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特開2023-150770アキシャルギャップ型モータおよび空気調和機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150770
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】アキシャルギャップ型モータおよび空気調和機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20231005BHJP
   H02K 3/52 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02K3/46 C
H02K3/52 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060032
(22)【出願日】2022-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】小端 哲平
(72)【発明者】
【氏名】石丸 純
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB13
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC20
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】高出力化と高効率化ができるアキシャルギャップ型モータおよびそのアキシャルギャップ型モータを提案する。
【解決手段】ステータは、ステータコア(110)と、ステータコア(110)に巻回されたコイル(120)と、ステータコア(110)とコイル(120)との間を絶縁するインシュレータ(130)とを有し、ステータ(30)の径方向外側からステータコア(110)間を通ってステータコア(110)の内周端よりも径方向内側に配線された電源線(Lw)が、コイル(120)から引き出された引出線(121)とステータコア(110)の径方向内側で電気的に接続されており、互いに隣接するインシュレータ(130)の対向する部分であって、当該インシュレータ(130)のステータ(30)の軸方向の一方かつ径方向内側の部分に、電源線(Lw)を保持する保持部(131a)が設けられている。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(10,20)と、
上記ロータ(10,20)の軸方向にエアギャップ(G1,G2)を介して上記ロータ(10,20)と対向するステータ(30)とを備え、
上記ステータ(30)は、ステータコア(110)と、上記ステータコア(110)に巻回されたコイル(120)と、上記ステータコア(110)と上記コイル(120)との間を絶縁するインシュレータ(130)とを有し、
上記ステータ(30)の径方向外側から上記ステータコア(110)間を通って上記ステータコア(110)の内周端よりも径方向内側に配線された電源線(Lu,Lv,Lw)が、上記コイル(120)から引き出された引出線(121)と上記ステータコア(110)の径方向内側で電気的に接続されており、
互いに隣接する上記インシュレータ(130)の対向する部分であって、当該インシュレータ(130)の上記ステータ(30)の軸方向の一方かつ径方向内側の部分に、上記電源線(Lu,Lv,Lw)を保持する保持部(131a)が設けられている、アキシャルギャップ型モータ(M)。
【請求項2】
請求項1に記載のアキシャルギャップ型モータ(M)において、
上記コイル(120)から引き出された上記引出線(121)間を電気的に接続する接続線(Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1,Luc2,Lvc2,Lwc2,Lnc2)が配線された結線板(200)を備える、アキシャルギャップ型モータ(M)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアキシャルギャップ型モータ(M)と、
上記アキシャルギャップ型モータ(M)により駆動されるファン(506)と
を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アキシャルギャップ型モータおよび空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アキシャルギャップ型モータとしては、コイルや電源線をプリント基板または電気接続端子により接続するものがある(例えば、特開2013-118750号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-118750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記アキシャルギャップ型モータでは、電源線が接続される入力側端部をステータの径方向外側に設けるため、ステータコアの外径が制限されて、モータ磁気特性が悪化するという問題がある。このようなアキシャルギャップ型モータでは、ステータコアの外径の制限によって高出力化や高効率化が妨げられる。
