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特開2023-1484ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置および改善案提案支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001484
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置および改善案提案支援方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/60 20180101AFI20221226BHJP
【FI】
G16H20/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102248
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】町田 芳広
(72)【発明者】
【氏名】藤咲 景子
(72)【発明者】
【氏名】サルワル シャヘッド
(72)【発明者】
【氏名】宮田 克也
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 英美
(72)【発明者】
【氏名】上原 優衣
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生活行動などの分析対象者の健康状態の向上などのための改善案を提示するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置及び改善案提案支援方法を提供する。
【解決手段】分析対象者2の行動を分析するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10は、分析対象者2に対するセンサデータに基づく、分析対象者の生活行動を示す時系列データである生活行動情報及び分析対象者2の活動量を示す時系列データである活動量情報を記憶する記憶部19と、活動量情報に基づき、所定条件を満たす活動変化を検知する検知部14と、活動変化を検知した場合、当該活動変化が生じたタイミングと所定関係を有する期間中の前記生活行動情報に応じた生活行動に関する情報同士を比較し、所定条件を満たす生活行動変化が生じた生活行動に関する情報を特定する比較部15と、特定された生活行動に関する情報に基づいて、生活行動の改善案を推定する改善案推定部17と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象者の活動および行動を管理、分析するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置において、
センサでの前記分析対象者に対するセンサデータに基づく、前記分析対象者の生活行動を示す時系列データである生活行動情報および前記分析対象者の活動量を示す時系列データである活動量情報を記憶する記憶部と、
前記活動量情報に基づき、所定条件を満たす活動変化を検知する検知部と、
前記活動変化を検知した場合、当該活動変化が生じたタイミングと所定関係を有する期間における前記生活行動情報に応じた生活行動に関する情報同士を比較し、
当該比較の結果、所定条件を満たす生活行動変化が生じた生活行動に関する情報を特定する比較部と、
特定された前記生活行動に関する情報に基づいて、生活行動の改善案を推定する改善案推定部を有するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒューマンライフ・トレーサビリティ装置において、
さらに、特定された前記生活行動に関する情報に応じた、前記生活行動変化の要因を推定する変化要因推定部を有し、
前記改善案推定部は、推定された前記生活行動変化の要因に対応する前記生活行動の改善案を推定するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のヒューマンライフ・トレーサビリティ装置において、
さらに、前記活動量情報の特徴を示す活動特徴量を算出する活動特徴量演算部および前記生活行動情報の特徴を示す生活行動特徴量を算出する生活行動特徴量演算部を有し、
前記検知部は、前記活動特徴量における活動変化を検知し、
前記比較部は、前記期間について生活行動特徴量同士を比較するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のヒューマンライフ・トレーサビリティ装置において、
さらに、前記センサデータから前記生活行動情報として、生活行動を示す生活行動項目およびその指標値を推定する行動推定部を有し、
前記記憶部は、前記生活行動情報として、前記分析対象者の生活行動項目および当該生活行動の指標値を記憶し、
前記生活行動特徴量演算部は、前記生活行動項目および当該生活行動の指標値を有する前記生活行動特徴量を算出し、
前記比較部は、前記生活行動変化として、生活行動項目およびその指標値の差分を特定し、
前記変化要因推定部は、特定された前記生活行動項目およびその指標値の差分に対応する前記生活行動の改善案を推定するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のヒューマンライフ・トレーサビリティ装置において、
前記活動特徴量演算部は、
日毎の活動量積分値を第一の活動特徴量として演算し、
前記第一の活動特徴量から週毎の活動量の平均値を第二の活動特徴量として演算し、
前記第一の活動特徴量からクラスタ群を生成し、生成したクラスタ群に属する日および割合を第三の活動特徴量として演算し、
前記第二の活動特徴量から月毎の積分値を第四の活動特徴量として演算し、
前記生活行動特徴量演算部は、
日毎の生活行動項目別の時間積分値を第一の生活行動特徴量として演算し、
前記第一の生活行動特徴量から週毎で生活行動項目別の時間積分値を第二の生活行動特徴量として演算し、
前記第一の生活行動特徴量から生活行動項目別のクラスタ群を生成し、生成したクラスタ群に属する日および割合を第三の生活行動特徴量として演算し、
前記検知部は、
前記期間について前記第四の活動特徴量同士を比較して、前記活動変化の有無を検知し、
前記活動変化を検知しない場合、対象となる第三の活動特徴量同士を比較して、前記活動変化の有無を検知し、
さらに前記活動変化を検知しない場合、対象となる第二の活動特徴量同士を比較して、前記活動変化の有無を検知し、
さらに前記活動変化を検知しない場合、対象となる第一の活動特徴量同士を比較し、前記活動変化の有無を検知し、
前記比較部は、前記検知部での活動変化の検知結果に応じて、前記第三の活動特徴量同士、前記第二の活動特徴量同士および前記第一の活動特徴量の同士のいずれかの比較を実行するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置。
【請求項6】
分析対象者の活動および行動を管理、分析するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置を用いた改善案提案支援方法において、
