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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142426
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】除菌脱臭機
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20230928BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049338
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】田口 典明
(72)【発明者】
【氏名】阪本 正文
(72)【発明者】
【氏名】川越 崇己
(72)【発明者】
【氏名】渥美 竜文
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180BB03
4C180BB06
4C180CC03
4C180CC04
4C180DD03
4C180DD04
4C180DD09
4C180EA14X
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4C180JJ10
4C180LL14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィルタユニットを安全に交換できる除菌脱臭機を提供する。
【解決手段】除菌脱臭機10は、筐体20と、光触媒フィルタ40を含み、ユニット収容部28に着脱可能に装着されるフィルタユニット12と、ユニット収容部を開放可能な開閉カバーと、複数の発光部(LED32)を含み、光触媒フィルタの主面に光を照射する光源14と、ユニット収容部を通る空気流を発生させる送風ファン16と、複数の発光部と対向する位置のそれぞれに形成される複数の開口62を有し、フィルタユニットと光源との間を仕切るように設けられる仕切板60とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒を担持する光触媒フィルタを用いて除菌および脱臭を行う除菌脱臭機であって、
吸気口および排気口を有する筐体、
前記筐体内に設けられるユニット収容部、
前記光触媒フィルタを含み、前記ユニット収容部に対して厚み方向と直交する方向に着脱可能に装着されるフィルタユニット、
前記ユニット収容部を開放可能に前記筐体に設けられる開閉カバー、
複数の発光部を有し、前記光触媒フィルタの主面に光を照射する光源、
前記吸気口から前記ユニット収容部を通って前記排気口に向かう空気流を発生させる送風ファン、および
前記複数の発光部と対向する位置のそれぞれに形成される複数の開口を有し、前記フィルタユニットと前記光源との間を仕切るように設けられる仕切板を備える、除菌脱臭機。
【請求項2】
前記仕切板は、前記複数の開口が前記複数の発光部と対向する位置に配置される第1位置と、前記複数の開口が前記複数の発光部と対向する位置からずれた位置に配置される第2位置とに移動可能に設けられ、
前記仕切板を前記開閉カバー側に向かって付勢する付勢部材をさらに備え、
前記開閉カバーの開動作に連動して、前記仕切板が前記付勢部材の付勢力によって前記第1位置から前記第2位置に移動する、請求項1記載の除菌脱臭機。
【請求項3】
前記仕切板は、前記フィルタユニットに対する当接部を有し、
前記開閉カバーの開動作に連動する前記仕切板の移動に伴い、前記フィルタユニットが取出位置に移動する、請求項2記載の除菌脱臭機。
【請求項4】
前記仕切板は、前記複数の開口が前記複数の発光部と対向する位置に配置される第1位置と、前記複数の開口が前記複数の発光部と対向する位置からずれた位置に配置される第2位置とに移動可能に設けられ、
前記フィルタユニットは、前記仕切板を支持する支持部を有し、
前記フィルタユニットの取出動作と連動して、前記支持部による前記仕切板の支持が解除されることで当該仕切板が前記第1位置から前記第2位置に移動する、請求項1記載の除菌脱臭機。
【請求項5】
前記仕切板は、前記複数の開口のうちの最も前記開閉カバー側に形成される開口の当該開閉カバー側の縁部に形成され、前記フィルタユニットの着脱方向と交差する方向に延びるリブを有する、請求項1記載の除菌脱臭機。
【請求項6】
