(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142236
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H04N1/387
H04N1/387 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049027
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 公一
【テーマコード(参考)】
5C076
【Fターム(参考)】
5C076AA37
5C076BA02
5C076CA10
(57)【要約】
【課題】原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を媒体に出力する際に、媒体の無駄の発生を抑制しつつ、読み取り画像の端部領域が消去されることを防止する。
【解決手段】プロセッサを備え、プロセッサは、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得し、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の媒体に出力される際の副走査方向の端部領域とが重なる場合に、有意部分と端部領域とが重ならないように読み取り画像を媒体に出力し、媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御することを特徴とする画像処理装置。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得し、
前記読み取り画像の有意部分と当該読み取り画像の媒体に出力される際の副走査方向の端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該端部領域とが重ならないように当該読み取り画像を当該媒体に出力し、当該媒体の当該副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記有意部分と前記端部領域との重なりの前記副走査方向の長さの余白画像を、前記読み取り画像の当該端部領域側に付加して前記媒体に出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記余白画像の前記副走査方向の長さに応じた位置で前記媒体を切断するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記端部領域は、前記読み取り画像の前記副走査方向の後端部領域を含み、
前記プロセッサは、前記有意部分と前記後端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該後端部領域との重なりの前記副走査方向の長さの余白を空けた位置で前記媒体を切断するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記端部領域は、前記読み取り画像の前記副走査方向の先端部領域を更に含み、
前記プロセッサは、前記有意部分と前記先端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該先端部領域との重なりの前記副走査方向の長さの余白画像を前記読み取り画像の当該先端部領域側に付加して前記媒体に出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記端部領域は、前記読み取り画像の前記副走査方向の先端部領域を更に含み、
前記プロセッサは、前記有意部分と前記先端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該先端部領域との重なりの前記副走査方向の長さの余白を空けた位置から前記読み取り画像の前記媒体への出力を開始するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得する機能と、
前記読み取り画像の有意部分と当該読み取り画像の媒体に出力される際の副走査方向の端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該端部領域とが重ならないように当該読み取り画像を当該媒体に出力し、当該媒体の当該副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿サイズ検知部は、原稿サイズを検知し、出力用紙選択部は、原稿サイズより大きく一番原稿サイズに近いサイズの出力用紙を選択し、センタリング部は、原稿画像が出力用紙の中央に位置するようにセンタリングし、画像形成部は、用紙トレイから供給される出力用紙に原稿画像を転写して出力する画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を媒体に出力する際に、読み取り画像の端部領域が消去される場合がある。このような場合に、読み取り画像の端部領域に有意部分が存在するかどうかに関わらず、読み取り画像のサイズより大きく読み取り画像のサイズに最も近いサイズの媒体を選択して読み取り画像を出力する構成を採用したのでは、読み取り画像の端部領域に有意部分が存在しなくても読み取り画像をより大きいサイズの媒体に出力してしまい、媒体の無駄が発生してしまう。
