(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152558
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】配車管理装置、配車管理システム及び配車管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/28 20120101AFI20231010BHJP
【FI】
G06Q50/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062677
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 彩加
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】古城 直樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】乗客が車両に乗車する乗車地点で車両の運転者が貨物の集配を行う場合に、乗車地点における乗客の待ち時間を短くできる配車管理装置、配車管理システム及び配車管理方法を提供する。
【解決手段】乗客及び貨物を輸送するために車両の配車を行う配車計画において、ユーザが車両に乗車する乗車地点が、貨物の集配を行う集配地点と同じ地点である場合、集配計画に基づいて、乗車地点において貨物の集配が完了する集配完了時刻を算出し、ユーザが乗車地点に到着する前に集配完了時刻を示す集配完了時刻情報をユーザに通知する制御指令を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客及び貨物を輸送する配車計画に基づいて車両の配車を行うプロセッサを備える配車管理装置であって、
前記プロセッサは、
前記配車計画において、ユーザが前記車両に乗車する乗車地点が、前記貨物の集配を行う集配地点と同じ地点である場合、前記貨物の集配を行う集配計画を取得する計画取得部と、
前記集配計画に基づいて、前記乗車地点において前記貨物の集配が完了する集配完了時刻を算出する集配完了時刻算出部と、
前記ユーザが前記乗車地点に到着する前に前記集配完了時刻を示す集配完了時刻情報を前記ユーザに通知する制御指令を生成するユーザ通知部と、を備える配車管理装置。
【請求項2】
前記集配完了時刻算出部は、
前記車両が前記乗車地点に到着する車両到着時刻を算出し、
前記集配計画に基づいて、前記乗車地点における前記貨物の集配にかかる集配時間を算出し、
前記車両到着時刻と前記集配時間とに基づいて、前記集配完了時刻を算出する請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記集配完了時刻算出部は、
前記乗車地点で前記車両を降車する他ユーザがいる場合には、前記他ユーザが降車するのにかかる降車時間を算出し、
前記車両到着時刻と前記降車時間と前記集配時間とに基づいて、前記集配完了時刻を算出する請求項2に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記集配完了時刻算出部は、
前記貨物の集配を行う配達員に関する配達員情報、前記貨物の貨物情報、前記貨物を集配するときの台車の使用に関する台車使用情報、前記乗車地点の環境情報と、前記乗車地点の特性情報、及び、前記乗車地点における前記貨物の集配の過去実績に関する過去実績情報のうちの少なくともいずれかひとつの情報に基づいて、前記集配完了時刻を算出する請求項1~3のいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記ユーザ通知部は、前記貨物の集配が完了した場合には、前記貨物の集配が完了したことを示す集配完了情報及び/又は前記車両が乗車可能となったことを示す乗車可能情報を前記ユーザに通知する制御指令を生成する請求項1~3のいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項6】
前記ユーザ通知部は、
前記ユーザの位置情報と前記乗車地点の位置情報とに基づいて、前記ユーザが前記乗車地点に到着するユーザ到着時刻を算出し、
前記ユーザ到着時刻と前記集配完了時刻との時間差を算出し、
前記時間差を示す時間差情報を前記ユーザに通知する制御指令を生成する請求項1~3のいずれか一項に記載の配車管理装置。
【請求項7】
乗客及び貨物を輸送する配車計画に基づいて車両の配車を行うプロセッサを備える配車管理装置と、前記配車管理装置と通信可能な端末装置と、を備える配車管理システムであって、
前記プロセッサは、
前記配車計画において、ユーザが前記車両に乗車する乗車地点が、前記貨物の集配を行う集配地点と同じ地点である場合、前記貨物の集配を行う集配計画を取得し、
前記集配計画に基づいて、前記乗車地点において前記貨物の集配が完了する集配完了時刻を算出し、
前記ユーザが前記乗車地点に到着する前に前記集配完了時刻を示す集配完了時刻情報を前記ユーザに通知する制御指令を前記端末装置に送信する配車管理システム。
【請求項8】
乗客及び貨物を輸送する配車計画に基づいて車両の配車を行うプロセッサによって実行される配車管理方法であって、
前記プロセッサは、
前記配車計画において、ユーザが前記車両に乗車する乗車地点が、前記貨物の集配を行う集配地点と同じ地点である場合、前記貨物の集配を行う集配計画を取得し、
前記集配計画に基づいて、前記乗車地点において前記貨物の集配が完了する集配完了時刻を算出し、
