべき対応策として耐圧盤ワッフル梁構造の直下に支持地層まで後打ち鋼管杭圧入工事の施工が最適であるが、従前「鋼管杭圧入工事」は屋外更地上で自走重機車両施工、(伝統木造建築物)内では不可能の為に屋内で人力施工を可能とすることを特徴とする請求項1又は2記載の伝統木造建築物の耐震・免震構法。
【請求項4】
上記伝統木造建築物の後打ち鋼管杭圧入工事は、屋内で施工される。地質は
図17~19が示す深さ5~6Mに支持層が確認され鋼管杭は長さ5~6M前後、屋内の天井高さは平均10尺=3.0M、使用される鋼管杭の長さ@9尺=2.7Mで、圧入施工途上で溶接接続し、支持層に到達し、屋内での人力・圧入作業に際し治具専用架台の発明で反力を取得し円滑な施工を可能とすることを特徴とする、請求項1~3記載の伝統木造建築物の耐震・免震構法。
【請求項5】
上記伝統木造建築物の後打ち鋼管杭は、屋内工事として置換えられた耐圧盤ワッフル梁構造上の杭圧入孔から直下に地中圧入施せれるが、然しながら、伝統木造建築物+耐圧盤ワッフル梁構造の支持地盤はN値=3~4で層厚5~6Mの軟弱地盤である。
内閣府規制改革推進会議農林ワーキン・グループ「2018.2.16 資料1-1.P-13」に、『(伝統木造建築物)は大規模地震発生時の(水平応力)に因り概ね20cm[水平変位]』とあり変位後の地震収束時に鋼管杭頭の踏み外しを阻止する杭頭部確保筒を杭頭部に装着し、杭機能を持続可能とする請求項1~4記載の伝統木造建築物の耐震・免震構法。
【請求項6】
上記伝統木造建築物の耐圧盤基礎ワッフル梁構造+56本の鋼管杭を
図7の、▲8▼通り対称に施工・形成された基礎複合体に軟弱地盤地層の粘性特性が係るフリクション効果の作用で免震効果が有効に機能し大規模地震時に発生する地震の水平応力で伝統木造建築物+耐圧盤基礎=基礎複合体の滑走変位を軽減し阻止を特徴とする、請求項1~5記載の伝統木造建築物の耐震・免震構法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全国点在の寺院等伝統的構法木造建築物に係るもので、建物立地の大半は河川流域周辺に点在し、軸組柱脚構造は石場建てである。河川流域周辺=軟弱地盤:地質、N値=3~4に、石場建ての二要素で構成の寺院等伝統的構法木造建築物の軟弱地盤及び石場建て構造への地震対策に係わる耐震・免震構法。
【背景技術】
【0002】
全国に現存する多くの伝統木造建築物の建立時期は、主に慶応年代~昭和25年、市街地建築物法頃と推定される。昭和25年建築基準法が施行、昭和56年、建築基準法が制定され、その後耐震設計法{耐震基準}、{新耐震基準}として現在に至っている。
伝統木造建築物等寺院の現地調査51箇寺を実施し、土間床・壁の亀裂・軸組の変位・変形・葺瓦面の歪み等の
図1で示す不具合を窺わせる本堂の多くに、次の共通点が確認された。立地:河川流域、構造:石場建ての二点。立地:河川流域の地質ボーリング調査図、
図17~
図19が示す建物地盤面から深さ5~6M前後地点まではN値=3~4の軟弱地盤で、深さ6~10M間に支持層を確認、N値=6~44前後である。現行建築基準法でN値=3~4軟弱地盤の立地に木造二建て住宅を新築の場合、基礎及び土台下部に鋼管杭打設もしくは地盤改良、状況により耐圧盤基礎の設置等対応が審査機関より求められる場合もある。
【0003】
伝統木造建築物の一部は再建築されたものの大半は、外壁四隅及び室内壁に耐震筋交を設置等の一部改修工事に終始する現状で、軟弱地盤と地盤と石場建ては放置され、耐震補強等に未対策な現状である。多くの伝統木造建築物は、(石場建て+軟弱地盤)状態で正に{糠に釘}。伝統木造建築物は、今後調達困難な高品位稀少国産木材と現在激減の伝承技術・宮大工の連携作品で再建築困難な文化遺産。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本堂等伝統的木造建築物:
図1の実態を説明する。多くの本堂等伝統木造建築物に外部応力が原因と想定される・外壁亀裂・不動沈下・建物傾斜・変位・変形・屋根歪み・雨漏り等、諸被害が発生している。
伝統木造建築物の主要構造である軸組柱及び床束等の脚部基礎構造は全て石場建てと呼ばれ、石場=礎石で上部建築構造体荷重は礎石に伝播される。礎石の材質・形状は天然石を使用し外径は概ね、軸組柱の太さの2~3倍前後で、礎石の下部地業に栗石ないし割栗石を使用。
本発明は、伝統木造建築物の現状が石場建て+軟弱地盤で耐震構造欠陥建築物を改善する、耐震・免震構法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第一の発明は(
図15石場建て)を構成する礎石を直接支持する(建物地盤面2)を、構造耐力を有する鉄筋コンクリート構造耐圧盤(以下、耐圧盤基礎10という)に置換、現況耐力を構造改善し併せて、構造石場建て構造を含め本体上部一切現状維持状態で、置換工事実施を可能とする「耐震・免震構法」。
【0006】
第二の発明は、第一の発明に際し置換施工された耐圧盤基礎に係わるもので従前、住宅等の耐圧盤基礎は平板状であるが、伝統木造建築物は建物地盤面2が軟弱地盤4で支持層でもあることと立地・地質・規模・構造・建物重量及び大規模地震の際、耐圧盤基礎の変位等に対応可能とする、
図8耐圧盤基礎ワッフル梁構造、(以下「耐圧盤ワッフル梁構造」という)を可能とする「耐震・免震構法」。
【0007】
第三の発明は第二の発明:耐圧盤ワッフル梁構造及び伝統木造建築物1への地震・台風等応力及び不動沈下の低減を図り耐圧盤基礎直下に、直接支持層への後打ち鋼管杭圧入工事を可能とする「耐震・免震構法」。
【0008】
第四の発明は、第三の発明で施工される後打ち鋼管杭圧入工事の際に必需の耐圧盤基礎面に緊結する(治具専用架台31)及び関連構造・工法を提供することを目的とする「耐震・免震構法」。
【0009】
第五の発明は、第四の発明、治具専用架台により耐圧盤基礎直下に地中圧入施工された鋼管杭の杭頭部に杭頭部確保筒30を装着し上部に、開孔部補強筋26bを施工後コンクリート打設密閉封鎖される。杭頭部確保筒の設置は大規模地震の際、鋼管杭が[伝統木造建築物1+耐圧盤基礎10]の変位発生に追従し、地震収束時の[杭頭:踏み外し]を阻止し、(杭機能を持続可能)とする耐震・免震構法。
【0010】
上記構成において杭頭部確保筒を介し、耐圧盤基礎と支持層間に56本の鋼管杭は(華道の剣山)裏返し状態で施工完了。伝統木造建築物の全荷重は平時56本の鋼管杭に支持され、小規模地震発生の際支持地層に伝播され軟弱地盤による影響は皆無であるが、大規模地震時に発生する地震の水平応力で(伝統木造建築物)+(耐圧盤基礎)の軟弱地盤面上での滑走変位が想定されるが、(耐圧盤基礎ワッフル梁構造)+(56本の鋼管杭群)で形成された[基礎複合体]に軟弱地盤地層の粘性特性が係る(フリクション効果)が機能し免震効果が有効に作動して(伝統木造建築物)+(耐圧盤基礎)の[滑走変位を減衰可能]とする、新規な伝統木造建築物の耐震・免震構法。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0013】
従前、建築物の基礎構造である(耐圧盤基礎)は、建設地が更地状態でのみ施工・構築可能である。本発明の第一の発明は(伝統木造建築物)現存状態で、(伝統木造建築物)直下の(建物地盤表土:深さ30cm程度)を掘削し、(建物地盤表土)と(耐圧盤基礎)との(置換構築)を可能とし、本堂等の場合、工事中急な法事等も随時工程調整し、(伝統木造建築物)を使用可能とする新規な「耐震・免震構法」。
従前、(伝統木造建築物)に係わる耐震補強工事の概要が、文化庁『重要文化財(建造物)耐震診断・耐震補強の手引き」改訂版 事例集・平成29年3月』で、二箇寺の(工事詳細)が述べられ、