【0005】
本発明の目的は、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を媒体に出力する際に、媒体の無駄の発生を抑制しつつ、読み取り画像の端部領域が消去されることを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得し、前記読み取り画像の有意部分と当該読み取り画像の媒体に出力される際の副走査方向の端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該端部領域とが重ならないように当該読み取り画像を当該媒体に出力し、当該媒体の当該副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御することを特徴とする画像処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記有意部分と前記端部領域との重なりの前記副走査方向の長さの余白画像を、前記読み取り画像の当該端部領域側に付加して前記媒体に出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記余白画像の前記副走査方向の長さに応じた位置で前記媒体を切断するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記端部領域は、前記読み取り画像の前記副走査方向の後端部領域を含み、前記プロセッサは、前記有意部分と前記後端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該後端部領域との重なりの前記副走査方向の長さの余白を空けた位置で前記媒体を切断するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記端部領域は、前記読み取り画像の前記副走査方向の先端部領域を更に含み、前記プロセッサは、前記有意部分と前記先端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該先端部領域との重なりの前記副走査方向の長さの余白画像を前記読み取り画像の当該先端部領域側に付加して前記媒体に出力するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記端部領域は、前記読み取り画像の前記副走査方向の先端部領域を更に含み、前記プロセッサは、前記有意部分と前記先端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該先端部領域との重なりの前記副走査方向の長さの余白を空けた位置から前記読み取り画像の前記媒体への出力を開始するように、前記出力装置を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置である。
請求項7に記載の発明は、コンピュータに、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得する機能と、前記読み取り画像の有意部分と当該読み取り画像の媒体に出力される際の副走査方向の端部領域とが重なる場合に、当該有意部分と当該端部領域とが重ならないように当該読み取り画像を当該媒体に出力し、当該媒体の当該副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を媒体に出力する際に、媒体の無駄の発生を抑制しつつ、読み取り画像の端部領域が消去されることを防止することができる。
請求項2の発明によれば、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の端部領域とが重なる場合に、特別な動作を出力装置に行わせることなく、端部領域が消去されることを防止することができる。
請求項3の発明によれば、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の端部領域とが重なる場合に、端部領域が消去されることを防止しつつ、媒体の長さの延長量を必要最小限にすることができる。
請求項4の発明によれば、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の後端部領域とが重なる場合に、特別な画像処理を行うことなく、後端部領域が消去されることを防止することができる。
請求項5の発明によれば、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の先端部領域とが重なる場合に、特別な動作を出力装置に行わせることなく、先端部領域が消去されることを防止することができる。
