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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150039
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ラッチ装置およびそのドアハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05B 3/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E05B3/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058916
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】598063683
【氏名又は名称】株式会社 ユーシン・ショウワ
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(57)【要約】
【課題】ドアハンドルをラッチ操作軸に安定して固定できるラッチ装置およびラッチ装置のドアハンドルを提供する。
【解決手段】ラッチ操作軸330を室内側ドアハンドル100の固定部130に嵌入させ、ねじ孔140にねじ込んだ止めねじSBを締め付ける。止めねじSBが備える先端外周部のテーパ面は、二本の中間部材160を押圧し、中間部材160は、第1当接部(平面SF1)が外周側面に当接し且つ第2当接部(平面SF2)が固定部の内周面に当接して、固定部がラッチ操作軸330に固定される
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの内部において前記ドアの厚み方向に延在され、端部が前記ドアの厚み方向外側へ突出した矩形柱状のラッチ操作軸と、
前記ドアの厚み方向外側に設けられ、前記ドア側へ開放された筒状に形成され且つ前記ラッチ操作軸の端部が挿入された固定部を有するドアハンドルと、
前記ラッチ操作軸における端部の外周側面に対して直交する方向を軸方向として前記固定部に螺合されるとともに、先端外周部にテーパ面を有する止めねじと、
前記固定部の内部において前記ラッチ操作軸の軸方向に沿って延在され、前記テーパ面と前記外周側面と前記固定部の内周面との間に配置され、前記外周側面に当接可能に構成された平面状の第1当接部と前記固定部の内周面に当接可能に構成された平面状の第2当接部とを有する中間部材と、
を備え、
前記テーパ面によって前記中間部材が押圧されることで、前記第1当接部が前記外周側面に当接し且つ前記第2当接部が前記固定部の内周面に当接して、前記固定部が前記ラッチ操作軸に固定されるラッチ装置。
【請求項2】
前記中間部材は、さらに前記テーパ面に当接可能に構成された平面状の第3当接部を有することを特徴とする請求項1に記載のラッチ装置。
【請求項3】
前記中間部材は、断面が正八角形である、ことを特徴とする請求項2に記載のラッチ装置。
【請求項4】
ドアの内部において前記ドアの厚み方向に延在され、端部が前記ドアの厚み方向外側へ突出した矩形柱状のラッチ操作軸と、前記ドアの厚み方向外側に設けられ、前記ドア側へ開放された筒状に形成され且つ前記ラッチ操作軸の端部が挿入された固定部を有するドアハンドルと、前記ラッチ操作軸における端部の外周側面に対して直交する方向を軸方向として前記固定部に螺合されるとともに、先端外周部にテーパ面を有する止めねじと、前記固定部の内部において前記ラッチ操作軸の軸方向に沿って延在され、前記テーパ面と前記外周側面と前記固定部の内周面との間に配置され、前記外周側面に当接可能に構成された平面状の第1当接部と前記固定部の内周面に当接可能に構成された平面状の第2当接部とを有する中間部材と、
を備え、前記テーパ面によって前記中間部材が押圧されることで、前記第1当接部が前記外周側面に当接し且つ前記第2当接部が前記固定部の内周面に当接して、前記固定部が前記ラッチ操作軸に固定されていることを特徴とするラッチ装置を備えるドアハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ装置およびそのドアハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドアを閉めた際に、ドアのフレーム部にドアを固定するためのラッチ装置は、ドアの端面に出没自在に配置されるラッチボルトを、バネ等によりドアの端面から突出させ、ドアのフレーム部に設けられている凹部にラッチボルトを嵌合させることにより、ドアをラッチし閉じた状態に保つ。