前記ユーザが前記乗車地点に到着する前に前記集配完了時刻を示す集配完了時刻情報を前記ユーザに通知する制御指令を生成する配車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車管理装置、配車管理システム及び配車管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客の移動要求と貨物の移動要求とに基づいて、乗客を乗降車させる乗降車地点と貨物を集荷する集荷地点とを経由する運行経路を計算し、乗客の乗降車地点と貨物の集荷地点とが同じ地点である場合には、乗客が乗降車している間に、貨物を自動的に積み込む技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、乗客の乗車地点が貨物の集配地点と同じ地点であって、当該乗車地点で運転者が車両から離れて貨物の集配を行う場合、乗客が車両の到着時刻に合わせて乗車地点に到着しても、運転者による貨物の集配が完了するまで乗車地点で長時間待たなくてはならないという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、乗客が車両に乗車する乗車地点で車両の運転者が貨物の集配を行う場合に、乗車地点における乗客の待ち時間を短くできる配車管理装置、配車管理システム及び配車管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乗客及び貨物を輸送するために車両の配車を行う配車計画において、ユーザが車両に乗車する乗車地点が、貨物の集配を行う集配地点と同じ地点である場合、集配計画に基づいて、乗車地点において貨物の集配が完了する集配完了時刻を算出し、ユーザが乗車地点に到着する前に集配完了時刻を示す集配完了時刻情報をユーザに通知する制御指令を生成することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗客が車両に乗車する乗車地点で車両の運転者が貨物の集配を行う場合に、乗車地点における乗客の待ち時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る配車管理装置及び方法を用いた配車管理システムの概略を示すブロック図である。
【
図2A】ユーザに通知する通知情報を表示する画像の一例を示す図である。
【
図2B】ユーザに通知する集配状況を表示する画像の一例を示す図である。
【
図2C】ユーザに通知する集配状況を表示する画像の一例を示す図である。
【
図2D】ユーザに通知する集配状況を表示する画像の一例を示す図である。
【
図3】配車管理装置にて実行される配車管理制御の処理例を示すフローチャート図である。
【
図4】配車管理装置にて実行される配車管理制御の処理例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を用いて本発明に係る配車管理装置及び方法を用いた配車管理システムを説明する。
図1は、本実施形態に係る配車管理装置1及び方法を用いた配車管理システム100の概略を示すブロック図である。本実施形態の配車管理システム100は、複数のユーザから利用要求を受け付け、利用要求に含まれる輸送対象の識別情報(乗客であるか貨物であるか)に応じて配車地を決定する。そして、配車管理システム100は、当該配車地へ配車する車両を選定し、ユーザから受け付けた利用要求と地図情報とに基づいて選定した車両の走行経路、配車時刻といった運行計画を含む配車計画を策定する。配車管理システム100は、この配車計画に基づいて、順次、乗客と貨物とを車両に搭載し、目的地まで輸送するシステムであり、たとえば有人タクシー、無人タクシー、自律走行機能を備えた営業用車両といった車両を利用するものである。以下においては、有人タクシーによる輸送サービスに適用した例で本例のシステムを説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の配車管理システム100は、配車管理センター等に設けられた配車管理装置1と、複数のユーザがそれぞれ所持する端末装置2と、ユーザに利用される複数の車両がそれぞれ有する車載制御装置3と、を備える。なお、
図1においては、一つの配車管理装置1と、一つの端末装置2及び一つの車載制御装置3のみを示すが、本実施形態の配車管理システム100を構成する配車管理装置1、端末装置2及び車載制御装置3のそれぞれの台数は、特に限定されない。
【0011】
本実施形態の配車管理システム100では、人物の輸送を希望するユーザ及び/又は貨物の輸送を希望するユーザが、各々が所持する端末装置2のアプリケーションソフトウェアを操作して利用要求情報を入力する。人物の輸送を希望するユーザは、ユーザが希望する乗車地点、乗車時刻、乗車人数、降車地点、降車時刻などの利用要求情報を入力する。貨物の輸送を希望するユーザは、ユーザが希望する集配地点などの利用要求情報を入力する。集配地点は、貨物の集荷と車両への積載を行う地点及び/又は貨物の荷卸しと配達を行う地点である。また、利用要求情報は、輸送対象となる貨物の積載量などの貨物情報を含む。ユーザの利用要求情報を受け付けた配車管理装置1は、ユーザの乗車地点及び降車地点、又は、貨物の集配地点を設定し、複数用意された車両の中から当該ユーザの要求に対応可能な車両を抽出する。
【0012】
配車管理装置1は、車両の現在位置から、乗車地点、降車地点、集配地点を経由する走行経路を演算し、各地点に到着する到着時刻を含む運行計画を演算して配車計画を策定する。配車管理装置1は、この配車計画に基づいて車両に運行計画を提示し、最初に設定されたユーザの乗車への走行案内を開始する。例えば、車両は、乗車地点でユーザを乗車させたのち、貨物の集配地点まで走行し、集配地点で貨物を積載する。そして、車両は提示された運行計画に基づいて走行し、順次、ユーザを降車地点で降車させ、貨物を集配地点で荷卸しする。
【0013】
例えば、ユーザが車両に乗車する乗車地点が、貨物の集配を行う集配地点と同じ地点である場合には、運転者が配達員として荷物の集配を行うために一時的に車両から離れたときや貨物の積載や荷卸しをしているときに、ユーザが乗車地点に到着することがある。このような場合、ユーザを先に車両に乗車させた後に運転者が集配のために車両を離れる状況は避ける必要がある。また、貨物の集配を先に行うことにすると、ユーザは運転者が貨物の集配を完了するまで車両に乗車できず、乗車地点において待ち時間が発生する。そのため、本実施形態では、配車管理装置1は、配車計画の中で、ユーザの乗車地点が貨物の集配地点と同じ地点である場合には、貨物の集配が完了する集配完了時刻を算出し、集配完了時刻を示す集配完了時刻情報をユーザに通知する。これにより、ユーザは、いつ乗車地点に到着すれば、貨物の集配が完了していて、すぐに車両に乗車できるかを把握できる。
