(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142273
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】連結構造及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G03G15/08 347
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049095
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉山 直志
(72)【発明者】
【氏名】安西 尭
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA05
2H077AA06
2H077AA07
2H077AA09
2H077AA33
2H077AA35
2H077AB02
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
(57)【要約】
【課題】現像器と補給器を連結して現像器の開閉部材を補給器の連結部に設けられた誘い込み面に接触させる構成と比べて、現像器と補給器との連結部から現像剤が漏れるのを抑制する。
【解決手段】連結構造は、現像器に設けられた現像剤の受給口と、補給器に設けられた現像剤の供給口と、前記補給器の前記供給口周りに設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分が挿入されると、前記供給口から前記受給口へ現像剤を供給可能な状態で前記現像器と前記補給器を連結する連結部と、前記連結部に設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分を前記連結部に誘い込む誘い込み面と、前記現像器の挿入方向に移動することで前記受給口を開閉する開閉部材と、前記開閉部材に設けられ、前記現像器と前記補給器が連結されると前記誘い込み面に弾性変形した状態で接触する接触部材と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像器に設けられた現像剤の受給口と、
補給器に設けられた現像剤の供給口と、
前記補給器の前記供給口周りに設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分が挿入されると、前記供給口から前記受給口へ現像剤を供給可能な状態で前記現像器と前記補給器を連結する連結部と、
前記連結部に設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分を前記連結部に誘い込む誘い込み面と、
前記現像器の挿入方向に移動することで前記受給口を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材に設けられ、前記現像器と前記補給器が連結されると前記誘い込み面に弾性変形した状態で接触する接触部材と、
を有する連結構造。
【請求項2】
現像器に設けられた現像剤の受給口と、
補給器に設けられた現像剤の供給口と、
前記補給器の前記供給口周りに設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分が挿入されると、前記供給口から前記受給口へ現像剤を供給可能な状態で前記現像器と前記補給器を連結する連結部と、
前記連結部に設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分を前記連結部に誘い込む誘い込み面と、
前記現像器の挿入方向に移動することで前記受給口を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材の前記挿入方向の端部に設けられ、前記誘い込み面と接触した状態で該誘い込み面に沿って曲がっている接触部材と
を有する連結構造。
【請求項3】
前記接触部材は、前記誘い込み面に対して面接触する、請求項1又は請求項2に記載の連結構造。
【請求項4】
前記接触部材は、前記開閉部材の前記現像器側の面に取り付けられる板状の取付部と、前記取付部の先端から前記現像器と反対側へ延びて前記誘い込み面に接触する板状の接触部と、を有している、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項5】
前記取付部の先端が前記開閉部材の先端から突き出ている、請求項4に記載の連結構造。
【請求項6】
