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特開2023-1419熱交換器およびそれを用いた冷凍システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001419
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】熱交換器およびそれを用いた冷凍システム
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20221226BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20221226BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20221226BHJP
   F28F 9/16 20060101ALI20221226BHJP
【FI】
F28F9/02 301J
F28D9/00
F25B39/00 B
F28F9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102121
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】名越 健二
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065CA17
3L103AA01
3L103BB38
3L103BB42
3L103CC17
3L103CC23
3L103DD15
3L103DD57
3L103DD70
(57)【要約】
【課題】熱交換性能を向上させた熱交換器とそれを用いた冷凍システムの提供。
【解決手段】流体の出入り口となる開口14を備えたエンドプレート3aと、前記エンドプレートのヘッダ流路用開口に接続した接続配管A4とを備え、前記接続配管は曲げ管で形成するとともに、前記エンドプレートのヘッダ流路用開口側にビード16付きの拡管部15を設け、前記拡管部15を前記エンドプレート3aの開口14に嵌合させて接合した構成としている。これにより、熱交換性能を向上させ事ができるとともに、接続配管のエンドプレートへの接合や接続配管へのシステム配管の接合のためのロウ付けを確実かつ手間の少ないものとすることができ、安価で信頼性が高く高性能な熱交換器とそれを用いた冷凍システムを提供することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の出入り口となる開口を備えたエンドプレートと、前記エンドプレートの開口に接続した接続配管とを備え、前記接続配管は曲げ管で形成するとともに、前記エンドプレートの開口側にビード付きの拡管部を設け、該拡管部を前記エンドプレートの開口に嵌合させて接合した熱交換器。
【請求項2】
冷凍サイクルを構成する熱交換器を、前記請求項1に記載の熱交換器とした冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器およびそれを用いた冷凍システムに関し、特に、プレートフィンを積層して構成したプレートフィン積層型熱交換器の出入り口に設けてあるスリーブと接続配管との接続構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プレートフィン積層型熱交換器を開示する。このプレートフィン積層型熱交換器は、一対のヘッダ流路と伝熱流路とを有する複数のプレートフィンを積層することにより構成している。そして、図10に示すように、上記ヘッダ流路101には前記プレートフィン102の最外方に配置されているエンドプレート103の流体出入り口となるヘッダ流路用開口104に流入出管となるスリーブ105が設けてあり、このスリーブ105にそれぞれ接続配管106を接合して冷凍システム側のシステム配管へとロウ付けする形となっている。そして、上記構成からなるプレートフィン積層型熱交換器は、接続配管106からヘッダ流路101を介して伝熱流路(図示せず)へ流入した冷媒等の第1流体と前記プレートフィン102間の間隙を流れる空気等の第2流体との間で熱交換させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-66531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記接続配管の接合構成に起因して生じる課題を解消して熱交換性能及び信頼性を向上させた熱交換器およびそれを用いた冷凍システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における熱交換器は、流体の出入り口となる開口を備えたエンドプレートと、前記エンドプレートの開口に接続した接続配管とを備え、前記接続配管は曲げ管で形成するとともに、前記エンドプレートの開口側にビード付きの拡管部を設け、前記拡管部を前記エンドプレートの開口に嵌合させて接合した構成としている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における熱交換器は、上記構成により、接続配管の出代を小さくして熱交換器全体の面積を増大させ、且つ、接続配管に設けた拡管部の流れ減速効果により熱交換器内における流体分布の均一化を促進して、熱交換性能を向上させることができる。しかも上記接続配管とエンドプレートとの接合はロウ付け工数の少ない炉中ロウ付けが可能となり、且つ、接続配管とシステム配管とはトーチロウ付け時に生じる熱ロス等を低減して確実かつ強固なロウ付けを行うことができ、安価で信頼性が高く高性能な熱交換器とそれを用いた冷凍システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1におけるプレートフィン積層型熱交換器の外観を示す斜視図
