(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142107
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230928BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230928BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230928BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
B41J29/00 Z
B41J29/38 401
B41J29/38 201
G03G21/00 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048805
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】黒川 正樹
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB15
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HK15
2C061HN05
2C061HN15
2C061HQ17
2H270KA54
2H270KA55
2H270KA59
2H270KA60
2H270MF01
2H270MF08
2H270NA01
2H270NA06
2H270NA09
2H270NA13
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC34
5C062AE01
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】処理の内容や対象に基づいて機器の利用が業務上の利用か私用かを判断する構成と比較して、簡便かつ明確に機器の利用が業務上の利用か私用かを識別可能とする。
【解決手段】画像処理装置100は、ユーザ認証に関する条件を満足した場合にネットワーク320上の管理サーバ200に接続する。画像処理装置100は、管理サーバ200に接続した状態で受け付けた指示に応じて行った第1処理と、管理サーバ200に接続しない状態で受け付けた指示に応じて行った第2処理とを識別する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ユーザ認証に関する条件を満足した場合にネットワーク上の特定のサーバに接続し、
前記サーバに接続した状態で受け付けた指示に応じて行った第1処理と、当該サーバに接続しない状態で受け付けた指示に応じて行った第2処理とを識別することを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第1処理の実行に対し、非課金対象の処理を計数する第1カウンタで処理を計数し、前記第2処理の実行に対し、課金対象の処理を計数する第2カウンタで処理を計数することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、媒体に画像を形成して出力する工程を含まない処理に関して、第2処理であっても前記第2カウンタで計数せず、前記第1カウンタで計数することを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第1処理のログを前記サーバへ送信することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ログは、前記第1処理の対象である画像のイメージログであることを特徴とする、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、VPN(Virtual Private Network)接続により前記サーバに接続することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、VPNクライアントを起動して行った処理を前記第1処理と判断することを特徴とする、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記ユーザ認証に関する条件は、予め定められた手法による認証情報の入力であることを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記予め定められた手法による認証情報の入力は、認証情報を記録した特定の情報記録媒体から自装置に設けられた読み取り装置により当該認証情報を読み取ったことであることを特徴とする、請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像処理装置を制御するコンピュータに、
ユーザ認証に関する条件を満足した場合にネットワーク上の特定のサーバに接続する機能と、
前記サーバに接続した状態で受け付けた指示に応じて行った第1処理と、当該サーバに接続しない状態で受け付けた指示に応じて行った第2処理とを識別する機能と、
を実現させることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
事務機器の使用に関して、業務上の利用と私用とを区別し、課金先を仕分けることが行われている。
【0003】