また、ラッチ装置は、ラッチ操作軸に取り付けたドアハンドル(把持部)を回転させてラッチボルトを後退させることにより、ドアを開くことができる状態にする。
ドアハンドルは、レバーハンドルやドアノブの形態のもので、室内側に配置されるドアハンドルは、ラッチ操作軸に止めねじ等により固定されている。
【0003】
ドアハンドルをラッチ操作軸に固定させる際に、ドアハンドルとラッチ操作軸との間に微小な隙間が発生している場合には、ドアハンドルを持ってドアの開閉を行うことによりドアハンドルに応力が繰り返し掛かり、止めねじが緩む場合がある。
そのため、ドアハンドルとラッチ操作軸との間の微小な隙間を軽減させるために、より大きな押圧力でドアハンドルとラッチ操作軸とを固定させる必要がある。
この種の対応手法として、ラッチ操作軸と止めねじの先端部との間に二本の棒状部材を介在させ、大きな締付トルクで締め付けることなく、止めねじを緩みにくく締め付けることができるラッチ装置のハンドル取り付け構造を有する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5988096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、ラッチ操作軸の角部を45度に傾斜した平坦面となるように切り欠き、この部分に二本の棒状部材を配置したもので、止めねじの先端部でラッチ操作軸を直接押圧するものと比較して、より小さな締付トルクで大きな押圧力を生じさせることが可能となる技術である。
しかしながら、上記技術においては、二本の棒状部材とドアハンドルおよびラッチ操作軸との接触部が線状であることにより、ドアハンドルから応力が加わった場合に二本の棒状部材にかかる押圧力が不安定になり、また、ドアハンドルが他の部材に対し、変形しやすい材質であることが多いため、ドアハンドルが変形し、止めねじがゆるむ虞がある。これにより、ラッチ操作軸の固定が不安定になる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ドアハンドルをラッチ操作軸に安定して固定できるラッチ装置およびラッチ装置のドアハンドルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、ドアの内部において前記ドアの厚み方向に延在され、端部が前記ドアの厚み方向外側へ突出した矩形柱状のラッチ操作軸と、前記ドアの厚み方向外側に設けられ、前記ドア側へ開放された筒状に形成され且つ前記ラッチ操作軸の端部が挿入された固定部を有するドアハンドルと、前記ラッチ操作軸における端部の外周側面に対して直交する方向を軸方向として前記固定部に螺合されるとともに、先端外周部にテーパ面を有する止めねじと、前記固定部の内部において前記ラッチ操作軸の軸方向に沿って延在され、前記テーパ面と前記外周側面と前記固定部の内周面との間に配置され、前記外周側面に当接可能に構成された平面状の第1当接部と前記固定部の内周面に当接可能に構成された平面状の第2当接部とを有する中間部材と、を備え、前記テーパ面によって前記中間部材が押圧されることで、前記第1当接部が前記外周側面に当接し且つ前記第2当接部が前記固定部の内周面に当接して、前記固定部が前記ラッチ操作軸に固定されるラッチ装置を提案している。
【0008】
また、本発明の1またはそれ以上の実施形態は、ドアの内部において前記ドアの厚み方向に延在され、端部が前記ドアの厚み方向外側へ突出した矩形柱状のラッチ操作軸と、前記ドアの厚み方向外側に設けられ、前記ドア側へ開放された筒状に形成され且つ前記ラッチ操作軸の端部が挿入された固定部を有するドアハンドルと、前記ラッチ操作軸における端部の外周側面に対して直交する方向を軸方向として前記固定部に螺合されるとともに、先端外周部にテーパ面を有する止めねじと、前記固定部の内部において前記ラッチ操作軸の軸方向に沿って延在され、前記テーパ面と前記外周側面と前記固定部の内周面との間に配置され、前記外周側面に当接可能に構成された平面状の第1当接部と前記固定部の内周面に当接可能に構成された平面状の第2当接部とを有する中間部材と、を備え、前記テーパ面によって前記中間部材が押圧されることで、前記第1当接部が前記外周側面に当接し且つ前記第2当接部が前記固定部の内周面に当接して、前記固定部が前記ラッチ操作軸に固定されているラッチ装置を備えるドアハンドルを提案している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、ラッチ操作軸に安定して固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るラッチ装置のドアに内蔵した状態における構成を示す平面図である。
