(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145635
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】免疫調節特性を有するペプチド
(51)【国際特許分類】
C07K 7/00 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
C07K7/00 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123680
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2021510646の分割
【原出願日】2018-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】517335156
【氏名又は名称】リップタイド バイオサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ジェインス,ジェス
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,ヘンリー ウィルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ジョージ アール.
(72)【発明者】
【氏名】イェーツ,クレイトン
(72)【発明者】
【氏名】ガービン,チャールズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インビトロおよびインビボで免疫調節活性を有する新規のペプチドを提供する。
【解決手段】本ペプチドは、生理学的条件下で両親媒性立体構造を採用することができる、交互の親水性および疎水性モジュールの特定のストリアパシック領域を含み得る。1つ以上のシグナル伝達タンパク質、具体的には炎症促進性サイトカイン、マクロファージ阻害タンパク質、およびヒストン制御タンパク質上の重要な機能領域に特異的に結合することができるペプチドを提供する。静脈内投与を可能にするために循環中で十分に安定しているペプチドを含む。主題のペプチドを含む薬学的組成物もまた提供される。主題のペプチドは、マクロファージ活性を調節する方法において用途を見出す。場合によっては、ペプチドは、CD206結合剤である。本開示のペプチドおよび組成物を使用して、慢性炎症に関連する病態について対象を治療する方法もまた提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫調節ペプチドであって、
a)配列番号(1~19)から選択されるペプチド配列、または
b)a)に定義される配列と比較して1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列であって、前記1つもしくは2つのアミノ酸置換が、表2に記載のアミノ酸の置換である、配列
を含む、免疫調節ペプチド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
急性炎症は、有害な刺激に対する組織の初期応答である。これは、マクロファージ、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、およびマスト細胞を含む損傷した組織内に存在する細胞が、損傷に関連する分子を感知し、活性化されたときに開始される、複雑で高度に制御されたプロセスを伴う。活性化されると、これらの細胞は、血管拡張剤などの炎症媒介物質を放出する。血管拡張剤は、傷害の近傍での血流および血管の透過性の増加を誘導する。これが転じて、血液から損傷した組織への血漿ならびに白血球(好中球およびマクロファージを含む)の移動の増加をもたらす。炎症媒介物質は一般に、急速に分解されるため、急性炎症の持続には、一定の刺激が必要とされる。結果として、急性炎症は、有害な刺激が除去されると終了する。
【0002】
細菌、ウイルス、身体的損傷、化学的損傷、がん、化学療法、および放射線療法を含むがこれらに限定されない、様々な薬剤は、それに曝露される動物の特定の薬剤および遺伝子構成に応じて、長期的かつ過剰な炎症を引き起こし得る。慢性炎症として知られるそのような炎症は、心臓病、がん、呼吸器疾患、脳卒中、アルツハイマー病などの神経学的疾患、糖尿病、および腎臓病を含む、多くの広範かつ衰弱性の疾患に寄与する因子であると考えられる。慢性炎症の結果は、正常組織の破壊、およびコラーゲンに富んだ結合組織への置換である。瘢痕組織としても知られるコラーゲンに富んだ結合組織は、正常組織と比較して、組織機能の低下を示す。転じて、瘢痕組織の持続的かつ長期的な形成は、線維症につながる。線維症は、肺、皮膚、肝臓、心臓、および骨髄に影響を及ぼす疾患の一般的な症状のうちの1つであり、特発性肺線維症、強皮症、ケロイド、肝硬変、心筋線維症、糖尿病性腎臓病、骨髄異形成症候群、および他の疾患などの疾患における重要な因子である。
【0003】
慢性炎症および線維症の研究は、活性化剤および影響を受ける組織にかかわらず、シグナル伝達タンパク質の共通ネットワークが、一緒に機能して、炎症促進状態を確立する傾向があることを示している。シグナル伝達タンパク質のこのネットワークは、TGFβ、TGFβRII、およびmiRNA19bを含むいくつかの異なるサイトカイン、サイトカイン受容体、転写因子、ならびにマイクロRNAを含む。したがって、有害な副作用なしに炎症を低減する治療剤は、非常に関心が高い。
【発明の概要】
【0004】
インビトロおよびインビボで免疫調節活性を有する新規のペプチドが提供される。本ペプチドは、生理学的条件下で両親媒性立体構造を採用することができる、交互の親水性および疎水性モジュールの特定のストリアパシック(striapathic)領域を含み得る。本ペプチドは、1つ以上のシグナル伝達タンパク質、具体的には炎症促進性サイトカイン、マクロファージ阻害タンパク質、および/またはヒストン制御タンパク質上の重要な機能領域に特異的に結合することができる。本開示は、対象への投与後にインビボの循環中で十分に安定しているペプチドを含む。主題のペプチドを含む薬学的組成物もまた提供される。
【0005】
主題のペプチドは、マクロファージ活性を調節する方法において用途を見出す。場合によっては、ペプチドは、CD206結合剤である。本開示のペプチドおよび組成物を使用して、慢性炎症に関連する病態について対象を治療する方法もまた提供される。
【0006】
本発明の組成物および方法の特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲に記載されるか、またはそれらにおいてより完全に明らかになる。例えば、好適な免疫調節ポリペプチドは、本明細書に記載の式および配列を使用することによって特定することができる。さらに、記載の組成物および方法の特徴および利点は、方法を実践することによって学ぶことができるか、または説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】肺線維症のマウスモデルにおけるブレオマイシン誘導性肺線維症の低減の結果のグラフを示す。線維症測定は、トリクローム染色後のアシュクロフトスコアである。コラーゲンスコアは、ヒドロキシプロリン染色後の定量的測定である。さらなる詳細は、以下の実施例にて提示される。
【
図2】マウス腫瘍阻害モデルにおいて、対象となる例示的なペプチドが、PD-1チェックポイント阻害剤と協同して、腫瘍体積を低減することを実証する。さらなる詳細は、以下の実施例にて提示される。
【
図3】例示的なペプチドRP832CおよびRP837が、ヒト強皮症患者の試料中のマクロファージの生存率を低減することを実証する。様々な濃度のペプチドとともに96時間インキュベートした後、マクロファージ試料を評価した。
【
図4A】低アルギナーゼ:IFNg(インターフェロン-ガンマ)比を有する健康な対照からの試料におけるペプチドRP832CおよびRP837の特性を示す。
【
図4B】高アルギナーゼ:IFNg比を有する強皮症患者のマクロファージ試料におけるペプチドRP832CおよびRP837の特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、本発明の完全な理解を提供するための具体的な詳細を供給する。とはいえ、記載の免疫調節ペプチドおよび対象を治療する関連する方法の態様を曖昧にすることを避けるために、周知の構造、材料、プロセス、技術、および操作は、示されないか、または詳細には記載されない。加えて、当業者は、これらの特定の詳細を用いることなく、記載の免疫調節ペプチドおよび対象を治療する関連する方法を実装し、使用することができることを理解する。実際に、記載の免疫調節ペプチドおよび方法は、図示されるペプチド、組成物、キット、および方法を修飾することによって実践することができ、従来使用される他の方法、治療、装置、および技術と組み合わせて使用することができる。
【0009】
免疫調節ポリペプチド
上記に要約したように、本開示は、免疫調節ペプチド、具体的には免疫抑制特性を有するペプチド、およびそのような免疫調節ペプチドを、対象、具体的には持続的または慢性的な炎症に関連する医学的病態に罹患しているか、またはそのような医学的病態を発症するリスクがある対象に投与する方法を提供する。「免疫調節的」および「免疫調節」という用語は、本明細書で互換的に使用される。場合によっては、本明細書に記載の免疫調節ペプチドは、抗炎症ペプチドと称されることがあり、逆もまた同様である。特定の事例では、(例えば、本明細書に記載の)免疫調節ペプチドは、抗炎症ペプチドであり、例えば、ペプチドは、少なくとも1つの抗炎症特性を有する。
【0010】
本開示のペプチドに適用すること、またはそれとの使用に適合させることができる、対象となる免疫調節ポリペプチドの特定の態様は、JaynesらによってWO2016/061133に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0011】
「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸残基から構築されたポリマーを指すために本明細書で同義に使用される。「アミノ酸残基」という用語は、本明細書で使用される場合、任意の天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、またはアミノ酸模倣物(ペプトイド単量体など)を指す。アミノ酸残基は、L形態またはD形態であり得る。
【0012】
本開示は、ポリペプチドの長さの少なくとも25%を構成するストリアパシック領域と、少なくとも1つの免疫調節特性とを有する、免疫調節ペプチドを含む。「ストリアパシック領域」という用語は、交互の疎水性および親水性モジュールの配列からなるペプチド配列の領域または一部分を指す。「疎水性モジュール」は、1~5つ(例えば、1~3つまたは1~2つ)の疎水性アミノ酸残基、例えば、1、2、3、4、または5つの疎水性アミノ酸残基からなるペプチド配列である。「親水性モジュール」は、1~5つ(例えば、1~3つまたは1~2つ)の親水性アミノ酸残基、例えば、1、2、3、4、または5つの親水性アミノ酸残基からなるペプチド配列である。
【0013】
したがって、ストリアパシック領域は、式(X1-5J1-5)nまたは(J1-5X1-5)nによって表すことができ、式中、各Xは、親水性アミノ酸残基を示し、各Jは、疎水性アミノ酸残基を示し、各nは、2~10、2~8、3~8、4~8、または5~10などの1~10の整数である。以下でさらに詳細に記載されるように、本開示の態様は、特定の程度のカチオン性電荷を有するストリアパシック領域を有する免疫調節ペプチドを含む。本開示の免疫調節ペプチドは、カチオン性表面を有するストリアパシック領域を含み得る。特定の実施形態では、ストリアパシック領域は、カチオン性電荷(すなわち、0超の電荷、例えば、+1、+2、+3、+4、+5、+6またはそれ以上)を有する。特定の実施形態では、本免疫調節ペプチドは、尾部領域(例えば、疎水性尾部配列)を含む。特定の実施形態では、免疫調節ペプチドは、2つ以上のストリアパシック領域を含む。そのような実施形態では、ペプチドの2つの両親媒性領域は、二量体の形態であり、2つの両親媒性領域は、同じアミノ酸配列を有しても、異なるアミノ酸配列を有してもよい(すなわち、ホモ二量体であっても、ヘテロ二量体であってもよい)。特定の実施形態では、2つ(またはそれ以上)のストリアパシック領域は、リンカーまたは連結領域を介して接続される。リンカーは、所望に応じて、近接(もしくはインライン)アミノ酸配列または非アミノ酸部分であり得る。
【0014】
疎水性アミノ酸残基は、例えば、ペプチドが用途を見出す環境、例えば、生理学的条件において、主に非極性の化学的特性または物理的特性を有する側鎖基を特徴とする。そのような疎水性アミノ酸残基は、天然に存在するものであっても、天然に存在しないものであってもよい。疎水性アミノ酸残基は、主に非極性の化学的特性または物理的特性を有する側鎖基を特徴とする天然に存在するアミノ酸の模倣物であり得る。逆に、親水性アミノ酸残基は、例えば、ペプチドが用途を見出す環境、例えば、生理学的条件において、主に極性(例えば、荷電性または中性親水性)である側鎖基を特徴とする。そのような親水性アミノ酸残基は、天然に存在するものであっても、天然に存在しないものであってもよい。親水性アミノ酸残基は、主に親水性(荷電性または中性極性)である側鎖基を特徴とする天然に存在するアミノ酸の模倣物であり得る。親水性および疎水性アミノ酸残基の例を、以下の表1に示す。好適な天然に存在しないアミノ酸残基およびアミノ酸模倣物は、当該技術分野で既知である。例えば、Liang et al.(2013),“An Index for Characterization of Natural and
Non-Natural Amino Acids for Peptidomimetics,”PLoS ONE8(7):e67844を参照されたい。
【0015】
ほとんどのアミノ酸残基は、疎水性または親水性のいずれかと見なされ得るが、いくつかは、それらの文脈に応じて、疎水性または親水性のいずれかとして挙動し得る。例えば、それらの比較的弱い非極性特徴のために、グリシン、プロリン、セリン、および/またはシステインは、親水性アミノ酸残基として機能する場合があり得る。逆に、それらのかさ高いわずかに疎水性の側鎖のために、ヒスチジンおよびアルギニンは、疎水性アミノ酸残基として機能する場合があり得る。
【0016】
【0017】
「抗炎症性特性」という用語は、本明細書で使用される場合、タンパク質標的によって媒介される炎症促進シグナルを低減もしくは阻害するか、または低減もしくは阻害することが予想され、かつ/あるいは対象における炎症を低減または阻害する、インシリコ、インビトロ、および/またはインビボで評価することができるポリペプチドの任意の特性を指す。「免疫調節特性」という用語は、本明細書で使用される場合、感染病原体に対する自己免疫および/または免疫応答に関与する1つ以上のサイトカインの発現または分泌を調節するか、または調節することが予想される、インシリコ、インビトロ、および/もしくはインビボで、またはサイトカインシグナル伝達経路の1つ以上の構成成分を調節することによって評価することができるポリペプチドの任意の特性を指す。
【0018】
対象となる選択された免疫調節ペプチド
本明細書に記載の例示的な免疫調節ペプチド配列は、単なる例にすぎず、本明細書に提供される唯一の免疫調節ポリペプチドではない。実際に、開示されるペプチドの配列の断片および変異形もまた、本開示の範囲内である。
【0019】
本開示は、以下に記載の構造式のうちの1つ以上を満たす、「RPペプチド」と称される場合がある免疫調節ポリペプチドを提供する。本開示はまた、本明細書に開示される例示的なRPペプチドのいずれか、またはそれらの変異形、またはそれらの断片と最小程度の相同性を共有する免疫調節ポリペプチドも提供する。したがって、本開示のペプチドまたはポリペプチドは、本明細書に記載の式のうちの1つを満たすか、または本明細書に開示される例示的なRPペプチドのいずれかと最小程度の相同性を共有する、免疫調節ペプチドである。
【0020】
本発明の「断片」は、本明細書に開示されるペプチドの少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、または23個の近接アミノ酸残基(または主題のペプチドのアミノ酸残基の数よりも最大1つ少ない)を含み、主題のペプチドの少なくとも1つの免疫調節特性を保持する。したがって、本発明の断片は、本明細書に開示される親免疫調節ペプチドと比較して、N末端および/またはC末端から1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のアミノ酸が欠損しているペプチドを含む。
【0021】
本発明の「変異形」は、本明細書に開示されるポリペプチドと実質的に類似しており、主題のポリペプチドの少なくとも1つの免疫調節特性を保持するポリペプチドである。変異形は、本明細書に開示される主題のポリペプチドのN末端もしくはC末端での1つ以上のアミノ酸残基の欠失(すなわち、切断)、本明細書に開示される主題のポリペプチドにおける1つ以上の内部部位での1つ以上のアミノ酸残基の欠失および/もしくは付加、ならびに/または本明細書に開示される主題のポリペプチドにおける1つ以上の位置での1つ以上のアミノ酸残基(例えば、1つ、2つ、3つ、もしくはさらにそれ以上)の置換を含み得る。12アミノ酸残基長以下の主題のポリペプチドでは、変異形ポリペプチドは、内部、N末端、および/またはC末端に位置するかにかかわらず、3つ以下(例えば、3つ、2つ、1つ、またはなし)の欠失したアミノ酸残基を含み得る。
【0022】
したがって、本発明は、本明細書に開示される表(例えば、表3)に開示される免疫調節ポリペプチドのうちのいずれか1つと少なくとも50%同一であり(すなわち、少なくとも50%の配列同一性)(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上)、かつ依然として少なくとも1つの免疫調節特性を保持する、免疫調節ポリペプチドをさらに提供する。配列同一性は、同じ長さまたは類似した長さの2つのペプチド配列またはそれらの断片の比較に基づく。
【0023】
したがって、特定の実施形態では、本開示は、本明細書に開示されるポリペプチドのうちのいずれか1つに対して1~10個のアミノ酸差(例えば、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下、または1つのアミノ酸差)を有するアミノ酸配列を含み、かつ依然として少なくとも1つの免疫調節特性を保持する、ポリペプチドを提供する。「アミノ酸差」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、末端アミノ酸付加、アミノ酸欠失、末端アミノ酸切断、またはそれらの任意の組み合わせを含む。相同免疫調節ポリペプチドのストリアパシック領域と、表3の免疫調節ポリペプチドのうちのいずれか1つとの間の差は、本明細書で考察されるアミノ酸残基の欠失、付加、および/または置換を含み得る。置換されたアミノ酸残基は、置換されるアミノ酸残基と無関係(例えば、疎水性/親水性、サイズ、電荷、極性などの観点で無関係)であってもよいか、または置換されたアミノ酸残基は、類似した、保存的な、もしくは高度に保存的なアミノ酸置換を構成してもよい。本明細書で使用される場合、「類似した」、「保存的な」、および「高度に保存的な」アミノ酸置換は、以下の表2に示されるように定義される。アミノ酸残基置換が類似しているか、保存的であるか、または高度に保存的であるかの決定は、以下で考察されるように、ペプチド安定性を増加させるように修飾され得るペプチド骨格ではなく、アミノ酸残基の側鎖にのみ基づく。
【0024】
【0025】
対象となる特定の免疫調節ペプチド、ならびに主題の薬学的組成物および方法において用途を見出すその断片および変異形が、以下により詳細に記載される。特定の場合では、主題の免疫調節ペプチドは、マクロファージ調節活性を有する。
【0026】