特許文献1には、指定された利用機能に応じて業務に係る利用と私用との区分を特定し、私用の場合は個人に、それ以外の場合は部門に課金する画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、テンプレートや画像、単語に基づき業務用か否かを判定し、業務用である場合にはコピー/印刷して会社に課金し、私用と判定された場合、表示部に警告を表示し、利用者に業務用か私用かを選択指示させ、業務用と判定され、かつ利用者が業務用を選択指示した場合、文書格納サーバにページを格納して管理者端末に通知する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-111948号公報
【特許文献2】特開2018-207344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
処理の内容や対象に基づいて機器の利用が業務上の利用か私用かを判断する場合、判断が煩雑となり、誤りが生じる場合があった。
【0007】
本発明は、処理の内容や対象に基づいて機器の利用が業務上の利用か私用かを判断する構成と比較して、簡便かつ明確に機器の利用が業務上の利用か私用かを識別可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ユーザ認証に関する条件を満足した場合にネットワーク上の特定のサーバに接続し、
前記サーバに接続した状態で受け付けた指示に応じて行った第1処理と、当該サーバに接続しない状態で受け付けた指示に応じて行った第2処理とを識別することを特徴とする、画像処理装置である。
請求項2に係る本発明は、
前記プロセッサは、前記第1処理の実行に対し、非課金対象の処理を計数する第1カウンタで処理を計数し、前記第2処理の実行に対し、課金対象の処理を計数する第2カウンタで処理を計数することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に係る本発明は、
前記プロセッサは、媒体に画像を形成して出力する工程を含まない処理に関して、第2処理であっても前記第2カウンタで計数せず、前記第1カウンタで計数することを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置である。
請求項4に係る本発明は、
前記プロセッサは、前記第1処理のログを前記サーバへ送信することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項5に係る本発明は、
前記ログは、前記第1処理の対象である画像のイメージログであることを特徴とする、請求項4に記載の画像処理装置である。
請求項6に係る本発明は、
前記プロセッサは、VPN(Virtual Private Network)接続により前記サーバに接続することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項7に係る本発明は、
前記プロセッサは、VPNクライアントを起動して行った処理を前記第1処理と判断することを特徴とする、請求項6に記載の画像処理装置である。
請求項8に係る本発明は、
前記ユーザ認証に関する条件は、予め定められた手法による認証情報の入力であることを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項9に係る本発明は、
前記予め定められた手法による認証情報の入力は、認証情報を記録した特定の情報記録媒体から自装置に設けられた読み取り装置により当該認証情報を読み取ったことであることを特徴とする、請求項8に記載の画像処理装置である。
請求項10に係る本発明は、
画像処理装置を制御するコンピュータに、
ユーザ認証に関する条件を満足した場合にネットワーク上の特定のサーバに接続する機能と、
前記サーバに接続した状態で受け付けた指示に応じて行った第1処理と、当該サーバに接続しない状態で受け付けた指示に応じて行った第2処理とを識別する機能と、
を実現させることを特徴とする、プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、処理の内容や対象に基づいて機器の利用が業務上の利用か私用かを判断する構成と比較して、特定のサーバへの接続の有無により、簡便かつ明確に機器の利用が業務上の利用か私用かを識別することができる。
請求項2の発明によれば、使用した機能や処理対象の内容に基づいて課金する構成と比較して、簡便かつ明確に課金対象の処理と非課金対象の処理とを仕分けることができる。
請求項3の発明によれば、機器を移動する際に常に消耗品の交換または補充を行う構成と比較して、消耗品の交換または補充を行う作業者の手間を軽減することができる。
請求項4の発明によれば、ログを取らずに第1処理を実行する構成と比較して、サーバに接続される第1処理の内容をログにより確認することができる。
請求項5の発明によれば、動作やデータのメタ情報のログを取る構成と比較して、第1処理の対象データを直接確認することができる。
請求項6の発明によれば、通常のネットワーク回線により接続する構成と比較して、セキュリティを向上させることができる。
請求項7の発明によれば、接続先のIPアドレスに基づいて第1処理を判断する構成と比較して、VPNクライアントを起動した時点で確実に第1処理を特定することができる。
請求項8の発明によれば、ユーザ認証のみをサーバ接続の条件とする構成と比較して、セキュリティを向上させることができる。
請求項9の発明によれば、手打ち等による認証情報の入力でもサーバ接続を可能とする構成と比較して、特定の媒体の所持を条件とすることで、セキュリティを向上させることができる。