前記開閉部材は、前記挿入方向に付勢されて前記連結部に接している、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項7】
前記開閉部材は、前記挿入方向に付勢され、
前記現像器の前記挿入方向側の端部には、現像剤を受ける受け部が設けられ、
前記開閉部材が前記受給口を閉じた状態では、前記接触部材が前記現像器の前記挿入方向側の端部よりも突き出ている、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の連結構造。
【請求項8】
前記接触部は、前記開閉部材の移動方向と交差する方向に延びている、請求項4又は請求項5を引用する請求項7に記載の連結構造。
【請求項9】
像保持体と、
像保持体上に現像剤像を形成する現像器と、
前記現像器へ現像剤を供給する補給器と、
前記現像器と前記補給器とを連結する請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の連結構造と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連結構造及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開口部を有する容器本体と、該容器本体の前記開口部を閉鎖するためのシャッターと、同開口部を閉鎖する閉鎖位置と該閉鎖位置から退避して前記開口部を開放する開放位置とを取り得るように前記シャッターを支持するシャッター支持手段と、該シャッター支持手段に形成された凹状のシャッターガイド部と、前記シャッターの前記開口部側の面に前記開口部と前記シャッターガイド部とに亘って取り付けられたシール部材と、を有する現像剤補給容器において、前記シャッターの移動方向と略平行の両側面と前記シャッターガイド部の間に形成される空間に、該空間の一部を封止するための弾性部を設けたことを特徴とする現像剤補給容器が開示されている。
【0003】
特許文献2には、下面にトナー排出口が形成されているトナー排出部材と上記トナー排出口を開閉可能な第1のシャッター部材とを有するトナー補給装置から補給されたトナーを受け入れるトナー受入装置であって、上記トナー排出口から排出されたトナーを受け入れるトナー受入口が形成され、上記トナー排出部材と連結したときに、上記トナー受入口が上記トナー排出口の下方に位置するトナー受入部材と、上記トナー受入口を開閉可能な第2のシャッター部材と、上記トナー補給装置と連結される際に、上記第2 のシャッター部材を閉状態から開状態とし、その後に上記第1のシャッター部材を閉状態から開状態にするシャッター開閉機構と、を備えることを特徴とするトナー受入装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-197789号公報
【特許文献2】特開2010-55035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現像器を補給器に連結するための連結部に現像器を誘い込みやすくするための誘い込み面を設けることが考えられる。しかしながら、誘い込み面を設けた場合、誘い込み面と現像器の受給口周りの面との間の隙間が広くなり、この隙間から現像剤が漏れ出す懸念がある。
【0006】
本開示の目的は、現像器と補給器を連結して現像器の開閉部材を補給器の連結部に設けられた誘い込み面に接触させる構成と比べて、現像器と補給器との連結部から現像剤が漏れるのを抑制する連結構造を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様の連結構造は、現像器に設けられた現像剤の受給口と、補給器に設けられた現像剤の供給口と、前記補給器の前記供給口周りに設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分が挿入されると、前記供給口から前記受給口へ現像剤を供給可能な状態で前記現像器と前記補給器を連結する連結部と、前記連結部に設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分を前記連結部に誘い込む誘い込み面と、前記現像器の挿入方向に移動することで前記受給口を開閉する開閉部材と、前記開閉部材に設けられ、前記現像器と前記補給器が連結されると前記誘い込み面に弾性変形した状態で接触する接触部材と、を有する。
【0008】
