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  • 特開-レンチ音報知部材の潤滑構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143851
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】レンチ音報知部材の潤滑構造
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/143 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B25B23/143
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023046083
(22)【出願日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】111110909
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】511314186
【氏名又は名称】優鋼機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】謝 智慶
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038BC01
3C038EA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レンチ音報知部材の潤滑構造を提供する。
【解決手段】内部が中空で油収容部を有し、頂端に開口部を設けた駒体と、前記駒体の側壁面に貫設され前記油収容部と連通する1つ又は複数の貫通孔と、前記駒体頂端の開口部に枢設された作動部材とを備えたレンチ音報知部材の潤滑構造を提供する。使用者は、前記油収容部内に潤滑油を予め貯留することができ、使用する時、潤滑油は前記貫通孔及び頂端の開口部から徐々に放出され、前記駒体の外側が長時間潤滑されることで、寿命を延ばすことができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空で油収容部を有し、頂端に開口部を設けた駒体と、
前記駒体の側壁面に貫設され前記油収容部と連通する1つ又は複数の貫通孔と、
前記駒体頂端の開口部に設けられた作動部材とを備えるレンチ音報知部材の潤滑構造であって、
これにより、潤滑油を前記油収容部内に貯留し、前記開口部及び前記貫通孔から放出することができるレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項2】
各前記貫通孔は、前記駒体の軸方向に沿って並べられる請求項1に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項3】
各前記貫通孔は、前記駒体の同一円周面に沿って並べられる請求項1に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項4】
前記作動部材は、ローラで、前記ローラの両端には枢軸が設けられ、前記駒体の前記開口部には前記2つの枢軸を枢設するための2つの連結溝が設けられる請求項1に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項5】
前記作動部材は、前記駒体の頂端に設けられ、前記開口部の頂端に位置する塊体であり、前記開口部の面積が前記作動部材より小さい請求項1に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項6】
前記駒体の頂面に収容溝が凹設され、前記作動部材は前記収容溝内に収容され、前記開口部が前記収容溝の底部に設けられる請求項5に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項7】
前記貫通孔は、テーパー孔とし、孔径が油収容部側から駒体の外側に向けて漸次縮径する請求項1~6のいずれか一項に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項8】
前記油収容部内に設けられた油貯留ブロックをさらに備える請求項1~6のいずれか一項に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項9】
前記駒体内に設けられ、前記作動部材と前記油収容部との間に位置する凸リブをさらに備え、前記凸リブの中央に口部が形成され、前記口部の面積は前記駒体の開口部の面積より小さい請求項1~6のいずれか一項に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【請求項10】
前記貫通孔は、前記凸リブと前記駒体の開口部との間に位置する請求項9に記載のレンチ音報知部材の潤滑構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチに関し、特に、良好な潤滑効果を提供できるレンチ音報知部材の潤滑構造に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式トルクレンチは、中空のチューブと、前記チューブ内外に取り付けられたいくつかの機械部材とから成る。機械部材同士の摩擦によって抵抗力が生じることで、トルクレンチの精度に影響を与え、摩耗も増していた。如何にして機械式トルクレンチの部材同士の摩擦抵抗を低減してトルク値の精度を維持するかは、業界が取り組んできた課題であった。