前記リブは、前記開閉カバー側の面に形成され、前記フィルタユニットの装着方向の奥側に向かうに従って突出高さが高くなる傾斜面を有する、請求項5記載の除菌脱臭機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は除菌脱臭機に関し、特にたとえば、光触媒を担持する光触媒フィルタを用いて除菌および脱臭を行う、除菌脱臭機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光触媒フィルタを用いた除菌脱臭機(流体処理装置)の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の除菌脱臭機は、光触媒フィルタ、光触媒フィルタを固定するフレーム、フレームと結合される光源を備える。光源は、光源支持部材と、光源支持部材上に設けられ、光触媒フィルタに光を照射する発光部(発光ダイオード;LED)とを含む。フレームと光源支持部材とは、光触媒フィルタと発光部とを隔離させる形態で結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-511161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除菌脱臭機の運転時、発光部は、光の照射に伴い発熱して50℃~60℃程度の高温になる。特許文献1の技術では、光触媒フィルタ(フィルタユニット)を取り外したときに発光部がむき出しになるため、除菌脱臭機の運転停止直後などに光触媒フィルタを交換したときに、作業者が誤って発光部に触れて火傷をしてしまう恐れがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、除菌脱臭機を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、フィルタユニットを安全に交換できる、除菌脱臭機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、光触媒を担持する光触媒フィルタを用いて除菌および脱臭を行う除菌脱臭機であって、吸気口および排気口を有する筐体、筐体内に設けられるユニット収容部、光触媒フィルタを含み、ユニット収容部に対して厚み方向と直交する方向に着脱可能に装着されるフィルタユニット、ユニット収容部を開放可能に筐体に設けられる開閉カバー、複数の発光部を有し、光触媒フィルタの主面に光を照射する光源、吸気口からユニット収容部を通って排気口に向かう空気流を発生させる送風ファン、および複数の発光部と対向する位置のそれぞれに形成される複数の開口を有し、フィルタユニットと光源との間を仕切るように設けられる仕切板を備える、除菌脱臭機である。
【0008】
第1の発明によれば、光源とフィルタユニットとの間に仕切板を設けたので、フィルタユニットを取り外した際にも作業者が誤って発光部に触れることが防止される。したがって、フィルタユニットを安全に交換できる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に従属し、仕切板は、複数の開口が複数の発光部と対向する位置に配置される第1位置と、複数の開口が複数の発光部と対向する位置からずれた位置に配置される第2位置とに移動可能に設けられ、仕切板を開閉カバー側に向かって付勢する付勢部材をさらに備え、開閉カバーの開動作に連動して、仕切板が付勢部材の付勢力によって第1位置から第2位置に移動する。
【0010】
第2の発明によれば、開閉カバーの開動作に連動して仕切板が第2位置に移動し、フィルタユニットを取り外した状態では仕切板によって複数の発光部が覆われるので、作業者が誤って発光部に触れることをより確実に防止できる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明に従属し、仕切板は、フィルタユニットに対する当接部を有し、開閉カバーの開動作に連動する仕切板の移動に伴い、フィルタユニットが取出位置に移動する。
【0012】
第3の発明によれば、フィルタユニットの取り出しが容易になると共に、フィルタユニットの取出時に筐体内に手を差し入れる必要がなくなるので、より安全にフィルタユニットを取り外すことができる。
【0013】
第4の発明は、第1の発明に従属し、仕切板は、複数の開口が複数の発光部と対向する位置に配置される第1位置と、複数の開口が複数の発光部と対向する位置からずれた位置に配置される第2位置とに移動可能に設けられ、フィルタユニットは、仕切板を支持する支持部を有し、フィルタユニットの取出動作と連動して、支持部による仕切板の支持が解除されることで仕切板が第1位置から第2位置に移動する。
【0014】