【0005】
本開示では、高出力化と高効率化ができるアキシャルギャップ型モータおよびそのアキシャルギャップ型モータを備えた空気調和機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のアキシャルギャップ型モータは、
ロータと、
上記ロータの軸方向にエアギャップを介して上記ロータと対向するステータとを備え、
上記ステータは、ステータコアと、上記ステータコアに巻回されたコイルと、上記ステータコアと上記コイルとの間を絶縁するインシュレータとを有し、
上記ステータの径方向外側から上記ステータコア間を通って上記ステータコアの内周端よりも径方向内側に配線された電源線が、上記コイルから引き出された引出線と上記ステータコアの径方向内側で電気的に接続されており、
互いに隣接する上記インシュレータの対向する部分であって、当該インシュレータの上記ステータの軸方向の一方かつ径方向内側の部分に、上記電源線を保持する保持部が設けられている。
【0007】
本開示によれば、コイルからの引出線をステータコアの径方向外側で電源線に電気的に接続する場合よりもロータの磁石外径を大きくできるので、高出力化と高効率化ができる。
【0008】
また、本開示の1つの態様に係るアキシャルギャップ型モータでは、
上記コイルから引き出された上記引出線間を電気的に接続する接続線が配線された結線板を備える。
【0009】
本開示によれば、接続線が配線された結線板を予め製作することでコイル間の接続などの配線作業が容易にできる。
【0010】
また、本開示の空気調和機は、
上記のいずれかに記載のアキシャルギャップ型モータと、
上記アキシャルギャップ型モータにより駆動されるファンと
を備える。
【0011】
本開示によれば、高出力化と高効率化ができるアキシャルギャップ型モータによりファンを駆動することによって、送風性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1実施形態のアキシャルギャップ型モータの全体斜視図である。
図2】第1実施形態のアキシャルギャップ型モータの分解斜視図である。
図3】第1実施形態のアキシャルギャップ型モータの側面図である。
図4図3のIV-IV線から見た断面図である。
図5】第1実施形態のステータの樹脂モールド部のない状態を示す斜視図である。
図6】第1実施形態のステータの樹脂モールド部のない状態の分解斜視図である。
図7】第1実施形態のステータの結線板と電源線とを示す斜視図である。
図8】第1実施形態の結線板と電源線の分解斜視図である。
図9】第1実施形態の結線板と一対の分割コアの組み立て前の状態を示す斜視図である。
図10】第1実施形態の結線板と一対の分割コアとを組み立てた状態を示す斜視図である。
図11】第1実施形態の結線板と電源線との接続を示す平面図である。
図12】第1実施形態の一対の分割コアの平面図である。
図13】第1実施形態の一対の分割コアに電源線を配線した状態を示す平面図である。
図14】一対の分割コアの要部の拡大斜視図である。
図15】第1実施形態の一対の分割コアの径方向内側から見た側面図である。
図16図15のXVI-XVI線から見た断面図である。
図17】第1実施形態の結線板の平面図である。
図18】本開示の第2実施形態のアキシャルギャップ型モータの結線板の平面図である。
図19】本開示の第3実施形態のアキシャルギャップ型モータを用いた空気調和機の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を説明する。なお、図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態のアキシャルギャップ型モータMの全体斜視図であり、図2は、アキシャルギャップ型モータMの分解斜視図であり、図3は、アキシャルギャップ型モータMの側面図である。
【0015】
この実施形態のアキシャルギャップ型モータMは、図1図3に示すように、円板状の第1,第2ロータ10,20と、第1,第2ロータ10,20に軸方向両方から挟まれたステータ30と、ステータ30に回転可能に支持されたシャフト40とを有する。このアキシャルギャップ型モータMは、10極12スロットのモータである。
【0016】
