(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141954
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像形成システム、管理装置、画像形成装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230928BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230928BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230928BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06F3/12 338
B41J29/38 201
B41J29/00 Z
G06F3/12 322
H04N1/00 838
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048558
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 軍
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061CL10
2C061CN03
2C061HJ06
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ01
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
5C062AD05
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】管理装置によって承認されていない印刷が行われることを防止すること。
【解決手段】画像形成システム10は、画像データに対する印刷方法を指示する印刷指示情報、及び前記画像データを格納する可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して不可逆的な照合情報を生成し、生成した前記照合情報を、前記画像データ、前記印刷指示情報とともに前記可搬記憶媒体に格納するよう指示する管理装置200と、可搬記憶媒体に格納された前記照合情報を使用して、当該可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報が前記管理装置により承認されたものであること、及び前記可搬記憶媒体が前記管理装置により承認されたものであることを確認し、印刷指示情報及び可搬記憶媒体のいずれもが前記管理装置により承認されたものであることが確認できた場合に、前記可搬記憶媒体に格納された画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する画像形成装置400と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプロセッサを備え、前記第1のプロセッサは、画像データに対する印刷方法を指示する印刷指示情報、及び前記画像データを格納する可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して不可逆的な照合情報を生成し、生成した前記照合情報を、前記画像データ、前記印刷指示情報とともに前記可搬記憶媒体に格納するよう指示する管理装置と、
第2のプロセッサを備え、前記第2のプロセッサは、可搬記憶媒体に格納された前記照合情報を使用して、当該可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報が前記管理装置により承認されたものであること、及び前記可搬記憶媒体が前記管理装置により承認されたものであることを確認し、印刷指示情報及び可搬記憶媒体のいずれもが前記管理装置により承認されたものであることが確認できた場合に、前記可搬記憶媒体に格納された画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する画像形成装置と、
を備える画像形成システム。
【請求項2】
前記照合情報は、前記印刷指示情報、及び前記可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して生成されたハッシュ値であり、当該ハッシュ値は、公開鍵暗号方式における秘密鍵によりさらに暗号化され、
前記第2のプロセッサは、可搬記憶媒体に格納されたハッシュ化されていない印刷指示情報、及び前記可搬記憶媒体の個体識別情報を取得してハッシュ値を生成し、当該ハッシュ値を、前記暗号化されたハッシュ値を前記秘密鍵と対応した公開鍵により復号して比較し、2つのハッシュ値が一致する場合に、前記可搬記憶媒体に格納された前記画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する、請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記照合情報には、前記印刷指示情報を生成した時刻情報が含まれる、請求項2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記時刻情報は、前記印刷指示情報が前記可搬記憶媒体に格納された日時である、請求項3記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記照合情報には、前記印刷指示情報が記録される電子ファイルについての時刻情報が含まれる、請求項2記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記時刻情報は、前記印刷指示情報が記録される電子ファイルの生成日時、及び更新日時の少なくともいずれかである、請求項5記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記印刷指示情報の使用状況を示す指示使用情報を保持しており、
