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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145615
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】全波形マルチパルス光学式距離計器
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20231003BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20231003BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/931
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122557
(22)【出願日】2023-07-27
(62)【分割の表示】P 2020519105の分割
【原出願日】2018-10-03
(31)【優先権主張番号】62/567,385
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/614,669
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509347284
【氏名又は名称】レッダーテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ,ピエール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の走査方向に従って領域を光学的に走査する方法を提供する。
【解決手段】複数の走査方向に対して走査順序を規定するインターリーブ・シーケンスを受信するステップと、インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを順次伝播するステップと、領域内に存在する少なくとも1つの物体上での伝播された光パルスの反射に相当するパルスエコーを検出するステップと、検出されたパルスエコーを出力するステップとを含む方法が提供される。光エコーの時間的ずれを補正するコンピュータにより実行される方法がさらに記載される。
【選択図】図22A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査方向に従って領域を光学的に走査する方法であって、
前記複数の走査方向に対して走査順序を規定するインターリーブ・シーケンスを受信するステップと、
前記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを順次伝播するステップと、
前記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での前記伝播された光パルスの反射に相当するパルスエコーを検出するステップと、
前記検出されたパルスエコーを出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記インターリーブ・シーケンスを前記受信するステップが、
前記複数の走査方向を受信することと、
前記インターリーブ・シーケンスを生成することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の走査方向を前記受信するステップが、
全走査範囲を受信することと、
走査方向数のうちの1つおよび走査方向毎の視野を受信することと、
前記走査方向を決定することと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インターリーブ・シーケンスを前記生成するステップが、
前記複数の走査方向を複数の方向サブアセンブリに分割することと、
前記方向サブアセンブリを使用して前記インターリーブ・シーケンスを生成することと、
を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを前記順次伝播するステップと、
前記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での前記伝播した光パルスの反射に相当するパルスエコーを前記検出するステップと、
前記検出されたパルスエコーを前記出力するステップと、
を反復することをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
複数の走査方向に従って領域を光学的に走査するシステムであって、
前記複数の走査方向に対して走査順序を規定するインターリーブ・シーケンスを受信するコントローラと、
前記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを順次伝播するパルス光光源と、
前記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での前記伝播された光パルスの反射に相当するパルスエコーを検出し、前記検出されたパルスエコーを出力する光検知器と、
を含む、システム。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記複数の走査方向を受信し、
前記インターリーブ・シーケンスを生成する、
ように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、
全走査範囲を受信し、
いくつかの走査方向のうちの1つおよび走査方向毎の視野を受信し、
前記走査方向を決定する、
ように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、
前記複数の走査方向を複数の方向サブアセンブリに分割し、
前記方向サブアセンブリを使用して前記インターリーブ・シーケンスを生成する、
ように構成されている、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを前記順次伝播することと、
前記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での前記伝播した光パルスの反射に相当するパルスエコーを前記検出することと、
前記検出されたパルスエコーを前記出力することと、
を反復するようにさらに構成されている、請求項6から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
物体を含む領域を光学的に走査する方法であって、
第1の光パルスを第1の射出時点で射出して前記領域を検査するステップと、
前記物体上での前記第1の光パルスの反射に関連し、前記第1の時点から開始する時間関数としての第1の検出光の強度に相当する第1のエコーを検出するステップと、
前記第1の時点と異なる第2の時点で第2の光パルスを射出するステップと、
前記物体上での前記第2の光パルスの反射に関連し、前記第2の時点から開始する時間関数としての第2の検出光の強度に相当する第2のエコーを検出するステップと、
変位速度を受信するステップと、
前記変位速度と、前記第1および第2の時点と、光の速度とを使用して、補正時間を決定するステップと、
前記補正時間を使用して前記第2のエコーを補正することによって、補正エコーを取得するステップと、
前記補正エコーを出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記変位速度を前記受信するステップが、前記変位速度を測定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記変位速度を前記受信するステップが、パルス光光源および光検知器を搭載した車両の速度を受信することを含み、前記パルス光光源は前記第1および第2の光パルスを射出し、前記光検知器は前記第1および第2のエコーを検出する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記車両の速度を前記受信するステップが、前記車両の速度を測定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のエコーを前記補正するステップが、時間関数として、前記補正時間に相当する量だけ、前記第2の検出光の強度を一時的に変換することを含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
物体を含む領域を光学的に走査するシステムにおいて、
第1の光パルスを第1の射出時点で射出して前記領域を検査し、前記第1の時点と異なる第2の時点で第2の光パルスを射出するパルス光光源と、
前記物体上での前記第1の光パルスの反射に関連し、前記第1の時点から開始する時間関数として第1の検出光の強度に相当する第1のエコー、および、前記物体上での前記第2の光パルスの反射に関連し、前記第2の時点から開始する時間関数として第2の検出光
の強度に相当する第2のエコーを検出する光検知器と、
補正部であって、
変位速度を受信し、
前記変位速度と、前記第1および第2の時点と、光の速度とを使用して、補正時間を決定し、
前記補正時間を使用して前記第2のエコーを補正することによって、補正エコーを取得し、
前記補正エコーを出力する
補正部と、
を備える、システム。
【請求項17】
前記変位速度を測定する装置をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記補正部が、前記パルス光光源および前記光検知器が搭載された車両の速度を受信するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記変位速度を測定する装置をさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記補正部が、時間関数として、前記補正時間に相当する量だけ、前記第2の検出光の強度を一時的に変換するように構成されている、請求項16から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
光エコーの時間的ずれを補正するコンピュータにより実行される方法において、
物体上での第1の光パルスの反射に関連する第1のエコーを受信するステップであって、前記第1の光パルスは関心領域を検査する第1の射出時点で射出され、前記第1のエコーは前記第1の時点から開始する時間関数として第1の検出光の強度に相当する、第1のエコーを受信するステップと、
前記物体上での第2の光パルスの反射に関連する第2のエコーを受信するステップであって、前記第2の光パルスは、前記第1の時点と異なる第2の時点で射出され、前記第2のエコーは前記第2の時点から開始する時間関数として第2の検出光の強度に相当する、第2のエコーを受信するステップと、
変位速度を受信するステップと、
前記変位速度と、前記第1および第2の時点と、光の速度とを使用して、補正時間を決定するステップと、
前記補正時間を使用して前記第2のエコーを補正することによって、補正エコーを取得するステップと、
