(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142235
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H04N1/387
H04N1/387 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049026
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和敏
【テーマコード(参考)】
5C076
【Fターム(参考)】
5C076AA16
5C076AA17
5C076BA02
(57)【要約】
【課題】原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像と読み取り画像に付加する付加画像とを媒体に出力する際に、媒体の無駄の発生を抑制しつつ、読み取り画像と付加画像とが重なることによる各画像の判読性の低下を抑制する。
【解決手段】プロセッサを備え、プロセッサは、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得し、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域とが重なる場合に、有意部分と付加画像とが重ならないように読み取り画像と付加画像とを媒体に出力し、媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御することを特徴とする画像処理装置。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得し、
前記読み取り画像の有意部分と当該読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該付加画像とが重ならないように当該読み取り画像と当該付加画像とを媒体に出力し、当該媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記媒体の前記副走査方向の長さを、前記指定領域の当該副走査方向の長さだけ延長するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記付加画像を出力した後に、前記読み取り画像の前記指定領域と重なる部分を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記読み取り画像の前記指定領域と重なる部分を出力した後に、前記付加画像を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記媒体の前記副走査方向の長さを、前記指定領域の前記有意部分が重なる領域の当該副走査方向の長さだけ延長するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記付加画像を出力した後に、前記有意部分の前記指定領域と重なる部分を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記有意部分の前記指定領域と重なる部分を出力した後に、前記付加画像を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記原稿読み取り装置は、第1の速度で原稿を読み取り、
前記出力装置は、前記第1の速度よりも速い第2の速度で前記読み取り画像を前記媒体に出力し、
前記プロセッサは、前記原稿読み取り装置での前記原稿の読み取りが開始されてから、前記指定領域の前記副走査方向の位置に応じた待機時間が経過した後に、前記読み取り画像の前記媒体への出力を開始するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記原稿読み取り装置での前記指定領域の読み取りが完了した後に、前記有意部分と当該指定領域とが重なっていれば、前記付加画像を出力し、その後、当該有意部分の当該指定領域と重なる部分を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記原稿読み取り装置での前記指定領域の読み取りが完了した後に、前記有意部分と当該指定領域とが重なっていなければ、少なくとも前記付加画像を出力し、その後、当該有意部分の当該指定領域よりも前記副走査方向の後端側の部分を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記原稿読み取り装置での前記原稿の読み取りが開始されてから前記待機時間が経過する前に当該読み取りが完了した場合に、当該読み取りが完了した後であって当該待機時間が経過する前に、前記読み取り画像の前記媒体への出力を開始するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記媒体の前記副走査方向の長さが延長されたことを示す情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
コンピュータに、
原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得する機能と、
前記読み取り画像の有意部分と当該読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該付加画像とが重ならないように当該読み取り画像と当該付加画像とを媒体に出力し、当該媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、文書データ内のアノテーション情報に、文書データのページサイズより大きいサイズの印刷用紙サイズに関する情報を書き込む書込手段と、書き込まれた印刷用紙サイズに関する情報を読み込む読込手段と、読み込んだ印刷用紙サイズに関する情報を基に、印刷時の用紙サイズを指定し、アノテーション情報を含む文書データの印刷画像の生成を指示する指示手段と、を有する情報処理装置が記載されている。
特許文献2には、記載内容が含まれるドキュメントデータ本体と、記載内容に関する注釈情報を含む注釈用紙データとを含むドキュメントデータを記憶する記憶部と、注釈用紙データの有無を判断する用紙情報判別部と、用紙情報判別部が注釈用紙データがあると判断した場合に、注釈用紙データから表示用の描画データである注釈用紙と、ドキュメントデータ本体から表示用の描画データであるドキュメント用紙とを生成し、注釈用紙の中にドキュメント用紙を配置して注釈用紙とドキュメント用紙を表示部に表示する表示処理部と、を備えた情報処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-223696号公報
【特許文献2】特開2009-223738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像と読み取り画像に付加する付加画像とを媒体に出力する際に、読み取り画像と付加画像とが重なることによって各画像の判読性が低下する場合がある。このような場合に、読み取り画像と付加画像とを含むことができる予め設定されたサイズの媒体に切り替えて読み取り画像と付加画像とを出力する構成を採用したのでは、媒体を副走査方向に任意の長さだけ延長するといったことは行われないので、媒体の無駄が発生してしまう。
【0005】
