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特開2023-143552銅製錬における廃酸含有廃水の処理システム及びプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143552
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】銅製錬における廃酸含有廃水の処理システム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/463 20230101AFI20230928BHJP
   C02F 1/58 20230101ALI20230928BHJP
   C02F 1/62 20230101ALI20230928BHJP
【FI】
C02F1/463
C02F1/58 M
C02F1/62 C
C02F1/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063470
(22)【出願日】2022-04-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202210292233.8
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521088468
【氏名又は名称】生態環境部南京環境科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】張愛国
(72)【発明者】
【氏名】孔徳洋
(72)【発明者】
【氏名】何健
(72)【発明者】
【氏名】張孝飛
(72)【発明者】
【氏名】余佳
(72)【発明者】
【氏名】李菊穎
(72)【発明者】
【氏名】許静
(72)【発明者】
【氏名】豆葉枝
(72)【発明者】
【氏名】張悦清
(72)【発明者】
【氏名】曹莉
【テーマコード(参考)】
4D038
4D061
【Fターム(参考)】
4D038AA08
4D038AB41
4D038AB68
4D038AB69
4D038AB70
4D038AB79
4D038AB80
4D038BA02
4D038BA06
4D038BB04
4D038BB10
4D038BB13
4D038BB17
4D038BB18
4D061DA08
4D061DB18
4D061DC20
4D061DC23
4D061DC24
4D061DC28
4D061EA06
4D061EB02
4D061EB04
4D061EB14
4D061EB16
4D061EB20
4D061EB27
4D061EB28
4D061EB33
4D061EB39
4D061FA04
4D061FA11
4D061FA13
4D061FA14
4D061GC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システム及びプロセスを提供する。
【解決手段】処理システムは、廃酸含有廃水を順次処理するための、一次処理システム、二次処理システムを含み、プロセスは、脱ヒ素処理のステップS1と、脱フッ素-中和処理のステップS2と、電解高度処理のステップS3とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システムであって、
廃酸含有廃水を順次処理するための、一次処理システムと、二次処理システムとを含み、
前記一次処理システムは、循環反応装置(1)と、前記循環反応装置(1)の下方に設
けられ、且つ循環反応装置(1)の排水口と連通している沈殿反応装置(2)とを含み、
前記循環反応装置(1)は、並設された2つの循環反応室(10)と、前記循環反応室(
10)の内部に可動に設けられる第1撹拌器(14)と、前記循環反応室(10)の上部
に設けられ、且つ2つの循環反応室(10)を連通させる上部連通手段(11)と、前記
循環反応室(10)の下部に設けられ、且つ2つの循環反応室(10)を連通させる下部
連通手段(12)と、前記上部連通手段(11)に取り付けられ、且つ循環反応室(10
)に対応する2つの排気ターボファン(13)と、負圧配管を介して前記排気ターボファ
ン(13)と連通している硫化水素ガス回収装置(3)とを含み、
前記上部連通手段(11)には、2つの循環反応室(10)、上部連通手段(11)
及び下部連通手段(12)の間で廃酸含有廃水を循環させる負圧装置(110)が設けら
れ、前記下部連通手段(12)は沈殿反応装置(2)と連通しており、
前記二次処理システムは、沈殿反応装置(2)と連通しているサイクロン電解凝集装置
(4)と、前記サイクロン電解凝集装置(4)と連通している凝集沈殿池(5)とを含み

前記サイクロン電解凝集装置(4)は、両端の給水口が沈殿反応装置(2)と連通し
ているサイクロン電解槽(40)と、前記サイクロン電解槽(40)の中心に設けられる
中央回転軸(41)と、前記中央回転軸(41)に取り付けられ、且つサイクロン電解槽
(40)の給水口に近い2組のハイドロボルテックスファン(42)と、前記中央回転軸
(41)に取り付けられ、且つ2つのハイドロボルテックスファン(42)の間に位置す
る動的電解装置(43)と、前記サイクロン電解槽(40)の側壁に水平に設けられ、且
つ凝集沈殿池(5)と連通している排水ユニット(44)とを含み、
前記動的電解装置(43)は、中央回転軸(41)に可動に設けられる陽極コア(
430)と、陰極コア(431)とを含み、
前記陽極コア(430)は中央回転軸(41)に近く、前記陰極コア(431)
は陽極コア(430)外に移動可能に周設される、
ことを特徴とする効率的な処理システム。
【請求項2】