請求項10の発明によれば、本発明のプログラムをインストールしたコンピュータにおいて、処理の内容や対象に基づいて機器の利用が業務上の利用か私用かを判断する構成と比較して、特定のサーバへの接続の有無により、簡便かつ明確に機器の利用が業務上の利用か私用かを識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態が適用されるシステムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態が適用される画像処理装置の構成を示す図である。
【
図3】業務上の利用における処理手順を示すシーケンス図である。
【
図4】私用における処理手順を示すシーケンス図である。
【
図5】画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<システム構成>
図1は、本実施形態が適用されるシステムの構成を示す図である。
図1に示すシステムは、画像処理装置100と、管理サーバ200とを備える。画像処理装置100はネットワーク310に接続されており、管理サーバ200はネットワーク320に接続されている。本実施形態は、画像処理装置100を用いて行われる処理を第1処理と第2処理とに区別し、一方の処理に対して課金するといった制御を行うことを想定している。具体的な適用場面としては、例えば、企業が所有または契約により提供されている画像処理装置100を社員宅等に設置させ、社員に対し、画像処理装置100の業務上の利用だけでなく私用を認めるような場合が考えられる。この場合に、第1処理としての業務上の利用による処理と、第2処理としての私用による処理とを識別し、私用である第2処理に対して課金する。以下、社員による画像処理装置100の業務上の利用による処理(第1処理)と、私用による処理(第2処理)とを識別する場合を例として本実施形態を説明する。
【0013】
図1に示す例において、画像処理装置100が接続されたネットワーク310は、例えば、画像処理装置100を借り受けたユーザ(社員)の個人的なLAN(Local Area Network)等である。また、ネットワーク320は、画像処理装置100を借り受けたユーザ(社員)が所属する企業の社内LAN等である。ネットワーク310とネットワーク320とは、例えば、インターネットを介して接続される。したがって、画像処理装置100から社内の管理サーバ200への接続は、ネットワーク310、インターネット、ネットワーク320を介して行われる。
【0014】
<装置構成>
図2は、本実施形態が適用される画像処理装置の構成を示す図である。画像処理装置100は、制御部110と、記憶部120と、操作部130と、表示部140と、画像読み取り部150と、画像形成部160と、通信部170と、画像処理部180とを備える。これらの各機能部は、バス101に接続され、このバス101を介してデータの授受を行う。
【0015】
制御部110は、画像処理装置100における上記の各機能部を制御する。また、制御部110は、各種のデータ処理を実行する機能部である。制御部110は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)111と、記憶手段であるRAM(Random Access Memory)112およびROM(Read Only Memory)113とを備える。RAM112は、主記憶装置(メイン・メモリ)であり、CPU111が演算処理を行う際の作業用メモリとして用いられる。ROM113にはプログラムや予め用意された設定値等のデータが保持されており、CPU111はROM113から直接プログラムやデータを読み込んで処理を実行する。また、プログラムやデータは、記憶部120にも記憶される。CPU111は記憶部120に格納されたプログラムをRAM112に読み込んで実行する。
【0016】
本実施形態では、制御部110のCPU111がプログラムを読み込んで実行することにより、各種の機能を実現する。本実施形態において実現される機能には、ユーザ認証、管理サーバ200への接続制御およびデータの送受信、カウンタ制御等がある。これらの機能の詳細は後述する。
【0017】
記憶部120は、上記のようにCPU111が実行するためのプログラムやデータを記憶する他、画像読み取り部150により読み取った画像のデータ等、各種の動作により生成された種々のデータを記憶する機能部である。記憶部120は、例えば、磁気ディスク装置やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により実現される。
【0018】
操作部130は、ユーザの操作を受け付ける機能部である。操作部130は、例えば、ハードウェアキーや、指等で押圧または触れた位置に応じた制御信号を出力するタッチセンサ等により構成される。タッチセンサと表示部140を構成する液晶ディスプレイとを組み合わせたタッチパネルとして構成しても良い。
【0019】
表示部140は、ユーザに各種の情報を提示する情報画像、読み取りや出力等の処理対象となる画像のプレビュー画像、ユーザが操作を行うための操作画像等を表示する機能部である。表示部140は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。上記の操作部130と表示部140とを組み合わせて、ユーザが画像処理装置100に対して情報の入出力を行うためのユーザインタフェース手段として用い得る。
【0020】