記憶部に、センサでの前記分析対象者に対するセンサデータに基づく、前記分析対象者の生活行動を示す時系列データである生活行動情報および前記分析対象者の活動量を示す時系列データである活動量情報を記憶し、
検知部により、前記活動量情報に基づき、所定条件を満たす活動変化を検知し、
比較部により、
前記活動変化を検知した場合、当該活動変化が生じたタイミングと所定関係を有する期間における前記生活行動情報に応じた生活行動に関する情報同士を比較し、
当該比較の結果、所定条件を満たす生活行動変化が生じた生活行動に関する情報を特定し、
改善案推定部により、特定された前記生活行動に関する情報に基づいて、生活行動の改善案を推定する改善案提案支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載の改善案提案支援方法において、
さらに、変化要因推定部により、特定された前記生活行動に関する情報に応じた、前記生活行動変化の要因を推定し、
前記改善案推定部により、推定された前記生活行動変化の要因に対応する前記生活行動の改善案を推定する改善案提案支援方法。
【請求項8】
請求項7に記載の改善案提案支援方法において、
さらに、
活動特徴量演算部により、前記活動量情報の特徴を示す活動特徴量を算出し、生活行動特徴量演算部により、前記生活行動情報の特徴を示す生活行動特徴量を算出し、
前記検知部により、前記活動特徴量における活動変化を検知し、
前記比較部により、前記期間について生活行動特徴量同士を比較する改善案提案支援方法。
【請求項9】
請求項8に記載の改善案提案支援方法において、
さらに、行動推定部により、前記センサデータから前記生活行動情報として、生活行動を示す生活行動項目およびその指標値を推定し、
前記記憶部に、前記生活行動情報として、前記分析対象者の生活行動項目および当該生活行動の指標値を記憶し、
前記生活行動特徴量演算部により、前記生活行動項目および当該生活行動の指標値を有する前記生活行動特徴量を算出し、
前記比較部により、前記生活行動変化として、生活行動項目およびその指標値の差分を特定し、
前記変化要因推定部により、特定された前記生活行動項目およびその指標値の差分に対応する前記生活行動の改善案を推定する改善案提案支援方法。
【請求項10】
請求項9に記載の改善案提案支援方法において、
前記活動特徴量演算部により、
日毎の活動量積分値を第一の活動特徴量として演算し、
前記第一の活動特徴量から週毎の活動量の平均値を第二の活動特徴量として演算し、
前記第一の活動特徴量からクラスタ群を生成し、生成したクラスタ群に属する日および割合を第三の活動特徴量として演算し、
前記第二の活動特徴量から月毎の積分値を第四の活動特徴量として演算し、
前記生活行動特徴量演算部により、
日毎の生活行動項目別の時間積分値を第一の生活行動特徴量として演算し、
前記第一の生活行動特徴量から週毎で生活行動項目別の時間積分値を第二の生活行動特徴量として演算し、
前記第一の生活行動特徴量から生活行動項目別のクラスタ群を生成し、生成したクラスタ群に属する日および割合を第三の生活行動特徴量として演算し、
前記検知部により、
前記期間について前記第四の活動特徴量同士を比較して、前記活動変化の有無を検知し、
前記活動変化を検知しない場合、対象となる第三の活動特徴量同士を比較して、前記活動変化の有無を検知し、
さらに前記活動変化を検知しない場合、対象となる第二の活動特徴量同士を比較して、前記活動変化の有無を検知し、
さらに前記活動変化を検知しない場合、対象となる第一の活動特徴量同士を比較し、前記活動変化の有無を検知し、
前記比較部により、前記検知部での活動変化の検知結果に応じて、前記第三の活動特徴量同士、前記第二の活動特徴量同士および前記第一の活動特徴量の同士のいずれかの比較を実行する改善案提案支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の行動や活動について、管理・分析を行うヒューマンライフ・トレーサビリティに関する。その中でも、人間の健康状態を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術およびセンサ技術が発達し、日常生活において、健康管理を目的として、人間の行動や活動量を測定することが可能となっている。例えば、特許文献1には、活動量を示す歩行データに基づいて、生活パターンの変化の有無を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-184168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、健康管理には、生活パターンを含む生活行動の変化を検出することが有効であるが、活動量と異なりセンサなどで直接検出することは困難であった。例えば、食事の量や時間が変化しても、季節要因など健康上の理由でないこともある。
【0005】
また、特許文献1では、生活パターンの変化の有無を判定しているが、変化に関する分析は十分にされていなかった。健康管理を含む人間のヒューマンライフ・トレーサビリティにおいては、生活行動などの人間の活動について、詳細に分析することで、健康状態の向上などのための改善案を提示できる。
【0006】
ここで、本発明では、人間の活動について、より詳細に分析できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、分析対象者の活動量の変化を検知し、検知した活動量の変化に対応する、例えば、近傍期間における生活行動の変化を特定し、特定された生活行動の変化に対する改善案を推定する。より具体的には、分析対象者の活動および行動を管理、分析するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置において、センサでの前記分析対象者に対するセンサデータに基づく、前記分析対象者の生活行動を示す時系列データである生活行動情報および前記分析対象者の活動量を示す時系列データである活動量情報を記憶する記憶部と、前記活動量情報に基づき、所定条件を満たす活動変化を検知する検知部と、前記活動変化を検知した場合、当該活動変化が生じたタイミングと所定関係を有する期間における前記生活行動情報に応じた生活行動に関する情報同士を比較し、当該比較の結果、所定条件を満たす生活行動変化が生じた生活行動に関する情報を特定する比較部と、特定された前記生活行動に関する情報に基づいて、生活行動の改善案を推定する改善案推定部を有するヒューマンライフ・トレーサビリティ装置である
なお、本発明には、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置を用いた改善案提案支援方法も含まれる。さらに、本発明には、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムやこれを記憶する記憶媒体も含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分析対象者の活動に関して、より詳細に分析することができるため、より適切な健康管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例におけるヒューマンライフ・トレーサビリティシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施例におけるヒューマンライフ・トレーサビリティ装置のハードウエア構成図である。