前記陽極コア(430)は、前記中央回転軸(41)上に套設される接続軸(432)と
、前記接続軸(432)の両端に設けられる第1接続枠(433)と、前記第1接続枠(
433)に取り付けられ、且つ中央回転軸(41)の径方向に均等に配置されている複数
組の電極板マウント(434)と、電極板マウント(434)に取り付けられ、中央回転
軸(41)の軸方向に均等に配置されている複数組の三日月状電極板(437)とを含み

前記三日月状電極板(437)は、鉄電極板、アルミ電極板を含み、前記鉄電極板と、ア
ルミ電極板は間隔を空けて配置されており、
前記陰極コア(431)は、前記中央回転軸(41)に取り付けられる第2接続枠(43
5)と、前記第2接続枠(435)に取り付けられ、且つ中央回転軸(41)の径方向に
均等に配置されている複数組の陰極電極板(436)とを含み、
前記陰極電極板(436)は、三日月状電極板(437)と、サイクロン電解槽(40)
の内側壁との間に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システム
【請求項3】
前記サイクロン電解槽(40)の側壁において複数組の環状ダクト(45)が軸方向に均
等に配置されており、前記環状ダクト(45)にはサイクロン電解槽(40)と連通して
いるジェットノズル(46)が均等に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システム
【請求項4】
前記下部連通手段(12)は、循環反応室(10)の下部に設けられる連通キャビティ(
120)と、前記連通キャビティ(120)の上部の中央部に設けられる接続カバー(1
21)と、前記連通キャビティ(120)の内部に設けられ、且つ接続カバー(121)
の下方に位置するろ過遮断ユニット(122)とを含み、
前記ろ過遮断ユニット(122)は、連通キャビティ(120)を排水室(123)とろ
滓貯蔵室(124)とに仕切り、前記接続カバー(121)には、ろ滓貯蔵室(124)
と連通している第1ろ液螺旋搬送機(125)が傾斜して設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システム
【請求項5】
前記沈殿反応装置(2)は、連通キャビティ(120)の真下に設けられ、且つ排水室(
123)と連通している混合反応室(20)と、前記混合反応室(20)の内部に設けら
れる第2撹拌器(21)と、混合反応室(20)の側壁に設けられる石灰石スラリー入り
口(22)と、前記混合反応室(20)の下部に設けられる石膏沈殿室(23)と、石膏
沈殿室(23)に設けられるフィルタプレス(24)とを含み、
フィルタプレス(24)は、石膏沈殿室(23)の内部に対して垂直に可動に設けられる
2つの石膏ろ過プレス板(240)と、前記石膏沈殿室(23)に設けられ、前記石膏ろ
過プレス板(240)を駆動する動力モジュール(241)と、傾斜して設けられ、且つ
石膏沈殿室(23)の中央部空間と連通している第2ろ液螺旋搬送機(242)とを含む

ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システム
【請求項6】
前記硫化水素ガス回収装置(3)は、密閉反応槽(30)と、前記密閉反応槽(30)の
上部に設けられる霧化アルカリ液スプレーディスク(31)と、前記密閉反応槽(30)
の外壁に套設される硫化水素ガスジェットリング(32)と、高圧配管を介して硫化水素
ガスジェットリング(32)と排気ターボファン(13)を接続する接続口(33)と、
密閉反応槽(30)の下部に設けられ、且つ循環反応室(10)と連通している硫化ナト
リウム溶液補充配管(34)とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システム
【請求項7】
まず、廃酸含有廃水と濃度35~45%の硫化ナトリウム溶液とを1:0.08~0.3
の体積比で循環反応室(10)に投入し、第1撹拌器(14)を用いて600~2000
r/minの回転数で持続的に撹拌し、負圧装置(110)によって廃酸含有廃水と硫化
ナトリウム溶液を2つの循環反応室(10)、上部連通手段(11)及び下部連通手段(
12)内を循環させ、次に、生成した沈殿物を分離して、ろ過して排出し、生成した硫化
水素廃気を排気ターボファン(13)によって効率的に排気し、硫化水素ガス回収装置(
3)に送る、脱ヒ素処理のステップS1と、
次に、循環反応室内の廃酸含有廃水を沈殿反応装置(2)に入れて、石灰石スラリーを1
500~2800g/L加え、撹拌しながら反応させ、廃酸含有廃水と石灰石を反応させ
て石膏及びフッ化カルシウム沈殿を生成し、ろ過プレスをした後、沈殿物を除去し、一次
ろ液を分離し、次に、pHが6~7となるまで一次ろ液に水酸化ナトリウムを加え、撹拌
しながら反応させた後、二次ろ過プレスをして、沈殿物を除去し、二次ろ液を分離する、
脱フッ素-中和処理のステップS2と、
サイクロン電解槽(40)の両端から二次ろ液を投入し、ハイドロボルテックスファン(
42)の高速回転によって二次ろ液を渦流とし、陽極コア(430)、陰極コア(431
)を回転させて、二次ろ液を電流密度330~600A/mで30~60min電解し
、水酸化物コロイドを形成し、残りの重金属汚染物質を吸着し、最後に、水酸化物コロイ
ドを生成した二次ろ液を凝集沈殿池(5)に送り、空気浮上・沈降分離を行う、電解高度
処理のステップS3とを含む、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の銅製錬における廃酸含有廃水の効率的
