(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154844
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】金属パイプ接続方法
(51)【国際特許分類】
F16L 13/02 20060101AFI20231013BHJP
F16B 11/00 20060101ALI20231013BHJP
F16L 21/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
F16L13/02
F16B11/00 D
F16L21/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064447
(22)【出願日】2022-04-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】390037774
【氏名又は名称】井上スダレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】井上 智史
【テーマコード(参考)】
3H013
3J023
【Fターム(参考)】
3H013BA08
3J023BA02
3J023EA02
3J023FA03
3J023GA03
(57)【要約】
【課題】短秒間でパイプとパイプとを接続できるパイプ接続方法を提供する。
【解決手段】管継手1の貫孔の内面2Aに、薄肉円筒状のロウ材10を予め形成し、その管継手1を高速回転させつつ、一対のパイプP,Pを押込んでいって、回転摩擦熱によってロウ材10を溶融させて、接合する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状貫孔(2)の内面(2A)に、薄肉円筒状のロウ材(10)を予め形成した金属製管継手(1)を、上記貫孔(2)の軸心(L1 )廻りに高速回転させつつ、上記貫孔(2)の両端開口部(2C)(2C)から一対の金属パイプ(P)(P)を押込んでゆき、
パイプ(P)の先端外周面(14)と、上記ロウ材(10)との回転摩擦熱によって、該ロウ材(10)を溶融させ、パイプ(P)の先端外周面(14)と、管継手(1)の貫孔(2)の内面(2A)とを、接合することを、
特徴とする金属パイプ接続方法。
【請求項2】
上記直線状貫孔(2)の内面(2A)には、軸心方向中央部位に、パイプ先端止め用突条部(3)が、形成され、
薄肉円筒状の上記ロウ材(10)は、その内端(10A)が上記突条部(3)に当接すると共に、アキシャル外方向にしだいに拡径するテーパ状内周面を有している
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【請求項3】
上記管継手(1)は、外周面に多数の小凹凸歯(5)が予め形成され、
該小凹凸歯(5)に噛合する小凸凹歯(25)を有する大径駆動ギア(15)によって、上記管継手(1)が高速回転され、
しかも、最終パイプ接続完了状態に於て、上記小凹凸歯(5)を管継手(1)に残留したままとする
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【請求項4】
上記管継手(1)は、外周面(6)の軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯(5)を有する一対のギア部(8)(8)が、突設され、一対の該ギア部(8)(8)の間に中央凹周溝(9)が形成され、
上記貫孔(2)の両端開口部(2C)(2C)に一対の上記パイプ(P)(P)を押込んでゆく際に、上記管継手(1)が上記軸心(L1 )方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪(12)(13)の外周端縁の一部位を、管継手(1)の上記中央凹周溝(9)に、嵌め込むことを特徴とする
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【請求項5】
上記管継手(1)は、外周面(19)の軸心方向中央部位に、多数の小凹凸歯(5)を有する中央ギア部(20)が、突設され、該中央ギア部(20)から軸心方向両側に小径円筒部(21)(21)が形成され、
上記貫孔(2)の両端開口部(2C)(2C)に一対の上記パイプ(P)(P)を押込んでゆく際に、上記管継手(1)が上記軸心(L1 )方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪(12)(12)(13)(13)の外周端縁の一部位を、管継手(1)の上記小径円筒部(21)(21)に、嵌め込むことを特徴とする
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【請求項6】
上記管継手(1)は、軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯(5)を有する一対のギア部(8)(8)が、突設され、上記一対のギア部(8)(8)の対面する内側面(8Y)(8Y)は、縦断面においてラジアル外方向へ間隔寸法が拡大する傾斜面に形成され、上記両内側面(8Y)(8Y)の間にはラジアル方向へしだいに拡大する台形状中央凹周溝(29)を有し、