前記画像形成装置は、前記印刷指示情報を使用して画像形成を行う際に、前記管理装置に対して前記指示使用情報の状態を問い合わせ、印刷が可能である場合に前記印刷指示情報にしたがって印刷することを許可するとともに前記指示使用情報の変更を前記管理装置に通知し、印刷が可能ではない場合には印刷することを許可しない、請求項1から6のいずれか1項記載の画像形成システム。
【請求項8】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
可搬記憶媒体に格納される画像データに対する印刷方法を指示する印刷指示情報、及び前記画像データを格納する前記可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して不可逆的な照合情報を生成し、
生成した前記照合情報を、前記画像データ、前記印刷指示情報とともに前記可搬記憶媒体に格納するよう指示する制御を行う、管理装置。
【請求項9】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
可搬記憶媒体に格納された照合情報を取得し、
取得した前記照合情報を使用して、当該可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報が管理装置により承認されたものであること、及び前記可搬記憶媒体が前記管理装置により承認されたものであることを確認し、
印刷指示情報及び可搬記憶媒体のいずれもが前記管理装置により承認されたものであることが確認できた場合に、前記可搬記憶媒体に格納された画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する、画像形成装置。
【請求項10】
管理装置を構成するコンピュータに、
可搬記憶媒体に格納される画像データに対する印刷方法を指示する印刷指示情報、及び前記画像データを格納する前記可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して不可逆的な照合情報を生成し、
生成した前記照合情報を、前記画像データ、前記印刷指示情報とともに前記可搬記憶媒体に格納するよう指示する、制御を実行させる、プログラム。
【請求項11】
画像形成装置を構成するコンピュータに、
可搬記憶媒体に格納された照合情報を取得し、
取得した前記照合情報を使用して、当該可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報が管理装置により承認されたものであること、及び前記可搬記憶媒体が前記管理装置により承認されたものであることを確認し、
印刷指示情報及び可搬記憶媒体のいずれもが前記管理装置により承認されたものであることが確認できた場合に、前記可搬記憶媒体に格納された画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する、制御を実行する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成システム、管理装置、画像形成装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、クライアント端末が暗号化されたクレジット決済情報を含む電子証明書を記憶したICカードから電子証明書を読み取り、読み取った電子証明書をネットショップサーバに送信する決済システムを開示している。この決済システムでは、さらにネットショップサーバが電子証明書を受信し、電子証明書に基づいて認証処理を行うとともに、電子証明書から抽出、復号されたクレジット決済情報に基づいて決済処理を行う決済システムを開示している。
【0003】
下記特許文献2は、携帯型のコンピュータ機器をUSBデバイスとして画像形成装置に接続した際に、その機器が有する情報を収集し、管理サーバからダウンロードしたユーザ情報とを照合して認証を行い、認証後に印刷を許可する画像形成装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-205501号公報
【特許文献2】特開2004-109765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷指示情報と画像データをUSBメモリなどの可搬記憶媒体に格納して画像形成装置に接続し、可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報にしたがって画像データを印刷することが可能である。その場合、印刷指示情報が書き換えられたり、画像データに変更が加えられたりしていても、書き換えられた印刷指示情報にしたがって画像データが印刷されたり、変更された画像データが印刷されるという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、管理装置によって承認されていない印刷が行われることを防止することができる画像形成システム、管理装置、画像形成装置、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様の画像形成システムは、第1のプロセッサを備え、前記第1のプロセッサは、画像データに対する印刷方法を指示する印刷指示情報、及び前記画像データを格納する可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して不可逆的な照合情報を生成し、生成した前記照合情報を、前記画像データ、前記印刷指示情報とともに前記可搬記憶媒体に格納するよう指示する管理装置と、第2のプロセッサを備え、前記第2のプロセッサは、可搬記憶媒体に格納された前記照合情報を使用して、当該可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報が前記管理装置により承認されたものであること、及び前記可搬記憶媒体が前記管理装置により承認されたものであることを確認し、印刷指示情報及び可搬記憶媒体のいずれもが前記管理装置により承認されたものであることが確認できた場合に、前記可搬記憶媒体に格納された画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する画像形成装置と、を備える。
【0008】
