(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142102
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】消耗品管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230928BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048797
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 健人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】機器の回収時期に応じて消耗品の提供を制御することにより、提供された機器の使用状況のみに応じて消耗品を交換する場合と比較して、消耗品の使用における無駄を低減させる。
【解決手段】消耗品管理サーバは、回収時期が設定された対象機器から消耗品の使用情報を取得し、使用情報に基づき消耗品の交換時期を判断する。消耗品管理サーバは、交換時期が回収時期に基づく予め定められた条件を満たす場合、消耗品の交換または補充を指示し、交換時期が当該条件を満たさない場合、消耗品の交換または補充を指示しない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
回収時期が設定された管理対象の機器から消耗品の使用情報を取得し、
前記使用情報に基づき前記消耗品の交換時期を判断し、
前記交換時期が前記回収時期に基づく予め定められた条件を満たす場合、前記消耗品の交換または補充を指示し、前記交換時期が当該条件を満たさない場合、前記消耗品の交換または補充を指示しないことを特徴とする、消耗品管理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記交換時期が前記回収時期に基づく予め定められた条件を満たす場合、前記交換時期と前記回収時期との間の期間に応じて、前記指示において、補充を要する前記消耗品の補充量を制限することを特徴とする、請求項1に記載の消耗品管理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記機器が提供先の設置場所から回収後に、当該提供先の他の設置場所に設置される場合、前記交換時期と前記回収時期との間の期間が前記消耗品の補充量を制限する条件を満たしても、補充量を制限しないことを特徴とする、請求項2に記載の消耗品管理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記交換時期が前記回収時期に基づく予め定められた条件を満たさない場合であって、前記機器が提供先の設置場所から回収後に、当該提供先の他の設置場所に設置される場合、当該機器の当該他の設置場所への設置に応じて、前記消耗品の交換または補充を指示することを特徴とする、請求項1に記載の消耗品管理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記消耗品の使用に関する予め定められた条件を満たす場合、前記機器が提供先の設置場所から回収後に、当該提供先の他の設置場所に設置される場合であっても、前記消耗品の交換または補充を指示しないことを特徴とする、請求項4に記載の消耗品管理システム。
【請求項6】
コンピュータに、
回収時期が設定された管理対象の機器から消耗品の使用情報を取得する機能と、
前記使用情報に基づき前記消耗品の交換時期を判断する機能と、
前記交換時期が前記回収時期に基づく予め定められた条件を満たす場合、前記消耗品の交換または補充を指示し、前記交換時期が当該条件を満たさない場合、前記消耗品の交換または補充を指示しない機能と、
を実現させることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品管理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
事務機器等の消耗品の管理に関して、機器から消耗品の使用量の情報を取得して交換時期を計算し、交換時期が近くなった消耗品を交換したり補充したりすることが行われている。また、消耗品の使用における無駄を低減させるため、再生品の利用や使用された消耗品の再利用なども提案されている。
【0003】