本発明の目的は、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像と読み取り画像に付加する付加画像とを媒体に出力する際に、媒体の無駄の発生を抑制しつつ、読み取り画像と付加画像とが重なることによる各画像の判読性の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得し、前記読み取り画像の有意部分と当該読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該付加画像とが重ならないように当該読み取り画像と当該付加画像とを媒体に出力し、当該媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御することを特徴とする画像処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記媒体の前記副走査方向の長さを、前記指定領域の当該副走査方向の長さだけ延長するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記付加画像を出力した後に、前記読み取り画像の前記指定領域と重なる部分を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記読み取り画像の前記指定領域と重なる部分を出力した後に、前記付加画像を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記媒体の前記副走査方向の長さを、前記指定領域の前記有意部分が重なる領域の当該副走査方向の長さだけ延長するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記付加画像を出力した後に、前記有意部分の前記指定領域と重なる部分を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記有意部分の前記指定領域と重なる部分を出力した後に、前記付加画像を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記原稿読み取り装置は、第1の速度で原稿を読み取り、前記出力装置は、前記第1の速度よりも速い第2の速度で前記読み取り画像を前記媒体に出力し、前記プロセッサは、前記原稿読み取り装置での前記原稿の読み取りが開始されてから、前記指定領域の前記副走査方向の位置に応じた待機時間が経過した後に、前記読み取り画像の前記媒体への出力を開始するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記原稿読み取り装置での前記指定領域の読み取りが完了した後に、前記有意部分と当該指定領域とが重なっていれば、前記付加画像を出力し、その後、当該有意部分の当該指定領域と重なる部分を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、前記原稿読み取り装置での前記指定領域の読み取りが完了した後に、前記有意部分と当該指定領域とが重なっていなければ、少なくとも前記付加画像を出力し、その後、当該有意部分の当該指定領域よりも前記副走査方向の後端側の部分を出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、前記原稿読み取り装置での前記原稿の読み取りが開始されてから前記待機時間が経過する前に当該読み取りが完了した場合に、当該読み取りが完了した後であって当該待機時間が経過する前に、前記読み取り画像の前記媒体への出力を開始するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置である。
請求項12に記載の発明は、前記プロセッサは、前記媒体の前記副走査方向の長さが延長されたことを示す情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項13に記載の発明は、コンピュータに、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得する機能と、前記読み取り画像の有意部分と当該読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該付加画像とが重ならないように当該読み取り画像と当該付加画像とを媒体に出力し、当該媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像と読み取り画像に付加する付加画像とを媒体に出力する際に、媒体の無駄の発生を抑制しつつ、読み取り画像と付加画像とが重なることによる各画像の判読性の低下を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、媒体の長さの延長量を簡単に求めることができる。
請求項3の発明によれば、媒体の先端を基点とした付加画像の位置を維持することができる。
請求項4の発明によれば、媒体の後端を基点とした付加画像の位置を維持することができる。
請求項5の発明によれば、読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域の長さよりも、指定領域のうち読み取り画像の有意部分が重なる領域の長さが短い場合に、媒体の長さの延長量を必要最小限にすることができる。
請求項6の発明によれば、媒体の先端を基点とした付加画像の位置を維持することができる。
請求項7の発明によれば、媒体の後端を基点とした付加画像の位置を維持することができる。
請求項8の発明によれば、原稿読み取り装置での原稿の画像データの読み取りと、出力装置での原稿の画像データの媒体への出力とを、指定領域の読み取りが完了すると媒体が延長されるか否かが決定される場合であっても、並行して実行することができる。
請求項9の発明によれば、有意部分と指定領域とが重なっている場合に、媒体の先端を基点とした付加画像の位置を維持しつつ、媒体の長さを延長することができる。
請求項10の発明によれば、有意部分と指定領域とが重なっていない場合に、媒体における無駄な余白の発生を抑制することができる。
請求項11の発明によれば、原稿読み取り装置での原稿の読み取りが開始されてから待機時間が経過する前に読み取りが完了した場合に、原稿読み取り装置での原稿の読み取りが開始されてから待機時間が経過した後に読み取り画像の媒体への出力を開始する場合に比較して、読み取り画像の媒体への出力を早く終わらせることができる。
請求項12の発明によれば、媒体の副走査方向の長さが延長されたことを使用者に知らせることができる。
請求項13の発明によれば、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像と読み取り画像に付加する付加画像とを媒体に出力する際に、媒体の無駄の発生を抑制しつつ、読み取り画像と付加画像とが重なることによる各画像の判読性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態における複写システムの全体構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態における原稿読み取り装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態における出力装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における画像処理装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図5】(a),(b)は、原稿の読み取り画像のうちの有効画像と、アノテーション画像とが重複する場合の合成の第1の例を示す図である。
【
図6】(a),(b)は、原稿の読み取り画像のうちの有効画像と、アノテーション画像とが重複する場合の合成の第2の例を示す図である。
【
図7】(a),(b)は、原稿の読み取り画像のうちの有効画像と、アノテーション画像とが重複する場合の、アノテーション画像の用紙先端からのオフセットを維持する合成の例を示す図である。
【
図8】(a),(b)は、原稿の読み取り画像のうちの有効画像と、アノテーション画像とが重複する場合の、アノテーション画像の用紙後端からのオフセットを維持する合成の例を示す図である。
【
図9】用紙先端基点指定の場合の出力開始タイミングの第1の例について示すグラフである。
【
図10】用紙先端基点指定の場合の出力開始タイミングの第2の例について示すグラフである。
【
図11】用紙先端基点指定の場合の出力開始タイミングの第3の例について示すグラフである。
【
図12】用紙後端基点指定の場合の出力開始タイミングの第1の例について示すグラフである。
【
図13】用紙後端基点指定の場合の出力開始タイミングの第2の例について示すグラフである。
【
図14】用紙後端基点指定の場合の出力開始タイミングの第3の例について示すグラフである。
【
図15】本発明の実施の形態における画像処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図16-1】本発明の実施の形態における画像処理装置の読み取りルーチンのフローチャートである。
【
図16-2】本発明の実施の形態における画像処理装置の読み取りルーチンのフローチャートである。