【0003】
音報知部材は、機械式トルクレンチの部材の1つで、前記チューブ内に設けられ、圧縮コイルバネによって弾性支持され、前記音報知部材を弾性支持する圧縮コイルバネの弾圧力を変えることで、前記トルクレンチの設定トルク値を調整することができる。トルクレンチの操作過程において、前記音報知部材はレンチのチューブ内をスライドするため、チューブの内壁と擦れ合う。先行技術は、音報知部材の摩擦状況に対する解決策を提案していたが、先行技術ではまだ良好な効果が見いだせず、改善する必要がある。レンチ音報知部材の潤滑構造の摩擦現象を改善するため、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、本発明を提案した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、先に駒体内に潤滑油を貯留させ、ゆっくりと放出させることにより音報知部材とトルクレンチのチューブ内壁との間の潤滑効果を高めることで、摩擦を低減し、寿命を延ばすレンチ音報知部材の潤滑構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明で提供されるレンチ音報知部材の潤滑構造は、
内部が中空で油収容部を有し、頂端に開口部を設けた駒体と、
前記駒体の側壁面に貫設され前記油収容部と連通する1つ又は複数の貫通孔と、
前記駒体頂端の開口部に枢設された作動部材とを備える。
【発明の効果】
【0006】
これにより、潤滑油を前記油収容部内に予め貯留し、前記開口部及び前記貫通孔からゆっくり放出して、駒体の外周面及び作動部材により長い時間の潤滑作用を持たせ、レンチ内で作動する時長時間潤滑されて摩擦抵抗を低くさせることができることで、前記レンチのトルク値は一定の精度を長時間維持できる。
【0007】
本発明の目的、特徴及び奏する効果をさらに理解できるようにするため、以下に3つの好ましい実施例を挙げて図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の好ましい実施例に係る音報知部材がトルクレンチに装着された場合の断面図である。
図2】本発明の第1の好ましい実施例に係る音報知部材の立体図である。
図3図2の分解立体図である。
図4図2の縦断面図である。
図5】本発明の音報知部材がトルクレンチ内に装着された状態を示す図1の部分拡大図である。
図6】本発明の第2の好ましい実施例に係る音報知部材の立体図である。
図7】本発明の第3の好ましい実施例に係る音報知部材の立体図である。
図8】本発明の第4の好ましい実施例に係る音報知部材及び音報知部材がトルクレンチに装着された場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、本発明は、トルクレンチ40のチューブ42内に装着されたレンチ音報知部材の潤滑構造10を提供する。前記レンチでネジ(ボルト又はナット)を回す力が設定トルク値に達すると、前記音報知部材10が音を発して知らせる。これについては後述する。
【実施例0010】
図2及び図3を参照すると、本発明の第1の好ましい実施例で提供される音報知部材10は、駒体20と、作動部材30とを備える。
【0011】
前記駒体20は、金属素材で作られる。前記駒体20内には、凹んで形成された油収容部21を有し、前記駒体の頂端に開口部22が形成され、前記開口部22の側面に2つの連結溝221が設けられる。なお、前記駒体20の側辺には軸方向に沿って等間隔で3つの貫通孔23が貫設され、これらの貫通孔23は前記油収容部21と連通する。
【0012】
前記作動部材30は、枢軸32が前記開口部22の連結溝221内に枢設されたローラ31であり、体積の一部は前記駒体20か突出し、一部が前記油収容部21内に位置し、前記ローラ31を前記作動部材として形成させる。前記作動部材30は、この好ましい実施例に示されるローラ31に限られるわけではなく、その他の構造形態であり得る。
【0013】
図1及び図5を参照すると、本発明の音報知部材10は、機械式トルクレンチ40のチューブ42内に装着され、前記チューブ42内をスライドすることができる。前記レンチ40は、螺着部材(ボルト又はナット)或いはソケットを嵌め込んで回すためのヘッド44を有する。前記ヘッド44は、シャンク46の先端部に固設され、前記シャンク46が枢軸47で前記チューブ42の先端部に枢設され、前記枢軸47を支点として揺動できる。前記シャンク46の後端は、チューブ42内に位置する。小型柱体48は、前記シャンク46の後端に装着され、小型柱体48の体積の一部が前記シャンク46から突出する。
【0014】
前記音報知部材10は、シャンク46の後方に位置し、他端が圧縮コイルバネ50によって弾性支持され、前記ローラ31を前記小型柱体48と弾接させる。前記音報知部材10の作動端20と前記シャンク46の後端とは外れ機構を形成する。前記レンチ40を回す力が設定トルク値を超えた時、前記シャンク46の後端の小型柱体48と前記音報知部材10上のローラ31とが相対的な滑脱動作を生じ、この滑脱作用により前記シャンク46をチューブ42に衝突させて振動と音が生じて、操作者に知らせ、操作者は前記レンチのトルクが設定トルク値に達していることを知り、締め付けを停止する。