第2態様の連結構造は、現像器に設けられた現像剤の受給口と、補給器に設けられた現像剤の供給口と、前記補給器の前記供給口周りに設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分が挿入されると、前記供給口から前記受給口へ現像剤を供給可能な状態で前記現像器と前記補給器を連結する連結部と、前記連結部に設けられ、前記現像器の前記受給口周りの部分を前記連結部に誘い込む誘い込み面と、前記現像器の挿入方向に移動することで前記受給口を開閉する開閉部材と、前記開閉部材の前記挿入方向の端部に設けられ、前記誘い込み面と接触した状態で該誘い込み面に沿って曲がっている接触部材と、を有する。
【0009】
第3態様の連結構造は、第1態様又は第2態様の連結構造において、前記接触部材は、前記誘い込み面に対して面接触する。
【0010】
第4態様の連結構造は、第1態様~第3態様のいずれか一態様の連結構造において、前記接触部材は、前記開閉部材の前記現像器側の面に取り付けられる板状の取付部と、前記取付部の先端から前記現像器と反対側へ延びて前記誘い込み面に接触する板状の接触部と、を有している。
【0011】
第5態様の連結構造は、第4態様の連結構造において、前記取付部の先端が前記開閉部材の先端から突き出ている。
【0012】
第6態様の連結構造は、第1態様~第5態様のいずれか一態様の連結構造において、前記開閉部材は、前記挿入方向に付勢されて前記連結部に接している。
【0013】
第7態様の連結構造は、第1態様~第6態様のいずれか一態様の連結構造において、前記開閉部材は、前記挿入方向に付勢され、前記現像器の前記挿入方向側の端部には、現像剤を受ける受け部が設けられ、前記開閉部材が前記受給口を閉じた状態では、前記接触部材が前記現像器の前記挿入方向側の端部よりも突き出ている。
【0014】
第8態様の連結構造は、第4態様又は第5態様を引用する第7態様の連結構造において、前記接触部は、前記開閉部材の移動方向と交差する方向に延びている。
【0015】
第9態様の画像形成装置は、像保持体と、像保持体上に現像剤像を形成する現像器と、前記現像器へ現像剤を供給する補給器と、前記現像器と前記補給器とを連結する第1態様~第8態様のいずれか一態様の連結構造と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
第1態様の連結構造では、現像器と補給器を連結して現像器の開閉部材を補給器の連結部に設けられた誘い込み面に接触させる構成と比べて、現像器と補給器の連結部から現像剤が漏れるのを抑制できる。
【0017】
第2態様の連結構造では、現像器と補給器を連結して現像器の開閉部材を補給器の連結部に設けられた誘い込み面に接触させる構成と比べて、現像器と補給器の連結部から現像剤が漏れるのを抑制できる。
【0018】
第3態様の連結構造では、接触部材が誘い込み面に対して線接触する構成と比して、現像剤の漏れを抑制することができる。
【0019】
第4態様の連結構造では、板状の取付部の先端を誘い込み面に接触させる構成と比して、現像剤の漏れを抑制することができる。
【0020】
第5態様の連結構造では、取付部の先端が開閉部材の先端と同じ位置にある構成と比して、現像剤の漏れを抑制することができる。
【0021】
第6態様の連結構造では、開閉部材が連結部から離れている構成と比して、接触部材を誘い込み面に確実に接触させることができる。
【0022】
第7態様の連結構造では、開閉部材が受給口を閉じた状態で接触部材が現像器の挿入方向側の端部よりも手前にある構成と比して、受給口周りに付着した現像剤を受け部へ送ることができる。
【0023】
第8態様の連結構造では、接触部が挿入方向と反対側に傾いている構成と比して、受給口周りに付着した現像剤を受け部へ送ることができる。
【0024】
第9態様の画像形成装置では、第1態様~第7態様のいずれか一態様の連結構造を備えない構成と比べて、画像形成装置内の現像剤汚れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の一実施形態に係る画像形成装置を模式的に示す全体構成図である。
【
図2】
図1の像保持体、現像器及び補給器の補給路周りを模式的に示す構成図である。
【
図3】
図2の現像器と補給器の連結部分周りの装置前後方向に沿った断面図であり、現像器が補給器に連結されている状態を示している。
【
図4】
図3において矢印4Xで示す部分の拡大図である。
【
図5】現像器を補給器から取り外している途中の状態を示す断面図(
図3に対応する断面図)である。
【
図6】現像器を補給器から取り外した状態を示す断面図(
図3に対応する断面図)である。
【