ポリペプチドの「長さ」は、ポリペプチドが含有し得るあらゆる非ペプチドリンカーおよび/または修飾を除外した、ポリペプチドを構成する端々連結されたアミノ酸残基の数である。いくつかの実施形態では、本ペプチドは、5~30アミノ酸残基長(例えば、5~25、10~20、または5~18、5~12、または5~10、または6~30、6~25、6~20、6~18、6~12、6~10、または7~12、または7~10アミノ酸残基長)であり、(例えば、本明細書に記載の)生理学的条件下で両親媒性立体構造を採用する、交互の親水性および疎水性モジュールのストリアパシック領域を含む。いくつかの実施形態では、本ペプチドは、5~12アミノ酸残基長(例えば、6、7、8、9、または10アミノ酸残基長)であり、生理学的条件下で両親媒性立体構造を採用する、交互の親水性および疎水性モジュールのストリアパシック領域を含む。特定の事例では、本ペプチドのストリアパシック領域は、5~18アミノ酸残基長(例えば、6~18、6~14、6~12、7~12、または5、6、7、8、9、10、11、もしくは12アミノ酸長)であり、本ペプチドは、(例えば、本明細書に記載のように)任意にさらに修飾される。ストリアパシック領域は、2つ以上(例えば、3つ以上または4つ以上)の疎水性モジュールと、(例えば、各々が少なくとも1つのカチオン性残基を含む)1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、または4つ以上)の親水性モジュールとを含み得る。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載の)主題の免疫調節ペプチドは、CD206結合ペプチドである。いくつかの事例では、本ペプチドのストリアパシック領域は、7~12アミノ酸残基長などの6~12アミノ酸残基長を有する。いくつかの事例では、本ペプチドのストリアパシック領域は、6~10アミノ酸残基長を有する。
【0027】
疎水性モジュールは、任意の好都合な残基からなり得る。特定の事例では、疎水性モジュールは、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、バリン、およびグリシンから選択されるアミノ酸残基を含む。ストリアパシック領域は、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、またはさらにそれ以上などの、合計で1つ、2つまたはそれ以上のカチオン性アミノ酸残基を含み得る。本免疫調節ペプチドは、任意の好都合な残基からなる2つ、3つまたはそれ以上の親水性モジュールを含み得る。いくつかの事例では、親水性モジュールは、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミンから選択されるアミノ酸残基を含む。
【0028】
本明細書に記載の式中、J(N)は、特定の疎水性モジュールを指すために使用され、式中、Nは、線形式における位置を示す。同様に、X(N)は、特定の親水性モジュールを指すために使用され、式中、Nは、線形式における位置を示す。
【0029】
本明細書に記載の式中、J(nx)は、特定の疎水性アミノ酸残基を指すために使用され、式中、nは、残基がどのモジュールに位置しているかを示し、xは、モジュールにおけるその位置を示す。同様に、X(nx)は、特定の親水性アミノ酸残基を指すために使用され、式中、nは、残基がどのモジュールに位置しているかを示し、xは、モジュールにおけるその位置を示す。
【0030】
本免疫調節ペプチドの特定の事例では、ストリアパシック領域は、以下の式を有する疎水性および親水性モジュールを含む。
[J1]-[X1]-[J2](式1)
【0031】
本免疫調節ペプチドのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、親水性および疎水性モジュールの以下の式を含む。
[J1]-[X1]-[J2]-[X2](式2)
【0032】
本免疫調節ペプチドのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、親水性および疎水性モジュールの以下の式を含む。
[X1]-[J1]-[X2]-[J2](式3)
【0033】
本免疫調節ペプチドのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、疎水性および親水性モジュールの以下の式を含む。
[J1]-[X1]-[J2]-[X2]-[J3](式4)
【0034】
特定の実施形態では、ストリアパシック領域は、3つ以上の親水性モジュールと、3つ以上の疎水性モジュールとを含み、以下の式のうちの1つを含む。
[J1]-[X1]-[J2]-[X2]-[J3]-[X3](式5)
[J1]-[X1]-[J2]-[X2]-[J3]-[X3]-[J4](式6)
【0035】
特定の実施形態では、ストリアパシック領域は、3つ以上の親水性モジュールと、3つ以上の疎水性モジュールとを含み、以下の式を含む。、
[X1]-[J1]-[X2]-[J2]-[X3]-[J3](式7)
【0036】
式1の場合によっては、ストリアパシック領域は、以下の式のうちの1つによって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b](式1A)
[J2bJ2a]-[X1bX1a]-[J1bJ1a](式1B)
式中、
J1a、J1b、J2a、およびJ2bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリン)から選択され、
X1aおよびX1bは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジンまたはアルギニン)から選択される。
【0037】
式1Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FWKRFV(RP837N)(配列番号5)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つの置換を含む変異形)を含む。
【0038】
式2のいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2a]-[X2a](式2A)
式中、
J1a、J1b、およびJ2aは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、またはバリン)から選択され、
X1a、X1b、およびX2aは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジンまたはアルギニン)から選択される。
【0039】
式2Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FVRKWR(RP837C1)(配列番号6)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つの置換を含む変異形)を含む。
【0040】
式3のいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[X1aX1b]-[J1aJ1bJ1cJ1d]-[X2aX2b]-[J2aJ2b](式3A)
式中、
J1a、J1b、J1c、J1d、J2a、およびJ2bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、ロイシン、セリン、アラニン、またはフェニルアラニン)から選択され、
X1a、X1b、X2a、およびX2bは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、アスパラギン、またはアルギニン)から選択される。
【0041】
式3Aのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
EX1bLSAFX2aNJ2aJ2b(配列番号25)
式中、
J2aおよびJ2bは各々独立して、アラニンおよびフェニルアラニンから選択され、
X1bおよびX2aは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。
【0042】
式3Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列EKLSAFRNFF(RP843)(配列番号9)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0043】
式4の特定の事例では、ストリアパシック領域は、以下の式のうちの1つによって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3aJ3b](式4A)
[J3aJ3b]-[X2aX2b]-[J2bJ2a]-[X1bX1a]-[J1bJ1a](式4B)
式中、
J1a、J1b、J2a、J2b、J3a、およびJ3bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、またはロイシン)から選択され、
X1a、X1b、X2a、およびX2bは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジンまたはアルギニン)から選択される。
【0044】
式4A~4Bのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
LJ1bKKIIKKJ3aL(配列番号26)
式中、J1bおよびJ3aは独立して、フェニルアラニン、チロシン、またはロイシン(例えば、チロシンまたはロイシン)である。
【0045】
式4A~4Bのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列LYKKIIKKLL(RP846)(配列番号12)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0046】
式4のいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1aJ1bJ1c]-[X1a]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3aJ3b](式4C)
式中、
J1a、J1b、J1c、J2a、J2b、J3a、およびJ3bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、チロシン、またはプロリン)から選択され、
X1a、X2a、およびX2bは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、アスパラギン酸、リジン、またはアルギニン)から選択される。
【0047】
式4Cのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
FYPDJ2aJ2bX2aX2bJ3aJ3b(配列番号27)
式中、
J2a、J2b、J3a、およびJ3bは各々独立して、フェニルアラニンまたはチロシン(例えば、フェニルアラニン)であり、
X2aおよびX2bは各々独立して、リジンまたはアルギニンである。
【0048】
式4Cのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FYPDFFKKFF(RP844)(配列番号10)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0049】
式4のいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2a]-[X2aX2bX2c]-[J3aJ3b](式4D)
式中、
J1a、J1b、J2a、J3a、およびJ3bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、セリン、グリシン、またはイソロイシン)から選択され、
X1a、X1b、X2a、X2b、およびX2cは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、またはアルギニン)から選択される。
【0050】
式4Dのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
J1aJ1bX1aX1bSKEKIG(配列番号28)
式中、
J1aおよびJ1bは各々独立して、フェニルアラニンまたはチロシン(例えば、フェニルアラニン)であり、
X1aおよびX1bは各々独立して、リジンまたはアルギニンである。
【0051】
式4Dのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FFRKSKEKIG(RP853)(配列番号18)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0052】
特定の事例では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3a](式4E)
式中、
J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々独立して、フェニルアラニン、アラニン、およびイソロイシンから選択され、
X1a、X1b、X2a、X2b、およびX2cは各々独立して、オルニチン、リジン、およびアルギニンから選択される。
【0053】
特定の事例では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3a]-[X3a](式5A)
式中、
J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々独立して、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、およびバリンから選択され、
X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、オルニチン、リジン、およびアルギニンから選択される。
【0054】
式5Aのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
J1aJ1bOOJ2aJ2bOOJ3aO(配列番号29)
式中、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々独立して、フェニルアラニンおよびアラニンから選択される(例えば、各J1、J2、およびJ3モジュールは、フェニルアラニンおよびアラニンの両方を含む)。
【0055】
式5Aのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
FAX1aX1bFAX2aX2bJ3aFX3a(配列番号30)
式中、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、オルニチン、リジン、およびアルギニンから選択される。
【0056】
式5Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FAOOFAOOFO(RP850)(配列番号19)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0057】
式5Aのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
FWKX1bFVX2aKWX3a(配列番号31)
式中、X1b、X2a、およびX3aは各々独立して、リジンまたはアルギニンである。
【0058】
式5Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FWKRFVRKWR(RP837)(配列番号4)もしくはFWKKFVKKWK(RP841)(配列番号7)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0059】
場合によっては、式5Aの免疫調節ペプチドは、FFRKFAKRFK(RP183)(配列番号21)またはFFKKFFKKFK(RP185)(配列番号22)ではない。
【0060】
特定の事例では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3a]-[X3a](式5A)
式中、
J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、バリン、およびグリシン)から選択され、
X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、またはグルタミン)から選択される。
【0061】
式5Aの場合によっては、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々独立して、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、およびグリシンから選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。式5Aの特定の事例では、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々独立して、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、およびバリンから選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、オルニチン、リジン、およびアルギニン(例えば、LysまたはArg)から選択される。式5Aのいくつかの事例では、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々独立して、フェニルアラニンおよびアラニンから選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。式5Aの特定の場合では、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々、フェニルアラニンであり、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。式5Aの場合によっては、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々、トリプトファンであり、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、ヒスチジン、リジン、およびアルギニンから選択される。式5Aのいくつかの事例では、J1a、J2a、およびJ3aは各々独立して、フェニルアラニンおよびトリプトファンから選択され、J1bは、トリプトファンおよびアラニンから選択され、J2bは、バリン、トリプトファン、およびアラニンから選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aの各々は独立して、オルニチン、リジン、アルギニン、またはヒスチジンから選択される。
【0062】
式5Aのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
WWX1aHWWHX2bWX3a(配列番号32)
式中、X1a、X2b、およびX3aは各々独立して、ヒスチジン、リジン、またはアルギニンである。
【0063】
式5Bのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列WWHHWWHHWH(RP847)(配列番号13)、WWRHWWHRWR(RP848)(配列番号14)、もしくはWWKHWWHKWK(RP849)(配列番号15)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0064】
式5のいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2bJ2c]-[X2b]-[J3a]-[X3a](式5B)
式中、
J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、アラニン、スレオニン、またはロイシン)から選択され、
X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、ヒスチジン、アスパラギン酸、リジン、またはアルギニン)から選択される。
【0065】
式5Bのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
J1aJ1bX1aHJ2aJ2bTHLD(配列番号33)
式中、
J1a、J1b、J2a、およびJ2bは各々独立して、フェニルアラニンおよびアラニンから選択され、
X1aは独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。
【0066】
式5Cのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FFRHFATHLD(RP845)(配列番号11)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0067】
式5のいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1a]-[X1a]-[J2aJ2bJ2c]-[X2a]-[J3aJ3b]-[X3aX3b](式5C)
