(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140858
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ドロップ剤、及びドロップ剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/38 20060101AFI20230928BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230928BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20230928BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61K47/38
A61K9/20
A61K9/22
A61K47/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046899
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川野 元一
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】福永 丈朗
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA94
4C076BB22
4C076DD67
4C076EE31
4C076FF31
4C076GG14
(57)【要約】
【課題】口腔内での持続時間をより長くする。
【解決手段】ドロップ剤は、基剤と、結晶性セルロースとを含有する。結晶性セルロースの吸水率が、150%以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基剤と、結晶性セルロースとを含有するドロップ剤であって、
前記結晶性セルロースの吸水率が、150%以上であることを特徴とするドロップ剤。
【請求項2】
前記結晶性セルロースの吸水率が、200%以上である請求項1に記載のドロップ剤。
【請求項3】
前記結晶性セルロースは、扁平率が1.5以上である請求項1又は2に記載のドロップ剤。
【請求項4】
前記基剤が、還元パラチノースを含有する請求項1~3のいずれか一項に記載のドロップ剤。
【請求項5】
基剤と、吸水率が150%以上である結晶性セルロースとを混合して混合組成物を作製する混合工程と、
前記混合組成物を成形する成形工程と、を有することを特徴とするドロップ剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドロップ剤、及びドロップ剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、セチルピリジニウム塩化物水和物ともいう塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムから選ばれる一種以上のカチオン性殺菌剤とヘスペリジンを含有する口腔用又は咽喉用組成物について記載している。上記口腔用又は咽喉用組成物を、ドロップともいうドロップ剤等の形態に調製することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドロップ剤には、口腔内での持続時間をより長くすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのドロップ剤は、基剤と、結晶性セルロースとを含有するドロップ剤であって、前記結晶性セルロースの吸水率が、150%以上であることを要旨とする。
【0006】
上記ドロップ剤について、前記結晶性セルロースの吸水率が、200%以上であることが好ましい。
上記ドロップ剤について、前記結晶性セルロースは、扁平率が1.5以上であることが好ましい。
【0007】
上記ドロップ剤について、前記基剤が、還元パラチノースを含有することが好ましい。
上記課題を解決するためのドロップ剤の製造方法は、基剤と、吸水率が150%以上である結晶性セルロースとを混合して混合組成物を作製する混合工程と、前記混合組成物を成形する成形工程と、を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のドロップ剤、及びドロップ剤の製造方法によれば、口腔内での持続時間をより長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は結晶性セルロースの吸水率と持続時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のドロップ剤を具体化した一実施形態について説明する。
本実施形態のドロップ剤は、基剤と、結晶性セルロースとを含有する。結晶性セルロースの吸水率が、150%以上である。
【0011】
ドロップ剤が、吸水率が上記数値範囲である結晶性セルロースを含有することにより、口腔内での持続時間をより長くすることができる。
以下、ドロップ剤の各成分について説明する。
【0012】
<結晶性セルロース>
結晶性セルロースは、植物のパルプ繊維を酸加水分解、又はアルカリ加水分解して、セルロースの結晶領域を取り出して精製したものであり、相対的に水や油に溶解しにくい材料である。
【0013】
結晶性セルロースの吸水率は、200%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましい。結晶性セルロースの吸水率が200%以上であることにより、口腔内での持続時間をさらに長くすることができる。
【0014】
結晶性セルロースの吸水率の測定方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、以下の方法によって測定することができる。
まず、試料としての結晶性セルロース5gをシャーレ上に秤取り、水を徐々に滴下する。水の滴下に合わせて、結晶性セルロースをスパチュラで練りながら、目視で状態を観察する。離水が確認された時点を終点とする。離水までに滴下した水の質量と、滴下前の結晶性セルロースの質量を用いて、下記の式から吸水率を算出する。
【0015】
吸水率(%)=(離水までに滴下した水の質量(g)/滴下前の結晶性セルロースの質量(g))×100
結晶性セルロースは、粉末状に構成されている。個々の粒子の形状は特に制限されないが、板状、棒状、繊維状等の小片状であり、球状でないことが好ましい。