第4の発明によれば、フィルタユニットの取出動作に連動して仕切板が第2位置に移動し、フィルタユニットを取り外した状態では仕切板によって複数の発光部が覆われるので、作業者が誤って発光部に触れることをより確実に防止できる。
【0015】
第5の発明は、第1の発明に従属し、仕切板は、複数の開口のうちの最も開閉カバー側に形成される開口の当該開閉カバー側の縁部に形成され、フィルタユニットの着脱方向と交差する方向に延びるリブを有する。
【0016】
第5の発明によれば、仕切板がリブを有するので、作業者が誤って発光部に触れることをより確実に防止できる。
【0017】
第6の発明は、第5の発明に従属し、リブは、開閉カバー側の面に形成され、フィルタユニットの装着方向の奥側に向かうに従って突出高さが高くなる傾斜面を有する。
【0018】
第6の発明によれば、傾斜面によって作業者の指先が開口(延いては発光部)から離れる方向に案内されるので、作業者が誤って発光部に触れることをより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、光源とフィルタユニットとの間に仕切板を設けたので、フィルタユニットを取り外した際にも作業者が誤って発光部に触れることが防止される。したがって、フィルタユニットを安全に交換できる。
【0020】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の第1実施例の除菌脱臭機を示す斜視図である。
図2】除菌脱臭機の内部構造を示す縦断面図である。
図3】除菌脱臭機の内部構造を示す横断面図である。
図4】フィルタユニットを示す斜視図である。
図5】除菌脱臭機の筐体からフィルタユニットを取り外した様子を示す図である。
図6】第1実施例の除菌脱臭機が備える仕切体を示す正面図である。
図7】第2実施例の除菌脱臭機が備える仕切体を示す斜視図である。
図8】フィルタユニットを装着して開閉カバーを閉じた状態の第2実施例の除菌脱臭機を概略的に示す図である。
図9】開閉カバーを開いた状態の第2実施例の除菌脱臭機を概略的に示す図である。
図10】フィルタユニットを取り外した状態の第2実施例の除菌脱臭機を概略的に示す図である。
図11】フィルタユニットを装着して開閉カバーを閉じた状態の第3実施例の除菌脱臭機を概略的に示す図である。
図12】開閉カバーを開いた状態の第3実施例の除菌脱臭機を概略的に示す図である。
図13】フィルタユニットを装着した状態の第4実施例の除菌脱臭機を概略的に示す図である。
図14】フィルタユニットを取出中の第4実施例の除菌脱臭機を概略的に示す図である。
図15】フィルタユニットを取り外した状態の第4実施例の除菌脱臭機を概略的に示す図である。
図16】第5実施例の除菌脱臭機の内部構造を示す横断面図である。
図17】第5実施例の除菌脱臭機が備える仕切板を示す斜視図である。
図18】仕切板の変形例を示す斜視図である。
図19】仕切板の他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施例]
図1および図2を参照して、この発明の第1実施例である除菌脱臭機10は、光触媒を担持する光触媒フィルタ40を用いて除菌および脱臭を行う装置である。詳細は後述するように、除菌脱臭機10は、外部から取り入れた空気を光触媒フィルタ40の主面(表面)に沿って流すと共に光触媒フィルタ40に光を照射することで、光触媒フィルタ40に付着した有機物(有機化合物)を分解して除菌および脱臭を行う。以下、除菌脱臭機10の構成について具体的に説明する。
【0023】
図1から図3に示すように、除菌脱臭機10は、光触媒フィルタ40および保持フレーム42を含むフィルタユニット12、光源14、送風ファン16、活性炭フィルタ18および制御部(図示せず)等を備え、これらは所定の配置態様で筐体20に内蔵される。制御部は、CPUおよびメモリ等を含み、電源ボタン22等を含む操作部に対する入力操作に基づいて、除菌脱臭機10の各部位(光源14および送風ファン16など)の動作を制御する。
【0024】
筐体20は、直方体状に形成される。筐体20の底部には、吸気口24が設けられ、筐体20の頂部には、排気口26が設けられる。また、筐体20の中央部には、ユニット収容部28が設けられる。このユニット収容部28には、フィルタユニット12が縦向きに収容(装着)される。フィルタユニット12の具体的構成については後述する。
【0025】
光源14は、基板30と基板30の表面に分散配置された複数のLED32(発光部の一例)とを含み、光触媒フィルタ40の主面と対向するように設けられる。この実施例では、光源14は、光触媒フィルタ40の一方主面と対向するように設けられる第1光源14aと、光触媒フィルタ40の他方主面と対向するように設けられる第2光源14bとを含む。すなわち、光源14は、フィルタユニット12の厚み方向の両側に設けられて、光触媒フィルタ40の両主面のそれぞれに対して光を照射することが可能である。第1光源14aおよび第2光源14bのそれぞれには、たとえば9個のLED32が設けられる。