【
図17】出力開始タイミング算出処理の内容を示すフローチャートである。
【
図18-1】本発明の実施の形態における画像処理装置の出力ルーチンのフローチャートである。
【
図18-2】本発明の実施の形態における画像処理装置の出力ルーチンのフローチャートである。
【
図19】複写用紙が延長された旨を記録する処理履歴の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
[本実施の形態の概要]
本実施の形態は、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得し、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域とが重なる場合に、有意部分と付加画像とが重ならないように読み取り画像と付加画像とを媒体に出力し、媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する画像処理装置を提供するものである。
【0011】
ここで、読み取り画像の有意部分とは、読み取り画像のうち、使用者に意味のある情報を伝える部分のことをいう。意味のある情報を伝える部分とは、下地の色以外の全ての部分であってもよいし、下地の色以外の色の画素が連結して閾値以上の大きさとなっている部分であってもよい。或いは、このような部分の中で特に予め定められた種類の部分を、意味のある情報を伝える部分としてもよい。ここで、予め定められた種類の部分としては、文字画像が形成された部分、写真画像が形成された部分等がある。以下では、読み取り画像の有意部分を、有効画像として説明する。
付加画像とは、画像データに付加される画像である。以下では、付加画像として、アノテーションの画像を例にとって説明することがあるが、これに限らず、如何なる情報を含む画像であってもよい。
媒体とは、何らかの情報を伝えるために用いられる物体であって、画像データが出力され得るものをいう。媒体には、例えば、紙、プラスチックシート等があるが、以下では、紙を例にとって説明する。
媒体の長さを延長するとは、媒体を切断する位置をずらすことにより、媒体の長さを長くすることである。
【0012】
[複写システムの全体構成]
図1は、本実施の形態における複写システム1の全体構成例を示すブロック図である。図示するように、複写システム1は、原稿読み取り装置10と、出力装置20と、画像処理装置30とを備える。原稿読み取り装置10は、原稿を読み取ってその画像データを出力する。出力装置20は、画像データに基づいて画像を用紙に転写し排出する。画像処理装置30は、原稿読み取り装置10から画像データを取得し、これに何らかの処理を施して出力装置20に出力する。尚、複写システム1は、シンクロカット複写が可能であるとする。シンクロカット複写とは、複写用紙を原稿の長さに合わせてカットして行う複写のことである。
【0013】
[原稿読み取り装置のハードウェア構成]
図2は、本実施の形態における原稿読み取り装置10のハードウェア構成例を示す図である。
原稿読み取り装置10の内部には、原稿100を搬送方向に沿って搬送するための搬送ローラ101~106が設けられている。これらの搬送ローラ101~106は、
図2において上下方向に並んだ各2個のローラが対をなすことにより計3個の搬送手段を構成している。原稿挿入口100aから挿入された原稿100は、1番目の搬送手段たる搬送ローラ101,102、2番目の搬送手段たる搬送ローラ103,104、3番目の搬送手段たる搬送ローラ105,106によって順次搬送され、原稿排出口100bから排出される。
2番目の搬送手段たる搬送ローラ103,104と、3番目の搬送手段たる搬送ローラ105,106との間の区間には、読み取りセンサ110が配置されている。この読み取りセンサ110は、多数の光検知センサを原稿100の搬送方向と直交する向きに配列してなる1次元センサであり、これらの光検知センサにより原稿100表面からの反射光が検知される。各光検知センサの各出力信号は、決められた期間内に順次走査されて各々ディジタル信号に順次変換され、これにより原稿100表面の全画像のうち各光検知センサに対向した直線部の画像データが生成される。また、この画像データの生成が、原稿100の搬送と並行して繰り返されることにより、原稿100の表面の画像を表す画像データが生成される。読み取りセンサ110によって得られた画像データは画像処理装置30に送られる。
原稿100の搬送経路の途中の各拠点には原稿100の端部の通過を検出するためのセンサF1~F4が配置されている。また、1番目の搬送手段たる搬送ローラ101,102と2番目の搬送手段たる搬送ローラ103,104との間にはゲート111が設けられている。このゲート111は、読み取りセンサ110による原稿100の読み取り動作を行う期間のみ開き、原稿100を2番目の搬送手段側へ通過させる。
【0014】
[出力装置のハードウェア構成]
図3は、本実施の形態における出力装置20のハードウェア構成例を示す図である。
図示するように、出力装置20は、カット紙供給部201,202と、ロール紙供給部210とを備える。また、出力装置20は、ロール紙供給部210から送出された複写用紙を切断するためのカッタ211を備える。カット紙供給部201,202内の複写用紙又はロール紙供給部210に巻回された複写用紙の何れを複写に使用するかは使用者の操作に基づいて選択される。選択された複写用紙は、画像処理装置30からの出力指令に応答して転写部220に送られる。転写部220の手前には複写用紙の到来を検知するレジストセンサ222が配置されている。露光部231は、決められた速度で回転する転写ドラム221の表面に対し、画像処理装置30から供給される画像データに基づく露光処理を施し、この画像データに対応した潜像を形成する。現像部232は、このように潜像の形成された転写ドラム221の表面にトナーを与えることにより、転写ドラム221の表面に画像データに対応したトナー像を形成する。転写部220は、複写用紙を転写ドラム221の表面に押し当て、転写ドラム221表面のトナー像を複写用紙に転写させる。このようにトナー像が転写された複写用紙は、定着部240による定着処理を経た後、用紙排出搬送経路250を通過して排出される。
【0015】
[画像処理装置のハードウェア構成]
図4は、本実施の形態における画像処理装置30のハードウェア構成例を示す図である。図示するように、画像処理装置30は、プロセッサ31と、RAM(Random Access Memory)32と、ROM(Read Only Memory)33と、HDD(Hard Disk Drive)34と、操作パネル35と、通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)36とを備える。
プロセッサ31は、ROM33等に記憶された各種プログラムをRAM32にロードして実行することにより、後述する画像処理装置30の各機能を実現する。
RAM32は、プロセッサ31の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM33は、プロセッサ31が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
HDD34は、原稿読み取り装置10で原稿を読み取って得られた画像データ等を記憶する例えば磁気ディスク装置である。
操作パネル35は、各種情報の表示やユーザからの操作入力の受付を行う例えばタッチパネルである。ここで、操作パネル35は、各種情報が表示されるディスプレイと、指やスタイラスペン等の指示手段で指示された位置を検出する位置検出シートとからなる。或いは、タッチパネルに代えて、ディスプレイ及びキーボードを用いてもよい。
通信I/F36は、図示しない通信回線を介して他の装置等との間で各種情報の送受信を行う。
【0016】
[複写システムの動作の概要]
図5~
図8は、出力装置20が出力する複写用紙50上での、原稿読み取り装置10で読み取られた原稿の読み取り画像51と、付加画像の一例であるアノテーション画像52との合成の例を示す図である。
【0017】