図7】開閉部材による受給口の閉じ動作にともない現像器の受給口から漏れた現像剤を接触部材でキャッチャに送る動作を示す断面図である。
【
図8】開閉部材が受給口を閉じた状態を示す断面図(
図7に対応する断面図)である。
【
図10】本開示のその他の実施形態に係る画像形成装置における現像器と補給器の連結部周りの拡大断面図(
図4に対応する断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、各図に示される矢印UPを装置の上方向、矢印LHを装置の左方向(正面から見て左方向)、矢印FR(
図1において紙面手前側)を装置の前方向という。また、装置の上方向を適宜「装置上方」又は「上方」といい、装置の左方向を適宜「装置左方」又は「左方」といい、装置の前方向を適宜「装置前方」又は「前方」という。なお、装置左右方向を装置幅方向(単に「幅方向」ともいう。)、装置前後方向(単に「前後方向」ともいう。)を装置奥行方向(単に「奥行き方向」ともいう。)と言い換えてもよい。
【0027】
<画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置10について
図1を参照しながら説明する。
【0028】
図1に示されるように、画像形成装置10は、装置本体12内に、用紙等の記録媒体Pを搬送するロール対16を含む搬送部14と、搬送部14により搬送される記録媒体P上に現像剤Gを用いてトナー像TAを形成する画像形成部20と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部18と、を有している。
【0029】
なお、現像剤Gは、負極性に帯電する粉体の一例としてのトナーTと、正極性に帯電する磁性体の一例としての鉄製のキャリアCと、を主成分としており、添加剤を含んで構成されている。トナーTは、一例として、ポリエステル樹脂製である。また、トナー像TAは、現像剤像の一例である。
【0030】
画像形成部20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応して、それぞれ4つの感光体22、帯電ロール24、露光装置26及び現像装置40を有している。そして、画像形成部20は、1つの転写部30と、1つの定着部31と、を有している。感光体22は、画像を保持可能な像保持体の一例である。現像装置40は、像保持体(感光体22)上に現像剤像(トナー像TA)を形成する現像器の一例である。
【0031】
感光体22は、円筒状の導電性基体で構成されており、装置前後方向を軸方向として図示の矢印方向に回転駆動される。感光体22を構成する導電性基体の外周面には、電荷発生層及び電荷輸送層(共に図示省略)が形成されている。したがって、感光体22の外周面は、帯電ロール24との電位差により生じる放電によって帯電状態とされるようになっており、この帯電状態で露光装置26から光が照射される(露光される)ことにより、その外周面に静電潜像が形成される(保持される)。
【0032】
現像装置40は、感光体22の外周面に形成された静電潜像を、現像剤Gを用いて現像する。具体的に説明すると、現像装置40は、補給器の一例としての補給装置50から補給された現像剤Gを貯留する現像装置本体の一例としてのハウジング42と、そのハウジング42内に装置前後方向を軸方向として回転可能に設けられた現像ロール44と、ハウジング42内に装置前後方向を軸方向として回転可能に設けられたオーガ46と、を有している。
【0033】
現像ロール44は、円筒状に形成されており、内周面側に周方向に並ぶ複数の磁極(図示省略)が設けられている。そして、現像ロール44は、補給装置50から補給された現像剤Gを、その磁極の磁力によって外周面に保持するようになっている。
【0034】
オーガ46は、ハウジング42内で、ハウジング42の前側カバー(図示省略)と後側カバー48とで回転可能に支持されている。オーガ46は、回転駆動部(図示省略)からの回転力によりハウジング42内の現像剤Gを攪拌しながら前方に移動させる。なお、オーガ46は、現像剤を搬送する搬送部材の一例である。
【0035】
本実施形態では、感光体22と現像装置40が一体化している。具体的には、感光体22と現像装置40とがブラケット(図示省略)によって連結されている。このため、感光体22と現像装置40は、装置本体12に対する装着及び取り外しが一体として行われる。なお、本開示はこれに限定されず、感光体22と現像装置40とが別体であってもよい。ここで、現像装置40の装着方向、すなわち、装置本体12への挿入方向は、装置前後方向における後方である。一方、現像装置40の取り外し方向、すなわち、装置本体12への挿入方向と反対方向は、装置前後方向における前方である。
