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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146293
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】収容ボックスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/06 20060101AFI20231004BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B60R7/06
B60R7/06 G
B29C33/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053414
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
【テーマコード(参考)】
3D022
4F202
【Fターム(参考)】
3D022CA08
3D022CB01
3D022CC02
3D022CD12
4F202AG28
4F202AH25
4F202AH26
4F202CA11
4F202CA27
4F202CB01
4F202CC10
(57)【要約】
【課題】金型装置に要するコストを低減する。
【解決手段】深さが互いに異なる複数種類のボックス本体11,41を有する収容ボックス10,40は、少なくともボックス本体形成工程を経て製造される。上記工程では、可動型を固定型に接近させる。内壁面形成部62,66及び外壁面形成部72の間に形成されたキャビティ75,76に樹脂材料を充填して、ボックス本体11,41を形成する。上記工程では、可動型71として、外壁面形成部72が、深さの最も深い種類のボックス本体11の外壁面17を形成し得る長さを深さ方向に有するものが用いられる。上記工程では、固定型として、深さの異なる複数種類のボックス本体11,41毎に設けられた固定型61,65であり、かつ内壁面形成部62,66が、ボックス本体11,41毎の内壁面22,52を形成し得る長さを深さ方向に有するものが用いられる。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車室内に搭載される収容ボックスであり、一端に物品の出入口を有し、かつ他端に底部を有し、かつ金型装置により形成されるボックス本体と、前記出入口を開閉する蓋体とを備え、前記出入口から前記底部までの深さが異なる複数種類の前記ボックス本体が設定された収容ボックスを製造する方法であって、
前記金型装置は、前記ボックス本体の内壁面を形成する内壁面形成部を少なくとも有する固定型と、前記ボックス本体の深さ方向に移動することにより、前記固定型に接近及び離間し、かつ前記ボックス本体の外壁面を形成する外壁面形成部を有する可動型とを備え、
前記金型装置を型締めすることにより、前記内壁面形成部及び前記外壁面形成部の間にキャビティを形成し、前記キャビティに樹脂材料を充填することにより前記ボックス本体を形成するボックス本体形成工程を備え、
前記ボックス本体形成工程では、前記可動型として、前記外壁面形成部が、前記深さの最も深い種類の前記ボックス本体の前記外壁面を形成し得る長さを前記深さ方向に有するものが用いられ、
前記ボックス本体形成工程では、前記固定型として、前記深さの異なる複数種類の前記ボックス本体毎に設けられた固定型であり、かつ前記内壁面形成部が、前記ボックス本体毎の前記内壁面を形成し得る長さを前記深さ方向に有するものが用いられる収容ボックスの製造方法。
【請求項2】
前記ボックス本体形成工程では、前記金型装置が型締めされることにより、前記可動型及び前記固定型が、前記外壁面形成部の外周囲にそれぞれ設定された型合わせ面において互いに接触させられ、
前記ボックス本体形成工程では、前記深さが最も深い種類の前記ボックス本体を形成する前記キャビティのうち、前記出入口を形成する部分の外周囲となる箇所、又は、前記箇所よりも前記キャビティから前記深さ方向に遠ざかる箇所で、前記可動型及び前記固定型の各型合わせ面が接触させられる請求項1に記載の収容ボックスの製造方法。
【請求項3】
前記蓋体は、前記ボックス本体の外壁面であって、前記出入口の外周囲となる箇所である被着部に被せられて前記ボックス本体に締結される締結部と、前記締結部に対し、前記出入口を開閉し得るように取付けられる可動蓋部とを備え、
前記ボックス本体形成工程では、前記固定型として、前記キャビティに面し、かつ前記ボックス本体の深さに応じて前記深さ方向に長さの異なるリブ形成部を備えるものが用いられることにより、前記外壁面であって、前記底部から前記出入口側へ互いに同一距離ずつ離れた箇所を起点として、前記ボックス本体の前記出入口側の端面まで延びる溶着リブが形成され、
前記ボックス本体形成工程の後には、前記締結部を前記ボックス本体の前記被着部に被せ、かつ前記締結部の内側面に形成された被溶着部に対し前記溶着リブを溶着させることにより、前記締結部を前記ボックス本体に締結する溶着工程が行なわれる請求項2に記載の収容ボックスの製造方法。
【請求項4】
前記溶着工程では、前記締結部として、前記被溶着部に第1位置決め部が形成されたものが用いられ、
前記溶着工程では、前記締結部が前記ボックス本体の前記被着部に被せられた状態で、前記第1位置決め部が、溶着される前の前記溶着リブのうち、前記出入口側の端部に接触することにより、前記深さ方向における前記締結部の位置決めが行なわれる請求項3に記載の収容ボックスの製造方法。
【請求項5】