【0014】
配車管理装置1は通信部18を備え、端末装置2は通信部22を備え、車載制御装置3は通信部32を備え、インターネットなどの電気通信回線網NWを介して相互に情報の送受信が可能とされている。なお、通信経路は有線であっても無線であってもよい。
【0015】
端末装置2は、車両の予約プログラムが格納されたROMと、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMと、を備えるコンピュータである。端末装置2は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット型端末又はPDAその他の可搬型の端末装置であってもよい。また、端末装置2は、人物の輸送を希望するユーザの乗客用端末装置と、貨物の輸送を希望するユーザの貨物用端末装置とで異なる形態としてもよい。
【0016】
端末装置2は、ユーザによる車両Vの利用の制御処理を実行する制御部21と、配車管理装置1又は車載制御装置3などの外部装置と通信を行う通信部22と、ユーザが車両Vの利用を求める利用要求などの情報を入力する入力部23と、ユーザに情報を通知するための表示部24と、端末装置2の位置を検出する位置検出部25と、を備える。
【0017】
制御部21は、ユーザが車両Vを利用するための機能を有する。具体的には、制御部21は、ユーザが車両Vの利用を求める利用要求情報などの入力情報を受け付け、通信部22を介して配車管理装置1に送信する。このような利用要求情報には、ユーザの固有識別子(以下、ID情報という)、ユーザの現在の位置情報などが含まれる。これらの情報に加えて、ユーザが人物の輸送を希望する場合には、ユーザが希望する乗車地点、乗車時刻、乗車人数、降車地点、降車時刻などの情報が含まれる。また、ユーザが貨物の輸送を希望する場合には、ユーザが希望する集配地点などの情報が含まれる。また、利用要求情報は、貨物に関する貨物情報を含む。貨物情報は、貨物の個数、重さ、形状、内容を含む。
【0018】
たとえば、人物の輸送を希望するユーザが、入力部23を操作し、乗車時刻t1に乗車地点で乗車し、降車時刻t2に降車地点で降車するといった予約処理を行った場合に、制御部21は、輸送対象の識別情報(乗客)、乗車地点の位置情報(緯度及び経度)、乗車時刻t1、降車地点の位置情報(緯度及び経度)、降車時刻t2を利用要求に含めて配車管理装置1に送信する。これにより、配車管理装置1において、ユーザが希望する車両Vを利用するための予約処理が開始される。なお、輸送対象の識別には、ユーザが利用要求を入力する際に輸送対象が乗客か貨物であるかを選択し、利用要求の入力情報に含める形態としてもよく、アプリケーションソフトウェアにログインする際のID情報を、乗客の場合と貨物の場合とで異なる系統のIDを付与する形態としてもよい。
【0019】
また、制御部21は、ユーザが車両Vの利用を開始する又は終了する際、近距離無線通信等により配車管理装置1及び車載制御装置3と通信し、ユーザの認証処理を実行する。認証処理は、制御部21から出力されるユーザのID情報等を用いて、認証操作を行った端末装置2が、利用要求を送信した端末装置2であるか否かを判定する。
【0020】
入力部23は、たとえば、ユーザの手入力操作が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声入力が可能なマイクロフォン及び音声認識装置などを用いることができる。表示部24としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力部23と兼用することができる。表示部24は、配車管理装置1から送信された制御指令に基づいて、ユーザに通知する通知情報をディスプレイに表示する。ユーザは、入力部23を介して、ユーザのID情報、輸送対象の識別情報、輸送対象が乗客である場合には、希望する乗車地点、乗車時刻、乗車人数、降車地点、降車時刻などの情報を、輸送対象が貨物である場合には、希望する集配地点の情報や貨物情報などを配車管理装置1に送信することができる。
【0021】
位置検出部25は、いわゆるGPS受信機などの位置検出装置であり、端末装置2を操作するユーザの現在の位置情報を取得し、取得した位置情報を、配車管理装置1に送信する。
【0022】
車載制御装置3は、ユーザによる車両Vの利用の制御処理を実行する制御部31と、配車管理装置1や端末装置2などの外部装置と通信を行う通信部32と、車両Vの乗員が情報を入力するための入力部33と、車両Vの乗員に情報を提示するための表示部34と、GPS受信機などから構成される位置検出部35と、を備える。
【0023】
制御部31は、位置検出部35を用いて取得した車両Vの現在の位置情報を、配車管理装置1に送信する。さらに、制御部31は、ディスプレイなどの表示部34を用いて配車管理装置1から送信された運行計画などの情報を、車両Vの乗員に提示する。入力部33は、乗員の手動操作による入力が可能なボタンスイッチ、ディスプレイ上のタッチパネル、音声による入力が可能なマイクロフォンなどを用いることができ、タッチパネル・ディスプレイを用いて表示部34と兼用してもよい。
【0024】
なお、車載制御装置3は、自律走行制御機能を備える構成としてもよい。自律走行制御機能は、自車両の走行をドライバーの操作に依ることなく自律制御するための機能である。自律走行制御機能は、自車両の走行速度を自律制御する自律速度制御機能と、自車両の操舵を自律制御する自律操舵制御機能とを含む。ドライバーの操作に依ることなく自律制御することには、一部の操作をドライバーにより行うことも含まれる。
【0025】
また、制御部31は、ユーザが車両Vの利用を開始する際、端末装置2により認証操作を行った場合には、配車管理装置1及び端末装置2と通信し、ユーザの認証処理を実行する。制御部31は、認証操作を行った端末装置2が、利用要求を送信した端末装置2であると判定した場合には、ユーザに車両Vの利用を許可する。認証操作を行った端末装置2が、利用要求を送信した端末装置2でないと判定した場合には、表示部34などを用いて、当該車両Vはユーザが利用予約した車両ではないことを通知する。ユーザが車両Vの利用を終了する際も同様に、ユーザが端末装置2により認証操作を行うと、制御部31は、ユーザの認証処理を実行する。