図3】本発明の一実施例で用いられる生活行動情報を示す図である。
図4】本発明の一実施例で用いられる活動量情報を示す図である。
図5】本発明の一実施例で用いられる生活行動特徴量を示す図である。
図6】本発明の一実施例で用いられる活動特徴量を示す図である。
図7】本発明の一実施例で用いられる指標値対応表を示す図である。
図8】本発明の一実施例における処理フローを示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施例における表示例を示す図である。
図10】本発明の一実施例における変形例の処理の考え方を説明する図である。
図11】本発明の一実施例における変形例のステップS6およびS7の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例もその範囲に含む。
<構成>
本実施例の構成に先立ち本実施例における適用サービスや関与者について、説明する。本実施例では、分析対象者2について、その活動や行動を宅内20、宅外を問わず検知し、検知結果に基づき、その活動を分析する。このために、本実施例では、保険会社やデイサービス業者などでの健康関連サービスを利用可能としている。健康関連サービスには、健康管理サービスや希望者や親族による見守りサービスなど、分析対象者2の活動や行動を分析するサービスである。
【0011】
そして、分析対象者2は、自身の自宅や職場などの宅内20を中心に生活している。また、宅内20の内外にセンサ類が設置され、分析対象者2の活動や行動が検知される。
【0012】
また、分析対象者2は、上述のサービスを受ける際に用いる利用者端末23を保持することが望ましい。さらに、分析対象者2の親族などの関係者が、利用者端末31や32を利用することが望ましい。
【0013】
さらに、本実施例のサービスの提供元としては、保険会社やデイサービス業者が想定され、これらはそれぞれサービス提供のためのサーバを利用することになる。またさらに、上述のサービスのためのヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10が設けられている。
【0014】
以下、本実施例の構成について、説明する。図1は、本実施例におけるヒューマンライフ・トレーサビリティシステムの構成を示すブロック図である。本実施例では、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10、保険会社の保険会社サーバ41、デイサービス業者のデイサービス業者サーバ51が、インターネットのようなネットワーク60を介して、互いに接続される。また、これら各種装置と連携するセンサ類や利用者端末類(23、31、32)も、ネットワーク60と接続している。
【0015】
まず、センサ類は、上述のように宅内20の内外に設置されている。ここで、センサ類21は、分析対象者2の活動量を検知する活動量センサ21-1、21-2と、分析対象者2の生活行動を特定するための生活行動センサ22-1、22-2に分類できる。
【0016】
活動量センサ21-1、21-2は、ミリ波レーダーやマイクロ波を用いた活動量計やカメラで実現できる。つまり、活動量センサ21-1、21-2は、分析対象者2の移動速度、加速度、消費エネルギーといった活動量をセンサデータ(活動センサデータ)として検知ないし特定できればよい。また、生活行動センサ22-1、22-2は、人感センサ、家電に設けられたセンサなどで実現できる。つまり、生活行動センサ22-1、22-2は、分析対象者2の睡眠、外出、食事、家事などの生活行動を特定できるセンサデータ(生活行動センサデータ)を検知できればよい。
【0017】
なお、センサ類の数は図示した数に限定されず、またこれらの種類も上述したものに限定されない。
【0018】
また、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10は、本実施例の主たる処理を実行する装置である。ここで、図1では、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10の機能ブロックを示す。このヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10は、各機能ブロックとして、行動推定部11、行動特徴量演算部12、活動特徴量演算部13、検知部14、比較部15、変化要因推定部16、改善案推定部17、入出力部18および記憶部19を有する。
【0019】
まず、行動推定部11は、生活行動センサデータに基づいて、分析対象者2の生活行動を示す生活行動情報101を作成する。なお、生活行動情報101については、「情報・データ」の項目で説明する。なお、行動推定部11は、生活行動センサデータに対してデジタル変換等を行った情報から生活行動情報101を作成してもよいし、生活行動センサデータから作成してもよい。
【0020】
また、行動特徴量演算部12は、生活行動情報101の特徴を示す生活行動特徴量103を作成する。なお、生活行動特徴量103についても、「情報・データ」の項目で説明する。
【0021】
また、活動特徴量演算部13は、活動量センサ21-1、21-2の活動量センサデータである分析対象者2の活動量を示す活動量情報102の特徴を示す活動特徴量104を作成する。活動量情報102や活動特徴量104についても、「情報・データ」の項目で説明する。なお、本実施例では、活動量情報102は、活動量センサデータと内容的に同じである。つまり、活動量センサデータをデジタル値等への変換したものが、活動量情報102となる。但し、活動量情報102は、活動量センサデータそのものを用いてもよい。
【0022】
また、検知部14は、活動特徴量104もしくは活動量情報102で、所定条件を満たす変化(活動変化)を生じたかを検知する。ここで、検知部14は、活動特徴量104同士を比較して、変化を生じたか検知することが望ましい。ここで、活動変化とは、所定期間ごとの活動特徴量104同士を比較して、その差分が閾値以上かを判定することで検知できる。また、活動変化として単位時間当たりの変化量が閾値以上であること、その値が設定値以上もしくは未満となったこと、変化量の傾向がユニークであることなども想定できる。ここで、変化量の傾向がユニークであることとは、例えば、平均的な変化傾向と相違することが想定される。またさらに、活動特徴量104を、活動量を複数の区分ごと集計して用いてもよい。そして、検知部14は、活動変化が発生した時期を特定する。
【0023】
