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特開2023-142124画像形成装置、画像処理システム及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142124
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像処理システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048830
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉井 政登
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA17
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC42
5C062AE14
5C062AE15
5C062AF14
5C062BC04
5C062BC06
(57)【要約】
【課題】サービスでの処理結果を受け取れない場合でも、処理結果の漏洩を防ぎつつ、処理結果を受け取れるようにする。
【解決手段】複合機10Aは、対象物を光学的に読み取ったデータを、該データに対する所定の処理を実行するサービスに転送し、前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該所定の処理の結果に対する処理の実行のための処理情報を暗号化し、暗号化した前記処理情報を複合機10Bに送信する処理を実行する。複合機10Aは、サービスでの処理結果を受け取れない場合でも、処理結果の漏洩を防ぎつつ、処理結果を複合機10Bで受け取れるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
対象物を光学的に読み取ったデータを、該データに対する所定の処理を実行するサービスに転送し、
前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該所定の処理の結果に対する処理の実行のための処理情報を暗号化し、
暗号化した前記処理情報を他の画像形成装置に送信する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記サービスでの前記所定の処理の結果を自装置が取得できた場合、前記他の画像形成装置に前記処理情報の削除を要求する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記処理情報の削除の要求に対する前記他の画像形成装置からの応答が無ければ、前記処理情報が削除されたかを確認する通知を出力する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記結果に対する処理として、該結果のサーバへの保存を行う、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
自装置及び前記サーバは、同一のネットワークセグメントに設置されている、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
自装置及び前記他の画像形成装置は同一のネットワークセグメントに設置されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記サービスとファイアウォールを介して接続されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1の画像形成装置と、
第2の画像形成装置と、
を備え、
前記第1の画像形成装置は第1のプロセッサを備え、
前記第1のプロセッサは、
対象物を光学的に読み取ったデータを、該データに対する所定の処理を実行するサービスに転送し、
前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該所定の処理の結果に対する処理の実行のための処理情報を暗号化し、
暗号化した前記処理情報を前記第2の画像形成装置に送信し、
前記第2の画像形成装置は第2のプロセッサを備え、
前記第2のプロセッサは、
前記第1の画像形成装置が前記サービスでの前記所定の処理の結果を取得できない状態となった場合に、前記第1のプロセッサから取得した前記処理情報を用いて、前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該処理の結果に対する処理を実行する、
画像処理システム。
【請求項9】
コンピュータに、
対象物を光学的に読み取ったデータを、該データに対する所定の処理を実行するサービスに転送し、
前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該所定の処理の結果に対する処理の実行のための処理情報を暗号化し、
暗号化した前記処理情報を他の画像形成装置に送信する、
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ワークフロー情報により定義された複数の処理を実行する複数の情報処理装置を備える情報処理システムを開示する。ワークフロー情報は、複数の処理の順序、および、複数の処理のそれぞれの実行主体となる情報処理装置を定義する情報であって、複数の情報処理装置のうち選択された1つの情報処理装置を実行主体に定義可能であり、複数の情報処理装置は、ワークフロー情報に定義された複数の処理のそれぞれを、定義された順序で、実行主体として定義された情報処理装置が実行し、ワークフロー情報に実行主体が複数の情報処理装置のうち選択された1つの情報処理装置であると定義された処理を、予め定められた判定条件に従って選択された1つの情報処理装置が実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6264800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スキャンした文書を指定された格納先へ転送する機能を持つ複合機で、時間の掛かる一部の処理(OCRなど)をクラウドサービスに依頼し、その処理結果の文書を依頼した複合機で受け取って、指定された格納先に転送するシステムがある。