本開示の第2態様の画像形成システムは、第1態様の画像形成システムにおいて、前記照合情報は、前記印刷指示情報、及び前記可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して生成されたハッシュ値であり、当該ハッシュ値は、公開鍵暗号方式における秘密鍵によりさらに暗号化され、前記第2のプロセッサは、可搬記憶媒体に格納されたハッシュ化されていない印刷指示情報、及び前記可搬記憶媒体の個体識別情報を取得してハッシュ値を生成し、当該ハッシュ値を、前記暗号化されたハッシュ値を前記秘密鍵と対応した公開鍵により復号して比較し、2つのハッシュ値が一致する場合に、前記可搬記憶媒体に格納された前記画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する。
【0009】
本開示の第3態様の画像形成システムは、第2態様の画像形成システムにおいて、前記照合情報には、前記印刷指示情報を生成した時刻情報が含まれる。
【0010】
本開示の第4態様の画像形成システムは、第3態様の画像形成システムにおいて、前記時刻情報は、前記印刷指示情報が前記可搬記憶媒体に格納された日時である。
【0011】
本開示の第5態様の画像形成システムは、第2態様の画像形成システムにおいて、前記照合情報には、前記印刷指示情報が記録される電子ファイルについての時刻情報が含まれる。
【0012】
本開示の第6態様の画像形成システムは、第5態様の画像形成システムにおいて、前記時刻情報は、前記印刷指示情報が記録される電子ファイルの生成日時、及び更新日時の少なくともいずれかである。
【0013】
本開示の第7態様の画像形成システムは、第1から第6態様の画像形成システムにおいて、前記管理装置は、前記印刷指示情報の使用状況を示す指示使用情報を保持しており、前記画像形成装置は、前記印刷指示情報を使用して画像形成を行う際に、前記管理装置に対して前記指示使用情報の状態を問い合わせ、印刷が可能である場合に前記印刷指示情報にしたがって印刷することを許可するとともに前記指示使用情報の変更を前記管理装置に通知し、印刷が可能ではない場合には印刷することを許可しない。
【0014】
本開示の第8態様の管理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、可搬記憶媒体に格納される画像データに対する印刷方法を指示する印刷指示情報、及び前記画像データを格納する前記可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して不可逆的な照合情報を生成し、生成した前記照合情報を、前記画像データ、前記印刷指示情報とともに前記可搬記憶媒体に格納するよう指示する制御を行う。
【0015】
本開示の第9態様の画像形成装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、可搬記憶媒体に格納された照合情報を取得し、取得した前記照合情報を使用して、当該可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報が管理装置により承認されたものであること、及び前記可搬記憶媒体が前記管理装置により承認されたものであることを確認し、印刷指示情報及び可搬記憶媒体のいずれもが前記管理装置により承認されたものであることが確認できた場合に、前記可搬記憶媒体に格納された画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する。
【0016】
本開示の第10態様のプログラムは、管理装置を構成するコンピュータに、可搬記憶媒体に格納される画像データに対する印刷方法を指示する印刷指示情報、及び前記画像データを格納する前記可搬記憶媒体の個体識別情報を使用して不可逆的な照合情報を生成し、生成した前記照合情報を、前記画像データ、前記印刷指示情報とともに前記可搬記憶媒体に格納するよう指示する、制御を実行させる。
【0017】
本開示の第11態様のプログラムは、画像形成装置を構成するコンピュータに、可搬記憶媒体に格納された照合情報を取得し、取得した前記照合情報を使用して、当該可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報が管理装置により承認されたものであること、及び前記可搬記憶媒体が前記管理装置により承認されたものであることを確認し、印刷指示情報及び可搬記憶媒体のいずれもが前記管理装置により承認されたものであることが確認できた場合に、前記可搬記憶媒体に格納された画像データを前記印刷指示情報にしたがって印刷する、制御を実行する。
【発明の効果】
【0018】
本開示の第1態様の画像形成システムによれば、管理装置によって承認されていない印刷が行われることを防止することができる画像形成システムを提供できる。
【0019】
本開示の第2態様の画像形成システムによれば、印刷指示情報が格納された可搬記憶媒体と印刷指示情報が管理装置によって承認されている場合に、当該可搬記憶媒体に格納された画像データを画像形成装置において印刷することが可能となる。
【0020】
本開示の第3態様の画像形成システムによれば、管理装置によって承認された印刷指示情報とは異なる生成時刻の印刷指示情報が可搬記憶媒体に格納された場合に、当該異なる生成時刻の印刷指示情報にしたがって画像データが印刷されることを防止できる。
【0021】
本開示の第4態様の画像形成システムによれば、管理装置の指示によって可搬記憶媒体に格納された印刷指示情報とは異なる印刷指示情報が可搬記憶媒体に格納されている場合に、当該異なる印刷指示情報にしたがって画像データが印刷されることを防止できる。
【0022】
本開示の第5態様の画像形成システムによれば、管理装置によって承認された印刷指示情報を保存した電子ファイルに対して書き換え、複製の少なくともいずれかが行われた場合に、書き換え又は複製された印刷指示情報にしたがって印刷が行われることを防止できる。
【0023】
本開示の第6態様の画像形成システムによれば、印刷指示情報が記録されている電子ファイルの生成日時、及び更新日時のいずれかが変更された場合に、当該変更された電子ファイルに記録されている印刷指示情報にしたがって画像データが印刷されることを防止できる。