特許文献1には、消耗品を使用する顧客側の機器が消耗品の使用度合もしくは消耗度合を、消耗品を管理する管理元の管理装置に通知し、消耗品が所定の使用度合もしくは消耗度合まで使用されたと管理装置により検出されたときに、予め登録されている契約情報に従って、新品の消耗品を顧客に提供するか再生された消耗品を顧客に提供するかを決定する、消耗品管理方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、管理サーバ101が使用されていた消耗部品はまだ使用可能と判断した場合に検査端末104へ送付され、検査端末104では、消耗部品が使用可能か否かの検査を行い、検査の結果使用可能であれば在庫として登録され、画像形成装置106は、消耗部品の残寿命が一定期間より少なくなると、該消耗品の交換要求情報を管理サーバ101に送信し、管理サーバ101では交換要求情報に基いて必要な消耗部品の検索を行い管理サーバ101は在庫管理端末105に対して適切な出荷処理に関する情報を送信する、管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-280865号公報
【特許文献2】特開2008-185824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機器が貸与契約等によって顧客に提供されている場合、貸与契約の満了等による機器の回収時期に近い時期に消耗品を交換すると、消耗品を交換後、間もなく機器を回収することとなり、消耗品の使用に無駄が生じる場合があった。
【0007】
本発明は、機器の回収時期に応じて消耗品の提供を制御することにより、提供された機器の使用状況のみに応じて消耗品を交換する場合と比較して、消耗品の使用における無駄を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
回収時期が設定された管理対象の機器から消耗品の使用情報を取得し、
前記使用情報に基づき前記消耗品の交換時期を判断し、
前記交換時期が前記回収時期に基づく予め定められた条件を満たす場合、前記消耗品の交換または補充を指示し、前記交換時期が当該条件を満たさない場合、前記消耗品の交換または補充を指示しないことを特徴とする、消耗品管理システムである。
請求項2に係る本発明は、
前記プロセッサは、前記交換時期が前記回収時期に基づく予め定められた条件を満たす場合、前記交換時期と前記回収時期との間の期間に応じて、前記指示において、補充を要する前記消耗品の補充量を制限することを特徴とする、請求項1に記載の消耗品管理システムである。
請求項3に係る本発明は、
前記プロセッサは、前記機器が提供先の設置場所から回収後に、当該提供先の他の設置場所に設置される場合、前記交換時期と前記回収時期との間の期間が前記消耗品の補充量を制限する条件を満たしても、補充量を制限しないことを特徴とする、請求項2に記載の消耗品管理システムである。
請求項4に係る本発明は、
前記プロセッサは、前記交換時期が前記回収時期に基づく予め定められた条件を満たさない場合であって、前記機器が提供先の設置場所から回収後に、当該提供先の他の設置場所に設置される場合、当該機器の当該他の設置場所への設置に応じて、前記消耗品の交換または補充を指示することを特徴とする、請求項1に記載の消耗品管理システムである。
請求項5に係る本発明は、
前記プロセッサは、前記消耗品の使用に関する予め定められた条件を満たす場合、前記機器が提供先の設置場所から回収後に、当該提供先の他の設置場所に設置される場合であっても、前記消耗品の交換または補充を指示しないことを特徴とする、請求項4に記載の消耗品管理システムである。
請求項6に係る本発明は、
コンピュータに、
回収時期が設定された管理対象の機器から消耗品の使用情報を取得する機能と、
前記使用情報に基づき前記消耗品の交換時期を判断する機能と、
前記交換時期が前記回収時期に基づく予め定められた条件を満たす場合、前記消耗品の交換または補充を指示し、前記交換時期が当該条件を満たさない場合、前記消耗品の交換または補充を指示しない機能と、
を実現させることを特徴とする、プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、提供された機器の使用状況のみに応じて消耗品を交換する場合と比較して、消耗品の使用における無駄を低減させることができる。
請求項2の発明によれば、消耗品を補充するか否かのみを判断する構成と比較して、補充される消耗品の無駄を低減させることができる。
請求項3の発明によれば、消耗品の交換時期と機器の回収時期との関係のみに基づいて消耗品の補充量を制限する構成と比較して、消耗品の搬送における手間を抑制することができる。
請求項4の発明によれば、消耗品の交換時期と機器の回収時期との関係のみに基づいて消耗品の交換または補充を決定する構成と比較して、機器の提供先の使用者の利便性を高めることができる。
請求項5の発明によれば、機器を移動する際に常に消耗品の交換または補充を行う構成と比較して、消耗品の交換または補充を行う作業者の手間を軽減することができる。
請求項6の発明によれば、本発明のプログラムをインストールしたコンピュータにおいて、提供された機器の使用状況のみに応じて消耗品を交換する場合と比較して、消耗品の使用における無駄を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態が適用される消耗品管理システムの構成を示す図である。
