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  • 特開-人物型三次元造形物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149028
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】人物型三次元造形物
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/36 20060101AFI20231005BHJP
   A63H 9/00 20060101ALI20231005BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20231005BHJP
【FI】
A63H3/36 Q
A63H9/00 Q
A63H9/00 S
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057353
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】513246861
【氏名又は名称】株式会社Bfull
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】前田 直人
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150BC02
2C150CA01
2C150FB43
2C150FD27
(57)【要約】
【課題】より現実的な質感を有する三次元造形物を提供する。
【解決手段】フィギュア1は中空形状で肌色や茶色の色の材料で造形された外殻部10を有し、外殻部10の外表面には、凹部が形成されてなり、外殻部10を構成する側壁のうち、凹部に対応する部位は他の部位よりも厚い肉厚な厚肉部とされてなり、外殻部10の中に充填される中身部20の色である白色が、外殻部10を通して深みのある表情で外部から視認可能となっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状に造形された中空構造の外殻部と、
前記外殻部の側壁によって囲繞された中空部分に注入されることで少なくとも当該外殻部における側壁の内周面上に形成されてなる白色の中身部と、
を具備し、前記外殻部の側壁が透光性材料で構成されることで、前記中身部が前記外殻部の側壁を通して当該外殻部の外部から視認可能である、人物の全部又は一部を模した外観形状の人物型三次元造形物であって、
前記外殻部の外表面には、凹部が形成されてなり、
前記外殻部の側壁において前記凹部に対応する部位には、前記凹部に対応しない他の部位の肉厚よりも当該側壁の肉厚の方が厚い肉厚とされた厚肉部が形成されてなる
ことを特徴とする人物型三次元造形物。
【請求項2】
前記厚肉部は、前記凹部における最も凹んだ位置にある底部に向かう程肉厚が厚くされてなる
請求項1に記載の人物型三次元造形物。
【請求項3】
前記外殻部の外表面に形成された凹部は、人物の立体形状に対応した凹部で構成されてなる
請求項1又は請求項2に記載の人物型三次元造形物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色された材料によって造形された人物型三次元造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透光性を有する外殻と、外殻内に充填された充填部と、を備えた人形体としての三次元造形物が知られている(例えば特許文献1参照)。このような三次元造形物は、表面に透明感や高級感を与えることができ、より存在感を有した製品となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-115984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の三次元造形物にあっては、色が均一になり過ぎて陰影に乏しく、本物がそこに存在しているかのような実在感を出すことが困難であった。特に、人物型の人形体にあっては、人肌の微妙な深みのある色彩を色付けのみで対応するには表現に限界があり、かかる課題を克服して、より一層実在感を増した製品が求められている。
【0005】
そこで本発明は、より高品質な実在感を有する表面を備えた人物型三次元造形物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定形状に造形された中空構造の外殻部と、前記外殻部の側壁によって囲繞された中空部分に注入されることで少なくとも当該外殻部における側壁の内周面上に形成されてなる白色の中身部と、を具備し、前記外殻部の側壁が透光性材料で構成されることで、前記中身部が前記外殻部の側壁を通して当該外殻部の外部から視認可能である、人物の全部又は一部を模した外観形状の人物型三次元造形物であって、前記外殻部の外表面には、凹部が形成されてなり、前記外殻部の側壁において前記凹部に対応する部位には、前記凹部に対応しない他の部位の肉厚よりも当該側壁の肉厚の方が厚い肉厚とされた厚肉部が形成されてなることを特徴とする人物型三次元造形物である。
【0007】