式中、
J1a、J2a、J2b、J2c、J3a、およびJ3bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、グリシン、またはイソロイシン)から選択され、
X1a、X2a、X3a、およびX3bは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、グルタミン、リジン、またはヒスチジン)から選択される。
【0068】
式5Cのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
J1aQJ2aLGX2aIIHH(配列番号34)
式中、
J1aおよびJ2aは各々独立して、フェニルアラニン、チロシン、およびロイシンから選択され、
X2aは、リジンおよびアルギニンである。
【0069】
式5Cのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FQFLGKIIHH(RP852)(配列番号17)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0070】
式6のいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1a]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2a]-[J3a]-[X3aX3b]-[J4aJ4b](式6A)
式中、
J1a、J2a、J2b、J3a、J4a、およびJ4bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、バリン、およびグリシン)から選択され、
X1a、X1b、X2a、X3a、およびX3bは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、またはグルタミン)から選択される。
【0071】
式6Aのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
GX1aX1bGJ2bX2aGX3aX3bGJ4b(配列番号35)
式中、
J2bおよびJ4bは各々独立して、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、およびバリンから選択され、
X1a、X1b、X2a、X3a、およびX3bは各々独立して、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミンから選択される。
【0072】
式6Aのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
GDX1bGIX2aGHX3bGF(配列番号36)
式中、X1b、X2a、およびX3bは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。
【0073】
式6Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列GDRGIKGHRGF(RP842)(配列番号8)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0074】
式7のいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
[X1aX1b]-[J1a]-[X2a]-[J2a]-[X3a]-[J3aJ3bJ3c](式7A)
式中、
J1a、J2a、J3a、J3b、およびJ3cは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン、セリン、またはアラニン)から選択され、
X1a、X1b、X2a、およびX3aは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジンまたはアルギニン)から選択される。
【0075】
式7Aのいくつかの実施形態では、ストリアパシック領域は、以下の式によって定義される配列を有する。
X1aX1bIX2aVX3aLSA(配列番号37)
式中、X1a、X1b、X2a、およびX3aは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。
【0076】
式7Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列KKIRVRLSA(RP851)(配列番号16)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0077】
多量体ペプチド
本開示は、分岐状またはライナーリンカーを介して接続された(例えば、本明細書に記載の)2つ以上の免疫調節ペプチドの多量体(例えば、二量体)を含む。本開示の態様は、主題の免疫調節ポリペプチドのいずれかの二量体を含む。二量体は、ホモ二量体であっても、ヘテロ二量体であってもよい。任意の2つの免疫調節ポリペプチドは、リンカーを介して接続され得る。任意の好都合なリンカーを利用することができる。用いることができるリンカーには、共有結合、ペプチドリンカー(例えば、グリシン含有リンカーもしくはGlyおよびSer含有リンカー)、末端アミノおよび/もしくはカルボン酸基を有するC1-C12リンカー、またはポリマーリンカー(例えば、PEGもしくは修飾PEG)が含まれるが、これらに限定されない。二量体は、第1のポリペプチドのC末端を第2のポリペプチドのN末端と接続するリンカーを含み得る。特定の場合では、2つのポリペプチドは、C末端を介して連結され得る。特定の事例では、2つのポリペプチドは、N末端を介して連結され得る。
【0078】
本開示は、一緒に連結された任意の2つの免疫調節ポリペプチドをさらに含む。連結は、第1の免疫調節ポリペプチドのC末端を第2の免疫調節ポリペプチドのN末端に連結させる、Gly-Gly-Gly(GGG)、Gly-Gly-Gly-Arg(GGGR、配列番号40)、Gly-Pro-Gly(GPG)、またはGly-Pro-Gly-Arg(GPGR、配列番号41)配列などのペプチドリンカーによって形成することができる。あるいは、連結は、ペプトイドリンカー(例えば、前述のペプチドリンカーのいずれかのポリN置換バージョン)、g-アミノ酸を含有するポリマー(例えば、前述のペプチドリンカーのいずれかに対応するもの)、または非ペプチド化学リンカーであり得る。連結された免疫調節ポリペプチドは、本明細書(例えば、表3)に開示されるポリペプチドのいずれであってもよく、ホモ二量体を形成するように連結されている同じポリペプチド、またはヘテロ二量体を形成するように連結されている異なるポリペプチドを含み得る。ペプチドおよび非ペプチドリンカーを介してペプチドを連結させるための技術は、当該技術分野で周知であり、本発明のポリペプチドの組み合わせは、全てのそのような連結を包含することが意図される。
【0079】
(例えば、本明細書に記載の)任意の2つのストリアパシック領域含有ペプチドを、連結させることができる。二量体ペプチドの2つの領域は、互いに関してホモ二量体であっても、ヘテロ二量体であってもよい。ホモ二量体とは、二量体ペプチドの2つのペプチド領域が、同じN~C配列またはその逆のC~N配列を有することを意味する。本明細書に記載の主題の免疫調節ポリペプチドを任意の好都合な構成で連結させて、多量体を生成することができる。特定の事例では、多量体は、(例えば、本明細書に記載の)3つ以上の免疫調節ポリペプチドを含み、ポリペプチドは、直鎖状様式または分岐状様式で配置され得る。免疫調節ポリペプチドの直鎖状多量体は、共有結合または任意のリンカー(例えば、ペプチドリンカー)を介して連結された、連結されたペプチドの頭部から尾部への配置を含み得る。いくつかの事例では、直鎖状多量体は、オリゴマー、例えば、(例えば、本明細書に記載の)免疫調節ポリペプチドの配列セグメントを含むポリペプチド鎖と称される場合がある。あるいは、直鎖状多量体の免疫調節ポリペプチドは、(例えば、N末端対N末端が連結された)頭部間および/または(例えば、C末端対C末端が連結された)尾部間構成を介して連結され得る。分岐状多量体では、免疫調節ポリペプチドは、任意の好都合な分岐状リンカー、例えば、リジンアミノ酸などのアミノ酸残基に結合するための3つの官能基を含む基を介して連結され得る。場合によっては、多量体は、二量体である。
【0080】
特定の場合では、免疫調節ペプチド二量体は、以下の式を有する。
Z1-T-Z2
式中、
Tは、リンカー、例えば、ペプチドリンカーであり、
Z1は、(例えば、本明細書に記載の)親水性アミノ酸残基と疎水性アミノ酸残基との混合物からなる、3~10個(例えば、4~10個、5~10個、もしくは3~6つ、または3、4、5、もしくは6つ)のアミノ酸残基の第1のポリペプチドまたは領域であり、
Z2は、(例えば、本明細書に記載の)親水性アミノ酸残基と疎水性アミノ酸残基との混合物からなる、3~10個(例えば、4~10個、5~10個、もしくは3~6つ、または3、4、5、もしくは6つ)のアミノ酸残基の第2のポリペプチドまたは領域である。
【0081】
二量体の特定の場合では、親水性モジュールは、リジンおよびアルギニンから選択されるアミノ酸残基からなり、疎水性モジュールは、フェニルアラニンおよびトリプトファンから選択されるアミノ酸残基からなる。特定の事例では、第1および第2のポリペプチド(Z1およびZ2)は、4つのアミノ酸残基を含む。特定の場合では、Z1およびZ2の各々は、4つのアミノ酸残基を含み、2つのアミノ酸残基は、(例えば、本明細書に記載の)親水性残基であり、残りの2つのアミノ酸残基は、(例えば、本明細書に記載の)疎水性残基である。
【0082】
特定の実施形態では、二量体は、以下の式のうちの1つを有する。
[X1]-[J1]-T-[J1]-[X1](式8)
[J1]-[X1]-T-[X1]-[J1](式9)
[X1]-[J1]-T-[J2]-[X2](式10)
[J1]-[X1]-T-[X2]-[J2](式11)
式中、Tは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)である。
【0083】
式8および式9の場合によっては、二量体は、以下の式のうちの1つによって定義される配列を有する。
[X1aX1b]-[J1aJ1b]-T-[J1bJ1a]-[X1bX1a](式8A)
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-T-[X1bX1a]-[J1bJ1a](式9A)
式中、
Tは、ペプチドリンカー(例えば、ポリグリシンリンカー)であり、
J1aおよびJ1bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、トリプトファンまたはフェニルアラニン)から選択され、
X1aおよびX1bは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、アスパラギンまたはアルギニン)から選択される。
式8Aおよび式9Aの特定の事例では、Tは、1つ、2つ、または3つのグリシン残基からなるペプチドリンカーである。
【0084】
式9Aのいくつかの実施形態では、二量体は、以下の式によって定義される配列を有する。
FW-[X1aX1b]-T-[X1bX1a]-WF(配列番号38)
式中、X1a、X1bは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。
【0085】
式9Aのいくつかの実施形態では、二量体は、以下の式によって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-KR-T-RK-[J1bJ1a](配列番号39)
式中、J1aおよびJ1bは各々独立して、トリプトファンおよびフェニルアラニンから選択される。
【0086】
式7Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FWKRGGRKWF(RP837A)(配列番号4)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0087】
式10および式11の場合によっては、二量体は、以下の式のうちの1つによって定義される配列を有する。
[J1aJ1b]-[X1aX1b]-T-[X2aX2b]-[J2aJ2b](式10A)
[X1aX1b]-[J1aJ1b]-T-[J2aJ2b]-[X2aX2b](式11A)
式中、
J1a、J1b、J2a、およびJ2bは各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、トリプトファンまたはフェニルアラニン)から選択され、
X1a、X1b、X2a、およびX2bは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、アスパラギンまたはアルギニン)から選択される。
式10Aおよび式11Aの特定の事例では、Tは、1つ、2つ、または3つのグリシン残基からなるペプチドリンカーである。
【0088】
特定の事例では、二量体の第1および第2のポリペプチド(Z1およびZ2)は、親水性および疎水性モジュールの以下の式、[X1]-[J1]-[X2]-[J2](式3)または[J1]-[X1]-[J2]-[X2](式2)を有する。
【0089】
特定の実施形態では、二量体は、以下の式のうちの1つを有する。
[X1]-[J1]-[X2]-[J2]-T-[J2]-[X2]-[J1]-[X1](式12)
[J1]-[X1]-[J2]-[X2]-T-[X2]-[J2]-[X1]-[J1](式13)
[X1]-[J1]-[X2]-[J2]-T-[J3]-[X3]-[J4]-[X4](式14)
[J1]-[X1]-[J2]-[X2]-T-[X3]-[J3]-[X4]-[J4](式15)
式中、Tは、ペプチドリンカーである。
【0090】
式12および式13のいくつかの事例では、二量体は、以下の式のうちの1つを有する。
[X1a]-[J1a]-[X2a]-[J2a]-T-[J2a]-[X2a]-[J1a]-[X1a](式12A)
[J1a]-[X1a]-[J2a]-[X2a]-T-[X2a]-[J2a]-[X1a]-[J1a](式13A)
式中、
Tは、ペプチドリンカー(例えば、ポリグリシンリンカー)であり、
J1aおよびJ2aは各々独立して、フェニルアラニンおよびトリプトファンから選択され、
X1aおよびX2aは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。
【0091】
式12Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列RWKFGGFKWR(RP832C)(配列番号1)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。
【0092】
式13Aのいくつかの事例では、本ペプチドは、配列FKWRGGRWKF(RP837C)(配列番号3)、またはその断片もしくは変異形(例えば、1つもしくは2つの置換を含む変異形)を含む。特定の実施形態では、免疫調節ペプチドは、尾部領域を含む。
【0093】
式14および式15のいくつかの事例では、二量体は、以下の式のうちの1つを有する。
[X1a]-[J1a]-[X2a]-[J2a]-T-[J3a]-[X3a]-[J4a]-[X4a](式14A)
[J1a]-[X1a]-[J2a]-[X2a]-T-[X3a]-[J3a]-[X4a]-[J4a](式15A)
式中、
Tは、ペプチドリンカー(例えば、ポリグリシンリンカー)であり、
J1a、J2a、J3a、およびJ4aは各々独立して、フェニルアラニンおよびトリプトファンから選択され、
X1a、X2a、X3a、およびX4aは各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される。
【0094】
対象となる免疫調節ペプチドには、表3のポリペプチドのうちのいずれか1つ、(例えば、本明細書に記載の)その断片、または(例えば、本明細書に記載の)その変異形が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
【0096】
特定の実施形態では、主題の免疫調節ポリペプチドは、
a)表3のペプチド配列から選択される配列、
b)a)に定義される配列と少なくとも75%の配列同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性)を有する配列、および
c)a)に定義される配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を有する配列であって、1つまたは2つのアミノ酸置換が、表2によるアミノ酸の置換(例えば、類似したアミノ酸置換、保存的なアミノ酸置換、または高度に保存的なアミノ酸置換)である、配列
から選択される配列を含む。
【0097】
特定の場合では、a)に記載される配列は、RP832Cである。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP837である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP837Cである。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP837Aである。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP837Nである。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP837C1である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP841である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP842である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP843である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP844である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP845である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP846である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP847である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP848である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP849である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP850である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP851である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP852である。特定の場合では、a)に記載される配列は、RP853である。
【0098】
特定の事例では、b)に記載される配列は、a)に定義される配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する。特定の事例では、b)に記載される配列は、a)に定義される配列と少なくとも85%の配列同一性を有する配列を有する。特定の事例では、b)に記載される配列は、a)に定義される配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を有する。特定の事例では、b)に記載される配列は、a)に定義される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する配列を有する。
【0099】
特定の実施形態では、c)に示される配列は、a)に定義される配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を有し、1つまたは2つのアミノ酸置換は、表2による類似したアミノ酸置換である。特定の実施形態では、c)に示される配列は、a)に定義される配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を有し、1つまたは2つのアミノ酸置換は、表2による保存的なアミノ酸置換である。特定の実施形態では、c)に示される配列は、a)に定義される配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を有し、1つまたは2つのアミノ酸置換は、表2による高度に保存的なアミノ酸置換である。本明細書に記載の免疫調節ペプチドの変形のいずれを、表3の親ペプチドに適用してもよい。