図2図1に示されるラッチ装置の室内側ドアハンドルの三面図である。
図3図1の室内側ドアハンドルとラッチ操作軸との連結状態を示す断面図(図2のA-A線位置の断面図)である。
図4図3に示されるラッチ装置の中間部材の三面図である。
図5図2の室内側ドアハンドルの基部を破断した状態で示す斜視図である。
図6図1の室内側ドアハンドルとラッチ操作軸との連結状態を示す断面図(図2のB-B線位置の断面図)である。
図7図4に示される中間部材の変形例1を示す三面図である。
図8図4に示される中間部材の変形例2を示す三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図1から図8を用いて、本実施形態に係るラッチ装置10について説明する。
なお、図面に適宜示される矢印FRは、図2に示すラッチ装置10に含まれる室内側ドアハンドル100の正面視で前方を示し、矢印UPは正面視で上方を示し、矢印RHは正面視で右方を示している。また、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、正面視での上下方向、正面視での前後方向、正面視での左右方向を示すものとする。
【0012】
<ラッチ装置10の構成>
ラッチ装置10は、図1に示すように、ドアハンドルとしての室内側ドアハンドル100と、室外側ドアハンドル200と、ラッチ機構部300と、を含んで構成されている。ラッチ装置10は、ドア1が閉じた状態では、ラッチ機構部300からラッチボルト320を突出した状態に保ち、ドア1の端面に対向したドアのフレーム部に設けられた凹部にラッチボルト320を嵌合させる。また、室内側ドアハンドル100および室外側ドアハンドル200が回転することにより、ラッチ操作軸330が回転動作した場合には、ラッチ装置10は、ラッチボルト320を後退させ、ドアのフレーム部に設けられた凹部からラッチボルト320を外す。そして、ラッチ装置10は、ドア1を開くことができる状態にする。
【0013】
室内側ドアハンドル100は、金属、樹脂、木材等の部材で形成された、ドア1を開閉する際に操作する把手である。室内側ドアハンドル100は、ドア1から室内側の空間(以下、「室内空間IS」と呼ぶ)に延出するラッチ操作軸330の端部に着脱自在な構成を有し、ねじ止め等によりラッチ操作軸330に固定される。室内側ドアハンドル100の構成詳細については、後述する。
【0014】
室外側ドアハンドル200は、金属、樹脂、木材等の部材で形成された、ドア1を開閉する際に操作する把手である。室外側ドアハンドル200は、ドア1から室外側の空間(以下、「室外空間OS」と呼ぶ)に延出するラッチ操作軸330の端部に固定的に取り付けられる。
【0015】
ラッチ機構部300は、図1に示すように、本体部310と、ラッチボルト320と、ラッチ操作軸330と、を含んで構成されている。ラッチ機構部300は、ドア1の内側に埋設されている。ラッチ機構部300は、ドア1の端面側から突出するラッチボルト320によりドア1をラッチさせ、ドア1を閉じた状態に保つ。また、ラッチ機構部300は、室内側ドアハンドル100および室外側ドアハンドル200が操作され、ラッチ操作軸330が回転動作されることにより、ラッチボルト320を後退させてドア1のラッチを解除し、ドア1を開くことができる状態にする。
【0016】
本体部310は、ラッチ機構(図示せず)を内蔵している。そして、室内側ドアハンドル100あるいは室外側ドアハンドル200が操作され、ラッチ操作軸330が回転動作することにより、ラッチ機構によって、ラッチボルト320を後退させて、ドア1のラッチを解除する。
【0017】
ラッチボルト320は、金属、硬質樹脂等の部材により形成された掛け金であり、ドアの端面に出没自在に配置される。ラッチボルト320は、ドア1を閉じた状態では、ラッチ機構部300から突出した状態となり、ドア1の端面側と対向したドアのフレーム部に設けられた凹部と嵌合することにより、ドア1を閉じた状態に保つ。
【0018】