第1ロータ10は、円板状の磁石部材11と、円板状の磁石部材11の中央部分に設けられた固定部12を有する。固定部12の内周にシャフト40が固定される。
【0017】
円板状の磁石部材11は、極異方配向のプラスチックマグネットであり、環状の外周部11aと、外周部11aの内周に形成され、シャフト40の軸方向外側(図1図3では上方)に膨らむ内周部11bとからなる。外周部11aでは、周方向にS極とN極が交互に配置されている。
【0018】
また、第2ロータ20は、円板状の磁石部材21と、円板状の磁石部材21の中央部分に設けられた固定部22を有する。固定部22の内周にシャフト40が固定される。
【0019】
円板状の磁石部材21は、極異方配向のプラスチックマグネットであり、環状の外周部21aと、外周部21aの内周に形成され、シャフト40の軸方向外側(図1図3では下方)に膨らむ内周部21bとからなる。外周部21aでは、周方向にS極とN極が交互に配置されている。
【0020】
図4は、図3のIV-IV線から見た断面図であり、図5は、ステータ30の樹脂モールド部31のない状態を示す斜視図であり、図6は、ステータ30の樹脂モールド部31のない状態の分解斜視図である。図5,図6において、400は、電源線Lu,Lv,Lwを外部に引き出すブッシングである。
【0021】
ステータ30は、図4,図5,図6に示すように、環状に配置された12個の分割コア100と、分割コア100が固定された結線板200と、結線板200の中央に固定された軸受保持部300と、軸受保持部300内の第1ロータ10側に配置された第1軸受301と、軸受保持部300内の第2ロータ20側に配置された第2軸受302と、分割コア100と結線板200と軸受保持部300とが樹脂モールドされて形成された円板形状の樹脂モールド部31とを有する。
【0022】
分割コア100は、ステータコア110と、ステータコア110に巻回されたコイル120と、ステータコア110とコイル120とを絶縁するインシュレータ130とを有する。
【0023】
ステータコア110は、第1ロータ10の軸方向にエアギャップG1を介して第1ロータ10と対向すると共に、第2ロータ20の軸方向にエアギャップG2を介して第2ロータ20と対向する。エアギャップG1,G2は、例えば0.5mm~1mmである。
【0024】
図7は、ステータ30の結線板200と電源線Lu,Lv,Lwとを示す斜視図であり、図8は、結線板200と電源線Lu,Lv,Lwの分解斜視図である。
【0025】
結線板200は、図7,図8に示すように、中央に穴201aを有する環状の円板部201と、円板部201の穴201aの内周に軸方向の一方に延びる円筒部202とを有する。環状の円板部201には、第1端子Tc1が夫々圧入される12個の圧入部203が周方向に間隔をあけて設けられている。第1端子Tc1は、電気接続端子の一例である。第1端子Tc1については、特に限定はしないが、この実施形態では、第1端子Tc1にマグメイト端子を用いている。
【0026】
各圧入部203には、U相、W相、V相の電圧が印加されるコイル120を有する分割コア100が固定される。固定方法については、図9,図10に示す。
【0027】
電源線Luは、分割コア100(図11の磁極部U1)が固定される圧入部203に第2端子Tc2を介して接続されている。電源線Lvは、分割コア100(図11の磁極部V2)が固定される圧入部203に第2端子Tc2を介して接続されている。電源線Lwは、分割コア100(図11の磁極部W1)が固定される圧入部203に第2端子Tc2を介して接続されている。第2端子Tc2については、特に限定はしないが、この実施形態では、マグメイト端子に接続可能なタブ端子を用いている。
【0028】
第1端子Tc1は、導電性を有する金属からなるメス端子である。第2端子Tc2は、導電性を有する金属からなり、メス端子である第1端子Tc1に対応するオス端子である。第1端子Tc1の受部に、第2端子Tc2が嵌合することで、第1端子Tc1と第2端子Tc2とが電気的に接続される。
【0029】
第1端子Tc1は、結線板200に設けられた圧入部203に圧入されている。また、第1端子Tc1は、コイル120から引き出された引出線121(図9に示す)と電気的に接続するための結線溝(図示せず)と、第2端子Tc2と接続可能な受部(図示せず)とを有する。
【0030】
コイル120からの引出線121が跨がっている圧入部203において、第1端子Tc1が圧入部203に圧入された状態で、第1端子Tc1の結線溝にコイル120からの引出線121が嵌まることで、第1端子Tc1とコイル120とが電気的に接続される。
【0031】
同時に、予め結線板200に配線された接続線Luc1,Lvc1,Lwc1が跨がっている圧入部203において、第1端子Tc1が圧入された状態で、第1端子Tc1の結線溝に接続線Luc1,Lvc1,Lwc1が嵌まることで、接続線Luc1,Lvc1,Lwc1とコイル120とが電気的に接続される。