【0024】
本開示の第7態様の画像形成システムによれば、印刷指示情報が有効である場合にのみ、当該印刷指示情報にしたがって画像形成を行うことが可能となる。
【0025】
本開示の第8態様の管理装置によれば、管理装置によって承認されていない印刷指示情報、及び承認されていない可搬記憶媒体に格納された画像データの少なくともいずれかによって印刷が行われることを防止するための照合情報を発行する管理装置を提供できる。
【0026】
本開示の第9態様の画像形成装置によれば、管理装置によって承認されていない印刷指示情報、及び承認されていない可搬記憶媒体に格納された画像データの少なくともいずれかによって印刷が行われることを防止する画像形成装置を提供できる。
【0027】
本開示の第10態様のプログラムによれば、管理装置に対して、承認されていない印刷指示情報及び可搬記憶媒体に格納された画像データの少なくともいずれかによって印刷が行われることを防止するための照合情報を発行する制御を実行させることができる。
【0028】
本開示の第11態様のプログラムによれば、画像形成装置に対して、承認されていない印刷指示情報及び可搬記憶媒体に格納された画像データの少なくともいずれかによって印刷が行われることを防止する制御を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示の実施形態における画像形成システムの一例を示す全体概念図である。
【
図2】本開示の実施形態における管理装置のハードウェア構成図である。
【
図3】本開示の実施形態における管理装置の機能ブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態における画像形成装置のハードウェア構成図である。
【
図5】本開示の実施形態における画像形成装置の機能ブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態における画像形成システムを構成する各装置間の処理の前半部分を時系列で示したシーケンス図である。
【
図7】本開示の実施形態における画像形成システムを構成する各装置間の処理の後半部分を時系列で示したシーケンス図である。
【
図8】
図8(a)は、ハッシュ値を生成するための元データの構成を示す図であり、
図8(b)は、USBメモリに記録されるデータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の一実施形態の画像形成システム10を、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本開示の画像形成システムを例示して示すためのものであり、本開示を以下の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0031】
図1は、画像形成システム10の一例を示す全体概念図である。
図1に示すように、画像形成システム10は、ユーザが操作するクライアント端末装置100、管理装置200、USBメモリ300、画像形成装置400を含む。クライアント端末装置100と管理装置200、また管理装置200と画像形成装置400とはそれぞれインターネット500等のネットワークによって互いに接続されている。
【0032】
後で詳細に説明するが、この画像形成システム10における処理の大まかな流れについて簡単に説明する。まず、ユーザがクライアント端末装置100で画像データを選択し、印刷方法を設定する。管理装置200は、この印刷方法に基づいた印刷指示情報、及びUSBメモリ300の個体識別情報を少なくとも使用して不可逆的な照合情報を生成し、クライアント端末装置100に送信する。クライアント端末装置100は、受信した照合情報を、画像データ、印刷指示情報とともにUSBメモリ300に保存する。
【0033】
ユーザは、このUSBメモリ300を携帯して、画像形成装置400が設置されている店舗等に移動し、USBメモリ300を画像形成装置400に接続する。すると、画像形成装置は、USBメモリ300に格納された照合情報を使用して、当該USBメモリ300、及びUSBメモリ300に格納された印刷指示情報が管理装置200により承認されたものであるか否かを照合する。印刷指示情報及びUSBメモリ300のいずれもが管理装置200により承認されたものである場合に、画像形成装置400は、USBメモリ300に格納された画像データを、同じくUSBメモリ300に格納された印刷指示情報にしたがって印刷する。
【0034】
なお、この画像形成システム10には、クライアント端末装置100、画像形成装置400がそれぞれ複数台存在しており、それぞれインターネット500に接続されていてもよい。しかしながら、本実施形態では、説明を簡単にするために、それぞれ1台のみがインターネット500に接続されている場合を説明する。
【0035】
最初にクライアント端末装置100について説明する。クライアント端末装置100は、画像データの選択を行うユーザが所持、又は操作するもので、タブレット型コンピュータ、スマートフォンといった携帯用端末装置、又はノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータである。ユーザは、クライアント端末装置100にインストールされたアプリケーションソフトウェアを動作させることによって、クライアント端末装置100のユーザインタフェースを操作し、画像形成装置400を用いて印刷する画像データを作成、又は選択する。
【0036】
ここで、「画像データ」とは、クライアント端末装置100で作成された、あるいはクライアント端末装置100がインターネット500等のネットワーク経由で取得した画像形成可能な印刷対象データのことである。こうした印刷対象データには、ラスタ形式又はベクタ形式の画像ファイルデータ、テキストファイルデータ、画像データ及びテキストデータを画像形成可能なページ記述言語形式で記述したPDLファイルデータが含まれる。
【0037】