【0016】
ここで、球状でないとは、粒子の扁平率が1.5以上である形状を意味するものとする。すなわち、結晶性セルロースの扁平率は、1.5以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましい。扁平率が1.5以上であると、結晶性セルロースの形状がより繊維状に近い状態になる。繊維状に近い状態になると、結晶性セルロース同士が絡み合った状態になりやすいため、口腔内におけるドロップ剤の持続時間が長くなりやすくなる。
【0017】
なお、扁平率とは、結晶性セルロースの粒子において、最も径の大きい箇所の寸法(最大径ともいう。)と、最も径の小さい箇所の寸法(最小径ともいう。)の比(最大径/最小径)を意味するものとする。扁平率は、複数の粒子の扁平率を測定して、その平均値で表されるものとする。
【0018】
結晶性セルロースの平均粒子径は、特に制限されないが、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
【0019】
結晶性セルロースの平均粒子径の測定方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、公知のレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて体積基準で測定することができる。
【0020】
ドロップ剤における結晶性セルロースの含有量は、特に制限されないが、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、安全上の観点から、3.5質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
<基剤>
基剤としては特に制限されず、ドロップ剤に用いられる公知の基剤を採用することができる。公知の基剤には、ドロップ剤に用いられる公知の甘未剤、賦形剤、矯味剤が含まれるものとする。
【0022】
甘味剤の具体例としては、例えばサッカリン、サッカリンナトリウム水和物、スクラロース、ステビオサイド、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、シクロヘプタアミロース、ソルビトール(ソルビット液ともいう。)、パラチノース(還元パラチノースともいう。)等が挙げられる。これらの中でも、還元パラチノースを含有することが好ましい。甘未剤は、糖アルコールともいうものとする。
【0023】
賦形剤の具体例としては、例えば精製白糖、白糖、ハチミツ、黒砂糖、ブドウ糖液、D-ソルビトール、還元パラチノース、還元水アメ、還元麦芽糖水アメ、水アメ、カラメル等が挙げられる。
【0024】
矯味剤の具体例としては、例えばアスパルテーム、アセスルファムK、ステビア抽出物、塩化Na、サッカリン、サッカリンナトリウム水和物、アスコルビン酸、キシリトール、L-グルタミン酸塩酸塩、酒石酸等が挙げられる。
【0025】
なお、還元パラチノースは、甘未剤や賦形剤以外に、着香剤として用いられる場合もある。
<その他成分>
ドロップ剤は、適用目的、形態、用途等に応じて、前述した成分以外のその他成分、例えば、殺菌剤、着香剤、pH調整剤(酸味剤)、着色剤、安定化剤、結合剤、溶媒、界面活性剤等を配合してもよい。これら各成分は、ドロップ剤に配合される公知のものを使用することができる。これらの成分は、それぞれ一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
殺菌剤としては、例えばカチオン性殺菌剤が挙げられる。カチオン性殺菌剤の具体例としては、例えば、セチルピリジニウム塩化物水和物、塩化ベンゼトニウム、及び塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
【0027】
着香剤の具体例としては、例えばl-メントール、d-カルボン、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、メチルアセテート、シトロネリルアセテート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、d-カンフル、d-ボルネオール、ウイキョウ油、ケイヒ油、シンナムアルデヒド、ハッカ油、バニリン等が挙げられる。
【0028】
pH調整剤の具体例としては、例えばクエン酸、クエン酸Na、DL-リンゴ酸、コハク酸、コハク酸Na、L-グルタミン酸、L-グルタミン酸Na、乳酸、乳酸Na等が挙げられる。
【0029】
着色剤の具体例としては、例えば緑色1号、緑色3号、青色1号、黄色4号、黄色5号、赤色102号、赤色3号等の法定色素、銅クロロフィリンナトリウム、酸化チタン等が挙げられる。
【0030】
安定化剤の具体例としては、例えばエデト酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
【0031】
結合剤の具体例としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。
【0032】
溶媒の具体例としては、例えば水、アルコール等が挙げられる。
界面活性剤としては、特に制限されず、口腔用組成物に用いられる公知の界面活性剤を採用することができる。
【0033】
界面活性剤の具体例としては、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ラウリルグリコシド、デシルグリコシド等のアルキルグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
【0034】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0035】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤の具体例としては、例えばN-ラウリルジアミノエチルグリシン、N-ミリスチルジエチルグリシン等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N-アルキル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、及び2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のベタイン系両性界面活性剤等が挙げられる。