請求項6の発明によれば、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の先端部領域とが重なる場合に、特別な画像処理を行うことなく、先端部領域が消去されることを防止することができる。
請求項7の発明によれば、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を媒体に出力する際に、媒体の無駄の発生を抑制しつつ、読み取り画像の端部領域が消去されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態における複写システムの全体構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態における原稿読み取り装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態における出力装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における画像処理装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図5】複写用紙上での原稿の読み取り画像の配置の例を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態における画像処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図7-1】本発明の実施の形態における画像処理装置の読み取りルーチンのフローチャートである。
【
図7-2】本発明の実施の形態における画像処理装置の読み取りルーチンのフローチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態における画像処理装置の出力ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
[本実施の形態の概要]
本実施の形態は、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得し、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の媒体に出力される際の副走査方向の端部領域とが重なる場合に、有意部分と端部領域とが重ならないように読み取り画像を媒体に出力し、媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する画像処理装置を提供するものである。
【0011】
ここで、読み取り画像の有意部分とは、読み取り画像のうち、使用者に意味のある情報を伝える部分のことをいう。意味のある情報を伝える部分とは、下地の色以外の全ての部分であってもよいし、下地の色以外の色の画素が連結して閾値以上の大きさとなっている部分であってもよい。或いは、このような部分の中で特に予め定められた種類の部分を、意味のある情報を伝える部分としてもよい。ここで、予め定められた種類の部分としては、文字画像が形成された部分、写真画像が形成された部分等がある。以下では、読み取り画像の有意部分を、有効画像として説明する。
媒体の端部領域とは、媒体の端に近い部分の領域である。媒体の端からどの程度の距離であれば媒体の端に近い部分と言うことができるかについては、予め定めておくこととすればよい。媒体の端部領域は、如何なる領域でもよいが、以下では、出力装置内の汚れ防止等のために画像が印刷されずに消去される消去領域を例にとって説明する。
媒体とは、何らかの情報を伝えるために用いられる物体であって、画像データが出力され得るものをいう。媒体には、例えば、紙、プラスチックシート等があるが、以下では、紙を例にとって説明する。
媒体の長さを延長するとは、媒体を切断する位置をずらすことにより、媒体の長さを長くすることである。
【0012】
[複写システムの全体構成]
図1は、本実施の形態における複写システム1の全体構成例を示すブロック図である。図示するように、複写システム1は、原稿読み取り装置10と、出力装置20と、画像処理装置30とを備える。原稿読み取り装置10は、原稿を読み取ってその画像データを出力する。出力装置20は、画像データに基づいて画像を用紙に転写し排出する。画像処理装置30は、原稿読み取り装置10から画像データを取得し、これに何らかの処理を施して出力装置20に出力する。尚、複写システム1は、シンクロカット複写が可能であるとする。シンクロカット複写とは、複写用紙を原稿の長さに合わせてカットして行う複写のことである。
【0013】
[原稿読み取り装置のハードウェア構成]
図2は、本実施の形態における原稿読み取り装置10のハードウェア構成例を示す図である。
原稿読み取り装置10の内部には、原稿100を搬送方向に沿って搬送するための搬送ローラ101~106が設けられている。これらの搬送ローラ101~106は、