R寺:桁行5間×梁間5間. 半解体修理・(工期:56カ月)
S寺:桁行16.5間×梁間11.5間.半解体修理・(工期:72カ月)
上記、二箇寺は「半解体:小屋+屋根も含む」で修理施工されており、長期間に亘り本堂での宗教行為等は[一切不可能]と思慮される。
【0014】
従前、木造建築物の基礎構造である(耐圧盤基礎)の「形状・仕様」は概ね、「厚さ:15~25cm・平面矩形・鉄筋コンクリート造」である。本発明の第二の発明は、(伝統木造建築物)の(建物地盤面)が(軟弱地盤)で(支持層)でもあり地学的に[氾濫原・後背湿地]に該当し、(表層地盤の地震動の増幅度)の評価は、
図22(大:D≦0.5、2.85)最大値であること及び(軟弱地盤の粘性特性)、双方の要素から本発明の第二の発明は、第一の発明に際し(置換施工)された(耐圧盤基礎)に係わるもので、(建物地盤面)が(軟弱地層)で(支持層)でもあることと、大規模地震の際想定される(伝統木造建築物)の[20cm前後の変位・倒壊]及び(耐圧盤基礎)の変位・変形に対応する(耐圧盤基礎ワッフル梁構造)、(以下「耐圧盤ワッフル梁構造」という)を可能とする「耐震・免震構法」。
【0015】
従前、建築物の基礎構造である(鋼管杭:地中圧入施工)は、建設地が更地状態でのみ施工・構築可能である。本発明の第三の発明は、(伝統木造建築物)現存状態で、(伝統木造建築物)の(建物地盤面)直下に置換構築された前述(耐圧盤基礎)直下に(鋼管杭)を室内の手作業等で(地中圧入施工)を可能とする新規な「耐震・免震構法」。
【0016】
本発明の第四の発明は、第三の発明の鋼管杭施工に際し、鋼管杭の(地中圧入作業)に係わる、(治具専用架台)を(耐圧盤基礎)の上面に設置・固定し、治具:圧入機を収納・固定し、[耐圧盤基礎の反力]取得に際し(治具専用架台)が有効に介して、[屋内での鋼管杭地中圧入]を(手作業等で円滑な施工支援を可能)とする新規な「耐震・免震構法」。
【0017】
本発明の第五の発明は、第四の発明(治具専用架台)により(耐圧盤基礎)直下の(支持地層)へ地中圧入施工済の(鋼管杭)上部に(杭頭部確保筒)を装着する。大規模地震発生の際、(伝統木造建築物)+(耐圧盤基礎)は(地震応力)に追従し[軟弱地盤面上を滑走変位]後、地震収束時[杭頭の踏み外し]等を阻止することを(杭頭部確保筒)が可能とする(基礎ワッフル梁構造)+(鋼管杭56本)=[基礎複合体]による、新規な「耐震・免震構法」。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(伝統木造建築物)本堂の「耐震・免震構法」前後比較説明図
【
図6】[基礎複合体]伏図:コンクリート打設前「型枠工事・鉄筋工事完了」
【
図7】[基礎複合体]伏図:コンクリート打設後「鋼管杭圧入工事完了」
【
図8】[基礎複合体]床組耐震補強詳細・拡大図:杭頭部確保筒
【
図10】[基礎複合体]設置平面・型枠工事断面A-A
【
図11】[基礎複合体]掘削レベル平面詳細・掘削工事断面B-B
【
図12】[基礎複合体]耐圧盤配筋断面・石場建て図:基礎断面
図C-C
【
図13】[基礎複合体]鋼管杭圧入着工時・平面詳細:基礎断面
図D-D
【
図14】[基礎複合体]鋼管杭圧入手順説明・治具専用架台設置
【
図15】[石場建て説明図]の軸組柱脚構造詳細・床束脚部構造詳細
【
図17】[地質調査資料-1]:ロータリー式機械ボーリング調査
【
図18】[地質調査資料-2]:ロータリー式機械ボーリング調査
【
図19】[地質調査資料-3]:ロータリー式機械ボーリング調査
【
図20】[地質調査資料-4]:国土地理院:治水地形分類解説書31頁
【
図21】[立地:河川流域]:埼玉県表層地質図(県資料)・調査点加筆
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を添付図面・調査写真及び資料、1~21図に基づいて説明する。