【0026】
送風ファン16は、筐体20の上部、すなわち排気口26とユニット収容部28(つまりフィルタユニット12)との間に設けられて、吸気口24からユニット収容部28を通って排気口26に向かう上向きの空気の流れ(空気流)を発生させる。すなわち、送風ファン16の駆動によって吸気口24から筐体20内に取り入れられた空気は、ユニット収容部28を上向きに流れた後、排気口26から筐体20外に排出される。送風ファン16としては、プロペラファン等の軸流ファンおよび遠心ファン等の公知のファンを用いるとよい。
【0027】
また、筐体20の下部、すなわち吸気口24とユニット収容部28との間には、活性炭フィルタ収容部34が設けられる。この活性炭フィルタ収容部34には、活性炭フィルタ18が吸気口24を覆うように横向きに収容される。すなわち、吸気口24から筐体20内に取り入れられる空気は、活性炭フィルタ18を厚み方向に通過した(すなわち活性炭フィルタ18の内部を通った)後、ユニット収容部28に流入する。活性炭フィルタ18は、合成樹脂製の不織布などの多孔質基材に活性炭が担持されたフィルタであって、活性炭によって空気中に含まれるアンモニアおよび硫化水素などの臭気成分を吸着して除去する。
【0028】
続いて、フィルタユニット12の構成について説明する。図4に示すように、フィルタユニット12は、光触媒フィルタ40とこれを保持する矩形枠状の保持フレーム42とを含む。これら光触媒フィルタ40と保持フレーム42とは一体成型される。
【0029】
光触媒フィルタ40は、合成樹脂製の不織布などの多孔質基材に光触媒(光触媒粒子)が担持されたフィルタであり、柔軟性を有している。光触媒フィルタ40に含まれる光触媒は、光(紫外線が含まれていてもよい)が照射されることで励起して活性酸素種を生成し、この活性酸素種によって空気中に含まれる雑菌を除去(除菌)したり、臭気成分を分解(脱臭)したりする。光触媒としては、酸化チタンおよび酸化タングステン等の公知の光触媒を用いるとよく、これらの中でも酸化チタンが好適に用いられる。
【0030】
そして、光触媒フィルタ40は、第1方向に延びる山部40aと谷部40bとが第1方向と直交する第2方向に交互に並ぶ波状(プリーツ状または蛇腹状とも言う。)に形成される。この実施例では、光触媒フィルタ40は、山部40aおよび谷部40bの突端部(頂部および底部)に折り目40cが形成された三角波状に形成され、複数の折り目40cが第1方向に延びるように形成されている。このように、光触媒フィルタ40を波状に形成することで、光触媒フィルタ40の大型化を抑制しつつ、光触媒フィルタ40と空気との接触面積を大きくすることができる。
【0031】
保持フレーム42は、光触媒フィルタ40の4辺を保持する第1フレーム44および第2フレーム46を含む。保持フレーム42は、ABS樹脂またはABS樹脂とポリカーボネートとを混合したPC/ABSアロイ等の合成樹脂によって形成される。
【0032】
第1フレーム44は、光触媒フィルタ40の波状の形状を保持するための部位であって、光触媒フィルタ40の第1方向における両端部を被覆するように設けられる。この第1フレーム44は、第1方向に空気流を通過させる開口部44a(第1開口部)を有しており、送風ファン16による空気の流れを阻害しないように構成されている。具体的には、第1フレーム44は、光触媒フィルタ40の第1方向における端部に沿って延びる波状に形成されており(つまり第2方向に波状に延びるように形成されており)、波(山谷)を形成する傾斜片の間に、断面三角形状の開口部44aが形成される。
【0033】
第2フレーム46は、光触媒フィルタ40の第2方向における両端部に設けられる。第2フレーム46は、第1方向に延びる矩形長板状に形成され、第1フレーム44の端部同士を連結する。この第2フレーム46は、第1方向に延びる通気路を形成し、第2方向(つまり光触媒フィルタ40の幅外)への空気流の拡散を規制する。第2フレーム46の厚み(第1方向および第2方向と直交する第3方向の長さ)は、たとえば30mmである。
【0034】
また、保持フレーム42は、光触媒フィルタ40の第1方向における中央部を挟み込むように設けられる第3フレーム48をさらに含む。第3フレーム48は、第1フレーム44と同様に、光触媒フィルタ40の波状の形状を保持するための部位であって、第1方向に空気流を通過させる開口部48aを有している。この実施例では、第3フレーム48は、光触媒フィルタ40の主面に沿って第2方向に波状に延びるように形成される。