【0100】
除外されるポリペプチド
本開示の組成物は、米国特許出願第2012/0270770号および同第2003/0109452号、ならびに米国特許第6,559,281号に記載のポリペプチドを任意に除外し、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。したがって、そのような刊行物に記載の1つ以上のポリペプチドおよび/またはそのようなポリペプチドの使用は、本開示の組成物および/または方法の範囲から除外され得る。さらに、JaynesらによるWO2016/061133の表3~表9(それらの表の開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるポリペプチドのいずれも、本明細書に開示される組成物および/またはそのような化合物を使用する方法から任意に除外され得る。場合によっては、下記の表4に開示されるポリペプチドのいずれも、本明細書に開示される組成物および/またはそのような化合物を使用する方法から任意に除外され得る。
【0101】
場合によっては、本明細書に記載の式の免疫調節ペプチドは、表4のポリペプチドではない。
【0102】
【0103】
修飾ポリペプチド
本開示の実施形態は、化学的手段または遺伝的手段による本開示の免疫調節ポリペプチドのいずれかの修飾を含む。そのような修飾の例には、LまたはD形態の非天然アミノ酸および/または天然アミノ酸を有する部分配列または完全配列のペプチドの構築が含まれる。例えば、本明細書に開示されるペプチドのいずれかおよびそれらの任意の変異形は、全D形態で生成され得る。さらに、本開示のポリペプチドは、アミノ酸の側鎖またはN末端もしくはC末端に共有結合した糖または脂肪酸などの炭水化物または脂質部分を含有するように修飾することができる。加えて、本開示のポリペプチドは、投与時の溶解性および/または半減期を増強するように修飾することができる。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)および関連するポリマーは、血中でのタンパク質治療薬の溶解性および半減期を増強するために使用されている。したがって、本開示のポリペプチドは、PEGポリマーなどによって修飾することができる。本開示のポリペプチドはまた、硫黄、リン、ハロゲン、金属などを含有するように修飾することができる。アミノ酸模倣物を使用して、(例えば、構造アルゴリズムに基づく構造、または本明細書に開示される免疫調節ポリペプチドのいずれかに類似した構造を有する)本開示のポリペプチドを生成することができる。特定の実施形態では、アミノ酸模倣物を含む本開示のポリペプチドは、分解に対する耐性などの増強された特性を有する。例えば、本開示のポリペプチドは、1つ以上(例えば、全て)のペプトイド単量体を含み得る。
【0104】
免疫調節ポリペプチドは、ジスルフィド結合などの生分解性連結を介して別の分子に連結され得る。ジスルフィド結合は、免疫調節ポリペプチド中に見出されるシステイン残基のスルフヒドリル基、および他の分子中のスルフヒドリル基によって媒介され得る。システイン残基は、例えば、免疫調節ポリペプチドのC末端またはN末端のいずれかに位置し得る。この種のジスルフィド連結を使用して、本開示のポリペプチドを、様々な種類の有用な分子に好都合に連結させることができる。例えば、連結は、別の免疫調節ポリペプチド(C末端またはN末端システイン残基を任意に含む)、蛍光標識(例えば、Dylight350)、化学療法剤(例えば、タキソール環構造上の適切な部位にスルフヒドラル基を付加し、その後本開示のシステイン含有ペプチドで酸化することによって形成されるタキソール誘導体)などとの連結であり得る。
【0105】
連結された免疫調節ポリペプチド(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)は、いずれかの単量体ポリペプチド単独の結合エネルギーよりも大きい結合エネルギーで標的分子(例えば、炎症促進シグナル伝達タンパク質などの標的タンパク質)に結合することができる。したがって、例えば、NF-kBクラスIIタンパク質(例えば、RelB)への、連結された免疫調節ポリペプチドの結合のエネルギーは、少なくとも-700kcal/molであり得、特定の実施形態では、少なくとも-750、-800、-900、-1000、-1100、-1200、-1250、-1300、-1350、-1400、-1425、-1450、-1475、-1500、-1525、-1550、-1575、-1600kcal/mol、またはそれ以上であり得る。結合のエネルギーは、当該技術分野で周知の方法を使用して(例えば、ClusPro(商標)アルゴリズムを使用して)、例えば、インシリコ、インビトロ、またはインビボで決定することができる。
【0106】
修飾ペプチドが対象となる分子に共有結合するいくつかの事例では、結果として得られる化合物は、ペプチドコンジュゲートと称される場合がある。対象となる任意の好都合な分子は、主題の免疫調節ペプチドに結合し得る。対象となる分子は、ペプチド性であっても、非ペプチド性であってもよく、天然に存在するものであっても、合成物であってもよい。主題の免疫調節ペプチドと組み合わせて使用するために好適な対象となる分子には、タンパク質ドメイン、ポリペプチド、ペプチドタグ、特異的結合部分(例えば、抗体または抗体断片)、ポリエチレングリコール(PEG)、炭水化物、デキストラン、またはポリアクリレートなどのポリマー部分、リンカー、半減期延長部分、標識、および固体支持体などの望ましい薬物様特性を付与する部分が含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、対象となる分子は、例えば、本明細書に記載の、水溶性の増加、化学合成の容易性、費用、バイオコンジュゲーション部位、安定性、pI、凝集、非特異的結合の低減、および/または第2の標的タンパク質への特異的結合を含むがこれらに限定されない、増強かつ/または修飾された特性および機能を、結果として得られる修飾ペプチドに付与し得る。
【0107】
本明細書に記載のペプチド配列のうちのいずれか1つが示されたいくつかの実施形態では、ペプチド配列は、配列のN末端および/またはC末端に1つ以上の追加の残基、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、またはさらにそれ以上の追加の残基を含むように延長されてもよい。任意の好都合な残基をペプチドのN末端および/またはC末端に含めて、水溶性基を介した溶解性の増加、二量体化または多量体化のための連結、標識または特異的結合部分に接続するための連結などの、望ましい特性または基を提供することができる。
【0108】
場合によっては、主題の修飾ペプチドは、以下の式によって記載される。
B-L-M
式中、Bは、(例えば、本明細書に記載の)免疫調節ペプチドであり、Lは、任意の連結基であり、Mは、対象となる分子であり、Lは、任意の好都合な位置で(例えば、N末端、C末端、または標的への結合に関与しない残基の側鎖を介して)Bに結合する。
【0109】
修飾ペプチドは、対象となる1つ以上の分子を含み得る。いくつかの事例では、対象となる分子は、N末端残基のアルファ-アミノ基を介して共有結合するか、またはC末端残基のアルファ-カルボキシル酸基に共有結合する。
【0110】
対象となる分子は、ポリペプチドまたはタンパク質ドメインを含み得る。対象となるポリペプチドおよびタンパク質ドメインには、gDタグ、c-Mycエピトープ、FLAGタグ、Hisタグ、蛍光タンパク質(例えば、GFP)、ベータ-ガラクトシダーゼタンパク質、GST、アルブミン、免疫グロブリン、抗体、Fcドメイン、または類似した抗体様断片、ロイシンジッパーモチーフ、コイルドコイルドメイン、疎水性領域、親水性領域、2つ以上の多量体化ドメイン間で分子間ジスルフィド結合を形成する遊離チオールを含むポリペプチド、「空洞への隆起」ドメイン、ベータ-ラクトグロブリン、またはその断片が含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
対象となる分子は、半減期延長部分を含み得る。「半減期延長部分」という用語は、主題の化合物の非コンジュゲート形態と比較して、主題の化合物のインビボでのタンパク質分解もしくは他の活性を低下させる化学修飾を予防もしくは軽減し、半減期もしくは他の薬物動態特性(例えば、吸収速度)を増加させ、毒性を低減し、溶解性を改善し、対象となる標的に関する主題の化合物の生物学的活性および/もしくは標的選択性を増加させ、製造可能性を増加させ、かつ/または主題の化合物の免疫原性を低減する、主題の化合物に共有結合またはコンジュゲートした、薬学的に許容される部分、ドメイン、または「ビヒクル」を指す。
【0112】
特定の実施形態では、半減期延長部分は、免疫グロブリン(例えば、IgG)または血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))などの血清タンパク質に結合するポリペプチドである。ポリエチレングリコールは、有用な半減期延長部分の一例である。例示的な半減期延長部分には、ポリアルキレングリコール部分(例えば、PEG)、血清アルブミンもしくはその断片、トランスフェリン受容体もしくはそのトランスフェリン結合部分、およびインビボでの半減期を増強するポリペプチドの結合部位を含む部分、エチレングリコールのコポリマー、プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(例えば、ポリリジン)、デキストランn-ビニルピロリドン、ポリ-ビニルピロリドン、プロピレングリコールホモポリマー、プロピレンオキシドポリマー、エチレンオキシドポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、直鎖状もしくは分岐状グリコシル化鎖、ポリシアル酸、ポリアセタール、脂質、長鎖脂肪酸、長鎖親水性脂肪族基、免疫グロブリンFcドメイン(例えば、米国特許第6,660,843号を参照されたい)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン、例えば、米国特許第6,926,898号およびUS2005/0054051、米国特許第6,887,470号を参照されたい)、トランスサイレチン(TTR、例えば、US2003/0195154、2003/0191056を参照されたい)、またはチロキシン結合グロブリン(TBG)が含まれる。
【0113】
特定の実施形態では、半減期延長部分は、脂質である。特定の実施形態では、半減期延長部分は、脂肪酸である。任意の好都合な脂質および脂肪酸を、主題の修飾化合物中で使用することができる。例えば、Chae et al.,“The fatty acid conjugated exendin-4analogs for type2antidiabetic therapeutics”,J.Control Release.2010May21;144(1):10-6を参照されたい。
【0114】
特定の実施形態では、免疫調節ペプチドは、特異的結合部分を含むように修飾される。特異的結合部分は、それに相補的な第2の部分に特異的に結合することができる部分である。場合によっては、特異的結合部分は、(例えば、30nM以下、10nM以下、3nM以下、1nM以下、300pM以下、または100pM、もしくはそれ未満などの、100nM以下のKDによって測定される)少なくとも10-7Mの親和性で相補的な第2の部分に結合する。特異的結合部分の相補的な結合部分対には、リガンドまたは活性化因子/プロモーターおよび受容体、抗体および抗原、相補的なポリヌクレオチド、相補的なタンパク質ホモまたはヘテロ二量体、アプタマーおよび小分子、ならびにポリヒスチジンタグおよびニッケルが含まれるが、これらに限定されない。特異的結合対は、元の特異的結合メンバーの類似体、誘導体、および断片を含み得る。例えば、タンパク質抗原を対象とする抗体はまた、エピトープが存在する限り、ペプチド断片、化学的に合成され標識されたタンパク質、誘導体化タンパク質なども認識し得る。特異的結合部分として用途を見出す対象となるタンパク質ドメインには、Fcドメインもしくは類似した抗体様断片、ロイシンジッパーモチーフ、コイルドコイルドメイン、疎水性領域、親水性領域、2つ以上の多量体化ドメイン間で分子間ジスルフィド結合を形成する遊離チオールを含むポリペプチド、または「空洞への隆起」ドメインが含まれるが、これらに限定されない(例えば、WO94/10308、米国特許第5,731,168号、Lovejoy et al.(1993),Science259: 1288-1293、Harbury et
al.(1993),Science262: 1401-05、Harbury et al.(1994),Nature371:80-83、Hakansson et
al.(1999),Structure7: 255-64を参照されたい)。
【0115】
特定の実施形態では、ペプチドは、標的タンパク質に特異的に結合する連結された特異的結合部分である。連結された特異的結合部分は、抗体、抗体断片、受容体活性化因子、またはアプタマーであり得る。連結された特異的結合部分は、任意の好都合な標的タンパク質、例えば、主題の治療方法と組み合わせて標的化することが望ましい標的タンパク質に特異的に結合することができる。対象となる標的タンパク質には、PDGF(例えば、PDGF-B)、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、EGF、EGFR、Her2、PD-1、PD-L1、OX-40、およびLAG3が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、連結された特異的結合部分は、受容体活性化因子もしくはリガンド、例えば、インターロイキン13(IL-13)などの炎症経路に関連するタンパク質リガンド、またはトール様受容体(TLR)ファミリーのメンバー、例えば、TLR3を活性化する分子である。特定の事例では、連結された特異的結合部分(例えば、タンパク質、抗体、または抗体断片)は、追加の活性剤(例えば、本明細書に記載の化学療法剤)にさらに連結され得る。
【0116】
(例えば、本明細書に記載の)免疫調節ポリペプチドは、追加の活性剤にコンジュゲートして、免疫調節ポリペプチドのコンジュゲートを提供することができる。主題のペプチドが、本明細書の教示に従って生成および/または作製され、選択されると、それらは、薬学的に活性または診断的な部分または生体適合性修飾剤と連結、融合、(例えば、共有結合的もしくは非共有結合的に)コンジュゲート、または別様に会合することができる。「ペプチドコンジュゲート」という用語は、会合方法にかかわらず、開示される免疫調節ペプチド化合物に会合する、任意の生物学的に活性または検出可能な分子または薬物を指す。この点に関して、そのようなコンジュゲートは、開示される免疫調節ペプチドに加えて、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、インビボで活性剤に代謝されるプロドラッグ、ポリマー、核酸分子、小分子、結合剤、模倣剤、合成薬物、無機分子、有機分子、および放射性同位体を含み得ることが理解される。さらに、上記に示されるように、選択されたコンジュゲートは、主題のペプチドと共有結合的もしくは非共有結合的に会合するか、またはそれに連結され、少なくとも部分的にはコンジュゲーションをもたらすために使用される方法に応じて、様々な化学量論的なモル比を示し得る。
【0117】
特定の事例では、対象となる分子は、第2の活性剤、例えば、主題の治療方法において対象となる標的と組み合わせて用途を見出す活性剤または薬物である。特定の事例では、対象となる分子は、小分子、化学療法剤、抗体、抗体断片、二重特異性抗体、アプタマー、またはL-タンパク質である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、医薬品(例えば、タンパク質、核酸、有機小分子など)として有用な部分を含むように修飾される。例示的な薬学的タンパク質には、例えば、サイトカイン、抗体、ケモカイン、成長因子、インターロイキン、細胞表面タンパク質、細胞外ドメイン、細胞表面受容体、細胞毒素などが含まれる。例示的な小分子医薬品には、小分子毒素または治療剤が含まれる。(例えば、本明細書に記載の)任意の好都合な治療剤または診断剤を、免疫調節ペプチドにコンジュゲートすることができる。抗がん剤、抗増殖剤、細胞毒性剤、および化学療法剤を含むがこれらに限定されない、様々な治療剤が、以下の「併用療法」と題する節に記載されており、これらのうちのいずれか1つを、主題のペプチドコンジュゲートにおける使用に適合させることができる。
【0118】
特定の実施形態では、修飾ペプチドを、二重特異性抗体、例えば、対象となる2つの異なる種類の抗原に同時に結合することができる、操作された二重特異性モノクローナル抗体にコンジュゲートさせることができる。
【0119】
特定の実施形態では、修飾ペプチドは、細胞透過性ペプチド(例えば、tat)を含み得る。細胞透過性ペプチドは、分子の細胞取り込みを促進し得る。任意の好都合なタグポリペプチドおよびそれらのそれぞれの抗体が、使用され得る。例には、ポリ-ヒスチジン(ポリ-his)またはポリ-ヒスチジン-グリシン(ポリ-his-gly)タグ;インフルエンザHAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5[Field et al.,Mol.Cell.Biol.8:2159-2165(1988)];c-mycタグならびにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7、および9E10抗体[Evan et al.,Molecular and Cellular Biology,5:3610-3616(1985)];ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体[Paborsky et al.,Protein Engineering,3(6):547-553(1990)]が含まれる。他のタグポリペプチドには、Flag-ペプチド[Hopp et al.,BioTechnology6:1204-1210(1988)]、KT3エピトープペプチド[Martin et al.,Science255:192-194(1992)]、チューブリンエピトープペプチド[Skinner et al.,J.Biol.Chem.266:15163-15166(1991)]、およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuth et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:6393-6397(1990)]が含まれる。
【0120】
当業者は、主題の免疫調節ペプチドへの治療部分もしくは診断部分および/またはリンカーの結合または会合のために、いくつかの異なる反応が利用可能であることを理解する。特定の実施形態では、これは、アミノ末端、C末端カルボン酸、リジンのアミン基、グルタミン酸およびアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基、ならびに芳香族アミノ酸の様々な部分を含む、例えば、本明細書に記載のペプチドのアミノ酸残基の反応によって達成され得る。共有結合の1つの方法は、化合物のカルボキシ(またはアミノ)基を主題のペプチドのアミノ(またはカルボキシ)基に連結させるカルボジイミド反応である。加えて、ジアルデヒドまたはイミドエステルなどの二官能性剤は、主題のペプチドのアミノ基を抗体分子のアミノ基に連結させるために使用されている。免疫調節ペプチドへの薬物の結合には、マレイミド-チオールコンジュゲーション化学、例えば、アジド基とアルキニル基との間のクリック化学なども利用可能である。ペプチドへの薬物の結合には、シッフ塩基反応も利用可能である。この方法は、グリコール基またはヒドロキシ基を含有する薬物を過ヨウ素酸酸化させることでアルデヒドを形成し、その後これを結合剤と反応させることを伴い得る。結合は、結合剤のアミノ基とのシッフ塩基の形成を介して生じる。イソチオシアネートおよびアズラクトンもまた、薬物を結合剤に共有結合させるためのカップリング剤として使用することができる。
【0121】