また、ユーザが指示する「印刷方法」とは、画像データを印刷する部数、両面/片面印刷の設定、出力用紙サイズ、カラー/白黒の選択といった印刷設定のことを指している。さらに、「印刷指示情報」とは、画像データに対する印刷方法を指示する情報であり、画像データのファイル名、及び当該画像データの印刷方法が記述された印刷指示書ファイルの形態をとる。
【0038】
次に、
図2、
図3を参照して、管理装置200について説明する。
図2は管理装置200のハードウェア構成図であり、
図3は管理装置200の機能ブロック図である。
図2に示すように、管理装置200は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204を備え、それぞれ制御用バス205に接続される。
【0039】
CPU201は、制御用マイクロプロセッサであり、記憶装置203に記憶された制御プログラムに基づいて、管理装置200の各部の動作を制御する。
【0040】
メモリ202は、クライアント端末装置100から受信した画像データの情報、印刷指示情報、USBメモリ情報を一時的に記憶する。
【0041】
記憶装置203は、ハードディスクドライブ(略してHDDという)、又はソリッド・ステート・ドライブ(略してSSDという)によって構成され、管理装置200の各部を制御するための制御プログラムが格納される。本実施形態では、制御プログラムが記憶装置203にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係る制御プログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係る制御プログラムを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る制御プログラムを、通信インタフェース204に接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。また、記憶装置203には、後述する印刷管理データベース215が格納される。
【0042】
通信インタフェース204はインターネット経由で接続されたクライアント端末装置100、画像形成装置400と通信を行うための通信制御を行う。
【0043】
また、管理装置200は、
図3に示すように、記憶装置203に記憶された制御プログラムを実行することにより、データ受信部211、課金処理部212、照合情報生成部213、印刷管理承認部214、印刷管理データベース215としての機能を発揮する。
【0044】
データ受信部211は、画像データについての情報、当該画像データに対する印刷方法についての情報、クライアント端末装置100に接続されたUSBメモリ300の情報をクライアント端末装置100から受信し、メモリ202に一時的に記憶する。
【0045】
課金処理部212は、画像データを上記印刷方法で印刷した場合の料金を算出してクライアント端末装置100に送信する。また、クライアント端末装置100からクレジット決済情報を取得し、図示しないクレジットカード会社のサーバに決済を依頼する。決済が成功すると、課金処理部212は、その旨をクライアント端末装置100に対して通知するとともに、照合情報生成部213による後述の処理を許可する。
【0046】
照合情報生成部213は、メモリ202に記憶されている印刷指示情報を使用して印刷指示書ファイルを生成する。照合情報生成部213は、印刷指示書ファイル、画像データが管理装置200によって承認されたものであることを確認するための確認データとなる不可逆的な照合情報を生成する。ここで、「不可逆的な照合情報」とは、変換前のデータに復元することが不可能であるものの、変換前のデータに対しては一意に対応する値の情報のことである。また、この照合情報は、印刷指示情報、及びUSBメモリ300の個体識別情報を使用して生成されたハッシュ値である。
【0047】
なお、USBメモリ300の「個体識別情報」とは、USBメモリ300の製造会社ID、製品ID、シリアル番号といったUSBメモリの個々を特定するUSBメモリ特定情報を含むUSBメモリ情報のことである。さらに、照合情報は、印刷指示情報を生成した時刻情報、具体的には、印刷指示情報がUSBメモリ300に格納された日時情報、又は印刷指示情報が記録される電子ファイルの時刻情報であってもよい。例えば、この電子ファイルについての時刻情報は、印刷指示情報が記録される電子ファイルである印刷指示書ファイルの生成日時情報、及び更新日時情報の少なくともいずれかが含まれている。
【0048】
具体的には、照合情報は、印刷指示書ファイル、印刷指示書ファイル名、印刷指示書ファイルの生成日時情報、及びUSBメモリ情報から、予め指定されたハッシュ関数を用いて算出される。
【0049】
さらに、照合情報生成部213は、この照合情報を、ユーザ名、後述の印刷管理承認部214によって生成される作業ID、及び印刷指示書ファイル名とともに、公開鍵暗号方式における秘密鍵によりさらに暗号化し、暗号化ファイルパッケージを生成する。また、照合情報生成部213は、生成した暗号化ファイルパッケージを、画像データ、印刷指示書ファイルとともにUSBメモリ300に格納するようにクライアント端末装置100に対して指示する。
【0050】
印刷管理承認部214は、印刷指示情報の使用状況を示す指示使用情報を生成し、印刷管理データベース215に保持させる。具体的には、印刷管理承認部214は、生成された印刷指示書ファイルに対応付けられた作業IDを生成し、印刷管理データベース215に記憶する。作業IDには「有効」又は「無効」のいずれかのステータスが関連付けられて記憶されている。印刷管理承認部214は、作業IDの発行時には、当該作業IDに対して「有効」のステータスを関連付けて記憶する。また、印刷管理承認部214は、画像形成装置400から該当する作業IDが「有効」であるか否かの問い合わせを受けた場合に、「有効」又は「無効」の通知を当該画像形成装置400に対して行う。また、印刷管理承認部214は、画像形成装置400から印刷完了通知を受信した場合に、印刷管理データベース215の該当する作業IDのステータスを「無効」に設定し、同一の作業IDでの印刷が再度行われないようにする。
【0051】