図2】同プレートフィン積層型熱交換器の分解斜視図
図3】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィン積層体の積層状態を示す斜視図
図4】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィンを示す平面図
図5】同プレートフィン積層型熱交換器の接続配管接合構成を示す断面図
図6】同プレートフィン積層型熱交換器のエンドプレートと接続配管の断面図
図7】同プレートフィン積層型熱交換器のビード形成方法を示す説明図
図8】同プレートフィン積層型熱交換器を用いた冷凍システムの一例として示す空気調和機の冷凍サイクル図
図9】同空気調和機の室内機を示す断面図
図10】本開示に至る前のプレートフィン積層型熱交換器の接続配管接合構成を説明する概略図
図11】同本開示に至る前のプレートフィン積層型熱交換器の課題を説明するための概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、プレートフィン積層型熱交換器等の熱交換器は、前記した如くプレートフィン102の最外方に配置されているエンドプレート103のヘッダ流路用開口104にスリーブ105を設け、接続配管106をロウ付け接合する構成となっており、エンドプレート103から接続配管106の出代Lが大きくなっている。そのため上記接続配管106の出代L分だけプレートフィンの積層枚数を少なくして熱交換器の全体面積を小さくせざるを得ず、接続配管106の出代Lを小さくして熱交換器の全体面積を増大させ熱交換性能を向上させる必要がある、という課題があった。
【0009】
また、上記熱交換性能の向上に加え、上記プレートフィン積層型の熱交換器は、流体として冷媒を用いヘッダ流路101が水平状態となるように設置されて使用される場合、ヘッダ流路101に流入する気液二相冷媒の慣性力の違いにより熱交換器本体部分で気相冷媒と液相冷媒が分離しがちであり、気液二相冷媒の分離を抑制して熱交換性能を更に向上させる必要がある、という課題もあった。
【0010】
また、上記構成では、スリーブ105と接続配管106との二つの管を必要とし、しかもその管は径の異なるものとなり、コスト増を招くという課題もあった。さらに、スリーブ105と接続配管106とはトーチロウ付けするため手間がかかり、更なるコスト増を招くとともに、上記トーチロウ付けは前記接続配管106の出代Lをできるだけ少なくするため短くしていることもあって、熱交換器本体部分と近い場所で行うことになる。そのため、図11に示すように、アルミニウム等を材料とするエンドプレート103、プレートフィン102からなる熱交換器本体部分にトーチロウ付けの熱が吸収されてスリーブ105と接続配管106とのロウ付けが困難となり、確実かつ強固なロウ付けを可能として信頼性を向上させる必要がある、という課題もあった。
【0011】
本発明者らはこのような課題を発見し当該課題を解決するため本開示の主題を構成するに至った。
【0012】
そこで本開示は、上記課題を解消して安価で高性能かつ信頼性の高い熱交換器およびそれを用いた冷凍システムを提供する。
【0013】
以下、図面を参照しながら、プレートフィン積層型熱交換器の場合を例にしてその実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、図1図7を用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
[1-1.構成]
本実施形態のプレートフィン積層型熱交換器(以下、単に熱交換器と称す)1は、図1図2に示すように、短冊状のプレートフィン2aを積層したプレートフィン積層体2の両側に平面視が略同一形状のエンドプレート3a、3bを接合一体化して構成している。そして、その端部に、凝縮器として用いる場合には入口となり蒸発器として用いる場合は出口となる接続配管A4及びその逆となる接続配管B5とを有している。尚、上記接続配管A4及び接続配管B5は図5図7に示すように、略L字状に屈曲する曲げ管としてあり、その接合構成については後で詳述する。
【0017】
上記プレートフィン積層体2の両側のエンドプレート3a、3bは、プレートフィン積層体2を挟持した形でロウ付けされ、締結手段7によりその長手方向両端部を連結固定し、熱交換器としての剛性を保持している。
【0018】
また、プレートフィン2aは、図3に示すように、一対のプレート6a、6bをロウ付け等により接合して冷媒等の第1流体(以下、冷媒と称する)が流れる伝熱流路8を有する構成としてあり、多数積層して各プレートフィン2a同士の間に空気等の第2流体(以下、空気と称する)が流れる積層間隔を形成している。そして、上記プレートフィン2aに設けた前記伝熱流路8を流れる冷媒と各プレートフィン2a同士の間の積層間隙を流れる空気との間で熱交換する。
【0019】
なお、上記プレートフィン2aを構成する一対のプレート6a、6bは、接続配管A4及び接続配管B5に繋がるヘッダ流路A9およびヘッダ流路B10となるヘッダ流路用開口A9a、B10a及びその開口縁に設けたリング状凹溝9b、10bと、前記ヘッダ流路A9およびヘッダ流路B10を繋ぐ流路形成用凹溝8aを有している。そして、上記一対のプレート6a、6bを向かい合わせにロウ付けして、ヘッダ流路A9およびヘッダ流路B10、ヘッダ流路A9およびヘッダ流路B10間を繋ぐ伝熱流路8を形成している。