【0032】
図9は、結線板200と一対の分割コア100の組み立て前の状態を示す斜視図である。図9では、結線板200と、隣接する分割コア100(磁極部U3)と分割コア100(磁極部U4)とを示している。
【0033】
図9に示すように、一対の分割コア100(磁極部U3,U4)のコイル120は渡り線122を介して直列に接続されている。
【0034】
分割コア100のステータコア110は、大きさの異なるH形状の第1コア部101と、第2コア部102と、第3コア部103とを有する。第1コア部101よりも第2コア部102の周方向の幅が大きく、第2コア部102よりも第3コア部103の周方向の幅が大きい。
【0035】
結線板200側から径方向外側に向かって第1コア部101,第2コア部102,第3コア部103の順に配列されている。第1コア部101,第2コア部102および第3コア部103は、H形状の鋼板を径方向に積層することにより形成されている。
【0036】
インシュレータ130は、コイル120が巻回された筒部(図示せず)と、筒部の両端に設けられ、コイル120を軸方向両側から挟む第1フランジ部131,第2フランジ部132を有する。
【0037】
図9の上側の第1フランジ部131の結線板200側に、渡り線122をかけるフック部133が設けられている。また、図9の下側の第2フランジ部132の結線板200側に、ステータコア110の径方向内側に向かって延びる突出部分134が設けられている。突出部分134には、正方形状の切り欠き135と、丸穴136とが設けられている。切り欠き135は、位置決め部の一例である。
【0038】
なお、位置決め部は、切り欠き135に限らず、他の形態で結線板側と嵌め合わせできるものであればよい。
【0039】
また、図9において、211,212,213は、結線板200の円筒部202の外周面に設けられ、接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1(図17参照)を位置決めする凸部である。なお、図9において、211,212,213の参照番号が付けられていない円筒部202の凸部も、接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1を位置決めする凸部に含まれる。
【0040】
図10は、結線板200と一対の分割コア100とを組み立てた状態を示す斜視図である。図10に示すように、インシュレータ130の切り欠き135と結線板200の圧入部203とが嵌まり合って、結線板200に対してステータコア110とコイル120とを有する分割コア100が位置決めされる。
【0041】
このとき、結線板200に設けられた円柱形状の凸部204が、インシュレータ130の丸穴136に挿入されて、結線板200に対する分割コア100の位置決めを補助する。
【0042】
図11は、結線板200と電源線Lu,Lv,Lwとの接続を示す平面図である。図11に示すように、分割コア100のステータコア110とそのステータコア110に巻回されたコイル120とで、磁極部U1,U2,U3,U4、磁極部W1,W2,W3,W4、磁極部V1,V2,V3,V4が夫々形成されている。
【0043】
磁極部U1,U2,U3,U4のコイル120にU相電圧を供給する電源線Luは、磁極部U1,U2間を通って、磁極部U1のコイル120から引き出された引出線121と電気的に接続されている。磁極部V1,V2,V3,V4のコイル120にV相電圧を供給する電源線Lvは、磁極部V1,V2間を通って、磁極部V2のコイル120から引き出された引出線121と電気的に接続されている。磁極部W1,W2,W3,W4のコイル120にW相電圧を供給する電源線Lwは、磁極部W1,W2間を通って、磁極部W1のコイル120から引き出された引出線121と電気的に接続されている、
【0044】
この実施形態では、磁極部U1のコイル120から引き出された引出線121が、ステータコア110の内周端よりもステータコア110の径方向内側で電源線Luに電気的に接続されている。また、磁極部V2のコイル120から引き出された引出線121が、ステータコア110の内周端よりもステータコア110の径方向内側で電源線Lvに電気的に接続されている。また、磁極部W2のコイル120から引き出された引出線121が、ステータコア110の内周端よりもステータコア110の径方向内側で電源線Lwに電気的に接続されている。
【0045】
U相の同一電圧がコイル120に印加される磁極部U1,U2,U3,U4において、互いに隣接する2つの磁極部U1,U2のコイル120の一端同士が接続された磁極部対と、磁極部U3,U4のコイル120の一端同士が接続された磁極部対とは、ステータ30の中心O1に対して点対称に配置されている。