な処理システムの処理プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃酸含有廃水処理の技術分野に関し、具体的には、銅製錬における廃酸含有廃水
の効率的な処理システム及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
銅製錬による廃酸原液は、主に硫酸排煙浄化工程で発生するものであり、酸度が高く、し
かもCu、As、Zn、Pb、Fなどの有害物質の含有量が高く、腐食性が強く、液中の
成分が複雑であるなどの特徴がある。従来の処理方法は、運行コストが高く、総合的な回
収率が低いだけではなく、処理効果が不十分である。
【0003】
従来、銅製錬における廃酸含有廃水の処理システムでは、ヒ素硫化沈殿プロセスを利用し
て、廃酸溶液中のヒ素を沈降し、大量のヒ素による汚染を解消できるが、他の重金属元素
に対する除去効果が劣り、従来技術では、廃酸含有廃水処理装置の処理効率が低いことか
ら、単位時間内の処理量が少なく、生産のニーズに答えられず、従来技術における廃酸含
有廃水処理システムは、廃酸溶液を高度処理できないため、廃酸溶液への処理品質が劣る
【発明の概要】
【0004】
上記の背景技術に記載の課題に対して、本発明は、
廃酸含有廃水を順次処理するための、一次処理システム、二次処理システムを含み、
前記一次処理システムは、循環反応装置と、前記循環反応装置の下方に設けられ、且つ循
環反応装置の排水口と連通している沈殿反応装置とを含み、
前記循環反応装置は、並設された2つの循環反応室と、前記循環反応室の内部に可動に設
けられる第1撹拌器と、前記循環反応室の上部に設けられ、且つ2つの循環反応室を連通
させる上部連通手段と、前記循環反応室の下部に設けられ、且つ2つの循環反応室を連通
させる下部連通手段と、前記上部連通手段に取り付けられ、且つ循環反応室に対応する2
つの排気ターボファンと、負圧配管を介して前記排気ターボファンと連通している硫化水
素ガス回収装置とを含み、
前記上部連通手段には、2つの循環反応室、上部連通手段及び下部連通手段の間で廃酸含
有廃水を循環させる負圧装置が設けられ、前記下部連通手段は沈殿反応装置と連通してお
り、
前記二次処理システムは、沈殿反応装置と連通しているサイクロン電解凝集装置と、前記
サイクロン電解凝集装置と連通している凝集沈殿池とを含み、
前記サイクロン電解凝集装置は、両端の給水口が沈殿反応装置と連通しているサイクロン
電解槽と、前記サイクロン電解槽の中心に設けられる中央回転軸と、前記中央回転軸に設
けられ、且つサイクロン電解槽の給水口に近い2組のハイドロボルテックスファンと、前
記中央回転軸に取り付けられ、且つ2つのハイドロボルテックスファンの間に位置する動
的電解装置と、前記サイクロン電解槽の側壁に水平に設けられ、且つ凝集沈殿池と連通し
ている排水ユニットとを含み、
前記動的電解装置は、中央回転軸に可動に設けられる陽極コアと、陰極コアとを含み、
前記陽極コアは中央回転軸(41)に近く、前記陰極コアは陽極コア外に移動可能に周設
される、銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システムを提供する。
【0005】
本発明の一態様によれば、前記陽極コアは、前記中央回転軸上に套設される接続軸と、前
記接続軸の両端に設けられる第1接続枠と、前記第1接続枠に取り付けられ、且つ中央回
転軸の径方向に均等に配置されている複数組の電極板マウントと、電極板マウントに取り
付けられ、中央回転軸の軸方向に均等に配置されている複数組の三日月状電極板とを含み

前記三日月状電極板は、鉄電極板、アルミ電極板を含み、前記鉄電極板と、アルミ電極板
は間隔をあけて配置されており、
前記陰極コアは、前記中央回転軸に設けられる第2接続枠と、前記第2接続枠に取り付け
られ、且つ中央回転軸の径方向に均等に配置されている複数組の陰極電極板とを含み、
前記陰極電極板は、三日月状電極板と、サイクロン電解槽の内側壁との間に位置する。
複数の三日月状鉄電極板、アルミ電極板が設けられることにより、廃酸溶液との電極板の
面積が効果的に大きくなり、鉄やアルミの消耗量が増大し、水酸化第二鉄、水酸化アルミ
ニウムコロイドがより多く生じて、マイクロ凝集剤として機能し、水中の懸濁顆粒やコロ
イド汚染物質がマイクロ凝集剤により吸着されて被覆され,安定性が損なわれ、最終的に
沈殿物が形成される。
【0006】
本発明の一態様によれば、前記サイクロン電解槽の側壁において複数組の環状ダクトが軸
方向に均等に配置されており、前記環状ダクトにはサイクロン電解槽と連通しているジェ
ットノズルが均等に配置されている。
環状ダクトが設けられることによって、サイクロン電解槽の内圧が増大し、マイクロバブ
ルと組み合わせて空気浮上が実現され、処理効果がさらに向上する。
本発明の一態様によれば、前記下部連通手段は、循環反応室の下部に設けられる連通キャ
ビティと、前記連通キャビティの上部の中央部に設けられる接続カバーと、前記連通キャ
ビティの内部に設けられ、且つ接続カバーの下方に位置するろ過遮断ユニットとを含み、
前記ろ過遮断ユニットは、連通キャビティを排水室とろ滓貯蔵室に仕切り、前記接続カバ
ーには、ろ滓貯蔵室と連通している第1ろ液螺旋搬送機が傾斜して設けられる。
循環反応装置内にろ過遮断ユニットが設けられることによって、循環水流中の沈殿物がろ
過され、また、第1ろ液螺旋搬送機で沈殿物を除去することにより、反応の進行がより十
分になり、脱ヒ素の品質が効果的に向上する。
【0007】
本発明の一態様によれば、前記沈殿反応装置は、連通キャビティの真下に設けられ、且つ
排水室と連通している混合反応室と、前記混合反応室の内部に設けられる第2撹拌器と、