【0035】
図5に示すように、筐体20の一方側面には、ユニット収容部28と連通するユニット交換口20aが形成され、このユニット交換口20aには、開閉カバー50が開閉自在に設けられる。すなわち、筐体20の一方側面には、ユニット収容部28を開放可能な開閉カバー50が設けられる。フィルタユニット12は、この開閉カバー50を開くことで、ユニット収容部28に対して厚み方向(第3方向)と直交する方向である第2方向に着脱することが可能である。
【0036】
図2および図5からよく分かるように、フィルタユニット12(光触媒フィルタ40)は、送風ファン16による空気流が第1方向(つまり光触媒フィルタ40の折り目40cが延びる方向)に沿って流れるようにユニット収容部28に収容される。すなわち、フィルタユニット12は、第1方向が上下方向となるようにユニット収容部28に縦向きに収容され、送風ファン16による空気流は、光触媒フィルタ40の両主面に沿って流れる。
【0037】
また、ユニット収容部28には、フィルタユニット12の着脱を案内するユニットガイド52が設けられ、フィルタユニット12は、ユニットガイド52によって装着位置まで案内される。このユニットガイド52は、第1フレーム44の開口部44aと連通して第1方向に空気流を通過させる開口部52a(第2開口部)を有しており、送風ファン16による空気の流れを阻害しないように構成されている。具体的には、ユニット収容部28の上端部および下端部のそれぞれに、フィルタユニット12の厚み方向(第3方向)に所定間隔をあけて設けられ、かつフィルタユニット12の着脱方向(第2方向)に延びる一対のユニットガイド52が設けられる。ユニットガイド52のそれぞれは、断面L字状に形成され、フィルタユニット12が備える第1フレーム44をスライド可能に支持する。一対のユニットガイド52の間には開口部52aが形成されており、ユニット収容部28にフィルタユニット12を装着した状態において、開口部52aが開口部44aと連通する。
【0038】
このような除菌脱臭機10では、電源ボタン22がオンにされると、制御部は、送風ファン16を駆動させると共に、光源14(LED32)を点灯させて光触媒フィルタ40の両主面のそれぞれに対して光を照射させる。送風ファン16の駆動に伴って吸気口24から筐体20内に取り入れられた空気は、先ず、活性炭フィルタ18によって臭気成分が吸着除去される。次に、活性炭フィルタ18を通過した空気は、光触媒フィルタ40の両主面に沿ってユニット収容部28を上向きに流れる。光触媒フィルタ40と空気とが接触することで、光触媒フィルタ40に付着した有機物が光触媒作用によって分解され、除菌および脱臭が行われる。そして、光触媒フィルタ40によって除菌脱臭された清浄な空気は、排気口26から筐体20外に排出される。
【0039】
この際、光触媒フィルタ40が波状に形成されていることで、光触媒フィルタ40と空気との接触面積が大きくなるので、効率よく除菌脱臭することができる。また、光触媒フィルタ40の厚み方向に空気を通過させるのではなく、光触媒フィルタ40の主面に沿って空気を流すので、圧力損失を低減できる。特に、光触媒フィルタ40の山部40aおよび谷部40bが延びる方向である第1方向に沿って空気を流すことで、圧力損失をより適切に低減できる。さらに、光触媒フィルタ40の両主面に沿って空気を流すと共に、第1光源14aおよび第2光源14bを用いて光触媒フィルタ40の両主面に光を照射するので、より効率よく除菌脱臭することができる。さらにまた、第1フレーム44が開口部44aを有すると共にユニットガイド52が開口部52aを有するので、第1フレーム44およびユニットガイド52が空気の流れを阻害することなく、光触媒フィルタ40の両主面に沿って適切に空気を流すことができる。
【0040】
ここで、フィルタユニット12は、上述のようにユニット収容部28に対して着脱可能(交換可能)に設けられる。フィルタユニット12をユニット収容部28から取り外すと、ユニット交換口20aから筐体20(ユニット収容部28)内に手を差し込むことが可能な状態となる。このため、何ら対策を講じないと、除菌脱臭機10の運転停止直後などにフィルタユニット12を交換したときに、高温になったLED32(発光部)に作業者が誤って触れてしまい、作業者が火傷をしてしまう恐れがある。
【0041】