上記貫孔(2)の両端開口部(2C)(2C)に一対のパイプ(P)(P)を押込んでゆく際に、上記管継手(1)が上記軸心(L1 )方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪(12)(13)の外周端縁の肉厚寸法が、ラジアル外方にしだいに減少するように設定して、該外周端縁の両面は傾斜面(12T)(12T)(13T)(13T)を有し、管継手(1)の上記断面台形状の中央凹周溝(29)に嵌め込むと共に、上記傾斜面(12T)(12T)(13T)(13T)を上記両内側面(8Y)(8Y)に接触させて、上記管継手(1)が上記軸心(L1 )方向に不意に移動することを阻止することを、特徴とする
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属パイプ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から本発明者は多数の管継手及びパイプ接続構造(方法)について提案してきた。例えば、
図15,
図16に示すような構造の管継手につき、特許出願して、特許権を取得している(特許文献1参照)。
即ち、
図15,
図16に示した従来の管継手構造は、次のような構成であった。
【0003】
即ち、軸心方向両側の各々に雄ネジ部20A´と先端縮径テーパ部20B´を有するフレア継手本体20´と、上記雄ネジ部20A´に螺着される雌ネジ部15A´を有する袋ナット15´とを、備え;相互に接続される2本の被接続用パイプP´は、先端面3´から所定軸心寸法L5 ´に渡って先端拡径管部5´が形成されると共に、上記先端拡径管部5´と基本径管部6´との境界には、テーパ状段付部10´が形成され;上記パイプP´の上記先端拡径管部5´に内挿される接続筒部31´と、上記先端縮径テーパ部20B´に当接する勾配面32´を有するインコア30´を備え;上記袋ナット15´のフレア継手本体20´への螺進により、上記パイプP´のテーパ状段付部10´を経て上記先端拡径管部5´に外嵌される閉円環状リング25´を、上記袋ナット15´の内部に設け、上記リング25´のラジアル内方向への縮径付勢力にて、上記パイプP´の先端拡径管部5´と上記インコア30´の接続筒部31´との密封状態を保ち;さらに、上記袋ナット15´のフレア継手本体20´への螺着に伴うアキシャル方向の力を、上記リング25´を介してインコア30´に伝達して、上記フレア継手本体20´の先端縮径テーパ部20B´と、インコア30´の勾配面32´との圧接密封状態を保つように構成したものである。
しかも、上記インコア30´の接続筒部31´の外周面には、複数本の断面三角形乃至富士山形の独立小突条36´が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図15と
図16に示した従来の管継手は、プラスチックやゴムのシール材が省略されて、冷媒等の流体に対して、優れた密封性能を長期に渡って発揮できる。かつ、強力な耐引抜力を発揮でき、高圧力にも耐える優れた管継手である。
しかしながら、
図15と
図16に示す管継手には、次のような問題点(欠点)があることが判ってきた。
即ち、 (i) 部品点数が極めて多い点、 (ii) インコア30´の形状・寸法が厳格に要求されるので製作が難しい点。(iii) 全体に各部品の製作も容易でなく高価な管継手となっている点、 (iv) 配管接続現場に於て部品を落したり紛失する場合がある点、等の問題点が残されていることが、最近、判明してきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る金属パイプ接続方法は、直線状貫孔の内面に、薄肉円筒状のロウ材を予め形成した金属製管継手を、上記貫孔の軸心廻りに高速回転させつつ、上記貫孔の両端開口部から一対の金属パイプを押込んでゆき;パイプの先端外周面と、上記ロウ材との回転摩擦熱によって、該ロウ材を溶融させ、パイプの先端外周面と、管継手の貫孔の内面とを、接合する方法である。
【0007】
また、上記管継手の直線状貫孔の内面には、軸心方向中央部位に、パイプ先端止め用突条部が、形成され;薄肉円筒状の上記ロウ材は、その内端が上記突条部に当接すると共に、アキシャル外方向にしだいに拡径するテーパ状内周面を有している。
また、上記管継手は、外周面に多数の小凹凸歯が予め形成され;該小凹凸歯に噛合する小凸凹歯を有する大径駆動ギアによって、上記管継手が高速回転され;しかも、最終パイプ接続完了状態に於て、上記小凹凸歯を管継手に残留したままとする。
【0008】
また、上記管継手は、外周面の軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯を有する一対のギア部が、突設され、一対の該ギア部の間に中央凹周溝が形成され;上記貫孔の両端開口部に一対の上記パイプを押込んでゆく際に、上記管継手が上記軸心方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪の外周端縁の一部位を、管継手の上記中央凹周溝に、嵌め込む。
また、上記管継手は、外周面の軸心方向中央部位に、多数の小凹凸歯を有する中央ギア部が、突設され、該中央ギア部から軸心方向両側に小径円筒部が形成され;上記貫孔の両端開口部に一対の上記パイプを押込んでゆく際に、上記管継手が上記軸心方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪の外周端縁の一部位を、管継手の上記小径円筒部に、嵌め込む。