【0046】
V相の同一電圧がコイル120に印加される磁極部V1,V2,V3,V4において、互いに隣接する2つの磁極部V1,V2のコイル120の一端同士が接続された磁極部対と、磁極部V3,V4のコイル120の一端同士が接続された磁極部対とは、ステータ30の中心O1に対して点対称に配置されている。
【0047】
W相の同一電圧がコイル120に印加される磁極部W1,W2,W3,W4において、互いに隣接する2つの磁極部W1,W2のコイル120の一端同士が接続された磁極部対と、磁極部W3,W4のコイル120の一端同士が接続された磁極部対とは、ステータ30の中心O1に対して点対称に配置されている。
【0048】
図12は、一対の分割コア100の平面図であり、図12に示すように、互いに隣接する分割コア100間には隙間Sが設けられている。
【0049】
図13は、一対の分割コア100に電源線Lwを配線した状態を示す平面図である。図13に示すように、電源線Lwは、径方向外側から分割コア100(磁極部W1)と分割コア100(磁極部W2)との間の隙間Sを通って径方向内側に向かって配線されている。電源線Lwは、インシュレータ130の第1フランジ部131の端面と平行な平面と、ステータコア110の第1ロータ10に対向する面に平行な平面との間を通る。
【0050】
なお、電源線Luおよび電源線Lvも同様に、別の分割コア100間の隙間Sを通って配線される。
【0051】
図14は、一対の分割コア100の要部の拡大斜視図である。インシュレータ130の第1フランジ部131には、隣接する分割コア100のインシュレータ130の第1フランジ部131に対向する部分かつ径方向内側に、段部131aを設けている。このインシュレータ130の第1フランジ部131の段部131aによって、電源線Lu,Lv,Lwを通しやすくなっている。段部131aには、電源線Lu,Lv,Lwを保持する保持部の一例である。
【0052】
図14において、138は、引出線121の端部を保持する保持部である。コイル120からの引出線121の端部を保持部138に巻き付かせる。
【0053】
図15は、一対の分割コア100の径方向内側から見た側面図を示し、図16は、図15のXVI-XVI線から見た断面図を示している。
【0054】
図15,図16に示すように、点線で囲まれた領域A(図16に示す)においてコイル120間が最も狭くなっている。この領域Aでは、図14に示すインシュレータ130の第1フランジ部131の段部131aを利用して、コイル120間の狭い領域を迂回している。すなわち、電源線Lu,Lv,Lwは、ステータ30の径方向外側からコイル120間を通り、領域Aの部分では、コイルエンドの外側(コイル120間の外側)の段部131aを通るように電源線Lu,Lv,Lwを引き回す。
【0055】
この第1実施形態では、各相のコイル120間を直列接続している。直列接続とは、同一相の電圧が印加されるコイルの全てが直列に接続されている構成をいう。
【0056】
<結線板(直列接続)>
図17は、結線板200の平面図であり、図17の上側に直列接続の結線図を示している。図17において、U1~U4,V1~V4,W1~W4は、磁極部U1~U4,V1~V4,W1~W4に対応する分割コア100が配置される箇所を示している。図17では、磁極部U1を基準にして、反時計回りにU1,U2,V1,V2,W1,W2,U3,U4,V3,V4,W3,W4の順に、磁極部U1~U4,V1~V4,W1~W4に対応する分割コア100(図6に示す)が配置されている。
【0057】
図17において、Luc1は、磁極部U2の引出線121と磁極部U4の引出線121とを電気的に接続する接続線である。また、Lvc1は、磁極部V1のコイル120の引出線121と磁極部V3のコイル120の引出線121とを電気的に接続する接続線である。また、Lwc1は、磁極部W2の引出線121と磁極部W4の引出線121とを電気的に接続する接続線である。また、Lnc1は、磁極部U3の引出線121と磁極部V4の引出線121と磁極部W3の引出線121とを電気的に接続する接続線である。
【0058】
結線板200の円筒部202の外周面に、接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1を位置決めする凸部211,212,213が設けられている。
【0059】
上記構成のアキシャルギャップ型モータMによれば、ステータ30の径方向外側からステータコア110間を通ってステータコア110の内周端よりも径方向内側に配線された電源線Lu,Lv,Lwが、コイル120から引き出された引出線121とステータコア110の径方向内側で電気的に接続され、互いに隣接するインシュレータ130の対向する部分であって、インシュレータ130のステータ30の軸方向の一方かつ径方向内側の部分に設けられた段部131a(保持部)により電源線Lu,Lv,Lwを保持する。これによって、コイル120からの引出線121をステータコア110の径方向外側で電源線Lu,Lv,Lwに電気的に接続する場合よりも第1,第2ロータ10,20の磁石外径を大きくできるので、高出力化と高効率化ができる。