【0020】
図1ないし15図に示す符号は、同一構成部分には同一符号を付しているので重複する説明を省略している。
【0021】
図1は(伝統木造建築物)の耐震・免震補強前後比較図で、図右側は(石場建て)現況を示し、図左側は本発明の「耐震・免震構法」概要説明である。軟弱地質層厚は5~6M、支持層の層厚≒5~10M。[基礎複合体]と(鋼管杭頭)との[接合部処理法]により、「免震構造」を可能とする「耐震・免震構法」である。
【0022】
図2は(伝統木造建築物)・本堂断面構造図で、(柱脚構造詳細)は全て(石場建て)である。現地調査時、多くの本堂全貌で、(屋根瓦葺き状態)に(歪み)・(変位)が確認された。(歪み)は(屋根瓦葺面の凹凸発生)、(変位)は
図17[A](屋根瓦葺瓦の水平方向への葺列が、上下列それぞれ不規則発生)、小屋内部調査で、(小屋組構造部材欠損・変形)、(桔木11:はねぎの不全)等が確認され、原因は[小屋梁仕口+構造変位・変形]の発生と推認され、[小屋梁仕口+構造変位・変形]等の主原因は、これ等(小屋組み構造)の支持構造である脚部基礎構造)=(石場建て)の変位と思慮される。合わせて、(向拝床面)・(境内地盤面)に、(歪・亀裂)が確認された。
【0023】
図3は(伝統木造建築物)本堂・平面図で、東・西・南の外壁の現状は、硝子障子引違建具35(幅:柱芯1.820、高さ1.800~2.000)で、開放状態である。現行法:建築基準法で、小規模木造住宅であって最低限(タスキ掛け筋交)が求められる重要箇所。当然壁量計算書の検討を要す。然しながら、本件にあって(タスキ掛け筋交)に拠る耐震補強工事、以前に(伝統木造建築物)の[存続を左右]する(柱脚部基礎構造=石場建て)への「耐震・免震構法の実施」が最優先・最重要である。
【0024】
図4は建築物の床組伏図。上記構成に、▲5▼通り及び▲11▼通り床組構成の現状は、大引丸太:15aが施工され、(丸太材:構造・寸法)等に欠損は無いが、支持構造である(床束)は全て(石場建て構造)である。
【0025】
図5は(石場建て柱脚平面図)。図中▲5▼通り、向拝柱17~外陣柱18~外陣柱18~結界柱19~内陣柱20aが構成する柱列は、本堂の中心▲8▼通りの同位置である図中▲11▼通りに同様に配置されている。寺院にあって、図中▲5▼通り~図中▲11▼通り間の[コア空間]は(宗教行為の中核であり・本堂のコア構造部分)でもある。然しながら、コア構造36を取囲む外周軸組柱(四辺柱列)は、米国ニューヨーク・貿易センタービル(コア構造)に類似。図中▲ハ▼・▲ヲ▼・▲2▼・▲14▼通りが形成する外周部柱列の各軸組柱:柱脚部基礎構造は全て(石場建て)の現状は[最重要課題]と言えよう。
【0026】
図6はコンクリート打設前(均しモルタル終了時)の[基礎複合体]伏図である。
既述、(支持地盤面の地質)は、(軟弱地盤)である。前述[基礎複合体]の(不動沈下)を(鋼管杭圧入)で対応したが、[基礎複合体]の接地面は平滑で、(地震力・風圧等の水平応力)に対応すべく、(耐圧盤基礎:裏面)の(外周部)及び(格子状)に(ワッフル梁)29を設ける。(石場建て軸組柱脚構造部)及び(床束脚構造部)等の(同部型枠):9a,9b,9c,9d及び(鋼管杭圧入孔)の型枠27、等を示す。
【0027】
図7は[基礎複合体]の(コンクリート打設後)の(鋼管杭伏図)+[基礎複合体伏図]である。全ての(石場建て軸組柱脚構造部)及び(床束脚構造部)等の(同部型枠):9a,9b,9c,及び(鋼管杭圧入孔)の型枠27、等を示す。
【0028】
図8は[基礎複合体]の(床組耐震補強詳細の断面図)。