画像読み取り部150は、原稿上の画像を光学的に読み取る機能部である。画像の読み取り方式としては、例えば、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED(Light Emitting Diode)光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式等が用いられる。
【0021】
画像形成部160は、用紙等の媒体に対して、画像形成材を用いて画像データに基づく画像を形成する機能部である。媒体に画像を形成する方式としては、例えば、画像形成材としてトナーを用い、感光体に付着させたトナーを媒体に転写して像を形成する電子写真方式が用いられる。以下では、画像を形成する対象としての媒体を総称して「用紙」と呼ぶ。
【0022】
通信部170は、外部装置との間で命令やデータを送受信する機能部である。通信部170としては、外部装置との通信方式に応じたインターフェイスが用いられる。外部装置との接続は、ネットワークを介して行っても良いし、直接接続により行っても良い。通信回線は、有線回線であっても無線回線であっても良い。
【0023】
画像処理部180は、演算手段であるプロセッサと作業用メモリとを備え、画像データが表す画像に色補正や階調補正等の画像処理を施す機能部である。なお、プロセッサとして制御部110のCPU111を、作業用メモリとして制御部110のRAM112を、それぞれ兼用しても良い。
【0024】
<ユーザ認証>
画像処理装置100は、ユーザ認証によるログインを受け付ける。画像処理装置100は、ログインした状態で行われるジョブについて、そのジョブが認証されたユーザによるジョブであると認識する。また、画像処理装置100は、ログインせずに行われるジョブについて、ゲストユーザによる(言い換えれば、ユーザを特定しない)ジョブであると認識する。
【0025】
ユーザ認証の認証方法は、既存の種々の方法を用いて良い。ユーザ認証に用いられる認証情報(ユーザID等)の入力は、既存の種々の手段により行われる。例えば、操作部130(
図2参照)を操作して行われる認証情報の入力を受け付けても良い。また、画像処理装置100にICカード等の情報記録媒体の読み取り装置(図示せず)を設け、認証情報を記録した情報記録媒体から認証情報を読み取っても良い。入力された認証情報を用いたユーザ認証は、例えば、画像処理装置100の制御部110の機能として実現しても良いし、外部の認証サーバに接続して認証処理を依頼し、認証結果を取得する構成としても良い。本実施形態では、操作部130を用いた入力操作の受け付けと情報記録媒体からの読み取りのように、複数の入力方法で認証情報を入力可能とする場合、何れの入力方法により認証情報が入力されたかを識別する。
【0026】
<管理サーバ200への接続制御>
画像処理装置100の制御部110は、ユーザ認証を経てログインされると、ネットワーク310、320を介して管理サーバ200に接続する。管理サーバ200への接続には、例えば、VPN(Virtual Private Network)接続が用いられる。この場合、画像処理装置100にはVPNに接続するためのソフトウェア(VPNクライアント)がインストールされている。画像処理装置100の制御部110(
図2参照)は、ユーザ認証を経てログインが完了すると、VPNクライアントを起動させ、管理サーバ200との間でVPN接続を実現する。
【0027】
<カウンタ制御>
画像処理装置100の制御部110は、ソフトウェアを実行して実現されるカウンタ機能を有し、画像処理装置100においてジョブが実行されると、その実行回数を計数する。本実施形態では、2種類のカウンタが用意される。一つは、課金されないジョブの実行回数を計数するカウンタであり、第1カウンタと呼ぶ。他の一つは、課金されるジョブの実行回数を計数するカウンタであり、第2カウンタと呼ぶ。制御部110は、ジョブの実行時におけるいくつかの条件に応じて、そのジョブの実行を第1カウンタで計数するか、第2カウンタで計数するかを制御する。
【0028】
制御部110は、原則として、画像処理装置100が管理サーバ200に接続した状態で実行されたジョブか否かに応じて、第1カウンタで計数するか、第2カウンタで計数するかを選択する。管理サーバ200に接続した状態で実行されたジョブは、業務上の利用によるジョブと考えられるため、課金されないジョブとして、第1カウンタで計数する。一方、管理サーバ200に接続せずに実行されたジョブは、業務上の利用ではない私用によるジョブと考えられるため、課金対象のジョブとして、第2カウンタで計数する。
【0029】
また、制御部110は、画像処理装置100が管理サーバ200に接続せずに実行されたジョブであっても、画像形成部160(
図2参照)による用紙に画像を形成して出力する工程を含まないジョブは、課金されないジョブとして、第1カウンタで計数する。用紙に画像を形成して出力する工程を含まないジョブとは、例えば、原稿に記録された画像の読み取り処理(スキャン処理)や、ファクシミリによる送信処理などである。これらの処理は、トナーや用紙を消費しないため、課金対象から除いても良い。
【0030】