混合反応室の側壁に設けられる石灰石スラリー入り口と、前記混合反応室の下部に設けら
れる石膏沈殿室と、石膏沈殿室に設けられるフィルタプレスとを含み、
フィルタプレスは、石膏沈殿室の内部に対して垂直に可動に設けられる2つの石膏ろ過プ
レス板と、前記石膏沈殿室に設けられ、前記石膏ろ過プレス板を駆動する動力モジュール
と、傾斜して設けられ、且つ石膏沈殿室の中央部空間と連通している第2ろ液螺旋搬送機
とを含む。
【0008】
フィルタプレスにより沈殿物とろ液が効率的に分離され、処理効率の向上に有利である。
本発明の一態様によれば、前記硫化水素ガス回収装置は、密閉反応槽と、前記密閉反応槽
の上部に設けられる霧化アルカリ液スプレーディスクと、前記密閉反応槽の外壁に套設さ
れる硫化水素ガスジェットリングと、高圧配管を介して硫化水素ガスジェットリングと排
気ターボファンを接続する接続口と、密閉反応槽の下部に設けられ、且つ循環反応室と連
通している硫化ナトリウム溶液補充配管とを含む。
生成した硫化水素ガスが水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを生成することができ、この
ように、有害なガスが回収されて再利用されながら、硫化ナトリウムの使用量が減少し、
このため、コストダウンに有利である。
【0009】
銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理プロセスであって、
まず、廃酸含有廃水と濃度35~45%の硫化ナトリウム溶液とを1:0.08~0.3
の体積比で循環反応室に投入し、第1撹拌器を用いて600~2000r/minの回転
数で持続的に撹拌し、負圧装置によって廃酸含有廃水と硫化ナトリウム溶液を2つの循環
反応室、上部連通手段及び下部連通手段内を循環させ、次に、生成した沈殿物を分離して
、ろ過して排出し、生成した硫化水素廃気を排気ターボファンによって効率的に排気し、
硫化水素ガス回収装置に送る、脱ヒ素処理のステップS1と、
次に、循環反応室内の廃酸含有廃水を沈殿反応装置に入れて、石灰石スラリーを1500
~2800g/L加え、撹拌しながら反応させ、廃酸含有廃水と石灰石を反応させて石膏
及びフッ化カルシウム沈殿を生成し、ろ過プレスをした後、沈殿物を除去し、一次ろ液を
分離し、次に、pHが6~7となるまで一次ろ液に水酸化ナトリウムを加え、撹拌しなが
ら反応させた後、二次ろ過プレスをして、沈殿物を除去し、二次ろ液を分離する、脱フッ
素-中和処理のステップS2と、
サイクロン電解槽の両端から二次ろ液を投入し、ハイドロボルテックスファンの高速回転
によって二次ろ液を渦流とし、陽極コア、陰極コアを回転させて、二次ろ液を電流密度3
30~600A/mで30~60min電解し、水酸化物コロイドを形成し、残りの重
金属汚染物質を吸着し、最後に、水酸化物コロイドを生成した二次ろ液を凝集沈殿池に送
り、空気浮上・沈降分離を行う、電解高度処理のステップS3とを含む。
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明で提供される銅製錬における廃酸含有
廃水の効率的な処理システムでは、廃酸含有廃水が循環反応装置内を循環的に流れて、硫
化ナトリウムと反応し、循環中に生成した沈殿物がろ過されて排出され、廃酸の上液面の
上方に設けられた排気ターボファンは硫化水素ガスを素早く排出し、繰り返して循環させ
ることにより、反応速度を向上るだけでなく、処理品質を向上できる。
【0010】
本発明では、サイクロン電解槽、ハイドロボルテックスファン、動的電解装置を設けるこ
とで廃酸含有廃水を効率的且つ動的に電解し、水酸化ナトリウムが過剰に添加されるため
、設けられた鉄電極板、アルミ電極板によって水酸化第二鉄、水酸化アルミニウムコロイ
ドが生成され、マイクロ凝集剤と機能し、水中の懸濁顆粒やコロイド汚染物質がマイクロ
凝集剤により吸着されて被覆され、これにより、処理品質がさらに向上し、Cu、As、
Zn、Pb、Fなどの有害物質への高度処理が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1の全体構造模式図である。
図2】本発明の実施例1の硫化水素ガス回収装置の構造模式図である。
図3】本発明の実施例1の下部連通手段の構造模式図である。
図4】本発明の実施例1の沈殿反応装置の構造模式図である。
図5】本発明の実施例2のサイクロン電解凝集装置の構造模式図である。
図6】本発明の実施例2の陽極電極板の構造模式図である。
図7】本発明の実施例2の陰極電極板の構造模式図である。
図8】本発明の実施例3の環状ダクトの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例1
銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システムは、廃酸含有廃水を処理する一次処
理システムを含み、
図1に示すように、一次処理システムは、循環反応装置1と、循環反応装置1の下方に設
けられ、且つ循環反応装置1の排水口と連通している沈殿反応装置2とを含み、
循環反応装置1は、並設された2つの循環反応室10と、循環反応室10の内部に可動に
設けられる第1撹拌器14と、循環反応室10の上部に設けられ、且つ2つの循環反応室
10を連通させる上部連通手段11と、循環反応室10の下部に設けられ、且つ2つの循
環反応室10を連通させる下部連通手段12と、上部連通手段11に設けられ、且つ循環
反応室10に対応する2つの排気ターボファン13と、負圧配管を介して排気ターボファ
ン13と連通している硫化水素ガス回収装置3とを含み、
図2に示すように、硫化水素ガス回収装置3は、密閉反応槽30と、密閉反応槽30の上