【0009】
また、上記管継手は、軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯を有する一対のギア部が、突設され、上記一対のギア部の対面する内側面は、縦断面においてラジアル外方向へ間隔寸法が拡大する傾斜面に形成され、上記両内側面の間にはラジアル方向へしだいに拡大する台形状中央凹周溝を有し;上記貫孔の両端開口部に一対のパイプを押込んでゆく際に、上記管継手が上記軸心方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪の外周端縁の肉厚寸法が、ラジアル外方にしだいに減少するように設定して、該外周端縁の両面は傾斜面を有し、管継手の上記断面台形状の中央凹周溝に嵌め込むと共に、上記傾斜面を上記両内側面に接触させて、上記管継手が上記軸心方向に不意に移動することを阻止するように、構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数が最少で済み、安価な管継手一個で、パイプ相互を接合(接続)できる。管継手の内部のロウ材を、管継手の回転に伴った回転摩擦熱によって、数秒乃至20秒程度で溶融させ、迅速なパイプ相互の接合(接続)作業が完了する。しかも、パイプ接合部位(管継手)の外径が小さく、コンパクトであり、接続完了した複数本のパイプ相互間隔を減少でき、複数本のパイプをコンパクトに配置可能となる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】パイプ接続に用いられる管継手の一実施例を示し、(A)は縦断面図、(B)は要部拡大図である。
【
図2】本発明に係るパイプ接続方法の一実施形態を示した一部断面側面図である。
【
図4】回転摩擦熱によってロウ材を溶融させながらパイプの先端を回転運動中の管継手内へ押込んでゆく状態を順次示した要部拡大断面図である。
【
図5】管継手の一実施例を示すと共にパイプ接続完了状態を示した断面図である。
【
図7】本発明に係るパイプ接続方法の他の実施形態を示した一部断面正面図である。
【
図10】本発明に係るパイプ接続方法の別の実施形態を示した一部断面正面図である。
【
図11】パイプ接続完了状態を示した断面図であって、(A)は全体の断面図、(B)は(A)の要部Wの拡大断面図である。
【
図12】パイプ接続装置の一実施例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1~
図4に於て、本発明の実施の一形態を示し、1は金属製管継手であって、直線状貫孔2の内面2Aに、薄肉円筒状のロウ材(ろう材)10を予め形成しておく。
【0013】
この管継手1の貫孔2の内面2Aの軸心方向中央部位には、小さな矩形状横断面を有する円環状の突条部3が、形成されている。
さらに、薄肉円筒状のロウ材10は、その内端10Aが上記突条部3に当接していると共に、アキシャル外方向にしだいに拡径するテーパ状内周面を有する。
ロウ材10は、融点を越える温度にて溶融した状態で、管継手1の内面2Aに溶着形成する。又は、予め加熱して溶融状態としたロウ材を成型金型等に流し込み、円筒状に固化させた後に、取出して、それを管継手1の貫孔2の内面2Aに圧入固着させることも可能である。
【0014】
このテーパ状内周面を有し外周面は同一外径であるロウ材10の平均肉厚T
10は、0.1 mm~2mmに設定し、内周面の傾斜角度θ(
図1(B)参照)は、1°~3°とする。望ましくは、1.5 °~2.5 °とする。
そして、ロウ材(ろう材)10の材料としては、BAg銀ろう,BAlアルミニウムろう,BCuPリン銅ろう,BCuZn黄銅ろう等を用いる。パイプPの材質及び管継手1の本体の材質と同種のロウ材の材料を選定する。
【0015】
そして、上記管継手1は、(
図1,
図3に示すように)外周面に多数の小凹凸歯5が形成されている。
特に、
図1(A)と
図3に示すように、外周面6の軸心方向左右両側に多数の小凹凸歯5を有する(一対の)ギア部8,8が突設されている。また、一対の該ギア部8,8の間に、中央凹周溝9が形成されている。
【0016】
図2と
図3に示すように、パイプ接続装置30は、管継手1を、水平状一軸心L
1 廻りに回転自在に(下方から)保持する2枚の円板状保持輪12,12と、上方から回転自在に保持する一枚の円板状保持輪13とを、具備している。
この上下の円板状保持輪13;12,12の外周端縁の一部位を、管継手1の中央凹周溝9に、(相互に回転接触自在として)嵌め込む。
【0017】
そして、本発明のパイプ接続方法にあっては、
図3及び
図4に示す如く、金属製管継手1を、その貫孔2の軸心L
1 廻りに高速回転(矢印M
1 参照)させつつ、上記貫孔2の両端開口部2C,2Cから一対の金属パイプP,Pを矢印Yのように押込んでゆく。このように矢印M
1 のような高速回転を行いつつパイプP,Pを矢印Yのように押込むことによって、パイプPの先端外周面14と、ロウ材10との回転摩擦熱によって、ロウ材10を溶融させ、パイプPの先端外周面14と、管継手1の貫孔2の内面2Aとを、接合する。
なお、