USBメモリ300は、画像データを格納する可搬記憶媒体である。USBメモリ300には、製造会社ID、製品ID、シリアル番号といったUSBメモリ情報でなる個体識別情報が記録されている。
【0052】
次に、画像形成装置400について、
図4、
図5を参照して説明する。
図4は画像形成装置400のハードウェア構成図であり、
図5は画像形成装置400の機能ブロック図である。
図4に示すように、画像形成装置400は、CPU401、メモリ402、記憶装置403、入力装置404、表示装置405、画像形成ユニット406、通信インタフェース407、USBコネクタ408を備え、それぞれ制御バス409に接続される。
【0053】
CPU401は、制御用マイクロプロセッサであり、記憶装置403に記憶された制御プログラムに基づいて、画像形成装置400の各部の動作を制御する。
【0054】
メモリ402は、本画像形成装置400の画像形成ユニット406により印刷する印刷データを一時的に記憶する。
【0055】
記憶装置403は、ハードディスクドライブ(略してHDDという)、又はソリッド・ステート・ドライブ(略してSSDという)によって構成され、本画像形成装置400の各部を制御するための制御プログラムが格納される。本実施形態では、画像形成装置400の制御プログラムが記憶装置403にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係る制御プログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係る制御プログラムを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る制御プログラムを、通信インタフェース407に接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。
【0056】
入力装置404は、後述する表示装置405の表面に形成されたタッチパネルであり、必要に応じてユーザが操作入力を行う。しかしながら、基本的に本実施形態では、ユーザが入力装置404の操作を行う必要はない。
【0057】
表示装置405は、本画像形成装置400に設けられた液晶ディスプレイであり、ユーザに対するメッセージを含む各種画面を表示する。
【0058】
画像形成ユニット406は、USBメモリ300から取得した画像データを、同じくUSBメモリ300から取得した印刷指示書ファイルに記述された印刷指示にしたがって印刷処理を実行し、紙面等の記録媒体等に印刷する。
【0059】
通信インタフェース407は、図示しないLANケーブルを通じて、あるいは無線LANを介して、インターネット500経由で接続された管理装置200と通信を行うための通信制御を行う。
【0060】
USBコネクタ408は、ユーザが所持するUSBメモリ300が接続されるものである。
【0061】
また、
図5に示すように、画像形成装置400は、記憶装置403に記憶された制御プログラムを実行することにより、可搬記憶媒体検出部411、印刷可否判定部412、印刷制御部413の各機能を発揮する。
【0062】
可搬記憶媒体検出部411は、USBコネクタ408に接続されたUSBメモリ300を検出し、USBメモリ300に記録されている画像データ、印刷指示書ファイル、暗号化ファイルパッケージ、及びUSBメモリ情報を読み取る。
【0063】
印刷可否判定部412は、USBメモリ300に格納された照合情報を使用して、USBメモリ300に格納された印刷指示書ファイル、及びUSBメモリ300の両方が管理装置200により承認されたものであることを確認する。
【0064】
具体的には、印刷可否判定部412は、USBメモリ300から取得した暗号化ファイルパッケージを公開暗号化方式における公開鍵で復号し、復号されたファイルに含まれるハッシュ値を取得する。また、印刷可否判定部412は、USBメモリ300から取得した印刷指示書ファイル、印刷指示書ファイル名、ファイル生成日時情報、USBメモリ情報からハッシュ値を算出する。印刷可否判定部412は、これらUSBメモリ300から取得したハッシュ値と、自身がUSBメモリ300から取得した情報を使用して算出したハッシュ値とを比較する。なお、ハッシュ値を算出するために使用されるハッシュ関数は、管理装置200においてハッシュ値を算出する際に使用するハッシュ関数と同一のものである。
【0065】
さらに、印刷可否判定部412はハッシュ値の比較の結果、2つのハッシュ値が一致する場合に、暗号化ファイルパッケージに含まれていた作業IDが「有効」であるか否かを、管理装置200に対して問い合わせる。印刷可否判定部412は、作業IDが有効である、つまり印刷が可能である場合に、印刷制御部413による下記の印刷を許可し、作業IDが無効である、つまり印刷が可能ではない場合には、印刷制御部413による下記の印刷を許可しない。
【0066】
印刷制御部413は、印刷可否判定部412による印刷許可がある場合に、USBメモリ300から取得した画像データを、やはり同様に取得した印刷指示書ファイルの印刷指示にしたがって画像形成ユニット406を制御し、紙等の記録媒体上に印刷する。
【0067】
次に、
図6、
図7を参照して、画像形成システム10の全体の処理の流れを説明する。なお、
図6は、画像形成システム10を構成する各装置間の処理を時系列で示したシーケンス図の前半部分を示し、
図7は同じくシーケンス図の後半部分を示す。
【0068】
まず、ユーザは、印刷対象となる画像データ及び印刷指示情報を保存して持ち運ぶUSBメモリ300を、クライアント端末装置100に接続する。次いで、ステップS101において、ユーザはクライアント端末装置100を操作して、ユーザ名及びパスワード等を入力して管理装置200に送信し、管理装置200にログイン接続する。
【0069】
ステップS102において、ユーザはクライアント端末装置100を操作し、印刷対象となる画像データを選択する。なお、この画像データは、クライアント端末装置100において作成されたものであってもよいし、インターネット500等のネットワーク経由で取得した画像であってもよい。さらに、ユーザはクライアント端末装置100を操作し、当該画像データを印刷する部数、両面/片面印刷の設定、出力用紙サイズ、カラー/白黒の選択といった印刷方法を設定する。