前記補正エコーを出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記変位速度を前記受信するステップが、前記変位速度を測定することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記変位速度を前記受信するステップが、射出に使用されるパルス光光源および光検知器を搭載した車両の速度を受信することを含み、前記パルス光光源は前記第1および第2の光パルスを射出し、前記光検知器は前記第1および第2のエコーを検出する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記車両の速度を前記受信するステップが、前記車両の速度を測定することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2のエコーを前記補正するステップが、時間関数として、前記補正時間に相当する量だけ、前記第2の検出光の強度を一時的に変換することを含む、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
光エコーの時間的ずれを補正するシステムにおいて、
物体上での第1の光パルスの反射に関連する第1のエコーを受信することであって、前記第1の光パルスは関心領域を検査する第1の射出時点で射出され、前記第1のエコーは前記第1の時点から開始する時間関数として第1の検出光の強度に相当する、第1のエコーを受信することと、
前記物体上での第2の光パルスの反射に関連する第2のエコーを受信することであって、前記第2の光パルスは、前記第1の時点と異なる第2の時点で射出され、前記第2のエコーは前記第2の時点から開始する時間関数として第2の検出光の強度に相当する、第2のエコーを受信することと、
変位速度を受信することと、
前記変位速度と、前記第1および第2の時点と、光の速度とを使用して、補正時間を決定することと、
を行うように構成されている補正決定モジュールと、
前記補正時間を使用して前記第2のエコーを補正することによって、補正エコーを取得することと、
前記補正エコーを出力することと、を行うように構成されている補正適用モジュールと、
を備える、システム。
【請求項27】
前記変位速度を測定する装置をさらに備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記補正決定モジュールが、パルス光光源および光検知器を搭載した車両の速度を受信するように構成されており、前記パルス光光源は前記第1および第2の光パルスを射出し、前記光検知器は前記第1および第2のエコーを検出する、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記変位速度を測定する装置をさらに備える、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記補正適用モジュールが、時間関数として、前記補正時間に相当する量だけ、前記第2の検出光の強度を一時的に変換するように構成されている、請求項26から29のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、光学式距離計器に関し、より詳細には、全波形マルチパルスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
自動運転は、あらゆる照明条件下および環境条件下で車両が車両自体の環境を認識する必要がある。現在のところ、カメラ、レーダー、および超音波センサを使用しているが、より強力な解決策が求められている。
【0003】
可能性のある解決策として、ライダーが台頭してきている。機械式スキャナが概念的実施形態を裏付ける証拠として使用されているが、性能、信頼性、および費用に関して当業界の要件を満たしていないという根強い共通認識がある。三次元(3D)フラッシュライダーも市販されているが、供給される範囲が限定されており、非常に高額である。
【0004】
したがって、改良された距離計が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
第1の広義の態様によると、複数の走査方向に従って領域を光学的に走査する方法であって、上記複数の走査方向に対して走査順序を規定するインターリーブ・シーケンスを受信するステップと、上記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを順次伝播するステップと、上記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での上記伝播された光パルスの反射に相当するパルスエコーを検出するステップと、上記検出されたパルスエコーを出力するステップと、を含む方法を提供する。
【0006】
一実施形態では、上記インターリーブ・シーケンスを受信する上記ステップが、上記複数の走査方向を受信することと、上記インターリーブ・シーケンスを生成することとを含む。
【0007】
一実施形態では、上記複数の走査方向を受信する上記ステップが、全走査範囲を受信することと、いくつかの走査方向のうちの1つおよび走査方向毎の視野を受信することと、上記走査方向を決定することとを含む。
【0008】
一実施形態では、上記インターリーブ・シーケンスを生成する上記ステップが、上記複数の走査方向を複数の方向サブアセンブリに分割することと、上記方向サブアセンブリを使用して上記インターリーブ・シーケンスを生成することとを含む。
【0009】
一実施形態では、上記方法が、上記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを順次伝播する上記ステップと、上記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での上記伝播した光パルスの反射に相当するパルスエコーを検出する上記ステップと、上記検出されたパルスエコーを出力する上記ステップと、を反復することをさらに含む。
【0010】
第2の広義の態様によると、複数の走査方向に従ってある領域を光学的に走査するシステムであって、上記複数の走査方向に対して走査順序すなわち走査シーケンスを規定する
インターリーブ・シーケンスを受信するコントローラと、上記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを順次伝播するパルス光光源と、上記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での上記伝播された光パルスの反射に相当するパルスエコーを検出し、上記検出されたパルスエコーを出力する光検知器と、を含むシステムを提供する。
【0011】
一実施形態では、上記コントローラが、上記複数の走査方向を受信し、上記インターリーブ・シーケンスを生成するように構成されている。
【0012】
一実施形態では、上記コントローラが、全走査範囲を受信し、いくつかの走査方向のうちの1つおよび走査方向毎の視野を受信し、上記走査方向を決定するように構成されている。
【0013】
一実施形態では、上記コントローラが、上記複数の走査方向を複数の方向サブアセンブリに分割し、上記方向サブアセンブリを使用して上記インターリーブ・シーケンスを生成するように構成されている。
【0014】
一実施形態では、上記システムが、上記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを前記順次伝播することと、上記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での上記伝播した光パルスの反射に相当するパルスエコーを前記検出することと、上記検出されたパルスエコーを前記出力することと、を反復するようにさらに構成されている。
【0015】
第3の広義の態様によると、物体を含む領域を光学的に走査する方法であって、第1の光パルスを第1の射出時点で射出して上記領域を検査するステップと、上記物体上での上記第1の光パルスの反射に関連し、上記第1の時点から開始する時間関数としての第1の検出光の強度に相当する第1のエコーを検出するステップと、上記第1の時点と異なる第2の時点で第2の光パルスを射出するステップと、上記物体上での上記第2の光パルスの反射に関連し、上記第2の時点から開始する時間関数としての第2の検出光の強度に相当する第2のエコーを検出するステップと、変位速度を受信するステップと、上記変位速度と、上記第1および第2の時点と、光の速度とを使用して、補正時間を決定するステップと、上記補正時間を使用して上記第2のエコーを補正することによって、補正エコーを取得するステップと、上記補正エコーを出力するステップと、を含む方法を提供する。
【0016】
一実施形態では、上記変位速度を受信する上記ステップが、パルス光光源および光検知器を搭載した車両の速度を受信することを含み、上記パルス光光源は上記第1および第2の光パルスを射出し、上記光検知器は上記第1および第2のエコーを検出する。
【0017】
一実施形態では、上記車両の速度を受信する上記ステップが、上記車両の速度を測定することを含む。
【0018】
一実施形態では、上記第2のエコーを補正する上記ステップが、時間関数として、上記補正時間に相当する量だけ、上記第2の検出光の強度を一時的に変換することを含む。
【0019】
別の広義の態様によると、物体を含む領域を光学的に走査するシステムにおいて、第1の光パルスを第1の射出時点で射出して上記領域を検査し、上記第1の時点と異なる第2の時点で第2の光パルスを射出するパルス光光源と、上記物体上での上記第1の光パルスの反射に関連し、上記第1の時点から開始する時間関数として第1の検出光の強度に相当する第1のエコー、および上記物体上での上記第2の光パルスの反射に関連し、上記第2の時点から開始する時間関数として第2の検出光の強度に相当する第2のエコーを検出する光検知器と、補正部であって、変位速度を受信し、上記変位速度と、上記第1および第2の時点と、光の速度とを使用して、補正時間を決定し、上記補正時間を使用して上記第
2のエコーを補正することによって、補正エコーを取得し、上記補正エコーを出力する補正部と、を備えるシステムを提供する。
【0020】
一実施形態では、上記補正部が、上記パルス光光源および上記光検知器が搭載された車両の速度を受信するように構成されている。
【0021】
一実施形態では、上記システムが、上記変位速度を測定する装置をさらに備える。
一実施形態では、上記補正部が、時間関数として、上記補正時間に相当する量だけ、上記第2の検出光の強度を一時的に変換するように構成されている。
【0022】
さらなる広義の態様によると、光エコーの時間的ずれを補正するコンピュータ実装方法において、物体上での第1の光パルスの反射に関連する第1のエコーを受信するステップであって、上記第1の光パルスは関心領域を検査する第1の射出時点で射出され、上記第1のエコーは上記第1の時点から開始する時間関数として第1の検出光の強度に相当する、第1のエコーを受信するステップと、上記物体上での第2の光パルスの反射に関連する第2のエコーを受信するステップであって、上記第2の光パルスは、上記第1の時点と異なる第2の時点で射出され、上記第2のエコーは上記第2の時点から開始する時間関数として第2の検出光の強度に相当する、第2のエコーを受信するステップと、変位速度を受信するステップと、上記変位速度と、上記第1および第2の時点と、光の速度とを使用して、補正時間を決定するステップと、上記補正時間を使用して上記第2のエコーを補正することによって、補正エコーを取得するステップと、上記補正エコーを出力するステップと、を含むコンピュータにより実行される方法を提供する。
【0023】
一実施形態では、上記変位速度を受信する上記ステップが、射出に使用されるパルス光光源および光検知器を搭載した車両の速度を受信することを含み、上記パルス光光源は上記第1および第2の光パルスを射出し、上記光検知器は上記第1および第2のエコーを検出する。
【0024】
一実施形態では、上記車両の速度を受信する上記ステップが、上記車両の速度を測定することを含む。