【0005】
クラウドサービス側で処理を実行している最中に、依頼元の複合機がHDDの故障などの理由により処理結果を受け取れない状況に陥る可能性がある。その可能性を考慮し、処理結果を取得し、取得後の処理を実施するための情報を代替機へ提供する場合、権限の無い別の装置により情報が横取りされてしまうと、処理結果の漏洩の恐れがある。
【0006】
本発明は、サービスでの処理結果を受け取れない場合でも、処理結果の漏洩を防ぎつつ、処理結果を受け取れる画像形成装置、画像処理システム及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る画像形成装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、対象物を光学的に読み取ったデータを、該データに対する所定の処理を実行するサービスに転送し、前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該所定の処理の結果に対する処理の実行のための処理情報を暗号化し、暗号化した前記処理情報を他の画像形成装置に送信する。
【0008】
第2態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置であって、前記プロセッサは、前記サービスでの前記所定の処理の結果を自装置が取得できた場合、前記他の画像形成装置に前記処理情報の削除を要求する。
【0009】
第3態様に係る画像形成装置は、第2態様に係る画像形成装置であって、前記プロセッサは、前記処理情報の削除の要求に対する前記他の画像形成装置からの応答が無ければ、前記処理情報が削除されたかを確認する通知を出力する。
【0010】
第4態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置であって、前記プロセッサは、前記結果に対する処理として、該結果のサーバへの保存を行う。
【0011】
第5態様に係る画像形成装置は、第4態様に係る画像形成装置であって、自装置及び前記サーバは、同一のネットワークセグメントに設置されている。
【0012】
第6態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置であって、自装置及び前記他の画像形成装置は同一のネットワークセグメントに設置されている。
【0013】
第7態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置であって、前記サービスとファイアウォールを介して接続されている。
【0014】
第8態様に係る画像処理システムは、第1の画像形成装置と、第2の画像形成装置と、を備え、前記第1の画像形成装置は第1のプロセッサを備え、前記第1のプロセッサは、対象物を光学的に読み取ったデータを、該データに対する所定の処理を実行するサービスに転送し、前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該所定の処理の結果に対する処理の実行のための処理情報を暗号化し、暗号化した前記処理情報を前記第2の画像形成装置に送信し、前記第2の画像形成装置は第2のプロセッサを備え、前記第2のプロセッサは、前記第1の画像形成装置が前記サービスでの前記所定の処理の結果を取得できない状態となった場合に、前記第1のプロセッサから取得した前記処理情報を用いて、前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該処理の結果に対する処理を実行する。
【0015】
第9態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、対象物を光学的に読み取ったデータを、該データに対する所定の処理を実行するサービスに転送し、前記サービスでの前記所定の処理の結果の取得及び該所定の処理の結果に対する処理の実行のための処理情報を暗号化し、暗号化した前記処理情報を他の画像形成装置に送信する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
第1態様によれば、サービスでの処理の結果を受け取れない場合でも、代わりの装置が処理結果を受け取れるようにすることができる。また本発明の第1態様によれば、権限の無い別の装置による処理結果の取得を防ぐことができる。
【0017】
第2態様によれば、サービスでの処理の結果を取得できれば、他の画像形成装置に不必要な処理情報を持たせないようにすることができる。
【0018】
第3態様によれば、他の画像形成装置が不必要な処理情報を持ち続けていないかどうか確認させることが出来る。
【0019】
第4態様によれば、サービスでの処理結果をサーバへ保存することが出来る。
【0020】
第5態様によれば、サービスが直接アクセスできないサーバへサービスでの処理結果を保存することが出来る。
【0021】
第6態様によれば、サービスが直接アクセスできない画像形成装置に自装置の代わりを依頼することが出来る。
【0022】
第7態様によれば、ファイアウォール越しのサービスで処理された処理結果を取得出来る。
【0023】