図4に於て、(A)→(B)→(C)と順次、パイプPが深く挿入されてゆくに伴って、点々で示した固体状態のロウ材10が、網目状で示した溶融状態に変化してゆくことが判る。
【0018】
ところで、
図2と
図3にもどって追加説明すると、15,15は大径駆動ギアであって、2枚一組として、軸心L
15廻りに矢印M
15方向に回転する。
上記管継手1が2枚のギア部8,8を有することに対応して、大径駆動ギア15,15も2枚備え、その間に円板状保持輪13が挾着されている。
【0019】
大径駆動ギア15は、管継手1の小凹凸歯5に噛合するための小凸凹歯25を有する。大径駆動ギア15によって、管継手1は矢印M1 方向に高速回転するが、円板状上保持輪13が上方から、及び、円板状下保持輪12が下方から、中央凹周溝9に差込まれていることによって、パイプPの矢印Y方向への押込み時にも、管継手1は安定姿勢を保ちつつ回転できて、管継手1が軸心L1 方向に移動しない。
言い換えると、貫孔2の両端開口部2C,2Cに一対の上記パイプP,Pを押込んでゆく際に、上記管継手1が上記軸心L1 方向に不意に移動することを阻止する。
【0020】
なお、
図2に於て、16は携帯自在な電動工具の出力軸が差込み自在な六角孔部17を有する駆動用小ギアを示し、作業現場に於て、パイプ接続装置30を設置して、小型の携帯自在な電動工具の出力軸を、六角孔部17に差込めば、簡易かつ迅速に、(
図4に示した)パイプ接続作業を、行うことができる。
なお、
図2~
図4に於て、以上説明したように、回転摩擦熱によるロウ材10の溶融を行って、パイプP,P相互の接合(接続)が完了すれば、
図2に於て、回転を停止して、上下移動機構18によって、円板状保持輪12,12を下方へ移動すれば、管継手1の付着したパイプP,Pを、簡単に取外すことができる。特に、
図14について後述するように、挾持アーム43の上アーム43Aを軸心L
46廻りに上方へ揺動して、上アーム43Aを開放すれば、一層、簡単に、パイプP,Pと管継手1を取外すことができる。(勿論、最初の管継手1とパイプP,Pのセットも容易である。)
【0021】
従って、最終配管接続状態―――即ち、パイプP,Pが相互に接続されて、配管全体の一部を構成した流体を送る最終状態―――に於ても、上述の小凹凸歯5,5を管継手1として、残留させたままとする。
言い換えれば、ロウ材10を溶融させるための回転摩擦熱を発生させるために主役の管継手回転役(機能)を演じた部位―――小凹凸歯5,5―――は、取去ることなく、そのまま最終パイプ接続完了状態にまで、残留させる。即ち、小凹凸歯5の外径方向突出寸法は微小であって、配管全体の邪魔とはならない(
図5参照)。
【0022】
次に、
図6~
図8は、本発明の他の実施形態を示す。
管継手1は、外周面19の軸心方向中央部位に、多数の小凹凸歯5を有する中央ギア部20が、突設され、かつ、中央ギア部20から軸心方向両側に(上記ギア部20よりも小さい外径の)小径円筒部21,21が、形成される。
貫孔2の形状、中央の突条部3を有する点、ロウ材10,10の形状と配置は、
図1の実施形態と同様である。
【0023】
そして、
図7に示すように、下方には円板状保持輪12,12が2枚備えている。しかも、2枚の該保持輪12,12は、一体ものとして、小径筒部12Cにて連結された形状である。このような一体化された2枚の円板状保持輪12,12の外周端縁の一部位を、管継手1の両側の上記小径円筒部21,21に嵌め込んでいる。
このように、保持輪12,12を一体として有している下方サポート回転体24は、
図2にて説明した実施形態と同様に、水平状一軸心L
1 と平行な方向から見れば、左右に分離して、2個が配置されている。
【0024】
また、大径駆動ギア15は単数枚として、その両側面に当接状として、2枚の上方の円板状保持輪13,13が挟持している構造である。
電気モータM0 にて回転される駆動軸22に、キー23(又は図示省略のスプライン)を介して、大径駆動ギア15と、2枚の円板状保持輪13,13が取着される。上方の円板状保持輪13,13の(外周端縁の)一部位を管継手1の前記小径円筒部21,21に、嵌め込む。
【0025】
そして、
図4と
図7に示すように、貫孔2の両端開口部2C,2Cに、一対のパイプP,Pを押込んでゆく際に、管継手1が軸心L
1 方向に不意に移動することを、4枚の円板状保持輪12,12,13,13にて、阻止する。
図8は、
図7に示すパイプ接続装置と接続方法によって、接続完了した状態のパイプ接続構造体を示している。
【0026】
次に、
図9~
図11は、本発明の別の実施形態を示す。
即ち、
図9と
図10に示す如く、管継手1は、軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯5を有する一対のギア部8,8が、突設されると共に、この一対のギア部8,8の対面する内側面8Y,8Yは、縦断面―――つまり、軸心L
1 を含む断面―――において、ラジアル外方向へ間隔寸法が拡大する傾斜面に形成される。
これによって、両内側面8Y,8Yの間には、ラジアル方向へしだいに拡大する台形状中央凹周溝29が形成されている。
【0027】
管継手1の両端開口部2C,2Cに、
図10に示すように、一対のパイプP,Pを押込んでゆく際に、管継手1が軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪12,13は、その外周端縁が断面台形である。