【0026】
配車管理装置1は、配車管理システム100のサーバとして機能し、プロセッサ10と、各種データを格納したデータベース11と、を備える。プロセッサ10は、各種処理を実行するためのプログラミングが格納されたROMと、このROMに格納されたプログラムを実行することで、プロセッサ10として機能する動作回路としてのCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMとを備える。プロセッサ10は、乗客及び貨物を輸送する配車計画に基づいて車両の配車を行う。プロセッサ10は、機能ブロックとして、利用要求受付部12と、配車計画部13と、計画取得部14と、集配完了時刻算出部15と、配車管理部16と、ユーザ通知部17と、端末装置2及び車載制御装置3と相互に通信可能な通信部18と、を備える。なお、プロセッサ10は、端末装置2に備えられることとしてもよい。また、データベース11は、配車管理装置1に含まれる構成としたが、外部に設けられたサーバと通信することにより各種データを取得するものであってもよい。
【0027】
データベース11は、配車管理システム100を利用するサービス利用者のユーザID情報、氏名、住所、電話番号、年齢、サービスの利用状況その他のユーザ情報を記憶する。また、データベース11は、貨物情報を記憶する。貨物情報は、貨物の固有識別子(以下、ID情報という)、個数、重さ、形状、内容を含む。貨物の内容は、例えば、取り扱いに注意が必要な貨物であるか否かである。
【0028】
また、データベース11は、地図情報から抽出された車両Vの配車地情報を記憶する。配車地情報は、少なくとも車両を停車させることができる地点の位置情報(緯度及び経度)を含む。本実施形態では、ユーザは、配車地から、希望する乗車地点、降車地点、集配地点を選択する。
【0029】
配車地情報には、配車地の特性情報と過去実績情報とが含まれる。配車地の特性情報は、配車地の属性情報と、施設情報とを含む。配車地の属性は、例えば、公共施設、個人宅、スーパーマーケット、道の駅などの場所の属性である。また、施設情報は、貨物の受け渡しを行う集配所の位置、施設にある集配所から配車地までの距離、集配所の規模、集配所における受取人の有無、人数である。集配所の位置は、貨物の集配を行う場所であり、例えば、事務所、受付窓口、玄関前、置き配バッグ、宅配ボックス、車庫である。施設がビルやアパートメントである場合には、集配所の位置は、集配所が位置する階数であってもよい。過去実績情報は、配車地における貨物の集配の過去実績に関する情報である。例えば、過去実績情報は、配車地で集配を行ったときに集配作業にかかった集配時間の情報を含む。
【0030】
また、データベース11は、ユーザに配車される車両の車両情報を記憶する。車両情報は、車両ID情報、車種、仕様、搭乗可能人数、積載荷重、燃料・電力残量、保守状況、車両に搭乗している配達員、台車の有無、その他の車両に関する情報を含む。配達員の情報は、配達員の年齢、性別である。
【0031】
また、データベース11は、車両Vの車載制御装置3から送信された車両の走行情報を記憶する。車両Vは複数台存在するので、配車管理システム100がサービスを提供する所定のサービスエリアに存在する全ての車両Vの走行情報が、このデータベース11に格納される。走行情報は、少なくとも車両Vの位置情報を含む。走行情報には、ユーザからの利用要求を受付可能か否か、車両Vがサービスの稼働中か否か、エネルギー補給中か否か、乗客及び貨物の搭載の有無、移動指示の配車地に到着したか否かなど配車に関する情報も、それぞれの車両Vの車両ID情報に関連付けて記憶される。
【0032】
データベース11は、少なくとも車両Vが走行可能な道路リンク情報を含んだ、いわゆるナビゲーション地図に加え、エネルギー補給場所(給油又は充電場所)、車両Vの待機場所などの地図情報を記憶する。車両Vの待機場所とは、車両Vが配車可能な状態で配車要求を待機している場合に停車するスペースをいい、一つのサービスエリアに一又は複数の待機場所が設定されている。これらの他に、地図情報は、道路標識、路面標示、レーンマークなどの交通環境情報を含む。また、地図情報は、ユーザが歩行するルートを演算するための歩行者道路リンク情報を含んでもよい。
【0033】
また、データベース11は、配車計画部13によって策定された配車計画を車両Vごとに記憶する。配車計画は、運行計画、乗降計画及び集配計画を含む。運行計画は、車両Vが走行する走行経路、配車地、配車地ごとの配車時刻を含む。乗降計画は、各配車地において乗客を乗降させる計画であって、配車地ごとに、乗車時刻、降車時刻、乗車予定の乗客及び/又は降車予定の乗客の情報を含む。また、集配計画は、各配車地において貨物の集配を行う計画であって、配車地ごとに、集配時刻、集配予定の貨物の貨物情報を含む。
【0034】
利用要求受付部12は、ユーザの端末装置2から利用要求情報を受信する。利用要求受付部12は、利用要求情報を受信すると、利用要求情報に含まれる輸送対象が乗客であるか貨物であるかを識別する。また、利用要求受付部12は、利用要求情報を受信した後、利用要求をキャンセルする利用中止情報を受信する。
【0035】
配車計画部13は、利用要求受付部12によって利用要求情報が受信された場合には、利用要求受付部12によって受信した利用要求情報と、データベース11に格納された各種情報を用いて、配車する車両Vを決定し、車両Vの配車計画を策定する。
【0036】
配車計画部13は、データベース11に格納された配車地情報と、利用要求情報とに基づいて、ユーザの希望する乗車地点、降車地点、及び集配地点を配車地として特定する。そして、配車計画部13は、データベース11に格納された車両情報と車両の走行情報とに基づいて車両Vを決定し、当該車両Vを配車車両とする配車計画を策定する。例えば、配車計画部13は、データベース11に格納された車両Vの走行情報を用いて、配車要求の受信が可能な全ての車両Vを抽出し、最初の配車地に最も近い車両Vを、配車する車両Vとして選定する。そして、配車計画部13は、車両Vの走行情報、配車地情報及び地図情報を用いて車両Vの走行経路及び各地点の配車時刻を含む運行計画を演算する。配車計画部13は、演算された運行計画を含む配車計画を策定する。