第8態様によれば、第1の画像形成装置がサービスでの処理の結果を受け取れない場合でも、第2の画像形成装置が処理結果を受け取れるようにすることができる。また本発明の第8態様によれば、権限の無い別の装置による処理結果の取得を防ぐことができる。
【0024】
第9態様によれば、サービスでの処理の結果を受け取れない場合でも、代わりの装置が処理結果を受け取れるようにすることができる。また本発明の第9態様によれば、権限の無い別の装置による処理結果の取得を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。
図2】複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】複合機の機能構成例を示すブロック図である。
図4】画像処理システムの作用の概要を示す図である。
図5】画像処理システムの作用の概要を示す図である。
図6】画像処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】画像処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0027】
図1は、本実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。図1に示した画像処理システムは、本発明の画像形成装置の一例である複合機10A、10B、ファイルサーバ20、クラウドサービス50を備える。複合機10A、10B、ファイルサーバ20は、それぞれLAN(Local Area Network)30に接続され、同一のネットワークセグメントに存在している。複合機10A、10B、ファイルサーバ20は、ファイアウォール40によって、インターネットなどの外部のネットワークから守られている。
【0028】
複合機10A、10Bは、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、OCR(Optical character recognition;光学文字認識)機能等の複数の機能の中からいずれか複数の機能を有する装置である。例えば、複合機10A、10Bは、図示しないパーソナルコンピュータ等からプリントジョブを受信すると、プリントジョブに基づいたプリント処理を実行する。また例えば、複合機10A、10Bは、文書をスキャンし、スキャンしたデータを図示しないパーソナルコンピュータ又はファイルサーバ20に送信する機能を有する。以下の説明では、複合機10A、10Bを区別する必要が無い場合は、単に複合機10として説明する。
【0029】
クラウドサービス50は、複合機10と連携し、複合機10の要求に基づいた処理を実行する。クラウドサービス50は、クラウドネットワーク上に存在するサーバによって実現される。本実施形態では、クラウドサービス50は、光学的に読み取られたスキャンデータを認識するOCR機能を実行することで、スキャンデータからテキストデータを生成する。
【0030】
複合機10がスキャンする文書の量が少ない場合は、複合機10が備えているOCR機能によるスキャンデータの文字認識に要する処理時間は長く掛からない。しかし、複合機10が大量に文書をスキャンした場合、複合機10が備えているOCR機能によるスキャンデータの文字認識に要する処理時間が長時間に及ぶ可能性がある。そこで、複合機10は、スキャンデータをクラウドサービス50に転送し、スキャンデータに対する処理をクラウドサービス50に依頼する。
【0031】
複合機10及びファイルサーバ20と、クラウドサービス50との間にはファイアウォール40が存在しているので、クラウドサービス50は、ファイルサーバ20を宛先として、生成したテキストデータを送信することができない。従って、ファイルサーバ20にテキストデータを保存するために、複合機10は、クラウドサービス50で生成されたテキストデータをクラウドサービス50からダウンロードする。そして複合機10は、ダウンロードしたテキストデータをファイルサーバ20に転送する。
【0032】
複合機10は、スキャンデータをクラウドサービス50に転送すると、テキストデータの生成が完了したかどうか、クラウドサービス50へポーリングする。クラウドサービス50は、テキストデータの生成が完了すると、複合機10からのポーリングに対して、テキストデータの生成が完了した旨を複合機10へ応答する。
【0033】
ここで、複合機10がクラウドサービス50へスキャンデータを転送した後、故障したり、電源が落とされたりするなどの理由で、テキストデータをクラウドサービス50からダウンロードできなくなる場合が考えられる。
【0034】
そこで本実施形態に係る複合機10は、クラウドサービス50へスキャンデータを転送する際に、併せて自装置の代替機が存在する旨をクラウドサービス50に通知する。なお、他の装置を代替機として指定する複合機10を、以下の説明では主装置とも称する。また本実施形態に係る複合機10は、代替機となる複合機10へ、テキストデータをクラウドサービス50からダウンロードして、ファイルサーバ20へ転送するために必要な情報を暗号化して送信する。係る情報には、例えばクラウドサービス50へのログイン情報、複合機10で処理された文書の情報、指定された格納先などが含まれ得る。そして本実施形態に係る複合機10と、代替機となる複合機10は、共にクラウドサービス50へポーリングを行う。なお、複合機10の代替機は予め決定されていてもよく、複合機10がスキャンデータをクラウドサービス50に送信する度に、LAN30に接続されている複合機10の中から複合機10が選択してもよい。
【0035】
図1に示した画像処理システムの場合、主装置である複合機10Aがクラウドサービス50へスキャンデータを転送する際に、複合機10Bが代替機である旨をクラウドサービス50に通知する。また複合機10Aは、代替機となる複合機10Bへ、テキストデータをクラウドサービス50からダウンロードして、ファイルサーバ20へ転送するために必要な処理情報を暗号化して送信する。