前記溶着工程では、前記締結部として、前記被溶着部に第2位置決め部が形成されたものが用いられ、
前記溶着工程では、前記締結部が前記ボックス本体の前記被着部に被せられた状態で、前記第2位置決め部が、溶着される前の前記溶着リブの側面に接触することにより、前記深さ方向に直交し、かつ前記内側面に沿う方向における前記締結部の位置決めが行なわれる請求項4に記載の収容ボックスの製造方法。
【請求項6】
前記溶着工程では、前記締結部として、前記深さ方向に延び、かつ前記溶着リブが係合される溝部が前記被着部に形成されたものが用いられ、
前記溝部は、前記締結部が前記ボックス本体の前記被着部に被せられた状態で、前記出入口から遠い端部に開放端を有し、かつ近い端部に閉塞端を有し、かつ溝幅方向に対向する一対の対向面を有し、
前記溶着工程では、前記閉塞端が前記第1位置決め部として機能し、前記対向面が前記第2位置決め部として機能する請求項5に記載の収容ボックスの製造方法。
【請求項7】
前記溶着工程では、前記締結部として、前記深さの異なる全ての種類の前記ボックス本体に共通の形状及び大きさを有するものが用いられる請求項3~6のいずれか1項に記載の収容ボックスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室内に搭載される収容ボックスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を収容するグローブボックス等の収容ボックスが、車室内前部のインストルメントパネルに組み込まれた自動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。この収容ボックスは、一端に物品の出入口を有し、かつ他端に底部を有するボックス本体と、出入口を開閉する蓋体とを備える。
【0003】
ボックス本体は、固定型及び可動型を備える金型装置によって樹脂成形される。固定型は、ボックス本体の内壁面を形成する内壁面形成部を少なくとも有する。可動型は、ボックス本体の深さ方向に移動することにより、固定型に接近及び離間する。可動型は、ボックス本体の外壁面を形成する外壁面形成部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2521757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、同一車種において、動力源としてエンジンと電動モータとが用いられるハイブリッド車、動力源としてエンジンが用いられるエンジン車等が設定される場合がある。この場合、インストルメントパネルでは、動力源の種類に応じ、上記深さ方向における収容ボックスの設置スペースの大きさが異なることがある。一方で、ボックス本体を上記深さ方向にできるだけ大きくしたいといったニーズがある。そのため、同一車種において、出入口から底部までの深さが動力源の種類毎に異なる複数種類のボックス本体が設定された収容ボックスが必要となる。これに伴い、収容ボックスの種類毎に異なる金型装置が必要となる。反面、金型装置の種類が増えるに従い、金型装置にかかるコスト、ひいては収容ボックスの製造コストが上昇する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する収容ボックスの製造方法は、自動車の車室内に搭載される収容ボックスであり、一端に物品の出入口を有し、かつ他端に底部を有し、かつ金型装置により形成されるボックス本体と、前記出入口を開閉する蓋体とを備え、前記出入口から前記底部までの深さが異なる複数種類の前記ボックス本体が設定された収容ボックスを製造する方法であって、前記金型装置は、前記ボックス本体の内壁面を形成する内壁面形成部を少なくとも有する固定型と、前記ボックス本体の深さ方向に移動することにより、前記固定型に接近及び離間し、かつ前記ボックス本体の外壁面を形成する外壁面形成部を有する可動型とを備え、前記金型装置を型締めすることにより、前記内壁面形成部及び前記外壁面形成部の間にキャビティを形成し、前記キャビティに樹脂材料を充填することにより前記ボックス本体を形成するボックス本体形成工程を備え、前記ボックス本体形成工程では、前記可動型として、前記外壁面形成部が、前記深さの最も深い種類の前記ボックス本体の前記外壁面を形成し得る長さを前記深さ方向に有するものが用いられ、前記ボックス本体形成工程では、前記固定型として、前記深さの異なる複数種類の前記ボックス本体毎に設けられた固定型であり、かつ前記内壁面形成部が、前記ボックス本体毎の前記内壁面を形成し得る長さを前記深さ方向に有するものが用いられる。
【0007】
上記の製造方法によれば、出入口から底部までの深さが異なる複数種類のボックス本体が設定された収容ボックスが製造される。この製造方法では、固定型及び可動型を備える金型装置を用いたボックス本体形成工程が行なわれることにより、複数種類のボックス本体が形成される。
【0008】
可動型としては、外壁面形成部が、深さの最も深い種類のボックス本体の外壁面を形成し得る長さを深さ方向に有するものが用いられる。この可動型の外壁面形成部は、深さが上記よりも浅い種類のボックス本体の外壁面を形成し得る長さを深さ方向に有する。従って、上記可動型を用いることで、深さの異なる複数種類のボックス本体の外壁面を外壁面形成部によって形成することが可能である。
【0009】
また、固定型としては、深さの異なる複数種類のボックス本体毎に設けられた固定型が用いられる。固定型毎の内壁面形成部は、ボックス本体毎の内壁面を形成し得る長さを深さ方向に有する。
【0010】