図5(a),(b)は、原稿の読み取り画像51のうちの有効画像53と、アノテーション画像52とが重複する場合の合成の第1の例を示す。ここでは、(a)に示すように、有効画像53の先端側の一部とアノテーション画像52とが重複しているとする。すると、(b)に示すように、複写用紙50には、まず、白紙ライン521が形成されてこれとアノテーション画像52とが合成され、続けて、読み取り画像51のアノテーション画像52と重複した部分を含む画像ラインが形成される。読み取り画像51のアノテーション画像52と重複する部分には、有効画像53の先端側の一部と、有効画像53が存在しない白紙部分54とが含まれる。従って、この第1の例では、画像ラインとして、白紙部分54を含む画像ライン541と、有効画像53の先端側の一部を含む画像ライン531とが形成されている。その結果、複写用紙50は、矢印55で示すように、有効画像53の先端側の一部を含む画像ライン531の分だけでなく、白紙部分54を含む画像ライン541の分も延長されている。
【0018】
図6(a),(b)は、原稿の読み取り画像51のうちの有効画像53と、アノテーション画像52とが重複する場合の合成の第2の例を示す。ここでも、(a)に示すように、有効画像53の先端側の一部とアノテーション画像52とが重複しているとする。すると、(b)に示すように、複写用紙50には、まず、白紙ライン521が形成されてこれとアノテーション画像52とが合成され、続けて、読み取り画像51のアノテーション画像52と重複した部分を含む画像ラインが形成される。読み取り画像51のアノテーション画像52と重複する部分には、有効画像53の先端側の一部と、有効画像53が存在しない白紙部分54とが含まれる。しかしながら、この第2の例では、画像ラインとして、白紙部分54を含む画像ラインは形成されず、有効画像53の先端側の一部を含む画像ライン531が形成されている。その結果、複写用紙50は、矢印56で示すように、有効画像53の先端側の一部を含む画像ライン531の分のみが延長されている。
【0019】
ところで、読み取り画像51とアノテーション画像52とを合成する際のアノテーション画像52の位置の指定方法には、用紙先端からのオフセットで指定する用紙先端基点指定と、用紙後端からのオフセットで指定する用紙後端基点指定とがある。そして、用紙先端基点指定では、アノテーション画像52をその用紙先端からのオフセットを維持して合成するのが便利であり、用紙後端基点指定では、アノテーション画像52をその用紙後端からのオフセットを維持して合成するのが便利である。
図5及び
図6では、アノテーション画像52をその用紙先端からのオフセットを維持して合成するかその用紙後端からのオフセットを維持して合成するかについて言及しなかった。そこで、ここでは、
図5のように白紙部分54を含む画像ライン541の分も延長する場合を例にとり、アノテーション画像52をその用紙先端からのオフセットを維持して合成する場合とその用紙後端からのオフセットを維持して合成する場合とについて説明する。
【0020】
図7(a),(b)は、原稿の読み取り画像51のうちの有効画像53と、アノテーション画像52とが重複する場合の、アノテーション画像52の用紙先端からのオフセットを維持する合成の例を示す。ここでは、(a)に示すように、有効画像53の後端側の一部とアノテーション画像52とが重複しているとする。すると、(b)に示すように、複写用紙50には、まず、白紙ライン521が形成されてこれとアノテーション画像52とが合成され、続けて、読み取り画像51のアノテーション画像52と重複した部分を含む画像ラインが形成される。矢印57で示すようにアノテーション画像52の用紙先端からのオフセットを維持するため、読み取り画像51とアノテーション画像52とは、このような順序で形成される。読み取り画像51のアノテーション画像52と重複する部分には、有効画像53の後端側の一部と、有効画像53が存在しない白紙部分54とが含まれる。従って、この例では、画像ラインとして、白紙部分54を含む画像ライン541と、有効画像53の後端側の一部を含む画像ライン531とが形成されている。その結果、複写用紙50は、矢印55で示すように、有効画像53の後端側の一部を含む画像ライン531の分だけでなく、白紙部分54を含む画像ライン541の分も延長されている。
【0021】
図8(a),(b)は、原稿の読み取り画像51のうちの有効画像53と、アノテーション画像52とが重複する場合の、アノテーション画像52の用紙後端からのオフセットを維持する合成の例を示す。ここでも、(a)に示すように、有効画像53の後端側の一部とアノテーション画像52とが重複しているとする。すると、(b)に示すように、複写用紙50には、まず、読み取り画像51のアノテーション画像52と重複した部分を含む画像ラインが形成され、続けて、白紙ライン521が形成されてこれとアノテーション画像52とが合成される。矢印58で示すようにアノテーション画像52の用紙後端からのオフセットを維持するため、読み取り画像51とアノテーション画像52とは、このような順序で形成される。読み取り画像51のアノテーション画像52と重複する部分には、有効画像53の後端側の一部と、有効画像53が存在しない白紙部分54とが含まれる。従って、この例でも、画像ラインとして、白紙部分54を含む画像ライン541と、有効画像53の後端側の一部を含む画像ライン531とが形成されている。その結果、複写用紙50は、矢印55で示すように、有効画像53の後端側の一部を含む画像ライン531の分だけでなく、白紙部分54を含む画像ライン541の分も延長されている。
【0022】
本実施の形態において、原稿読み取り装置10での原稿の読み取りと出力装置20での画像の出力とを並行に実行する場合、画像処理装置30は、原稿読み取り装置10から画像データを読み出すと共に画像を複写用紙へ転写する出力開始タイミングを演算する。
【0023】
図9~
図14は、このような出力開始タイミングについて示すグラフである。これらのグラフでは、横軸に時刻を示し、縦軸に原稿位置を示し、読み取りを直線60で示し、出力を直線61で示している。また、グラフには、用紙後端側のアノテーション領域もドットハッチングで示している。尚、これらのグラフにおいて、T、Ta、T2、T3は、時刻を表す記号として用いているが、読み取り開始タイミングを0としているので、読み取り開始タイミングからの経過時間を表す記号としても用いるものとする。
【0024】
図9は、用紙先端基点指定の場合の出力開始タイミングの第1の例について示す。矢印65が用紙先端基点指定であることを示している。
図9では、画像処理装置30は、読み取りと出力とを並行に実行する場合、予め設定した最大原稿長の原稿の読み取りと出力とが同時に完了するように、出力開始タイミングを遅らせている。具体的には、画像処理装置30は、原稿読み取り装置10からの画像データの読み取り開始タイミングから、原稿読み取り装置10の第1の速度の一例としての読み取り速度と出力装置20の第2の速度の一例としての出力速度との差を考慮したプリント遅延時間Tを経過した後の出力開始タイミングを、出力装置20へ通知している。
ところで、この第1の例では、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べ終わる時刻Taに、プリント対象の原稿位置Pはアノテーション領域に達していない。つまり、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べ終わった時点でアノテーション領域のプリントは開始されていないので、出力開始タイミングをずらす必要はない。
図9において、直線61aは、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べた結果、アノテーション領域が有効画像と重複していないために用紙を延長しない場合のプリント位置の推移を示す。直線61bは、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べた結果、アノテーション領域が有効画像と重複しているために用紙を延長する場合のプリント位置の推移を示す。また、直線64は、用紙を延長するか否かを使用者が判断するためのUI表示期間を示す。
【0025】
図10は、用紙先端基点指定の場合の出力開始タイミングの第2の例について示す。矢印65が用紙先端基点指定であることを示している。
図10でも、
図9と同様に、画像処理装置30は、読み取りと出力とを並行に実行する場合、予め設定した最大原稿長の原稿の読み取りと出力とが同時に完了するように、出力開始タイミングをプリント遅延時間Tだけ遅らせている。