【0025】
一実施形態では、前記第2のエコーを補正するステップが、時間関数として、上記補正時間に相当する量だけ、上記第2の検出光の強度を一時的に変換することを含む。
【0026】
さらに別の広義の態様によると、光エコーの時間的ずれを補正するシステムにおいて、物体上での第1の光パルスの反射に関連する第1のエコーを受信することであって、上記第1の光パルスは関心領域を検査する第1の射出時点で射出され、上記第1のエコーは上記第1の時点から開始する時間関数として第1の検出光の強度に相当する、第1のエコーを受信することと、上記物体上での第2の光パルスの反射に関連する第2のエコーを受信することであって、上記第2の光パルスは、上記第1の時点と異なる第2の時点で射出され、上記第2のエコーは上記第2の時点から開始する時間関数として第2の検出光の強度に相当する、第2のエコーを受信することと、変位速度を受信することと、上記変位速度と、上記第1および第2の時点と、光の速度とを使用して、補正時間を決定することと、を行うように構成されている補正決定モジュールと、上記補正時間を使用して上記第2のエコーを補正することによって、補正エコーを取得することと、上記補正エコーを出力することと、を行うように構成されている補正適用モジュールと、を備えるシステムを提供する。
【0027】
一実施形態では、上記補正決定モジュールが、パルス光光源および光検知器を搭載した車両の速度を受信するように構成されており、上記パルス光光源は上記第1および第2の
光パルスを射出し、上記光検知器は上記第1および第2のエコーを検出する。
【0028】
一実施形態では、上記システムが、上記変位速度を測定する装置をさらに備える。
一実施形態では、上記補正適用モジュールが、時間関数として、上記補正時間に相当する量だけ、上記第2の検出光の強度を一時的に変換するように構成されている。
【0029】
図面の簡単な説明
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面と併せて取り上げる以下の詳細な説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来技術による、光学式距離計器の全般的レイアウトおよび一部を形成する主要な構成要素の概略図である。
図2】一実施形態による、ライダーが射出する光パルスと、2つの検出ピークを備えた帰還信号波形のタイミングを示す図である。
図3】一実施形態による、ある交差点で停止した車両が三次元センサを装備している場面を示す図である。
図4A】従来技術による、最適な条件下での飛行時間センサの操作を示す図である。
図4B】従来技術による、実際の条件下での図4Aの飛行時間センサの操作を示す図である。
図5A】従来技術による、エコートレースを示す図である。
図5B】従来技術による、平均エコートレースを示す図である。
図5C】従来技術による、平均エコートレースを示す図である。
図6】従来技術による、三次元センサによって見えるものを表すのに使用されるグレースケールコーディングを用いた深度マップを示す。
図7】一実施形態による、ソリッドステート走査式ライダーシステムの主要な構成要素のブロック図である。
図8】一実施形態による、距離計を物理的に示す図である。
図9】一実施形態による、検出点のマトリックスを示す図である。
図10】一実施形態による、距離計を物理的に示す図である。
図11】一実施形態による、距離計を物理的に示す図である。
図12】一実施形態による、距離計を物理的に示す図である。
図13】一実施形態による、距離計を物理的に示す図である。
図14】一実施形態による、検知器アレイによって縦信号を複数の個々の測定値に分割して三次元マトリックスを構築することを示す図である。
図15】一実施形態による、マイクロミラーの回転周期を示す図である。
図16】一実施形態による、インターリーブ係数8を用いた走査方向のインターリーブ・シーケンスの生成を示す図である。
図17】一実施形態による、インターリーブ係数8を用いた走査方向のインターリーブ・シーケンスの生成を示す図である。
図18】一実施形態による、走査方向のインターリーブ・シーケンスが複数のサブシーケンスに分割される、走査方向毎の複数の射出光パルスのための方法を示すフローチャートである。
図19】一実施形態による、2つの同期信号によるマイクロミラーの回転周期を示す図である。
図20A】従来技術による、アナモフィックレンズの斜視図である。
図20B図10Aのアナモフィックレンズの側面図である。
図20C図10Aのアナモフィックレンズの前面図である。
図21】従来技術による、移動中の車両と物体との距離を示す図である。
図22A】一実施形態による、図21の車両の変位がエコーの検出タイミングに及ぼす影響を示す図である。
図22B】一実施形態による、図21の車両の変位がエコーの検出タイミングに及ぼす影響を示す図である。
図22C】一実施形態による、図21の車両の変位がエコーの検出タイミングに及ぼす影響を示す図である。
図23A】一実施形態による、車両の変位が相殺されたときのエコーの検出タイミングを示す図である。
図23B】一実施形態による、車両の変位が相殺されたときのエコーの検出タイミングを示す図である。
図23C】一実施形態による、車両の変位が相殺されたときのエコーの検出タイミングを示す図である。
図24】一実施形態による、走査方向のインターリーブ・シーケンスに従って、ある領域を走査する方法のフローチャートである。
図25】一実施形態による、走査方向のインターリーブ・シーケンスを作成する方法のフローチャートである。
図26】一実施形態による、パルス光光源の複数の視野を示す図である。
図27】一実施形態による、車両の変位を相殺する方法のフローチャートである。
図28】一実施形態による、図25の方法のステップのうちの少なくともいくつかを実行するように適合された処理モジュールのブロック図である。
図29】一実施形態による、図27の方法のステップのうちのいくつかを実行するように適合された処理モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付の図面全体を通じて、同様の特徴は同様の参照符号によって識別されることに留意されたい。
【0032】
詳細な説明
光学式距離計の構成の概要
図1の概略図を参照すると、従来技術による光学式距離計10の全般的レイアウトや主要な構成要素/サブシステムをより理解できる。光学式距離計10は、パルス飛行時間(TOF)原理に従って動作し、所定の時間特徴および空間特徴を有する光パルスの列を発する発光器20を含む。光学式距離計10はまた、光帰還信号を検知し、ついでこれらの信号を電気波形に変換する受光器40を含む。受光器40の検知チャネルは、ノイズとは区別される少なくとも1つのピークを含み得る帰還信号波形を出力する。帰還信号波形は、発光器20による各光パルスの射出後に得られるが、所与の瞬間にこの波形が有用な情報を担持していない場合も起こり得る。一方、帰還信号波形に存在する各ピークは、検知チャネルの視野(FOV)内に現在位置する物体のシグネチャである。図2は、ライダー射出光パルス90のタイミングと、2つの検出ピーク、すなわち短距離物体94および長距離物体96を有する帰還信号波形92のタイミングを示す図である。マルチチャネルがある場合、いくつかの連続的なチャネルは、たとえば巨大な物体(例:壁)の距離が測定されたかまたは物体が測定器の近づいた場合に、全く同じシグネチャ(パルスエコーとも称する)を含む波形を生成することができる。
【0033】
パルスTOF原理によると、帰還信号波形におけるシグネチャの正確な位置(タイミング)は物体までの距離を表し、一方、その相対振幅は発光器20の射出波長での物体の距離と光反射率との両方に依存する。図1はまた、受光器40の出力が、(アナログ/デジタル変換器(ADC)80によりデジタル形式に変換された後の)帰還信号波形のさらなる処理と、出力データのデータインターフェース70への送信とを実行する制御処理装置(CPU)60に接続されていることを示している。
【0034】
CPU60は、光パルスによる視野の照射中および照射後におけるエコーバック信号の完全な波形トレースを保存する。50ns未満のパルス幅および低デューティサイクルで、検知器から数メートル離れた物体での反射の完全な波形トレースを捕捉することができるように、トレースの取得が行われる時間は、このパルス幅より長い。したがって、上記の取得により、パルスの射出が始まった瞬間から、このパルスの射出が終了した後まで継続し次の短い光パルスの射出の前に終了する時間までにわたり、個々の完全な時間波形トレースを捕捉し保存することが可能になる。さらに、トレースと発せられた波形との比較を可能にするために、複数のサンプリング点を取得しなければならない。CPU60は、各光パルスを発するための発光器20へ転送されるパルストリガ信号の生成など、他のいくつかの機能を実行する。同期トリガ信号(同相または位相がずれた)もまた、帰還信号波形の取得を開始するように、受光器40へ送信される。CPUは、波形の取得の開始および停止によって取得を制御する。取得時間は、光学式距離計10がカバーする最大距離により決定される。
【0035】
光学式距離計10はまた、図1に示す各種サブシステムに電力を供給する手段を含む。明確さのため、これらの電力供給源は図1に示していない。
【0036】
発光器
発光器20は、各々の持続時間がたとえば数nsの極めて短い光パルスを放射し、この持続時間は受光器40の出力側で生成される帰還信号波形に存在し得るシグネチャの幅(持続時間)の下限を設定する。実際、光パルスで実現可能な最も短い持続時間は、発光器20内に組み込まれたドライバ電子機器および光源の両方のインパルス応答によって制限される。帰還信号波形のシグネチャは、受光器40の全体的な検知帯域幅が充分に高く、一般的に数十~数百MHzの範囲内にあれば、発せられた光パルスの忠実な複製となる。
【0037】
スペクトル面に関して言えば、発せられた光パルスのスペクトルは、たとえば電磁スペクトルの近赤外領域にある。手頃な価格の小型光源および高感度光検知器が入手可能であること、近赤外光に対して補助具なしの人間の眼の反応が弱く、そのため放射された光パルスにより気が散らないこと、および可視波長領域における対応レベルと比較してこのスペクトル領域における太陽放射照度背景レベルが弱いことなどのいくつかの要因により、近赤外光の使用が望ましい。可視光もまた、たとえば環境の照射が必要な場合(光を用いた大域的照射またはシグナリング情報)に用いることができる。可視光は、白色光であってよく、または、たとえば赤色光を生成するために特定の波長もしくは波長範囲で発せられてもよい。
【0038】
図1の実施形態では、少なくとも1個の高出力発光ダイオード(LED)装置を用いて、発光器20のLED光源22を形成する。LED光源22が発する光は、図1に示すように、たとえば視準レンズアセンブリ24に続いて光拡散器26を用いて、所望の照射野(FOI)にわたり広がるように光学的に調整可能である。視準レンズアセンブリ24は、LED光源22から発せられた拡散性が高い未加工出力光ビーム28をより良好に捕捉できるように、入力開口数が多くてもよい。レンズアセンブリ24は、捕捉された光の向きを変えて、光拡散器26の寸法に適した横断面を有する光照度分布30をその出口開口部面に形成する。同様に、レンズアセンブリ24は、拡散器26の特定された光学拡散特性を確実に満たすように、発せられた光ビーム28の拡散角を数度まで減らす。光ビームは、光拡散器26内を透過すると、発光器20のFOIを画定する開口(拡散)角を有する非対称な光円錐32に変換される。FOIに滑らかで均一の光照度分布を与えることに加えて、光拡散器26を用いることによって、LED光源22の取り付けが容易になる。拡散器26から出射する光ビーム32の空間特徴は、LED光源22に組み込まれた個々のLED装置の正確な配置や整列配置には殆ど影響されない。その結果、異なる光拡散性