図2において上下方向に並んだ各2個のローラが対をなすことにより計3個の搬送手段を構成している。原稿挿入口100aから挿入された原稿100は、1番目の搬送手段たる搬送ローラ101,102、2番目の搬送手段たる搬送ローラ103,104、3番目の搬送手段たる搬送ローラ105,106によって順次搬送され、原稿排出口100bから排出される。
2番目の搬送手段たる搬送ローラ103,104と、3番目の搬送手段たる搬送ローラ105,106との間の区間には、読み取りセンサ110が配置されている。この読み取りセンサ110は、多数の光検知センサを原稿100の搬送方向と直交する向きに配列してなる1次元センサであり、これらの光検知センサにより原稿100表面からの反射光が検知される。各光検知センサの各出力信号は、決められた期間内に順次走査されて各々ディジタル信号に順次変換され、これにより原稿100表面の全画像のうち各光検知センサに対向した直線部の画像データが生成される。また、この画像データの生成が、原稿100の搬送と並行して繰り返されることにより、原稿100の表面の画像を表す画像データが生成される。読み取りセンサ110によって得られた画像データは画像処理装置30に送られる。
原稿100の搬送経路の途中の各拠点には原稿100の端部の通過を検出するためのセンサF1~F4が配置されている。また、1番目の搬送手段たる搬送ローラ101,102と2番目の搬送手段たる搬送ローラ103,104との間にはゲート111が設けられている。このゲート111は、読み取りセンサ110による原稿100の読み取り動作を行う期間のみ開き、原稿100を2番目の搬送手段側へ通過させる。
【0014】
[出力装置のハードウェア構成]
図3は、本実施の形態における出力装置20のハードウェア構成例を示す図である。
図示するように、出力装置20は、カット紙供給部201,202と、ロール紙供給部210とを備える。また、出力装置20は、ロール紙供給部210から送出された複写用紙を切断するためのカッタ211を備える。カット紙供給部201,202内の複写用紙又はロール紙供給部210に巻回された複写用紙の何れを複写に使用するかは使用者の操作に基づいて選択される。選択された複写用紙は、画像処理装置30からの出力指令に応答して転写部220に送られる。転写部220の手前には複写用紙の到来を検知するレジストセンサ222が配置されている。露光部231は、決められた速度で回転する転写ドラム221の表面に対し、画像処理装置30から供給される画像データに基づく露光処理を施し、この画像データに対応した潜像を形成する。現像部232は、このように潜像の形成された転写ドラム221の表面にトナーを与えることにより、転写ドラム221の表面に画像データに対応したトナー像を形成する。転写部220は、複写用紙を転写ドラム221の表面に押し当て、転写ドラム221表面のトナー像を複写用紙に転写させる。このようにトナー像が転写された複写用紙は、定着部240による定着処理を経た後、用紙排出搬送経路250を通過して排出される。
【0015】
[画像処理装置のハードウェア構成]
図4は、本実施の形態における画像処理装置30のハードウェア構成例を示す図である。図示するように、画像処理装置30は、プロセッサ31と、RAM(Random Access Memory)32と、ROM(Read Only Memory)33と、HDD(Hard Disk Drive)34と、操作パネル35と、通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)36とを備える。
プロセッサ31は、ROM33等に記憶された各種プログラムをRAM32にロードして実行することにより、後述する画像処理装置30の各機能を実現する。
RAM32は、プロセッサ31の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM33は、プロセッサ31が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
HDD34は、原稿読み取り装置10で原稿を読み取って得られた画像データ等を記憶する例えば磁気ディスク装置である。
操作パネル35は、各種情報の表示やユーザからの操作入力の受付を行う例えばタッチパネルである。ここで、操作パネル35は、各種情報が表示されるディスプレイと、指やスタイラスペン等の指示手段で指示された位置を検出する位置検出シートとからなる。或いは、タッチパネルに代えて、ディスプレイ及びキーボードを用いてもよい。
通信I/F36は、図示しない通信回線を介して他の装置等との間で各種情報の送受信を行う。
【0016】
[複写システムの動作の概要]
図5(a),(b)は、出力装置20が出力する複写用紙50上での、原稿読み取り装置10で読み取られた原稿の読み取り画像の配置の例を示す図である。複写用紙50上には、配置された読み取り画像が印刷される印刷可能領域51と、配置された読み取り画像が印刷されずに消去される消去領域52とがある。
【0017】