上記可動型と、複数種類の固定型のうちの1種類の固定型とが型締めされると、内壁面形成部と外壁面形成部との間にキャビティが形成される。キャビティに樹脂材料が充填されることにより、ボックス本体が形成される。固定型が変更されて、上記型締めが行なわれることにより、深さの異なるキャビティが形成される。このキャビティに樹脂材料が充填されることにより、深さの異なるボックス本体が形成される。
【0011】
従って、深さの異なる複数種類のボックス本体を形成するために、同数の種類の可動型を用いなくてもすむ。可動型の共通化が可能となる。深さの異なる複数種類のボックス本体毎に異なる可動型が用いられる場合に比べ、金型装置に要するコストが低減される。
【0012】
上記収容ボックスの製造方法において、前記ボックス本体形成工程では、前記金型装置が型締めされることにより、前記可動型及び前記固定型が、前記外壁面形成部の外周囲にそれぞれ設定された型合わせ面において互いに接触させられ、前記ボックス本体形成工程では、前記深さが最も深い種類の前記ボックス本体を形成する前記キャビティのうち、前記出入口を形成する部分の外周囲となる箇所、又は、前記箇所よりも前記キャビティから前記深さ方向に遠ざかる箇所で、前記可動型及び前記固定型の各型合わせ面が接触させられることが好ましい。
【0013】
上記の製造方法によれば、ボックス本体形成工程で金型装置が型締めされたとき、可動型の型合わせ面と固定型の型合わせ面とが接触される。この接触は、深さが最も深い種類のボックス本体を形成するキャビティのうち、出入口を形成する部分の外周囲となる箇所、又は、同箇所よりもキャビティから深さ方向に遠ざかる箇所で行なわれる。
【0014】
従って、深さの最も深いボックス本体の外壁面を形成し得る外壁面形成部を可動型に形成することが容易である。
また、深さの異なる複数種類のボックス本体の内壁面を形成し得る内壁面形成部を固定型毎に形成することが容易である。
【0015】
上記収容ボックスの製造方法において、前記蓋体は、前記ボックス本体の外壁面であって、前記出入口の外周囲となる箇所である被着部に被せられて前記ボックス本体に締結される締結部と、前記締結部に対し、前記出入口を開閉し得るように取付けられる可動蓋部とを備え、前記ボックス本体形成工程では、前記固定型として、前記キャビティに面し、かつ前記ボックス本体の深さに応じて前記深さ方向に長さの異なるリブ形成部を備えるものが用いられることにより、前記外壁面であって、前記底部から前記出入口側へ互いに同一距離ずつ離れた箇所を起点として、前記ボックス本体の前記出入口側の端面まで延びる溶着リブが形成され、前記ボックス本体形成工程の後には、前記締結部を前記ボックス本体の前記被着部に被せ、かつ前記締結部の内側面に形成された被溶着部に対し前記溶着リブを溶着させることにより、前記締結部を前記ボックス本体に締結する溶着工程が行なわれることが好ましい。
【0016】
上記の製造方法によれば、ボックス本体形成工程で金型装置が型締めされると、固定型に設けられたリブ形成部がキャビティに面する。リブ形成部の深さ方向における長さは、ボックス本体の深さに応じて異なる。キャビティに樹脂材料が充填されることにより、外壁面に溶着リブを有するボックス本体が形成される。溶着リブは、外壁面であって、底部から深さ方向へ互いに同一距離ずつ離れた箇所から、ボックス本体の出入口側の端面まで延びる。溶着リブの長さは、ボックス本体の深さが深くなるに従い長くなる。
【0017】
ボックス本体形成工程の後に行なわれる溶着工程では、締結部がボックス本体の被着部に被せられる。締結部の内側面に形成された被溶着部に対し溶着リブが溶着される。この溶着により、締結部が被溶着部においてボックス本体に締結される。
【0018】
なお、深さの最も浅いボックス本体では、溶着リブの全部又は多くの部分を溶着に使用することが可能である。また、深さの最も浅いボックス本体よりも深いボックス本体では、溶着リブのうち溶着されずに残る部分を生じさせることが可能である。
【0019】
上記収容ボックスの製造方法において、前記溶着工程では、前記締結部として、前記被溶着部に第1位置決め部が形成されたものが用いられ、前記溶着工程では、前記締結部が前記ボックス本体の前記被着部に被せられた状態で、前記第1位置決め部が、溶着される前の前記溶着リブのうち、前記出入口側の端部に接触することにより、前記深さ方向における前記締結部の位置決めが行なわれることが好ましい。
【0020】
上記の製造方法によれば、溶着工程において、締結部が被着部に被せられる際に、被溶着部における第1位置決め部が、溶着される前の溶着リブのうち、出入口側の端部に接触する。この接触により、深さ方向における締結部の位置決めが行なわれる。締結部を被着部の深さ方向における目的とする箇所に位置決めした状態で、溶着を行なうことが可能となる。
【0021】
上記収容ボックスの製造方法において、前記溶着工程では、前記締結部として、前記被溶着部に第2位置決め部が形成されたものが用いられ、前記溶着工程では、前記締結部が前記ボックス本体の前記被着部に被せられた状態で、前記第2位置決め部が、溶着される前の前記溶着リブの側面に接触することにより、前記深さ方向に直交し、かつ前記内側面に沿う方向における前記締結部の位置決めが行なわれることが好ましい。
【0022】
上記の製造方法によれば、溶着工程において、締結部がボックス本体の被着部に被せられる際に、被溶着部における第2位置決め部が、溶着される前の溶着リブの側面に接触する。この接触により、深さ方向に直交し、かつ内側面に沿う方向における締結部の位置決めが行なわれる。締結部を被着部の上記方向における目的とする箇所に位置決めした状態で、溶着を行なうことが可能となる。
【0023】