ラッチ操作軸330は、金属材等で構成され、ドア1の厚み方向を軸方向とする矩形柱状に形成されている。具体的には、ラッチ操作軸330の断面が略正方形に形成されている。ラッチ操作軸330の長手方向両端部は、ドア1の厚み方向外側へ突出しており、室内空間IS側に突出した端部には、室内側ドアハンドル100が取り付けられ、室外空間OS側に突出した端部には、室外側ドアハンドル200が取り付けられる。
【0019】
<室内側ドアハンドル100の構成>
図2に示すように、室内側ドアハンドル100は、金属、樹脂、木材等で構成され、平面視で略L字形状に形成されている。具体的には、室内側ドアハンドル100は、前後方向に延在された基部110と、基部110の後端部から右側へ延出されたハンドル部120と、を有している。
【0020】
基部110は、前側へ開放された略有底筒状に形成されている。基部110の外形は、正面視で円形状に形成されている。なお、基部110の前端部の外周部は、径方向内側へ一段下がった段差状に形成されている。また、ハンドル部120は、基部110と一体に成型されており、前後方向を厚み方向とし左右方向に延在された略矩形棒状に形成され、ハンドル部120の先端部が、前側へ屈曲されている。
【0021】
基部110には、固定部130と、ねじ孔140と、収容空間150が設けられている。固定部130は、前側へ開放された凹状に形成されており、前側から見て、略正方形状に形成されている。固定部130には、ラッチ操作軸330の端部が嵌入され、室内側ドアハンドル100とラッチ操作軸330とが一体回転可能に連結される。
【0022】
ねじ孔140は、基部110の側部(左端部)に形成されて、基部110の径方向に貫通している。具体的には、ねじ孔140は、固定部130の左側の面に対して直交する方向に沿って形成されている。ねじ孔140には、雌ねじが形成されており、止めねじSBが、ねじ孔140に螺合される。
【0023】
ここで、止めねじSBは、先端外周部分にテーパ面を有し、ねじ孔140にねじ込まれるねじであり、プラスドライバーが適合するプラス穴(図示せず)を頭部に有しているプラス穴ねじである。止めねじSBのテーパ面は、例えば、止めねじSBを締め付ける際の進行軸に対して45度の角度で傾斜している。
【0024】
収容空間150は、基部110の内部において、前後方向に延在されるとともに、固定部130の左側に隣接して形成されている。具体的には、収容空間150は、ねじ孔140の中心軸を挟んで、正面視で上下線対称となる二か所の位置に形成されている。収容空間150は、後述する中間部材160を収納する空間として構成されている。収容空間150には、例えば、左右方向に対して45度の傾斜面で、前方から後方に向かって、内壁平面151が、ねじ孔140の中心軸を挟んで、正面視で上下線対称となる二か所の位置に形成されている。内壁平面151は、中間部材160が有する平面に対向して形成されている。また、収容空間150は、それぞれ基部110の端面に開口部を有し、固定部130に沿って平行に配列されている。また、収容空間150は、固定部130およびねじ孔140に連絡して開口している。
【0025】
また、基部110には、室内側ドアハンドル100とラッチ機構部300とを固定する押圧機構部Cが設けられている。以下、押圧機構部Cの構成について説明する。
【0026】
<押圧機構部Cの構成>
押圧機構部Cは、図3に示すように、中間部材160と、脱落阻止材170と、前述した止めねじSBと、を含んで構成されている。押圧機構部Cでは、基部110に螺合された止めねじSBが中間部材160を締め付けることで、中間部材160からラッチ操作軸330に押圧力が作用して、当該押圧力によって室内側ドアハンドル100をラッチ操作軸330に固定する。
【0027】
中間部材160は、図4に示すように、金属材等で構成され、前後方向に延在された略丸棒状に形成されている。中間部材160の外周部には、少なくとも、外周側面に当接可能に構成された平面状の第1当接部(以下、平面SF1と記載)と、固定部の内周面に当接可能に構成された平面状の第2当接部(以下、平面SF2と記載)とが形成されている。具体的には、収容空間150の内壁平面151に接する面と、ラッチ操作軸330と接する面と、にそれぞれ平面SF1および平面SF2が形成されている。上記した中間部材160の平面SF1と平面SF2とが成す角度HAは、例えば、45度で形成されている。中間部材160では、一方の平面が正面視で右側に位置し、他方の平面が基部110の径方向の外側に位置させる向きで、基部110の二か所の収容空間150にそれぞれ一本ずつ嵌入される。つまり、中間部材160の平面SF1はラッチ操作軸330に、平面SF2は収容空間150の内壁に、それぞれ接する方向で嵌入される。