そこで、この実施例では、仕切板60をフィルタユニット12と光源14との間に設けることで、フィルタユニット12をユニット収容部28から取り外した際に、作業者がLED32に誤って触れてしまうことを防止できるようにした。以下、仕切板60の構成について具体的に説明する。
【0042】
図3および図5と共に図6を参照して、仕切板60は、矩形板状に形成され、フィルタユニット12と光源14との間を仕切るように設けられる。つまり、仕切板60は、光源14よりもフィルタユニット12(ユニット収容部28)側の位置において、フィルタユニット12および光源14と平行に拡がるように設けられる。この実施例では、光源14がフィルタユニット12の厚み方向の両側に設けられるので、仕切板60もフィルタユニット12の厚み方向の両側に設けられる。つまり、仕切板60は、第1光源14aと対向するように設けられる第1仕切板60aと、第2光源14bと対向するように設けられる第2仕切板60bとを含む。
【0043】
また、仕切板60には、複数のLED32と対向する位置(真正面の位置)のそれぞれに、円形の開口62が形成される。これにより、LED32からの光は、仕切板60によって阻害されることなく光触媒フィルタ40の主面に照射される。この実施例では、光源14には9個のLED32が設けられるので、これに対応して仕切板60にも縦横に3個ずつ並ぶ計9個の開口62が形成される。
【0044】
このような除菌脱臭機10では、ユニット収容部28からフィルタユニット12を取り外した際には、光源14と対向して設けられた仕切板60が邪魔をすることで、作業者がLED32に誤って触れてしまうことが防止される。
【0045】
以上のように、この第1実施例によれば、光源14とフィルタユニット12との間に仕切板60を設けたので、フィルタユニット12を取り外した際にも作業者が誤ってLED32に触れることが防止される。したがって、フィルタユニット12を安全に交換することができる。
【0046】
[第2実施例]
次に、図7図10を参照して、この発明の第2実施例である除菌脱臭機10について説明する。この第2実施例では、仕切板60が移動可能に設けられている点が上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。なお、重複する説明を省略等することは、後述する他の実施例についても同様である。
【0047】
図7に示すように、第2実施例の仕切板60は、第1仕切板60aと第2仕切板60bとが一体的に形成される。また、仕切板60には、開閉カバー50に対する当接部64とフィルタユニット12に対する当接部66とが形成される。具体的には、第1仕切板60aおよび第2仕切板60bの一方端部(フィルタユニット12の装着方向における手前側の端部)には、L字状の突出部が形成されており、この突出部が開閉カバー50に対する当接部64として用いられる。また、第1仕切板60aおよび第2仕切板60bの他端部(フィルタユニット12の装着方向における奥側の端部)どうしは、連結板によって連結されており、この連結板がフィルタユニット12に対する当接部66として用いられる。
【0048】
このような仕切板60は、複数の開口62が複数のLED32と対向する位置に配置される第1位置(図8参照)と、複数の開口62が複数のLED32と対向する位置からずれた位置に配置される第2位置(図9参照)とに移動可能に設けられ、開閉カバー50の開動作に連動して第1位置から第2位置に移動する。
【0049】
具体的には、図8に示すように、筐体20のフィルタユニット12の装着方向における奥側には、仕切板60を開閉カバー50側に向かって付勢する圧縮コイルばね70(付勢部材の一例)が設けられる。また、仕切板60は、図示しない支持レールによってフィルタユニット12の着脱方向(第2方向)にスライド移動可能に設けられる。そして、開閉カバー50を閉じた状態(運転中など)においては、開閉カバー50が仕切板60の当接部64を奥側に向かって押圧することで、仕切板60は、圧縮コイルばね70の付勢力に抗って第1位置で保持される。したがって、複数のLED32からの光は、仕切板60によって遮られることなく、光触媒フィルタ40の主面に照射される。
【0050】
また、図9に示すように、開閉カバー50を開いた状態(フィルタユニット12の取出時など)においては、開閉カバー50による当接部64への押圧が解除されて、仕切板60は、圧縮コイルばね70の付勢力によって第2位置に移動される。すなわち、仕切板60は、開閉カバー50の開動作に連動して第1位置から第2位置に移動する。これにより、複数のLED32は、仕切板60によって覆われた状態となる。また、フィルタユニット12は、仕切板60の当接部66によって押されることで、その一方端部(フィルタユニット12の取出方向における先端部)が筐体20もしくはユニット交換口20aから突出する取出位置に移動する。すなわち、フィルタユニット12は、開閉カバー50の開動作に連動する仕切板60の移動に伴って、取出位置に移動する。これにより、フィルタユニット12の取り出しが容易になると共に、フィルタユニット12の取出時に筐体20内に手を差し入れる必要がなくなるので、より安全にフィルタユニット12を取り出すことができる。