言い換えると、外周端縁において、円板状保持輪12,13の肉厚寸法が、ラジアル外方にしだいに減少するように設定されて、断面台形として、その外周端縁の両面は、傾斜面12T,12T;13T,13Tとして、形成される。
そして、管継手1の断面台形状の中央凹周溝29に、傾斜面12T,12Tを有する保持輪12の断面台形の外周端縁を、嵌め込み、同時に、傾斜面13T,13Tを有する保持輪13の断面台形の外周端縁を、嵌め込み、下方と上方から、管継手1を回転自在に、保持し、かつ、軸心L
1 方向に不意に移動することを、阻止する。
【0028】
ところで、
図10に示した実施形態では、管継手1のギア部8,8に噛合する歯部(ギア部)を有する大径駆動ギア15,15と、(その間に配設される)保持輪13は、一体状(一体もの)の場合を、示している。
このような一体状(一体もの)とすることで、(
図3等の場合よりも、)剛性と強度が向上し、一層確実に安定して、管継手1の回転駆動、及び、軸心L
1 方向の微小位置ずれ(移動)防止を、達成できる。
【0029】
次に、
図12~
図14は、上述のパイプ接続作業に用いられるパイプ接続装置の一実施形態を示す。また、
図12~
図14に示したパイプ接続装置は、
図2,
図3に於て、一部を図示して軽く説明済みではあるが、以下、さらに具体的に説明すると、以下の通りである。
平行な2枚の板材36,36を平行に有し、この板材36は、(
図14のように)側面視が、下辺板37と、後方の上下連結板38と、上辺板39をもって、略コの字形状であり、上下中間位置に前方開口状の切欠部41を有する。この切欠部41の空間内に、管継手1及びパイプPが
図14に示すように対応する。
つまり、
図2に於て既述した、(下方の)円板状保持輪12,12と、これに支持される管継手1と、一対の被接続用パイプPの先端部位と、(上方の)円板状保持輪13の下半部位が、側面視において、切欠部41に、対応配置される。
【0030】
図2と
図14に於て、(携帯式の)電動工具の突出状出力軸が連結自在な小ギア16は、大径駆動ギア15に噛合し、矢印M
15方向にこのギア15を回転させて矢印M
1 方向に管継手1を回転駆動すると同時に、連動機構40を介して、パイプP,Pを各々上下方向から挟持した挟持アーム43,43を矢印J,K方向に往復移動させることができる。
即ち、上記連動機構40は、
図14に示した2個のギア44,45、及び、ネジ軸46と、(挟持アーム43の)ネジ孔47等から構成される。
【0031】
挟持アーム43は、ネジ軸46の軸心L
46廻りに、
図14に示した水平姿勢から、同図の左端が上方へ開くように、上方へ揺動可能な上アーム43Aと、(常に水平姿勢の)下アーム43Bとから、成っている。しかも、
図14のように、上アーム43Aと下アーム43Bが閉じた状態を保つように維持するロック部材48を有する。
このロック部材48は、ネジ孔付き回転軸48Aと、ピン48Bにて下アーム43Bに枢着されたボルト杆48Cから、構成される。そして、回転輪48Aを緩めると、矢印N
48方向にロック部材48を倒して、上アーム43Aを軸心L
46廻りに揺動して、開放状態とすることができる。
このような開放状態下で、管継手1のセッティングと(パイプ接続完了状態での)取出しを行うことができる。
【0032】
ところで、パイプPを、上下から閉じて挟持する挟持アーム43の上アーム43A・下アーム43Bには、多数の滑り止め用三角凸条部50を内面に有する。
【0033】
本発明に係る金属パイプ接続方法は、以上詳述したように、直線状貫孔2の内面2Aに、薄肉円筒状のロウ材10を予め形成した金属製管継手1を、上記貫孔2の軸心L
1 廻りに高速回転させつつ、上記貫孔2の両端開口部2C,2Cから一対の金属パイプP,Pを押込んでゆき、パイプPの先端外周面14と、上記ロウ材10との回転摩擦熱によって、該ロウ材10を溶融させ、パイプPの先端外周面14と、管継手1の貫孔2の内面2Aとを、接合する方法であるので、部品点数は管継手1の一個のみであって、かつ、管継手1の形状・寸法は、従来例(
図15,
図16参照)のような超精密加工も必要とせず、容易かつ安価に作製できる。また、配管作業現場で落して傷付く部品も無く、(例えば、)10秒~15秒程度の短い時間にてロウ付けにてパイプ接続を行い得る。
【0034】
また、上記直線状貫孔2の内面2Aには、軸心方向中央部位に、パイプ先端止め用突条部3が、形成され、薄肉円筒状の上記ロウ材10は、その内端10Aが上記突条部3に当接すると共に、アキシャル外方向にしだいに拡径するテーパ状内周面を有しているので、金属パイプPを押込んでゆく最中にも、薄肉円筒状ロウ材10が軸心方向(内方)へ逃げずに固定され、短秒間でパイプPを強力に押込み可能である(
図4参照)。しかも、ロウ材10の内周面がアキシャル内方に縮径しており、パイプPの押込みY(
図4参照)が進むに伴って、
図4(B)に示すように、パイプ先端に対応するロウ材10の摩擦加熱による温度上昇速度が加速し、ロウ材10の全体を、最も効率良く溶融できる(パイプ押込みに要する秒時を短縮可能である)。
【0035】