かかる構成にあっては、前記外殻部の表面に形成された凹部に対応する側壁を他の部位よりも厚肉とすることで当該外殻部の色を濃く見せ、その上で白色の中身部が外部から透けて視認される構成であるから、外殻部における凹凸形状において各部位での中身部の色の見え方が変化し、これにより三次元造形物の外観がより質感のあるものとなり、例えば人物の肌の実在感が大幅に向上する利点がある。
【0008】
また、前記厚肉部は、前記凹部における最も凹んだ位置にある底部に向かう程肉厚が厚くされてなる構成が提案される。
【0009】
かかる構成とすることにより、凹部内においても色の濃淡が生まれ、さらに質感が向上する。
【0010】
また、前記外殻部の外表面に形成された凹部は、人物の立体形状に対応した凹部で構成されてなる構成が提案される。
【0011】
かかる構成とすることにより、人物に含まれる凹凸形状や、関節部分における内側の窪み(凹部)をより精巧に形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の三次元造形物は、より現実的な質感を有するという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例にかかるフィギュアの外観斜視図である。
図2】実施例にかかる凹部の部分拡大断面図である。
図3】実施例にかかる凹部の部分拡大断面図である。
図4】他の例にかかる凹部の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の三次元造形物を具体化した実施例を詳細に説明する。なお本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜、設計変更が可能である。
【0015】
図1に示すように、例えば「3Dプリンタ」で造形される人物型の三次元造形物としてのフィギュア1は、所定形状に造形された透光性材料(例えば、PVCあるいはABS等)で構成される外殻部10を備えている。
【0016】
ここで、外殻部10の内部は中空とされており、当該中空には例えばウレタン樹脂からなる充填材が充填されて中身部20を構成している。
【0017】
なお、フィギュア1は、胴体、頭、手、足、及び分割された服といった具合に各パーツに分割されているものを組み合わせて組み上げられている。
【0018】
また、外殻部10は各パーツに合わせた色に着色された透光性材料が用いられて造形されている。そして中身部20の色が外殻部10を通して視認可能とされている。
【0019】
ここで、例えばフィギュア1の手や足には肘や膝等の関節がある。当該関節の内側には図2に示すように凹部30が形成される。
【0020】
外殻部10において、凹部30に対応する部位は他の部位よりも相対的に厚い肉厚な厚肉部35とされている。これにより、当該凹部30は外殻部10の色が大きく反映されて他の部位よりも色が濃く見えるようになる。また、当該凹部30は色が濃い分だけ陰影も濃くなり、より質感が増し、実在感のあるものとすることができる。
【0021】
また、関節の内側に形成された凹部30以外にも、例えば図3に示すように、平らな外表面に微小な凹部40を形成して外観に色の濃淡を付与して質感を与えるようにしてもよい。さらに凹部40においては、もっとも凹んだ底部41に向かう程厚みが増す厚肉部45とすることで、色の濃淡にグラデーションを付与してさらに実在感のあるものとすることができる。
【0022】
ここで再度本発明の要部を詳述する。
【0023】
凹部30,40においては光が当たりにくくなることから他の部位よりも暗く、色としては濃く見えるところ、着色された外殻部10に厚肉部35,45を対応させることによって他の部位よりも外殻部10の色をさらに濃く見せることができる。これによって単一色の材料で外殻部10を構成しても色の濃淡が発生してより質感に富むものとすることができる。
【0024】
また、厚肉部の肉厚を徐々に変化させることによって自然な色のグラデーションを発現して実在感を与えることができる。
【0025】
さらに、外殻部10を透光性材料によって構成することで、高級感を付与することができる。
【0026】
また、中身部20の色は特に制限はないが、フィギュア1に透明感を与えるためには外殻部10よりも色が薄く、白色もしくは白色に近い材料あることが好ましい。一方、外殻部10は、肌色や茶色などの人肌を作製するための有彩色の材料で造形されることが好ましい。また、中身部20は、外殻部10に塗装材料(塗料)を充填して形成する構成だけでなく、その他の手法により構成するようにしてもよい。例えば、図4に示すように、外殻部10に塗装材料を充填した上でその一部の塗料を外殻部10から排出し、外殻部10における側壁の内面に付着して残った薄膜層により構成するようにしてもよい。
【0027】
上記実施例において、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
例えば、外殻部10の厚肉部35の肉厚は5mm程度とし、相対的に肉厚が薄い薄肉部を1mm程度とすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 フィギュア(三次元造形物)
10 外殻部
20 中身部
30,40 凹部
35,45 厚肉部
41 底部

図1
図2
図3
図4