このような複写用紙50に、主走査方向の端部には余白があるが副走査方向の端部には先端部及び後端部の近くまで有効画像53がある原稿の読み取り画像を印刷することを考える。この場合、
図5(a)に示すように、主走査方向においては有効画像53は印刷可能領域51に収まるが、副走査方向においては有効画像53は領域531,532が印刷可能領域51からはみ出して消去領域52と重なる。
【0018】
そこで、本実施の形態では、
図5(b)に示すように、消去領域52に有効画像53が存在する場合は、有効画像53と消去領域52とが重なる領域の高さ分の余白画像541,542を、原稿の読み取り画像に付加して出力する。そして、矢印55で示すように、付加した余白画像541,542の分だけ複写用紙50が長くなるようにカットする。尚、
図5(b)においては、図示しないが、有効画像53と余白画像541との間、及び、有効画像53と余白画像542との間に、使用者が有効画像53を切り出すための補助となる切り取り線を印刷してもよい。
【0019】
[画像処理装置の機能構成]
図6は、本実施の形態における画像処理装置30の機能構成例を示すブロック図である。図示するように、画像処理装置30は、複写条件設定部41と、読み取り制御部42と、画像メモリ43と、出力開始タイミング通知部44と、余白画像生成部45と、出力制御部46とを備えている。
【0020】
複写条件設定部41は、使用者により操作パネル35上で指示された複写条件を設定する。複写条件には、定形複写/シンクロカット複写の別、倍率、用紙、シンクロカット複写における動作モード等がある。
【0021】
読み取り制御部42は、原稿読み取り装置10での原稿の読み取りを制御する。
具体的には、読み取り制御部42は、原稿挿入口100aからの原稿の挿入があるか否かを判断し、原稿があると判断すると、画像メモリ43内の全ての記憶エリアを獲得する。
また、読み取り制御部42は、原稿読み取り装置10に原稿の読み取りを指示し、これに応じて原稿読み取り装置10から送られる画像データを取得する。そして、読み取り制御部42は、取得した画像データを画像メモリ43に格納する。
更に、読み取り制御部42は、原稿読み取り装置10で読み取られた原稿のサイズを判定し、これに基づき複写用紙のカット長を設定してカット要求を行う。
更にまた、読み取り制御部42は、この判定された原稿サイズに基づいて、使用する複写用紙を選択する。具体的には、まず、読み取り制御部42は、原稿サイズと同じ幅のサイズを仮用紙サイズとして決定する。また、画像データの主走査方向の消去領域と重なった領域が余白でないか否か、つまり、主走査方向の消去領域と重なった領域に有効画像が存在するか否かを判断する。主走査方向の消去領域と重なった領域に有効画像が存在する場合、読み取り制御部42は、仮用紙サイズよりも広くかつ最も近い幅のサイズのロール紙を複写用紙として選択する。主走査方向の消去領域と重なった領域に有効画像が存在しない場合、読み取り制御部42は、仮用紙サイズのロール紙を複写用紙として選択する。更に、読み取り制御部42は、画像データの副走査方向の消去領域と重なった領域が余白でないか否か、つまり、副走査方向の消去領域と重なった領域に有効画像が存在するか否かを判断する。副走査方向の消去領域と重なった領域に有効画像が存在する場合、読み取り制御部42は、余白画像生成部45又は出力制御部46に制御を渡す。
本実施の形態では、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得することの一例として、読み取り制御部42の処理を行っている。
【0022】
画像メモリ43は、読み取り制御部42が原稿読み取り装置10から読み取った画像データを記憶する。画像メモリ43は、例えば、HDD34によって実現される。
【0023】
出力開始タイミング通知部44は、複写条件設定部41が設定した複写条件に応じて、読み取りと出力とを並行で実行すると判断した場合に、読み取り開始タイミングから出力開始タイミングまでの待機時間Tを求める。例えば、出力開始タイミング通知部44は、予め設定した最大原稿長の原稿の読み取りと出力とが同時に完了するためのプリント遅延時間Tを求める。そして、出力開始タイミング通知部44は、読み取り開始タイミングと待機時間Tとに基づいて出力開始タイミングを算出し、その算出した出力開始タイミングを出力制御部46に通知する。
【0024】
余白画像生成部45は、画像データの副走査方向の消去領域と重なった領域に有効画像が存在すると読み取り制御部42が判断した場合に、有効画像と消去領域とが重なった領域の高さ分の余白画像を生成する。また、余白画像生成部45は、画像メモリ43に格納された画像データにこの余白画像を合成する。例えば、余白画像生成部45は、画像データの副走査方向の先端部の消去領域と重なった領域に有効画像が存在すると判断されれば、余白画像を画像データの先端側に付加する。余白画像生成部45は、画像データの副走査方向の後端部の消去領域と重なった領域に有効画像が存在すると判断されれば、余白画像を画像データの後端側に付加する。そして、余白画像生成部45は、余白画像が合成された画像データを画像メモリ43に書き戻す。