いくつかの変種または種類のリンカーを使用して、開示される免疫調節ペプチドを、薬学的に活性または診断的な部分または生体適合性修飾剤と会合させることができることが理解される。いくつかの実施形態では、リンカーは、細胞内条件下で切断可能であるため、リンカーの切断は、細胞内環境で抗体から薬物単位を放出する。特定の実施形態では、リンカー単位は、切断可能ではない。ペプチド、核酸、薬物、毒素、抗体、ハプテン、およびレポーター基などの2つ以上の機能的または生物学的に活性な部分を結合させるために有用な二価のリンカー試薬が、既知であり、それらの結果として得られるコンジュゲートについての方法が記載されている(Hermanson,G.T.(1996)Bioconjugate Techniques;Academic Press: New
York,p234-242)。
【0122】
組成物
本開示の組成物は、本明細書に記載の構造式のうちの1つを満たす免疫調節ポリペプチドを含む。例えば、免疫調節ポリペプチドは、本明細書に開示される式のうちのいずれか1つに従う配列を有するストリアパシック領域を有し得る。典型的には、本開示の組成物中に含まれる免疫調節ポリペプチドは、(例えば、化学合成によって作製され、かつ/または組み換え生成される)合成ポリペプチドである。
【0123】
本開示の組成物は、単一の免疫調節ポリペプチド、またはその組み合わせを含み得る。組成物は、本明細書に開示される構造アルゴリズムを満たさないタンパク質および他のポリペプチドを実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、「タンパク質および他のポリペプチドを実質的に含まない」という用語は、組成物のタンパク質含有量の5%未満が、本開示の免疫調節ポリペプチドではないタンパク質および他のポリペプチドで構成されることを意味する。本開示の非免疫調節ポリペプチドを実質的に含まない組成物は、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、またはそれ未満の本明細書に開示される構造アルゴリズムを満たさないタンパク質または他のポリペプチドを有し得る。したがって、組成物は、血清アルブミン、グロブリン、フィブリノーゲン、および凝固因子などの血液タンパク質を実質的に含まなくてもよい。あるいは、組成物は、グロブリン、フィブリノーゲン、および凝固因子を実質的に含まなくてもよいが、精製または組み換え生成された血清アルブミンを含んでもよい。
【0124】
本開示の組成物は、特定の実施形態では、ヒトまたは他の哺乳動物もしくは動物に天然には見出されない免疫調節ポリペプチドを含有する。しかしながら、本開示の組成物は、ヒトまたは他の哺乳動物もしくは動物に天然に見出される免疫調節ポリペプチドを含んでもよいが、但し、組成物が、免疫調節ポリペプチドとインビボで会合するか、または免疫調節ポリペプチドと同時精製する生物学的分子(非免疫調節ポリペプチド、核酸、脂質、炭水化物、および代謝産物など)を実質的に含まないことを条件とする。本明細書で使用される場合、「実質的に生物学的分子を含まない」という用語は、組成物の乾燥重量の5%未満が、免疫調節ポリペプチドではない生物学的分子で構成されることを意味する。そのような生物学的分子を実質的に含まない組成物は、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、またはそれ未満の免疫調節ポリペプチドではない生物学的分子を有し得る。したがって、例えば、組成物は、上記で考察されたタンパク質、脂肪酸、コレステロール、非タンパク質凝固因子、代謝産物などの、血中に豊富な生物学的分子を実質的に含まなくてもよい。加えて、組成物は、赤血球細胞、白血球細胞、および血小板を含む細胞、ならびに細胞断片を実質的に含まなくてもよい。
【0125】
本開示の組成物は、少なくとも1mg(例えば、少なくとも5、10、20、30、40、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000mg、またはそれ以上)の免疫調節ポリペプチドを含み得る。したがって、例えば、組成物は、約1mg~約1000mg(例えば、約5mg~約900mg、約5mg~約800mg、約5mg~約700mg、約5mg~約600mg、約10mg~約500mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約250mg、約10mg~約200mg、約10mg~約150mg、約10mg~約100mg、約50mg~約500mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約250mg、約50mg~約200mg、約50mg~約150mg、約50mg~約100mg、約75mg~約500mg、約75mg~約400mg、約75mg~約300mg、約75mg~約250mg、約75mg~約200mg、約75mg~約150mg、約75mg~約100mg、約100mg~約500mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約250mg、約100mg~約200mg、または上述の終端のうちの2つを含有する任意の他の範囲)に等しい量の免疫調節ポリペプチドを含み得る。
【0126】
本開示の組成物は、少なくとも1mg/ml(例えば、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mg/mlまたはそれ以上)の免疫調節ポリペプチドを含有する溶液を含み得る。したがって、例えば、組成物は、約1mg/ml~約1000mg/ml(例えば、約5mg/ml~約900mg/ml、約5mg/ml~約800mg/ml、約5mg/ml~約700mg/ml、約5mg/ml~約600mg/ml、約5mg/ml~約500mg/ml、約10mg/ml~約500mg/ml、約10mg/ml~約400mg/ml、約10mg/ml~約300mg/ml、約10mg/ml~約250mg/mL、約10mg/mL~約200mg/mL、約10mg/mL~約150mg/mL、約10mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約500mg/mL、約50mg/mL~約400mg/mL、約50mg/mL~約300mg/mL、約50mg/mL~約250mg/mL、約50mg/mL~約200mg/mL、約50mg/mL~約150mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約75mg/mL~約500mg/ml、約75mg/ml~約400mg/ml、約75mg/ml~約300mg/ml、約75mg/ml~約250mg/ml、約75mg/ml~約200mg/ml、約75mg/ml~約150mg/ml、約75mg/ml~約100mg/ml、約100mg/ml~約500mg/ml、約100mg/ml~約400mg/ml、約100mg/ml~約300mg/ml、約100mg/ml~約250mg/ml、約100mg/ml~約200mg/ml、約10mg/ml~約150mg/ml、または上述の終端のうちの2つを含有する任意の他の範囲)の免疫調節ポリペプチド濃度を有する溶液を含み得る。
【0127】
本開示の組成物は、薬学的組成物を含む。そのような薬学的組成物は、1つ以上の免疫調節ポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含み得る。薬学的組成物は、本開示の免疫調節ポリペプチド以外のタンパク質および/または化学療法剤をさらに含み得る。他のタンパク質は、治療抗体などの治療剤であり得る。治療タンパク質または抗体は、免疫調節特性、または本開示の免疫調節ポリペプチドが増強するか、もしくはそれによって増強される他の特性を有し得る。あるいは、他のタンパク質は、血清アルブミン(例えば、HSA)などの担体タンパク質であってもよい。血清アルブミン(例えば、HAS、BSAなど)は、精製または組み換え生成することができる。薬学的組成物中の免疫調節ポリペプチド(複数可)を血清アルブミンと混合することによって、免疫調節ポリペプチドを血清アルブミン上に効果的に「充填」し、より多くの量の免疫調節ポリペプチドを炎症部位にうまく送達することを可能にすることができる。化学療法剤は、例えば、抗がん化学療法剤であり得る。そのような化学療法剤には、ゲムシタビン、ドセタキセル、ブレオマイシン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、トラメチニブ、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、リツキシマブ、イピリムマブ、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、メトトレキサート、ドキソルビシン、アブラキサン、フォルフィリノックス、シスプラチン、カルボプラチン、5-フルオロウラシル、テイスモ(Teysumo)、パクリタキセル、プレドニゾン、レボチロキシン、およびペメトレキセドが含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
主題の薬学的組成物のいくつかの事例では、組成物は、(例えば、本明細書に記載の)CD206結合ペプチドである免疫調節ポリペプチドと、化学療法剤とを含む。いくつかの実施形態では、組み合わせ組成物中で用途を見出す免疫調節ポリペプチドは、表3のペプチドである。特定の事例では、免疫調節ペプチド(例えば、表3のペプチド)は、化学療法剤と組み合わされる。薬学的組成物の特定の場合では、化学療法剤は、ゲムシタビンである。薬学的組成物の場合によっては、化学療法剤は、ドセタキセルである。薬学的組成物の場合によっては、化学療法剤は、アブラキサンである。
【0129】
主題の薬学的組成物のいくつかの事例では、組成物は、(例えば、本明細書に記載の)CD206結合ペプチドであり、(例えば、本明細書に記載の)第2の追加の薬剤にコンジュゲートされる、免疫調節ポリペプチドを含む。場合によっては、追加の薬剤は、化学療法剤である。いくつかの実施形態では、主題のペプチドコンジュゲート中で用途を見出す免疫調節ポリペプチドは、表3のペプチドである。特定の事例では、免疫調節ペプチド(例えば、表3のペプチド)は、化学療法剤にコンジュゲートされる。主題のペプチドコンジュゲートの特定の場合では、化学療法剤は、ゲムシタビンである。主題のペプチドコンジュゲートの場合によっては、化学療法剤は、ドセタキセルである。主題のペプチドコンジュゲートの場合によっては、化学療法剤は、アブラキサンである。主題のペプチドコンジュゲートの場合によっては、化学療法剤は、パクリタキセルである。
【0130】
場合によっては、がん、例えば、卵巣癌の治療において用途を見出す主題の薬学的組成物は、ワクチン接種療法と組み合わせた免疫調節ポリペプチド、例えば、Th1/Th17免疫を促進する樹状細胞(DC)ワクチン接種剤を含む。薬学的組成物の場合によっては、免疫調節ポリペプチドは、Th17誘導ワクチン接種剤と組み合わせたアジュバントである。
【0131】
本発明の薬学的組成物は、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、粘膜投与などのために製剤化することができる。いくつかの実施形態では、投与は、経口、静脈内、腹腔内、吸入、鼻腔内、前立腺内、および腫瘍内から選択される経路を介して行われる。本発明は、投与経路によって限定されない。経口送達用に製剤化された組成物は、例えば、腸溶コーティングを含むことで、その中に含有されるペプチドが腸管および腸管以降に到達することを確実にすることができる。経口投与用の胃耐性カプセル、直腸または膣投与用の坐剤などの腸溶製剤もまた、本開示の一部を形成する。局所送達用に製剤化された組成物を、例えば、ゲルもしくはクリーム中に懸濁させるか、マイクロニードル上にコーティングするか、または包帯もしくは局所パッチ中に注入して、その中に含有されるペプチドの作用の持続時間を延長することができる。肺内経路を介して患者に送達するための主題のペプチドを含むエアロゾル化形態を提供することができる任意の吸入可能な製剤を、本開示と組み合わせて使用することができる。場合によっては、主題の組成物は、例えば、注射可能な皮膚、皮下、および/または結節腫瘍への腫瘍内注射によって投与される。
【0132】
いくつかの実施形態では、組成物は、(例えば、標準的な技術を使用して、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,19th edition,1995(例えば、鼻腔内、肺、膣、および直腸技術を含む粘膜送達技術について)、ならびに欧州公開第517,565号およびIllum et al.,J.Controlled Rel.,1994,29:133-141(例えば、鼻腔内投与の技術について)を参照されたい)粘膜投与される。場合によっては、本発明の組成物は、標準的な技術を使用して皮膚投与または経皮投与することができる。鼻腔内ワクチン接種の方法は、液滴または噴霧形態の主題の組成物を治療される対象の鼻咽頭に投与することを含む。いくつかの実施形態では、噴霧またはエアロゾル化された組成物が提供される。
【0133】
主題の免疫調節ペプチドを含むリポソーム薬学的組成物もまた提供される。任意の好都合なナノ担体およびリポソームを、Ariasによって“Liposomes in drug delivery:a patent review”.Expert Opinion on Therapeutic Patents,23,2013,issue11,p.1399-1414に、およびTorchilinによって“Multifunctional nanocarriers”,Advanced Drug Delivery Reviews,Volume58,Issue14,1December2006,Pages1532-1555に記載されるナノ担体およびリポソームなどの、主題のペプチドのリポソーム製剤の調製における使用に適合させることができる。
【0134】
主題の免疫調節ペプチドを含むナノ粒子製剤または組成物もまた提供される。ナノ粒子製剤または組成物は、対象となるペプチドの水溶性を増加させることができ、(例えば、本明細書に記載の)治療用途におけるペプチドの保護、持続、および標的化された送達を達成することができる。場合によっては、製剤は、ポリマーベースのナノ粒子製剤である。対象となるナノ粒子製剤には、アルブミンナノ粒子、例えば、ヒト血清アルブミン含有ナノ粒子製剤が含まれる。場合によっては、脱溶媒和技術を、アルブミンナノ粒子の調製に使用することができる。粒径、ペプチド薬物放出、カプセル化効率、およびペプチド薬物ポリマー相互作用は、任意の好都合なインビトロ方法を使用して決定および選択することができる。例えば、ラットにおけるインビボ薬物動態の細胞培養研究を、所望の製剤の生物学的特性評価に使用することができる。
【0135】
いくつかの事例では、主題の免疫調節ペプチドを含むナノ粒子製剤組成物は、酸化鉄ナノ粒子(IONP)からなる。IONPは、様々な生物医学的用途において用途を見出す。場合によっては、IONP製剤は、マクロファージ内および/または標的がん細胞内での高い取り込みを示し得る。所望の細胞毒性、インビボ分布、および/またはクリアランスを有するIONPが、主題の免疫調節ペプチドと組み合わせて使用するために選択され得る。異なるサイズおよびコーティングを有する様々な十分に特性評価されたIONPが、主題の組成物および製剤中で利用され得る。場合によっては、ポリエチレンアミン(PEI)でコーティングされたIONPまたはPEG化IONPが利用される。IONPは、ROS生成およびアポトーシスなどの複数の機序を通して、主題の製剤の細胞毒性を増強することができる。
【0136】
(例えば、本明細書に記載の)CD206結合ペプチドである免疫調節ポリペプチドと、がんの治療に使用するための追加の薬剤(例えば、化学療法剤または免疫療法剤)とを含む、キットもまた提供される。キットは、対象におけるがん細胞の増殖の阻害に有効な量の免疫調節ペプチドの用量を含み得る。キットはまた、対象におけるがん細胞の増殖の阻害に有効な量の(例えば、本明細書に記載の)化学療法剤または免疫療法剤などの追加の薬剤の用量も含み得る。場合によっては、キットは、免疫調節ペプチドおよび/または追加の薬剤(例えば、化学療法剤もしくは免疫療法剤)の投与のための説明書を有する挿入物を含む。いくつかの事例では、併用療法のための説明書の組は、(i)化学療法剤と組み合わせて使用される場合、より低い用量の免疫調節ペプチド、(ii)免疫調節ペプチドと組み合わせて使用される場合、より低い用量の追加の薬剤(例えば、化学療法剤もしくは免疫療法剤)、および/または(iii)通常推奨される投薬計画とは異なる、一方もしくは両方の薬剤の投薬計画を推奨する場合がある。
【0137】
方法
本開示は、(例えば、本明細書に記載の)免疫調節ペプチドを使用して、マクロファージ活性を調節する方法を提供する。方法の場合によっては、調節されるマクロファージ活性は、マクロファージ極性化である。方法は、マクロファージを、本開示のペプチドであるCD206結合剤と接触させて、マクロファージの活性を調節することを含み得る。場合によっては、酸性を調節することは、マクロファージ活性の阻害を意味する。本発明の方法は、マクロファージの生存率の低減を提供することができ、この生存率は、任意の好都合な方法を使用して決定することができる。
【0138】
特定の実施形態では、本開示の免疫調節ポリペプチドは、少なくとも-650kcal/mol、および特定の実施形態では、少なくとも-700、-750、-800、-850、-900、-925、-950、-975、-1000、-1025、-1050kcal/mol以上の親和性でヒトCD206に結合することができる。必要な結合親和性は、インビトロまたはインビボで検出され得る結合親和性に対応し得る。あるいは、必要な結合親和性は、例えば、ClusPro(商標)アルゴリズムを使用して、インシリコで検出され得る結合親和性に対応し得る。
【0139】
主題の方法を使用して標的化されるマクロファージは、M2マクロファージまたは腫瘍関連マクロファージ(TAM)であり得る。標的化されるマクロファージは、インビトロまたはインビボにあり得る。
【0140】
特定の実施形態では、本開示のペプチドは、2つ以上の標的(例えば、炎症促進標的)に結合する。いくつかの実施形態では、変異形ポリペプチドは、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の炎症促進標的に結合する。例えば、変異形ポリペプチドは、以下で考察されるように、本明細書に開示される標的の任意の組み合わせ(例えば、NF-kBクラスIIタンパク質およびヒト血清アルブミン(HSA))に結合することができる。そのような結合は、インシリコ、インビトロ、またはインビボのデータに基づくことができる。
【0141】
対象となる例示的なRPペプチドは、NF-kBクラスIIサブユニットRelB、TGFβ、Notch1、Wnt8R、TRAIL、IL6R、IL10R、EGFR、およびCDK6を含む炎症に関連する様々なシグナル伝達分子だけでなく、CD206、CD47、およびSIRP-αを含む他の膜関連シグナル伝達分子、翻訳修飾タンパク質トランスグルタミナーゼ2(TGM2)、ならびにヒストン修飾酵素ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)とも相互作用することができる。特定の場合では、主題のペプチドは、CD206結合ペプチドである。これらのタンパク質標的をそれらの正常な三次元立体構造に折り畳むと、本明細書に記載の免疫調節ペプチドに対して高い親和性を有する両親媒性中裂が、しばしば生成される。
【0142】
主題の免疫調節ペプチドが特異的に結合する標的シグナル伝達分子のさらなる詳細は、JaynesらによるWO2016/061133に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0143】
主題の方法において用途を見出す免疫調節ポリペプチドは、それがCD206上のマンノース結合部位に結合する能力、および/またはCD206へのSIRP-マンノースの結合を妨害もしくは遮断する能力に基づくことができる。例えば、免疫調節ポリペプチドは、Glu-725、Tyr-729、Glu-733、Asn-747、およびAsp-748からなる群から選択されるCD206の少なくとも1つのアミノ酸残基、または別の種のCD206タンパク質中の等価アミノ酸残基(複数可)に結合することができる。あるいは、免疫調節ポリペプチドは、Phe-708、Thr-709、Trp-710、Pro-714、Glu-719、Asn-720、Trp-721、Ala-722、Glu-725、Tyr-729、Glu-733、Asn-747、Asp-748、Ser-1691、Cys-1693、Phe-1694、およびPhe-1703からなる群から選択されるヒトCD206の少なくとも1つのアミノ酸残基、または別の種のCD206タンパク質中の等価アミノ酸残基(複数可)に結合することができる。特定の実施形態では、免疫調節ポリペプチドは、Phe-708、Trp-710、Trp-721、Glu-725、Tyr-729、Glu-733からなる群から選択されるCD206の少なくとも1つのアミノ酸残基、または別の種のCD206タンパク質中の等価アミノ酸残基(複数可)に結合することができる。