を備えた光拡散器26を用いるだけで、同じLED光源22から各種のFOIを得ることができる。ホログラフィック光拡散器のピーク光透過率は、所望の波長で90%やさらにそれ以上に達し得る。さらに、入射光が所定の(非対称)FOIにわたり広がるようにホログラフィック光整形拡散器を設計することができ、各種のアプリケーション用に意図された光学式距離計で最適に用いられるように水平方向および垂直方向の両方で顕著に異なる拡散角を有していてよい。この種の光拡散器はまた、ほぼガウシアン形状をなす滑らかな出力光照度分布を有しているために好ましい。
【0039】
LED光源22から発せられた光ビーム28を光学的に調整する他の方法もまた、本発明の範囲を逸脱することなく想到可能である。たとえば、意図されたアプリケーションによって、両方の直交する横断方向に対称な極めて広いFOI(120度以上など)にわたりフラッド光32が必要な場合、LED光源22は、視準レンズアセンブリ24も光拡散器26も一切伴わずに発光器20に組み込むことができる。このような経済的アプローチが可能であるのは、LEDから発せられる未加工出力光の高拡散性および平滑性による。さらに、このようなアプローチにより、LED光源22の一部を形成する各LED装置の中心射出軸の向きを個別に調整することによって、結果的に得られるFOIを若干調整することが可能になる。代替として、光拡散器26の代わりにレンチキュラレンズシートを使用してもよい。レンチキュラレンズシートは一般的に、互いに平行で拡大鏡のアレイとして機能する一組の線形なひだ(レンチクルと呼ばれる)により一方の表面がエンボス加工された、押出加工プラスチックシートからなる。レンチキュラレンズは、単一横方向(レンチクルの向きに垂直)に沿って光を広げるために用いられ、意図されたアプリケーションによって必要である特定のFOIを生成することができる。LED反射器によってまた、極めて低コストで光を整形することができる。
【0040】
最後に、発光器20はまた、パルスTOF原理の効果的な実装に適したピーク振幅および持続時間を有する電流パルスを用いてLED光源22を駆動する電子機器34を含んでいる。上述のように、CPU60によって生成されたパルス電圧トリガ信号が、LEDドライバ電子機器34による各電流パルスの生成を命令する。たとえば、光パルスは、典型的には50ns未満の持続時間で発することができる。パルスが射出される繰り返し率に応じて、射出のデューティサイクル(相対ON時間)は0.1%まで低くすることができる。低いデューティサイクルでLED光源22を駆動することによって、寿命を短縮することなく、LED光源22の公称定格電流を大幅に上回る値でピーク電流駆動レベルを向上させることができる。放射された光パルスの所望のピーク光出力を得るために、LEDのピーク駆動レベルの低下は、追加的なLED光源22を発光器20に搭載してこれらの駆動電子機器34を適切に多重化することで、補償されことができる。
【0041】
0.1%未満のデューティサイクルでパルス幅が50nsより狭い場合、公称値の数倍の振幅を得ることができる。例示的実施形態では、0.2%のデューティサイクルでパルス幅が20nsとなる。デューティサイクル=パルス幅×フレームレートであるため、本例のフレームレートは100kHzである。別の例示的実施形態では、0.5%のデューティサイクルおよび50nsのパルス幅で、本システムは100kHzのフレームレートに達する、すなわち毎秒100,000パルスが発せられる。したがって、各パルス間の時間は10μsである。
【0042】
距離=取得時間×光の速度/2であり、必要な距離が90mである場合、完全な波形の取得は600ns持続するが、これはパルス幅よりはるかに長く、パルスが発せられたときに開始され、次のパルスが射出する前に終了する。別の例示的実施形態では、0.1%のデューティサイクルおよび20nsのパルス幅で、本システムは50kHzのフレームレートに達する。これらの高いフレームレートは、適切なパルス/変調ドライバを備えたLEDの使用により可能となる。
【0043】
放射された光ビームが集められた重なりが結果的にFOIのより良好な充填(均一性)を生むように、各LED光源22を特定の方向に沿って個別に整列配置(光学的ボアサイト調整)することによって、発光器20は複数のLED光源22を用いることの利点をさらに得ることができる。このようなアプローチによって、光拡散器26を用いることなく、所望の全体寸法を有する均一なFOIが得られる。
【0044】
受光器
受光器は、少なくとも1つの検知器のアレイを有する。このアレイは、1次元であっても2次元であってもよい。
【0045】
一実施形態では、水平方向に沿って延びるN個の小型FOVの1×N個の線形配列からなる全FOV内に位置する物体の光検知および距離測定は、図1の概略図に示すように、受光器の構成40によって可能になる。図1では、水平面がページの平面と平行に設定されている。基準X軸も図1に示されているが、基準Z軸に対して垂直な方向に水平に設定され、基準Z軸は発光器20および受光器40の両方の光軸が指す方向に平行(すなわち、測定器10の照準線と平行)である。よって、X軸およびZ軸の両方に直交するY軸は、垂直方向を指す。全視野は、光学式距離計器の発光器が生成する照射野(FOI)で囲まれている。
【0046】
必要な水平範囲FOVは、意図されたアプリケーションに応じて変動する。たとえば、自動車アプリケーションにおいて、衝突前緩和用のシステムでは約15度、盲点検知用では40度、駐車支援用のシステムでは85度に達し得る。例示的な一実施形態では、全視野の最小全範囲は、15度×2.5度である。別の例示的実施形態において、全視野の全範囲は、85度×13度である。
【0047】
受光器40の集光開口部に入射する光帰還信号は、最初に、発光器20の射出スペクトルにより決定される限られた波長帯域から外れた波長スペクトルを有する寄生背景光の部分を遮断する光学フィルタ42(任意選択)を通過する。光学フィルタ42の帯域通過を比較的広く選択しなければならず、ある状況では、光学フィルタ42を使用することなく受光器40を動作させることが望ましい場合がある。より便利にすべく、光学フィルタリング動作はまた、光波長スペクトルのある部分を遮断すべく面のうちの1つが適切な光学フィルムでコーティングされた市販の光保護窓の使用によって実現可能である。代替として、波長選択的光透過率を可能にすべく、所定の材料から作られた高耐性の保護窓が、取得可能である。
【0048】
光学フィルタ42を透過する光帰還信号の部分は、ついで、対物レンズ44を介して伝送される。対物レンズ44は、対物レンズ44の焦点面内で(またはその近傍で)、水平方向横ならびに配置された一連の光検知器46の感光面に集光させる。対物レンズ44は、図1に模式的に示すように、単一のレンズ素子を含んでいてよく、または、複数のレンズ素子を含む光学アセンブリとして実装されていてもよい。代替として、対物レンズ44は、鏡または鏡と補正レンズ/プレートの組み合わせにより構築することができる。
【0049】
光検知器46のアレイは、たとえば同一の特徴を有する複数の個々の光検知器を含んでいる。上述のように、各光検知器の感光表面積は、対応するFOVを決定する。
【0050】
光学式距離測定器10の例示的実施形態の受光器40はまた、PINフォトダイオードのアレイ46の出力側で未加工の電流波形を調整するアナログフロントエンド電子機器48を含んでいる。当業者に明らかであるように、例示的アナログフロントエンド電子機器48は、低ノイズトランスインピーダンス増幅器、広帯域増幅段、およびPINフォトダ
イオードのアレイ46にバイアスをかける低電圧回路を含んでいてよい。PINアレイ46とマルチチャネル・アナログフロントエンド電子機器48は、同一のプリント回路基板を共有することができ、かつ、たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)の形として一体化できる。
【0051】
フロントエンド電子機器48のアナログ出力が、アナログ電圧波形をデジタル化するアナログ/デジタル変換器(ADC)ボード80に転送される。各検知チャネル毎に毎秒数十~数百個のメガサンプルの速度でデジタル化することよって、帰還信号波形に存在し得るシグネチャの取りこぼしを低減するのに充分な距離分解能が得られる。計器10がFOV内に存在する物体を検知するので、シグネチャの持続時間はほぼ同じままである点に注意されたい。これは、ADCボード80のサンプリング周波数を、好都合なサンプリング点数で各シグネチャのサンプリングをするのに充分高く選択できることを意味する。50ns未満のパルス幅および低デューティサイクルで、検知器から数メートル離れた物体での反射の完全な波形トレースを捕捉することができるように、トレースの取得が行われる時間は、このパルス幅より長い。さらに、トレースと発せられた波形との比較を可能にするために、複数のサンプリング点を取得しなければならない。取得プロセスはまた、シフト技術を用いて、ADC80のサンプリング周波数を減らすことができる。
【0052】
制御処理装置(CPU)
ADCボード80の出力側における時間系列数値データストリームの組、すなわちデジタル化された帰還信号波形の組は、さらなる処理のためCPU60へ転送される。CPU60の中核は、たとえば、組み込みアプリケーションに適していて、必要なチャネル数で並列処理を実行可能なマイクロプロセッサーアセンブリである。CPU60はまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate
Array:FPGA)、デジタル信号プロセッサー(Digital Signal
Processor:DSP)、その他のプログラム可能な論理回路など、他の種類の処理手段を中心に展開することもできる。数値処理の性質および範囲は、意図されたアプリケーションに依存する。CPU60は、ついで、Ethernet(登録商標)、USB、またはCANbusなどの例示的なデータ通信インターフェース下で動作するデータインターフェース70を介して光学式距離計10を組み込み可能な、より高レベルのシステムに出力データを伝送することができる。
【0053】
記録された信号波形の数値処理
光学式距離計器10は、物体の検知や距離測定を行う最大距離により定められた適切な時間間隔にわたり取得されたデジタル化帰還信号波形の組を出力することができるため、完全な波形の光検知および距離測定(Light Detection And Ranging:LIDAR)計器であると考えることができる。検知されたピークが所定の閾値を超えるとすぐに電子カウンターを停止することによって物体の距離測定を行う古典的アナログ光学式距離計と比較すると、完全波形計器は、記録されたデジタル波形に対して多くの数値処理タスクを実行可能にすることによって、より大きな柔軟性を提供する。
【0054】
たとえば、任意の所与の検知チャネルに関連付けられた帰還信号波形に存在し得るシグネチャの信号対ノイズ比(SNR)は、チャネルにより取得された多数の連続的な波形の平均をとることにより、向上することができる。連続的な波形に存在するノイズ寄与が互いに独立しており完全に無相関であるならば、標準的な信号平均化(累積)がもたらすSNRを向上させることができる。固定的なパターンノイズ寄与を適切に除去した後で多く見られるように、この条件が満たされると、波形のSNRは(nW)1/2倍増加する可能性がある。ここでは、nWは平均化された波形の数である。平均化された波形数を制限する別の条件は、シグネチャを生成する処理の定常性へのニーズである。換言すれば、波形に存在するシグネチャの特性(ピーク振幅、形状、時間/距離位置)が、平均化される