しかしながら、この第2の例では、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べ終わる時刻Taに、原稿位置Pはアノテーション領域に達する。つまり、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べ終わる前にアノテーション領域のプリントが開始されてしまうので、出力を表す直線を直線62までずらし、出力開始タイミングを更に時刻T2まで遅らせている。
図10において、直線62aは、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べた結果、アノテーション領域が有効画像と重複していないために用紙を延長しない場合のプリント位置の推移を示す。直線62bは、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べた結果、アノテーション領域が有効画像と重複しているために用紙を延長する場合のプリント位置の推移を示す。また、直線64は、用紙を延長するか否かを使用者が判断するためのUI表示期間を示す。
【0026】
図11は、用紙先端基点指定の場合の出力開始タイミングの第3の例について示す。矢印65が用紙先端基点指定であることを示している。
図11でも、
図9と同様に、画像処理装置30は、読み取りと出力とを並行に実行する場合、予め設定した最大原稿長の原稿の読み取りと出力とが同時に完了するように、出力開始タイミングをプリント遅延時間Tだけ遅らせている。
ところで、この第3の例では、最大原稿サイズとして想定した長さよりも実際の原稿のサイズが短かったとする。その場合、原稿の読み取りが終わったら、出力が読み取りを追い越すことはないことから、出力を開始してよいので、出力を表す直線を直線63にずらし、出力開始タイミングを時刻T3に早めている。
図11において、直線63aは、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べた結果、アノテーション領域が有効画像と重複していないために用紙を延長しない場合のプリント位置の推移を示す。直線63bは、アノテーション領域が有効画像と重複しているかどうかを調べた結果、アノテーション領域が有効画像と重複しているために用紙を延長する場合のプリント位置の推移を示す。また、直線64は、用紙を延長するか否かを使用者が判断するためのUI表示期間を示す。
尚、最大原稿サイズとして想定した長さよりも実際の原稿のサイズが短い場合であっても、原稿の読み取りが終わった時点で出力を開始していることはある。その場合は、
図9と同様であり、プリント遅延時間Tを早めない。
【0027】
図12は、用紙後端基点指定の場合の出力開始タイミングの第1の例について示す。矢印66が用紙後端基点指定であることを示している。
図12は、
図9に示したものと同様なので、ここでの説明は省略する。
【0028】
図13は、用紙後端基点指定の場合の出力開始タイミングの第2の例について示す。矢印66が用紙後端基点指定であることを示している。
図13は、
図10に示したものと同様なので、ここでの説明は省略する。
【0029】
図14は、用紙後端基点指定の場合の出力開始タイミングの第3の例について示す。矢印66が用紙後端基点指定であることを示している。
図14は、
図11に示したものと同様なので、ここでの説明は省略する。
尚、最大原稿サイズとして想定した長さよりも実際の原稿のサイズが短い場合であっても、原稿の読み取りが終わった時点で出力を開始していることはある。その場合は、
図12と同様であり、プリント遅延時間Tを早めない。
【0030】
[画像処理装置の機能構成]
図15は、本実施の形態における画像処理装置30の機能構成例を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置30は、複写条件設定部41と、読み取り制御部42と、画像メモリ43と、出力開始タイミング算出部44と、付加画像生成部45と、出力制御部46とを備えている。
【0031】
複写条件設定部41は、使用者により操作パネル35上で指示された複写条件を設定する。複写条件には、定形複写/シンクロカット複写の別、倍率、用紙、シンクロカット複写における動作モード等がある。複写条件には、付加画像の合成領域の位置もある。ここで、付加画像の合成領域の位置は、合成領域の基点と、その基点からのオフセットとによって指定されてよい。
【0032】
読み取り制御部42は、原稿読み取り装置10での原稿の読み取りを制御する。
具体的には、読み取り制御部42は、原稿挿入口100aからの原稿の挿入があるか否かを判断し、原稿があると判断すると、画像メモリ43内の全ての記憶エリアを獲得する。
また、読み取り制御部42は、原稿読み取り装置10に原稿の読み取りを指示し、これに応じて原稿読み取り装置10から送られる画像データを取得する。そして、読み取り制御部42は、取得した画像データを画像メモリ43に格納する。
更に、読み取り制御部42は、複写用紙のカット長を設定してカット要求を行ったり、付加画像の位置を設定して付加画像の合成要求を行ったりする。
更にまた、読み取り制御部42は、画像データの付加画像の合成領域に有効画像があるか否かを判定し、有効画像があるか否かの情報を出力制御部46に通知する。
本実施の形態では、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得することの一例として、読み取り制御部42の処理を行っている。
【0033】
画像メモリ43は、読み取り制御部42が原稿読み取り装置10から読み取った画像データを記憶する。画像メモリ43は、例えば、HDD34によって実現される。
【0034】
出力開始タイミング算出部44は、複写条件設定部41が設定した複写条件に応じて、読み取りと出力とを並行で実行すると判断した場合に、読み取り開始タイミングから出力開始タイミングまでのプリント遅延時間T2を求める。具体的には、出力開始タイミング算出部44は、予め設定した最大原稿長の原稿の読み取りと出力とが同時に完了するためのプリント遅延時間Tを求める。また、出力開始タイミング算出部44は、付加画像の合成領域の後端位置の読み取り時刻Taにおけるプリント対象の原稿位置Pが付加画像の合成領域の先端位置よりも後端側であれば、時刻Taに付加画像の合成領域の先端位置がプリントされるように、プリント遅延時間をT2に変更する。そして、出力開始タイミング算出部44は、読み取り開始タイミングとプリント遅延時間T2とに基づいて出力開始タイミングを算出し、その算出した出力開始タイミングを出力制御部46に通知する。
本実施の形態では、指定領域の副走査方向の位置に応じた待機時間の一例として、プリント遅延時間T2を用いている。そして、本実施の形態では、原稿読み取り装置での原稿の読み取りが開始されてから、待機時間が経過した後に、読み取り画像の媒体への出力を開始するように、出力装置を制御することの一例として、出力開始タイミング算出部44のこの処理を行っている。
【0035】
また、出力開始タイミング算出部44は、原稿の読み取りが終了すると、その算出した出力開始タイミングよりも現時点が早いか否かを判断し、早い場合は、現時点を新たな出力開始タイミングとして出力制御部46に通知する。
本実施の形態では、原稿読み取り装置での原稿の読み取りが開始されてから待機時間が経過する前に読み取りが完了した場合に、読み取りが完了した後であって待機時間が経過する前に、読み取り画像の媒体への出力を開始するように、出力装置を制御することの一例として、出力開始タイミング算出部44のこの処理を行っている。
【0036】
付加画像生成部45は、付加画像を生成する。付加画像生成部45は、例えば、使用者の情報や日付の情報に基づいて、付加画像を生成するとよいが、これには限らない。付加画像生成部45は、付加画像の高さ、つまり、付加画像の副走査方向の長さの情報を保持する。
【0037】
出力制御部46は、画像メモリ43から読み出した画像データの出力装置20への出力を制御する。
具体的には、出力制御部46は、読み取り制御部42から出力要求があるか否かを判断し、出力要求がある場合、出力装置20の稼働準備を行わせる。出力制御部46は、出力開始タイミング算出部44から通知された出力開始タイミングから用紙遅延時間Tdを差し引いた時刻になると、プリント開始を出力装置20に指示する。出力制御部46は、プリント開始の指示後は、出力装置20からの画像データの転送要求に応じて、画像メモリ43から読み出した画像データを出力装置20に出力する。