部に設けられる霧化アルカリ液スプレーディスク31と、密閉反応槽30の外壁に套設さ
れる硫化水素ガスジェットリング32と、高圧配管を介して硫化水素ガスジェットリング
32と排気ターボファン13を接続する接続口33と、密閉反応槽30の下部に設けられ
、且つ循環反応室10と連通している硫化ナトリウム溶液補充配管34とを含む。
上部連通手段11には、2つの循環反応室10、上部連通手段11及び下部連通手段12
の間で廃酸含有廃水を循環させる負圧装置110が設けられ、下部連通手段12は沈殿反
応装置2と連通しており、
図3に示すように、下部連通手段12は、循環反応室10の下部に設けられる連通キャビ
ティ120と、連通キャビティ120の上部の中央部に設けられる接続カバー121と、
連通キャビティ120の内部に設けられ、且つ接続カバー121の下方に位置するろ過遮
断ユニット122とを含み、
ろ過遮断ユニット122は、連通キャビティ120を排水室123とろ滓貯蔵室124に
仕切り、接続カバー121には、ろ滓貯蔵室124と連通している第1ろ液螺旋搬送機1
25が傾斜して設けられる。
図4に示すように、沈殿反応装置2は、連通キャビティ120の真下に設けられ、且つ排
水室123と連通している混合反応室20と、混合反応室20の内部に設けられる第2撹
拌器21と、混合反応室20の側壁に設けられる石灰石スラリー入り口22と、混合反応
室20の下部に設けられる石膏沈殿室23と、石膏沈殿室23に設けられるフィルタプレ
ス24とを含む。
フィルタプレス24は、石膏沈殿室23の内部に垂直に可動に設けられる2つの石膏ろ過
プレス板240と、石膏沈殿室23に設けられ、石膏ろ過プレス板240を駆動する動力
モジュール241と、傾斜して設けられ、且つ石膏沈殿室23の中央部空間と連通してい
る第2ろ液螺旋搬送機242とを含む。
これらのうち、第2ろ液螺旋搬送機242、動力モジュール241、第2撹拌器21、第
1ろ液螺旋搬送機125、負圧装置110、排気ターボファン13、第1撹拌器14は全
て従来技術により製品を採用し、具体的な製品番号は当業者が必要に応じて決定してもよ
い。
【0013】
実施例2
実施例1と比較して、以下の点が異なる。
銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理システムは、廃酸含有廃水を順次処理するた
めの、一次処理システム、二次処理システムを含み、
二次処理システムは、沈殿反応装置2と連通しているサイクロン電解凝集装置4と、サイ
クロン電解凝集装置4と連通している凝集沈殿池5とを含み、
図5に示すように、サイクロン電解凝集装置4は、両端の給水口が沈殿反応装置2と連通
しているサイクロン電解槽40と、サイクロン電解槽40の中心に設けられる中央回転軸
41と、中央回転軸41に設けられ、且つサイクロン電解槽40の給水口に近い2組のハ
イドロボルテックスファン42と、中央回転軸41に取り付けられ、且つ2つのハイドロ
ボルテックスファン42の間に位置する動的電解装置43と、サイクロン電解槽40の側
壁に水平に設けられ、且つ凝集沈殿池5と連通している排水ユニット44とを含み、
動的電解装置43は、中央回転軸41に可動に設けられる陽極コア430、陰極コア43
1を含み、
陽極コア430は中央回転軸41に近く、陰極コア431は陽極コア430外に周設され
る。
図6に示すように、陽極コア430は、中央回転軸41に套設される接続軸432と、接
続軸432の両端に設けられる第1接続枠433と、第1接続枠433に取り付けられ、
且つ中央回転軸41の径方向に均等に配置されている複数組の電極板マウント434と、
電極板マウント434に取り付けられ、中央回転軸41の軸方向に均等に配置されている
複数組の三日月状電極板437とを含み、
三日月状電極板437は、鉄電極板、アルミ電極板を含み、鉄電極板、アルミ電極板は間
隔をあけて配置されている。
図7に示すように、陰極コア431は、中央回転軸41に設けられる第2接続枠435と
、第2接続枠435に取り付けられ、且つ中央回転軸41の径方向に均等に配置されてい
る複数組の陰極電極板436とを含み、
陰極電極板436は、三日月状電極板437と、サイクロン電解槽40の内側壁との間に
位置する。
これらのうち、ハイドロボルテックスファン42は従来技術による製品を採用し、具体的
な製品番号は当業者が必要に応じて決定してもよい。
【0014】
実施例3
実施例2と比較して、以下の点が異なる。
図8に示すように、サイクロン電解槽40の側壁において6群の環状ダクト45が軸方向
に均等に配置されており、環状ダクト45においてサイクロン電解槽40と連通している
ジェットノズル46が均等に配置されている。
【0015】
実施例4
実施例1の処理システムを用いた銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処理プロセスは
、以下のステップを含む。
S1、脱ヒ素処理
まず、廃酸含有廃水と濃度35%の硫化ナトリウム溶液とを1:0.08の体積比で循環
反応室10に投入し、第1撹拌器14を用いて600r/minの回転数で持続的に撹拌
し、負圧装置110によって廃酸含有廃水と硫化ナトリウム溶液を2つの循環反応室10
、上部連通手段11及び下部連通手段12内を循環させ、次に、生成した沈殿物を分離し
て、ろ過して排出し、生成した硫化水素廃気を排気ターボファン13によって効率的に排
気し、硫化水素ガス回収装置3に送る。
S2、脱フッ素-中和処理
次に、循環反応室内の廃酸含有廃水を沈殿反応装置2に入れて、石灰石スラリーを150
0g/L加え、撹拌しながら反応させ、廃酸含有廃水と石灰石を反応させて石膏及びフッ