波形の完全な組を記録するのに必要な時間にわたり不変のままでなければならない。光学式距離計10に対して急速に移動する物体の検知を試みる場合、この条件の遵守が困難となり得る。移動物体に関連付けられたシグネチャは、波形毎に多少感知可能な程度にドリフトする。このような状況は、本明細書に記述する光学式距離計10が意図されたアプリケーションで頻繁に生じるが、発光器20の充分に高い、たとえばkHz範囲のパルス繰り返し率を選択することにより、その有害な影響を軽減することができる。高繰り返し率で動作することによって、充分に短い時間間隔内に多数の帰還信号波形の捕捉が可能になり、所与の移動物体に関連付けられたシグネチャの顕著なドリフトが防止される。移動物体を扱う別の方法は、移動物体からのシグネチャのSNRの向上を特に目的とした帰還信号波形の洗練された数値処理を実行することである。
【0055】
図3は、車両102が三次元センサ104を装備している場面100を示す図である。車両102は、自転車110の自転車ドライバと、歩行者112と、自動二輪車114の自動二輪車ドライバと、道路作業バレル116と、前向きの車両118とを含む複数の物体108が存在する交差点106で停止している。三次元センサ104の三次元視野120は、実際の実施形態では一般的には見た目に明らかではないが、図式的に表されている。
【0056】
図4Aに示すように、視野の狭い飛行時間センサを使用して反射ターゲットで反射された光パルスを検出する最適な状況では、強い信号が直接LiDAR受信器に戻される。実際の状況では、視野の狭い飛行時間センサを使用して車両などの平常のターゲットで反射された光パルスを検出するが、入射光信号が車両に当たると散乱し、図4Bに示すように、その光のわずかな部分(距離の2乗で減少)のみがLiDAR受信器に戻る。容易にわかるように、シングルポイントLiDARシステムの視野(FOV)は限定されている。シングルポイントセンサは、観察される領域全体を直接的にはカバーしない。戻された信号は、著しい信号の散乱により、強度と有効範囲が減少している。
【0057】
実際には、図5Aのタイプの複数のエコートレースが累積され、平均化されて、図5Bおよび図5Cに示すように信号を平滑化することが可能となる。累積されたエコートレースの数とともに、SNRが向上する。図6は、三次元センサによって見えるものを表すのに使用されるグレースケールコーディングを用いた深度マップを示す。
【0058】
図7は、ソリッドステート走査式LiDARシステムの主要な構成要素の例示的なブロック図を示す。光源222は、たとえば、レーザダイオードであり、MEMSマイクロミラーのようなビームステアリング要素224を備えている。
【0059】
図8は、シングルエミッタとフォトダイオードアレイを含む一実施形態のシステムコンポーネントを物理的に示しており、ここでは、このエミッタのみにビームステアリング要素が備えられている。
【0060】
このスキャナは、多重パルス測定による共振MEMSマイクロミラーを使用する。MEMSミラーには、線形モードと共振モードの2つの動作モードがある。共振ミラーによって、高速運動、大きな機械的可動域、および振動への高耐性がもたらされる。多重パルス測定は、ひとつの測定を形成するための複数の集録の累積である。それによって、SNRが向上する。
【0061】
三次元スキャナの発光器側220の主な構成要素は、レーザダイオード222、MEMSマイクロミラー224、および拡散レンズ226である。図10は、視準レンズを含んでいてもよく、振動するマイクロミラーに向けられる平行レーザビームをパルス化する例示的なレーザダイオード222を示す。図11は、単軸で極めて高い周波数で振動するマ
イクロミラーの一例を示す。図12は、例示的な拡散レンズ226を通過した後の拡散したレーザビームを示す図である。
【0062】
レーザダイオード222は、平行レーザビーム228を平均周波数でパルス化する。この周波数は、MEMSマイクロミラー224の周波数に適合される。例示的な一実施形態では、平均周波数は55.7kHzである。レーザビーム228は、MEMSマイクロミラー224の共振の1周期中に何度もパルス化される。MEMSマイクロミラー224は、共振周波数を有し、1つの軸で振動し、垂直パターンまたは水平パターンの光230を生成する。例示的な一実施形態では、パターンは垂直である。拡散レンズ226は、平行レーザビームを拡散して、拡散ビーム232を作成する。例示的な一実施形態では、このビームは元々0.25×0.25ビームであり、拡散レンズはビームを20度拡散して0.25×20度のビームを得る。
【0063】
三次元スキャナの受光器側240の主要な構成要素は、レシーバレンズ244およびAPDアレイ(アバランシェフォトダイオード)などの光検知器246である。図13は、光を捕捉するレシーバレンズ244の一例を示している。レシーバレンズ244は、反射光ビームをAPDアレイ246に集光する。アレイAPD246は、受信した光によって刺激される。図14は、一例のAPDアレイ246が各垂直信号を複数の個々の測定でセグメント化して三次元マトリックスを構築する方法を示している。
【0064】
図20は、アナモルフィックレンズ(図20A)の一例を示し、その平行(図20B)図と垂直(図20C)図である。アナモルフィックレンズは、結果として得られる視野がセンサの形状因子の唯一の機能とならないように、視野を圧縮または拡大するために使用される。アナモルフィックレンズは、レシーバレンズ244として使用可能である。
【0065】
使用中、レーザダイオード222は、マイクロミラー224に向けられる平行レーザビーム228をパルス化する。平行レーザビーム228は、MEMSマイクロミラー224に到達し、ミラーによって拡散レンズ226へと向きを変えられる。平行レーザビーム230は、レーザビームを拡散させる拡散レンズ226に到達する。拡散したレーザビーム232が物体に到達すると、この物体は光を反射する。反射した光は、ついで、レシーバレンズ244によって受けられる。レシーバレンズ244はアレイフォトダイオード246へとこの光の向きを変える。アレイの各ピクセルは、ピクセル線を生成する対応する出力ポートに情報を送る。64素子のアレイフォトダイオードを使用すると、64ピクセル線が作成される。
【0066】
マトリックスを完成させるために、このシーケンスをマイクロミラー224のさまざまな角度で複数回実行する。例示的な一実施形態では、このシーケンスは256回繰り返され、1つのシーケンスはマイクロミラー224の256個の異なる角度で繰り返される。結果、1つの256×64マトリックスが作成される。MEMSマイクロミラー224は、共振状態で動作し、準正弦波軌道を有する。MEMSマイクロミラー224は1つの軸で振動し、水平面または垂直面をスイープすることができる。例示的な一実施形態では、この面が-30度から+30度まで水平方向にスイープされる。別の実施形態では、この面が-15度から+15度までスイープされる。
【0067】
レーザダイオード222のパルスは、ミラー224の共振周期と同期される。マイクロミラー224はフレームレートよりも高い周波数を有するので、複数の取得を完了するためには複数の共振周期が必要である。共振周期の一例では、レーザビームが32回パルス化される
図24は、検知される物体を含み得る領域を光学走査するための方法300の一実施形態を示す。この方法は、パルス光光源、光検知器、およびコントローラを含む、ライダー
光学式距離計などの光学システムによって実施される。コントローラは、マイクロプロセッサなどの制御ユニット、データを格納するメモリ、ならびにデータを受信および/または送信する通信ユニットを備える。
【0068】
ステップ302では、走査方向のインターリーブ・シーケンスを受信する。走査方向とは、光パルスが射出される方向を指す。パルス光光源は、以下でさらに詳細に説明するように、それが光パルスを射出する方向を変更するように適合されていることを理解されたい。走査される領域は複数のサブ領域に分割され、パルスが対応する走査方向に沿って射出される場合、サブ領域それぞれが光学システムの視野に相当する。光学システムはさらに、走査方向を変更するように適合されているので、所与の数の走査方向が、走査される領域をカバーするために必要である。結果として、光学システムは、複数の異なる走査方向に沿って光パルスを順次射出するように適合され、それぞれの視野は各走査方向に対応する。
【0069】
従来技術では、走査方向を左端方向から右端方向に、またはその逆に連続的に変更することによって、サブ領域が連続的に走査される。たとえば、パルス光光源は、左端方向に沿って第1の光パルスを発するように配置されている。ついで、パルス光光源の方向が変更されて、第2の光パルスが第2の走査方向に沿って射出され、第2の走査方向とは、第1の走査方向の右側の近くにある第1の方向である。ついで、パルス光光源の方向が変更されて、第3の光パルスが第3の走査方向に沿って射出され、第3の走査方向とは、第2の走査方向の右側の近くにある第1の方向である。これらのステップは、右端の走査方向に沿って光パルスが射出されるまで繰り返される。したがって、従来技術によると、走査方向は、左端方向から右端の走査方向に向かって、または右端の走査方向から左端の走査方向に向かって昇順に連続的に走査される。
【0070】
従来技術とは対照的に、ステップ302で受信された走査方向のインターリーブ・シーケンスは、走査方向に関して、左端方向から右端の走査方向に向かって、または右端の走査方向から左端の走査方向に向かって昇順であると定義しておらず、このことを以下により詳細に説明する。
【0071】
再び図24を参照すると、ステップ304では、光パルスは、インターリーブ・シーケンスにリストされているスキャン位置に従って、光学システムによって順次射出される。第1の光パルスは、インターリーブ・シーケンスの第1の位置を占める走査方向に従って射出される。ついで、インターリーブ・シーケンスで第2の位置を占める走査方向に従って第2の光パルスが射出され、以下、インターリーブ・シーケンスの最後の位置を占める走査方向に従って光パルスが射出されるまで、同様に光パルスが射出される。
【0072】
ステップ306では、パルスエコーは光学システムによって検出される、すなわち、各パルスエコーの時間あたりの強度または振幅が感知され測定される。このパルスエコーは、スキャンされた領域に存在する物体上での射出されたパルスの反射に相当する。光学システムが全波形ライダー距離計である一実施形態では、所定の射出パルスに対するパルスエコーは、所定の射出パルスが射出された時間と次のパルスが射出される時間との間に含まれる期間中に検出された光に対応する。
【0073】
ステップ308では、検出されたパルスエコーが出力される、すなわち、時間関数としてのパルスエコーの検出された光強度または振幅が出力される。たとえば、検出されたパルスエコーはメモリに保存されてもよい。一実施形態では、検出されたパルスエコーに対応する走査方向の識別が、パルスエコーとともに出力される。
【0074】
図25は、インターリーブ・シーケンスを生成する方法318の一実施形態を示す。こ
の方法318は、光学システムのコントローラによって実行され得ることを理解されたい。代替として、インターリーブ・シーケンスは、光学システムから独立したコンピュータ機器によって生成され、その後光学システムに送信される。