【0038】
また、出力制御部46は、画像データのプリント位置が付加画像の合成領域に達したか否かを判断し、付加画像の合成領域に達した場合、付加画像生成部45が生成した付加画像を合成しながら画像データを出力装置20に出力する。ここでは、出力開始タイミング算出部44から通知された出力開始タイミングに画像の複写用紙への転写を開始しているので、読み取り制御部42で付加画像の合成領域に有効画像があるか判断された後に画像データのプリント位置が付加画像の合成領域に達することになる。即ち、出力制御部46は、読み取り制御部42で付加画像の合成領域に有効画像があるか判断された後に、その判断結果に応じて付加画像が合成された画像データを出力装置20に出力する。
付加画像の合成領域に有効画像があると判断された場合、出力制御部46は、付加画像、有効画像の合成領域と重なる部分、有効画像のそれ以降の部分の順に配置した画像データを出力装置20に出力する。或いは、出力制御部46は、有効画像の合成領域と重なる部分、付加画像、有効画像のそれ以降の部分の順に配置した画像データを出力装置20に出力してもよい。
付加画像の合成領域に有効画像がないと判断された場合、出力制御部46は、付加画像、有効画像の合成領域以降の部分の順に配置した画像データを出力装置20に出力する。或いは、出力制御部46は、付加画像と有効画像の合成領域と重なる部分とを重畳したデータ、有効画像のそれ以降の部分の順に配置した画像データを出力装置20に出力してもよい。
本実施の形態では、読み取り画像の有意部分の一例として、有効画像を用いており、読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域の一例として、付加画像の合成領域を用いている。そして、本実施の形態では、有意部分と指定領域とが重なる場合に、有意部分と付加画像とが重ならないように読み取り画像と付加画像とを媒体に出力することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
また、本実施の形態では、原稿読み取り装置での指定領域の読み取りが完了した後に、有意部分と指定領域とが重なっていれば、付加画像を出力し、その後、有意部分の指定領域と重なる部分を出力するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
更に、本実施の形態では、原稿読み取り装置での指定領域の読み取りが完了した後に、有意部分と指定領域とが重なっていなければ、少なくとも付加画像を出力し、その後、有意部分の指定領域よりも副走査方向の後端側の部分を出力するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0039】
ところで、読み取り制御部42で付加画像の合成領域に有効画像があるか判断された結果、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分に、有効画像が存在しない白紙部分が含まれていることが判明することがある。
【0040】
このような場合に、出力制御部46は、付加画像が合成された画像データを、白紙部分を含めて、出力装置20に出力してもよい。
例えば、出力制御部46は、付加画像を白紙ラインに合成した画像ラインを出力した後に、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分を含む画像ラインを出力し、その後、画像データの以降の部分を含む画像ラインを出力するようにしてもよい。
本実施の形態では、付加画像を出力した後に、読み取り画像の指定領域と重なる部分を出力するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
或いは、出力制御部46は、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分を含む画像ラインを出力した後に、付加画像を白紙ラインに合成した画像ラインを出力し、その後、画像データの以降の部分を含む画像ラインを出力するようにしてもよい。
本実施の形態では、読み取り画像の指定領域と重なる部分を出力した後に、付加画像を出力するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0041】
また、このような場合に、出力制御部46は、付加画像が合成された画像データを、白紙部分を含めずに、出力装置20に出力してもよい。
例えば、出力制御部46は、付加画像を白紙ラインに合成した画像ラインを出力した後に、有効画像の付加画像の合成領域と重なる部分を含む画像ラインを出力し、その後、画像データの以降の部分を含む画像ラインを出力するようにしてもよい。
本実施の形態では、付加画像を出力した後に、有意部分の指定領域と重なる部分を出力するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
或いは、出力制御部46は、有効画像の付加画像の合成領域と重なる部分を含む画像ラインを出力した後に、付加画像を白紙ラインに合成した画像ラインを出力し、その後、画像データの以降の部分を含む画像ラインを出力するようにしてもよい。
本実施の形態では、有意部分の指定領域と重なる部分を出力した後に、付加画像を出力するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0042】
更に、出力制御部46は、読み取り制御部42が設定したカット長を読み出して出力装置20へ送信する。また、出力制御部46は、付加画像とは別に画像データの付加画像の合成領域と重なる部分を転送した場合、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分の高さだけカット長を延長する指令を出力装置20へ送信する。
本実施の形態では、有意部分と指定領域とが重なる場合に、媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0043】
この場合も、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分に含まれる白紙部分を出力装置20に出力するかしないかで、出力制御部46の処理は異なってくる。
【0044】
出力制御部46は、付加画像が合成された画像データを白紙部分を含めて出力装置20に出力する場合は、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分の長さだけカット長を延長する指令を出力装置20へ送信する。
本実施の形態では、媒体の副走査方向の長さを、指定領域の副走査方向の長さだけ延長するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0045】
出力制御部46は、付加画像が合成された画像データを白紙部分を含めずに出力装置20に出力する場合は、有効画像の付加画像の合成領域と重なる部分の長さだけカット長を延長する指令を出力装置20へ送信する。
本実施の形態では、媒体の副走査方向の長さを、指定領域の有意部分が重なる領域の副走査方向の長さだけ延長するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0046】
出力制御部46は、画像データの転送要求がある期間だけ画像メモリ43から出力装置20へ画像データを転送させ、転送要求が停止することをもって画像データの転送を停止させる。そして、出力制御部46は、画像メモリ43を解放する。
【0047】
出力制御部46は、複写用紙のカット長が延長された場合は、本来の複写用紙長よりも長くなっている旨の情報を出力する。出力制御部46は、その旨の情報を、操作パネル35に表示してもよいし、処理履歴としてHDD34に記憶してもよい。
本実施の形態では、媒体の副走査方向の長さが延長されたことを示す情報を出力することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0048】
尚、出力制御部46は、付加画像の合成領域の描画を開始する前に原稿が終了した場合や、付加画像の合成領域の描画を終了する前に原稿が終了した場合は、白紙ラインを追加して付加画像を全て描画するようにしてもよい。