【0051】
そして、図10に示すように、フィルタユニット12を取り外した状態においては、複数のLED32が仕切板60によって覆われた状態であるので、作業者が誤ってLED32に触れることがより確実に防止される。また仮に、LED32の点灯中にフィルタユニット12を取り外しとしても、仕切板60によって遮光されるので、光漏れにより作業者が目を傷めることが防止される。
【0052】
以上のように、この第2実施例によれば、開閉カバー50の開動作に連動して仕切板60が第2位置に移動し、フィルタユニット12を取り外した状態では複数のLED32が仕切板60によって覆われるので、作業者が誤ってLED32に触れることをより確実に防止でき、フィルタユニット12をより安全に交換することができる。
【0053】
[第3実施例]
続いて、図11および図12を参照して、この発明の第3実施例である除菌脱臭機10について説明する。上述の第2実施例では、仕切板60の移動に伴ってフィルタユニット12も移動するようにしたが、この第3実施例では、開閉カバー50の開動作に連動して仕切板60のみが移動するように構成される。
【0054】
具体的には、図11に示すように、第1仕切板60aおよび第2仕切板60bどうしは、連結板によって連結されるのではなく、独立して設けられる。そして、開閉カバー50を閉じた状態においては、開閉カバー50が第1仕切板60aおよび第2仕切板60bの当接部64を奥側に向かって押圧することで、第1仕切板60aおよび第2仕切板60bは、圧縮コイルばね70の付勢力に抗って第1位置で保持される。一方、開閉カバー50を開いた状態においては、図12に示すように、開閉カバー50による当接部64への押圧が解除されて、第1仕切板60aおよび第2仕切板60bは、圧縮コイルばね70の付勢力によって第2位置に移動される。この際、フィルタユニット12は、移動することなく装着位置に保持される。
【0055】
この第3実施例においても、第2実施例と同様に、開閉カバー50の開動作に連動して仕切板60が第2位置に移動するので、作業者が誤ってLED32に触れることをより確実に防止でき、フィルタユニット12をより安全に交換することができる。
【0056】
[第4実施例]
続いて、図13図15を参照して、この発明の第4実施例である除菌脱臭機10について説明する。この第4実施例では、開閉カバー50の開動作に連動して仕切板60を第1位置から第2位置に移動させる方法が上述の第2実施例と異なる。
【0057】
図13に示すように、第4実施例のフィルタユニット12は、その上部に仕切板60を支持する支持部72を備える。この支持部72は、フィルタユニット12の装着方向における奥側(先頭側)に向かって下り勾配となる傾斜面72aを有している。一方、仕切板60は、図示しない案内レールによって上下方向にスライド移動可能に設けられる。また、仕切板60には、フィルタユニット12の支持部72によって係止される係止部74が設けられる。この係止部74は、傾斜面72aと同じ傾斜角度で傾斜する、つまりフィルタユニット12の装着方向における奥側に向かって下り勾配となる傾斜面74aを有している。そして、フィルタユニット12が装着位置にある状態においては、フィルタユニット12の支持部72によって仕切板60の係止部74が上方に持ち上げられた状態となって、仕切板60は、複数の開口62が複数のLED32と対向する位置に配置される第1位置に保持される。
【0058】
また、図14に示すように、フィルタユニット12を取り出すときには、係止部74の傾斜面74aが支持部72の傾斜面72a上を摺動することで、仕切板60が徐々に下方に移動していく。そして、図15に示すように、フィルタユニット12を取り外した状態においては、仕切板60の支持部72による支持が解除されて、仕切板60は、複複数の開口62が複数のLED32と対向する位置からずれた位置に配置される第2位置に保持される。すなわち、仕切板60は、フィルタユニット12の取出動作に連動して第1位置から第2位置に移動し、複数のLED32は、仕切板60によって覆われた状態となる。
【0059】