上記収容ボックスの製造方法において、前記溶着工程では、前記締結部として、前記深さ方向に延び、かつ前記溶着リブが係合される溝部が前記被着部に形成されたものが用いられ、前記溝部は、前記締結部が前記ボックス本体の前記被着部に被せられた状態で、前記出入口から遠い端部に開放端を有し、かつ近い端部に閉塞端を有し、かつ溝幅方向に対向する一対の対向面を有し、前記溶着工程では、前記閉塞端が前記第1位置決め部として機能し、前記対向面が前記第2位置決め部として機能することが好ましい。
【0024】
上記の製造方法によれば、溶着工程において、締結部がボックス本体の被着部に被せられる際、溶着リブが開放端から閉塞端に向けて溝部に係合される。溝部の対向面が溶着リブの側面に接触することにより、同対向面が第2位置決め部として機能する。溶着リブの側面に対する対向面の接触により、深さ方向に直交し、かつ内側面に沿う方向における締結部の位置決めが行なわれる。溶着リブにおける出入口側の端部が溝部の閉塞端に接触すると、その閉塞端が第1位置決め部として機能する。溶着リブの端部に対する閉塞端の接触により、深さ方向における締結部の位置決めが行なわれる。
【0025】
このように、溶着リブを溝部に係合させながら締結部を被着部に被せるといった簡単な作業を行なうことで、深さ方向における締結部の位置決めと、深さ方向に直交し、かつ内側面に沿う方向における締結部の位置決めとを行なうことが可能となる。
【0026】
上記収容ボックスの製造方法において、前記溶着工程では、前記締結部として、前記深さの異なる全ての種類の前記ボックス本体に共通の形状及び大きさを有するものが用いられることが好ましい。
【0027】
上記の製造方法によれば、溶着工程では、深さの異なる全ての種類のボックス本体の被着部に対し、共通の形状及び大きさを有する締結部が被せられる。そして、被着部毎の溶着リブにおいて締結部が被着部に対し溶着される。そのため、深さの異なるボックス本体毎に異なる締結部が用いられる場合に比べ、締結部の製造コスト、ひいては収容ボックスのコストを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
上記収容ボックスの製造方法によれば、金型装置に要するコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態において、深さの深いボックス本体を有する収容ボックスの断面図である。
図2図1におけるA部の拡大断面図である。
図3】上記実施形態において、深さの浅いボックス本体を有する収容ボックスの断面図である。
図4図3におけるB部の拡大断面図である。
図5図1の収容ボックスにおいて、締結部がボックス本体に締結される前の状態を示す断面図である。
図6図5におけるC部の拡大断面図である。
図7図3の収容ボックスにおいて、締結部がボックス本体に締結される前の状態を示す断面図である。
図8図7におけるD部の拡大断面図である。
図9】上記実施形態において、深さの深いボックス本体を有する収容ボックスを説明する図であり、(a)は、溶着リブが溝部に係合される前の状態を示す部分断面図であり、(b)は係合された状態を示す部分断面図である。
図10】上記実施形態において、深さの浅いボックス本体を有する収容ボックスを説明する図であり、(a)は、溶着リブが溝部に係合される前の状態を示す部分断面図であり、(b)は係合された状態を示す部分断面図である。
図11】上記実施形態において、深さの深いボックス本体を形成する金型装置が型締めされた状態を示す断面図である。
図12図11の金型装置が型開きされた状態を示す断面図である。
図13】上記実施形態において、深さの浅いボックス本体を形成する金型装置が型締めされた状態を示す断面図である。
図14図13の金型装置が型開きされた状態を示す断面図である。
図15】上記実施形態において、深さの深いボックス本体を形成する金型装置と、深さの浅いボックス本体を形成する金型装置とを比較して示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、自動車の車室内に搭載される収容ボックスを製造する方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
収容ボックスは、自動車の車室内で物品を収容するためのものである。例えば、車室内の前部のインストルメントパネルに組み込まれるグローブボックスが、この収容ボックスに該当する。グローブボックス以外にも、コンソールボックス、アッパボックス、カップホルダ等も収容ボックスに該当する。
【0031】
本実施形態では、同一の車種に2種類の収容ボックス10,40(図1及び図3参照)が設定されている。例えば、収容ボックス10は、ハイブリッド車のインストルメントパネルに組み込まれ、収容ボックス40はガソリン車のインストルメントパネルに組み込まれるものである。
【0032】
<収容ボックス10の概略構成>
図1及び図2に示すように、収容ボックス10は、ボックス本体11及び蓋体31を備えている。
【0033】
ボックス本体11は、一端に物品の出入口12を有し、かつ他端に底部15を有している。ここで、出入口12と底部15とを結ぶ方向を、ボックス本体11の深さ方向というものとする。
【0034】
ボックス本体11は、深さ方向に隣り合う第1収容部14及び第2収容部16を備えている。第1収容部14は、第2収容部16よりも深い箇所、すなわち、出入口12から遠い箇所に位置している。第1収容部14は、出入口12から遠い側の端部に上記底部15を有している。第2収容部16は、底部15から遠い側の端部に上記出入口12を有している。第1収容部14の内部空間と、第2収容部16の内部空間とによって、物品を収容する空間である収容室13が構成されている。