【0036】
このように複合機10は、自装置の代替機の情報をクラウドサービス50に通知し、代替機となる複合機10と共にクラウドサービス50へポーリングを行うことで、仮に自装置が故障などの理由でクラウドサービス50からテキストデータを取得出来なくなった場合に、代替機となる複合機10にテキストデータを取得させることができる。
【0037】
図2は、複合機10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0038】
図2に示すように、複合機10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0039】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、複合機10が有する機能を実行するコンピュータプログラムが格納されている。
【0040】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0041】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0042】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0043】
通信インタフェース17は、他の複合機10、ファイルサーバ20、クラウドサービス50等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0044】
上記のコンピュータプログラムを実行する際に、複合機10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。複合機10が実現する機能構成について説明する。
【0045】
次に、複合機10の機能構成について説明する。
【0046】
図3は、複合機10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0047】
図3に示すように、複合機10は、機能構成として、画像処理部101、暗号化部102、復号部103、通信部104、記憶部105および削除部106を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶されたコンピュータプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0048】
画像処理部101は、複合機10が有する機能として種々の画像処理を実行する。本実施形態では、画像処理部101は、文書を光学的に読み取ってスキャンデータを生成する画像処理を実行する。
【0049】
暗号化部102は、自装置の代替機となる他の複合機10が、自装置の代わりにクラウドサービス50からデータをダウンロードして、ファイルサーバ20へデータを転送するための処理情報を暗号化する。暗号化部102が暗号化する処理情報には、例えば、クラウドサービス50へのログイン情報、複合機10で処理された文書の情報、指定された格納先などが含まれ得る。
【0050】
復号部103は、自装置が代替機として機能する場合に、主装置で暗号化され、主装置の代わりにクラウドサービス50からデータをダウンロードして、ファイルサーバ20へデータを転送するための処理情報を復号する。暗号化部102が暗号化に用いる鍵及び復号部103が復号に用いる鍵は、予め主装置と代替機との間で共有されているものとする。
【0051】
通信部104は、他の装置との間の通信処理を行う。詳細には、通信部104は、画像処理部101が生成したスキャンデータのクラウドサービス50への送信、クラウドサービス50で生成されたテキストデータの受信、テキストデータへのファイルサーバ20への送信、代替機となる複合機10への暗号化された処理情報の送信、自装置が代替機となるよう指定された主装置からの暗号化された処理情報の受信、等を行う。
【0052】
記憶部105は、自装置が代替機として機能する場合に、クラウドサービス50からデータをダウンロードして、ファイルサーバ20へデータを転送するための処理情報を記憶する。記憶部105が記憶する処理情報は、復号部103によって復号された処理情報である。
【0053】
削除部106は、自装置が代替機として機能する場合に、自装置または主装置がテキストデータをファイルサーバ20に送信すると、記憶部105に記憶されている、クラウドサービス50からデータをダウンロードして、ファイルサーバ20へデータを転送するための処理情報を削除する。
【0054】
複合機10は、係る構成を有することで、主装置として機能する場合、サービスでの処理の結果を受け取れない場合でも、代替機が処理結果を受け取れるようにすることができる。また複合機10は、係る構成を有することで、権限の無い別の装置による処理結果の取得を防ぐことができる。
【0055】
次に、画像処理システムの作用について説明する。
【0056】
図4は、画像処理システムの作用の概要を示す図である。図4では、主装置が複合機10A、代替機が複合機10Bであるとして説明する。図4に示した例は、複合機10Aがスキャンデータをクラウドサービス50に送信した後に、故障などの理由で複合機10Aが使用できない状態になった場合の概要である。
【0057】
複合機10Aは、文書データを光学的に読み取ってスキャンデータを生成すると、ステップS11において、スキャンデータをクラウドサービス50に送信するとともに、複合機10Bが代替機である旨をクラウドサービス50に送信する。
【0058】