[基礎複合体]コンクリート打設時、(足固め:打込みアンカーボルト)26が、(足固め)22固定部材として同時打込み施工される。(杭頭部確保筒)30は、(鋼管杭12)圧入施工完了後、杭頭部に装着され上部に、(開孔部補強筋)28施工後コンクリート打設密閉封鎖される。(杭頭部確保筒)の設置は大規模地震発生に際し(伝統木造建築物)+(耐圧盤基礎)の変位発生に追従し概ね20cm変位後、地震収束時の[杭頭:踏み外し]を皆無とすることを可能とした、新規の「耐震・免震構法」に関わる発明である。
図中[拡大図]は(杭頭部確保筒)を杭頭部装着完了後仝上開口部、に(開孔部補強筋)を施工・コンクリート打設後の断面詳細図。(杭頭部確保筒)の平常時を示し内部に鋼管杭が概ね400mm挿入状態で大規模地震発生に際し20cm水平変位が発生した場合、長さ5~6Mの鋼管杭頭頂部の垂直方向の変位量は、20/500~600≒0.80~0.96cmで概ね400mm挿入状態を維持し(杭頭確保筒)に何等支障無く(杭機能持続確保)。
【0029】
図0は[基礎複合体]の(床組耐震補強)の(平面詳細図)である。
既述本堂のコア構造部分に、(外陣柱18)及び(大引丸太:大15a)、(主要軸組構造5)で構成され、これ等の支持部材:(床束13a,13b,13c)を含め全ての柱脚構造は(石場建て)で、束基礎も全て(石場建て構造)である。
【0030】
図10は[基礎複合体]の型枠工事断面図・型枠設置平面図。
例えば、(向拝柱17)の柱脚周囲(境内地盤面2)を掘削し(ボイド管φ600:9b)の上端を[耐圧盤基礎・計画上面]に合わせ(型枠)を先行設置・埋設し、枠内礎石接地地盤面を平滑に締付ける。同様に(外陣柱18)、(結界柱19)、(内陣柱20a)、(内陣柱20b)、(内陣柱20c)、(軸組柱21a)に(φ600ボイド管9b)、(軸組柱21b)、(軸組柱21c)、(軸組柱21d)に(9cφ300ボイド管9c)、及び(床束13a)、(床束13b)、(床束13c)に(φ300ボイド管9c)を設置・埋設し、同様に[耐圧盤基礎・計画外端]、及び(ワッフル梁29)[計画内端]に合わせ(止枠t12型枠耐水合板9d)を先行設置・埋設する。
【0031】
図11は[基礎複合体]及び(ワッフル梁29)の掘削工事断面図・掘削レベル図。上記、既述のとおり[耐圧盤基礎]+(ワッフル梁29)に関連する型枠の先行設置・埋設完了後、[計画レベル]に合わせ(境内・床下地盤面2)の(掘削工事)が着手され、[計画レベル]に達した箇所の底面に順次(床付砕石8)が(転圧機)及び(手作業)で締付調整される。この際既述(ボイド管9a~9d)上面を土壌安定化の目的で、(手作業)締付調整される。
【0032】
図12は[基礎複合体]の鉄筋工事断面図・配筋図・開口補強筋図
(掘削工事)完了後、(ワッフル梁29)部の(構造梁:配筋)が先行着手され、継続して[耐圧盤基礎]の平面部:[モチアミ二重配筋]が施工され、全ての(石場建て)部、(礎石)周囲に:[開口補強筋28]が(ダイア状)に施工される。施工段階で、(礎石)下部に[補強筋]の挿入可能な箇所は積極的に対応する。尚、今後の各種工事に対応可能とする、[耐圧盤基礎]の全面に適宜(多目的打込み・アンカー筋32)を施工する。[基礎複合体]の[モチアミ二重配筋][石場建て:開口補強筋図][耐圧盤配筋断面]で図示の(ワッフル梁・梁配筋29)へ(基礎配筋ダブル筋24b)が定着施工され、ワッフル梁配筋:形態が完成し、継続して[石場建て:開口補強筋]が(礎石6b~6e)周囲に(ダイア状)に施工され、その際(礎石)下部の(割栗石7)部と(礎石6b~6e)の「構造一体性」が健全と判断された場合、(割栗石7)部の下部に(石場建て開口補強筋24a)追加施工を積極的に行うことを可能とする。[基礎複合体]の「鋼管杭圧入手順説明」断面詳細図。
【0033】