【0035】
ボックス本体11の外壁面17であって、出入口12の外周囲となる箇所は、被着部18となっている。
蓋体31は、ボックス本体11の上記出入口12を開閉するためのものである。蓋体31は、環状をなす締結部32と可動蓋部37とを備えている。締結部32及び可動蓋部37は、射出成形法等の一般的な樹脂成形法によって形成される。締結部32は、ボックス本体11の上記被着部18に被せられている。可動蓋部37は、締結部32に対し、出入口12を開閉し得るように取付けられている。ここで、可動蓋部37は、出入口12をどのような態様で開閉してもよい。例えば、可動蓋部37は、軸を中心として回動することによって出入口12を開閉してもよいし、スライド移動することによって出入口12を開閉してもよい。
【0036】
図5図6及び図9(a),(b)に示すように、上記被着部18に被せられた締結部32は、溶着によってボックス本体11に締結されている。この溶着のために、上記外壁面17の複数箇所には、上記深さ方向に延びる溶着リブ19が形成されている。各溶着リブ19は、底部15から深さ方向へ距離D1離れた箇所を起点とし、ボックス本体11の出入口12側の端面21まで延びている。表現を変えると、各溶着リブ19の一方の端部19aは、底部15から深さ方向へ距離D1離れた箇所に位置している。各溶着リブ19の他方の端部19bは、ボックス本体11の端面21に位置している。
【0037】
ボックス本体11の被着部18に対する締結部32の上記溶着は、同締結部32の内側面33に形成された被溶着部34においてなされている。被溶着部34であって、溶着リブ19に対応する箇所には、上記深さ方向に延びる溝部35が形成されている。
【0038】
溝部35は、締結部32が被着部18に被せられた状態で、出入口12から遠い側の端部に開放端35aを有している。溝部35は、同じく締結部32が被着部18に被せられた状態で、出入口12に近い側の端部に閉塞端35bを有している。溝部35は、溝幅方向に対向する一対の対向面35cを有している。
【0039】
閉塞端35bは、第1位置決め部を構成している。また、一対の対向面35cは、第2位置決め部を構成している。第1位置決め部は、締結部32が被着部18に被せられた状態で、溶着される前の溶着リブ19の端部19bに接触することにより、深さ方向における締結部32の位置決めを行なう。第2位置決め部は、締結部32が被着部18に被せられた状態で、溶着される前の溶着リブ19の側面19cに接触することにより、深さ方向に直交し、かつ内側面33に沿う方向における締結部32の位置決めを行なう。
【0040】
上記深さ方向における溝部35の長さは、同方向における後述する溶着リブ49と同程度の長さに設定されている。従って、上記深さ方向における溝部35の長さは、溶着リブ19の長さよりも短いことになる。
【0041】
そして、図1図2及び図9(b)に示すように、溶着リブ19を用いた振動溶着によって、締結部32が、被着部18においてボックス本体11に締結(接合)されている。なお、溶着リブ19のうち、溝部35から露出した部分は溶着に用いられずに残っている。
【0042】
<収容ボックス40の概略構成>
図3及び図4に示すように、収容ボックス40は、ボックス本体41及び蓋体31を備えている。
【0043】
ボックス本体41は、一端に物品の出入口42を有し、かつ他端に底部45を有している。ここで、出入口42と底部45とを結ぶ方向を、ボックス本体41の深さ方向というものとする。
【0044】
ボックス本体41は、深さ方向に隣り合う第1収容部44及び第2収容部46を備えている。第1収容部44は、第2収容部46よりも深い箇所、すなわち、出入口42から遠い箇所に位置している。第1収容部44は、出入口42から遠い側の端部に底部45を有している。第2収容部46は、底部45から遠い側の端部に上記出入口42を有している。第1収容部44の内部空間と、第2収容部46の内部空間とによって、物品を収容する空間である収容室43が構成されている。
【0045】
ボックス本体41における第1収容部44は、上記ボックス本体11における第1収容部14と同一の形状及び大きさを有している。これに対し、ボックス本体41における第2収容部46は、ボックス本体11における第2収容部16よりも深さ方向に短く形成されている。従って、ボックス本体41における出入口42から底部45までの深さは、ボックス本体11における出入口12から底部15までの深さよりも浅い(図15参照)。
【0046】
図3及び図4に示すように、ボックス本体41の外壁面47であって、出入口42の外周囲となる箇所は、被着部48となっている。
蓋体31は、ボックス本体41の上記出入口42を開閉するためのものである。蓋体31は、上記収容ボックス10における蓋体31と同様に、締結部32及び可動蓋部37を備えている。
【0047】
締結部32としては、上記収容ボックス10における締結部32と同一の形状及び大きさを有するもの、すなわち共通のものが用いられている。また、可動蓋部37についても、上記収容ボックス10における可動蓋部37と同一の形状及び大きさを有するもの、すなわち共通のものが用いられている。そのため、収容ボックス40における蓋体31、及びその各部については、上記収容ボックス10における蓋体31、及びその各部と同一の符号を付すことにする。
【0048】