【0144】
特定の事例では、免疫調節ポリペプチドは、CD206のフィブロネクチン(FBN)ドメインに結合し、かつ/またはCD206へのコラーゲンの結合を妨害もしくは遮断する。場合によっては、免疫調節ポリペプチドは、CD206のフィブロネクチン(FBN)ドメインに特異的に結合することができる。いくつかの事例では、主題の免疫調節ポリペプチドは、CD206のC型炭水化物認識ドメイン(CRD)に結合して、CD206の活性を調節(例えば、活性化)する。場合によっては、主題の免疫調節ポリペプチドは、CD206のC型炭水化物認識ドメイン(CRD)に結合して、CD206の活性を調節(例えば、妨害、遮断、または阻害)する。特定の場合では、主題の免疫調節ポリペプチドが特異的に結合して、CD206の活性を調節するCRDドメインは、CRD4または5ドメインである。
【0145】
特定の実施形態では、免疫調節ポリペプチドは、2つ以上の標的(例えば、炎症促進標的)に結合する。いくつかの実施形態では、免疫調節ポリペプチドは、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の炎症促進標的に結合する。例えば、免疫調節ポリペプチドは、本明細書に開示される標的の任意の組み合わせに結合し得る。そのような結合は、インシリコ、インビトロ、またはインビボのデータに基づくことができる。したがって、免疫調節ポリペプチドは、2つ以上のNF-kBクラスIIサブユニット(例えば、RelB、およびRelA、cRel、NF-kB1、またはNF-kB2などの少なくとも1つの他のNF-kBクラスIIサブユニット)に結合することができる。あるいは(または加えて)、免疫調節ポリペプチドは、NF-kBクラスIIサブユニット(例えば、RelB)、ならびに少なくとも1つの他のシグナル伝達分子(例えば、TGFβ、Notch1、Wnt8R、TRAIL、IL6R、IL10R、EGFR、CDK6、CD206、CD47、SIRP-α、HMT、およびTGM2からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子)に結合することができる。例えば、免疫調節ポリペプチドは、NF-kBクラスIIサブユニット(例えば、RelB)、ならびにTGFβ、Notch1、Wnt8R、TRAIL、IL6R、IL10R、EGFR、およびCDK6からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子に結合することができる。あるいは、免疫調節ポリペプチドは、NF-kBクラスIIサブユニット(例えば、RelB)、ならびにCD206、CD47、SIRP-α、およびTGM2からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子に結合することができる。他の代替形態では、免疫調節ポリペプチドは、NF-kBクラスIIサブユニット(例えば、RelB)およびHMTに結合することができる。他の代替形態では、免疫調節ポリペプチドは、TGFβ、Notch1、Wnt8R、TRAIL、IL6R、IL10R、EGFR、およびCDK6からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子、ならびにCD206、CD47、SIRP-α、およびTGM2からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子に結合することができる。他の代替形態では、免疫調節ポリペプチドは、TGFβ、Notch1、Wnt8R、TRAIL、IL6R、IL10R、EGFR、およびCDK6からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子に結合し、HMTにも結合することができる。さらに他の実施形態では、免疫調節ポリペプチドは、NF-kBクラスIIサブユニット(例えば、RelB)、TGFβ、Notch1、Wnt8R、TRAIL、IL6R、IL10R、EGFR、およびCDK6からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子、CD206、CD47、SIRP-α、およびTGM2からなる群から選択される少なくとも1つのシグナル伝達分子、ならびにHMTにも結合することができる。特定の実施形態では、免疫調節ポリペプチドは、2つ以上の炎症促進標的、および血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)にも結合する。
【0146】
本開示の免疫調節ポリペプチドは、炎症を低減するための、および/または(急性もしくは慢性にかかわらず)過剰な炎症に関連する病態を治療するための強力なツールを提供する。本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」という用語、および同様の単語は、医学的病態の安定化、その症状の低減、その発生の予防、またはその治癒を意味するものとする。
【0147】
したがって、本開示は、対象における炎症部位での少なくとも1つ(例えば、2、3、4、5つ、またはそれ以上)の炎症促進性サイトカイン(複数可)の発現レベルおよび/または活性を低減する方法を提供する。方法は、本開示の免疫調節ポリペプチド(または、例えば、免疫調節ポリペプチドを含む薬学的組成物)を対象に投与することを含む。炎症促進性サイトカインは、NF-kB、TNFα、IL-1、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IL-23、MCP-1、MMP-1、およびMMP-9からなる群から選択され得る。低減は、サイトカインの発現または活性の少なくとも10%(例えば、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれ以上)の低減であり得る。
【0148】
本開示はまた、対象における潜在的な炎症部位での少なくとも1つ(例えば、2、3、4、5つ、またはそれ以上)の炎症促進性サイトカイン(複数可)の発現レベルおよび/または活性の増加を阻害する方法も提供する。方法は、本開示の免疫調節ポリペプチド(または、例えば、免疫調節ポリペプチドを含む薬学的組成物)を対象に投与することを含む。炎症促進性サイトカインは、NF-kB、TNFα、IL-1、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IL-23、MCP-1、MMP-1、およびMMP-9からなる群から選択され得る。方法は、サイトカイン発現および/または活性の増加を20%以下(例えば、15%、12.5%、10%、7.5%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下)に制限することによって、そのような増加を阻害することができる。
【0149】
対象における炎症部位での炎症促進性サイトカイン(複数可)のレベルおよび/または活性の調節は、場合によっては、対象となる免疫細胞(例えば、エフェクターT細胞、制御性T細胞(Treg)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、B細胞など)の活性の下流調節、および標的免疫または炎症応答の制御を提供することができることが理解される。
【0150】
本開示はまた、慢性炎症に関連する病態を治療または予防する方法も提供する。慢性炎症に関連する病態は、過敏性腸疾患、潰瘍性大腸炎、大腸炎、クローン病、特発性肺線維症、喘息、角膜炎、関節炎、変形性関節炎、リウマチ性関節炎、自己免疫疾患、ネコまたはヒト免疫不全ウイルス(FIVまたはHIV)感染症、がん、加齢性炎症および/または幹細胞機能障害(例えば、Nlrp3発現の加齢性増加、筋幹細胞内のSOCS3の加齢性上昇など)、移植片対宿主病(GVHD)、ケロイド、強皮症、肥満症、糖尿病、糖尿病性創傷、他の慢性創傷、アテローム動脈硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、黄斑変性症、痛風、胃潰瘍、胃炎、粘膜炎、トキソプラズマ症、ならびに慢性ウイルスまたは微生物感染症(例えば、慢性細菌または原虫感染症など)であり得る。方法は、本開示の免疫調節ポリペプチド(または、例えば、免疫調節ポリペプチドを含む薬学的組成物)を、病態に罹患しているか、またはそれを発症する可能性が高い対象に投与することを含む。
【0151】
本開示はまた、線維症を治療または予防する方法も提供する。線維症は、例えば、肺線維症、皮膚線維症、肝線維症、腎線維症、または電離放射線によって引き起こされる線維症であり得る。方法は、本開示の免疫調節ポリペプチド(または、例えば、免疫調節ポリペプチドを含む薬学的組成物)を、線維症に罹患しているか、またはそれを発症する可能性が高い対象に投与することを含む。
【0152】
本開示はまた、がんを治療する方法も提供する。がんは、結腸癌、乳癌、白血病、リンパ腫、卵巣癌、前立腺癌、肝癌、肺癌、精巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、子宮内膜癌、腎癌、黒色腫、甲状腺癌もしくは脳癌、または眼科癌であり得る。方法は、本開示の免疫調節ポリペプチド(または、例えば、免疫調節ポリペプチドを含む薬学的組成物)を、がんに罹患している対象に投与することを含む。本開示の主題はまた、対象における固形腫瘍癌を治療するための方法も提供する。いくつかの実施形態では、方法は、対象に治療有効量の本明細書に開示される化合物を投与することを含む。
【0153】
前述の方法のうちのいずれかについて、対象は、家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒルなど)、ペット(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、スナネズミ、トリ、魚など)、実験動物(例えば、マウス、ラット、サル、チンパンジー、フクロウ、魚など)、動物園動物(例えば、ゴリラ、オランウータン、チンパンジー、サル、ゾウ、ラクダ、シマウマ、イノシシ、ライオン、トラ、キリン、クマ、トリなど)、野生動物(例えば、シカ、オオオカミ、マウンテンライオン、トリなど)、またはヒトなどの動物であり得る。
【0154】
前述の方法のいずれかと組み合わせて、免疫調節ポリペプチド(複数可)は、動物の種類、動物のサイズ、および治療される病態に依存する用量および頻度で投与することができる。典型的には、免疫調節ポリペプチドは、約1mg~約1000mg(例えば、約5mg~約900mg、約5mg~約800mg、約5mg~約700mg、約5mg~約600mg、約10mg~約500mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約250mg、約10mg~約200mg、約10mg~約150mg、約10mg~約100mg、約50mg~約500mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約250mg、約50mg~約200mg、約50mg~約150mg、約50mg~約100mg、約75mg~約500mg、約75mg~約400mg、約75mg~約300mg、約75mg~約250mg、約75mg~約200mg、約75mg~約150mg、約75mg~約100mg、約100mg~約500mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約250mg、約100mg~約200mg、または上述の終端のうちの2つを含有する任意の他の範囲)の量で1日1回(または隔日もしくは1週間に1回)投与される。1日用量は、日中に1回投与しても、日中の複数の時点で服用されるより小さい用量に分割してもよい。ヒト(および他の類似したサイズの哺乳動物)では、5mg/kgの用量を隔日投与することができる。免疫調節ポリペプチドは、一定期間(例えば、2~3週間)、間隔を空けて(例えば、ポリペプチドを2~3週間投与し、2~3週間待機し、その後このサイクルを繰り返す)、あるいは炎症促進性サイトカインレベルが低減もしくは安定化するか、慢性炎症病態もしくは線維症が回復するか、またはがんが寛解するような時間まで投与することができる。
【0155】
前述の方法のいずれかと組み合わせた免疫調節ポリペプチド(またはそのようなポリペプチドを含む薬学的組成物)の投与は、静脈内、腹腔内、非経口、同所、皮下、局所、吸入を介して、経鼻、経口、舌下、眼内、植え込み型デポーの手段によって、ナノ粒子ベースの送達系、マイクロニードルパッチ、微粒子、ビーズ、浸透圧的もしくは機械的ポンプ、および/または他の機械的手段を使用して、実行することができる。
【0156】
前述の方法のうちのいずれかと組み合わせて、(例えば、本明細書に記載の)免疫調節ポリペプチド(またはそのようなポリペプチドを含む薬学的組成物)は、炎症を低減もしくは予防するか、慢性炎症もしくは線維症を治療もしくは予防するか、またはがんを治療するように設計された別の薬物と組み合わせて投与することができる。いずれの場合も、免疫調節ポリペプチドは、他の薬物の投与前、それと同時、またはその後に投与することができる。がんの治療について、免疫調節ポリペプチド(複数可)は、タキサン、ヌクレオシド類似体、ステロイド、アントラサイクリン、甲状腺ホルモン置換薬、チミジル酸標的化薬、キメラ抗原受容体/T細胞療法、キメラ抗原受容体/NK細胞療法、アポトーシス制御因子阻害剤(例えば、B細胞CLL/リンパ腫2(BCL-2)BCL-2様1(BCL-XL)阻害剤)、CARP-1/CCAR1(細胞分裂周期およびアポトーシス制御因子1)阻害剤、コロニー刺激因子-1受容体(CSF1R)阻害剤、CD47阻害剤、がんワクチン(例えば、Th17誘導樹状細胞ワクチン)、ならびに他の細胞療法からなる群から選択される追加の治療剤(例えば、化学療法剤または免疫調節剤)と組み合わせて投与することができる。特定の化学療法剤には、例えば、ゲムシタビン、ドセタキセル、ブレオマイシン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、トラメチニブ、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、リツキシマブ、イピリムマブ、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、メトトレキサート、ドキソルビシン、アブラキサン、フォルフィリノックス、シスプラチン、カルボプラチン、5-フルオロウラシル、テイスモ、パクリタキセル、プレドニゾン、レボチロキシン、ペメトレキセド、ナビトクラクス、およびABT-199が含まれる。
【0157】
いくつかの実施形態では、併用療法において用途を見出す免疫調節ポリペプチドは、(例えば、本明細書に記載の)マクロファージ調節活性を有するペプチドである。特定の事例では、免疫調節ポリペプチドは、(例えば、本明細書に記載の)CD206結合ペプチドである。いくつかの実施形態では、併用療法において用途を見出す免疫調節ポリペプチドは、表3のペプチドである。特定の事例では、免疫調節ペプチド(例えば、表3のペプチド)を化学療法剤と組み合わせて投与して、がんを治療することができる。特定の場合では、化学療法剤は、ゲムシタビンである。場合によっては、化学療法剤は、ドセタキセルである。場合によっては、化学療法剤は、アブラキサンである。
【0158】
がん(例えば、黒色腫、非小細胞肺癌、またはホジキンリンパ腫などのリンパ腫)の治療について、免疫調節ポリペプチド(複数可)は、免疫療法剤と組み合わせて投与することができる。免疫療法剤は、免疫応答を誘導、増強、または抑制することによって疾患の治療において用途を見出す任意の好都合な薬剤である。場合によっては、免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。細胞毒性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、プログラム死1(PD-1)阻害剤、およびPD-L1阻害剤を含むがこれらに限定されない、任意の好都合なチェックポイント阻害剤が、主題のペプチドと組み合わせて利用され得る。対象となる例示的なチェックポイント阻害剤には、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、およびニボルマブが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、がんおよび/または炎症性疾患の治療について、免疫調節ポリペプチド(複数可)は、コロニー刺激因子-1受容体(CSF1R)阻害剤と組み合わせて投与することができる。対象となるCSF1R阻害剤には、エマクツズマブが含まれるが、これに限定されない。
【0159】
任意の好都合ながんワクチン療法および薬剤は、主題の免疫調節ポリペプチド組成物および方法と組み合わせて使用することができる。がん、例えば、卵巣癌の治療について、免疫調節ポリペプチド(複数可)は、ワクチン療法、例えば、Th1/Th17免疫を促進する樹状細胞(DC)ワクチン接種剤と組み合わせて投与することができる。Th17細胞浸潤は、卵巣癌患者における全生存期間の著しい延長と相関している。場合によっては、免疫調節ポリペプチドは、Th17誘導ワクチン接種と組み合わせたアジュバント治療として用途を見出す。
【0160】
Rishi et al.,Journal of Biomedical Nanotechnology,Volume11,Number9,September2015,pp.1608-1627(20)に記載のものを含むがこれらに限定されない、CARP-1/CCAR1(細胞分裂周期およびアポトーシス制御因子1)阻害剤、およびHu5F9-G4などの抗CD47抗体薬剤を含むがこれらに限定されない、CD47阻害剤である薬剤もまた対象となる。
【0161】
特定の事例では、組み合わせは、いずれかの構成成分単独と比較して、増強された効果を提供し、場合によっては、組み合わせは、構成成分の組み合わせ効果または相加的効果と比較して、超相加的または相乗的効果を提供する。主題のポリペプチドおよび化学療法剤の様々な組み合わせを、順次または同時に使用して、用いることができる。複数の用量について、2つの薬剤を、直接交互に使用しても、1つの薬剤の2回以上の用量を、例えば、他方の薬剤の単回用量と交互に繰り返してもよい。両方の薬剤の同時投与もまた、交互に繰り返しても、個々の薬剤の投薬量を別様に分散させてもよい。場合によっては、投薬間の時間は、治療の開始後、約1~6時間から、約6~12時間まで、約12~24時間まで、約1~2日間まで、約1~2週間まで、またはそれを超える期間であり得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、方法は、がん細胞増殖を低減する方法であって、細胞を有効量の(例えば、本明細書に記載の)主題の免疫調節ポリペプチドと接触させることを含む、方法である。方法は、(例えば、本明細書に記載の)化学療法剤と組み合わせて実行することができる。がん細胞は、インビトロまたはインビボにあり得る。特定の事例では、方法は、細胞を免疫調節ペプチド(例えば、表3のペプチド)と接触させることと、細胞を化学療法剤と接触させることとを含む。任意の好都合ながん細胞を、標的化することができる。特定の場合では、化学療法剤は、ゲムシタビンである。場合によっては、化学療法剤は、ドセタキセルである。場合によっては、化学療法剤は、アブラキサンである。
【0163】
あるいは、がんを治療する方法について、免疫調節ポリペプチド(複数可)(またはそのようなポリペプチドを含む薬学的組成物)は、放射線療法と組み合わせて投与することができる。繰り返すが、免疫調節ポリペプチド(複数可)は、放射線療法の投与前に投与しても、その後に投与してもよい。
【0164】
本開示の前述の方法のいずれかは、治療処置の有効性を評価するステップをさらに含む。本開示の免疫調節ポリペプチドは、組織および血清の両方において、組織炎症を低減し、IL-1、IL-6、IL-12、およびTNFαなどの炎症媒介物質の過剰生成を抑制する実証可能な能力を有する(データ示さず)ため、治療処置の有効性は、(例えば、血清中の)そのようなサイトカインのレベルを測定して、レベルが治療に適切に応答したか否かを決定することによって評価することができる。サイトカインレベルに応じて、免疫調節ポリペプチド(複数可)の投薬量を、必要に応じて上下に調整することができる。