【0036】
補給装置50は、
図2に示されるように、現像装置40に現像剤Gを補給する。具体的には、補給装置50には、トナーカートリッジ80が接続され、このトナーカートリッジ80に収容された現像剤Gを現像装置40へ補給する。補給装置50は、トナーカートリッジ80が接続されるとともにトナーカートリッジ80内の現像剤Gを受け取る本体部52と、本体部52から現像装置40へ現像剤Gを補給するための補給路54とを有している。なお、本体部52及び補給路54のそれぞれの内部には、現像剤Gを現像装置40へ向けて搬送するためのオーガ等の搬送部材(図示省略)が設けられている。また、補給装置50は、装置本体12に固定されている。
【0037】
転写部30は、中間転写ベルト32と、一次転写ロール34と、二次転写ロール36と、二次転写ロール36と中間転写ベルト32を挟んで対向する対向ロール38と、を備えている。
【0038】
転写部30は、現像装置40で現像されたトナー像TAを、感光体22と一次転写ロール34との電位差により中間転写ベルト32上に一次転写させるようになっている。そして、転写部30は、中間転写ベルト32上のトナー像TAを、二次転写ロール36と対向ロール38との電位差により、搬送部14によって搬送された記録媒体Pに二次転写させるようになっている。
【0039】
定着部31は、記録媒体Pに転写されたトナー像TAを加熱及び加圧して、その記録媒体Pに定着させるようになっている。定着部31において、トナー像TAが定着された記録媒体Pは、一例として、装置本体12の外部に設けられた排出部(図示省略)に排出されるようになっている。なお、中間転写ベルト32上に転写されずに感光体22の外周面に残留した現像剤Gは、クリーニング装置28により、その外周面から除去される。
【0040】
<連結構造>
次に本実施形態の連結構造Sについて説明する。
【0041】
連結構造Sは、
図3に示すように、受給口49と、供給口55と、ホルダ60と、誘い込み面66と、受給口シャッター67と、シール部材70とを有する。なお、ホルダ60は本開示における連結部の一例であり、受給口シャッター67は本開示における開閉部材の一例であり、シール部材70は本開示における接触部材の一例である。
【0042】
(受給口)
受給口49は、
図3及び
図4に示されるように、現像装置40の後方側に設けられた開口部であり、補給装置50から現像剤Gの補給を受ける部分である。具体的には、受給口49は、ハウジング42の後側カバー48に設けられている。なお、後側カバー48は、現像剤Gが貯留されるハウジング42の後端部を構成しており、筒部48Aと、支持部48Bとを備えている。筒部48Aの内部にはオーガ46の後端部46Aが配置されている。支持部48Bは、筒部48Aの端部を閉塞する閉塞部に設けられており、オーガ46の後端部46Aを回転可能に支持している。また、後側カバー48は、
図3及び
図9に示すように、上部に平坦部48Cが設けられている。この平坦部48Cの両端は、筒部48Aの外周面よりも外側に張り出している。平坦部48Cにおいて筒部48Aの外周面よりも外側に張り出した部分によって一対の張出部48Dが形成されている。平坦部48Cの上面は、平坦面とされており、シート状のシール材78が配置されている。具体的には、シール材78は平坦面に貼り付けられている。なお、本実施形態では、一例として受給口49が平坦部48Cの平坦面に開口している。
【0043】
(供給口)
供給口55は、
図3及び
図4に示されるように、補給装置50の補給路54の現像剤Gの搬送方向下流側に設けられた開口部であり、受給口49を介して現像装置40へ現像剤Gを補給する部分である。この供給口55には、ホルダ60が取り付けられている
【0044】
(ホルダ)
ホルダ60は、
図3及び
図4に示されるように、補給装置50の供給口55周りに設けられ、現像装置40の受給口49周りの部分が挿入されると、供給口55から受給口49へ現像剤Gを供給可能な状態で現像装置40と補給装置50を連結する機能を有する。具体的には、ホルダ60は、供給口55が挿入される凹部61と、現像装置40の受給口49周りの部分が挿入されるのをガイドするガイド部62と、供給口55と連通する(通じる)連通口63を開閉する供給口シャッター64とを備えている。
【0045】
凹部61は、
図3及び