クラウドサービス50は、ステップS12において、クラウドサービス50がスキャンデータから作成したテキストデータを取得するための情報を複合機10Aに応答する。
【0059】
複合機10Aは、テキストデータを取得するための情報をクラウドサービス50から受信すると、ステップS13において、クラウドサービス50からデータをダウンロードして、ファイルサーバ20へデータを転送するための処理情報を暗号化して、代替機である複合機10Bに送信する。複合機10Bは、暗号化された処理情報を復号して、情報を複合機10Bの内部に記憶する。
【0060】
複合機10AがステップS13の処理の後に、故障などの理由で使用できない状態になったとする。複合機10Bは、ステップS14において、クラウドサービス50へポーリングを行い、処理が完了したかを問い合わせる。
【0061】
クラウドサービス50は、複合機10Aからのポーリングが無いので、ステップS15において、複合機10Aが代替機に指定した複合機10Bからのポーリングに応答する。複合機10Bは、クラウドサービス50からの応答を受信すると、クラウドサービス50が生成したテキストデータを、クラウドサービス50からダウンロードする。
【0062】
そして複合機10Bは、クラウドサービス50が生成したテキストデータを、クラウドサービス50からダウンロードすると、ステップS13において複合機10Aから送られた情報に基づき、ステップS16において、ダウンロードしたテキストデータをファイルサーバ20へ転送する。
【0063】
図5は、画像処理システムの作用の概要を示す図である。図4では、主装置が複合機10A、代替機が複合機10Bであるとして説明する。図5に示した例は、複合機10Aがスキャンデータをクラウドサービス50に送信した後にも複合機10Aが使用できる状態にある場合の概要である。
【0064】
複合機10Aは、文書データを光学的に読み取ってスキャンデータを生成すると、ステップS21において、スキャンデータをクラウドサービス50に送信するとともに、複合機10Bが代替機である旨をクラウドサービス50に送信する。
【0065】
クラウドサービス50は、ステップS22において、クラウドサービス50がスキャンデータから作成したテキストデータを取得するための情報を複合機10Aに応答する。
【0066】
複合機10Aは、テキストデータを取得するための情報をクラウドサービス50から受信すると、ステップS23において、クラウドサービス50からデータをダウンロードして、ファイルサーバ20へデータを転送するための処理情報を暗号化して、代替機である複合機10Bに送信する。複合機10Bは、暗号化された処理情報を復号して、情報を複合機10Bの内部に記憶する。
【0067】
続いて複合機10Aは、ステップS24において、クラウドサービス50へポーリングを行い、処理が完了したかを問い合わせる。代替機である複合機10Bも、ステップS25において、クラウドサービス50へポーリングを行い、処理が完了したかを問い合わせる。
【0068】
クラウドサービス50は、複合機10Aからのポーリングがあるので、ステップS26において、複合機10Aからのポーリングに応答する。複合機10Aは、クラウドサービス50からの応答を受信すると、クラウドサービス50が生成したテキストデータを、クラウドサービス50からダウンロードする。
【0069】
そして複合機10Aは、クラウドサービス50が生成したテキストデータを、クラウドサービス50からダウンロードすると、ステップS27において、ダウンロードしたテキストデータをファイルサーバ20へ転送する。
【0070】
続いて複合機10Aは、ステップS23で複合機10Bへ送信した情報はもう必要が無いので、ステップS28において、当該情報の削除を複合機10Bへ要求する。複合機10Bは、当該要求を受けて、複合機10Aから送信された情報を削除し、ステップS29において、当該情報の削除が完了した旨を複合機10Aへ応答する。なお、複合機10Aは、処理情報の削除の要求に対する複合機10Bからの応答が無ければ、処理情報が削除されたかを確認する通知を複合機10Bへ出力してもよい。複合機10Aは、処理情報が削除されたかを確認する通知を複合機10Bへ出力することで、不必要な処理情報を持ち続けていないかどうかを、複合機10Bに確認させることが出来る。
【0071】
複合機10Aは、図4及び図5に示したような動作を実行することで、クラウドサービス50での処理の結果を受け取れない場合でも、複合機10Bが処理結果を受け取れるようにすることができる。また複合機10Aは、図4及び図5に示したような動作を実行することで、クラウドサービス50での処理の結果を受け取れない場合でも、権限の無い別の装置による処理結果の取得を防ぐことができる。
【0072】
図6は、画像処理システムの複合機10A、10B、ファイルサーバ20、クラウドサービス50による画像処理の流れを示すシーケンス図である。複合機10A、10Bは、CPU11がROM12又はストレージ14からコンピュータプログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、図6に示したシーケンス図に基づいた画像処理が行なわれる。図6に示したシーケンス図は、複合機10Aがスキャンデータをクラウドサービス50に送信した後に、故障などの理由で複合機10Aが使用できない状態になった場合の処理の例である。
【0073】
複合機10Aは、文書データを光学的に読み取ってスキャンデータを生成すると、ステップS101において、スキャンデータをクラウドサービス50に送信するとともに、複合機10Bが代替機である旨をクラウドサービス50に送信する。
【0074】
クラウドサービス50は、ステップS102において、クラウドサービス50がスキャンデータから作成したテキストデータを取得するための情報を複合機10Aに応答する。また、クラウドサービス50は、ステップS103において、スキャンされた文書からテキストデータを作成する処理を実行する。