化カルシウム沈殿を生成し、ろ過プレスをした後、沈殿物を除去し、一次ろ液を分離し、
次に、pHが6となるまで一次ろ液に水酸化ナトリウムを加え、撹拌しながら反応させた
後、二次ろ過プレスをして、沈殿物を除去し、二次ろ液を分離する。
【0016】
実施例5
本実施例に記載の実施例2の処理システムによる銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な
処理プロセスは、以下のステップを含む。
S1、脱ヒ素処理
まず、廃酸含有廃水と濃度35%の硫化ナトリウム溶液とを1:0.08の体積比で循環
反応室10に投入し、第1撹拌器14を用いて600r/minの回転数で持続的に撹拌
し、負圧装置110によって廃酸含有廃水と硫化ナトリウム溶液とを2つの循環反応室1
0、上部連通手段11及び下部連通手段12内を循環させ、次に、生成した沈殿物を分離
して、ろ過して排出し、生成した硫化水素廃気を排気ターボファン13によって効率的に
排気し、硫化水素ガス回収装置3に送る。
S2、脱フッ素-中和処理
次に、循環反応室内の廃酸含有廃水を沈殿反応装置2に入れて、石灰石スラリーを150
0g/L加え、撹拌しながら反応させ、廃酸含有廃水と石灰石とを反応させて石膏及びフ
ッ化カルシウム沈殿を生成し、ろ過プレスをした後、沈殿物を除去し、一次ろ液を分離し
、次に、pHが6となるまで一次ろ液に水酸化ナトリウムを加え、撹拌しながら反応させ
た後、二次ろ過プレスをして、沈殿物を除去し、二次ろ液を分離する。
S3、電解高度処理
サイクロン電解槽40の両端から二次ろ液を投入し、ハイドロボルテックスファン42を
2000r/minで高速回転させて二次ろ液を渦流とし、陽極コア430、陰極コア4
31を回転させて、二次ろ液を電流密度330A/mで30min電解し、水酸化物コ
ロイドを形成し、残りの重金属等汚染物質を吸着し、最後に、水酸化物コロイドを生成し
た二次ろ液を凝集沈殿池5に送り、空気浮上・沈降分離を行う。
【0017】
実施例6
与実施例5と比較して、以下の点が異なる。
S1、脱ヒ素処理において、第1撹拌器14は2000r/minの回転数で持続的に撹
拌し、
S2、石灰石スラリーを1800g/L加え、脱フッ素-中和処理において、pHが6と
なるように一次ろ液に水酸化ナトリウムを加え、
S3、電解高度処理において、ハイドロボルテックスファン42は4000r/minで
高速回転し、電流密度は500A/m、電解時間は40minである。
【0018】
実施例7
実施例5と比較して、以下の点が異なる。
S1、脱ヒ素処理において、第1撹拌器14は2000r/minの回転数で持続的に撹
拌し、
S2、石灰石スラリーを1800g/L加え、脱フッ素-中和処理において、pHが6と
なるように一次ろ液に水酸化ナトリウムを加え、
S3、電解高度処理において、ハイドロボルテックスファン42は4000r/minで
高速回転し、電流密度は600A/m、電解時間は60minである。
【0019】
実施例8
実施例7と比較して、以下の点が異なる。
S2、脱フッ素-中和処理において、pHが7となるように一次ろ液に水酸化ナトリウム
を加える。
【0020】
実施例9
実施例7と比較して、以下の点が異なる。
S1、脱ヒ素処理において、廃酸含有廃水と濃度45%の硫化ナトリウム溶液とを1:0
.3の体積比で循環反応室10に投入し、
S2、石灰石スラリーを2800g/L加える。
【0021】
実施例10
本実施例では、実施例3の処理システムによる銅製錬における廃酸含有廃水の効率的な処
理プロセスが記載されており、実施例5と比較して、以下の点が異なる。
S3、電解高度処理
サイクロン電解槽40の両端から二次ろ液を投入し、ハイドロボルテックスファン42を
高速回転させて二次ろ液を渦流とし、陽極コア430、陰極コア431を回転させて二次
ろ液を電解し、水酸化物コロイドを形成し、それと同時に、環状ダクト45によってジェ
ットノズル46を介して渦流へマイクロバブルを充填し、マイクロバブルが水酸化物コロ
イドと組み合わせて残りの重金属などの汚染物質を吸着する。
【0022】
実験例
上記の実施例4、実施例5、実施例6及び従来技術の方法を用いて、ある銅製錬工場由来
の廃酸濃度15%の廃酸含有廃水を処理し、各実施例における試験の処理品質、及び係る
時間を以下の表1に記録する。
表1:各実施例の汚染物質除去率及び処理時間
【0023】

【0024】
(1)本発明で提供される実施例4~実施例10の試験結果と従来技術の試験結果とを比
較したところ、従来技術に比べて、本発明の技術的解決手段は、ヒ素などの不純物の除去
率を効果的に高め、処理効率を効果的に高め、単位時間内の処理量を向上させることがで
き、従来技術による廃酸含有廃水の処理品質を大幅に改善し、銅製錬企業に要求される廃
酸含有廃水の排出要件を満たすことが分かった。
(2)実施例4と実施例5の試験結果を比較したところ、実施例5は汚染物質の除去率を
さらに高めることができることが分かり、実施例5では、廃酸溶液が高度処理されるため
、廃酸溶液への処理品質がさらに高まり、サイクロン電解槽、ハイドロボルテックスファ
ン、動的電解装置が設けられることにより、廃酸含有廃水が効率的且つ動的に電解され、
水酸化ナトリウムが添加されるため、設けられる鉄電極板、アルミ電極板によって水酸化
第二鉄、水酸化アルミニウムコロイドが生成され、マイクロ凝集剤として機能し、水中の
懸濁顆粒やコロイド汚染物質がマイクロ凝集剤により吸着されて被覆され、これにより、
処理品質がさらに向上し、Cu、As、Zn、Pb、Fなどの有害物質に対する高度処理
が達成される。
(3)実施例5、実施例6を比較したところ、電解時間を延ばし、電流密度を高くすると