図4に示されるように、ホルダ60の供給口55が挿入される部分である。この凹部61の底部には、連通口63が形成されている。また、凹部61の底部には、連通口63を囲うように環状のシール部材(図示省略)が配置されていてもよい。このようにシール部材を設ける場合、凹部61に挿入された供給口55の先端がシール部材に接して補給路54とホルダ60との間から現像剤Gが漏れるのを防ぐことができる。また、ホルダ60の前壁部60A及び後壁部60Bには、供給口55の外周に設けられた引掛け爪56が引っ掛かる開口60Cが設けられている。引掛け爪56が開口60Cに引っ掛かることで、供給口55がホルダ60に挿入された状態が維持される。
【0046】
ガイド部62は、
図9に示されるように、ホルダ60の下面60Dに連通口63を挟んで両側に設けられている。具体的には、連通口63を挟んで左右両側に設けられている。これらのガイド部62は、後側カバー48の張出部48Dをガイドする部分である。より具体的には、ガイド部62は、下面60Dから下方に延びる壁部62Aと、壁部62Aの下端部から内側(供給口55の径方向内側)に張り出し、後側カバー48の張出部48Dを支持する支持部62Bと、を備えている。ここでホルダ60の下面60Dと支持部62Bとの間の空間に、張出部48Dを差し入れることで、張出部48Dがガイド部62によってガイドされる。
【0047】
供給口シャッター64は、
図3及び
図6に示されるように、ホルダ60の下面60Dに沿ってスライド移動して連通口63を開閉する部材である。具体的には、供給口シャッター64は、ホルダ60の下面60Dにおいて、両側のガイド部62間の部分を前後方向にスライド移動する。この供給口シャッター64は、ホルダ60の後側の支持部65に設けられたコイルスプリング(図示省略)によって前方に向けて付勢されている。また、供給口シャッター64は、ホルダ60に設けられたストッパ(図示省略)に押し付けられることで連通口63を閉じた状態が維持される。
【0048】
(誘い込み面)
誘い込み面66は、
図3及び
図4に示されるように、現像装置40の受給口49周りの部分をホルダ60に誘い込む部分である。具体的には、誘い込み面66は、ホルダ60の前壁部60Aの表面(すなわち、ホルダ60の前面)と下面60Dとの角部に設けられた傾斜面である。ホルダ60が誘い込み面66を備えることで、後側カバー48の張出部48Dをホルダ60の下面60Dとガイド部62の支持部62Bとの間に誘い込みやすくなる。つまり、現像装置40を補給装置50に連結する際(すなわち、現像装置40を後方に押し込む際)に、ホルダ60の誘い込み面66に後側カバー48の平坦部48Cが接すると、平坦部48Cが誘い込み面66に誘導されて張出部48Dが下面60Dと支持部62Bとの間に案内される。
【0049】
(シャッター)
受給口シャッター67は、
図3及び
図4に示されるように、現像装置40の挿入方向に移動することで受給口49を開閉する部材である。この受給口シャッター67は、後側カバー48にスライド移動可能に設けられている。具体的には、受給口シャッター67は、後側カバー48の平坦部48C上を前後方向にスライド移動する。この受給口シャッター67は、後側カバー48の平坦部48Cよりも前方に設けられたコイルスプリング68によって後方に向けて付勢されている。このコイルスプリング68は、支持部69によって支持されている。また、受給口シャッター67は、後側カバー48に設けられたストッパ(図示省略)に押し付けられることで受給口49を閉じた状態が維持される。また、現像装置40がホルダ60を介して補給装置50に連結された状態では、
図3に示されるように、受給口シャッター67がコイルスプリング68の付勢力によりホルダ60の壁部62Aの前面に接する。
【0050】
(シール部材)
シール部材70は、
図3及び
図4に示されるように、受給口シャッター67に設けられ、現像装置40と補給装置50が連結されると誘い込み面66に弾性変形した状態で接触する部材である。このシール部材70は、誘い込み面66に接触することにより、受給口49と連通口63との間から現像剤Gが漏れ出るのを防ぐ機能を有する。このシール部材70は、受給口シャッター67の現像装置40側の面(下面67A)に取り付けられる板状の取付部72と、取付部72の先端(後方端)から現像装置40と反対側へ延びて誘い込み面66に接触する板状の接触部74と、を有している。この接触部74は、
図4に示すように、誘い込み面66に対して面接触している。
図4では、接触部74のほぼ全面が誘い込み面66に面接触しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、接触部74の少なくとも一部が誘い込み面66に対して面接触していればよい。