また、上記管継手1は、外周面に多数の小凹凸歯5が予め形成され、該小凹凸歯5に噛合する小凸凹歯25を有する大径駆動ギア15によって、上記管継手1が高速回転され、しかも、最終パイプ接続完了状態に於て、上記小凹凸歯5を管継手1に残留したままとするパイプ接続方法であるので、高速回転のために重要な機能を発揮した小凹凸歯5を、取去る作業(手間)が省略されて、パイプ接続作業全体の所要時間が著しく短縮でき、かつ、捨て材も発生しないで済む。
【0036】
また、上記管継手1は、外周面6の軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯5を有する一対のギア部8,8が、突設され、一対の該ギア部8,8の間に中央凹周溝9が形成され、上記貫孔2の両端開口部2C,2Cに一対の上記パイプP,Pを押込んでゆく際に、上記管継手1が上記軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪12,13の外周端縁の一部位を、管継手1の上記中央凹周溝9に、嵌め込む構成であるので、パイプP,Pを短秒間で押込むことが可能となり、安定したロウ付けの品質を保つことができる(
図1~
図5参照)。
【0037】
また、上記管継手1は、外周面19の軸心方向中央部位に、多数の小凹凸歯5を有する中央ギア部20が、突設され、該中央ギア部20から軸心方向両側に小径円筒部21,21が形成され、上記貫孔2の両端開口部2C,2Cに一対の上記パイプP,Pを押込んでゆく際に、上記管継手1が上記軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪12,12,13,13の外周端縁の一部位を、管継手1の上記小径円筒部21,21に、嵌め込む構成であるので、パイプP,Pを短秒間で押込むことができて、安定したロウ付けの品質を保つことができる(
図6~
図8参照)。
【0038】
また、上記管継手1は、軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯5を有する一対のギア部8,8が、突設され、上記一対のギア部8,8の対面する内側面8Y,8Yは、縦断面においてラジアル外方向へ間隔寸法が拡大する傾斜面に形成され、上記両内側面8Y,8Yの間にはラジアル方向へしだいに拡大する台形状中央凹周溝29を有し;上記貫孔2の両端開口部2C,2Cに一対のパイプP,Pを押込んでゆく際に、上記管継手1が上記軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪12,13の外周端縁の肉厚寸法が、ラジアル外方にしだいに減少するように設定して、該外周端縁の両面は傾斜面12T,12T,13T,13Tを有し、管継手1の上記断面台形状の中央凹周溝29に嵌め込むと共に、上記傾斜面12T,12T,13T,13Tを上記両内側面8Y,8Yに接触させて、上記管継手1が上記軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する構成であるので、管継手1を、一層、安定姿勢で確実に保持でき、これに伴って、ロウ材10の接合の品質が安定・向上できる。また、
図10に示すように、管継手1の台形状中央凹周溝29の溝底29Bと、保持輪12,13の外周端面12P,13Pとの間に、微小ギャップG,Gが生ずるために、金属パイプPを押込んでゆく最中のロウ材10との回転摩擦熱が(外部へ)逃げ難く、ロウ付けのための規定の高温に、保持され易く、ロウ付けの品質・強度が高く維持できる利点もある。
【符号の説明】
【0039】
1 管継手
2 貫孔
2A 内面
2C 両端開口部
3 突条部
5 小凹凸歯
6 外周面
8 ギア部
8Y 内側面
9 中央凹周溝
10 ロウ材
10A 内端
12 円板状保持輪
12T 傾斜面
13 円板状保持輪
13T 傾斜面
14 先端外周面
15 大径駆動ギア
20 中央ギア部
21 小径円筒部
25 小凸凹部
29 台形状中央凹周溝
L1 軸心
P パイプ
【手続補正書】
【提出日】2022-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状貫孔(2)の内面(2A)に、薄肉円筒状のロウ材(10)を予め形成すると共に、外周面に多数の小凹凸歯(5)を予め形成した金属製管継手(1)を、該小凹凸歯(5)に噛合する小凸凹歯(25)を有する大径駆動ギア(15)によって、上記貫孔(2)の軸心(L1 )廻りに高速回転させつつ、上記貫孔(2)の両端開口部(2C)(2C)から一対の金属パイプ(P)(P)を非回転状態で押込んでゆき、
パイプ(P)の先端外周面(14)と、上記ロウ材(10)との回転摩擦熱によって、該ロウ材(10)を溶融させ、パイプ(P)の先端外周面(14)と、管継手(1)の貫孔(2)の内面(2A)とを、接合させ、
しかも、最終パイプ接続完了状態に於て、上記小凹凸歯(5)を管継手(1)に残留したままとすることを、
特徴とする金属パイプ接続方法。
【請求項2】
上記直線状貫孔(2)の内面(2A)には、軸心方向中央部位に、パイプ先端止め用突条部(3)が、形成され、
薄肉円筒状の上記ロウ材(10)は、その内端(10A)が上記突条部(3)に当接すると共に、アキシャル外方向にしだいに拡径するテーパ状内周面を有している
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【請求項3】