【
図2】消耗品管理サーバおよび配送管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態が適用される画像形成装置の構成を示す図である。
【
図4】消耗品管理サーバの機能構成を示す図である。
【
図6】消耗品管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【
図7】消耗品の補充において補充量の制限を判断する場合の消耗品管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【
図8】画像形成装置の回収時における消耗品管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<システム構成>
図1は、本実施形態が適用される消耗品管理システムの構成を示す図である。
図1に示す消耗品管理システムは、消耗品管理サーバ100と、対象機器200と、配送管理サーバ300とを備える。消耗品管理サーバ100と対象機器200および配送管理サーバ300とは、ネットワークを介して接続されている。対象機器200は、本実施形態により管理される消耗品を備える機器であれば良く、特に限定しない。
【0013】
本実施形態において、対象機器200は、契約等により提供先(企業等)に提供されるものとする。したがって、この対象機器は、契約満了や回収指示が出されることにより、提供先から回収される。また、本実施形態では、契約期間中に、対象機器200が、提供先の一の設置場所から他の設置場所に移動される場合があるものとする。例えば、企業に対して提供された対象機器200が、その企業の社員宅へ持ち回りで貸し出される場合等である。この場合、一の社員の社員宅に貸し出されていた対象機器200が一度回収された後、他の社員の社員宅へ貸し出されるものとする。本実施形態では、対象機器200の一例として画像形成装置を用いる場合について説明する。以下、本実施形態における対象機器200としての画像形成装置を画像形成装置200と記載する。
【0014】
消耗品管理サーバ100と画像形成装置200および配送管理サーバ300とを接続するネットワークは、装置間のデータ通信に用いることができるものであれば、特に限定しない。例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等を用いても良い。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。ゲートウェイ装置、ルータ、アクセスポイント等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続するように構成しても良い。
【0015】
<サーバのハードウェア構成>
図2は、消耗品管理サーバ100および配送管理サーバ300のハードウェア構成例を示す図である。消耗品管理サーバ100および配送管理サーバ300は、ネットワーク上のコンピュータにより実現される。なお、ここでは消耗品管理サーバ100および配送管理サーバ300をネットワークに接続されたコンピュータ装置として説明するが、消耗品管理サーバ100および配送管理サーバ300は、ネットワークに接続された1または複数のコンピュータにより構築された仮想サーバや、クラウドサーバ等として実現しても良い。
【0016】
図2は、消耗品管理サーバ100を構成するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。消耗品管理サーバ100を構成するコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM102(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)103と、記憶装置104とを備える。
【0017】
CPU101は、演算装置であり、プログラムを実行して各種の処理および制御を実行する。RAM102は、主記憶装置(メイン・メモリ)であり、CPU101が演算処理を行う際の作業用メモリとして用いられる。ROM103にはプログラムや予め用意された設定値等のデータが保持されており、CPU101はROM103から直接プログラムやデータを読み込んで処理を実行することができる。後述する消耗品管理サーバ100における各種のデータ処理や制御を行う機能は、例えば、CPU101がプログラムを実行することにより実現される。
【0018】