また、比較部15は、検知部14で検知された変化に応じた生活行動特徴量103のうち、所定条件を満たす変化(生活行動変化)を生じた生活行動特徴量103を特定する。このために、比較部15は、検知部14で検知された変化が生じた時期と所定関係を有する期間を特定する。次に、比較部15は、特定された期間における活動特徴量104もしくは活動量情報102で、所定条件を満たす生活行動変化の発生を特定する。なお、生活行動変化とは、単位時間当たりに変化量が閾値以上であること、その値が設定値以上もしくは未満となったこと、変化量の傾向がユニークであることなどが想定できる。ここで、変化量の傾向がユニークであることとは、例えば、平均的な変化傾向と相違することが想定される。そして、比較部15は、生活行動変化が発生した生活行動特徴量103を特定する。
【0024】
また、変化要因推定部16は、比較部15で特定された生活行動特徴量103に応じた、分析対象者2の生活行動変化の要因を推定する。このために、変化要因推定部16は、指標値対応表105を用いることになる。なお、指標値対応表105については、「情報・データ」の項目で説明する。
【0025】
また、改善案推定部17は、比較部15で特定された生活行動特徴量103に基づき、生活行動の改善案を推定する。このために、改善案推定部17は、変化要因推定部16で推定された生活行動変化の要因を用いることが望ましい。この際、改善案推定部17においても指標値対応表105を用いることになる。
【0026】
また、入出力部18は、ネットワーク60や端末装置100-1、100-2と接続する機能を有する。ここで、端末装置100-1、100-2は、当該ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10に対する入出力機能を有する。入出力機能として、処理結果などを出力したり、管理者からの指示を受け付けヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10へ通知したりする。なお、図1では、端末装置100-1、100-2を2台記載したが、台数は限定されない。また、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10と端末装置100-1、100-2は、イントラネットを介して接続されてもよいし、ケーブルなどを介して直接で接続されてもよい。また、端末装置100-1、100-2は無くともよいし、これらの機能をヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10に設けてもよい。なお、端末装置100-1、100-2は、PCやタブレット、スマートフォンなどといったコンピュータで実現できる。
【0027】
また、記憶部19は、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10の処理で用いられる上述した各種情報やコンピュータプログラムなどを記憶する。
【0028】
ここで、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10は、コンピュータで実現できる。この実現例を、図2に示す。図2は、本実施例におけるヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10のハードウエア構成図である。図2において、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10は、処理装置110、ネットワークインターフェース181、インターフェース182、メモリ191、記憶装置192が、バスのような通信路を介して互いに接続されている。
【0029】
ここで、処理装置110は、CPUなどのプロセッサで実現できる。そして、処理装置110は、メモリ191に展開される各種プログラムに従って、前述の機能ブロックである行動推定部11、行動特徴量演算部12、活動特徴量演算部13、検知部14、比較部15、変化要因推定部16、改善案推定部17での処理を実行する。なお、この処理の詳細は、「処理フロー」の項目で説明する。なお、図2のハードウエア構成では、ソフトウエアであるプログラムで各機能ブロックを実現しているが、専用ハードウエアやFPGA(Field-Programmable Gate Array)で実現してもよい。
【0030】
また、ネットワークインターフェース181、インターフェース182は、図1の入出力部18を実現するものである。つまり、ネットワークインターフェース181はネットワーク60と接続する。また、インターフェース182は、端末装置100-1、100-2と接続する。
【0031】
また、メモリ191および記憶装置192が、図1の記憶部に対応する。そして、メモリ191は、処理装置110での処理に用いられる各種情報、プログラムが展開される。図2では、プログラムを例示している。つまり、プログラムとして、行動推定プログラム111、行動特徴量演算プログラム112、活動特徴量演算プログラム113、検知プログラム114、比較プログラム115、変化要因推定プログラム116および改善案推定プログラム117が、メモリ191に展開され、これらに従って処理装置110が処理を実行する。なお、これら各プログラムは、記憶装置192といった記憶媒体に格納されておち、ここからメモリ191に展開される。
【0032】
なお、各プログラムと図1に示す各部のその機能についての対応関係は、以下のとおりである
行動推定プログラム111:行動推定部11
行動特徴量演算プログラム112:行動特徴量演算部12
活動特徴量演算プログラム113:活動特徴量演算部13
検知プログラム114:検知部14
比較プログラム115:比較部15
変化要因推定プログラム116:変化要因推定部16
改善案推定プログラム117:改善案推定部17
また、記憶装置192は、上述のプログラムに加え、各種情報が記憶する。これら情報には、上述の生活行動情報101、活動量情報102、生活行動特徴量103、活動特徴量104および指標値対応表105が含まれる。また、ハードディスクドライブ等のストレージで実現できる。また、記憶装置192は、ファイルサーバといったヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10と別筐体で実現してもよい。以上で、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10についての説明を終わり、図1に戻り保険会社サーバ41やデイサービス業者サーバ51について、説明する。
【0033】
保険会社サーバ41は、保険会社で運用され、コンピュータで実現される。つまり、コンピュータとして一般的な構成である記憶装置411や処理装置412を有する。ここで、保険会社サーバ41は、保険商品の開発、顧客管理や本実施例に関する契約者の健康管理のための処理を実行する。また、保険会社サーバ41は、端末装置100-1、100-2と同じような端末装置42と接続される。
【0034】
また、本実施例では、デイサービス業者サーバ51は、デイサービス業者で運用され、保険会社サーバ41と同様のコンピュータで実現される。つまり、コンピュータとして一般的な構成である記憶装置511や処理装置512を有する。ここで、デイサービス業者サーバ51は、施設の運用管理、利用者管理や本実施例に関する利用者の健康管理のための処理を実行する。また、デイサービス業者サーバ51は、保険会社サーバ41と同様に端末装置52と接続される。