図13は[基礎複合体]のコンクリート打設完了後の平面詳細図(コンクリート打設完了)、法定強度確認後、各種型枠:ボイド管の脱却を行い、特に(型枠:φ300-ボイド管・杭圧入孔9c)の脱却後、(杭圧入孔)周囲の作業空間確保し、(開口部補強筋28)を(折り曲げ加工)し鋼管杭地中圧入作業に備え、(治具専用架台31)設置準備、(多目的打込アンカー筋32)の台直し(鉄筋等部材の曲がり部分を是正)等を行う。全ての(主要軸組)及び(床束)の(型枠:ボイド管)を脱却後、[耐圧盤基礎]との(円形空隙部分)の(旧地盤土壌)を(排出)し、[耐圧盤基礎]の仕上面に合わせて(礎石側面)まで(コンクリート打ち+金鏝補修)で摺付ける。
【0034】
図14は[基礎複合体]のコンクリート打設完了・養生期間後の断面詳細図。
及び[基礎複合体]の[鋼管杭]・地中圧入:工程概要図。
[鋼管杭]地中圧入施工に必須:(治具専用架台31)の[耐圧盤基礎]への設置・固定用(打込アンカーボルトφ15.34)打込み、(治具専用架台)を鋼管杭圧入孔▲2▼上部に固定する。屋外より屋内に搬入された鋼管▲1▼を(治具専用架台)▲2▼の上方から人力挿入、(治具:圧入機)に緊結・圧入起動し、一本目の杭が頭部を残し地中圧入後、二本目の杭を溶接合し地中圧入を再開し(治具:圧入機)の抵抗値より、[杭の支持層到達]を確認後・残余杭部分を切除し、地中圧入は終了。(治具専用架台)は次の鋼管杭圧入孔▲3▼に移設され、二本目の杭頭部を電動サンダーで研磨・整備後、(杭頭部確保筒)を装着し、開口部補強筋を曲げ伸ばし(杭頭部確保筒)の頂部を格子状に覆い、完了後(鋼管杭圧入孔)を生コンクリートで充填する。以降同一繰返し手順で(56本の鋼管杭群)が形成・[基礎複合体]成立。この作業により(柱脚部基礎:石場建て構造)に係わる(伝統木造建築物)への、地震・台風等に拠る全応力は[基礎複合体]に伝達される。
【0035】
図15は、[石場建て説明図][軸組柱脚構造詳細][床束脚部構造詳細]、▲イ▼:向拝柱17と(沓石)の接合:仕口は、一般的に二つの施工法がある。代表的に(沓石)上面に(臍孔:ほぞ孔)を穿孔、向拝柱17下端を(臍加工)し挿入施工する施工法。二つ目の施工法は、(沓石)上面に(臍孔)を穿孔、向拝柱下端17に(臍孔)を穿孔加工し、別途(37雇臍:堅木若しくは金属製臍)を(沓石)上面に挿入後、向拝柱下端に(雇臍)を挿入する施工法。▲ハ▼軸組柱21aと礎石6dの接合仕口の調査では一般的に(沓石)上面に軸組柱21aの(柱脚部底面)を直接据付施工され、
図23[F]大震災修復、調査写真[F]が示す通り、軸組柱は既に(沓石)の右方向へ(水平変位)が確認される。▲二▼:外陣柱18と礎石6bの接合仕口の調査では一般的に(沓石)上面に(臍孔:ほぞ孔)を穿孔、外陣柱18下端を(臍加工)し挿入施工する。然しながら、調査写真[C]が示す通り、軸組柱は既に(沓石)の右方向へ水平変位が確認される。(臍孔)及び柱下端を(臍加工)が未施工、大半の寺院で確認、[石場建ての踏み外し]も本発明は対応。
【0036】
図16は、[石場建て調査写真]
[A]葺瓦乱れ・小屋変形
山門前、参道よりの本堂全景を示す。入母屋造・桟葺き瓦、軒~棟への(葺上げ線)が[左右に曲折]し、屋根中央部に(歪)が確認され、状況から(小屋組横架材)の変位・変形が想定され、主要軸組構造に(沈下変位)発生、主原因は軸組柱の(柱脚:石場建て構造)にある。
[B]床束構造部分
外陣、(大引・大16a)の(床束13b)及び(礎石6c)に拠る(石場建て構造)で(礎石)は天然石を平板状に加工し施工、(伝統木造建築物)の(水平変位)に因り「踏み外し寸前」を示している。 {足固め無}
[C]柱脚部構造部分
内陣床構造(大引・中16b)、(軸組柱6c)及び(礎石6c)に拠る(石場建て構造)で(柱軸組:270角)、(礎石)は天然石を平板状に(小たたき仕上)加工し施工、粗面であるが、(伝統木造建築)の(水平変位)に因り「踏み外し寸前の状態」を示している。 {足固め無}
[D]礎石踏外し