【0075】
ステップ320では、関心領域を走査するために必要な走査方向が受信される。たとえば、N走査方向d、d、d、…、d、…dは、ステップ320で受信可能である。ここで、Nは走査方向の総数である。
【0076】
ステップ322では、受信した走査方向が、方向SUB、SUB、…、SUBの複数のSサブアセンブリに分割される。ここで、Sは方向サブアセンブリの数である。各サブアセンブリSUBは、受信した走査方向から選択された所定数nの走査方向を含み、したがって受信した走査方向から選択された方向の順序付きリストに対応する。
【0077】
一実施形態では、方向サブアセンブリがすべて、同じ数の方向を含んでいるため、サブアセンブリ全体でnは一定であり、次のようになる。
【0078】
=n=…=n=n
この場合、N=n*Sである。別の実施形態では、サブアセンブリに含まれる方向の数は、サブアセンブリごとに異なっていてもよい。
【0079】
一実施形態では、受信された同じ走査方向は、少なくとも2つの異なるサブアセンブリに含まれていてもよい。別の実施形態では、2つの異なるサブアセンブリが、受信された同じ走査方向を含むことができないように、受信された走査方向を単一のサブアセンブリに割り当ててもよい。
【0080】
ステップ324では、方向サブアセンブリSUBを使用してインターリーブ・シーケンスISが作成される。すべてのサブアセンブリが等しい数nの方向を含む場合、インターリーブ・シーケンスISは次のように表すことができる。
【0081】
IS=[SUB(1),SUB(1),…,SUB(1),SUB(2),SUB(2),…,SUB(2),…,SUB(n),SUB(n),…,SUB(n)]
ここで、
SUB=[SUB(1),SUB(2),…,SUB(n)]
SUB=[SUB(1),SUB(2),…,SUB(n)]…
SUB=[SUB(1),SUB(2),…,SUB(n)]、および
SUB(i)は、ステップ320で受信した走査方向のうちの所定の1つに対応する。
【0082】
一実施形態では、方法300は、走査される関心領域の関数として、走査方向を決定するステップをさらに含む。この場合、方法300は、関心領域を受信するステップを含む。たとえば、関心領域は、[-30度、+30度]などの初期角度範囲として定義でき、この初期角度範囲は、予め定義するか、またはユーザが入力すると受信され得る走査方向の数で割って、複数のサブ角度範囲を取得し、そのサブ角度範囲のそれぞれは各走査方向に関連付けられている。たとえば、各走査方向がそれぞれのサブ角度範囲の中心に配置されてもよい。
【0083】
理解されたいのは、関心領域を走査するための走査方向を生成する任意の適切な方法が使用可能なことである。上記の例では、走査方向の数は予め定義されているが、他のシナリオも可能であり得る。たとえば、2つの連続する走査方向間の角距離を予め定義しても
よい。
【0084】
図26は、関心領域を光学的に走査するために、12個の異なる走査方向d、…、d12に従って、パルス光光源328によって光パルスが射出されるシナリオを示している。12個の走査方向d、…、d12のそれぞれは、それぞれの視野330、…、352に関連付けられている。
【0085】
理解されたいのは、光パルスの射出方向を変更するように適合された任意の適切なパルス光光源を使用してもよいことである。たとえば、パルス光光源328は、走査方向を変更すべく電動式かつ回転式であってもよい。一例では、パルス光光源328が電動式回転ステージを備えていてもよい。別の例では、パルス光光源328は、走査方向を変更するために、少なくとも1つの電動式の回転可能なミラーを備えていてもよい。さらなる実施形態では、パルス光光源328を含む光学システムが、図8に示す距離計に相当していてもよく、そのため、パルス光光源328は、走査方向を変更するために共振モードで動作するMEMSマイクロミラーを含む。図15は、共振で動作するマイクロミラーの角位置または向きの共振周期の一例を示している。共振周期は、マイクロミラーが第1の極限の角位置または向きから第2の極限の角位置または向きに回転する第1の半周期と、マイクロミラーが第2の極限の角位置または向きから第1の極限の角位置または向きに戻って回転する第2の半周期とで構成される。この例示的な周期では、32個の光パルスが、単一の共振周期中にマイクロミラーによって反射されてもよい。図19は、-14度~+14度の振動に対するミラー同期信号のグラフの一例を示している。当技術分野で知られているように、2つの同期信号を使用して、マイクロミラーの正確な向きを決定する。一実施形態では、例示的実施形態のミラー周波数は、約1300Hz~約1750Hzの範囲である。
【0086】
従来技術によれば、光パルスは、走査方向の昇順で反復的および連続的に射出される。昇順が左端から右端である例では、光源328の走査方向が左端の視野330の走査方向dに対応する場合に第1のパルスが射出される。たとえば、走査方向dは、視野330内の中央に配置されてもよい。次に、パルス光光源328の軸が視野332に対応する第2の方向dに従って向けられると第2の光パルスが射出され、パルス光光源328の軸が視野334に対応する第3の方向dに従って向けられると第3の光パルスが射出され、以下、パルス光光源328の軸が右端の視野352に対応する12番目の方向d12に沿って向けられると光パルスが射出されるまで、同様に光パルスが射出される。共振ミラーは、光パルスの射出方向を変更するのに使用してもよく、パルス光光源のパルスレートは、各走査方向d、…、d12に対してパルスが射出されるように調整される一方、ミラーは、方向dに対応する左端の角位置から方向d12に対応する右端の方向に回転する。
【0087】
本方法によれば、従来技術の方法とは対照的に、光パルスは、走査方向の昇順によるのではなく、走査方向のインターリーブ・シーケンスに従って射出される。
【0088】
たとえば、3つの方向サブアセンブリを次のように作成することができる。
SUB=[d,d,d,d
SUB=[d,d,d,d
SUB=[d,d10,d11,d12
この場合、インターリーブ・シーケンスISは以下の通りである。
【0089】
IS=[d,d,d,d2,,d10,d,d,d11,d,d,d12
上記の従来技術の方法と比較して、方向を調整するために共振ミラーが使用される例を
再び参照すると、共振ミラーの動作が同じ、たとえば同じ回転速度であると仮定すると、2つのパルスの射出間の時間が長くなる。従来技術では、ミラーが第2の方向dに従って向けられたときに第2のパルスが射出されるが、本方法によると、ミラーが第5の方向dに従って向けられたときにのみ第2のパルスが射出される。ミラーは第1方向dから第2方向dに回転するよりもミラーが第1方向dから第5方向dに回転するのに時間がかかるため、エコーを検出する時間が従来技術と比較して増加し、したがって、従来技術と比較して、物体の明確な検出範囲も増加する。しかしながら、本方法は、従来技術の方法と比較して、領域全体を走査する時間がより多く必要である。というのは、従来技術の方法では、12方向を走査するには左端の角位置から右端の角位置までミラーを1回転する必要がある一方、12方向を走査するにはミラーを左端の位置から右端の位置まで4回転する必要があるためである。
【0090】
本方法の一実施形態では、および上述のように、ミラーの回転の半周期の間、すなわち、ミラーがその左端の角位置からその右端の角位置に、またはその逆に回転する間にのみ、光パルスが射出される。図15
別の実施形態では、ミラーの回転の全周期の間、すなわち、ミラーが左端の角位置から右端の角位置に回転するとき、およびミラーが右端の角位置から左端の角位置に回転するときに、光パルスが射出される。
【0091】
図26に示した前の例を参照すると、マイクロミラーの2つの完全な共振周期中に光パルスが射出される場合、次の3つのサブアセンブリが作成され得る。
【0092】
SUB=[d,d10,d,d
SUB=[d,d,d,d
SUB=[d12,d,d11,d
この場合、インターリーブ・シーケンスISは以下の通りである。
【0093】
IS=[d,d,d12,d10,,d,d,d,d11,d,d,d
ミラーの第1の半回転周期中、つまりはミラーが左端の角位置から右端の角位置に回転するときに方向d、d、d12が達成される一方で、ミラーの次の半回転周期中、すなわち、ミラーが右端の角位置から左端の角位置に回転するときに方向d10、d、dが達成される。したがって、ミラーの第1の全回転周期中に6方向が走査可能である。ミラーの第3の半回転周期中、すなわち、ミラーが左端の角位置から右端の角位置に回転するときに方向d、d、d11が達成される一方で、ミラーの第4の半回転周期中、すなわち、ミラーが右端の角位置から左端の角位置に回転するときに方向d9、、dが達成される。したがって、ミラーの第2の全回転周期中に6つの追加の方向が走査可能であり、モーターのたった2つの全回転周期で12の方向が走査可能である。
【0094】
一実施形態では、光学システムが、上述のように全波形ライダー計器であり、走査方向ごとに少なくとも2つのパルスが射出される。
【0095】
測定ごとに複数の光パルスが各走査方向に対し射出される実施形態では、インターリーブ・シーケンスが、走査方向ごとに射出される光パルス数に対応する所定の回数だけ、繰り返し実行されてもよい。この場合、インターリーブ・シーケンスで定義された順序に従って、各走査方向に第1の光パルスが射出される。次にまた、このインターリーブ・シーケンスに従って、第2の光パルスが各走査方向に射出され、以下、所定数の光パルスが走査方向ごとに射出されるまで、同様に光パルスが射出される。
【0096】
1回の測定中に複数の光パルスが各走査方向に射出される別の実施形態では、インター
リーブ・シーケンスが、走査方向ごとに射出され光パルスの数に対応する所定の回数だけ実行される複数のインターリーブ・サブシーケンスに分割されてもよい。この場合、第1のインターリーブ・サブシーケンスが所定の回数だけ実行され、次に第2のインターリーブ・サブシーケンスが所定の回数だけ実行され、以下、図18の例示的フローチャートに示すように、同様に実行される。この例示的方法では、第1のステップは、すべてのパラメータをゼロに設定することである。マイクロミラーの位置を確認する。マイクロミラーが初期の予め定められた位置にない場合、マイクロミラーの位置を調整する。マイクロミラーの位置が正しい場合、第1のバンクまたは走査方向サブアセンブリで定義された第1の走査方向に従って、第1のパルスが射出される。次に、走査方向の第1のバンクで定義された第2の走査方向に従って第2のパルスが射出され、走査方向の第1のバンクで定義された第3の走査方向に従って第3のパルスが射出され、以下、第1のバンクで定義されたすべての走査方向が1度走査されるまで、すなわち、第1のパルスが第1のバンクに含まれる各走査方向に従って順次送信されるまで、同様にパルスが射出される。次に、所望のサンプル数に達するまで、これらのステップ、すなわち、第1のバンクに含まれるすべての走査方向の順次走査を、所定の回数だけ繰り返す。
【0097】
一旦第1のバンクのすべてのラインすなわち走査方向が所定数だけ走査され、所望のサンプル数が取得されると、バンクカウンターがインクリメントされ、第2のバンクの走査方向が走査される。第2のバンクまたは走査方向サブアセンブリで定義された第1の走査方向に従って、第1のパルスが射出される。次に、走査方向の第2のバンクで定義された第2の走査方向に従ってパルスが射出され、走査方向の第2のバンクで定義された第3の走査方向に従ってさらなるパルスが射出され、以下、第2のバンクで定義されたすべての走査方向が1度走査されるまで、すなわち、第1のパルスが第2のバンクに含まれる各走査方向に従って順次送信されるまで、同様に光パルスが射出される。次に、所望のサンプル数に達するまで、これらのステップ、すなわち、第2のバンクに含まれるすべての走査方向の順次走査を、所定の回数だけ繰り返す。