【0035】
また、利用者端末31や32は、分析対象者2の親族などの関係者で利用されるコンピュータで実現できる。これらは、PC、スマートフォン、タブレットなどで実現でき、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10から分析対象者2についての分析結果を取得し、表示できる。また、分析結果に対する指示を、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10、分析対象者2の利用者端末23に出力できることが望ましい。以上で、本実施例の構成の説明を終わる。
<情報・データ>
次に、本実施例で用いられる各種情報、データについて説明する。まず、図3は、本実施例で用いられる生活行動情報101を示す図である。図3に示すように、生活行動情報101とは、生活行動の種別を示す生活行動項目とその時刻が対応付けられた時系列データである。なお、生活行動情報101は、生活行動センサデータに基づき、行動推定部11で作成される。さらに、生活行動情報101は、分析対象者2ごとに作成され、図2における記憶装置192に記憶される。
【0036】
次に、図4は、本実施例で用いられる活動量情報102を示す図である。図4に示すように、生活行動情報101は、活動量の瞬時値とその時刻が対応付けられた時系列データである。ここで、活動量情報102は、活動量センサデータを用いることができる。また、活動量の瞬時値として、その際の分析対象者2の動作に関する速度、加速度を用いることができる。さらに、活動量情報102として、活動量センサデータから作成される分析対象者2の消費エネルギーなどを用いてもよい。さらに、活動量情報102は、分析対象者2ごとに管理される。つまり、図2における記憶装置192に記憶される。
【0037】
次に、図5は、本実施例で用いられる生活行動特徴量103を示す図である。図5に示すように、生活行動特徴量103は、生活行動項目と期間中に実行された時間や回数の指標値が対応付けられたデータである。生活行動特徴量103は、行動特徴量演算部12により、生活行動情報101から作成される。指標値とは、時間もしくは実行された回数に関する集計値であり、1週間など期間中において分析対象者2が生活行動項目を実行した時間もしくは回数の単位期間の平均値等の代表値を示す。単位期間には、1日などが想定できる。また、この指標値は、生活行動特徴量103の特徴を示す指標となる。つまり、生活行動特徴量103は、生活行動項目別の指標値を示すことになる。また、生活行動項目は、時間、回数といった指標値の項目ごとに集計されている。
【0038】
なお、生活行動特徴量103は、対応するセンサデータが検知された時期を「期間」として記録している。本例では、「5/2-5/8」との特定週を記載しているが、特定日、曜日、月など他の単位を用いてもよい。なお、この「期間」は、生活行動情報101の時刻に基づいて特定できる。
【0039】
またさらに、本実施例では、生活行動特徴量103を複数種用いることが可能である。以下、複数の生活行動特徴量103の一例である、第一~第三の生活行動特徴量の内容を説明する。
【0040】
まず、第一の生活行動特徴量は、1日当たりの生活行動項目別の積分値(指標値)を示す情報である。次に、第二の生活行動特徴量は、週当たりの生活行動項目別の積分値(指標値)を示す情報である。このために、行動特徴量演算部12は、第二の生活行動特徴量として、一週間分の第一の生活行動特徴量から1日当たりの生活行動項目別に、積分値の平均を算出する。
【0041】
次に、第三の生活行動特徴量は、第一の生活行動特徴量もしくは第二の生活行動特徴量に基づき作成される、積分値で示される生活行動項目別のクラスタのそれぞれの割合を示す情報である。このために、行動特徴量演算部12は、複数のクラスタが含まれるクラスタ群を生成する。ここで、クラスタとは、曜日、天候などに影響される、生活行動項目の活発状況に応じたものとなる。つまり、クラスタとは、分析対象者2の生活行動別であって、どの程度活発かにより、クラスタリングされたものとなる。
【0042】
これら第一~第三の生活行動特徴量は、行動特徴量演算部12で作成され、図2の記憶装置192に記憶される。なお、これらがどのように用いられるかについては、「処理フロー」の項目で後述する。
【0043】
次に、図6は、本実施例で用いられる活動特徴量104を示す図である。図6に示すように、活動特徴量104は、移動速度、加速度、エネルギーといった活動量と所定期間中に活動量の数値が検出された時間(m:分)の積分値が対応付けられたデータである。特に、積分値については、複数の区分に分けて集計することが望ましい。図6では、移動速度が1-5、5-10といった区分に分けている。また、活動特徴量104は、活動特徴量演算部13により、活動量情報102から作成される。なお、本実施例では、複数の活動量を用いているが、その数は限定されない。ここで、活動特徴量104は、そのセンサデータが検知された時期を「期間」として記録している。本例では、「5/2-5/8」と、生活行動特徴量103と同じ値が記載される。このため、特定日、曜日、月など他の単位を用いてもよい。なお、この「期間」は、活動量情報102の時刻に基づいて特定できる。
【0044】
またさらに、本実施例では、活動特徴量104についても複数種用いることが可能である。以下、複数の活動特徴量104の一例である、第一~第四の活動特徴量の内容を説明する。
【0045】
まず、第一の活動特徴量は、1日当たりの活動量の積分値を示す情報である。次に、第二の活動特徴量は、週当たりの活動特徴量の積分値を示す情報である。このために、活動特徴量演算部13は、第二の活動特徴量として、一週間分の第一の活動特徴量から1日当たりの活動量についての積分値の平均を算出する。
【0046】
次に、第三の活動特徴量は、第一の活動特徴量ないし第二の活動特徴量に基づき作成される、積分値で示される活動特徴量のクラスタのそれぞれの割合を示す情報である。このために、活動特徴量演算部13は、複数のクラスタが含まれるクラスタ群を生成する。ここで、クラスタとは、曜日、天候などに影響される、活動特徴量の活発状況に応じたものとなる。つまり、クラスタとは、分析対象者2の活動量について、どの程度活発かにより、クラスタリングされたものとなる。
【0047】
次に、第四の活動特徴量は、月当たりの活動特徴量の積分値を示す情報である。このために、行動特徴量演算部12は、第四の活動特徴量として、一か月分の第二の活動特徴量もしくは第二の活動特徴量から1日当たりの活動量についての積分値の平均を算出する。
【0048】
これら第一~第四の活動特徴量も、活動特徴量演算部13で作成され、図2の記憶装置192に記憶される。なお、これらがどのように用いられるかについても、「処理フロー」の項目で後述する。
【0049】
本実施例の第一~第三の生活行動特徴量や第一~第四の活動特徴量は、週もしくは月を所定期間として用いたが、これらはあくまでも一例であり、これらに限定されない。また、特徴量として、平均を用いたが、その他の代表値を用いてもよい。