図7図8及び図10(a),(b)に示すように、締結部32は、被着部48に被せられ、溶着によってボックス本体41に締結されている。この溶着のために、上記外壁面47の複数箇所には、上記深さ方向に延びる溶着リブ49が形成されている。各溶着リブ49は、底部45から深さ方向へ距離D2離れた箇所を起点とし、ボックス本体41の出入口42側の端面51まで延びている。表現を変えると、各溶着リブ49の一方の端部49aは、底部45から深さ方向へ距離D2離れた箇所に位置している。各溶着リブ49の他方の端部49bは、ボックス本体41の端面51に位置している。上記距離D2は、上記ボックス本体11における距離D1と同じである。
【0049】
上述したように、深さ方向における第2収容部46の寸法は、第2収容部16の寸法よりも小さい。そのため、深さ方向における溶着リブ49の長さは、溶着リブ19の長さよりも短い。
【0050】
ボックス本体41の被着部48に対する締結部32の上記溶着は、上述したボックス本体11の被着部18に対する締結部32の溶着と同様にして行なわれている。すなわち、溶着リブ49が、締結部32における溝部35に係合されている。溝部35の閉塞端35b(第1位置決め部)が溶着リブ49の端部49bに接触することにより、深さ方向における締結部32の位置決めが行なわれている。溝部35の両対向面35c(第2位置決め部)が溶着リブ49の対応する側面49cに接触することにより、深さ方向に直交し、かつ内側面33に沿う方向における締結部32の位置決めが行なわれている。溶着リブ49を用いた振動溶着によって、締結部32がボックス本体41に接合されて、締結されている。なお、溶着リブ49では、その全体が溝部35に係合され、溶着に用いられている。
【0051】
<金型装置60>
図11図13及び図15に示すように、深さの異なる2種類のボックス本体11,41は、金型装置60によって形成される。金型装置60は、固定型と、上記深さ方向へ移動することにより、固定型に接近及び離間する可動型71とを備えている。
【0052】
固定型は、深さの深いボックス本体11を形成する固定型61と、深さの浅いボックス本体41を形成する固定型65とからなる。
固定型61は、ボックス本体11の内壁面22を形成する内壁面形成部62と、溶着リブ19を形成するリブ形成部63とを備えている。内壁面形成部62は、ボックス本体11の内壁面22を形成し得る長さであって、後述する内壁面形成部66よりも長い長さを深さ方向に有している。リブ形成部63は、ボックス本体11における長い溶着リブ19を形成し得る長さであって、後述するリブ形成部67よりも長い長さを深さ方向に有している。
【0053】
固定型65は、ボックス本体41の内壁面52を形成する内壁面形成部66と、溶着リブ49を形成するリブ形成部67とを備えている。内壁面形成部66は、ボックス本体41の内壁面52を形成し得る長さであって、上記内壁面形成部62よりも短い長さを深さ方向に有している。リブ形成部67は、ボックス本体41における短い溶着リブ49を形成し得る長さであって、上記リブ形成部63よりも短い長さを深さ方向に有している。
【0054】
このように、固定型61,65毎の内壁面形成部62,66は、ボックス本体11,41毎の内壁面22,52を形成し得る長さを深さ方向に有している。固定型61,65毎のリブ形成部63,67の深さ方向における長さは、ボックス本体11,41の深さに応じて異なっている。
【0055】
可動型71は、ボックス本体11の外壁面17と、ボックス本体41の外壁面47とを形成する外壁面形成部72を備えている。外壁面形成部72は、深さの深いボックス本体11の外壁面17を形成し得る長さを深さ方向に有している。この可動型71は、上記固定型61,65とは異なり、ボックス本体11,41の深さに拘らず、共通のものが用いられている。
【0056】
可動型71のうち、上記外壁面形成部72の外周囲には型合わせ面73が形成されている。金型装置60が型締めされた状態で、固定型61のうち、上記外壁面形成部72の外周囲となる箇所には型合わせ面64が形成されている。同じく、金型装置60が型締めされた状態で、固定型65のうち、上記外壁面形成部72の外周囲には型合わせ面68が形成されている。型合わせ面73及び型合わせ面64,68は、いずれも上記深さ方向に対し直交する平坦な面によって構成されている。
【0057】
図11及び図15に示すように、型合わせ面64,73は、固定型61と可動型71とを備える金型装置60が型締めされたときに互いに接触する。このときには、内壁面形成部62と、外壁面形成部72及びリブ形成部63との間に、溶着リブ19を有するボックス本体11を形成するためのキャビティ75が形成される。
【0058】
図13図15に示すように、型合わせ面68,73は、固定型65と可動型71とを備える金型装置60が型締めされたときに互いに接触する。このときには、内壁面形成部66と、外壁面形成部72及びリブ形成部67との間に、溶着リブ49を有するボックス本体41を形成するためのキャビティ76が形成される。
【0059】
上述した型合わせ面64,73と、型合わせ面68,73とは、次の条件を満たす箇所に形成されている。
条件:深さが最も深い種類のボックス本体11を形成するキャビティ75のうち、出入口12を形成する部分の外周囲となる箇所、又は、上記箇所よりもキャビティ75から深さ方向に遠ざかる箇所であること。
【0060】
本実施形態では、型合わせ面64,73と、型合わせ面68,73とは、キャビティ75のうち、出入口12を形成する部分の外周囲となる箇所に形成されている。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
【0061】
深さの深いボックス本体11を有する収容ボックス10(図1参照)と、深さの浅いボックス本体41を有する収容ボックス40(図3参照)とはそれぞれ、少なくともボックス本体形成工程及び溶着工程を経て製造される。
【0062】