【0075】
複合機10Aは、テキストデータを取得するための情報をクラウドサービス50から受信すると、ステップS104において、クラウドサービス50からデータをダウンロードして、ファイルサーバ20へデータを転送するための処理情報を暗号化して、代替機である複合機10Bに送信する。複合機10Bは、ステップS105において、暗号化された処理情報を復号して、処理情報を複合機10Bの内部に記憶する。
【0076】
続いて複合機10Aは、ステップS106において、クラウドサービス50へポーリングを行い、処理が完了したかを問い合わせる。代替機である複合機10Bも、ステップS107において、クラウドサービス50へポーリングを行い、処理が完了したかを問い合わせる。
【0077】
複合機10AがステップS106の処理の後に、故障などの理由で使用できない状態になったとする(ステップS108)。クラウドサービス50は、ステップS109において、複合機10Aからのポーリングがあるかどうかを判断する。この場合、複合機10Aからのポーリングが無いので(ステップS109;No)、クラウドサービス50は、ステップS110において、複合機10Aが代替機に指定した複合機10Bからのポーリングに応答する。複合機10Bは、クラウドサービス50からの応答を受信すると、クラウドサービス50が生成したテキストデータを、クラウドサービス50からダウンロードする。
【0078】
そして複合機10Bは、クラウドサービス50が生成したテキストデータを、クラウドサービス50からダウンロードすると、ステップS104において複合機10Aから送られた情報に基づき、ステップS111において、ダウンロードしたテキストデータをファイルサーバ20へ転送する。
【0079】
複合機10Bは、テキストデータをファイルサーバ20へ転送すると、ステップS112において複合機10Aから送信された情報を削除する。
【0080】
図7は、画像処理システムの複合機10A、10B、ファイルサーバ20、クラウドサービス50による画像処理の流れを示すシーケンス図である。複合機10A、10Bは、CPU11がROM12又はストレージ14からコンピュータプログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、図7に示したシーケンス図に基づいた画像処理が行なわれる。図7に示したシーケンス図は、複合機10Aがスキャンデータをクラウドサービス50に送信した後にも複合機10Aが使用できる状態にある場合の処理の例である。また、図7では、図6のステップS106までの処理を省略している。
【0081】
クラウドサービス50は、ステップS109において、複合機10Aからのポーリングがあるかどうかを判断する。この場合、複合機10Aからのポーリングがあるので(ステップS109;Yes)、クラウドサービス50は、ステップS121において、複合機10Aからのポーリングに応答する。複合機10Aは、クラウドサービス50からの応答を受信すると、クラウドサービス50が生成したテキストデータを、クラウドサービス50からダウンロードする。
【0082】
複合機10Aは、クラウドサービス50が生成したテキストデータを、クラウドサービス50からダウンロードすると、ステップS122において、ダウンロードしたテキストデータをファイルサーバ20へ転送する。
【0083】
続いて複合機10Aは、図6のステップS104で複合機10Bへ送信した情報はもう必要が無いので、ステップS123において、当該情報の削除を複合機10Bへ要求する。複合機10Bは、ステップS124において、当該要求を受けて、複合機10Aから送信された情報を削除し、ステップS125において、当該情報の削除が完了した旨を複合機10Aへ応答する。なお、複合機10Aは、処理情報の削除の要求に対する複合機10Bからの応答が無ければ、処理情報が削除されたかを確認する通知を複合機10Bへ出力してもよい。複合機10Aは、処理情報が削除されたかを確認する通知を複合機10Bへ出力することで、不必要な処理情報を持ち続けていないかどうかを、複合機10Bに確認させることが出来る。
【0084】
複合機10Aは、図6及び図7に示したような動作を実行することで、クラウドサービス50での処理の結果を受け取れない場合でも、複合機10Bが処理結果を受け取れるようにすることができる。また複合機10Aは、図6及び図7に示したような動作を実行することで、クラウドサービス50での処理の結果を受け取れない場合でも、権限の無い別の装置による処理結果の取得を防ぐことができる。
【0085】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した画像処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、画像処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0086】
また、上記各実施形態では、コンピュータプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0087】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0088】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0089】
10A、10B 複合機
20 ファイルサーバ
30 LAN
40 ファイアウォール
50 クラウドサービス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7