【0050】
最後に、指標値対応表105について説明する。図7は、本実施例で用いられる指標値対応表105を示す図である。指標値対応表105は、比較部15や改善案推定部17での、所定条件を満たす生活行動変化が生じた生活行動情報101の特定や改善案の推定に用いられる。さらに、指標値対応表105は、変化要因推定部16での変化要因の推定に用いられることが望ましい。
【0051】
このため、指標値対応表105は、生活行動項目ごとに、変化要因がその指標値(項目)と共に設定されている。この変化要因は、比較部15での生活行動情報101の特定のための指標値(項目)における基準を示すことになる。例えば、図7の1レコード目の「生活行動項目」の「外出行動」については、「指標値(項目)」の「時間」が、「一割減少」した場合に、比較部15で生活行動変化が生じたと判定される。
【0052】
さらに、指標値対応表105は、生活行動項目ごとに、改善案も対応付けられている。このため、改善案推定部17が、指標値対応表105を用いて、その改善案を推定できる。例えば、「変化要因」が「外出時間が減る(減少一割)」の場合、外出時間を増加させることを特定できる。つまり、「在宅時間が長くなっています。外出機会を増やしましょう。」との分析対象者2へのメッセージを特定できる。
【0053】
なお、本実施例では、変化要因に、指標値(項目)における基準を含めているが、改善案もしくは他の項目として、この基準を設けてもよい。この場合、比較部15は、改善案ないし他の項目を用いて、生活行動変化の発生を判定する。また、指標値対応表105は、生活行動変化が生じた生活行動情報101に基づき改善案が推定できればよく、図7に示す指標値対応表105の利用に限定されない。
【0054】
以上で、本実施例で用いられる情報、データについての説明を終わり、以下、本実施例の処理フローについて説明する。
<処理フロー>
次に、本実施例の処理フローを説明する。図8は、本実施例における処理フローを示すフローチャートである。以下、図8について、図1に示す各構成(機能ブロック)を主体として説明する。
【0055】
まず、ステップS1において、入出力部18は、センサ類からのセンサデータを受け付ける。ここで、入出力部18は、センサデータを変換する。この結果、活動量センサデータが、活動量情報102に変換される。なお、入出力部18は、変換されたセンサデータを、記憶部19に記憶することが望ましい。なお、活動量情報102は、図4で説明済である。
【0056】
次に、ステップS2において、入出力部18は、受け付けたセンサデータを活動量センサデータおよび生活行動センサデータを振り分ける。なお、ステップS1およびS2については、活動量センサデータおよび生活行動センサデータを個別の受付部で受け付けて実現してもよいし、ステップS2は、入出力部18とは別の構成で実行してもよい。
【0057】
ステップS2の結果、活動量センサデータを受け付けた場合、ステップS3に遷移する。また、生活行動センサデータを受け付けた場合、ステップS4に遷移する。
【0058】
次に、ステップS3において、活動特徴量演算部13は、活動量情報102から、その特徴を示す活動特徴量104を作成する。また、活動特徴量演算部13は、活動特徴量104を記憶部19に記憶することが望ましい。なお、活動特徴量104については、図6で説明済の内容である。ここでは、一種類の活動特徴量104が作成される例について説明し、前述の第一~第四の活動特徴量を利用する処理については、後述する。
【0059】
また、ステップS4において、行動特徴量演算部12は、変換された生活行動センサデータから、生活行動情報101を作成する。なお、生活行動情報101については、図3で説明済の内容である。
【0060】
次に、ステップS5において、行動特徴量演算部12が、生活行動情報101からその特徴を示す生活行動特徴量103を作成する。また、行動特徴量演算部12は、生活行動特徴量103を記憶部19に記憶することが望ましい。なお、生活行動特徴量103については、図5で説明済の内容である。また、ここでは、一種類の生活行動特徴量103が作成される例について説明し、前述の第一~第三の生活行動特徴量を利用する処理については、後述する。
【0061】
次に、ステップS6において、検知部14が、活動特徴量104の活動変化およびその発生時期を検知する。このために、検知部14は、所定期間ごとに、活動特徴量104を抽出する。そして、検知部14は、抽出された所定期間ごとの活動特徴量104を比較して、その差分が閾値以上かを判定する。この結果、閾値以上である場合、検知部14が、活動変化が生じたと判定し、その発生時期を検知することになる。
【0062】
例えば、ステップS6においては、所定期間を「月」とした場合、以下の処理となる。まず、検知部14が、分析対象月の活動特徴量104を抽出する。図6に示す活動特徴量104の場合、1週を1レコードとして作成しているため、検知部14は1か月分=4週分(4レコード)の活動特徴量104を抽出する。
【0063】
また、検知部14は、少なくとも分析対象月の前月分より過去の活動特徴量104を、比較対象活動特徴量として抽出する。例えば、検知部14は、分析対象月が5月分の場合、4月分の活動特徴量104を、比較対象活動特徴量として抽出する。この際、検知部14は、複数月の活動特徴量104の平均値等の代表値を算出し、これを比較対象活動特徴量としてもよい。
【0064】
次に、検知部14は、分析対象月の活動特徴量104と比較対象活動特徴量を比較する。そして、検知部14は、比較結果が閾値以上であるで、活動変化を検知すると、その発生時期を特定する。この発生時期としては、「週」「日」「曜日」「日時」などが想定できるが、所定期間を「1か月」より短い単位であることが望ましい。特に、活動特徴量104のレコード分=週とすることが望ましい。なお、本ステップでは、活動量情報102に基づき、活動変化を検知できればよく、活動特徴量104を用いることはその一例である。
【0065】
ステップS6の結果、活動変化を検知した場合(YES)、ステップS7に遷移する。また、活動変化を検知しなかった場合(NO)、ステップS1に遷移する。
【0066】
次に、ステップS7において、比較部15は、ステップS6で検知された活動変化に対応する生活行動特徴量103同士を比較して、生活行動変化の発生を検知する。このために、まず、比較部15は、ステップS6で検知された活動変化の発生時期と所定関係を有する対象期間を特定する。次に、比較部15は、対象期間の前期間などの比較期間を特定する。そして、比較部15は、生活行動項目ごとに、対象期間と比較期間の生活行動特徴量103同士を比較する。この結果、比較部15は、その差分が所定条件を満たす場合、生活行動変化が発生したとして、その生活行動項目を特定する。
【0067】
ここで、対象期間としては、活動変化の発生時期を含む一定期間、特に、発生時期以前の期間が望ましい。ここで、発生時期以前とした理由は、生活行動変化は、活動量変化に起因して生じることを考慮したものである。但し、これら因果関係は様々であるため、発生時期以降もしくは双方を含んだり、発生時期(期間)と共通化したりしてもよい。このように、対象期間と比較期間は、所定範囲内の近傍期間であることが望ましい。