<(1)ボックス本体形成工程>
(1-1)ボックス本体形成工程は、固定型61,65及び可動型71を用いてボックス本体11,41を形成する工程である。
【0063】
図11図12及び図15に示すように、ボックス本体11を形成するボックス本体形成工程では、可動型71が固定型61に接近させられて金型装置60が型締めされる(図11参照)。固定型61の内壁面形成部62及びリブ形成部63と、可動型71の外壁面形成部72との間にキャビティ75が形成される。このキャビティ75に樹脂材料が充填されることにより、溶着リブ19を有するボックス本体11が形成される。
【0064】
これに対し、図13図15に示すように、ボックス本体41を形成するボックス本体形成工程では、可動型71が固定型65に接近させられて金型装置60が型締めされる(図13参照)。固定型65の内壁面形成部66及びリブ形成部67と、可動型71の外壁面形成部72との間にキャビティ76が形成される。このキャビティ76に樹脂材料が充填されることにより、溶着リブ49を有するボックス本体41が形成される。
【0065】
図15に示すように、可動型71としては、外壁面形成部72が、深さの深いボックス本体11の外壁面17を形成し得る長さを深さ方向に有するものが用いられる。この可動型71の外壁面形成部72は、深さが上記よりも浅いボックス本体41の外壁面47を形成し得る長さを深さ方向に有する。従って、上記可動型71を用いることで、深さの異なる2種類のボックス本体11,41の外壁面17,47を外壁面形成部72によって形成することができる。
【0066】
また、固定型としては、深さの異なる2種類のボックス本体11,41毎に設けられた固定型61,65が用いられる。固定型61,65毎の内壁面形成部62,66は、ボックス本体11,41毎の内壁面22,52を形成し得る長さを深さ方向に有する。従って、上記固定型61,65を用いることで、深さの異なる2種類のボックス本体11,41の内壁面22,52を内壁面形成部62,66によって形成することができる。
【0067】
可動型71が固定型61から離間させられることで金型装置60が型開き(図12参照)され、ボックス本体11が固定型61及び可動型71の間から取り出される。また、可動型71が固定型65から離間させられることで金型装置60が型開き(図14参照)され、ボックス本体41が固定型65及び可動型71の間から取り出される。
【0068】
従って、深さの異なる2種類のボックス本体11,41を形成するために、2種類の可動型71を用いなくてもすむ。可動型71の共通化が可能となる。深さの異なる2種類のボックス本体11,41毎に異なる可動型71が用いられる場合に比べ、金型装置60に要するコストを低減できる。
【0069】
(1-2)特に、図15に示すように、ボックス本体11を形成するボックス本体形成工程では、金型装置60が型締めされたとき、可動型71の型合わせ面73と固定型61の型合わせ面64とが接触される。ボックス本体41を形成するボックス本体形成工程では、金型装置60が型締めされたとき、可動型71の型合わせ面73と固定型65の型合わせ面68とが接触される。
【0070】
型合わせ面64,73の接触と、型合わせ面68,73の接触とは、いずれも深さが深いボックス本体11を形成するキャビティ75のうち、出入口12を形成する部分の外周囲となる箇所で行なわれる。
【0071】
従って、深さの深いボックス本体11の外壁面17を形成し得る外壁面形成部72を可動型71に形成することが容易である。
また、深さの異なる2種類のボックス本体11,41の内壁面22,52を形成し得る内壁面形成部62,66を固定型61,65毎に形成することが容易である。
【0072】
(1-3)上述したように、ボックス本体形成工程で金型装置60が型締めされると、固定型61,65に設けられたリブ形成部63,67がキャビティ75,76に面する。リブ形成部63,67の深さ方向における長さは、ボックス本体11,41の深さに応じて異なる。深さの深いボックス本体11を形成する固定型61のリブ形成部63は、深さの浅いボックス本体41を形成する固定型65のリブ形成部67よりも、上記深さ方向に長い。キャビティ75,76に樹脂材料が充填されることにより、外壁面17,47に溶着リブ19,49を有するボックス本体11,41が形成される。溶着リブ19,49は、外壁面17,47であって、底部15,45から深さ方向へ互いに同一距離D1,D2ずつ離れた箇所を起点として、ボックス本体11,41の出入口12,42側の端面21,51まで延びる。溶着リブ19,49の長さは、ボックス本体11,41の深さが深くなるに従い長くなる。
【0073】
<(2)溶着工程>
(2-1)ボックス本体形成工程の後に行なわれる溶着工程は、ボックス本体11,41に対し、締結部32を溶着によって締結する工程である。溶着工程では、図5及び図7に示すように、締結部32がボックス本体11,41の被着部18,48に被せられる。この際、図9(a),(b)及び図10(a),(b)に示すように、溶着リブ19,49が開放端35aから閉塞端35bに向けて溝部35に係合される。溝部35の対向面35cが溶着前の溶着リブ19,49の側面19c,49cに接触することにより、同対向面35cが第2位置決め部として機能する。溶着リブ19,49の側面19c,49cに対する対向面35cの接触により、深さ方向に直交し、かつ内側面33に沿う方向における締結部32の位置決めが行なわれる。
【0074】
溶着リブ19,49の端部19b,49bが溝部35の閉塞端35bに接触すると、その閉塞端35bが第1位置決め部として機能する。溶着リブ19,49の端部19b,49bに対する閉塞端35bの接触により、深さ方向における締結部32の位置決めが行なわれる。