記憶装置104は、プログラムやデータの保存手段である。記憶装置104にはプログラムが記憶されており、CPU101は記憶装置104に格納されたプログラムをRAM102に読み込んで実行する。また、記憶装置104には、CPU101による処理の結果が格納され、保存される。具体的には、記憶装置104には、消耗品管理サーバ100において作成された帳票データが格納される。また、記憶装置104には、消耗品管理サーバ100のユーザに関する情報が格納される。このユーザに関する情報は、帳票データの作成に用いられる。記憶装置104としては、例えば磁気ディスク装置やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。
【0019】
消耗品管理サーバ100および配送管理サーバ300においては、CPU101がプログラムを読み込んで実行することにより、後述する各種の機能が実現される。消耗品管理サーバ100では、例えば、消耗品の使用情報の取得、消耗品の交換時期の推定、消耗品の交換または補充を行うか否かの判断等の機能が実現される。また、配送管理サーバ300では、例えば、消耗品の在庫の管理、配送指示の通知等の機能が実現される。なお、状態に応じて交換を要する消耗品(例えば、感光体ドラム)における交換を要する時期と、状態に応じて補充を要する消耗品(例えば、トナーや用紙)における補充を要する時期とを合わせて「交換時期」と記す。
【0020】
<画像形成装置200のハードウェア構成>
図3は、本実施形態が適用される画像形成装置の構成を示す図である。画像形成装置200は、制御部210と、記憶部220と、操作部230と、表示部240と、画像読み取り部250と、画像形成部260と、通信部270と、画像処理部280とを備える。これらの各機能部は、バス201に接続され、このバス201を介してデータの授受を行う。
【0021】
制御部210は、画像形成装置200における上記の各機能部を制御する。また、制御部210は、各種のデータ処理を実行する機能部である。制御部210は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)211と、記憶手段であるRAM(Random Access Memory)212およびROM(Read Only Memory)213とを備える。RAM212は、主記憶装置(メイン・メモリ)であり、CPU211が演算処理を行う際の作業用メモリとして用いられる。ROM213にはプログラムや予め用意された設定値等のデータが保持されており、CPU211はROM213から直接プログラムやデータを読み込んで処理を実行する。また、プログラムやデータは、記憶部220にも記憶される。CPU211は記憶部220に格納されたプログラムをRAM212に読み込んで実行する。
【0022】
本実施形態において制御部210は、CPU211がプログラムを読み込んで実行することにより、消耗品の使用情報を取得する。画像形成装置200には、消耗品の動作や状態に関する情報を得るための各種のセンサ(図示せず)が設けられている。制御部210は、センサからデータを取得し、例えば記憶部220に格納する。そして、制御部210は、予め定められた送信条件に応じて(例えば、定期的に)、記憶部220に格納した消耗品のデータを読み出し、消耗品の使用情報として消耗品管理サーバ100へ送信する。
【0023】
記憶部220は、上記のようにCPU211が実行するためのプログラムやデータを記憶する他、画像読み取り部250により読み取った画像のデータ等、各種の動作により生成された種々のデータを記憶する機能部である。記憶部220は、例えば、磁気ディスク装置やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により実現される。また、本実施形態では、上記のように制御部210がセンサから取得した消耗品のデータが、記憶部220に一時的に格納される。
【0024】
操作部230は、ユーザの操作を受け付ける機能部である。操作部230は、例えば、ハードウェアキーや、指等で押圧または触れた位置に応じた制御信号を出力するタッチセンサ等により構成される。タッチセンサと表示部240を構成する液晶ディスプレイとを組み合わせたタッチパネルとして構成しても良い。
【0025】
表示部240は、ユーザに各種の情報を提示する情報画像、読み取りや出力等の処理対象となる画像のプレビュー画像、ユーザが操作を行うための操作画像等を表示する機能部である。表示部240は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。上記の操作部230と表示部240とを組み合わせて、ユーザが画像形成装置200に対して情報の入出力を行うためのユーザインタフェース手段として用い得る。
【0026】
画像読み取り部250は、原稿上の画像を光学的に読み取る機能部である。画像の読み取り方式としては、例えば、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED(Light Emitting Diode)光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式等が用いられる。