【0068】
また、差分が所定条件を満たすかは、図7に示す指標値対応表105を用いて判断される。例えば、「生活行動項目」が「外出」の場合、対象期間について比較期間と比較して、その時間が「減少一割」であれば、所定条件を満たすと判断される。
【0069】
なお、ステップS7においては、比較部15は、ステップS6で検知された活動変化に対応する生活行動情報101同士を比較して、生活行動変化の発生を検知してもよい。このように、本ステップでは、生活行動情報101に基づき、生活行動変化を検知できればよく、生活行動特徴量103を用いることはその一例である。つまり、本ステップでは、生活行動に関する情報を比較できればよい。
【0070】
次に、ステップS8において、比較部15は、各生活行動項目について、ステップS7の処理、つまり、生活行動特徴量103の比較が完了したかを判定する。このために、比較部15は、図5に示す生活行動特徴量103の生活行動項目を用いる。この結果、生活行動特徴量103の各生活行動項目について、処理が完了していれば(YES)、ステップS9に遷移する。また、完了していなかければ(NO)、ステップS7に遷移し、残っている各生活行動項目についての処理を実行する。
【0071】
次に、ステップS9において、変化要因推定部16が、ステップS7で特定された生活行動項目について、その変化要因を推定する。このために、変化要因推定部16は、指標値対応表105から、特定された生活行動項目に対応する変化要因を検索する。上述の「生活行動項目」が「外出」の場合、変化要因として「外出時間が減る」ことが推定される。
【0072】
次に、ステップS10において、改善案推定部17が、ステップS7で特定された生活行動項目および/またはステップS9で推定された変化要因に応じた、改善案を推定する。このために、改善案推定部17は、指標値対応表105を用いる。例えば、改善案推定部17は、「生活行動項目」が「外出」およびまたは「変化要因」が「外出時間が減る」場合、改善案として「在宅時間が長くなっています。外出機会を増やしましょう。」を推定する。このように、本実施例では、改善案として、生活行動を改善するための情報を出力する。なお、本実施例において、ステップS7、S9およびS10で1つの指標値対応表105が用いられるが、これはそれぞれの機能毎に分けて設けてもよい。
【0073】
ここで、改善案推定部17の改善案の推定は、以下のとおり実行してもよい。
(1)改善案推定部17は、AI(人工知能)を用いたデータ分析に基づき、変化要因に応じた改善案を推定する。
(2)改善案推定部17は、IF-THENルールのようなベースのアプローチにより、条件である変化要因に対応する改善案を推定する。
(3)改善案推定部17は、ステップS7での生活行動特徴量103の比較結果である差分の量の応じたフィルタリング処理により、複数の改善案からの選択を行う。
【0074】
なお、本実施例では、指標値対応表105の利用や(1)~(3)について組み合わせて、改善案を推定してもよい。
【0075】
そして、改善案推定部17は、入出力部18を介して、端末装置100-1、100-2やネットワーク60に対して、改善案を出力する。この結果、利用者端末類(23、31、32)や保険会社サーバ41、端末装置42やデイサービス業者サーバ51、端末装置52が改善案を受信する。この結果、端末装置100-1、100-2や端末装置42、端末装置52では、この改善案を表示できる。また、改善案推定部17は、変化要因も出力して、各装置で変化要因を表示する構成としてもよい。
【0076】
ここで、図9は、本実施例における表示例を示す図である。この表示は、端末装置100-1、100-2、利用者端末類(23、31、32)、端末装置42、端末装置52で共通としてもよいし、カスタマイズしてもよい。図9において、表示画面200中に、以下に示す情報が表示される。これら情報は、改善案推定部17で作成してもよいし、端末側で改善案推定部17からの情報を用いて作成してもよい。
【0077】
表示画面200には、分析対象者2(○○様)であることが明記され、変化要因および改善案欄201、期間欄202、活動量表示欄203、生活行動比較結果表示欄204およびグラフ表示欄205が含まれる。
【0078】
まず、ステップS9およびS10で推定された変化要因および改善案が表示される。また、期間欄202は、分析対象期間、つまり、センサでの検知期間を示し、比較部15での比較した期間については、三角で明記される。本図では、4月(第4週)と5月(第1週)が比較されている。ここで、5月(第1週)が対象期間であり、4月(第4週)が比較期間である。
【0079】
また、活動量表示欄203は、活動量情報102をグラフ化した情報を表示する。ここでは、図4とは別形態の棒グラフで表示しているが、折れ線グラフなど他の形態でもよい。
【0080】
また、生活行動比較結果表示欄204は、生活行動特徴量103に関して、「生活行動項目」「指標値(項目)」「生活行動変化(変化量)」と、対象期間および比較期間の生活行動特徴量103が表示される。ここで、「生活行動変化(変化量)」とは、対象期間および比較期間における比較部15での比較結果である差分を示す。
【0081】
さらに、グラフ表示欄205は、生活行動特徴量103の比較結果などをグラフ化した情報である。
【0082】
なお、表示画面200は、あくまでも一例であり、様々なカスタマイズが可能である。特に、健康管理業者においては、個人情報を秘匿して表示してもよいし、位置の欄を省略したり、その表示位置を変更できる。特に、変化要因および改善案欄201については、変化要因と改善案の一方を表示する構成としてもよい。
【0083】
これらの結果、分析対象者2を関係者は改善案を確認し、生活行動の見直しを検討することができる。さらに、健康関連サービスにおいては、各サーバを利用して、契約者の管理や新サービスの提案を実現できる。
【0084】
以上で、本実施例の処理フローの説明を終了し、以下、特徴量についての変形例について説明する。
<変形例>
上述したように、本実施例では、生活行動特徴量103として、第一~第三の生活行動特徴量を、活動特徴量104として第一~第四の活動特徴量を用いることができる。これらに関する変形例の処理(ステップS3、S5、S6、S7)について、以下説明する。
【0085】
図10は、本実施例における変形例の処理の考え方を説明する図である。図10(a)は、活動量情報102に関する第一~第四の活動特徴量の作成の考え方を示す(ステップS3)。活動特徴量演算部13は、活動量情報102を時刻ごとの情報として取得し、記憶する。そして、活動特徴量演算部13は、これから1日当たりの積分値である第一の活動特徴量を作成する。つまり、日単位とする第一の活動特徴量が生成される。
【0086】
この結果、図10(a)の二段目に記載のように、曜日ごとの第一の活動特徴量が求められる。そして、活動特徴量演算部13は、これらの週ごとの平均値として、第二の活動特徴量を生成する。この結果、図10(a)の三段目に記載のように、週ごとの第二の活動特徴量が求められる。