【0037】
また、配車計画部13は、配車計画に含まれる各配車地における乗降計画及び/又は集配計画を策定する。配車計画部13は、利用要求情報に含まれる乗車地点、降車地点、乗客の人数などの情報に基づいて、各配車地における乗降計画を策定する。また、配車計画部13は、利用要求情報に含まれる集配地点、貨物などの情報に基づいて、各配車地における集配計画を策定する。
【0038】
また、本実施形態では、配車計画部13は、乗客を輸送する利用要求情報及び貨物を輸送する利用要求情報を受信した場合には、乗客及び貨物を輸送するひとつの配車計画を策定してもよい。例えば、配車計画部13は、乗客を輸送するユーザが希望する乗車地点及び降車地点と、貨物を輸送するユーザが希望する集配地点と、を経由して走行する配車計画を策定する。この場合、配車計画部13は、乗客を輸送するユーザが希望する乗車地点と、貨物を輸送するユーザが希望する集配地点とが同じ地点である場合には、当該地点でユーザの乗車と貨物の集配とを両方行う配車計画を策定する。
【0039】
また、本実施形態では、配車計画部13は、ユーザに集配完了時刻を通知した後、利用要求受付部12によって貨物の集配をキャンセルする利用中止情報を受信した場合には、乗車地点において後の時刻に集配予定であった他の貨物を集配する新たな集配計画を策定する。すなわち、配車計画部13は、キャンセルされた貨物の代わりに、キャンセルされた貨物の集配時刻よりも遅い時刻に集配予定であった他の貨物を集配対象に含めた集配計画を策定する。例えば、配車計画部13は、ユーザに通知した集配完了時刻と、他の貨物を集配対象に含めた場合の集配完了時刻とを比較する。そして、他の貨物を集配対象に含めた場合の集配完了時刻が、ユーザに通知した集配完了時刻よりも早い場合には、配車計画部13は、集配計画を、他の貨物を集配対象に含めた場合の集配計画に変更する。
【0040】
なお、他の貨物を集配対象に含めた場合の集配完了時刻が、ユーザに通知した集配完了時刻よりも遅い場合には、他の貨物を集配対象に含めると、既にユーザに通知した集配完了時刻よりも貨物の集配が完了するタイミングが遅くなるため、配車計画部13は、他の貨物を集配対象に含めず、集配計画を、貨物の集配がキャンセルされた後の集配計画に変更する。
【0041】
計画取得部14は、配車計画において、ユーザが車両に乗車する乗車地点が、貨物の集配を行う集配地点と同じ地点である場合、貨物の集配を行う集配計画を取得する。まず、計画取得部14は、データベース11から配車計画を取得し、ユーザの乗車地点が貨物の集配地点と同じ地点であるか否かを判定する。計画取得部14は、ユーザの乗車地点が貨物の集配地点と同じ地点であると判定した場合には、当該配車計画に対応する集配計画を取得する。
【0042】
集配完了時刻算出部15は、計画取得部14によって取得した集配計画に基づいて、ユーザの乗車地点において貨物の集配が完了する集配完了時刻を算出する。集配完了時刻算出部15は、まず、車両Vが乗車地点に到着する車両到着時刻を算出する。次に、集配完了時刻算出部15は、集配計画に基づいて、乗車地点における貨物の集配にかかる集配時間を算出する。集配時間は、乗車地点において車両Vと集配所との間を配達員が往復するのにかかる配達員移動時間と、集配所における貨物の受け渡し、車両Vにおける荷積み及び/又は荷下ろしにかかる集配作業時間とを合計した時間である。そして、集配完了時刻算出部15は、車両到着時刻と集配時間とに基づいて、集配完了時刻を算出する。例えば、車両到着時刻が15:00、集配時間が15分である場合には、集配完了時刻は、15:15として算出される。
【0043】
集配完了時刻算出部15は、貨物の集配を行う配達員に関する配達員情報、貨物の貨物情報、貨物を集配するときの台車の使用に関する台車使用情報、乗車地点の環境情報と、乗車地点の特性情報、及び、乗車地点における貨物の集配の過去実績に関する過去実績情報のうちの少なくともいずれかひとつの情報に基づいて、集配完了時刻を算出する。例えば、集配完了時刻算出部15は、以下に示されるように、集配時間を算出し、車両到着時刻と集配時間とに基づいて、集配完了時刻を算出する。
【0044】
例えば、集配完了時刻算出部15は、配達員情報に基づいて、配達員移動時間及び/又は集配作業時間を算出する。配達員情報は、配達員の人数、配達員の性別、年齢の情報を含む。配達員移動時間及び/又は集配作業時間は、配達員の人数が多いほど、短く算出される。また、配達員移動時間及び/又は集配作業時間は、配達員の性別及び/又は年齢に応じて算出される。例えば、配達員移動時間及び/又は集配作業時間は、年齢が若いほど、短く算出される。また、配達員移動時間及び/又は集配作業時間は、配達員の性別が男性である場合に、配達員の性別が女性である場合よりも短く算出される。また、集配完了時刻算出部15は、法令を参照して、配達員の性別及び/又は年齢に基づいて、配達員の性別及び/又は年齢で運搬可能な貨物の重量を特定してもよい。集配完了時刻算出部15は、特定した貨物の重量に基づいて、配達員移動時間及び/又は集配作業時間を算出する。
【0045】
また、集配完了時刻算出部15は、貨物情報に基づいて、配達員移動時間及び/又は集配作業時間を算出する。配達員移動時間及び/又は集配作業時間は、貨物の個数が多いほど、長く算出される。配達員移動時間及び/又は集配作業時間は、貨物の重量が大きいほど、長く算出される。配達員移動時間及び/又は集配作業時間は、貨物の形状が、扱いにくい形状であるほど、長く算出される。配達員移動時間及び/又は集配作業時間は、取り扱い注意と指定された貨物である場合には、取り扱い注意という指定のない貨物である場合よりも、長く算出される。
【0046】
また、例えば、集配完了時刻算出部15は、乗車地点において車両Vと集配所との間の距離を配達員歩行速度で除算して、配達員移動時間を算出してもよい。配達員歩行速度Vdは、以下の式(1)に基づいて計算される。