【0049】
[画像処理装置の動作例]
図16-1~
図18-2は、本実施の形態における画像処理装置30の動作例を示すフローチャートである。尚、ここでは、複写条件設定部41が、定形複写/シンクロカット複写の別としてシンクロカット複写を設定し、倍率として等倍を設定し、用紙としてロール紙を設定した場合について説明する。
【0050】
図16-1及び
図16-2は、画像処理装置30の読み取りルーチンのフローチャートを示す。複写条件設定部41が各種複写条件を設定した後、画像処理装置30はこの読み取りルーチンを実行する。
【0051】
図16-1に示すように、画像処理装置30では、まず、読み取り制御部42が、原稿挿入口100aからの原稿の挿入があるか否かを判断し(ステップ401)、原稿の挿入がない場合はそのまま待機する。原稿が挿入され、センサF1によって原稿の先端が検出されると、読み取り制御部42は、画像メモリ43内の全ての記憶エリアを、原稿から読み取る画像データを記憶するための記憶エリアとして獲得する(ステップ402)。次に、読み取り制御部42は、ステップ402で全ての記憶エリアを獲得できたか否かを判断し(ステップ403)、獲得できなかった場合にはステップ402に戻る。
【0052】
ステップ402で全ての記憶エリアを獲得できた場合には、出力開始タイミング算出部44が、出力開始タイミング算出処理を行う(ステップ404)。即ち、出力開始タイミング算出部44は、
図17に示す処理を行うことにより、画像データの読み取り開始タイミングから出力開始タイミングまでのプリント遅延時間T2を求める。
【0053】
次に、読み取り制御部42は、原稿読み取りの開始を原稿読み取り装置10に指示する(ステップ405)。この結果、読み取りセンサ110を構成する各光検知センサの各出力信号の走査が開始され、この走査が繰り返される毎に得られる画像データが画像処理装置30に順次送られる。これにより、読み取り制御部42は、画像データを取得する(ステップ406)。
【0054】
次に、出力開始タイミング算出部44は、読み取り制御部42による画像メモリ43への画像データの入力が開始されるまで待機し、最初の画像データの入力が行われることをもって、画像データの出力開始タイミングの設定(出力要求)を行う(ステップ407)。即ち、最初の画像データの入力が行われた現時点からみてステップ404で求めたプリント遅延時間T2だけ後の時刻を、画像データの出力開始タイミングとして設定する。
【0055】
次に、
図16-2に示すように、読み取り制御部42は、付加画像の合成領域を読み取ったか否かを判断する(ステップ411)。その際、読み取り制御部42は、付加画像の合成領域の先端位置及び後端位置を設定する。まず、複写条件設定部41が付加画像の合成領域の基点として用紙先端基点を設定した場合について述べる。この場合、読み取り制御部42は、用紙先端基点からのオフセット位置を、付加画像の合成領域の先端位置として設定する。そして、読み取り制御部42は、この先端位置よりも、付加画像生成部45から取得した付加画像の高さだけ後端側の位置を、付加画像の合成領域の後端位置として設定する。また、複写条件設定部41が付加画像の合成領域の基点として用紙後端基点を設定した場合について述べる。この場合、読み取り制御部42は、予め定めた最大原稿長の位置よりも、用紙後端基点からのオフセット値だけ先端側の位置を、付加画像の合成領域の後端位置として設定する。そして、読み取り制御部42は、この後端位置よりも、付加画像生成部45から取得した付加画像の高さだけ先端側の位置を、付加画像の合成領域の先端位置として設定する。付加画像の合成領域を読み取っていない場合、読み取り制御部42は、そのまま待機する。付加画像の合成領域を読み取ると、読み取り制御部42は、この付加画像の合成領域に有効画像があるか否かを判断し、その判断結果の情報を設定する(ステップ412)。
【0056】
次に、読み取り制御部42は、画像データを取得して画像メモリ43へ入力する処理を継続しながら、原稿読み取り装置10での原稿の読み取りが終了したか否かを判断し(ステップ413)、原稿の読み取りが終了していない場合はそのまま待機する。原稿の読み取りが終了すると、出力開始タイミング算出部44は、現在時刻T3が
図16-1のステップ407で設定した出力開始タイミングより早いか否かを判断する(ステップ414)。
現在時刻T3が出力開始タイミングより早い場合、出力開始タイミング算出部44は、現在時刻T3を新たな出力開始タイミングとして設定する(ステップ415)。尚、ここでは、新たな出力開始タイミングとして設定する時刻を、便宜上、現在時刻T3とするが、厳密には、現在時刻T3に、時刻の情報を出力制御部46に伝えるのに要する時間を加算した時刻であることが好ましい。現在時刻T3が出力開始タイミングより早くない場合、出力開始タイミング算出部44は、ステップ415を実行しない。
【0057】
次に、読み取り制御部42は、カット要求を発生するための処理を行う(ステップ416)。即ち、読み取り制御部42は、原稿読み取り装置10内のセンサF1を介して原稿の長さを検知し、検知した原稿の長さを複写用紙のカット長として設定する。
【0058】
その後、読み取り制御部42は、付加画像の合成要求を発生するための処理を行う(ステップ417)。即ち、読み取り制御部42は、付加画像の合成領域の先端位置及び後端位置を設定する。複写条件設定部41が付加画像の合成領域の基点として用紙先端基点を設定した場合、読み取り制御部42は、ステップ411で述べたようにして、付加画像の合成領域の先端位置及び後端位置を設定する。複写条件設定部41が付加画像の合成領域の基点として用紙後端基点を設定した場合、読み取り制御部42は、予め定めた原稿の最大長の代わりに、ステップ416で検知した原稿の長さを用い、ステップ411で述べたようにして、付加画像の合成領域の先端位置及び後端位置を設定する。尚、ステップ416で検知した原稿の長さが予め定めた最大原稿長よりも短い場合、出力制御部46は、ステップ417で設定した付加画像の合成領域に有効画像があるか否かを判断し、ステップ412で設定した情報を、ここでの判断結果の情報に置き換えてもよい。以上により読み取りルーチンを終了する。
【0059】
図17は、
図16-1のステップ404の出力開始タイミング算出処理の内容を示すフローチャートを示す。
【0060】
図示するように、まず、出力開始タイミング算出部44は、最大原稿長について読み取り終了時刻と出力終了時刻とが同じになるように、プリント遅延時間Tを計算する(ステップ421)。
【0061】
次に、出力開始タイミング算出部44は、付加画像の合成領域の後端位置の読み取り時刻Taを計算する(ステップ422)。その際、出力開始タイミング算出部44は、
図16-2のステップ411で述べたようにして、付加画像の合成領域の後端位置を特定する。
次に、出力開始タイミング算出部44は、時刻Taにおけるプリント対象の原稿位置Pを計算する(ステップ423)。
【0062】
次に、出力開始タイミング算出部44は、プリント対象の原稿位置Pが付加画像の合成領域の先端位置よりも後端側か否かを判断する(ステップ424)。その際、出力開始タイミング算出部44は、
図16-2のステップ411で述べたようにして、付加画像の合成領域の先端位置を特定する。出力開始タイミング算出部44は、プリント対象の原稿位置Pが付加画像の合成領域の先端位置よりも後端側である場合、時刻Taに付加画像の合成領域の先端位置がプリントされるように、プリント遅延時間をT2に変更する(ステップ425)。出力開始タイミング算出部44は、プリント対象の原稿位置Pが付加画像の合成領域の先端位置よりも後端側でない場合、ステップ425を実行しない。
【0063】
図18-1及び
図18-2は、画像処理装置30の出力ルーチンのフローチャートを示す。この出力ルーチンは、
図16-1及び
図16-2の処理と並行して実行される。
【0064】
図18-1に示すように、画像処理装置30では、まず、出力制御部46が、読み取り制御部42から出力要求があるか否かを判断し(ステップ451)、出力要求がない場合はそのまま待機する。
図16-1のステップ407で出力開始タイミングの設定(出力要求)がなされると、ステップ451での判断結果が「YES」となり、出力制御部46は、出力装置20の稼働準備を行わせる(ステップ452)。