上記管継手(1)は、外周面(6)の軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯(5)を有する一対のギア部(8)(8)が、突設され、一対の該ギア部(8)(8)の間に中央凹周溝(9)が形成され、
上記貫孔(2)の両端開口部(2C)(2C)に一対の上記パイプ(P)(P)を押込んでゆく際に、上記管継手(1)が上記軸心(L
1
)方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪(12)(13)の外周端縁の一部位を、管継手(1)の上記中央凹周溝(9)に、嵌め込むことを特徴とする
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【請求項4】
上記管継手(1)は、外周面(19)の軸心方向中央部位に、多数の小凹凸歯(5)を有する中央ギア部(20)が、突設され、該中央ギア部(20)から軸心方向両側に小径円筒部(21)(21)が形成され、
上記貫孔(2)の両端開口部(2C)(2C)に一対の上記パイプ(P)(P)を押込んでゆく際に、上記管継手(1)が上記軸心(L1 )方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪(12)(12)(13)(13)の外周端縁の一部位を、管継手(1)の上記小径円筒部(21)(21)に、嵌め込むことを特徴とする
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【請求項5】
上記管継手(1)は、軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯(5)を有する一対のギア部(8)(8)が、突設され、上記一対のギア部(8)(8)の対面する内側面(8Y)(8Y)は、縦断面においてラジアル外方向へ間隔寸法が拡大する傾斜面に形成され、上記両内側面(8Y)(8Y)の間にはラジアル方向へしだいに拡大する台形状中央凹周溝(29)を有し、
上記貫孔(2)の両端開口部(2C)(2C)に一対のパイプ(P)(P)を押込んでゆく際に、上記管継手(1)が上記軸心(L1 )方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪(12)(13)の外周端縁の肉厚寸法が、ラジアル外方にしだいに減少するように設定して、該外周端縁の両面は傾斜面(12T)(12T)(13T)(13T)を有し、管継手(1)の上記断面台形状の中央凹周溝(29)に嵌め込むと共に、上記傾斜面(12T)(12T)(13T)(13T)を上記両内側面(8Y)(8Y)に接触させて、上記管継手(1)が上記軸心(L
1
)方向に不意に移動することを阻止することを、特徴とする
請求項1記載の金属パイプ接続方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属パイプ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から本発明者は多数の管継手及びパイプ接続構造(方法)について提案してきた。例えば、
図15,
図16に示すような構造の管継手につき、特許出願して、特許権を取得している(特許文献1参照)。
即ち、
図15,
図16に示した従来の管継手構造は、次のような構成であった。
【0003】
即ち、軸心方向両側の各々に雄ネジ部20A´と先端縮径テーパ部20B´を有するフレア継手本体20´と、上記雄ネジ部20A´に螺着される雌ネジ部15A´を有する袋ナット15´とを、備え;相互に接続される2本の被接続用パイプP´は、先端面3´から所定軸心寸法L5 ´に渡って先端拡径管部5´が形成されると共に、上記先端拡径管部5´と基本径管部6´との境界には、テーパ状段付部10´が形成され;上記パイプP´の上記先端拡径管部5´に内挿される接続筒部31´と、上記先端縮径テーパ部20B´に当接する勾配面32´を有するインコア30´を備え;上記袋ナット15´のフレア継手本体20´への螺進により、上記パイプP´のテーパ状段付部10´を経て上記先端拡径管部5´に外嵌される閉円環状リング25´を、上記袋ナット15´の内部に設け、上記リング25´のラジアル内方向への縮径付勢力にて、上記パイプP´の先端拡径管部5´と上記インコア30´の接続筒部31´との密封状態を保ち;さらに、上記袋ナット15´のフレア継手本体20´への螺着に伴うアキシャル方向の力を、上記リング25´を介してインコア30´に伝達して、上記フレア継手本体20´の先端縮径テーパ部20B´と、インコア30´の勾配面32´との圧接密封状態を保つように構成したものである。
しかも、上記インコア30´の接続筒部31´の外周面には、複数本の断面三角形乃至富士山形の独立小突条36´が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図15と
図16に示した従来の管継手は、プラスチックやゴムのシール材が省略されて、冷媒等の流体に対して、優れた密封性能を長期に渡って発揮できる。かつ、強力な耐引抜力を発揮でき、高圧力にも耐える優れた管継手である。
しかしながら、
図15と
図16に示す管継手には、次のような問題点(欠点)があることが判ってきた。