【0098】
上記のステップは、走査方向のすべてのバンクが走査されるまで繰り返される。
一実施形態では、インターリーブ・シーケンスは、マイクロミラーの半回転周期中に、またはマイクロミラーの全回転周期中に実行される走査方向を含んでいてもよい。
【0099】
たとえば、インターリーブ・シーケンスは以下の通りであってもよい。
IS=[d,d,d,d2,,d10,d,d,d11,d,d,d12
たとえば、以下のように、インターリーブ・シーケンスが、マイクロミラーの半回転周期中に走査される走査方向をそれぞれ含む4つのインターリーブ・サブシーケンスを含んでいてもよい。
【0100】
ISS=[d,d,d
ISS=[d2,,d10
ISS=[d,d,d11
ISS=[d,d,d12
この場合、第1のインターリーブ・サブシーケンスISSは、走査方向ごとおよび測定ごとに射出される光パルスの数に対応する所定の回数だけまず実行される。ついで、第2のインターリーブ・サブシーケンスISSが所定の回数だけ実行されてから、第3のインターリーブ・サブシーケンスISSが所定の回数だけ実行される。最後に、第4のインターリーブ・サブシーケンスISSが所定の回数だけ実行される。
【0101】
たとえば、1回の測定中に3つの光パルスが各走査方向に沿って射出される場合、第1のインターリーブ・サブシーケンスISSがまず3回実行される。すなわち、3つの光
パルスが、マイクロミラーの3つの連続した半回転周期中にそれぞれ走査方向d、dおよびdに沿って繰り返し射出される。すなわち、第1の光パルスが、マイクロミラーの第1の半回転周期中に方向d、dおよびdのそれぞれに沿って射出され、次に第2の光パルスが、マイクロミラーの第2の半回転周期中に方向d、dおよびdのそれぞれに沿って射出され、第3の光パルスが、第3の半回転周期中に方向d、dおよびdのそれぞれに沿って射出される。
【0102】
次に、3つの光パルスは、マイクロミラーの3つの連続する半回転周期のそれぞれの間に、走査方向d、d、d10に沿って繰り返し射出される。次に、3つの光パルスが、マイクロミラーの3つの連続する半回転周期のそれぞれの間に、走査方向d、d、d11に沿って繰り返し射出される。最後に、3つの光パルスが、マイクロミラーの3つの連続する半回転周期のそれぞれの間に、走査方向d、d、d12に沿って繰り返し射出される。
【0103】
マイクロミラーの全回転周期中に走査方向が走査される一実施形態では、インターリーブ・シーケンスが、走査方向ごとに射出され光パルスの数に対応する所定の回数だけ実行される複数のインターリーブ・サブシーケンスに分割されてもよい。この場合、第1のインターリーブ・サブシーケンスが所定の回数だけ実行され、ついで、第2のインターリーブ・サブシーケンスが所定の回数だけ実行され、以下同様に実行される。インターリーブ・シーケンスは、マイクロミラーの半回転周期中に、またはマイクロミラーの全回転周期中に実行される走査方向を含んでいてもよい。
【0104】
たとえば、インターリーブ・シーケンスは以下の通りであってもよい。
IS=[d,d,d12,d10,,d,d,d,d11,d,d,d
たとえば、以下のように、インターリーブ・シーケンスは、マイクロミラーの全回転周期中に走査される走査方向をそれぞれ含む2つのインターリーブ・サブシーケンスを含んでいてもよい。
【0105】
ISS=[d,d,d12,d10,,d
ISS=[d,d,d11,d,d,d
第1のインターリーブ・サブシーケンスは、走査方向ごとおよび測定ごとに射出される光パルスの数に対応する所定の回数だけ実行される。ついで、第2のインターリーブ・サブシーケンスISSが、指定された回数だけ実行される。
【0106】
たとえば、1回の測定中に3つの光パルスが各走査方向に沿って射出される場合、第1のインターリーブ・サブシーケンスISSがまず3回実行される。すなわち、3つの光パルスが、マイクロミラーの3つの連続した全回転周期中にそれぞれ走査方向d、d、d12、d10、d6、に沿って繰り返し射出される。すなわち、第1の光パルスが、マイクロミラーの第1の全回転周期中に方向d、d、d12、d10、d、dのそれぞれに沿って射出され、次に第2の光パルスがマイクロミラーの第2の全回転周期中に方向d、d、d12、d10、d、dのそれぞれに沿って射出され、第3の光パルスが、第3の全回転周期中に方向d、d、d12、d10、d6、のそれぞれに沿って射出される。
【0107】
次に、3つの光パルスは、マイクロミラーの3つの連続する全回転周期のそれぞれの間に、走査方向d、d、d11、d、d、dに沿って繰り返し射出される。
【0108】
測定を完了するのに必要な時間が固定されている一実施形態では、方向のインターリーブ・シーケンスに従って光パルスを射出すると、表1に示すように、明確な検出範囲が増
加するがSNRが減少する場合がある。
【0109】
表1は、以下の設定例に対する例示的インターリーブ構成を示している:ミラー周波数1740Hz、ミラー半周期0.287ミリ秒、フレームレート15Hz、1:1の多重化、および256ラインでの分解能。この例では、走査方向のインターリーブ・シーケンスを生成するの使用されるすべてのサブアセンブリが、等しい数の方向を含み、ミラーの振動角範囲は60度、すなわち、ミラーの向きが-30度~+30度で振動してもよい。走査方向の総数が256の場合、2つの連続する走査方向の角度差は、約0.24度になる。
【0110】
バンクまたはインターリーブ係数の数は、インターリーブ・シーケンスの作成に使用される走査方向のサブアセンブリ数に相当する。分解能は、関心領域の走査に使用される走査方向の数を指す。バンクごとのライン数は、走査方向のサブアセンブリに含まれる方向の数に相当する。測定ごとのパルス数は、測定に関連した時間周期中に同じ走査方向に沿って射出されるパルスの数を指す。SNR向上とは、測定ごとに1つのパルスがあるシナリオに対するSNRの向上を指す。
【0111】
【表1】
【0112】
インターリーブ係数が1の場合、インターリーブ・シーケンスはなく、256の走査方向が左から右、または右から左に連続して走査される。このシナリオでは、最大のSNR向上が認められるが、最大のパルスレートが必要となる。したがって、このシナリオでは、明確な範囲が最も小さくなる。
【0113】
インターリーブ係数が2に等しい場合、走査方向の2つのサブアセンブリが作成され、それぞれに128の方向が含まれ、走査方向の総数は256に等しくなる。たとえば、次のように、第1のサブアセンブリSUBが128の走査方向を含み、第2のサブアセンブリSUBが128の走査方向を含んでいてもよい。
【0114】
SUB=[d,d,…,d255
SUB=[d,d,…,d256
第1のサブアセンブリSUBおよび第2のサブアセンブリSUBを順次組み合わせて、以下のインターリーブ・シーケンスを取得する。
【0115】
IS=[d,d,d,…,d255,d,d…,d256
インターリーブ係数が3に等しい場合、方向の3つのサブアセンブリが作成され、それぞれに85の方向が含まれ、走査方向の総数は255に等しくなる。たとえば、第1のサブアセンブリSUB、第2のサブアセンブリSUB、および第3のサブアセンブリSUBは、次のように表すことができる。
【0116】
SUB=[d,d,…,d254
SUB=[d,d,…,d255
SUB=[d,d,…,d256
サブアセンブリSUB1、SUB、およびSUBを順次組み合わせて、以下のインターリーブ・シーケンスを取得する。
【0117】
IS=[d,d,…,d254,d,d,…,d255,…,d,d,…,d256
インターリーブ係数が増加するにつれて、インターリーブ・シーケンスの作成に同じ方法が使用される。たとえば、図16および図17は、インターリーブ係数が8の場合のシナリオを示している。図16に示すように、マイクロミラーの半周期振動中に、走査方向またはラインd、d、d17、…d249に対して光パルスが射出され得る。ついで、図17に示すように、マイクロミラーの第2の半周期振動中に、走査方向またはラインd、d10、d18、…d250に対して光パルスが射出され、以下、同様に射出される。この場合、256のライン(または走査方向)を走査するには、最小で8つの半周期が必要である。ミラーの振動の往復の半周期中に光パルスが射出される場合、256の方向の走査に必要なのは8つの半周期のみである。しかし、光パルスがミラーの振動当たりわずか1つの半周期中に射出されると、ミラーの振動の16全周期が256の方向を走査するために必要とされる。
【0118】
理解されたいのは、振動の各全周期の終わりに、次の一連のパルスを生成するために、光源のパルスのタイミングを移動しなければならないことである。
【0119】
表1に示した結果からわかるように、2つの連続するパルスを放射する間の経過時間が長くなり、検出時間が長くなるため、インターリーブ係数を大きくすると、物体の明確な検出範囲が広くなる。インターリーブ係数を増やすと、マイクロミラーの共振周波数をさらに下げることができるため、これによって、マイクロミラーの機械的制約および物理的制約が緩和される。ただし、パルス数が1回の測定中に同じ走査方向で射出される可能性があるため、インターリーブ係数の増加に伴い、SNR向上は減少する。したがって、望ましい明確な範囲と許容可能なSNR向上との間にトレードオフがみられる場合がある。いくつかの実施形態では、システムの分解能、すなわち、走査方向数と、検出されたエコーおよび明確な範囲を格納するために利用可能なメモリとのトレードオフが望ましい場合もある。
【0120】
上述のように、SNRを向上するために、いくつかの光パルスが同じ走査方向に沿って射出されてもよい。この場合は、同じ走査方向で測定されたエコーが平均化され、SNRが向上する。ただし、光学システムが移動中の車両に搭載されている場合、図21および図22Aから図22Cに示すように、同じ走査方向に沿って異なるパルスが射出する間の経過時間によって、車両の速度による結果の品質に影響を与える可能性がある。
【0121】
図21に示すように、光パルスが反射するターゲット物体に対して車両が動いている場合、車両とこの物体との距離は減少する。図22Aは、車両が図21の第1の位置にある場合に、物体上で反射した第1のパルスのエコーを示している。この場合、第1の光パルスが所与の方向に沿って時間tで射出される。図22Aに示すエコーは、時間t+Δ
で受信される。時間tで第2のパルスが射出されると、車両は第1の位置から移動したため、物体に近づく。したがって、物体と光学システムとの距離が短くなり、図22Bに示すように、第2のパルスが射出される時間tと第2のエコーが受信される時間t+Δtとの差が、第1のパルスが射出される時間tと第1のエコーが受信される時間t+Δtとの差よりも小さくなる。SNRを向上させるために第1および第2のエコーを平均化すると、図22Cに示すように、結果として得られる平均エコーが時間的に広がり、測定の質が低下する。
【0122】