【0015】
前記音報知部材10が前記圧縮コイルバネ50によって支持され、滑り落ちが生じる動作過程で、前記チューブ42内をスライドしている。音報知部材10をスムーズに摺動させるため、音報知部材10の駒体20内にある油収容部21の潤滑油はこれら貫通孔23及び前記開口部22から流出し続け、前記駒体20の外周面と前記チューブ42内壁との間及び前記作動部材30のローラ31上に油収容部21の潤滑油の放出によって補給され、音報知部材10周りの摩擦抵抗を低減させることができる。
【0016】
本発明は、前記音報知部材10の駒体20内の油収容部21に潤滑油を収容させ、油収容部21内の潤滑油を音報知部材10とチューブ42内壁との接合部に長時間潤滑させることができる。次に、図4を参照すると、本実施例の各油収容部21は、駒体20内に設けられ、より大きな収容スペースを有し、適量の潤滑油を収容でき、潤滑油を油収容部21内に付着させて蓄積させることで、ロスを防ぐ。
【0017】
これにより、前記音報知部材10の駒体20の油収容部21は、潤滑油を長時間ゆっくりと放出することができ、音報知部材10とチューブ42内壁との間で長期間且つ充分な潤滑を得ることで、音報知部材10とチューブ42との間の潤滑性を維持することができる。音報知部材の摩擦抵抗を長時間低減できるため、前記トルクレンチ40はトルク値の精度を長時間維持し、寿命を延ばすことができる。
【実施例0018】
図6は、本発明の音報知部材の第2の好ましい実施例で、第1の好ましい実施例と同じ構成要素には同じ符号を付したので、説明を省略する。
【0019】
前記駒体20内には、凸リブ24が設けられ、前記凸リブ24は一体的に形成される、或いは別途取り付けられ、例えばC型止め具の設置等方法で構成されることができる。前記凸リブ24の中心には口部241が形成され、前記口部の面積241は前記開口部22の面積より小さく、前記凸リブ24は前記油収容部21と前記開口部22との間に配置され、前記口部241の設置を介して前記油収容部21内の潤滑油の流速を下げ、前記油収容部21内の潤滑油を長く使用し続けるようにする。これら貫通孔23は、前記凸リブ24と前記開口部22との間に配置され、かつこれら貫通孔23は同一円周面上に等間隔で配置され、潤滑油を前記駒体20の周面から放出させることができ、前記音報知部材10と前記チューブ42との間を均等に潤滑させることができる。
【実施例0020】
図7は、本発明の音報知部材の第3の好ましい実施例で、第1の好ましい実施例と同じ構成要素には同じ符号を付したので、説明を省略する。
【0021】
前記油収容部21内には、より多くの潤滑油を貯留し、潤滑油のロスが早すぎることを避けるため、前記油収容部21内に油貯留ブロック25が設けられ、前記油貯留ブロック25はスポンジ或いはフォームその他の潤滑油を吸着できる物質で構成されることができ、より多くの潤滑油を吸着できるだけでなく、潤滑油をゆっくりと放出することもできるため、潤滑油の流れが速すぎて長時間使用できないことを防ぐことができる。なお、潤滑油の流出量を減らすため、これら貫通孔23はテーパー孔とし、これら貫通孔23の孔径が駒体20の内側から外側に向けて漸次縮径することで、出口を縮小させることができる。
【実施例0022】
図8は、本発明の音報知部材の第4の好ましい実施例で、第1の好ましい実施例と同じ構成要素には同じ符号を付したので、説明を省略する。
【0023】
前記音報知部材10の駒体20の頂面に収容溝26が凹設され、前記収容溝26の頂端は開放端となっており、前記収容溝26の底部に前記開口部22が設けられ、前記トルクレンチ40のシャンク46の底部には前記収容溝26に向き合うように上収容溝49が凹設される。前記収容溝26と前記上収容溝49との間に作動部材60が収容され、前記作動部材60は六面体である塊体61である。前記塊体61の前記収容溝26と接触する表面積は、前記開口部22の面積より大きいため、前記塊体61が前記開口部22内に引っかからない。前記塊体61は、前記収容溝26と前記上収容溝49との間に押し付けられ、かつ前記塊体61は前記油収容部21内の潤滑油に潤滑されることができ、前記塊体61に潤滑効果を形成させることができる。
【0024】
上記に開示された実施例は、本発明の技術的特徴の説明を目的のためのみであって、本発明を限定して解釈するためのものではなく、本発明のすべてのかかる均等な構造設計は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。本発明で提供される音報知部材は、この技術分野で初め考え出した構造であり、進歩性の効果を有するため、法律に基づいて出願される。
【符号の説明】
【0025】
10 音報知部材
20 駒体
21 油収容部
22 開口部
221 連結溝
23 貫通孔
24 凸リブ
241 口部
25 油貯留ブロック
26 収容溝
30 作動部材
31 ローラ
32 枢軸
40 トルクレンチ
42 チューブ
44 ヘッド
46 シャンク
47 枢軸
48 小型柱体
49 上収容溝
50 圧縮コイルバネ
60 作動部材
61 塊体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】