【0070】
ステップS103において、クライアント端末装置100は、画像データについての情報、及び印刷方法についての情報を、管理装置200に送信する。
【0071】
ステップS104において、管理装置200の課金処理部212は、クライアント端末装置100に対して、上記の画像データをユーザが設定した印刷方法で印刷した場合の料金を算出し、クライアント端末装置100に送信する。また、課金処理部212は、クレジットカード情報等の決済情報を送信するようにクライアント端末装置100に要求する。
【0072】
ユーザがクライアント端末装置100を操作して決済情報を入力すると、クライアント端末装置100は、ステップS105において、決済情報を管理装置200に送信する。
【0073】
ステップS106において、管理装置200の課金処理部212は、決済情報をクレジットカード会社のサーバに送信して決済を依頼し、決済が成功すると、照合情報生成部213による後述の処理を許可する。
【0074】
ステップS107において、管理装置200の照合情報生成部213は、画像データの絶対パス付きファイル名といった画像データについての情報、及び印刷方法についての情報を使用して印刷指示書ファイルを生成する。画像データについての情報には画像データのファイルサイズが含まれていてもよい。
【0075】
ステップS108において、照合情報生成部213は、生成した印刷指示書ファイルをクライアント端末装置100に送信し、印刷対象となる画像データファイルとともにクライアント端末装置100に接続されたUSBメモリ300に記憶するように指示する。また、照合情報生成部213は、クライアント端末装置100に対して、印刷指示書ファイルの更新日時情報、及びUSBメモリ300の情報を要求する。
【0076】
ステップS109において、クライアント端末装置100は、印刷指示書ファイルと画像データファイルをUSBメモリ300に保存するとともに、この時の印刷指示書ファイルの更新日時情報、及びUSBメモリ300の情報を取得する。
【0077】
ステップS110において、クライアント端末装置は、取得した印刷指示書ファイルの更新日時情報、及びUSBメモリ300の情報を管理装置200に送信する。
【0078】
ステップS111において、管理装置200の印刷管理承認部214は、印刷指示書ファイルに対応する作業IDを生成する。なお、この作業IDは、印刷指示書ファイルに対して一対一で対応するものである。印刷管理承認部214は、生成した作業IDに対して「有効」を設定値として関連付けて記憶する。
【0079】
ステップS112において、照合情報生成部213は、
図8(a)に示すように、印刷指示書ファイル、印刷指示書ファイル名、印刷指示書ファイルの生成日時情報、印刷指示書ファイルの更新日時情報、USBメモリ情報からハッシュ値を算出する。USBメモリ300の情報には、製造会社ID、製品ID、シリアル番号といったUSBメモリ情報でなる個体識別情報が含まれる。また、ハッシュ値の算出には予め指定されたハッシュ関数を使用する。
【0080】
さらに、ステップS112において、照合情報生成部213は、算出したハッシュ値、管理装置200へのログインに使用したユーザ名、作業ID、印刷指示書ファイル名を、公開鍵暗号方式における秘密鍵により暗号化し、暗号化ファイルパッケージを生成する。
図8(b)には、この暗号化ファイルパッケージの構成が示されている。なお、秘密鍵に対応する公開鍵は予め画像形成装置400に送信し、保持させておく。
【0081】
ステップS113において、照合情報生成部213は、暗号化ファイルパッケージをクライアント端末装置100へ送信し、USBメモリ300に保存するように指示する。
【0082】
ステップS114において、クライアント端末装置100は、管理装置200から受信した暗号化ファイルパッケージをUSBメモリ300に記憶する。したがって、
図8(b)に示すように、USBメモリ300には、既に記憶されている印刷指示書ファイル、画像データに加えて暗号化ファイルパッケージが格納されることになる。
【0083】
次いで、ユーザはUSBメモリ300を携帯して画像形成装置400が設置してある店舗に移動し、USBメモリ300を画像形成装置400のUSBコネクタ408に接続する。すると、
図7のステップS115において、可搬記憶媒体検出部411は、接続されたUSBメモリ300を検出し、USBメモリ300に記録されている画像データファイル、印刷指示書ファイル、暗号化ファイルパッケージ、及びUSBメモリ情報を読み取る。
【0084】
ステップS116において、印刷可否判定部412は、USBメモリ300から取得した暗号化ファイルパッケージを公開暗号化方式における公開鍵で復号し、復号されたファイルに含まれるハッシュ値を取得する。
【0085】
また、ステップS117において、印刷可否判定部412は、USBメモリ300から取得した印刷指示書ファイル、印刷指示書ファイル名、ファイル生成日時情報、ファイル更新日時情報、USBメモリ情報からハッシュ値を算出する。なお、ハッシュ値を算出するために使用されるハッシュ関数は、管理装置200においてハッシュ値を算出する際に使用するハッシュ関数と同一のものを使用する。
【0086】
ステップS118において、印刷可否判定部412は、USBメモリ300から取得したハッシュ値と、自身が算出したハッシュ値とを比較する。値が等しい場合、印刷可否判定部412は、ステップS119において、作業IDが「有効」であるか否かを、管理装置200に対して問い合わせる。なお、ハッシュ値が一致しない場合、印刷可否判定部412は、エラー情報を生成し、表示装置405に表示し、印刷処理を行わず、処理を終了する。エラー情報には、接続されたUSBメモリが当初画像データ又は印刷指示書ファイルを保存したものとは異なるか、印刷指示書ファイルがコピーされたり変更されたりしているために使用することができない旨のメッセージが含まれる。
【0087】