また、制御部110は、画像処理装置100が管理サーバ200に接続した状態でジョブが実行された場合であっても、ログインの際に行われたユーザ認証において、特定の手法により認証情報が入力されたか否かに応じて、第1カウンタで計数するか、第2カウンタで計数するかを選択しても良い。上記のように、認証情報の入力方法を複数取り得る場合、セキュリティ等を考慮して、特定の手法により認証情報が入力された場合のみ業務上の利用であると認めることが考えられる。例えば、認証情報が記録された情報記録媒体であるIDカードを画像処理装置100の読み取り装置で読み取ってログインした場合のみ業務上の利用と認め、課金されないジョブとして第1カウンタで計数する。このようにすれば、異なる手法、例えば操作部130を操作して認証情報を入力した場合には、業務上の利用と認められず、課金対象のジョブとして第2カウンタで計数される。したがって、IDカードを持っているユーザのみに課金されない業務上の利用を許容するような制御を実現し得る。
【0031】
<データの取得とログデータの送信>
画像処理装置100の制御部110は、画像処理装置100が管理サーバ200に接続した状態でジョブの実行命令を受け付けた場合、ジョブの対象データを、管理サーバ200を介して取得する。例えば、ジョブとして原稿データから画像を生成し、画像形成部160により用紙に形成して出力する場合、制御部110は、出力対象の原稿データを、必ず管理サーバ200からまたは管理サーバ200の制御で接続されたストレージサーバ(図示せず)から取得して出力する。また、ジョブとして原稿を複写する場合、制御部110は、画像読み取り部150(
図2参照)で読み取った画像を一度管理サーバ200へ送信する。そして、制御部110は、管理サーバ200から返送された画像を、画像形成部160により用紙に形成して出力する。
【0032】
画像処理装置100の制御部110は、画像処理装置100が管理サーバ200に接続した状態でジョブが実行された場合、実行されたジョブのログデータを取って管理サーバ200に送信する。送信されたログデータは、管理サーバ200の記憶装置(図示せず)に格納して保持される。これにより、業務上の利用として実行されたジョブに関しては、ログデータが保存されることになるため、課金されない業務上の利用の状態で、ユーザが私用のジョブを実行させることを抑制し得る。ここで、管理サーバ200へ送信されるログデータは、ジョブの対象のイメージログとしても良い。イメージログであれば、どのような画像を出力したかを容易に認識できるため、課金されない業務上の利用の状態で行われる私用の抑制効果を高め得る。
【0033】
<業務上の利用と私用における処理手順>
図3は、業務上の利用における処理手順を示すシーケンス図である。
図3には、画像処理装置100および管理サーバ200と共に、課金されないジョブを計数する第1カウンタ114と、課金対象のジョブを計数する第2カウンタ115とが示されている。
【0034】
業務上の利用に係る処理としては、まず、画像処理装置100において、ログインのためにユーザ認証(a)が行われる。次に、画像処理装置100がジョブの実行命令を受け付けると、画像処理装置100は、管理サーバ200に接続要求を行う(b)。そして、管理サーバ200から画像処理装置100へ応答が行われ(c)、画像処理装置100と管理サーバ200との間の接続が確立する。
【0035】
次に、画像処理装置100は、処理対象のデータを管理サーバ200へ転送し(d)、管理サーバ200からの応答を受信して(e)、ジョブを実行する(f)。ジョブの実行が完了すると、画像処理装置100は、第1カウンタ114をカウントアップし(g)、実行したジョブのログデータを管理サーバ200へ送信する(h)。
【0036】
上記の処理手順ではユーザ認証の手法について区別していないが、管理サーバ200に接続している場合であっても、ユーザ認証の手法に応じて業務上の利用と私用とを区別しても良い。例えば、IDカードを画像処理装置100の読み取り装置で読み取ってログインした場合のみ業務上の利用とする場合、操作部130(
図2参照)の操作により入力された認証情報によりユーザ認証が行われたならば、ジョブの完了後、第1カウンタ114ではなく、第2カウンタ115がカウントアップされる。
【0037】
図4は、私用における処理手順を示すシーケンス図である。
図3との対比のため、
図4においても画像処理装置100および管理サーバ200と共に、課金されないジョブを計数する第1カウンタ114と、課金対象のジョブを計数する第2カウンタ115とが示されている。
【0038】
私用に係る処理では、ログインの必要が無いため、ユーザ認証も行われず、画像処理装置100は、ジョブの実行命令を受け付けると直ちにジョブの実行を開始する(a)。そして、画像処理装置100は、ジョブの実行が完了すると、第2カウンタ115をカウントアップして処理を終了する(b)。
【0039】
上記の処理手順では実行されるジョブの種類について区別していないが、ジョブの種類に応じて課金するか否かを区別しても良い。例えば、スキャン処理のように画像形成部160(
図2参照)による用紙に画像を形成して出力する工程を含まないジョブに対して課金しない場合、そのようなジョブが実行されたときは、第2カウンタ115ではなく、第1カウンタ114がカウントアップされる。
【0040】
<画像処理装置100の動作>
図5は、画像処理装置100の動作を示すフローチャートである。この動作例では、ユーザ認証の手法を区別し、特定の手法により認証情報が入力された場合に業務上の利用と認識するものとする。また、画像処理装置100と管理サーバ200との接続は、VPNによって行われるものとする。また、この動作例では、原稿データから生成した画像を用紙に形成して印刷出力するジョブが行われることを想定する。
【0041】