、処理品質をさらに高めることができることが分かり、電流密度の増大及び電解時間の延
長により、陽極電極がより多くの鉄イオン、アルミイオンを放出し、廃酸溶液中で生成し
た水酸化物コロイドが多くなり、このように、高度吸着除去が促進される。
(4)実施例5、実施例6及び実施例7を比較したところ、実施例7で提供される電解の
パラメータは本技術的解決手段で開示された最適な電解パラメータであることが分かり、
ここで、電流密度は600A/m、電解時間は60minである。
(6)実施例7と実施例8を比較したところ、電解のpHを6から7に上昇すると、処理
品質がさらに向上することが分かり、その理由として、一方面原因是pH値の上昇により
処理環境中の水酸根が多くなり、余剰な水酸根イオンが電解陽極で生成した鉄イオン、ア
ルミイオンと結合して、より多くの水酸化物コロイドが形成され、一方、水酸根イオンは
廃酸溶液中の重金属イオンとともに沈殿を形成することができ、これにより、処理効果が
よくなる。
(7)実施例7と実施例9を比較したところ、硫化ナトリウム、石灰石スラリーの添加量
を増加することにより、循環反応室10、上部連通手段11及び下部連通手段12内の循
環反応における正反応の進行が促進され、ヒ素をより十分に沈降させることに有利である
ことが分かった。さらに、試験の結果、実施例9における硫化ナトリウム、石灰石スラリ
ーの添加量が最適値であり、添加量が高すぎると、無駄を引き起こす。
(8)実施例10において増設される環状ダクト、ジェットノズルはサイクロン電解槽へ
マイクロバブルを充填し、これにより、マイクロ凝集剤について空気浮上処理を行い、マ
イクロバブルと凝集剤を組み合わせることにより吸着効果を高め、処理品質を向上させる

(9)以上の比較から、実施例10は本技術的解決手段で開示された最良な実施形態であ
り、従来技術による廃酸含有廃水の処理品質を大幅に向上させ、銅製錬企業に要求される
廃酸含有廃水の排出要件を満たす。
【符号の説明】
【0025】
1-循環反応装置、10-循環反応室、11-上部連通手段、110-負圧装置、12-
下部連通手段、120-連通キャビティ、121-接続カバー、122-ろ過遮断ユニッ
ト、123-排水室、124-ろ滓貯蔵室、125-第1ろ液螺旋搬送機、13-排気タ
ーボファン、14-第1撹拌器、2-沈殿反応装置、20-混合反応室、21-第2撹拌
器、22-石灰石スラリー入り口、23-石膏沈殿室、24-フィルタプレス、240-
石膏ろ過プレス板、241-動力モジュール、242-第2ろ液螺旋搬送機、3-硫化水
素ガス回収装置、30-密閉反応槽、31-霧化アルカリ液スプレーディスク、32-硫
化水素ガスジェットリング、33-接続口、34-硫化ナトリウム溶液補充配管、4-サ
イクロン電解凝集装置、40-サイクロン電解槽、41-中央回転軸、42-ハイドロボ
ルテックスファン、43-動的電解装置、430-陽極コア、431-陰極コア、432
-接続軸、433-第1接続枠、434-電極板マウント、437-三日月状電極板43
5-、第2接続枠、436-陰極電極板、44-排水ユニット、45-環状ダクト、46
-ジェットノズル、5-凝集沈殿池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅製錬における廃酸含有廃水の処理システムであって、
廃酸含有廃水を順次処理するための、一次処理システムと、二次処理システムとを含み、
前記一次処理システムは、循環反応装置(1)と、前記循環反応装置(1)の下方に設
けられ、且つ循環反応装置(1)の排水口と連通している沈殿反応装置(2)とを含み、
前記循環反応装置(1)は、並設された2つの循環反応室(10)と、前記循環反応室(
10)の内部に可動に設けられる第1撹拌器(14)と、前記循環反応室(10)の上部
に設けられ、且つ2つの循環反応室(10)を連通させる上部連通手段(11)と、前記
循環反応室(10)の下部に設けられ、且つ2つの循環反応室(10)を連通させる下部
連通手段(12)と、前記上部連通手段(11)に取り付けられ、且つ循環反応室(10
)に対応する2つの排気ターボファン(13)と、負圧配管を介して前記排気ターボファ
ン(13)と連通している硫化水素ガス回収装置(3)とを含み、
前記上部連通手段(11)には、2つの循環反応室(10)、上部連通手段(11)
及び下部連通手段(12)の間で廃酸含有廃水を循環させる負圧装置(110)が設けら
れ、前記下部連通手段(12)は沈殿反応装置(2)と連通しており、
前記二次処理システムは、沈殿反応装置(2)と連通しているサイクロン電解凝集装置
(4)と、前記サイクロン電解凝集装置(4)と連通している凝集沈殿池(5)とを含み

前記サイクロン電解凝集装置(4)は、両端の給水口が沈殿反応装置(2)と連通し
ているサイクロン電解槽(40)と、前記サイクロン電解槽(40)の中心に設けられる
中央回転軸(41)と、前記中央回転軸(41)に取り付けられ、且つサイクロン電解槽
(40)の給水口に近い2組のハイドロボルテックスファン(42)と、前記中央回転軸
(41)に取り付けられ、且つ2つのハイドロボルテックスファン(42)の間に位置す
る動的電解装置(43)と、前記サイクロン電解槽(40)の側壁に水平に設けられ、且
つ凝集沈殿池(5)と連通している排水ユニット(44)とを含み、
前記動的電解装置(43)は、中央回転軸(41)に可動に設けられる陽極コア(
430)と、陰極コア(431)とを含み、
前記陽極コア(430)は中央回転軸(41)に近く、前記陰極コア(431)
は陽極コア(430)外に移動可能に周設される、
ことを特徴とする処理システム。
【請求項2】