この第4実施例においても、第2実施例と同様に、開閉カバー50の開動作に連動して仕切板60が第2位置に移動するので、作業者が誤ってLED32に触れることをより確実に防止でき、フィルタユニット12をより安全に交換することができる。
【0060】
[第5実施例]
続いて、図16および図17を参照して、この発明の第5実施例である除菌脱臭機10について説明する。この第5実施例では、仕切板60がリブ80を有する点が上述の第1実施例と異なる。
【0061】
図16および図17に示すように、仕切板60のフィルタユニット12(ユニット収容部28)側の面には、複数の開口62の開閉カバー50側(フィルタユニット12の装着方向の手前側)の縁部のそれぞれに、リブ80が形成される。このリブ80は、フィルタユニット12の着脱方向と交差する方向に直線状に延びるように形成される。リブ80の突出高さは、たとえば3mm~5mmである。このようなリブ80を仕切板60が有することで、筐体20内に作業者が手を差し込もうとしても、指先がリブ80に当たって開口62側(LED32側)に進むことが防止される。したがって、作業者が誤ってLED32に触れることがより確実に防止される。
【0062】
この第5実施例によれば、仕切板60がリブ80を有するので、作業者が誤ってLED32に触れることをより確実に防止でき、フィルタユニット12をより安全に交換することができる。
【0063】
なお、仕切板60に設けるリブ80の形状は、適宜変更可能である。たとえば、図18に示すように、リブ80は、開閉カバー50側の面に形成される傾斜面80aを有することもできる。この傾斜面80aは、フィルタユニット12の装着方向の奥側に向かうに従って突出高さが高くなる(つまり開口62から離れる)ように形成される。このような傾斜面80aをリブ80が有することで、リブ80に当たったユーザの指先が開口62(延いてはLED32)から離れる方向に案内されるので、作業者が誤ってLED32に触れることがより確実に防止される。また、たとえば、図19に示すように、リブ80は、各開口62に対して個別に形成するのではなく、上下方向(空気の流れ方向)に連続するように形成することもできる。
【0064】
ただし、リブ80は、必ずしも全ての開口62の縁部に形成される必要はなく、複数の開口62のうちの最も開閉カバー50側に形成される開口62、つまり作業者が誤って触れる可能性が最も高いLED32に対向して形成される開口62の縁部に形成するだけでも構わない。
【0065】
なお、上述の各実施例では、フィルタユニット12の両側に光源14を配置するようにしたが、光源14は、フィルタユニット12の片側のみに配置してもよい。また、光源14を配置しない側には、反射板を設けるようにしてもよい。
【0066】
また、上述のフィルタユニット12の構成は、単なる一例であり、光触媒フィルタ40および保持フレーム42の具体的構成は適宜変更可能である。たとえば、光触媒フィルタ40を波状に形成するに際して、三角波状に形成するのではなく、正弦波状または矩形波状などに形成することもできる。また、光触媒フィルタ40は、必ずしも波状に形成される必要はなく、平板状に形成されてもよい。
【0067】
また、上述の各実施例では、送風ファン16によって上向きに流れる空気流を発生させているが、送風ファン16によって発生させる空気流の流れ方向は、適宜変更可能である。たとえば、送風ファン16によって横向きに流れる空気流を発生させ、この空気流が第1方向に沿って流れるようにフィルタユニット12を横向きに配置することもできる。すなわち、フィルタユニット12の配置方向は、縦向き横向きのどちらでも構わない。また、必ずしも光触媒フィルタ40の主面に沿って空気を流す必要はなく、光触媒フィルタ40の厚み方向に通過するように空気を流しても構わない。
【0068】
さらに、フィルタユニット12の着脱方向は、フィルタユニット12の厚み方向と直交する方向であればよく、たとえばフィルタユニット12を第1方向(通気方向)に着脱可能とすることもできる。この場合には、たとえば、筐体20の下部に送風ファン16を設け、筐体20の天面に開閉カバー50を設けるとよい。
【0069】
なお、上で挙げた具体的な数値および部品形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 …除菌脱臭機
12 …フィルタユニット
14 …光源
16 …送風ファン
20 …筐体
24 …吸気口
26 …排気口
28 …ユニット収容部
40 …光触媒フィルタ
42 …保持フレーム
50 …開閉カバー
60 …仕切板
62 …開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
図18
図19