【0028】
図5に示すように、中間部材160を収容する収容空間150は、図5の破線で示す連絡孔SPを介して固定部130およびねじ孔140と連絡している。連絡孔SPは、収容空間150から中間部材160を脱落させない大きさおよび形状が確保されている。そして、収容空間150と、固定部130との連絡孔SPにより、中間部材160とラッチ操作軸330とが接触する。また、収容空間150と、ねじ孔140との連絡孔SPにより、中間部材160と止めねじSBのテーパ面とが接触する。二本の中間部材160は、基部110の正面視で前方側の端面に設けられた収容空間150の開口部から個々の収容空間150に挿入され、収容空間150に収容されて保持される。
【0029】
脱落阻止材170は、金属材等で構成され、上下方向に延在された略丸棒状に形成されている。脱落阻止材170は、二か所の収容空間150の開口部に跨って設置される。脱落阻止材170は、二か所の収容空間150の開口部に形成された収納溝に収められ、収納溝と固定部130との間に平板状に突出しているカシメ部180でかしめることにより、固定される。
【0030】
<作用・効果>
上記のように構成されたラッチ装置10は、室内側ドアハンドル100と、室外側ドアハンドル200と、ラッチ機構部300と、を有している。室内側ドアハンドル100の固定部130に、ラッチ機構部300のラッチ操作軸330を嵌入し、ねじ孔140から止めねじSBを締め付けることにより、室内側ドアハンドル100とラッチ機構部300とを固定する。室内側ドアハンドル100とラッチ機構部300とは、室内側ドアハンドル100の基部110に備えられた押圧機構部Cの作用により固定される。
【0031】
図6に示すように、ねじ孔140に止めねじSBを基部110の径方向内側(右側であり、図6の矢印YA方向側)へねじ込むことにより、止めねじSBのテーパ面が、収容空間150とねじ孔140との連絡孔SPを介して接触している二本の中間部材160を押圧する(図6の矢印B参照)。これにより、中間部材160が、互いに離れる方向(正面視で上下方向であり、止めねじSBの径方向外側)に移動し、収容空間150の内壁を押圧する。
【0032】
ここで、図6の太実線で示すように、ラッチ操作軸330の押圧面と収容空間150の内壁とが成す角度ALは、例えば、45度となるように形成されている。また、中間部材160には、ラッチ操作軸330と接する面と、収容空間150の内壁に接する面と、に平面SF1および平面SF2が形成されている。また、中間部材160に設けられた平面SF1と平面SF2とが成す角度HAは、例えば、45度で形成されている。そのため、中間部材160は、ラッチ操作軸330と平面SF1とが密接し、収容空間150の内壁と平面SF2とが密接することができる。すなわち、中間部材160とラッチ操作軸330および収容空間150の内壁とが、面で当接する。
【0033】
また、止めねじSBのテーパ面は、止めねじSBを締め付ける際の進行軸に対して、45度の角度で傾斜しており、止めねじSBの進行軸はラッチ操作軸330の押圧面に対して直角をなすため、収容空間150の内壁と止めねじSBのテーパ面との間のなす角度も直角となる。そのため、中間部材160には、止めねじSBのテーパ面に押されることによる押圧力(図6の矢印YB参照)と収容空間150の内壁に押されることによる反力(図6の矢印YC参照)とが作用し、ラッチ操作軸330の接触面と中間部材160の平面とが密接し、収容空間150の内壁との接触面と中間部材160の平面とが密接する。
【0034】