【0027】
画像形成部260は、用紙等の媒体に対して、画像形成材を用いて画像データに基づく画像を形成する機能部である。媒体に画像を形成する方式としては、例えば、画像形成材としてトナーを用い、感光体に付着させたトナーを媒体に転写して像を形成する電子写真方式が用いられる。
【0028】
通信部270は、外部装置との間で命令やデータを送受信する機能部である。通信部270としては、外部装置との通信方式に応じたインターフェイスが用いられる。外部装置との接続は、ネットワークを介して行っても良いし、直接接続により行っても良い。通信回線は、有線回線であっても無線回線であっても良い。
【0029】
画像処理部280は、演算手段であるプロセッサと作業用メモリとを備え、画像データが表す画像に色補正や階調補正等の画像処理を施す機能部である。なお、プロセッサとして制御部210のCPU211を、作業用メモリとして制御部210のRAM212を、それぞれ兼用しても良い。
【0030】
<消耗品管理サーバ100の機能構成>
図4は、消耗品管理サーバ100の機能構成を示す図である。消耗品管理サーバ100は、使用情報取得部110と、交換時期推定部120と、管理情報保持部130と、判断部140とを備える。
【0031】
使用情報取得部110は、管理対象の画像形成装置200から消耗品の使用情報を取得する。使用情報取得部110は、例えば、
図2に示したCPU101がプログラムを実行することにより実現される機能部である。消耗品の使用情報は、例えば、定期的に画像形成装置200から送られる。また、特定の画像形成装置200に対して提供先から回収する回収時期が指定された場合に、その回収時期に基づく特定の時期に消耗品の使用情報を取得しても良い。使用情報取得部110は、個々の消耗品の使用情報の他、画像形成装置200自体の使用情報を取得しても良い。画像形成装置200の使用情報としては、例えば、画像形成装置200の動作ログ等が挙げられる。
【0032】
交換時期推定部120は、使用情報取得部110により取得された使用情報に基づき、消耗品の使用状態、使用期間、使用頻度等に応じて交換時期を推定する。交換時期推定部120は、例えば、
図2に示したCPU101がプログラムを実行することにより実現される機能部である。また、交換時期推定部120は、消耗品の使用状態、使用期間、使用頻度等に応じて、特定の時期までに消耗品がどれだけ使用されるかを推定する機能を有しても良い。
【0033】
管理情報保持部130は、管理対象の画像形成装置200の管理情報を保持する。管理情報保持部130は、例えば、
図2に示した記憶装置104により実現される。管理情報には、画像形成装置200の回収時期や、回収後に提供先の他の場所へ移動するか否か等の情報も含まれる。また、画像形成装置200が契約により提供されている場合は、契約満了時期等を含む契約内容の情報も保持しても良い。これらの情報は、例えば、画像形成装置200の提供時や契約設定時等、各情報が設定された後に、消耗品管理サーバ100に入力され、管理情報保持部130に保持される。
【0034】
判断部140は、交換を要する消耗品を交換するための指示および補充を要する消耗品を補充するための指示(以下、「交換・補充指示」と呼ぶ)を行うか否かを判断する。判断部140は、例えば、
図2に示したCPU101がプログラムを実行することにより実現される機能部である。判断部140は、交換時期推定部120により推定された消耗品の交換時期が予め定められた条件を満たす場合、消耗品の交換・補充指示を行う。
【0035】
交換・補充指示を行う条件としては、まず、推定された交換時期までの期間が、予め閾値として定められた期間(以下、「閾値期間」と呼ぶ)よりも短くなったことが挙げられる。交換時期の推定精度や、消耗品の配送、交換作業や補充作業、在庫確保などに時間がかかること等を考慮し、閾値期間が設定される。閾値期間は、消耗品の種類に応じて個別に定めても良く、消耗品によっては推定される交換時期となったときに交換・補充指示を行う(閾値期間=0)こととしても良い。
【0036】
また、交換・補充指示を行う条件として、交換時期と画像形成装置200の回収時期との関係に基づく条件がある。例えば、推定された交換時期よりも回収時期の方が早い場合、交換時期となる前に画像形成装置200が回収されるため、消耗品の交換や補充を行う必要が無い。そこで、回収時期に基づく条件(例えば、「交換時期の方が回収時期よりも早い」という条件)を予め設定しておき、判断部140は、この条件を満たす場合は消耗品の交換・補充指示を行い、この条件を満たさない場合は消耗品の交換・補充指示を行わないこととする。
【0037】