【0060】
また、コイル120の引出線121間を電気的に接続する接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1が結線板200に配線されるので、接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1が配線された結線板200を予め製作することでコイル120間の接続などの配線作業が容易にできる。
【0061】
また、結線板200の圧入部203に第1端子Tc1(電気接続端子)を圧入することより、コイル120の引出線121と接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1とを容易に電気的に接続できる。
【0062】
130
また、インシュレータ130の突出部分134に設けられた切り欠き135(位置決め部)と結線板200の圧入部203とが嵌まり合って、結線板200に対してステータコア110とコイル120とが位置決めされるので、ステータコア110とコイル120との組み立て作業が容易にできる。
【0063】
また、第1,第2ロータ10,20の軸方向に向かって延びる円筒部202を結線板200の中央部分に設けることによって、結線板200における接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1の引き回し作業が案内できる。
【0064】
また、結線板200の円筒部202の外周面に設けられた凸部211,212,213によって、接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1を位置決めするので、結線板200における接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1の配線作業時の案内と保持が容易にでき、作業性が向上する。
【0065】
また、結線板200の外周部分に設けられた保持部205によって、接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1の端部を保持するので、結線板200における接続線Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1の位置決めが確実にできる。
【0066】
〔第2実施形態〕
図18は、本開示の第2実施形態のアキシャルギャップ型モータMの結線板200の平面図である。
【0067】
上記第1実施形態では、各相のコイル120間を直列接続したが、この第2実施形態のアキシャルギャップ型モータMでは、図18に示すように、並列接続の結線板200としている。並列接続とは、同一相の電圧が印加されるコイルの少なくとも2つが並列に接続されている構成をいう。図18の上側に並列接続の結線図を示している。
【0068】
<結線板(並列接続)>
図18において、U1~U4,V1~V4,W1~W4は、磁極部U1~U4,V1~V4,W1~W4の分割コア100が配置される箇所を示している。図18では、磁極部U1を基準にして、反時計回りにU1,U2,V1,V2,W1,W2,U3,U4,V3,V4,W3,W4の順に、磁極部U1~U4,V1~V4,W1~W4に対応する分割コア100(図6に示す)が配置されている。
【0069】
図18において、Luc2は、磁極部U1の引出線121と磁極部U4の引出線121とを電気的に接続する接続線である。Lvc2は、磁極部V2のコイル120の引出線121と磁極部V3のコイル120の引出線121とを電気的に接続する接続線である。Lwc2は、磁極部W1の引出線121と磁極部W4の引出線121とを電気的に接続する接続線である。Lnc1は、磁極部U3の引出線121と磁極部V4の引出線121と磁極部W3の引出線121とを電気的に接続する接続線である。Lnc2は、磁極部V1の引出線121と磁極部U2の引出線121と磁極部W2の引出線121とを電気的に接続する接続線である。
【0070】
上記第2実施形態アキシャルギャップ型モータMは、第1実施形態アキシャルギャップ型モータMと同様の効果を有する。
【0071】
上記第1,第2実施形態アキシャルギャップ型モータMでは、結線板200を用いることによりコイルの直列接続またはコイルの並列接続のいずれにも対応でき、汎用性の高いアキシャルギャップ型モータを実現できる。
【0072】