【0065】
次に、出力制御部46は、
図16-1のステップ407で設定された出力開始タイミングから用紙遅延時間Tdを差し引いた時刻を求め、この時刻となるまで待機し(ステップ453)、その後、プリント開始を出力装置20に指示する(ステップ454)。ここで用紙遅延時間Tdは、複写用紙が用紙供給部(カット紙供給部201,202、ロール紙供給部210)から転写部220の手前のレジストセンサ222に至るまでの所要時間である。この用紙遅延時間Tdは、カット紙供給部201,202又はロール紙供給部210の何れが用紙供給部として選択されているかにより異なった値となる。但し、ここではロール紙供給部210が選択されているので、ステップ453ではロール紙供給部210に対応した用紙遅延時間Tdが選択され、この選択されたTdに基づいてプリント開始を指示する時刻が演算される。次に、出力制御部46は、出力装置20から画像データの出力開始の要求があるか否かを判断する(ステップ455)。
【0066】
さて、ステップ454でプリント開始を指示したことにより出力装置20ではロール紙供給部210から複写用紙が供給される。この複写用紙がレジストセンサ222の位置まで到達すると出力装置20から画像処理装置30へ画像データの出力開始の要求が送られる。ステップ455の判断が行われる際に、出力開始の要求が既に到着している場合、出力制御部46は、画像メモリ43からの画像データの出力を開始させる(ステップ456)。
【0067】
次に、出力制御部46は、
図16-2のステップ416で設定されたカット長を読み出し、出力装置20へ送信する(ステップ457)。この結果、出力装置20は、受信したカット長分の複写用紙がロール紙供給部210から送出されるまでの期間は、画像データの転送を画像処理装置30に要求する。この要求に応じて、
図18-2に示すように、出力制御部46は、画像データを転送し(ステップ461)、出力装置20は、転送されてくる画像データに従って画像の転写を行う。
【0068】
次に、出力制御部46は、画像メモリ43から出力された画像データが、付加画像の合成領域に達したか否かを判断する(ステップ462)。ここで、付加画像の合成領域は、
図16-2のステップ417で設定された先端位置及び後端位置によって決まる領域である。出力制御部46は、画像データが付加画像の合成領域に達していない場合はステップ461に戻る。出力制御部46は、画像データが付加画像の合成領域に達した場合、付加画像の合成領域に有効画像があるか否かを判断する(ステップ463)。出力制御部46は、
図16-2のステップ412で設定された情報に基づいて、この判断を行う。
【0069】
付加画像の合成領域に有効画像がある場合、出力制御部46は、付加画像生成部45が生成した付加画像が合成された白紙ラインと、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分を含む画像ラインとを、順次出力装置20に転送する(ステップ464)。例えば、出力制御部46は、
図5~
図7に示したように、白紙ラインを転送した後、画像ラインを転送してもよいし、
図8に示したように、画像ラインを転送した後、白紙ラインを転送してもよい。また、その際、出力制御部46は、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分のうち有効画像が存在しない白紙部分を含む白紙ラインを、
図5、
図7、
図8に示したように転送するようにしてもよいし、
図6に示したように転送しないようにしてもよい。
【0070】
次に、出力制御部46は、ステップ464で転送したデータの構成に応じて、カット長を延長する指令を出力装置20へ送信する(ステップ465)。例えば、出力制御部46は、ステップ464で画像データの付加画像の合成領域と重なる部分のうち有効画像が存在しない白紙部分を含む白紙ラインも転送した場合、付加画像の合成領域の高さだけカット長を延長する。また、出力制御部46は、ステップ464で画像データの付加画像の合成領域と重なる部分のうち有効画像が存在しない白紙部分を含む白紙ラインを転送しなかった場合、付加画像の合成領域のうちの有効画像が存在する部分の高さだけ延長する。
【0071】
付加画像の合成領域に有効画像がない場合、出力制御部46は、付加画像生成部45が生成した付加画像を、画像データの付加画像の合成領域と重なる部分に重畳した画像を含む画像ラインを出力装置20に転送する(ステップ466)。
【0072】
一方、出力制御部46は、
図18-1のステップ457でカット長を送信した後、画像データの転送要求がある期間だけ画像メモリ43から出力装置20へ画像データを転送させ、転送要求が停止することをもって画像データの転送を停止させる(ステップ467)。そして、出力制御部46は、画像メモリ43を解放する(ステップ468)。以上により出力ルーチンが終了する。
【0073】
最後に、出力制御部46による複写用紙が延長された旨の出力について説明する。
まず、出力制御部46が、複写用紙が延長された旨の情報を、操作パネル35に表示する場合について説明する。
本実施の形態では、付加画像の合成領域の後端の読み取りが完了した時点で、付加画像の合成領域に有効画像があるか否かが判明する。複写用紙を延長するか否かはその時点で決定されるため、出力制御部46は、最速ではその時点で、複写用紙が延長された旨の情報を操作パネル35に表示する。
また、出力制御部46は、例えば、「アノテーションと原稿イメージが重ならないように、用紙を延長しました」等の用紙延長メッセージを操作パネル35に表示するとよい。そして、複写が終了すると、出力制御部46は、操作パネル35の表示を、「コピーが終了しました」等のコピー終了メッセージに切り替えてもよい。或いは、用紙延長メッセージの表示時間が短い場合、出力制御部46は、操作パネル35に、予め定められた時間、用紙延長メッセージを表示した後に、コピー終了メッセージを表示してもよい。
【0074】
次に、出力制御部46が、複写用紙が延長された旨を、処理履歴としてHDD34に記録する場合について説明する。
出力制御部46は、複写用紙を延長した場合、その旨の情報を、以下の方法の何れかによって、処理履歴に記録するとよい。
第1の方法は、処理履歴における出力用紙サイズを、定形ではなく、用紙の幅及び長さで表現する方法である。
第2の方法は、付加画像の出力の有無を記録するための項目を処理履歴に追加する方法である。
図19は、この場合の処理履歴70の例を示す図である。この処理履歴70において、例えば、項目71,72が、それぞれ、第1の方法における用紙の幅及び長さに相当する。また、項目73が、第2の方法における付加画像の出力の有無に相当する。複写用紙が延長された場合は、この項目73に、例えば「あり(延長)」と記録すればよい。
【0075】
[プロセッサ]
本実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0076】
また、本実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0077】
[プログラム]
本実施の形態における画像処理装置30が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
【0078】
この場合、本実施の形態を実現するプログラムは、コンピュータに、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得する機能と、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の付加画像を付加することが指定された指定領域とが重なる場合に、有意部分と付加画像とが重ならないように読み取り画像と付加画像とを媒体に出力し、媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する機能とを実現させるためのプログラムとして捉えられる。
【0079】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…複写システム、10…原稿読み取り装置、20…出力装置、30…画像処理装置、41…複写条件設定部、42…読み取り制御部、43…画像メモリ、44…出力開始タイミング算出部、45…付加画像生成部、46…出力制御部