本実施の形態では、有意部分と端部領域との重なりの副走査方向の長さの余白画像を、読み取り画像の端部領域側に付加して媒体に出力するように、出力装置を制御することの一例として、余白画像生成部45のこの処理を行っている。
また、本実施の形態では、有意部分と先端部領域とが重なる場合に、有意部分と先端部領域との重なりの副走査方向の長さの余白画像を読み取り画像の先端部領域側に付加して媒体に出力するように、出力装置を制御することの一例として、余白画像生成部45のこの処理を行っている。
【0025】
また、余白画像生成部45は、余白画像の高さ分だけカット長を延長して、この延長されたカット長を設定する。
本実施の形態では、余白画像の副走査方向の長さに応じた位置で媒体を切断するように、出力装置を制御することの一例として、余白画像生成部45のこの処理を行っている。
【0026】
出力制御部46は、画像メモリ43から読み出した画像データの出力装置20への出力を制御する。
具体的には、出力制御部46は、読み取り制御部42から出力要求があるか否かを判断し、出力要求がある場合、出力装置20の稼働準備を行わせる。出力制御部46は、出力開始タイミング通知部44から通知された出力開始タイミングから用紙遅延時間Tdを差し引いた時刻になると、プリント開始を出力装置20に指示する。出力制御部46は、プリント開始の指示後は、出力装置20からの画像データの転送要求に応じて、画像メモリ43から読み出した画像データを出力装置20に出力する。出力制御部46は、特に、余白画像生成部45が余白画像を生成して画像データに合成した場合は、画像メモリ43から読み出した余白画像が合成された画像データを出力装置20に出力する。
或いは、出力制御部46は、画像データの副走査方向の消去領域と重なった領域に有効画像が存在すると読み取り制御部42が判断した場合に、余白画像生成部45を用いずに、有効画像と消去領域とが重ならないようにしてもよい。例えば、出力制御部46は、画像データの副走査方向の先端部の消去領域と重なった領域に有効画像が存在すると判断されれば、有効画像と先端部の消去領域とが重なった領域の高さ分だけ、印刷開始位置をずらしてもよい。つまり、出力制御部46は、有効画像と先端部の消去領域とが重なった領域の高さ分だけ、何も印刷せずに複写用紙の搬送のみを行うよう、出力装置20を制御してもよい。出力制御部46は、画像データの副走査方向の後端部の消去領域と重なった領域に有効画像が存在すると判断されれば、有効画像と後端部の消去領域とが重なった領域の高さ分だけ、余白画像を生成せずに後端部に余白を設けてもよい。
本実施の形態では、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の媒体に出力される際の副走査方向の端部領域とが重なる場合に、有意部分と端部領域とが重ならないように読み取り画像を媒体に出力するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
また、本実施の形態では、有意部分と先端部領域とが重なる場合に、有意部分と先端部領域との重なりの副走査方向の長さの余白を空けた位置から読み取り画像の媒体への出力を開始するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
更に、本実施の形態では、有意部分と後端部領域とが重なる場合に、有意部分と後端部領域との重なりの副走査方向の長さの余白を空けるように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0027】
また、出力制御部46は、読み取り制御部42が設定したカット長を読み出して出力装置20へ送信する。出力制御部46は、特に、余白画像生成部45が延長されたカット長を設定した場合は、読み取り制御部42が設定したカット長に代えて、この延長されたカット長を出力装置20へ送信する。また、出力制御部46は、特に、有効画像と後端部の消去領域とが重なった領域の高さ分だけ、後端部に余白を設けた場合は、読み取り制御部42が設定したカット長に代えて、この余白の分だけ延長されたカット長を出力装置20へ送信してもよい。
本実施の形態では、媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
また、本実施の形態では、有意部分と後端部領域とが重なる場合に、余白を空けた位置で媒体を切断するように、出力装置を制御することの一例として、出力制御部46のこの処理を行っている。
【0028】
出力制御部46は、画像データの転送要求がある期間だけ画像メモリ43から出力装置20へ画像データを転送させ、転送要求が停止することをもって画像データの転送を停止させる。そして、出力制御部46は、画像メモリ43を解放する。
【0029】
[画像処理装置の動作例]
図7-1~