【0020】
また、上記伝熱流路8は図4に示すように、入り口側となる一方のヘッダ流路A9から引き出した伝熱流路8の他端部側を数回折り返して出口側となる他端部側のヘッダ流路B10に繋ぐように構成し、隣接する流路間には熱移動を防止するためスリット11が形成している。更に、上記構成のプレートフィン2aを積層して構成したプレートフィン積層体2のプレートフィン2aは、当該プレートフィン2aの伝熱流路8の長手方向に沿って適宜設けた複数の突起12(図3参照)によって空気が流れる積層間隔を形成している。
【0021】
次に図5図7を用いて上記熱交換器1における接続配管A4,B5の接合構成について説明する。なお、上記接続配管A4,B5の接合構成は同じ構成なので、接続配管A4を例にして説明していく。
【0022】
上記接続配管A4は従来のスリーブと接続配管を一体にした構成としてあり、前述した通り略L字状に形成している。そして上記接続配管A4は、図6に示すように、エンドプレート3aの流体出入り口となる開口14に嵌合させる側の端部に拡管部15を設けるともにその外周部にビード16を形成し、拡管部15を前記開口14に嵌合させ、エンドプレート3aとビード16との間に介在させたリングロウ17を溶融させて炉中ロウ付けにより接合している。そして、上記接続配管A4の他端部側には、図5に示すように、冷凍システム側のシステム配管18をトーチロウ付けにより接合している。
【0023】
なお、上記接続配管A4、エンドプレート3a及びプレートフィン2aはアルミニウム若しくはアルミニウム合金等の熱伝導性が高く軽量な金属で形成されている。
【0024】
[1-2.動作]
次に上記のように構成したプレートフィン積層型熱交換器について、その作用効果を説明する。
【0025】
本実施形態の熱交換器は、例えば蒸発条件で使用されている時、接続配管管A4から気相状態の液冷媒がプレートフィン積層体2の入り口側のヘッダ流路A9内に流入する。ヘッダ流路A9内に流入した気相冷媒は、各プレートフィン2aの伝熱流路8を流れ、出口側のヘッダ流路B10を介して接続配管B5より冷凍システムの冷媒回路へと流出する。
【0026】
そして、上記伝熱流路8を流れる間にプレートフィン積層体2のプレートフィン積層間隔を通り抜ける空気と熱交換し、気相冷媒は順次液相化してヘッダ流路B10から流出する。
【0027】
このように動作する本実施形態の熱交換器1は、エンドプレート3aの開口14に接続配管A4を直接嵌合させて接合しているので、スリーブを介して接合するものに比べ接続配管A4の出代Lをスリーブの突出寸法分だけ小さくすることができる。これにより、プレートフィン2aの積層枚数を増やして熱交換器1の全体面積を増大させ熱交換性能を向上させることができる。
【0028】
また、上記接続配管A4の熱交換器接合側端部は拡管しているので、接続配管A4から熱交換器1へ気液二相冷媒が流入する際、その気液二相冷媒の流速を減速させることができる。これにより、熱交換器1をヘッダ流路A9が水平状態となるように設置した場合、ヘッダ流路A9に流入する気液二相冷媒の慣性力を下げることができ、その結果として熱交換器本体部分での気相冷媒と液相冷媒の分離が抑制され、冷媒の分布ムラを低減して熱交換性能を向上させることができる。
【0029】
また、接続配管A4に拡管部15を設けたことにより拡管部15と小径部19との間に段差部20が形成されることになる。したがって、図7に示すように、上記段差部20を掴みしろとして拡管部15に圧縮力を加えてビード16を形成することができ、略L字状の曲げ管であっても容易にビード16を形成することができる。
【0030】
また、上記接続配管A4は従来熱交換器のスリーブと接続配管を一体構成としているので、コスト増要因となる部品点数の削減を図ることができるとともに、エンドプレート3aへの接合端部となる拡管部15の外周にはビード16を設けているので、エンドプレート3aとビード16との間にリングロウ17を介在させて炉中ロウ付けすることができ、ロウ付け工数の大幅な削減が可能となる。
【0031】
そしてこの時、熱交換器1を横向き設置、つまりプレートフィン2aが図5に示すように縦方向となるように設置して炉中ロウ付けすれば、接続配管A4のビード16とエンドプレート3aの開口14の口縁との間で溶融しリングロウ17が、その表面張力によって管外周に略均等に回り込み固形化する。したがって、接続配管A4は管外周を均一にロウ材でエンドプレート3aの開口14に接合でき、その接合は確実かつ強固なものとすることができる。そして、プレートフィン2aが縦方向となるので、プレートフィン2aの面が横向きとなる場合に懸念されるプレートフィン自体の自重による変形も防止することができる。
【0032】
一方、上記接続配管A4には反対側端部にシステム配管18をトーチロウ付けにより接合するが、そのトーチロウ付けは従来熱交換器のスリーブ部分でのトーチロウ付けに比べエンドプレート3aの開口14、すなわち熱交換器本体部分から遠く離れた場所でトーチロウ付けを行うことになる。したがって、トーチロウ付けの熱が熱交換器本体部分に吸収されるのを抑制でき、確実なロウ付けが可能となる。
【0033】
[1-3.効果等]
以上のように、本開示のプレートフィン積層型熱交換器は、流体の出入り口となる開口14を備えたエンドプレート3aと、前記エンドプレート3aの開口14に接続した接続配管A4とを備え、前記接続配管A4は曲げ管で形成するとともに、前記エンドプレート3aの開口14側にビード16付きの拡管部15を設け、前記拡管部15を前記エンドプレート3aの開口14に嵌合させて接合した構成としている。