これにより、USBメモリ300から取得した印刷指示書ファイルの内容が管理装置200によって作成された内容と異なる場合、ハッシュ値が一致しないため、印刷ができなくなる。また、印刷指示書ファイルがコピーされた場合も、印刷指示書ファイルのファイル更新日時情報が異なるためにハッシュ値が一致せず、印刷ができない。また、USBメモリが、印刷指示書ファイルが当初保存されたものと異なる場合にも、USBメモリ情報が異なるためにハッシュ値が一致せず、印刷ができない。
【0088】
ステップS120において、管理装置200の印刷管理承認部214は、上記問い合わせに対して、当該作業IDに対する「有効」又は「無効」のステータス、つまり状態を取得し、画像形成装置400に対して通知する。
【0089】
ステップS121において、画像形成装置400の印刷制御部413は、作業IDのステータスが「有効」であるか否かを判断する。作業IDのステータスが「有効」である場合、印刷制御部413は、ステップS122において、USBメモリ300から取得した画像データを、印刷指示書ファイルの印刷指示にしたがって画像形成ユニット406を制御し、紙等の記録媒体上に印刷する。なお、作業IDに関連付けられたステータスが「無効」である場合には、印刷可否判定部412は、エラー情報を生成し、表示装置405に表示し、印刷処理を行わず、処理を終了する。エラー情報には、印刷指示書ファイルが既に使用されたものであり有効でない旨のメッセージが含まれる。
【0090】
ステップS123において、印刷制御部413は、当該作業IDに対応する印刷指示にしたがって印刷が行われたことを管理装置200に通知する。ステップS124において、管理装置200の印刷管理承認部214は、画像形成装置400から受信した、印刷が終了した作業IDのステータスを「無効」に設定し、処理を終了する。したがって、同一の作業IDを含む印刷指示情報を使用した印刷を行うことができなくなる。
【0091】
なお、上記実施形態では、照合情報として、USBメモリ情報、印刷指示情報を使用して算出されるハッシュ値を使用する場合を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。ハッシュ値は、USBメモリそのもの、及びUSBメモリに記録されているデータが管理装置200によって真正であることを確認するために使用されるものである。したがって、照合情報は、少なくともUSBメモリ情報及び印刷指示情報がハッシュ化されたものであればよく、その他にも、印刷対象となる画像データそのもの、また画像形成装置400の機器情報を含めてハッシュ化したものであってもよい。
【0092】
ハッシュ化される情報として、USBメモリ情報を使用すれば、画像データを記憶するUSBメモリ300が管理装置200によって承認されたものであることを確認できる。また、ハッシュ化される情報として印刷指示情報を使用した場合は、印刷指示情報が管理装置200によって承認されたものか否かを確認できる。同様に、ハッシュ化される情報として画像データそのものを含めた場合は、画像データそのものが管理装置200によって承認されたものか否かを確認できる。つまり、画像データに変更が加えられた場合、例えば、画像データファイルのファイル名は同じであるにも関わらず中身が改ざんされた場合に、ハッシュ値が一致せず、印刷ができなくなる。また、ハッシュ化される情報として、予め指定した画像形成装置400の機器情報、例えばシリアル番号を含めて算出してもよい。その場合、指定した画像形成装置400以外の画像形成装置にUSBメモリを接続しても印刷することはできない。
【0093】
なお、上記実施形態では、可搬記憶媒体としてUSBメモリ300を例として説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。可搬記憶媒体は、少なくとも画像データ及び印刷指示情報を記憶して持ち運ぶことのできる、非ネットワーク経由でデータを移動させる媒体であればよく、例えばSDカード等のフラッシュメモリ、スマートフォンであってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、印刷指示書ファイルを管理装置200において生成した場合を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。印刷指示書ファイルをクライアント端末装置100において生成してUSBメモリ300に記憶した後に、この印刷指示書ファイルとその作成時刻情報等を管理装置200に送信し、ハッシュ値を算出するようにしてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、作業IDのステータスは「有効」、「無効」のいずれかに設定された場合を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。作業IDのステータスは、印刷可能回数としてもよい。その場合、印刷が行われる毎に印刷可能回数を減少させていく。作業IDに対応付けられた印刷可能回数が「0」となった場合に、印刷不可能とすることで、当該作業IDを含む印刷指示書ファイルを使用した印刷を行うことができないようにする。
【0096】
なお、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0097】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、必要に応じて変更してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 画像形成システム
100 クライアント端末装置
200 管理装置
201 CPU
202 メモリ
203 記憶装置
204 通信インタフェース
205 制御用バス
211 データ受信部
212 課金処理部
213 照合情報生成部
214 印刷管理承認部
215 印刷管理データベース
300 メモリ
400 画像形成装置
401 CPU
402 メモリ
403 記憶装置
404 入力装置
405 表示装置
406 画像形成ユニット
407 通信インタフェース
408 コネクタ
409 制御バス
411 可搬記憶媒体検出部
412 印刷可否判定部
413 印刷制御部
500 インターネット