【0075】
このように、溶着リブ19,49を溝部35に係合させながら締結部32を被着部18,48に被せるといった簡単な作業を行なうことで、締結部32を深さ方向における目的とする箇所に位置決めすることができる。また、締結部32を、深さ方向に直交し、かつ内側面33に沿う方向における目的とする箇所に位置決めすることができる。
【0076】
なお、上記深さ方向における溶着リブ19の長さは、溝部35の長さよりも長い。そのため、溶着リブ19の一部は、上記のように溝部35に係合されるが、それ以外の部分は溝部35から露出する(図1図2及び図9(b)参照)。
【0077】
これに対し、溶着リブ49は、溝部35の深さと同程度の長さを有する。そのため、溶着リブ49の全部が、上記のように溝部35に係合される。この場合、溶着リブ49には、溝部35から露出する部分がない(図3図4及び図10(b)参照)。
【0078】
続いて、締結部32の被溶着部34に対し、溶着リブ19,49が振動溶着により接合される。すなわち、2つの樹脂部品、この場合、被着部18,48に溝部35を有する締結部32と、溶着リブ19,49を有するボックス本体11,41との各接合予定面に対し、圧力と往復運動による振動とが加えられて摩擦熱が発生させられる。この摩擦熱によって、溶着リブ19,49と、被溶着部34において溶着リブ19,49が接触した部分とが溶融し、接合する。この接合により、締結部32が被溶着部34においてボックス本体11,41に締結される。
【0079】
なお、深さの浅いボックス本体41では、溶着リブ49の全部又は多くの部分が溶着に使用される。深さの深いボックス本体11では、溶着リブ19のうち溶着されずに残る部分が生ずる。
【0080】
<(3)上記以外の作用及び効果>
(3-1)本実施形態では、上述したように、深さの深いボックス本体11における溶着リブ19の一部は溶着に用いられずに残る。
【0081】
そのため、溶着リブ19のうち、溶着に用いられずに残っている部分によってボックス本体11、ひいては収容ボックス10の剛性を高めることができる。
(3-2)本実施形態では、図1及び図3に示すように、締結部32として、全ての種類のボックス本体11,41に共通の形状及び大きさを有するものが用いられている。すなわち、ボックス本体11,41の深さに拘らず、共通の締結部32が用いられている。そのため、ボックス本体11,41毎に異なる締結部32が用いられる場合に比べ、締結部32の製造コストを低減することができる。
【0082】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0083】
・上記収容ボックスの製造方法は、深さが互いに異なる3種類以上のボックス本体を有する収容ボックスを製造する場合にも適用可能である。
・型合わせ面64,73と、型合わせ面68,73とは、深さが最も深い種類のボックス本体11を形成するキャビティ75のうち、出入口12を形成する部分の外周囲よりもキャビティ75から深さ方向に遠ざかる箇所に設定されてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0084】
・上記収容ボックスの製造方法は、締結部32が溶着とは異なる手段によって、被着部18,48においてボックス本体11,41に締結される収容ボックスを製造する場合にも適用可能である。
【0085】
・複数種類の締結部32が設定され、ボックス本体11,41毎に異なる種類の締結部32が被着部18,48に被せられてもよい。
・第1位置決め部及び第2位置決め部の一方又は両者が省略されてもよい。
【0086】
その他、上記各実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
(A)一端に物品の出入口を有し、かつ他端に底部を有するボックス本体と、前記出入口を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体が、前記ボックス本体の外壁面であって、前記出入口の外周囲となる箇所である被着部に被せられて前記ボックス本体に締結される締結部と、前記締結部に対し、前記出入口を開閉し得るように取付けられる可動蓋部とを備え、
前記外壁面には、前記ボックス本体の深さ方向へ延びる溶着リブが形成され、
前記被着部に前記締結部が被せられ、同締結部の内側面に形成された被溶着部に対し前記溶着リブが溶着されることにより、前記締結部が前記ボックス本体に締結され、
前記深さ方向における前記溶着リブの一部は、溶着に用いられずに残っている収容ボックス。
【0087】
上記の構成によれば、溶着リブのうち、溶着に用いられずに残っている部分によってボックス本体、ひいては収容ボックスの剛性を高めることができる。
【符号の説明】
【0088】
10,40…収容ボックス
11,41…ボックス本体
12,42…出入口
15,45…底部
17,47…外壁面
18,48…被着部
19,49…溶着リブ
19b,49b…端部
19c,49c…側面
21,51…端面
22,52…内壁面
31…蓋体
32…締結部
33…内側面
34…被溶着部
35…溝部
35a…開放端
35b…閉塞端(第1位置決め部)
35c…対向面(第2位置決め部)
37…可動蓋部
60…金型装置
61,65…固定型
62,66…内壁面形成部
63,67…リブ形成部
64,68,73…型合わせ面
71…可動型
72…外壁面形成部
75,76…キャビティ
D1,D2…距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15