上記第1,第2実施形態では、第1ロータ10と第2ロータ20とを備えたアキシャルギャップ型モータMを備えたが、1つのロータを備えたアキシャルギャップ型モータに本開示を適用してもよい。この場合、ステータコアにバックヨークを設けてもよい。
【0073】
上記第1,第2実施形態では、10極12スロットのアキシャルギャップ型モータMについて説明したが、極数やスロット数はこれに限らず、極数やスロット数の異なる他の構成のアキシャルギャップ型モータに本開示を適用してもよい。
【0074】
〔第3実施形態〕
図19は、本開示の第3実施形態のアキシャルギャップ型モータMを用いた空気調和機の回路図である。この空気調和機では、第1,第2実施形態のアキシャルギャップ型モータMのいずれかを用いている。
【0075】
この第4実施形態の空気調和機は、図19に示すように、空調対象である室内に設置される室内ユニットU100と、室外に設置される室外ユニットU200とを備える。
【0076】
<室内ユニットU100の構成>
上記空気調和機の室内ユニットU100は、冷媒配管L4(連絡配管)が一端に接続され、冷媒配管L5(連絡配管)が他端に接続された室内熱交換器504と、この室内熱交換器504に空気を供給する室内ファン506と、室内ファン506を駆動するアキシャルギャップ型モータMとを有する。この実施形態では、室内ファン506にシロッコファンを用いている。室内ファン506は、ファンの一例である。
【0077】
<室外ユニットU200の構成>
上記空気調和機の室外ユニットU200は、圧縮機CMP1と、四路切換弁501と、室外熱交換器502と、膨張機構の一例としての膨張弁503と、アキュムレータ507と、室外熱交換器502に空気を送る室外ファン505とを有する。
【0078】
上記圧縮機CMP1の吐出側が冷媒配管L1を介して四路切換弁501の第1ポートaに接続されている。四路切換弁501の第2ポートbが冷媒配管L2を介して室外熱交換器502の一端に接続されている。室外熱交換器502の他端が冷媒配管L3を介して膨張弁503の一端に接続され、膨張弁503の他端が冷媒配管L4(連絡配管)の一端に接続されている。冷媒配管L5(連絡配管)の一端が四路切換弁501の第3ポートcに接続されている。四路切換弁501の第4ポートdが、冷媒配管L6,アキュムレータ507,吸入管L7を介して圧縮機CMP1の吸入側に接続されている。
【0079】
上記第1,第2実施形態のアキシャルギャップ型モータMを室内ファン506の駆動に用いた空気調和機では、送風性能を向上できる。
【0080】
上記第3実施形態では、冷房運転と暖房運転を行う空気調和機について説明したが、空気調和機はこれに限らず、空気清浄機などに本開示を適用してもよい。
【0081】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1~第3実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
10…第1ロータ
11…円板状の磁石部材
11a…外周部
11b…内周部
12…固定部
20…第2ロータ
21…円板状の磁石部材
21a…外周部
21b…内周部
22…固定部
30…ステータ
31…樹脂モールド部
40…シャフト
100…分割コア
110…ステータコア
101…第1コア部
102…第2コア部
103…第3コア部
120…コイル
121…引出線
122…渡り線
130…インシュレータ
131…第1フランジ部
131a…段部(保持部)
132…第2フランジ部
133…フック部
134…突出部分
135…切り欠き(位置決め部)
136…丸穴
138…保持部
200…結線板
201…環状の円板部
201a…穴
202…円筒部
203…圧入部
204…凸部
300…軸受保持部
301…第1軸受
302…第2軸受
400…ブッシング
CMP1…圧縮機
G1,G2…エアギャップ
L1~L6…冷媒配管
L7…吸入管
Lu,Lv,Lw…電源線
M…アキシャルギャップ型モータ
Tc1…第1端子(電気接続端子)
Tc2…第2端子
U1,U2,U3,U4…磁極部
V1,V2,V3,V4…磁極部
W1,W2,W3,W4…磁極部
501…四路切換弁
502…室外熱交換器
503…膨張弁
504…室内熱交換器
506…室内ファン(ファン)
507…アキュムレータ
Luc1,Lvc1,Lwc1,Lnc1,Luc2,Lvc2,Lwc2,Lnc2…接続線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
この第実施形態の空気調和機は、図19に示すように、空調対象である室内に設置される室内ユニットU100と、室外に設置される室外ユニットU200とを備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4