【数1】
Vaは、一般的な配達員の平均歩行速度である。waは、貨物の重量に基づく重み係数である。wbは、台車使用に基づく重み係数である。waは、0~1の値であって、貨物の重量が大きいほど小さく設定される値である。wbは、台車を使用する場合には、台車を使用しない場合よりも大きく設定される値である。また、集配作業時間についても、同様に、貨物の重量等の情報を用いた重みづけによって算出してもよい。また、乗車地点の特性情報などの他の情報に基づく重みづけによって配達員歩行速度及び/又は集配作業時間を算出してもよい。乗車地点の特性情報とそれ以外の情報とを組み合わせて集配時間を算出する場合、乗車地点の特性に起因する集配時間の変動が大きいため、乗車地点の特性に対する重みづけが、それ以外の情報に対する重みづけよりも大きくなるように設定される。
【0047】
また、集配完了時刻算出部15は、乗車地点の特性情報に基づいて、配達員移動時間及び/又は集配作業時間を算出する。例えば、乗車地点の属性(公共施設、個人宅、スーパーマーケット、道の駅など)ごとに、配達員移動時間及び/又は集配作業時間が予め設定される。集配完了時刻算出部15は、ユーザの乗車地点の属性情報を取得し、ユーザの乗車地点の属性に応じて、予め設定された配達員移動時間及び/又は集配作業時間を取得する。また、集配作業時間は、乗車地点の集配所の規模が大きいほど、短く算出される。また、集配作業時間は、乗車地点の集配所にいる人数が多いほど、短く算出される。また、集配作業時間は、集配所に受取人がいない場合には、集配所に受取人がいる場合よりも、短く算出される。
【0048】
集配完了時刻算出部15は、乗車地点において車両Vから集配所までの距離に応じて、配達員移動時間を算出してもよい。例えば、車両Vから集配所までの距離が長いほど、配達員移動時間は長く算出される。また、例えば、配達員移動時間は、集配所が位置するフロアの階数が高いほど長く算出される。また、集配完了時刻算出部15は、集配所に行くまでに階段がある場合には、配達員が階段を昇降するのにかかる時間に基づいて、配達員移動時間を算出してもよい。
【0049】
また、集配完了時刻算出部15は、乗車地点の天気などの環境情報を取得し、環境情報に基づいて、配達員移動時間を算出する。例えば、集配完了時刻算出部15は、天気が雨である場合には、天気が晴れである場合よりも、配達員移動時間を長く算出する。また、集配完了時刻算出部15は、過去実績情報に基づいて、集配時間を算出してもよい。例えば、集配完了時刻算出部15は、過去に乗車地点で貨物の集配をしたときの集配時間を平均した平均集配時間を算出してもよいし、過去に乗車地点で貨物の集配をしたときの配達員移動時間及び/又は集配作業時間を平均して、配達員移動時間及び/又は集配作業時間を算出してもよい。
【0050】
ここで、集配完了時刻情報の算出の一例を説明する。例えば、集配完了時刻算出部15が、配達員情報と貨物情報と台車使用情報とに基づいて、集配完了時刻を算出するとする。配達員が男性1名、貨物の個数が1個、貨物の重量が2kg、貨物のサイズが100サイズ、台車不使用である場合、例えば、集配完了時刻算出部15は、配達員移動時間を3分、集配作業時間を3分と算出し、配達員移動時間と集配作業時間とを合計して、集配時間を6分と算出する。また、配達員が男性1名、貨物の個数が2個、貨物の重量が35kg、貨物のサイズが120サイズ、台車不使用である場合、例えば、集配完了時刻算出部15は、配達員移動時間を8分、集配作業時間を5分と算出し、配達員移動時間と集配作業時間とを合計して、集配時間を13分と算出する。以上のように、貨物の個数や重量が大きいほど、集配時間は長く算出される。
【0051】
また、集配完了時刻算出部15は、ユーザの乗車地点で車両Vを降車する他ユーザがいる場合には、他ユーザが降車するのにかかる降車時間を算出し、車両到着時刻と降車時間と集配時間とに基づいて、集配完了時刻を算出することとしてもよい。配達員は、配車地において降車する他ユーザがいるときには、先に他ユーザの降車に対応してから集配を行う。このとき、降車する他ユーザが多くいる場合には、配達員が他ユーザの降車に対応するだけでも時間がかかることがあり、その対応にかかる時間の分、集配完了時刻が遅れることになる。そのため、集配完了時刻算出部15は、例えば、降車する他ユーザの人数に応じて降車時間を算出し、車両到着時刻と降車時間と集配時間とに基づいて、集配完了時刻を算出する。
【0052】
また、本実施形態では、ユーザに集配完了時刻を通知した後、乗車地点における集配予定の貨物の集配がキャンセルされた場合には、当初の集配計画にはなかった他の貨物を代わりに集配するように集配計画を変更することとしてもよい。例えば、他の貨物は、当初の集配計画における集配時刻よりも遅い時刻に集配予定であった貨物である。この場合には、集配完了時刻算出部15は、他の貨物を集配対象に含めて貨物の集配をした場合の集配完了時刻を新たに算出する。
【0053】
配車管理部16は、通信部18を介して、配車計画部13によって策定した配車計画をユーザに提示する。配車計画は、乗車地点と車両到着時刻とを含む。ユーザがこれを承諾すると利用予約を確定する。利用予約が確定すると、配車管理部16は、通信部18を介して車両Vに配車要求信号を送信するとともに運行計画を送信する。これを受信した車両Vは、ディスプレイなどの表示部34に運行計画を提示して最初の配車地に向かうよう、走行案内を開始する。
【0054】
また、ユーザ通知部17は、ユーザに各種情報を通知する。ユーザ通知部17は、ユーザに各種情報を通知する制御指令を生成し、制御指令を端末装置2に送信する。例えば、ユーザ通知部17は、利用予約が確定すると、通知情報を通知する。通知情報は、ユーザの位置と車両Vの位置と乗車地点の位置と乗車地点までの経路とを含む地図情報と、テキスト情報とを含む。テキスト情報は、車両到着時刻と、乗車地点の名称と、ユーザが乗車地点まで徒歩移動した場合の移動時間を含む。
【0055】