ここで、判断部140は、交換時期が回収時期に基づく条件を満たす場合に、補充を要する消耗品の補充の指示において、補充量を制限する指示を行っても良い。判断部140は、画像形成装置200から取得される消耗品の使用情報と、推定された交換時期とに基づき、消耗品を補充した後、回収時期までの使用量を推定する。そして、判断部140は、推定結果に応じて、満量を補充するか、制限した量を補充するかを判断する。補充量を制限する条件としては、消耗品の補充後、回収時期までの期間に使用が推定される消耗品の使用量に基づく条件を設定しても良い。例えば、消耗品の補充後、回収時期までに満量の場合の10%程度が使用されると推定した場合、補充量を満量の30%~50%程度とすること等が考えられる。
【0038】
補充を要する消耗品としては、トナーや用紙がある。トナーの場合、予め満量が充填されたトナーカートリッジと、満量よりも少ない量が充填されたトナーカートリッジを用意しておき、判断部140の判断に応じて量が少ないトナーカートリッジを配送することが考えられる。満量よりも少ない量が充填されたトナーカートリッジとしては、例えば、回収された画像形成装置200から取り出された中古品のトナーカートリッジを用いても良い。中古品を用いる場合、この中古品であるトナーカートリッジの使用情報からトナーの内容量を推定し得る。制限される消耗品が用紙の場合、配送する束数によって補充量を制限し得る。
【0039】
なお、画像形成装置200を提供先の現在の設置場所から回収した後、同じ提供先の他の設置場所へ改めて設置する場合、上記の補充量を制限する条件を満たす場合であっても、判断部140は、補充量を制限せず、満量を補充しても良い。画像形成装置200は、回収して移動された後も、同じ提供先への提供が継続されるためである。
【0040】
また、判断部140は、交換時期が回収時期に基づく条件を満たさない場合でも、画像形成装置200を提供先の現在の設置場所から回収した後、同じ提供先の他の設置場所へ設置する場合は、画像形成装置200を新たな設置場所に設置する際に、消耗品の交換・補充指示を行っても良い。新たな設置場所へ移動後、短い期間で消耗品の交換や補充を行う必要が生じることを回避するためである。
【0041】
さらに、判断部140は、交換時期が回収時期に基づく条件を満たさず、かつ、画像形成装置200を提供先の現在の設置場所から回収後に同じ提供先の他の設置場所へ設置する場合であっても、特定の場合には、消耗品の交換・補充指示を行わないこととしても良い。例えば、消耗品の残量に対して閾値を設定しておき、画像形成装置200の回収時の消耗品の残量が閾値よりも多い場合は交換・補充指示を行わない。閾値は、例えば、画像形成装置200の動作における消耗品の使用に関して、使用頻度や補充後の使用回数と、補充されてから回収までの期間との関係等に基づいて設定しても良い。
【0042】
<配送管理サーバ300の機能構成>
図5は、配送管理サーバ300の機能構成を示す図である。配送管理サーバ300は、消耗品情報管理部310と、情報取得部320と、配送指示部330とを備える。
【0043】
消耗品情報管理部310は、配送対象の消耗品の状態等の情報を管理する。消耗品情報管理部310は、例えば、
図2に示したCPU101がプログラムを実行することにより実現される機能部と、記憶装置104により実現される。消耗品の状態等の情報としては、例えば、新品か中古品かの別、内蔵量、中古品の場合における使用履歴や残量などの情報が挙げられる。
【0044】
情報取得部320は、消耗品管理サーバ100から配送指示および配送対象の消耗品の情報を取得する。配送対象の消耗品の情報としては、例えば、補充量を制限する場合の内蔵量を指定する情報、中古品を用いるか否か等の情報が挙げられる。
【0045】
配送指示部330は、消耗品の配送者へ配送指示を通知する。配送指示には、配送対象となる消耗品の状態等を指定する情報も含まれる。例えば、新品を用いるか中古品を用いて良いかの情報や補充量の情報等が含まれる。配送者は、この通知を受け取ると、消耗品の在庫の保管場所から配送指示に該当する消耗品を搬出し、配送する。
【0046】
<消耗品管理サーバ100の動作>
図6は、消耗品管理サーバ100の動作を示すフローチャートである。消耗品管理サーバ100は、消耗品の交換時期の推定を実行する条件(以下、「推定実行条件」)を満足すると(S601)、交換時期推定部120により、対象の消耗品の交換時期を推定する(S602)。推定実行条件は、例えば、画像形成装置200によるジョブの実行回数や稼働時間が予め定められた閾値に達したこと、前回の推定から一定の期間が経過したり、ジョブが一定回数実行されたりしたこと、画像形成装置200の回収時期までの期間が予め閾値として定められた期間よりも短くなったこと、画像形成装置200の回収要求を受け付けたこと等が挙げられる。推定した交換時期が、交換・補充指示を行うための条件を満たしていない場合(S603でNO)、消耗品を交換または補充する必要は無いので、動作を終了する。