前記陽極コア(430)は、前記中央回転軸(41)上に套設される接続軸(432)と
、前記接続軸(432)の両端に設けられる第1接続枠(433)と、前記第1接続枠(
433)に取り付けられ、且つ中央回転軸(41)の径方向に均等に配置されている複数
組の電極板マウント(434)と、電極板マウント(434)に取り付けられ、中央回転
軸(41)の軸方向に均等に配置されている複数組の三日月状電極板(437)とを含み

前記三日月状電極板(437)は、鉄電極板、アルミ電極板を含み、前記鉄電極板と、ア
ルミ電極板は間隔を空けて配置されており、
前記陰極コア(431)は、前記中央回転軸(41)に取り付けられる第2接続枠(43
5)と、前記第2接続枠(435)に取り付けられ、且つ中央回転軸(41)の径方向に
均等に配置されている複数組の陰極電極板(436)とを含み、
前記陰極電極板(436)は、三日月状電極板(437)と、サイクロン電解槽(40)
の内側壁との間に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の処理システム。
【請求項3】
前記サイクロン電解槽(40)の側壁において複数組の環状ダクト(45)が軸方向に均
等に配置されており、前記環状ダクト(45)にはサイクロン電解槽(40)と連通して
いるジェットノズル(46)が均等に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の処理システム。
【請求項4】
前記下部連通手段(12)は、循環反応室(10)の下部に設けられる連通キャビティ(
120)と、前記連通キャビティ(120)の上部の中央部に設けられる接続カバー(1
21)と、前記連通キャビティ(120)の内部に設けられ、且つ接続カバー(121)
の下方に位置するろ過遮断ユニット(122)とを含み、
前記ろ過遮断ユニット(122)は、連通キャビティ(120)を排水室(123)とろ
滓貯蔵室(124)とに仕切り、前記接続カバー(121)には、ろ滓貯蔵室(124)
と連通している第1ろ液螺旋搬送機(125)が傾斜して設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の処理システム。
【請求項5】
前記沈殿反応装置(2)は、連通キャビティ(120)の真下に設けられ、且つ排水室(
123)と連通している混合反応室(20)と、前記混合反応室(20)の内部に設けら
れる第2撹拌器(21)と、混合反応室(20)の側壁に設けられる石灰石スラリー入り
口(22)と、前記混合反応室(20)の下部に設けられる石膏沈殿室(23)と、石膏
沈殿室(23)に設けられるフィルタプレス(24)とを含み、
フィルタプレス(24)は、石膏沈殿室(23)の内部に対して垂直に可動に設けられる
2つの石膏ろ過プレス板(240)と、前記石膏沈殿室(23)に設けられ、前記石膏ろ
過プレス板(240)を駆動する動力モジュール(241)と、傾斜して設けられ、且つ
石膏沈殿室(23)の中央部空間と連通している第2ろ液螺旋搬送機(242)とを含む

ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の処理システム。
【請求項6】
前記硫化水素ガス回収装置(3)は、密閉反応槽(30)と、前記密閉反応槽(30)の
上部に設けられる霧化アルカリ液スプレーディスク(31)と、前記密閉反応槽(30)
の外壁に套設される硫化水素ガスジェットリング(32)と、高圧配管を介して硫化水素
ガスジェットリング(32)と排気ターボファン(13)を接続する接続口(33)と、
密閉反応槽(30)の下部に設けられ、且つ循環反応室(10)と連通している硫化ナト
リウム溶液補充配管(34)とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の銅製錬における廃酸含有廃水の処理システム。
【請求項7】
まず、廃酸含有廃水と濃度35~45%の硫化ナトリウム溶液とを1:0.08~0.3
の体積比で循環反応室(10)に投入し、第1撹拌器(14)を用いて600~2000
r/minの回転数で持続的に撹拌し、負圧装置(110)によって廃酸含有廃水と硫化
ナトリウム溶液を2つの循環反応室(10)、上部連通手段(11)及び下部連通手段(
12)内を循環させ、次に、生成した沈殿物を分離して、ろ過して排出し、生成した硫化
水素廃気を排気ターボファン(13)によって効率的に排気し、硫化水素ガス回収装置(
3)に送る、脱ヒ素処理のステップS1と、
次に、循環反応室内の廃酸含有廃水を沈殿反応装置(2)に入れて、石灰石スラリーを1
500~2800g/L加え、撹拌しながら反応させ、廃酸含有廃水と石灰石を反応させ
て石膏及びフッ化カルシウム沈殿を生成し、ろ過プレスをした後、沈殿物を除去し、一次
ろ液を分離し、次に、pHが6~7となるまで一次ろ液に水酸化ナトリウムを加え、撹拌
しながら反応させた後、二次ろ過プレスをして、沈殿物を除去し、二次ろ液を分離する、
脱フッ素-中和処理のステップS2と、
サイクロン電解槽(40)の両端から二次ろ液を投入し、ハイドロボルテックスファン(
42)の回転によって二次ろ液を渦流とし、陽極コア(430)、陰極コア(431)を
回転させて、二次ろ液を電流密度330~600A/mで30~60min電解し、水
酸化物コロイドを形成し、残りの重金属汚染物質を吸着し、最後に、水酸化物コロイドを
生成した二次ろ液を凝集沈殿池(5)に送り、空気浮上・沈降分離を行う、電解高度処理
のステップS3とを含む、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の銅製錬における廃酸含有廃水の処理シ
ステムの処理プロセス。