そして、中間部材160は、ラッチ操作軸330を正面視で右側へ(図6の矢印YD参照)押圧することにより、ラッチ操作軸330の正面視で右側の平面と、固定部130の正面視で右側の壁面とが密接する。そして、ラッチ操作軸330が、固定部130の壁面を右側へ(図6の矢印YE参照)押圧することにより、ラッチ操作軸330と基部110とが固定される。つまり、中間部材160に設けられた平面は、広い面積でラッチ操作軸330と室内側ドアハンドル100とを強く押圧することにより、ラッチ操作軸330と基部110との間の微小な隙間を軽減させることができる。また、中間部材160に設けられた平面は、収容空間150の内壁に押されることによる反力を、中間部材160の平面を介してラッチ操作軸330に伝達することにより、安定した強い押圧力でラッチ操作軸330と基部110とを固定することができる。そのため、室内側ドアハンドル100から応力が加わった場合でも室内側ドアハンドル100をラッチ操作軸330に安定して固定することができる。換言すると、中間部材160が、ラッチ操作軸330および収容空間150の内壁と、が面で当接するため、仮に、中間部材160が、ラッチ操作軸330および収容空間150の内壁と、が点で当接する場合と比べて、中間部材160とラッチ操作軸330との間で生じる摩擦力および中間部材160と収容空間150の内壁との間で生じる摩擦力を大きくすることができる。そのため、止めねじSBを緩みにくくして、室内側ドアハンドル100をラッチ操作軸330に安定して固定できる。
【0035】
<変形例1>
中間部材160は、図7に示すように、さらに止めねじSBのテーパ面に当接可能に構成された平面状の第3当接部(以下、平面SF3と記載)を有する中間部材160Aであってもよい。また、中間部材160Aの平面SF2と平面SF3とが成す角度HA2は、平面SF1と平面SF2とが成す角度HAと同値であり、例えば、45度で形成されている。このとき、止めねじSBのテーパ面と、中間部材160Aの平面SF3とは、線状に接触することにより、止めねじSBのテーパ面は、止めねじSBの押圧力を安定して中間部材160Aの平面SF3に伝えることができる。つまり、中間部材160Aが、止めねじSBの押圧力を平面SF3に線状に伝えることにより、仮に、止めねじSBのテーパ面と、中間部材160Aと、が点で当接する場合と比べて、中間部材160Aに伝わる押圧力をラッチ操作軸330に向けて、正面視で右側の方向へ安定して伝えることができる。そのため、室内側ドアハンドル100をラッチ操作軸330に安定して固定することができる。
【0036】
<変形例2>
中間部材160は、図8に示すように、断面が略正八角形の中間部材160Bであってもよい。このとき、止めねじSBのテーパ面と、中間部材160Bの平面SF3とは、線状に接触することにより、止めねじSBの押圧力を中間部材160Bの平面SF3に安定して伝えることができる。また、中間部材160Bの平面間が成す角度HAは、断面が略正八角形であることにより、全ての平面において、ラッチ操作軸330の押圧面と、収容空間150の内壁平面151の押圧面と、に密接させる平面の角度HAが45度で形成されている。つまり、中間部材160Bの平面は、ラッチ操作軸330の押圧面と収容空間150の内壁の押圧面とに密接させる場合には、中間部材160Bのどの平面を用いても角度HAは45度とすることができる。そして、二つの中間部材160Bを収容空間150への挿入する際に、挿入方向を意識する必要が無くなるため、組立ミスを無くすことができる。そのため、室内側ドアハンドル100から応力が加わった場合でも室内側ドアハンドル100をラッチ操作軸330に安定して固定することができ、止めねじSBを緩みにくく締め付けることができるとともに、高品質なラッチ装置10を提供することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、ハンドル部120を有する室内側ドアハンドル100および室外側ドアハンドル200を用いたが、ドアノブを用いてもよい。
【0038】
また、室内側ドアハンドル100および室外側ドアハンドル200は、基部110とハンドル部120とは別体であり、基部110とハンドル部120を連結固定した形態としてもよい。
【0039】
また、室内側ドアハンドル100および室外側ドアハンドル200は、その外表面の全部または一部に、手に馴染みやすい材料、例えば、ゴム、樹脂、天然木等の自然素材を付加するようにしてもよい。
【0040】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1;ドア
10;ラッチ装置
100;室内側ドアハンドル(ドアハンドル)
110;基部
120;ハンドル部
130;固定部
140;ねじ孔
150;収納空間
160;中間部材
200;室外側ドアハンドル
300;ラッチ機構部
310;本体部
320;ラッチボルト
330;ラッチ操作軸
OS;室外側
IS;室内側
SB;止めねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8