【0047】
推定した交換時期が、交換・補充指示を行うための条件を満たす場合(S603でYES)、消耗品管理サーバの判断部140は、画像形成装置200に対して設定されている回収時期と推定された交換時期とを比較する(S604)。そして、交換時期の方が早い場合(S605でYES)、消耗品管理サーバ100の判断部140は、交換・補充指示を行う(S606)。ここで、画像形成装置200に対する回収時期が設定されていない場合、判断部140は、S605でYESと判断し、消耗品管理サーバ100の判断部140は、交換・補充指示を行う(S606)。一方、回収時期の方が早い場合(S605でNO)、消耗品管理サーバ100の判断部140は、交換・補充指示を行わない(S607)。
【0048】
図7は、消耗品の補充において補充量の制限を判断する場合の消耗品管理サーバ100の動作を示すフローチャートである。
図7には、
図6のS605で交換・補充指示を行う(YES)と判断した後の動作を示す。なお、この動作では、判断対象の消耗品を、状態に応じて補充を要する消耗品とする。
【0049】
消耗品管理サーバ100の判断部140は、交換・補充指示を行う場合、画像形成装置200の回収時期までの期間が予め閾値として定められた期間よりも短いか否かを判断する。回収時期までの期間が閾値よりも長い場合(S701でNO)、判断部140は、交換・補充指示において補充量を制限せずに配送するように指示する(S705)。
【0050】
回収時期までの期間が閾値よりも短い場合(S701でYES)、判断部140は、例えば、管理情報保持部130に保持されている画像形成装置200の管理情報を参酌し、画像形成装置200が回収後に同じ提供先の他の設置場所に設置されるか否かを判断する。他の設置場所に設置される場合(S702でYES)、判断部140は、交換・補充指示において補充量を制限せずに配送するように指示する(S705)。
【0051】
一方、画像形成装置200が回収後に同じ提供先の他の設置場所に設置されない場合(S702でNO)、判断部140は、判断対象の消耗品に関して、補充後、画像形成装置200の回収時期までの使用量を推定する(S703)。この使用量の推定は、交換時期推定部120による特定の時期までの消耗品の使用量の推定機能を用いても良い。判断部140は、回収時期までの消耗品の使用量の推定結果に基づいて、交換・補充指示において補充量を制限して配送するように指示する(S704)。
【0052】
図8は、画像形成装置200の回収時における消耗品管理サーバ100の動作を示すフローチャートである。この動作は、
図6のS605で交換・補充指示を行わない(NO)と判断した場合に行い得る。なお、この動作では、判断対象の消耗品を、状態に応じて補充を要する消耗品とする。
【0053】
画像形成装置200の回収時期になると(S801)、消耗品管理サーバ100の判断部140は、画像形成装置200が回収後に同じ提供先の他の設置場所に設置される予定か否かを判断する。この判断は、管理情報保持部130に保持されている画像形成装置200の管理情報を参酌して行われる。他の設置場所に設置される予定でない場合(S802でNO)、消耗品を交換または補充する必要は無いので処理を終了する。
【0054】
これに対し、画像形成装置200が回収後に他の設置場所に設置される予定である場合(S802でYES)、判断部140は、消耗品の回収時の残量を推定する(S803)。この推定は、例えば、使用情報取得部110が定期的に取得する画像形成装置200の使用情報を参酌して行われる。また、回収前の最後に取得した使用情報により特定される消耗品の残量を回収時の残量としても良い。
【0055】
判断部140は、推定した消耗品の残量が補充条件を満足する場合(S804でYES)、回収時に消耗品を補充するように配送管理サーバ300へ指示する(S805)。この補充条件としては、推定された消耗品の残量が予め定められた閾値よりも少ないこと等とし得る。一方、推定した消耗品の残量が補充条件を満足しない場合(S804でNO)、消耗品を交換または補充する必要は無いので、判断部140は処理を終了する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、上記の実施形態では、対象機器200として画像形成装置を用いた例について説明したが、本実施形態の適用対象は、上記の例には限定されない。本実施形態は、定期的にあるいは状態に応じて交換したり補充したりすることが必要な消耗品を備える種々の機器に対する消耗品の管理に適用し得る。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100…消耗品管理サーバ、110…使用情報取得部、120…交換時期推定部、130…管理情報保持部、140…判断部、200…対象機器(画像形成装置)、300…配送管理サーバ