また、ユーザ通知部17は、ユーザの乗車地点において貨物の集配を行う場合には、集配完了時刻を示す集配完了時刻情報をユーザに通知する。例えば、ユーザ通知部17は、ユーザが乗車地点に到着するユーザ到着時刻を算出する。ユーザ通知部17は、ユーザの位置情報と乗車地点の位置情報とを取得する。ユーザ通知部17は、ユーザの位置情報と乗車地点の位置情報とに基づいて、ユーザの移動時間を算出し、ユーザが利用要求をした時刻に移動時間を加算して、ユーザ到着時刻を算出する。ユーザ通知部17は、集配完了時刻とユーザ到着時刻とを比較し、ユーザ到着時刻が集配完了時刻よりも早い場合には、集配完了時刻算出部15によって算出した集配完了時刻を示す集配完了時刻情報をユーザに通知する。すなわち、本実施形態では、ユーザが、貨物の集配が完了するタイミングよりも早く到着する場合には、集配完了時刻情報をユーザに通知する。
【0056】
例えば、ユーザ通知部17は、集配完了時刻情報を含む通知情報をユーザに通知する。
図2Aは、ユーザに通知する通知情報を表示する画像の一例である。
図2Aでは、通知情報には、地図情報とテキスト情報とが含まれる。地図情報は、ユーザの位置P1と車両Vの位置P2と乗車地点の位置P3と乗車地点までの経路Lとを含む。テキスト情報は、車両到着時刻と、乗車地点の名称と、ユーザが乗車地点まで徒歩移動した場合の移動時間と、集配完了時刻とを含む。
【0057】
また、本実施形態では、ユーザ通知部17は、ユーザが乗車地点に到着する前に集配完了時刻情報を通知する。例えば、ユーザ通知部17は、ユーザの位置情報を取得し、ユーザの位置が乗車地点の位置に到着する前に、ユーザに集配完了時刻情報を通知する。また、ユーザ通知部17は、ユーザが出発する前、ユーザの位置と、車両Vの位置と、乗車地点の位置と、乗車地点までの経路とを含む地図情報をユーザに通知する時に、集配完了時刻情報を示すテキスト情報を含めてユーザに通知してもよい。また、ユーザ通知部17は、ユーザ到着時刻を算出し、ユーザ到着時刻よりも前の時刻に、集配完了時刻情報をユーザに通知してもよい。
【0058】
また、ユーザ到着時刻が集配完了時刻よりも遅い場合には、ユーザ通知部17は、集配完了時刻情報を通知せず、車両到着時刻情報をユーザに通知することとしてもよい。また、ユーザ通知部17は、ユーザ到着時刻と集配完了時刻との時間差を算出し、算出した時間差を示す時間差情報を集配完了時刻情報とともにユーザに通知してもよい。
【0059】
また、ユーザ通知部17は、乗車地点における集配状況を含む集配情報をユーザに通知してもよい。集配状況とは、例えば、配達員移動中、貨物受取中、貨物配送中、配送完了、配達員戻り中、乗車案内中のいずれかの状況である。ユーザ通知部17は、
図2Bに示されるように、集配状況を表す画像をユーザに表示する。
図2Bでは、各集配状況が表示され、矢印によって現在の集配状況が配送中であることが示されている。
【0060】
また、集配状況は、集配中の配達員の位置を含むこととしてもよい。
図2Cで示されるように、ユーザ通知部17は、乗車地点における車両Vの位置P4と、配達員の位置P5とを含む地図画像をユーザに表示する。また、集配状況は、集配が完了した貨物の個数又は割合であってもよい。
図2Dで示されるように、ユーザ通知部17は、配達が完了した貨物の個数と、残りの貨物の個数とを含む画像をユーザに表示する。また、集配状況は、配達員が車両Vに戻るまでの時間であってもよい。
【0061】
また、ユーザ通知部17は、貨物の集配が完了した場合には、貨物の集配が完了したことを示す集配完了情報をユーザに通知してもよい。また、ユーザ通知部17は、集配が完了した場合には、車両が乗車可能となったことを示す乗車可能情報をユーザに通知してもよい。
【0062】
また、ユーザ通知部17は、ユーザに集配完了時刻を通知した後に、貨物の集配がキャンセルされて、乗車地点において後の時刻に集配予定であった他の貨物を含めた集配計画に変更された場合には、変更後の集配完了時刻をユーザに通知してもよい。
【0063】
ここで、
図3を用いて、本実施形態に係る配車管理制御の処理の一例を説明する。
図3は、配車管理装置1にて実行される配車管理制御の処理例を示すフローチャートである。
【0064】
図3のステップS1において、プロセッサ10は、端末装置2から利用要求情報を受信したか否かを判定する。利用要求情報を受信したと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS2に進む。利用要求情報を受信していないと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS1に戻り、以下フローを繰り返す。ステップS2では、プロセッサ10は、利用要求情報と配車地情報と車両の走行情報とに基づいて、配車計画を策定する。例えば、プロセッサ10は、配車地と各配車地に配車する車両Vとを決定し、各配車地を経由する走行経路と各地点の配車時刻を含む運行計画を演算し、運行計画を含む配車計画を策定する。
【0065】
ステップS3では、プロセッサ10は、ユーザが車両に乗車する乗車地点と集配地点とが同じ地点であるか否かを判定する。ユーザの乗車地点と集配地点とが同じ地点であると判定した場合、プロセッサ10は、ステップS4に進む。乗車地点と集配地点とが同じ地点ではないと判定した場合には、プロセッサ10は、ステップS9に進む。
【0066】
ステップS4では、プロセッサ10は、集配計画を取得する。ステップS5では、プロセッサ10は、集配完了時刻を算出する。例えば、プロセッサ10は、車両が乗車地点に到着する車両到着時刻と、乗車地点における貨物の集配にかかる集配時間とを算出し、車両到着時刻に集配時間を加算して、集配完了時刻を算出する。ステップS6では、プロセッサ10は、ユーザが乗車地点に到着するユーザ到着時刻を算出する。ステップS7では、プロセッサ10は、ユーザ到着時刻が集配完了時刻より早いか否かを判定する。ユーザ到着時刻が集配完了時刻より早いと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS8に進む。ユーザ到着時刻が集配完了時刻より早くないと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS9に進む。