回廊隅部:床下構造(軸組柱150・21a)、(礎石6c)及び(礎石6c)の状況は、長年(石場建て構造)以外の(伝統木造建築)の多数の調査記録では初確認の構造である。軸組柱:(礎石)の下に(礎石)、二段状態で、写真奥:一間(1.818m)先の(礎石)も同様に(二段礎石)、(伝統木造建築)の(水平変位)に因り、二段目の軸組柱:(礎石)が写真左側に(水平変位)したものと推認される。
[E]礎石沈下
内陣床構造(内陣柱・300角20a)及び(礎石6b)に拠る(石場建て構造)で、(礎石)は天然石を平板状に(小たたき仕上)加工し施工、(礎石)と(内陣柱)との間に、木板が二枚敷かれている、他の軸組柱に一枚敷も確認、目視段階では断定は出来ないが、建立・落慶後今日までに「不同沈下箇所等修正」が実施され、(木板が二枚)が挿入されたものと推認される。(軟弱地盤+石場建て)が主原因で、外因として{足固め無}の構造も一因と言えよう。
[F]大震災修復
現地調査(51箇寺)に際し、多くの(関東大震災修復現場)に遭遇し、その修復状況に、二点の[工法的共通点]が確認された。第一点は外壁面の(仮大筋交)、第二点は(床下:床組筋交)に係わるものである。(床組筋交)施工の際(内陣柱:大引き材部)~(軸組柱:柱脚部礎石)間の(丸太材のタスキ架け下端)が(柱脚下端部)に(集中応力)として働き、大規模地震に際し(伝統木造建築物1)の構造上一体水平変位)形態に反し(礎石踏み外し)を敢えて誘発する工法・施工である。
【0037】
図17は、[地質調査図-1]で、(ロータリー式機械ボーリング調査)に拠る(水色水平細線部分:氾濫原・谷底平地)の成果品:「柱状図」である。深度1.5M:N値=3、深度4M:N値=3、深度5M:N値=5、深度6M:N値=14、深度10M:N値=43。
【0038】
図18は、[地質調査図-2]で、(ロータリー式機械ボーリング調査)に拠る(氾濫原・谷底平地)の成果品:「柱状図」である。深度1.5M:N値=2、深度2.5M:N値=0、深度6M:N値=10。
【0039】
図19は、[地質調査図-3]で、(ロータリー式機械ボーリング調査)に拠る(水色水平細線部分:氾濫原・谷底平地)の成果品:「柱状図」である。深度5M:N値=0、深度7M:N値=5、深度8M:N値=5、深度9M:N値=21。
【0040】
図20は、[地質調査資料-4]:国土交通省国土地理院「防災地理情報活用マニュアル(案)、4.3地震対策への利用(1)地震動(揺れやすさ)の推定」である。既述(
図27:氾濫原・谷底平地)は[後背湿地・デルタ]で、「国土地理院:治水地形分類図解説書平成27年P-31、(D≦0.5km)・増幅度2.85、(揺れやすさ):大]と評価される。
【0041】
図21は、[立地:河川流域]:埼玉県表層地質図(県資料)・調査点加筆埼玉県表層地質図(部分表記:概ね1/6)に、
図16[石場建て調査写真]:[A]~[F]6箇寺の所在地を[符号]加筆、全ての所在地は「地図凡例:氾濫原・谷底平地」に該当。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、日本全国の各種文化財・文化遺産等(伝統的構法木造建築物)管理及び維持・修復業務関係機関への(耐震補強・免震計画支援)及び工事関係者・各寺院関係宗務庁への情報提供・技術支援。全国の河川流域の、(一般木造建築工事関係者)への情報提供・技術支援。
【0042】
符号の説明
1 (伝統木造建築物) 2 建物地盤面
3 N値(地耐力) 4 軟弱地盤
5 主要軸組構造 6a 礎石
6b 礎石 6c 礎石
6d 礎石 6e 礎石
7 割栗石 8 床付砕石
9a 型枠:φ900-ボイド管 9b 型枠:φ600-ボイド管
9c 型枠:φ300-ボイド管
9d 止枠:t12型枠耐水合板 10 耐圧盤基礎
11 桔木(はねぎ) 12 鋼管杭
13a 床束 13b 床束
13c 床束 14 根搦貫
15a 大引丸太:大 15b 大引丸太:中
16a 大引:大 16b 大引:中
17 向拝柱 18 外陣柱
19 結界柱 20a 内陣柱
20b 内陣柱 20c 内陣柱