【0165】
定義
本発明は、それ自体が当然変動し得る、本明細書に記載の特定の実施形態には限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるため、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定的であることは意図されないこともまた理解されたい。
【0166】
ある範囲の値が提供される場合、別段文脈が明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間にある下限の単位の10分の1までの各介在値、およびその述べられる範囲内の任意の他の述べられる値または介在値が、本発明に包含されることを理解されたい。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立して、より小さい範囲内に含まれてもよく、述べられる範囲内の任意の具体的に除外された限界次第で、本発明にもまた包含される。述べられる範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除外した範囲もまた本発明に含まれる。
【0167】
特定の範囲は、数値に「約」という用語が先行した状態で本明細書に提示される。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、およびその用語が先行する数に近いか、または近似する数についての文字通りの支持を提供するために使用される。ある数が具体的に列挙される数に近いか、または近似するかを決定する際に、近いか、または近似する列挙されていない数は、それが提示される文脈で、具体的に列挙される数の実質的な等価物を提供する数であり得る。
【0168】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものに類似した、またはそれと等価の任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に使用することができるが、代表的で例示的な方法および材料が、本明細書に記載される。
【0169】
本明細書で引用される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれ、それに関連して刊行物が引用される方法および/または材料を開示および記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる刊行物の引用も、出願日前のその開示についてのものであり、本発明が、先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、それらは、独立して確認する必要があり得る。
【0170】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、別段文脈が明確に指示しない限り、複数の参照対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意の要素を除外するように立案され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単に」、「のみ」などの排他的な用語の使用、または「否定的な」限定の使用のための先行詞として機能することが意図される。
【0171】
本開示の閲読時に当業者に明らかになるように、本明細書に記載および図示される個々の実施形態の各々は、個別の構成成分および特徴を有し、これらは、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離すること、またはそれらと組み合わせることができる。いずれの列挙される方法も、事象が列挙される順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実施することができる。
【実施例0172】
主題の免疫調節ペプチドの調製および評価において用途を見出す、対象となる方法および材料には、JaynesらによるWO2016/061133の実験の節に開示されるものが含まれ、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0173】
以下の実施例は、当業者に本発明の作製および使用方法の完全な開示および説明を提供するために示され、本発明者らが自らの発明と見なすものの範囲を限定することは意図されず、以下の実験が実行される全てまたは唯一の実験であることを表すことも意図されない。
【0174】
実施例1:腫瘍成長の抑制
本開示のポリペプチドを、非転移性乳癌のマウスモデルにおいて、それらが腫瘍成長に与える効果についても試験する。MCF-7ヒト非転移性乳癌細胞を、正常成長培地中、37℃、5%のCO2で培養する。細胞を、80%~90%のコンフルエンスで採取する。免疫が損なわれた胸腺欠損ヌードマウス(J:NU)を、2つの群(1群あたり9匹)に分割する。全てのマウスに、VIVO Tracker680で染色し、200μlのPBS/Matrigel混合物中に懸濁させた約4.5×106個のMCF-7細胞を注射する。細胞を、500μlのシリンジを装着した22ゲージ針を使用して、治療される動物の背側表面上に皮下注射する。
【0175】
動物を、指定されたビヒクルおよびペプチドで治療する。ペプチドで治療される動物を、主題のポリペプチドで治療する。新鮮に調製したペプチドを、100μMの濃度で滅菌生理食塩水中に溶解させ、ペプチド群の動物の治療に使用した。ビヒクルで治療される動物には、生理食塩水緩衝液を単独で注射する。全ての治療を、1mlのシリンジを装着した27.5ゲージ針を使用して、5週間にわたって1週間に2回腫瘍塊に注射する。動物の体重および腫瘍体積を、1週間に3回測定し、蛍光標識の後に、VIVO Tracker680およびIVIS撮像を行う。
【0176】
図2は、マウス腫瘍阻害モデルにおいて、ペプチドRP832CおよびRP185が腫瘍体積を低減することを示す。データは、本開示のポリペプチドがインビボで腫瘍成長を抑制することを実証する。
【0177】
実施例2:化学療法と組み合わせたペプチドの投与
腫瘍発生および転移における炎症の有意な役割、ならびにM2マクロファージ活性と腫瘍発達との既知の関連性を考慮して、本開示のペプチド(例えば、表3の選択されたペプチド)の投与が、がん治療の転帰に正の影響を及ぼし得ることが予想された。
【0178】
この理論を試験するために、免疫が損なわれた(「ヌード」)マウスのコホートの左上乳頭下に、約5×106個のヒト三種陰性乳癌細胞(MDA-MB-231)を注射する。この投与後、1つのコホートは、ビヒクルのみを受け、コホートのうちの2つは、40mg/kgの体重の4日に1回の用量で化学療法剤ゲムシタビンを受けた。これらのコホートのうちの1つはまた、5mg/体重kgの1日用量で試験ペプチドも受け、第4のコホートは、5mg/体重kgの1日用量でペプチドのみを受けた。研究の32日目から開始して、ゲムシタビン+RP-182コホートでは、RP-182の濃度を、20mg/体重kgに増加させる。腫瘍体積を、初期細胞投与後の様々な時点で評価する。50日後、マウスを屠殺する。
【0179】
第2の実験では、C42B前立腺癌細胞の異種移植片を、マウスの4つのコホートに導入し、腫瘍を、治療前に約100m3まで成長させる。1つのコホートは、ビヒクルのみで治療し、第2のコホートは、1週間に1回2.5mg/体重kgのドセタキセルで治療し、第3のコホートは、1日1回10mg/体重kgで皮下投与される試験ペプチドで治療し、第4のコホートは、1週間に1回2.5mg/kgのドセタキセルおよび1日1回10mg/kgの試験ペプチドの両方で治療する。腫瘍体積を、初期細胞投与後の様々な時点で評価し、27日後、マウスを屠殺する。。
【0180】
本開示のペプチド(例えば、表3の選択されたペプチド)は、ゲムシタビンおよびドセタキセルを含む化学療法剤、ならびにチェックポイント阻害剤療法および他の免疫療法とともに投与された場合に、相乗効果を生成することが予想される。具体的には、本開示のペプチドは、近年開発されたCAR-T(キメラ抗原受容体/T細胞)療法と組み合わせて使用した場合に、特に有用であり得る。そのような療法は、腫瘍細胞を破壊しながら、非常に高い死細胞材料の全身負荷をもたらし、免疫系を過剰に刺激し、患者にとって致命的であり得る「サイトカインストーム」をもたらす。
【0181】
実施例3:選択されたペプチドの調査
【0182】
【0183】
実施例4:対象となるRPペプチドが強皮症マクロファージ生存率に与える選択的効果
末梢血由来のマクロファージを、健康なボランティアおよび強皮症患者から培養し、アルギナーゼ1(M2マーカー)またはIFNg(M1マーカー)についてqPCRする前にMCS-F中で7日間培養し、その後0~100uMの用量の範囲のRPペプチドで治療した。48時間後、培地を交換し、細胞をペプチドで再治療した。96時間後、細胞生存率を、PrestoBlueアッセイによってアッセイした。(
図4A)3.6の低いアルギナーゼ:IFNg比を有する健康な対照からのマクロファージは、対象となるRPペプチド((RP182、RP185、RP832C、RP837)が生存率に与える効果に対して耐性があった。(
図4B):8.8の上昇したアルギナーゼ:IFNg比を有する強皮症(SSc)患者では、対象となるRPペプチド(RP182、RP185、RP832C、RP837)は、0.01uMであっても、96時間の時点での生存率を大幅に低減した。
【0184】
実施例5:ブレオマイシン肺線維症レスキュー
ブレオマイシンの気管内注入(IT)を、肺線維症のモデルとして使用した。主題のペプチドによる、マウスにおけるブレオマイシン誘導性肺線維症のレスキューを研究した。実験パラメータ:4つの群(n=8匹)の雄のC57BL6マウスを、6~8週間にわたって研究した。2.5U/kgのブレオマイシンを、単一ボーラスでIT投与した。72時間後、対象となる1mg/kgのペプチド(RP182、RP185、RP832、RP837)を、2日に1回IT投与した。このブレオマイシン負荷実験では、線維症測定は、トリクローム染色後のアシュクロフトスコアである。コラーゲンスコアは、ヒドロキシプロリン染色後の定量的測定である。
図1は、これらの結果のグラフを示す。
【0185】
主題のペプチドは、線維症およびコラーゲン沈着を低減した。肺組織切片のヘマトキシリンおよびエオシン(H/E)ならびにメイソントリクローム染色を、実行した。ビヒクル群の肺胞は、治療した群およびナイーブ肺群の肺胞とは異なり、増加したコラーゲン沈着を有する線維化組織によって囲まれているように見える。体重変化:RPペプチド治療群の体重は、ビヒクル治療群の体重と比較して、有意な変化を示さなかった。アシュクロフトスコア分析:十分に組織化された肺構造を示したため、より低いスコアが割り当てられたペプチド治療群とは異なり、ビヒクル群の肺検体は、増加した線維症およびコラーゲン沈着を有する変形した肺構造を示したため、6に近いスコアが割り当てられた。
【0186】
線維症およびコラーゲン沈着レベル評価:ImageJソフトウェアによって測定して、治療群では、ビヒクル群と比較して、線維症およびコラーゲン沈着の有意な減少が存在した。肺重量変化:ビヒクル群は、ペプチド治療群の線維症およびコラーゲン含有量の減少のために、ペプチド治療群と比較して、より高い肺重量を有した。TGFβ1およびαSMAのIHC染色:ペプチドで治療した肺組織は、TGFβ1およびαSMAの線維症関連マーカーの有意な減少を示した。
【0187】
これらの結果は、例示的なペプチドが、肺線維症のマウスモデルにおいて、ブレオマイシン誘導性肺線維症の低減を提供したことを実証する。
【0188】
実施例6:対象となるRPペプチドと、CT26異種移植片におけるPD-1チェックポイント阻害剤との協同
図2は、マウス腫瘍阻害モデルにおいて、抗PD1抗体の有無にかかわらず、対象となるペプチドが腫瘍体積に与える効果の研究の結果を示す。ペプチドRP832CおよびRP185を、1日1回10mg/kgで投与した。抗PD1抗体を、1週間に2回200ugで腹腔内投与した。実施例で提供される結果は、本発明のペプチドの有効性を実証する。
【0189】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、以下の付記は、本開示の態様を例示するために提供される。
【0190】
1.5~30(例えば、6~30または6~18)アミノ酸残基長の免疫調節ペプチドであって、
2つ以上(例えば、3つ以上または4つ以上)の疎水性モジュールと、各々が少なくとも1つのカチオン性残基を含む1つ以上(例えば、2つ以上または3つ以上)の親水性モジュールとを含む、生理学的条件下で両親媒性立体構造を採用する、式1~7のうちの1つによって記載される、(例えば、6~12または6~10アミノ酸残基長を有する)交互の親水性および疎水性モジュールのストリアパシック領域を含み、CD206に特異的に結合する、免疫調節ペプチド。
2.ストリアパシック領域は、式5のものであり、式:[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3a]-[X3a](式5A)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、バリン、およびグリシン)から選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、またはグルタミン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
3.J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aが各々独立して、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、およびグリシンから選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aが各々独立して、リジンおよびアルギニンから選択される、付記2に記載の免疫調節ペプチド。
4.J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aが各々独立して、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、およびバリンから選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aが各々独立して、オルニチン、リジン、およびアルギニンから選択される、付記2に記載の免疫調節ペプチド。
5.式:FAX1aX1bFAX2aX2bJ3aFX3a(配列番号30)によって定義される配列を有し、式中、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aが各々独立して、オルニチン、リジン、およびアルギニンから選択される、付記2~4のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチド。
【0191】
6.配列FAOOFAOOFO(配列番号19)(RP850)を有する、付記5に記載の免疫調節ペプチド。
7.式:FWKX1bFVX2aKWX3a(配列番号31)によって定義される配列を有し、式中、X1b、X2a、およびX3aが各々独立して、リジンまたはアルギニンである、付記2~4のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチド。
8.FWKRFVRKWR(配列番号4)(RP837)およびFWKKFVKKWK(配列番号7)(RP841)から選択される配列を有する、付記7に記載の免疫調節ペプチド。
9.J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aが各々、トリプトファンであり、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aが各々独立して、ヒスチジン、リジン、およびアルギニンから選択される、付記8に記載の免疫調節ペプチド。
10.式:WWX1aHWWHX2bWX3a(配列番号32)によって定義される配列を有し、式中、X1a、X2b、およびX3aが各々独立して、ヒスチジン、リジン、またはアルギニンである、付記9に記載の免疫調節ペプチド。
【0192】
11.WWHHWWHHWH(配列番号13)、WWRHWWHRWR(配列番号14)、およびWWKHWWHKWK(配列番号15)(RP847~849)から選択される配列を有する、付記10に記載の免疫調節ペプチド。
付記12.ストリアパシック領域は、式6のものであり、式:[J1a]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2a]-[J3a]-[X3aX3b]-[J4aJ4b](式6A)によって定義される配列を有し、式中J1a、J2a、J2b、J3a、J4a、およびJ4bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、イソロイシン、バリン、およびグリシン)から選択され、X1a、X1b、X2a、X3a、およびX3bが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、またはグルタミン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
13.配列GDRGIKGHRGF(配列番号8)(RP842)を有する、付記12に記載の免疫調節ペプチド。
14.ストリアパシック領域は、式1のものであり、式:[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b](式1A)および[J2bJ2a]-[X1bX1a]-[J1bJ1a](式1B)のうちの1つによって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J2a、およびJ2bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリン)から選択され、X1aおよびX1bが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジンまたはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
15.配列FWKRFV(配列番号5)(RP837N)を有する、付記14に記載の免疫調節ペプチド。
【0193】
16.ストリアパシック領域は、式2のものであり、式:[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2a]-[X2a](式2A)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J2a、およびJ2bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリン)から選択され、X1a、X1b、およびX2aが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジンまたはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
17.配列FVRKWR(配列6)(RP837C1)を有する、付記16に記載の免疫調節ペプチド。
18.ストリアパシック領域は、式4のものであり、式:[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3aJ3b](式4A)および[J3aJ3b]-[X2aX2b]-[J2bJ2a]-[X1bX1a]-[J1bJ1a](式4B)のうちの1つによって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J2a、J2b、J3a、およびJ3bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、チロシン、またはロイシン)から選択され、X1a、X1b、X2a、およびX2bが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジンまたはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
19.配列LYKKIIKKLL(配列番号12)(RP846)を有する、付記18に記載の免疫調節ペプチド。