【0067】
ステップS8では、プロセッサ10は、集配完了時刻を含む集配完了時刻情報をユーザに通知する。例えば、プロセッサ10は、集配完了時刻情報をユーザに通知する制御指令を生成し、制御指令を端末装置2に送信する。端末装置2は、制御指令を受信すると、表示部24を介して集配完了時刻情報をユーザに通知する。ステップS9では、プロセッサ10は、車両到着時刻情報をユーザに通知する。例えば、プロセッサ10は、車両が乗車地点に到着する車両到着時刻を算出し、車両到着時刻を示す車両到着時刻情報をユーザに通知する制御指令を端末装置2に送信する。端末装置2は、制御指令を受信すると、表示部24を介して車両到着時刻情報をユーザに通知する。
【0068】
また、本実施形態では、ユーザに集配完了時刻を通知した後、貨物の集配をキャンセルする利用中止情報を受信した場合には、他の貨物を集配対象に含めた場合の集配完了時刻を算出し、ユーザに通知した集配完了時刻よりも早い場合には、他の貨物を集配対象に含めた場合の集配計画に集配計画を変更することとしてもよい。
図4を用いて、ユーザに集配完了時刻を通知した後の配車管理制御の処理の一例を説明する。
図4は、配車管理装置1にて実行される配車管理制御の処理例を示すフローチャートである。配車管理装置1は、ユーザに集配完了時刻を通知した後、ステップS11から制御フローを開始する。
【0069】
図4のステップS11では、プロセッサ10は、端末装置2から、貨物の集配をキャンセルする利用中止情報を受信したか否かを判定する。利用中止情報を受信したと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS12に進む。利用中止情報を受信していないと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS11に戻り、以下フローを繰り返す。ステップS12では、プロセッサ10は、当初予定の集配計画における集配時刻よりも後の時刻に集配予定の他の貨物があるか否かを判定する。後の時刻に集配予定の他の貨物があると判定した場合、プロセッサ10は、ステップS13に進む。後の時刻に集配予定の他の貨物がないと判定した場合には、プロセッサ10は、制御フローを終了する。
【0070】
ステップS13では、プロセッサ10は、他の貨物を集配対象に含めた場合の集配完了時刻を算出する。ステップS14では、プロセッサ10は、ステップS13で算出した集配完了時刻が、ユーザに通知した集配完了時刻よりも早いか否かを判定する。ステップS13で算出した集配完了時刻が、ユーザに通知した集配完了時刻よりも早いと判定した場合には、プロセッサ10は、ステップS15に進む。ステップS15では、プロセッサ10は、後の時刻に集配予定の他の貨物を集配対象に含めた場合の集配計画を新たに策定し、新たに策定した集配計画に集配計画を変更する。ステップS13で算出した集配完了時刻が、ユーザに通知した集配完了時刻よりも早くないと判定した場合には、プロセッサ10は、制御フローを終了する。
【0071】
以上のように、本実施形態では、乗客及び貨物を輸送する配車計画に基づいて車両の配車を行うプロセッサを備える配車管理装置であって、プロセッサは、配車計画において、ユーザが車両に乗車する乗車地点が、貨物の集配を行う集配地点と同じ地点である場合、貨物の集配を行う集配計画を取得し、集配計画に基づいて、乗車地点において貨物の集配が完了する集配完了時刻を算出し、ユーザが乗車地点に到着する前に集配完了時刻を示す集配完了時刻情報をユーザに通知する制御指令を生成する。これにより、乗客が車両に乗車する乗車地点で車両の運転者が貨物の集配を行う場合に、乗車地点における乗客の待ち時間を短くできる。
【0072】
また、本実施形態では、プロセッサは、車両が乗車地点に到着する車両到着予定時刻を算出し、集配計画に基づいて、乗車地点における貨物の集配にかかる集配時間を算出し、車両到着予定時刻と集配時間とに基づいて、集配完了時刻を算出する。これにより、乗車地点における貨物の集配にかかる時間に基づいて貨物の集配が完了する時刻を算出できる。
【0073】
また、本実施形態では、プロセッサは、乗車地点で車両を降車する他ユーザがいる場合には、他ユーザが降車するのにかかる降車時間を算出し、車両到着予定時刻と降車時間と集配時間とに基づいて、集配完了時刻を算出する。これにより、乗車地点において他のユーザを降車させるのにかかる時間を含めて貨物の集配が完了する時刻を算出できる。
【0074】
また、本実施形態では、プロセッサは、貨物の集配を行う配達員に関する配達員情報、貨物の貨物情報、貨物を集配するときの台車の使用に関する台車使用情報、乗車地点の環境情報と、乗車地点の特性情報、及び、乗車地点における貨物の集配の過去実績に関する過去実績情報のうちの少なくともいずれかひとつの情報に基づいて、集配完了時刻を算出する。これにより、実際の集配作業の状況に基づいて貨物の集配が完了する時刻を算出できる。
【0075】
また、本実施形態では、プロセッサは、貨物の集配が完了した場合には、貨物の集配が完了したことを示す集配完了情報及び/又は車両が乗車可能となったことを示す乗車可能情報をユーザに通知する制御指令を生成する。これにより、ユーザは、貨物の集配が完了したことや車両が乗車可能になったことを知ることができる。
【0076】
また、本実施形態では、プロセッサは、ユーザの位置情報と乗車地点の位置情報とに基づいて、ユーザが乗車地点に到着するユーザ到着時刻を算出し、ユーザ到着時刻と集配完了時刻との時間差を算出し、時間差を示す時間差情報をユーザに通知する制御指令を生成する。これにより、ユーザは、予定通りに乗車地点に到着した場合に、乗車地点でどのくらい待ち時間が発生するのかを把握できる。
【0077】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0078】
100…配車管理システム
1…配車管理装置
10…プロセッサ
12…利用要求受付部
13…配車計画部
14…計画取得部
15…集配完了時刻算出部
16…配車管理部
17…ユーザ通知部
18…通信部
11…データベース
2…端末装置
3…車載制御装置