【0051】
また、取付部72の先端(後端)は、
図4に示されるように、受給口シャッター67の先端(後端)から突き出ている。
【0052】
シール部材70は、
図4に示されるように、弾性変形可能な材料で構成されている。シール部材70を構成する材料としては、可撓性を有する樹脂材や弾性体(例えば、ゴム材)が挙げられる。なお、本実施形態では、一例としてシール部材70を、PET材で形成している。
【0053】
また、本実施形態のシール部材70は、
図7及び
図8に示されるように、接触部74が受給口シャッター67の移動方向と交差する方向に延びている。具体的には、接触部74が受給口シャッター67の移動方向と直交する方向に延びている。すなわち、シール部材70は、側面視で取付部72に対して接触部74が直角に折れ曲がった形状、所謂L字形状とされている。
【0054】
なお、本実施形態のシール部材70は、現像装置40がホルダ60を介して補給装置50に連結された状態では、誘い込み面66と接触した状態で誘い込み面66に沿って曲がっている部材である。具体的には、シール部材70の接触部74が誘い込み面66に沿って曲がっている(
図4参照)。
【0055】
また、後側カバー48の後端部には、
図3及び
図7に示されるように、現像剤Gを受ける受け部76が設けられている。この受け部76では、受給口シャッター67とともに移動するシール部材70によって集められる現像剤Gを受け止める部分である。具体的には、受給口シャッター67とともに移動するシール部材70によって受給口49周りに付着した現像剤Gが集められて後方に送られ、
図8に示されるように、シール部材70の取付部72の先端(後端)が後側カバー48の平坦部48Cの後端に達すると、落下して受け部76で受け止められる。
【0056】
次に、本開示の実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、現像装置40が補給装置50のホルダ60に連結されると、受給口シャッター67に設けられたシール部材70が、
図4に示されるように、誘い込み面66に弾性変形した状態で接触する。言い換えると、シール部材70が誘い込み面66と接触した状態で該誘い込み面66に沿って曲がっている。このため、本実施形態では、誘い込み面66と平坦部48Cの平坦面との間の隙間の大きさにバラつきがあっても、シール部材70が弾性変形した状態で誘い込み面66に接触するため、現像装置40の受給口シャッター67の一部を誘い込み面66に接触させる構成と比べて、現像装置40と補給装置50のホルダ60との間から現像剤Gが漏れるのを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、シール部材70が、
図4に示されるように、誘い込み面66に対して面接触する。このため、本実施形態では、シール部材70が誘い込み面66に対して線接触する構成と比して、現像剤Gの漏れを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、シール部材70が板状の取付部72と板状の接触部74とを備えているため、板状の取付部72の先端を誘い込み面66に接触させる構成と比して、現像剤Gの漏れを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、シール部材70の取付部72の先端が受給口シャッター67の先端から突き出ている。このため、本実施形態では、取付部72の先端が受給口シャッター67の先端と同じ位置にある構成と比して、
図4に示されるように、誘い込み面66と平坦部48Cの平坦面との間の隙間を塞ぐ効果が高く、現像剤Gの漏れを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、受給口シャッター67がコイルスプリング68に付勢されてホルダ60に接している。このため、本実施形態では、受給口シャッター67がホルダ60から離れている構成と比して、シール部材70を誘い込み面66に確実に接触させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、後側カバー48に現像剤Gを受け止める受け部76が設けられている。
図5に示されるように、現像装置40を補給装置50のホルダ60から引き抜く方向に移動させると(現像装置40を装置前方に移動させると)、受給口シャッター67が受給口49を閉じ、供給口シャッター64が供給口55を閉じる(
図6参照)。受給口シャッター67が後方に移動して受給口49を閉じるときには、
図7及び