20.ストリアパシック領域は、式4のものであり、式:[J1aJ1bJ1c]-[X1a]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3aJ3b](式4C)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J1c、J2a、J2b、J3a、およびJ3bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、チロシン、またはプロリン)から選択され、X1a、X2a、およびX2bが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、アスパラギン酸、リジン、またはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
【0194】
21.配列FYPDFFKKFF(配列番号10)(RP844)を有する、付記20に記載の免疫調節ペプチド。
22.ストリアパシック領域は、式4のものであり、式:[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2a]-[X2aX2bX2c]-[J3aJ3b](式4D)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J2a、J3a、およびJ3bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、セリン、グリシン、またはイソロイシン)から選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX2cが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、またはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
23.配列FFRKSKEKIG(配列番号18)(RP853)を有する、付記22に記載の免疫調節ペプチド。
24.ストリアパシック領域は、式4のものであり、式:[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2b]-[X2aX2b]-[J3a](式4E)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、アラニン、またはイソロイシン)から選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX2cが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、オルニチン、リジン、またはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
25.ストリアパシック領域は、式5のものであり、式:[J1a]-[X1a]-[J2aJ2bJ2c]-[X2a]-[J3aJ3b]-[X3aX3b](式5C)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J2a、J2b、J2c、J3a、およびJ3bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、ロイシン、グリシン、またはイソロイシン)から選択され、X1a、X2a、X3a、およびX3bが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、グルタミン、リジン、またはヒスチジン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
【0195】
26.配列FQFLGKIIHH(配列番号17)(RP852)を有する、付記25に記載の免疫調節ペプチド。
27.ストリアパシック領域は、式7のものであり、式:[X1aX1b]-[J1a]-[X2a]-[J2a]-[X3a]-[J3aJ3bJ3c](式7A)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J2a、J3a、J3b、およびJ3cが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン、セリン、またはアラニン)から選択され、X1a、X1b、X2a、およびX3aが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、リジンまたはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
28.配列KKIRVRLSA(配列番号16)(RP851)を有する、付記27に記載の免疫調節ペプチド。
29.ストリアパシック領域は、式5のものであり、式:[J1aJ1b]-[X1aX1b]-[J2aJ2bJ2c]-[X2b]-[J3a]-[X3a](式5B)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J2a、J2b、およびJ3aが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、フェニルアラニン、アラニン、スレオニン、またはロイシン)から選択され、X1a、X1b、X2a、X2b、およびX3aは各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、ヒスチジン、アスパラギン酸、リジン、またはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
30.配列FFRHFATHLD(配列番号11)(RP845)を有する、付記29に記載の免疫調節ペプチド。
【0196】
31.ストリアパシック領域は、式3のものであり、式:[X1aX1b]-[J1aJ1bJ1cJ1d]-[X2aX2b]-[J2aJ2b](式3A)によって定義される配列を有し、式中、J1a、J1b、J1c、J1d、J2a、およびJ2bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、ロイシン、セリン、アラニン、またはフェニルアラニン)から選択され、X1a、X1b、X2a、およびX2bが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、アスパラギン、またはアルギニン)から選択される、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
32.配列EKLSAFRNFF(配列番号9)(RP843)を有する、付記31に記載の免疫調節ペプチド。
33.ストリアパシック領域は、第1のポリペプチドのC末端と第2のポリペプチドのN末端とを接続するペプチドリンカーを介して接続された第1および第2のポリペプチドの二量体を含む、付記1に記載の免疫調節ペプチド。
34.親水性モジュールは、リジン、アルギニン、およびオルニチンから選択されるアミノ酸残基からなり、疎水性モジュールは、フェニルアラニンおよびトリプトファンから選択されるアミノ酸残基からなる、付記33に記載の免疫調節ペプチド。
35.第1および第2のポリペプチドは、以下の式:[X1]-[J1]-[X2]-[J2](式3)または[J1]-[X1]-[J2]-[X2](式2)のうちの1つを含む、付記33または34に記載の免疫調節ペプチド。
【0197】
36.二量体は、以下の式:[X1]-[J1]-[X2]-[J2]-T-[J2]-[X2]-[J1]-[X1]または[J1]-[X1]-[J2]-[X2]-T-[X2]-[J2]-[X1]-[J1]のうちの1つを有し、式中、Tが、ペプチドリンカーである、付記33~35のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチド。
37.二量体は、以下の式:[X1a]-[J1a]-[X2a]-[J2a]-T-[J2a]-[X2a]-[J1a]-[X1a](式12A)または[J1a]-[X1a]-[J2a]-[X2a]-T-[X2a]-[J2a]-[X1a]-[J1a](式13A)のうちの1つを有し、式中、Tが、ペプチドリンカー(例えば、ポリグリシンリンカー)である、付記36に記載の免疫調節ペプチド。
38.RWKFGGFKWR(配列番号1)(RP832C)およびFKWRGGRWKF(配列番号3)(RP837C)から選択される配列を有する、付記37に記載の免疫調節ペプチド。
39.二量体は、以下の式:[X1aX1b]-[J1aJ1b]-T-[J1bJ1a]-[X1bX1a](式8A)または[J1aJ1b]-[X1aX1b]-T-[X1bX1a]-[J1bJ1a](式9A)のうちの1つを有し、式中、Tが、ペプチドリンカー(例えば、ポリグリシンリンカー)であり、J1aおよびJ1bが各々独立して、疎水性アミノ酸残基(例えば、トリプトファンまたはフェニルアラニン)から選択され、X1aおよびX1bが各々独立して、親水性アミノ酸残基(例えば、アスパラギンまたはアルギニン)から選択される、付記33または34に記載の免疫調節ペプチド。
40.配列FWKRGGRKWF(配列番号4)(ペプチド837A)を有する、付記39に記載の免疫調節ペプチド。
【0198】
41.a)表3のペプチド配列から選択される配列、
b)a)に定義される配列と少なくとも75%の配列同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%の配列同一性)を有する配列、または
c)a)に定義される配列と比較して1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列であって、1つもしくは2つのアミノ酸置換が、表2によるアミノ酸の置換(例えば、類似したアミノ酸置換、保存的なアミノ酸置換、もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)である、配列
を含む、付記1~40のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチド。
42.表3の配列(配列番号1~19)のうちのいずれか1つから選択される配列からなる、付記1~41のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチド。
【0199】
43.6~30アミノ酸残基長の免疫調節ペプチドであって、
a)配列番号(1~19)(例えば、RP832C、837、837A、837C、837N、841~842、843~850、および853)から選択されるペプチド配列、または
b)a)に定義される配列と比較して1つもしくは2つのアミノ酸置換を有する配列であって、1つもしくは2つのアミノ酸置換が、表2によるアミノ酸の置換(例えば、類似したアミノ酸置換、保存的なアミノ酸置換、もしくは高度に保存的なアミノ酸置換)である、配列
を含む、免疫調節ペプチド。
44.b)に定義される1つもしくは2つのアミノ酸置換が、配列のカチオン性アミノ酸の、代替的なカチオン性アミノ酸残基での置換(例えば、OではK、KではO、RではKなど)からなる、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
45.RWKFGGFKWR(RP832C)(配列番号1)、FKWRGGRWKF(RP837C)(配列番号3)、およびFWKRGGRKWF(RP837A)(配列番号4)選択されるペプチド配列を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
【0200】
46.FWKRFV(RP837N)(配列番号5)およびFVRKWR(RP837C1)(配列番号6)から選択されるペプチド配列を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
47.FAOOFAOOFO(RP850)(配列番号19)、FWKRFVRKWR(RP837)(配列番号4)、およびFWKKFVKKWKおよび(RP841)(配列番号7)から選択されるペプチド配列を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
48.WWHHWWHHWH(配列番号13)、WWRHWWHRWR(配列番号14)、およびWWKHWWHKWK(配列番号15)(RP847~849)から選択されるペプチド配列を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
49.ペプチド配列GDRGIKGHRGF(RP842)(配列番号8)を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
50.ペプチド配列LYKKIIKKLL(RP846)(配列番号12)を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
【0201】
51.ペプチド配列FYPDFFKKFF(RP844)(配列番号10)を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
52.ペプチド配列FFRKSKEKIG(RP853)(配列番号18)を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
53.ペプチド配列FFRHFATHLD(RP845)(配列番号11)を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
54.ペプチド配列EKLSAFRNFF(RP843)(配列番号9)を含む、付記43に記載の免疫調節ペプチド。
【0202】
55.(例えば、12アミノ酸残基長以下の)免疫調節ペプチドであって、
RWKFGGFKWR(RP832C)(配列番号1)、FKWRGGRWKF(RP837C)(配列番号3)、およびFWKRGGRKWF(RP837A)(配列番号4)から選択される配列を含む、免疫調節ペプチド。
56.配列RWKFGGFKWR(RP832C)(配列番号1)からなる、付記55に記載の免疫調節ペプチド。
57.配列FKWRGGRWKF(RP837C)(配列番号3)からなる、付記55に記載の免疫調節ペプチド。
58.配列FWKRGGRKWF(RP837A)(配列番号4)からなる、付記55に記載の免疫調節ペプチド。
【0203】
59.付記1~58のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
60.組成物が、経口投与、非経口投与、吸入を介した投与、または局所投与用に製剤化される、付記59に記載の薬学的組成物。
61.組成物が、静脈内または皮下投与用に製剤化される、付記59または60に記載の薬学的組成物。
62.組成物が、経口投与用に製剤化され、腸溶コーティングをさらに含む、付記59または60に記載の薬学的組成物。
63.組成物が、ゲル懸濁液、クリーム、マイクロニードルからなる群から選択される形態で局所送達用に製剤化され、包帯または局所パッチ中に注入される、付記59または60に記載の薬学的組成物。
【0204】
64.マクロファージ活性を調節する方法であって、
マクロファージをCD206結合剤と接触させて、マクロファージの活性を調節することを含む、方法。
65.CD206結合剤が、マンノース結合部位に結合して、CD206へのシグナル調節タンパク質(SIRP)-マンノースの結合を調節する、付記64に記載の方法。
66.CD206結合剤が、少なくとも-650kcal/molの結合エネルギーでCD206に結合する、付記64または65に記載の方法。
67.CD206結合剤が、Phe-708、Thr-709、Trp-710、Pro-714、Glu-719、Asn-720、Trp-721、Ala-722、Glu-725、Tyr-729、Glu-733、Asn-747、Asp-748、Ser-1691、Cys-1693、Phe-1694、およびPhe-1703から選択されるCD206の少なくとも1つのアミノ酸残基に直接接触する、付記64~66のいずれか一つに記載の方法。
68.調節されるマクロファージ活性は、マクロファージ極性化である、付記64~67のいずれか一つに記載の方法。
69.マクロファージの生存率が、低減する、付記64~68のいずれか一つに記載の方法。
70.マクロファージは、M2マクロファージまたは腫瘍関連マクロファージ(TAM)である、付記64~69のいずれか一つに記載の方法。
【0205】
71.CD206結合剤が、マクロファージ活性を阻害する、付記64~70のいずれか一つに記載の方法。
72.CD206結合剤は、免疫調節ペプチドである、付記64~71のいずれか一つに記載の方法。
73.マクロファージが、インビトロにある、付記64~71のいずれか一つに記載の方法。
74.マクロファージが、インビボにある、付記64~71のいずれか一つに記載の方法。
75.CD206結合剤は、付記1~58のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチドである、付記64~74のいずれか一つに記載の方法。
【0206】
76.慢性炎症に関連する病態について対象を治療する方法であって、
有効量のCD206結合剤(例えば、付記1~58のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチド)を対象に投与して、慢性炎症に関連する病態について対象を治療することを含む、方法。
77.慢性炎症に関連する病態が、強皮症または多発性硬化症、過敏性腸疾患、潰瘍性大腸炎、大腸炎、クローン病、特発性肺線維症、強皮症、喘息、角膜炎、関節炎、変形性関節炎、リウマチ性関節炎、自己免疫疾患、ネコまたはヒト免疫不全ウイルス(FIVまたはHIV)感染症、がん、加齢性炎症および/または幹細胞機能障害、移植片対宿主病(GVHD)、ケロイド、肥満症、糖尿病、糖尿病性創傷、他の慢性創傷、アテローム動脈硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、黄斑変性症、痛風、胃潰瘍、胃炎、粘膜炎、トキソプラズマ症、ならびに慢性ウイルスまたは微生物感染症からなる群から選択される、付記76に記載の方法。
78.CD206結合剤は、付記1~58のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチドである、付記76または77に記載の方法。
79.病態は、がんである、付記77に記載の方法。
80.有効量の追加の薬剤を対象に投与することをさらに含む、付記79に記載の方法。
【0207】
81.追加の薬剤は、化学療法剤である、付記80に記載の方法。
82.化学療法剤が、ゲムシタビン、ドセタキセル、ブレオマイシン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、トラメチニブ、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、リツキシマブ、イピリムマブ、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、メトトレキサート、ドキソルビシン、アブラキサン、フォルフィリノックス、シスプラチン、カルボプラチン、5-フルオロウラシル、テイスモ、パクリタキセル、プレドニゾン、レボチロキシン、およびペメトレキセドから選択される、付記80に記載の方法。
83.化学療法剤は、アブラキサンである、付記81に記載の方法。
84.化学療法剤は、ゲムシタビンまたはドセタキセルである、付記81に記載の方法。
85.追加の薬剤は、免疫療法剤である、付記80に記載の方法。
【0208】
86.免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤である、付記85に記載の方法。
87.免疫チェックポイント阻害剤が、細胞毒性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、プログラム死1(PD-1)阻害剤、およびPD-L1阻害剤から選択される、付記86に記載の方法。
88.免疫チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ペンブロリズマブ、およびニボルマブから選択される、付記87に記載の方法。
89.慢性炎症に関連する病態は、線維症である、付記76に記載の方法。
90.慢性炎症に関連する病態は、強皮症である、付記76に記載の方法。
【0209】
91.CD206結合剤は、付記1~58のいずれか一つに記載の免疫調節ペプチドである、付記76~90のいずれか一つに記載の方法。
92.CD206結合剤が、表3の免疫調節ペプチドからなる、付記91に記載の方法。