【0036】
上記の界面活性剤は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
<ドロップ剤の製造方法>
ドロップ剤の製造方法は、基剤と、吸水率が150%以上である結晶性セルロースとを混合して混合組成物を作製する混合工程を有する。また、混合工程で得られた混合組成物を成形する成形工程を有する。上記結晶性セルロースの吸水率は、200%以上であることが好ましい。
【0037】
混合工程では、原料を加熱しながら混合すると、効率良く混合を行うことができるため好ましい。加熱温度は特に制限されないが、例えば90℃以上180℃以下であることが好ましい。必要に応じて、真空釜等を用いて低圧下で水分をとばしてもよい。
【0038】
成形工程では、混合工程で得られた原料組成物を型に入れて成形することが好ましい。原料組成物を型に入れて成形を行うことにより、所定の形状を有するドロップ剤を効率良く成形することが可能になる。
【0039】
<ドロップ剤の適用形態、用途、剤形>
ドロップ剤の適用形態は、特に制限されない。上記の殺菌剤等を含有する場合、例えば医薬品、指定医薬部外品として使用することができる。具体的には、口腔咽頭薬として使用することができる。
【0040】
ドロップ剤の用途は、特に制限されないが、殺菌効果・ウイルス不活性化の長期発現用に用いることができる。上記殺菌効果・ウイルス不活性化の長期発現用とは、殺菌効果と、ウイルス不活性化の少なくともいずれか一方の長期発現用であることを意味するものとする。
【0041】
ドロップ剤の剤形は、特に限定されず、トローチ、ハードキャンディ等の所定の硬さを有するものであってもよい。また、グミ、ガム等の所定の柔軟性を有するものであってもよい。また、ドロップ剤の形状は、球状であってもよいし、板状、フィルム状等であってもよい。
【0042】
ドロップ剤の直径は、特に制限されない。ドロップ剤の直径は、例えば20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましい。また、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましい。なお、ドロップ剤の形状が球状でない場合の直径は、ドロップ剤の全体が入る外接円を想定して、外接円の直径を意味するものとする。
【0043】
<作用及び効果>
本実施形態のドロップ剤の作用について説明する。
結晶性セルロースが有する水酸基は、水分を吸着しやすい。結晶性セルロースの吸水率が150%以上であると、より多くの水分を吸着することが可能になる。そのため、ドロップ剤の内部において、水分は結晶性セルロースの周囲に偏在した状態となる。これに伴い、基剤に含まれる水分量が相対的に小さくなる。ドロップ剤が強固な状態を維持しやすくなるため、ドロップ剤が水分に溶出しにくくなる。
【0044】
本実施形態のドロップ剤の効果について説明する。
(1)基剤と、結晶性セルロースとを含有するドロップ剤であって、結晶性セルロースの吸水率が、150%以上である。口腔内において、唾液はドロップ剤における結晶性セルロースの周囲に偏在した状態となる。これに伴い、基剤に含まれる唾液の量が相対的に小さくなる。ドロップ剤が強固な状態を維持しやすくなるため、ドロップ剤が唾液に溶出しにくくなる。したがって、口腔内でのドロップ剤の持続時間をより長くすることができる。さらに、口腔内において、ドロップ剤の成分が有する作用をより長時間発現させることができる。
【0045】
(2)結晶性セルロースの吸水率が、200%以上である。したがって、口腔内でのドロップ剤の持続時間をさらに長くすることができる。
(3)基剤が、還元パラチノースを含有する。したがって、還元パラチノースが水と反応して溶出することが好適に抑制される。
【0046】
(4)ドロップ剤の製造方法は、基剤と、吸水率が150%以上である結晶性セルロースとを混合して混合組成物を作製する混合工程と、混合組成物を成形する成形工程とを有する。したがって、口腔内での持続時間がより長いドロップ剤を製造することができる。
【0047】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
・本実施形態において、ドロップ剤は、鎮咳去痰薬に用いられる有効成分が配合されていてもよい。鎮咳去痰薬に用いられる有効成分としては、例えばクロルヘキシジン塩酸塩、デカリニウム塩化物等が挙げられる。
【実施例0049】
以下、本発明の構成、及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。
表1に示す実施例1~6、比較例1のドロップ剤を常法に従って各成分を混合することによって製造した。具体的には、まず、表1に示す吸水率である結晶性セルロースを用意した。結晶性セルロースの含有量が2質量%となるように各結晶性セルロースと還元パラチノースを常法に従って混合して、実施例1~6のドロップ剤を作製した。比較例1は、結晶性セルロースを使用せず、還元パラチノースのみでドロップ剤を作製した。各ドロップ剤は、粒子径が15mmの球状であり、質量は約2gであった。
【0050】
次に、複数のビーカーにそれぞれ37℃の蒸留水を500g入れ、回転子で撹拌した。回転子で撹拌しながら、実施例1~6、比較例1のドロップ剤を各ビーカーに入れた。目視で観察して、ドロップ剤が無くなるまでの時間を測定した。ドロップ剤が無くなった時間を持続時間とした。試験は各3回行い、持続時間の平均値を求めた。結果を表1、
図1に示す。なお、比較例1のドロップ剤は結晶性セルロースを含有していないため、
図1において吸水率は0%とした。
【0051】
実施例1~6、比較例1における結晶性セルロースの平均粒子径、扁平率、吸水率、及び含有量を、表1の「平均粒子径(μm)」欄、「扁平率」欄、「吸水率(%)」欄、「含有量(質量%)」欄にそれぞれ示す。還元パラチノースの含有量を、表1の「含有量(質量%)」欄に示す。
【0052】
【表1】
表1、
図1より、結晶性セルロースの吸水率が150%以上である実施例1~6では比較例1に比べて持続時間がより長くなっていることが確認された。特に、結晶性セルロースの吸水率が250%以上である実施例5、6において、持続時間がさらに長くなっていた。以上の結果より、本発明のドロップ剤によれば、口腔内の持続時間をより長くできることが確認された。