図8に示されるように、受給口シャッター67とともに移動するシール部材70によって受給口49周りの現像剤Gが集められ、後側カバー48の後端から落とされて受け部76で受け止められる。ここで、受給口シャッター67が受給口49を閉じた状態でシール部材70の取付部72の先端が後側カバー48の後端と同じ位置又は突き出ている場合、例えば、取付部72の先端が後側カバー48の後端に達していない場合(手前にある場合)と比べて、平坦部48Cの平坦面上の現像剤Gを受け部76へ送ることができる。
【0062】
また、本実施形態では、シール部材70の接触部74が受給口シャッター67の移動方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に延びている。このため、接触部74が現像装置40の挿入方向と反対側に傾いている構成と比して、受給口49周りに付着した現像剤Gを受け部76へ送ることができる。特にシール部材70の接触部74が取付部72に対して直交する方向に延びることで、現像剤Gを効果的に受け部76へ送ることができる。
【0063】
また、本実施形態では、画像形成装置10が連結構造Sを備えることから、現像装置40と補給装置50との間から現像剤Gが漏れるのが抑制される。このため、本実施形態では、連結構造Sを備えない構成と比べて、画像形成装置10内の現像剤Gによる汚れを抑制できる。特に、受け部76で現像剤Gが受け止められることから、受け部76を備えない構成と比べて、画像形成装置10内の現像剤Gによる汚れが効果的に抑制される。
【0064】
<その他の実施形態>
前述の実施形態では、樹脂材で形成されたシール部材70を誘い込み面66に接触させて現像剤Gの漏れを抑制したが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、
図10に示すように接触部材として弾性変形可能な弾性体(一例としてゴム材)90を用いてもよい。この場合にも、シール部材70と同様の作用を得ることができる。
【0065】
また、前述の実施形態では、シール部材70が誘い込み面66に面接触しているが、本開示はこの構成に限定されず、シール部材70が誘い込み面66に線接触する構成でもよい。この場合でも、現像装置40と補給装置50のホルダ60との間から現像剤Gが漏れるのを抑制可能である。
【0066】
また、前述の実施形態では、シール部材70が板状の取付部72と板状の接触部74を備えているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、受給口シャッター67の先端にブロック状のシール部材を設けてもよい。
【0067】
また、前述の実施形態では、取付部72の先端(後端)が受給口シャッター67の先端(後端)から突き出ているが、本開示はこの構成に限定されない。取付部72の先端が受給口シャッター67の先端と同じ位置でも、前側(手前側)にあってもよい。
【0068】
また、前述の実施形態では、受給口シャッター67がコイルスプリング68に付勢されてホルダ60に接しているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、受給口シャッター67は、シール部材70を介してホルダ60に接する構成としてもよい。
【0069】
また、前述の実施形態では、受給口シャッター67が受給口49を閉じた状態でシール部材70の取付部72の先端が後側カバー48の後端よりも突き出ている又は同じ位置にあるが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、受給口シャッター67が受給口49を閉じた状態でシール部材70の取付部72の先端が後側カバー48の後端よりも手前にあってもよい。
【0070】
また、前述の実施形態では、シール部材70の接触部74が取付部72に対して直交す方向に延びている、言い換えると、側面視でL字形状とされているが、本開示はこの構成に限定されない。シール部材70の接触部74が取付部72に対して装置前側に向けて傾いていてもよい。
【0071】
本開示は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置
22 感光体(像保持体の一例)
40 現像装置(現像器の一例)
49 受給口
50 補給装置(補給器の一例)
55 供給口
60 ホルダ(連結部の一例)
67 受給口シャッター(開閉部材の一例)
69 支持部
70 シール部材(接触部材の一例)
72 取付部
74 接触部
76 受け部
G 現像剤
P 記録媒体
S 連結構造