画像処理装置100の制御部110は、認証情報の入力操作が行われると(S501)、入力された認証情報によりユーザ認証を行う(S502)。ここでは、認証情報の入力操作として、ユーザが操作部130を操作して手作業による入力を行う場合と、IDカードを読み取り装置で読み取らせて入力を行う場合とがあるものとする。そして、IDカードの読み取りによりユーザ認証が行われた場合に、実行されるジョブを課金されないジョブとして扱う。
【0042】
次に、画像処理装置100の制御部110は、ジョブの実行命令を受け付けると(S503)、ユーザ認証されているか否かを判断する。画像処理装置100は、ユーザ認証を行わなくても、ジョブの実行命令を受け付けてジョブを実行することができる。したがって、ジョブの実行命令を受け付けた時点で、ユーザ認証の有無を判断する。
【0043】
画像処理装置100の制御部110は、ユーザ認証が行われている場合(S504でYES)、VPNを介して管理サーバ200に接続し(S505)、ジョブを実行する(S506)。一方、ユーザ認証が行われていない場合(S504でNO)、管理サーバ200に接続せずにジョブを実行する(S506)。
【0044】
画像処理装置100の制御部110は、ジョブの実行が完了すると、自装置が管理サーバ200に接続されているか否かを判断する。画像処理装置100は、管理サーバ200に接続されている状態と、接続されていない状態の両方でジョブを実行することができる。そこで、管理サーバ200への接続の有無を確認して、カウントアップするカウンタを選択する。管理サーバ200に接続されているか否かは、接続先のIPアドレスの照合等によって行っても良い。また、VPN接続であれば、VPNクライアントを起動したことによって特定の接続先に接続されたと判断することができる。したがって、ここでは、S506におけるジョブの実行が、VPNクライアントを起動してから行われたものである場合は、このジョブを業務上の利用によるものとする。
【0045】
画像処理装置100の制御部110は、自装置が管理サーバ200に接続されているならば(S507でYES)、次に、ユーザ認証が特定の手法で行われたか否かを判断する。ここでは、IDカードの読み取りによるユーザ認証を特定の手法によるユーザ認証とする。特定の手法でユーザ認証が行われている場合(S508でYES)、実行したジョブは課金されないジョブなので、画像処理装置100の制御部110は、第1カウンタ114(
図3、4参照)をカウントアップする(S509)。そして、制御部110は、実行したジョブにおける処理対象のイメージログを管理サーバ200へ送信する(S510)。
【0046】
これに対し、自装置が管理サーバ200に接続されていない場合(S507でNO)および特定の手法でユーザ認証が行われていない場合(S508でNO)、実行したジョブは課金対象のジョブなので、画像処理装置100の制御部110は、第2カウンタ115(
図3、4参照)をカウントアップする(S511)。なお、この動作例では、原稿データから生成した画像を用紙に形成して印刷出力するジョブを想定したが、スキャン処理のような用紙に画像を形成して出力する工程を含まないジョブが行われ、かかるジョブについて課金対象から除く場合は、第1カウンタ114をカウントアップする。また、画像処理装置100が管理サーバ200に接続されていない場合(S507でNO)は、ログデータの送信は行われない。一方、画像処理装置100が管理サーバ200に接続されているが、特定の手法以外の手法(上記の例では、手作業による認証情報の入力)でユーザ認証が行われた場合(S507でYES、S508でNO)は、ログデータの送信が行われる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、上記の実施形態では、画像処理装置で実行されるジョブを業務上の利用と私用とに分け、非課金処理と課金処理とに対応付けたが、この例には限定されない。本実施形態は、一定の条件を満たす処理とその他の処理とを識別し、一方を非課金処理、他方を課金処理とするような様々な運用に対して適用し得る。
【0048】
また、上記の実施形態では、画像処理装置を特定のネットワークの特定の管理サーバに接続させる構成とした。これに対し、インターネットのクラウド環境に構築されたサーバ(クラウドサーバ)に接続しているか否かに基づいて非課金処理と課金処理を分類する構成としても良い。
また、上記の実施形態では、画像処理装置で実行されるジョブを、業務上の利用と私用とに分けたが、ジョブの分類はこの例に限定しない。例えば、画像処理装置が共有オフィスに設置された共有デバイスである場合、オフィスおよび画像処理装置を共有する会社ごとに業務上の利用を分類しても良い。この場合、業務上の利用においてログインが求められ、管理サーバに接続し、課金制御およびログデータの送信が行われる点は上記の実施形態と同様であるが、接続先の管理サーバが、画像処理装置を利用するユーザが所属する会社ごとに異なる。また、第1、第2カウンタも画像処理装置を利用するユーザが所属する会社ごとに設けられる。ユーザの識別は、例えば、ログイン操作において社員証を読み取って得られる情報やユーザ名を管理することによって実現しても良い。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
100…画像処理装置、110…制御部、111…CPU、112…RAM、113…ROM、120…記憶部、130…操作部、140…表示部、150…画像読み取り部、160…画像形成部、170…通信部、180…画像処理部、200…管理サーバ、310、320…ネットワーク