図8は、本実施の形態における画像処理装置30の動作例を示すフローチャートである。尚、ここでは、複写条件設定部41が、定形複写/シンクロカット複写の別としてシンクロカット複写を設定し、倍率として等倍を設定し、用紙としてロール紙を設定した場合について説明する。また、有効画像と消去領域とが重ならないようにする方法としては、先端部については印刷開始位置をずらす方法もあり、後端部についてはカット位置をずらす方法もある。しかしながら、この動作例では、有効画像と消去領域とが重ならないようにする方法として、余白画像を付加する方法を採用した場合について説明する。
【0030】
図7-1及び
図7-2は、画像処理装置30の読み取りルーチンのフローチャートを示す。複写条件設定部41が各種複写条件を設定した後、画像処理装置30はこの読み取りルーチンを実行する。
【0031】
図7-1に示すように、画像処理装置30では、まず、読み取り制御部42が、原稿挿入口100aからの原稿の挿入があるか否かを判断し(ステップ401)、原稿の挿入がない場合はそのまま待機する。原稿が挿入され、センサF1によって原稿の先端が検出されると、読み取り制御部42は、画像メモリ43内の全ての記憶エリアを、原稿から読み取る画像データを記憶するための記憶エリアとして獲得する(ステップ402)。次に、読み取り制御部42は、ステップ402で全ての記憶エリアを獲得できたか否かを判断し(ステップ403)、獲得できなかった場合にはステップ402に戻る。
【0032】
ステップ402で全ての記憶エリアを獲得できた場合、読み取り制御部42は、原稿読み取りの開始を原稿読み取り装置10に指示する(ステップ404)。この結果、読み取りセンサ110を構成する各光検知センサの各出力信号の走査が開始され、この走査が繰り返される毎に得られる画像データが画像処理装置30に順次送られる。これにより、読み取り制御部42は、画像データを取得する(ステップ405)。
【0033】
次に、出力開始タイミング通知部44は、読み取り制御部42による画像メモリ43への画像データの入力が開始されるまで待機し、最初の画像データの入力が行われることをもって、画像データの出力開始タイミングの設定(出力要求)を行う(ステップ406)。例えば、出力開始タイミング通知部44は、最大原稿長について読み取り終了時刻と出力終了時刻とが同じになる待機時間Tを計算し、最初の画像データの入力が行われた現時点からみて待機時間Tだけ後の時刻を、画像データの出力開始タイミングとして設定する。
【0034】
次に、読み取り制御部42は、画像データを取得して画像メモリ43へ入力する処理を継続しながら、原稿読み取り装置10での原稿の読み取りが終了したか否かを判断し(ステップ407)、原稿の読み取りが終了していない場合はそのまま待機する。原稿の読み取りが終了すると、読み取り制御部42は、原稿のサイズを判定する(ステップ408)。例えば、読み取り制御部42は、原稿読み取り装置10内のセンサF1を介して原稿の長さを検知し、原稿読み取り装置10内の図示しないセンサを介して原稿の幅を検知することにより、原稿のサイズを判定するとよい。
【0035】
次に、読み取り制御部42は、カット要求を発生するための処理を行う(ステップ409)。即ち、読み取り制御部42は、ステップ408で検知した原稿の長さを複写用紙のカット長として設定する。
【0036】
次に、
図7-2に示すように、読み取り制御部42は、
図7-1のステップ408で判定した原稿サイズに基づいて、仮用紙サイズを決定する(ステップ411)。例えば、読み取り制御部42は、原稿サイズと同じ用紙サイズを仮用紙サイズに決定すればよい。
次に、読み取り制御部42は、
図7-1のステップ405で取得した画像データのうち、主走査方向の消去領域と重なる部分が余白であるか否か、つまり、その部分に有効画像が存在するか否かを判断する(ステップ412)。
主走査方向の消去領域と重なる部分に有効画像が存在する場合、読み取り制御部42は、仮用紙サイズよりも広幅サイズのロール紙を、使用する複写用紙として設定する(ステップ413)。
主走査方向の消去領域と重なる部分に有効画像が存在しない場合、読み取り制御部42は、仮用紙サイズのロール紙を、使用する複写用紙として設定する(ステップ414)。
【0037】
次に、読み取り制御部42は、
図7-1のステップ405で取得した画像データのうち、副走査方向の消去領域と重なる部分が余白であるか否か、つまり、その部分に有効画像が存在するか否かを判断する(ステップ415)。
副走査方向の消去領域と重なる部分に有効画像が存在する場合、余白画像生成部45が、消去領域と有効画像とが重なる部分の高さを有する余白画像を生成する(ステップ416)。また、余白画像生成部45は、この生成した余白画像を画像データに付加する(ステップ417)。例えば、副走査方向の先端部の消去領域と有効画像とが重なる場合、余白画像生成部45は、その重なる部分の高さを有する余白画像を、画像データの先端側に付加する。また、副走査方向の後端部の消去領域と有効画像とが重なる場合、余白画像生成部45は、その重なる部分の高さを有する余白画像を、画像データの後端側に付加する。このように余白画像が付加された画像データは、画像メモリ43に書き戻される。そして、余白画像生成部45は、