図28は、いくつかの実施形態による、方法318のステップ320から324を実行するための例示的処理モジュール360を示すブロック図である。処理モジュール360は、通常、メモリ364に格納されたモジュールまたはプログラムおよび/もしくは指示を実行し、それによって処理操作を実行する1つ以上のコンピュータ処理ユニット(CPU)および/またはグラフィック処理ユニット(GPU)362と、メモリ364と、これらのコンポーネントを相互接続する1つ以上の通信バス366とを含む。通信バス356は、任意選択で、システムコンポーネント間の相互接続と通信制御を行う回路(チップセットと呼ばれることもある)を含む。メモリ364は、DRAM、SRAM、DDR RAMまたはその他のランダムアクセス・ソリッドステート・メモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリが含まれ、1つ以上の磁気ディスク格納デバイス、光学ディスク格納デバイス、フラッシュメモリデバイス、またはその他の不揮発性ソリッドステート格納デバイスなどの不揮発性メモリを含んでいてもよい。メモリ364は、任意選択で、CPUおよび/またはGPU362から遠隔配置された1つ以上の格納デバイスを含む。メモリ364、あるいはメモリ364内の不揮発性メモリデバイスは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリ364、またはメモリ364のコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそのサブセットを格納する:
関心領域を走査するために、走査される関心領域を受信し、走査方向を生成する走査方向モジュール370;
走査方向を複数の方向サブアセンブリに分割する分割モジュール372;および
複数の方向サブアセンブリから1つのインターリーブ・シーケンスを生成するインターリーブ・シーケンス・モジュール374。
【0123】
上記で特定された要素のそれぞれは、前述のメモリデバイスの1つ以上に格納されてもよく、上記の機能を実行するための一連の指示に対応する。上記で特定されたモジュールまたはプログラム(すなわち、一連の指示)は、別個のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実装する必要はない。したがって、これらのモジュールのさまざまなサブセットを組み合わせたり、さまざまな実施形態に再配置したりできる。いくつかの実施形態では、メモリ364は、上記で特定されたモジュールおよびデータ構造のサブセットを格納してもよい。さらに、メモリ364は、上記に記載されていない追加のモジュールおよびデータ構造を格納してもよい。
【0124】
図28は処理モジュール360を示しているが、図28は、本明細書で説明する実施形態の構造図としてではなく、管理モジュールに存在する可能性のあるさまざまな特徴の機能説明として意図されている。実際には、当業者によって認識されるように、別々に示されているアイテムを組み合わせることができ、いくつかのアイテムを分離することができる。
【0125】
図27は、光学式距離計システムなどの光学システムと物体との相対位置が時間とともに変化する場合の、エコーの時間的ずれを補正するための方法400の一実施形態を示す。
【0126】
ステップ402では、第1の光パルスは、第1の時点tで射出される。第1の光パルスは所与の方向に沿って射出される。光パルスは物体によって反射され、物体上で第1の光パルスの反射によって生成された第1のエコーは、ステップ404で、t+Δtに等しい時間で検出される。第1のエコーは図23Aに示されている。エコーは、対応する光パルスが射出された時間から始まる時間関数として測定された光強度/振幅を表す。図22Aおよび図22Bは、エコーの例を示す。
【0127】
ステップ404では、第2の光パルスが時間tで射出される。第2の光パルスが所与の方向に沿って射出される。第2の光パルスも、物体によって反射され、物体上で第2の光パルスの反射によって生成された第2のエコーは、ステップ406で、t+Δtに等しい時間で検出される。
【0128】
ステップ408では、光学システムと物体との間の相対速度を受信する。物体が固定位置にあり、光学式距離計システムが物体に対して動く実施形態では、相対速度は、光学システムの速度、たとえば光学システムが搭載されている車両の速度に対応する。光学システムが固定位置にあり、物体が光学システムに対して移動する実施形態では、相対速度は物体の速度に対応する。
【0129】
一実施形態では、方法400が、光学システムと物体との間の相対速度を測定するステップをさらに含む。物体が固定位置にあり、光学システムが物体に対して移動し、車両に搭載されている実施形態では、車両の速度計を使用して速度を測定してもよい。別の実施形態では、たとえばGPSを使用して光学システムの位置を測定することによって、また光パルスが射出される時間によって、速度を測定してもよい。速度はまた、加速度計またはその他の適切な装置を使用して測定してもよい。
【0130】
ステップ410では、受信した相対速度を使用して、補正時間δtが計算される。補正時間は、光学システムと物体との間の相対運動を相殺すべく第2のエコーが検出された時間に追加する時間に対応し、以下のように表す。
【0131】
δt=Δt-Δt
第1のパルスおよび第2のパルスが射出する間に光学システムがカバーする距離ΔLは、次のように表すことができる。
【0132】
ΔL=L-L
ここで、Lは時間tにおける光学システムと物体との距離であり、Lは時間tにおける光学システムと物体との距離である。
【0133】
距離LおよびLは次のように定義される。
=c.(Δt/2)
=c.(Δt/2)
ここで、cは光の速度である。
【0134】
距離ΔLは、物体に対する光学システムの速度の関数として、次のように表すこともできる。
【0135】
ΔL=v.(t-t
したがって、
ΔL=L-L=v.(t-t
およびLをこれらの式に代入すると、次のようになる。
【0136】
c.(Δt/2)-c.(Δt/2)=v.(t-t)および
c.(Δt-Δt)/2=v.(t-t
δt=Δt-Δtより、方程式は次のようになる。
【0137】
c.δt/2=v.(t-t
したがって、補正時間δtは、次のように表される。
【0138】
δt=2v.(t-t)/c
ステップ414では、補正時間δtを使用して、第2のエコーが補正される。第2のエコーは、補正時間δtに対応する量だけ時間に変換される。図23Bは、第1のエコーと時間的に整列した補正済の第2のエコーを示している。
【0139】
ステップ416では、補正されたエコーが出力される。たとえば、補正された第2のエコーはメモリに格納されてもよい。
【0140】
一度補正されると、第2のエコーは第1のエコーと平均化され、図23Cに示される結果として得られた平均エコーは、補正が行われていない場合の図22Cの平均エコーに対してもはや拡大されない。
【0141】
複数の光パルスが同じ方向に沿って異なる時間に射出される場合、方法400は、測定の品質を改善するために、射出されたパルスに対応するエコーを整列すべく使用されてもよい。
【0142】
方法400は、光学式距離計システムのコントローラなどの光学システムのコントローラによって実行されてもよいことを理解されたい。あるいは、方法400は、光学システムに接続された独立したコンピュータ機器によって実行されてもよい。この場合、コンピュータ機器は、少なくとも1つの処理ユニット、メモリおよび通信手段を備えている。上記の補正方法を実行するために、処理ユニットによって実行される命令や指令がメモリに格納される。
【0143】
図29は、いくつかの実施形態による、方法400のステップ410~416を実行するための例示的処理モジュール430を示すブロック図である。処理モジュール430は、通常、メモリ434に格納されたモジュールまたはプログラムおよび/もしくは指示を実行し、それによって処理操作を実行する1つ以上のCPUおよび/またはGPU432と、メモリ434と、これらのコンポーネントを相互接続する1つ以上の通信バス436とを含む。通信バス436は、任意選択で、システムコンポーネント間の相互接続と通信制御を行う回路(チップセットと呼ばれることもある)を含む。メモリ434は、DRAM、SRAM、DDR RAMまたはその他のランダムアクセス・ソリッドステート・メモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリが含まれ、1つ以上の磁気ディスク格納デバイス、光学ディスク格納デバイス、フラッシュメモリデバイス、またはその他の不揮発性ソリッドステート格納デバイスなどの不揮発性メモリを含んでいてもよい。メモリ434は、任意選択で、CPUおよび/またはGPU432から遠隔配置された1つ以上の格納デバイスを含む。メモリ434、あるいはメモリ434内の不揮発性メモリデバイスは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリ434、またはメモリ434のコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそのサブセットを格納する:
変位速度を受信し、その変位速度と、上記の第1および第2の時点と光の速度とを使用して補正時間を決定する補正決定モジュール440、および
補正時間を使用して第2のエコーを補正し、補正されたエコーを出力する補正適用モジュール442。
【0144】
上記で特定された要素のそれぞれは、前述のメモリデバイスの1つ以上に格納されてもよく、上記の機能を実行するための一連の指示に対応する。上記で特定されたモジュールまたはプログラム(すなわち、一連の指示)は、別個のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実装する必要はない。したがって、これらのモジュールのさまざまなサブセットを組み合わせたり、さまざまな実施形態に再配置したりできる。いくつかの実施形態では、メモリ434は、上記で特定されたモジュールおよびデータ構造のサブセットを格納してもよい。さらに、メモリ434は、上記に記載されていない追加のモジュールおよびデータ構造を格納してもよい。
【0145】
図29は処理モジュール430を示しているが、図29は、本明細書で説明する実施形態の構造図としてではなく、管理モジュールに存在する可能性のあるさまざまな特徴の機能説明として意図されている。実際には、当業者によって認識されるように、別々に示されているアイテムを組み合わせることができ、いくつかのアイテムを分離することができる。
【0146】
上述の本発明の実施形態は、例示のみを意図したものである。それゆえ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。したがって、本発明の範囲は、車両に搭載された運転者支援/安全システムに限定されると解釈されるべきではない。したがって、本発明の光学式距離計器は、たとえば、さまざまな種類の物体(車両、自転車、歩行者、舗道)を、広い視野で、さまざまな気象条件、および自然光源と人工光源の両方から発生する広範囲の照明条件下で確実に検出する必要のある道路の交差点で、交通監視専用の固定システムに統合可能である。また、自動車業界の運転者支援アプリケーションなどのモバイルアプリケーションにも統合可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査方向に従って領域を光学的に走査する方法であって、
前記複数の走査方向に対して走査順序を規定するインターリーブ・シーケンスを受信するステップと、
前記インターリーブ・シーケンスに従って光パルスを順次伝播するステップと、
前記領域内に存在する少なくとも1つの物体上での前記伝播された光パルスの反射に相当するパルスエコーを検出するステップと、
前記検出されたパルスエコーを出力するステップと、
を含む、方法。
【外国語明細書】