【0087】
また、活動特徴量演算部13は、曜日ごとの第一の活動特徴量から活動量に応じたクラスタ群を作成する。これは、図10(a)の「活動量の多いクラスタ」「活動量の少ないクラスタ」と分類することになる。このことで、曜日や天気、季節と影響に応じた分類がされることになる。以上の結果、活動特徴量演算部13は、週ごとのクラスタ割合を示す第三の活動特徴量を作成することになる。
【0088】
そして、活動特徴量演算部13は、週ごとの第二の活動特徴量の平均値として、第四の活動特徴量を生成する。つまり、月単位とする第四の活動特徴量が生成される。
【0089】
次に、図10(b)は、生活行動特徴量103として第一~第三の生活行動特徴量の作成の考え方を示す(ステップS5)。行動特徴量演算部12が、時刻ごとの生活行動情報101から1日当たりの行動別(生活行動項目別)の積分値である第一の生活行動特徴量を作成する。つまり、日単位とする第一の生活行動特徴量が生成される。
【0090】
この結果、図10(b)の二段目に記載のように、曜日ごとの第一の生活行動特徴量が求められる。そして、行動特徴量演算部12が、これらの週ごとの平均値として、第二の生活行動特徴量を生成する。
【0091】
また、行動特徴量演算部12は、曜日ごとの第一の活動特徴量から活動量に応じたクラスタ群を作成する。これは、図10(b)の「睡眠の多いクラスタ」「睡眠の少ないクラスタ」「家事の多いクラスタ」「家事の少ないクラスタ」と分類することになる。このことで、曜日や天気、季節と影響に応じた分類がされることになる。この結果、図10(b)の三段目に記載のように、週ごとの第二の生活行動特徴量が求められる。
【0092】
そして、行動特徴量演算部12は、第二の生活行動特徴量から、週ごとかつ行動別のクラスタ割合を示す第三の活動特徴量を作成する。以上で、ステップS3およびS5において、第一~第三の生活行動特徴量、第一~第四の生活行動特徴量が作成されることになる。なお、以上の第一~第三の生活行動特徴量、第一~第四の活動特徴量は、記憶部19に記憶されることになる。
【0093】
次に、ステップS6およびS7での処理について説明する。図11は、本変形例におけるステップS6およびS7の処理フローを示すフローチャートである。ここで、ステップS61~S64がステップS6に対応し、ステップS71~S74がステップS7に対応する。
【0094】
まず、ステップS61において、検知部14は、第四の活動特徴量の活動変化およびその発生時期を検知する。この検知手法は、図8で説明した内容を同様である。この結果、活動変化を検知した場合(YES)、ステップS71に遷移する。また、活動変化を検知しなかった場合(NO)、ステップS62に遷移する。
【0095】
次に、ステップS71において、比較部15は、ステップS61で検知された活動変化に対応する第三の生活行動特徴量同士を比較して、生活行動変化の発生を検知する。この検知手法は、図8で説明した内容を同様である。そして、本処理を終了し、ステップS8に遷移する。
【0096】
また、ステップS62において、検知部14は、第三の活動特徴量の活動変化およびその発生時期を検知する。この検知手法は、ステップS61と同様であり、ステップS63やS64でも同様である。この結果、活動変化を検知した場合(YES)、ステップS72に遷移する。また、活動変化を検知しなかった場合(NO)、ステップS63に遷移する。
【0097】
次に、ステップS72において、比較部15は、ステップS62で検知された活動変化に対応する第二の生活行動特徴量同士を比較して、生活行動変化の発生を検知する。この検知手法は、ステップS71と同様であり、ステップS63やS64でも同様である。そして、本処理を終了し、ステップS8に遷移する。
【0098】
また、ステップS63において、検知部14は、第二の活動特徴量の活動変化およびその発生時期を検知する。この結果、活動変化を検知した場合(YES)、ステップS73に遷移する。また、活動変化を検知しなかった場合(NO)、ステップS64に遷移する。
【0099】
次に、ステップS73において、比較部15は、ステップS63で検知された活動変化に対応する第一の生活行動特徴量同士を比較して、生活行動変化の発生を検知する。そして、本処理を終了し、ステップS8に遷移する。
【0100】
また、ステップS64において、検知部14は、第一の活動特徴量の活動変化およびその発生時期を検知する。この結果、活動変化を検知した場合(YES)、ステップS74に遷移する。また、活動変化を検知しなかった場合(NO)、本処理を終了する。ステップ8以降の処理は省略可能である。
【0101】
次に、ステップS74において、比較部15は、ステップS64で検知された活動変化に対応する生活行動特徴量情報101同士を比較して、生活行動変化の発生を検知する。そして、本処理を終了し、ステップS8に遷移する。
【0102】
以上のように、本実施例では、対象期間の異なる複数の特徴量を作成し、期間の長い順に多段的に、ステップS6およびS7の処理を実行している。特に、検知部14での結果に応じて、比較部15での比較処理を実行している。このように処理することで、長期的な視点で分析対象者の変化を検出できる。なお、第一~第三の生活行動特徴量、第一~第四の生活行動特徴量の期間(日、週、月)はあくまでの一例でこれらに限定されない。また、これら特徴量の数も例示した数に限定されない。
【0103】
以上で、本実施例の説明を終わるが、本発明は本実施例に限定されず、様々なカスタマイズが可能である。例えば、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10をスタンドアロンで構成し、関係者が当該ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10での処理結果を確認できるようにしてもよい。さらに、活動量情報102や活動特徴量104については、複数の活動量を組み合わせて特定してもよい。この場合、速度や加速度といった種別の異なる活動量を組み合わせることの他、同種の異なる活動量(速度同士)を組み合わせてもよい。またさらに、改善案が出力された場合、ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置10では、その出力前後で改善案が出力された生活行動項目の変化(生活行動変化)を定期的に確認することが望ましい。
【符号の説明】
【0104】
10:ヒューマンライフ・トレーサビリティ装置
11:行動推定部
12:行動特徴量演算部
13:活動特徴量演算部
14:検知部
15:比較部
16:変化要因推定部
17:改善案推定部
18:入出力部
19:記憶部
2:分析対象者
20:宅内
21-1、21-2:活動量センサ
22-1、22-2:生活行動センサ
23、31、32:利用者端末
41:保険会社サーバ
411:記憶装置
412:処理装置
42:端末装置
51:デイサービス業者サーバ
511:記憶装置
512:処理装置
52:端末装置
60:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11