図7-1のステップ409で設定したカット長を、付加した余白画像の高さだけ延長する(ステップ418)。つまり、余白画像生成部45は、
図7-1のステップ409で設定したカット長に代えて、付加した余白画像の高さだけ延長したカット長を設定する。
副走査方向の消去領域と重なる部分に有効画像が存在しない場合、読み取り制御部42及び余白画像生成部45は、ステップ416~418を実行しない。以上により読み取りルーチンを終了する。
【0038】
図8は、画像処理装置30の出力ルーチンのフローチャートを示す。この出力ルーチンは、
図7-1及び
図7-2の処理と並行して実行される。
【0039】
図示するように、画像処理装置30では、まず、出力制御部46が、読み取り制御部42から出力要求があるか否かを判断し(ステップ451)、出力要求がない場合はそのまま待機する。
図7-1のステップ406で出力開始タイミングの設定(出力要求)がなされると、ステップ451での判断結果が「YES」となり、出力制御部46は、出力装置20の稼働準備を行わせる(ステップ452)。
【0040】
次に、出力制御部46は、
図7-1のステップ407で設定された出力開始タイミングから用紙遅延時間Tdを差し引いた時刻を求め、この時刻となるまで待機し(ステップ453)、その後、プリント開始を出力装置20に指示する(ステップ454)。ここで用紙遅延時間Tdは、複写用紙が用紙供給部(カット紙供給部201,202、ロール紙供給部210)から転写部220の手前のレジストセンサ222に至るまでの所要時間である。この用紙遅延時間Tdは、カット紙供給部201,202又はロール紙供給部210の何れが用紙供給部として選択されているかにより異なった値となる。但し、ここではロール紙供給部210が選択されているので、ステップ453ではロール紙供給部210に対応した用紙遅延時間Tdが選択され、この選択されたTdに基づいてプリント開始を指示する時刻が演算される。次に、出力制御部46は、出力装置20から画像データの出力開始の要求があるか否かを判断する(ステップ455)。
【0041】
さて、ステップ454でプリント開始を指示したことにより出力装置20ではロール紙供給部210から複写用紙が供給される。この複写用紙がレジストセンサ222の位置まで到達すると出力装置20から画像処理装置30へ画像データの出力開始の要求が送られる。ステップ455の判断が行われる際に、出力開始の要求が既に到着している場合、出力制御部46は、画像メモリ43からの画像データの出力を開始させる(ステップ456)。
【0042】
次に、出力制御部46は、
図7-1のステップ409で設定された又は
図7-2のステップ418で延長されたカット長を読み出し、出力装置20へ送信する(ステップ457)。この結果、出力装置20は、受信したカット長分の複写用紙がロール紙供給部210から送出されるまでの期間は、画像データの転送を画像処理装置30に要求する。この要求に応じて、出力制御部46は、画像データを転送し(ステップ458)、出力装置20は、転送されてくる画像データに従って画像の転写を行う。
【0043】
一方、出力制御部46は、ステップ457でカット長を送信した後、画像データの転送要求がある期間だけ画像メモリ43から出力装置20へ画像データを転送させ、転送要求が停止することをもって画像データの転送を停止させる(ステップ459)。そして、出力制御部46は、画像メモリ43を解放する(ステップ460)。以上により出力ルーチンが終了する。
【0044】
[プロセッサ]
本実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0045】
また、本実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0046】
[プログラム]
本実施の形態における画像処理装置30が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
【0047】
この場合、本実施の形態を実現するプログラムは、コンピュータに、原稿読み取り装置で読み取られた原稿の読み取り画像を取得する機能と、読み取り画像の有意部分と読み取り画像の媒体に出力される際の副走査方向の端部領域とが重なる場合に、有意部分と端部領域とが重ならないように読み取り画像を媒体に出力し、媒体の副走査方向の長さを延長するように、出力装置を制御する機能とを実現させるためのプログラムとして捉えられる。
【0048】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…複写システム、10…原稿読み取り装置、20…出力装置、30…画像処理装置、41…複写条件設定部、42…読み取り制御部、43…画像メモリ、44…出力開始タイミング通知部、45…余白画像生成部、46…出力制御部