21a 軸組柱 21b 軸組柱
21c 軸組柱 22 足固め
23 枕石 24a 石場建て:開口補強鉄筋
24b 基礎配筋:ダブル配筋 25 耐圧盤基礎:コンクリート躯体
26 足固め:打込みアンカーボルト 27 鋼管杭圧入孔
28 (開孔部補強筋) 29 ワッフル梁
30 (杭頭部確保筒) 31 (治具専用架台)
32 多目的打込アンカー筋 33 基礎:雨水止立上
34 打込コンクリートアンカーφ15 35 硝子障子引違建具
36 コア構造 37 雇臍(やといほぞ)
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝統的構法木造建築物の支持地盤は、N値=3~4の軟弱地盤であって前記木造建築物の主要軸組みである柱脚部基礎構造は、石場建てと呼ばれ、礎石が直接建物地盤面に配置されコンクリート基礎及び土台等一切無く、建築物の重量・地震力・風力等の応力は主要軸組み柱及び床束下端の一点ともいえる礎石に集中して働き、既述軟弱地盤は著しく地耐力不足といえる。前記木造建築物の構造的改善策として、石場建て構造の礎石を支持する建物地盤面を、構造耐力を有する鉄筋コンクリート構造耐圧盤に置換・構造改善し併せて、置換工事中、前記木造建築物及び石場建て構造を含め全て現状維持状態で上記工事を実施可能とすることを特徴とする伝統木造建築物の耐震補強・免震構造工法。
【請求項2】
上記前記木造建築物の置換られた前記耐圧盤基礎の裏側は平滑で大規模地震の際に軟弱地盤上の水平変位が想定され、対応策として軟弱地盤の特性である粘性抵抗が即応する様に耐圧盤基礎の裏面をワッフル梁形状とし、凹部に取り込まれた軟弱地盤の粘性抵抗に拠り水平変位を抑制する免震効果を特徴とする、請求項1記載の前記木造建築物の耐震・免震構法。
【請求項3】
上記伝統木造建築物の支持地盤面の地質は軟弱地盤であり、置換えられた耐圧盤ワッフル梁構造は将来的に沈下等の可能性が懸念され然るべき対応策として耐圧盤ワッフル梁構造の直下に支持地層まで後打ち鋼管杭圧入工事の施工が最適であるが、従前「鋼管杭圧入工事」は屋外更地上で自走重機車両施工、(伝統木造建築物)内では不可能の為に屋内で人力施工を可能とすることを特徴とする請求項1又は2記載の伝統木造建築物の耐震・免震構法。
【請求項4】
上記伝統木造建築物の耐圧盤基礎ワッフル梁構造+56本の鋼管杭を上下対称に配置し施工・形成された基礎複合体に軟弱地盤地層の粘性特性が係るフリクション効果の作用で免震効果が有効に機能し大規模地震時に発生する地震の水平応力で伝統木造建築物+耐圧盤基礎=基礎複合体の滑走変位を軽減し阻止を特徴とする、請求項1~3いずれかに記載の伝統木造造建築物の耐震・免震構法。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝統木造建築物の支持地盤は、N値=3~4の軟弱地盤であって、柱脚部基礎構造で、礎石が直接建物地盤面に配置された石場建て構造の伝統木造建築物において、石場建て構造の礎石を支持する建物地盤面を、構造耐力を有する鉄筋コンクリート構造耐圧盤に置換し、置換工事中、前記伝統木造建築物及び石場建て構造を含め全て現状維持状態で、上記工事を実施し、耐圧盤基礎の裏面をワッフル梁形状の耐圧盤ワッフル梁構造とし、凹部に取り込まれた軟弱地盤の粘性抵抗に拠り水平変位を抑制する免震効果を特徴とする、伝統木造建築物の耐震・免震工法。
【請求項2】
耐圧盤ワッフル梁構造の直下に、支持地層まで後打ち鋼管杭圧入工事の施工を、屋内で人力施工することを特徴とする請求項1記載の伝統木造建築物の耐震・免震工法。
【請求項3】
耐圧盤ワッフル梁構造に包含された、56本の鋼管杭と軟弱地盤が発震に呼応してフリクション効果が動作し、大規模地震時に発生する地震の水平応力による滑走変位を軽減することを特徴とする、請求項1又は2に記載の伝統木造建築物の耐震・免震工法。