【0034】
これによって、接続配管A4の出代を小さくしてその分熱交換器の全体面積を増大させることができるとともに、拡管部による流速の減速効果により熱交換器内における流体の分布をより均一なものとすることができ、熱交換性能を向上させことができる。しかも接続配管A4のエンドプレート3aへの接合は炉中ロウ付けでき、且つ、接続配管A4へのシステム配管18のトーチロウ付け等は熱交換器本体部分から離れたところで行うことができ、確実かつ強固なロウ付けを可能として信頼性の高いものとすることができる。加えて、部品点数の減少と炉中ロウ付けによるロウ付け工数の削減等によってコスト増も抑制することができる。よって、安価で高性能かつ信頼性の高い熱交換器とそれを用いた冷凍システムとすることができる。
【0035】
(実施の形態2)
以下、図8図9を用いて、実施の形態2を説明する。
【0036】
[2-1.構成]
図8は実施の形態1における熱交換器を用いて構成した空気調和機の冷凍サイクル図、図9は同空気調和機の室内機を示す概略断面図である。
【0037】
図8図9において、この空気調和機は、室外機51と、室外機51に接続された室内機52から構成されている。室外機51には、冷媒を圧縮する圧縮機53、冷房暖房運転時の冷媒回路を切り替える四方弁54、冷媒と外気の熱を交換する室外熱交換器55、冷媒を減圧する減圧器56、室外送風機59が配設されている。また、室内機52には、冷媒と室内空気の熱を交換する室内熱交換器57と、室内送風機58とが配設されている。そして、前記室内熱交換器57に実施の形態1で例示したプレートフィン積層型熱交換器を用い、圧縮機53、四方弁54、室内熱交換器57、減圧器56、室外熱交換器55を冷媒回路で連結してヒートポンプ式冷凍サイクルを形成している。
【0038】
[2-2.動作]
上記構成からなる空気調和機は、冷房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室外熱交換器55とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の気相冷媒となって四方弁54を通って室外熱交換器55に送られる。そして、外気と熱交換して放熱し、高圧の液相冷媒となり、減圧器56に送られる。減圧器56では減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室内機52に送られる。室内機52では、冷媒は室内熱交換器57に入り室内空気と熱交換して吸熱し、蒸発気化して低温のガス冷媒となる。この時室内空気は冷却されて室内を冷房する。さらに冷媒は室外機51に戻り、四方弁54を経由して圧縮機53に戻される。
【0039】
一方、暖房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室内機52とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁54を通り、室内機52に送られる。高温高圧の冷媒は室内熱交換器57に入り、室内空気と熱交換して放熱し、冷却され高圧の液冷媒となる。この時、室内空気は加熱されて室内を暖房する。その後、冷媒は減圧器56に送られ、減圧器56において減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室外熱交換器55に送られて外気と熱交換して蒸発気化し、四方弁54を経由して圧縮機53へ戻される。
【0040】
[2-3.効果等]
本開示の冷凍システムは、室内熱交換器57に前記実施の形態1で示した熱交換器を用いているので、安価で高性能かつ信頼性の高い冷凍システムとすることができる。
【0041】
[他の実施形態]
以上、本発明に係る熱交換器及びそれを用いた冷凍システムについて、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。例えば、熱交換器はプレートフィン積層型熱交換器に限定されるものではなくこれに類する構造を持つ熱交換器であればよい。また、第1流体は冷媒、第2流体は空気とした場合を例示したが、これに限定されるものではない。また、冷凍システムとして空気調和機を例示したが第2流体を水としたヒートポンプ給湯器であってもよいものである。つまり、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、上記実施の形態の説明から明らかなように、安価で信頼性が高く高性能な熱交換器とそれを用いた冷凍システムを提供することができる。よって、家庭用及び業務用エアコンやヒートポンプ給湯器等に用いる熱交換器や各種冷凍機器等に幅広く利用でき、その産業的価値は大なるものがある。
【符号の説明】
【0043】
1 熱交換器
2 プレートフィン積層体
2a プレートフィン
3a、3b エンドプレート
4 接続配管A
5 接続配管B
6a プレート
6b プレート
7 締結手段(ボルト・ナット)
8 伝熱流路
8a 流路形成用凹溝
8b 伝熱流路導出部
9 ヘッダ流路A
10 ヘッダ流路B
10a 伝熱流路導出部
11 スリット
12 突起
14 開口
15 拡管部
16 ビード
17 リングロウ
18 システム配管
19 小径部
20 段差部
51 室外機
52 室内機
53 圧縮機
54 四方弁
55 室外熱交換器
56 減圧器
57 室内熱交換器
58 室内送風機
59 室外送風機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11