即ち、 (i) 部品点数が極めて多い点、 (ii) インコア30´の形状・寸法が厳格に要求されるので製作が難しい点。(iii) 全体に各部品の製作も容易でなく高価な管継手となっている点、 (iv) 配管接続現場に於て部品を落したり紛失する場合がある点、等の問題点が残されていることが、最近、判明してきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る金属パイプ接続方法は、直線状貫孔の内面に、薄肉円筒状のロウ材を予め形成すると共に、外周面に多数の小凹凸歯を予め形成した金属製管継手を、該小凹凸歯に噛合する小凸凹歯を有する大径駆動ギアによって、上記貫孔の軸心廻りに高速回転させつつ、上記貫孔の両端開口部から一対の金属パイプを非回転状態で押込んでゆき;パイプの先端外周面と、上記ロウ材との回転摩擦熱によって、該ロウ材を溶融させ、パイプの先端外周面と、管継手の貫孔の内面とを、接合させ;しかも、最終パイプ接続完了状態に於て、上記小凹凸歯を管継手に残留したままとする。
【0007】
また、上記管継手の直線状貫孔の内面には、軸心方向中央部位に、パイプ先端止め用突条部が、形成され;薄肉円筒状の上記ロウ材は、その内端が上記突条部に当接すると共に、アキシャル外方向にしだいに拡径するテーパ状内周面を有している。
【0008】
また、上記管継手は、外周面の軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯を有する一対のギア部が、突設され、一対の該ギア部の間に中央凹周溝が形成され;上記貫孔の両端開口部に一対の上記パイプを押込んでゆく際に、上記管継手が上記軸心方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪の外周端縁の一部位を、管継手の上記中央凹周溝に、嵌め込む。
また、上記管継手は、外周面の軸心方向中央部位に、多数の小凹凸歯を有する中央ギア部が、突設され、該中央ギア部から軸心方向両側に小径円筒部が形成され;上記貫孔の両端開口部に一対の上記パイプを押込んでゆく際に、上記管継手が上記軸心方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪の外周端縁の一部位を、管継手の上記小径円筒部に、嵌め込む。
【0009】
また、上記管継手は、軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯を有する一対のギア部が、突設され、上記一対のギア部の対面する内側面は、縦断面においてラジアル外方向へ間隔寸法が拡大する傾斜面に形成され、上記両内側面の間にはラジアル方向へしだいに拡大する台形状中央凹周溝を有し;上記貫孔の両端開口部に一対のパイプを押込んでゆく際に、上記管継手が上記軸心方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪の外周端縁の肉厚寸法が、ラジアル外方にしだいに減少するように設定して、該外周端縁の両面は傾斜面を有し、管継手の上記断面台形状の中央凹周溝に嵌め込むと共に、上記傾斜面を上記両内側面に接触させて、上記管継手が上記軸心方向に不意に移動することを阻止するように、構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数が最少で済み、安価な管継手一個で、パイプ相互を接合(接続)できる。管継手の内部のロウ材を、管継手の回転に伴った回転摩擦熱によって、数秒乃至20秒程度で溶融させ、迅速なパイプ相互の接合(接続)作業が完了する。しかも、パイプ接合部位(管継手)の外径が小さく、コンパクトであり、接続完了した複数本のパイプ相互間隔を減少でき、複数本のパイプをコンパクトに配置可能となる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】パイプ接続に用いられる管継手の一実施例を示し、(A)は縦断面図、(B)は要部拡大図である。
【
図2】本発明に係るパイプ接続方法の一実施形態を示した一部断面側面図である。
【
図4】回転摩擦熱によってロウ材を溶融させながらパイプの先端を回転運動中の管継手内へ押込んでゆく状態を順次示した要部拡大断面図である。
【
図5】管継手の一実施例を示すと共にパイプ接続完了状態を示した断面図である。
【
図7】本発明に係るパイプ接続方法の他の実施形態を示した一部断面正面図である。
【
図10】本発明に係るパイプ接続方法の別の実施形態を示した一部断面正面図である。
【
図11】パイプ接続完了状態を示した断面図であって、(A)は全体の断面図、(B)は(A)の要部Wの拡大断面図である。
【
図12】パイプ接続装置の一実施例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1~
図4に於て、本発明の実施の一形態を示し、1は金属製管継手であって、直線状貫孔2の内面2Aに、薄肉円筒状のロウ材(ろう材)10を予め形成しておく。
【0013】
この管継手1の貫孔2の内面2Aの軸心方向中央部位には、小さな矩形状横断面を有する円環状の突条部3が、形成されている。
さらに、薄肉円筒状のロウ材10は、その内端10Aが上記突条部3に当接していると共に、アキシャル外方向にしだいに拡径するテーパ状内周面を有する。
ロウ材10は、融点を越える温度にて溶融した状態で、管継手1の内面2Aに溶着形成する。又は、予め加熱して溶融状態としたロウ材を成型金型等に流し込み、円筒状に固化させた後に、取出して、それを管継手1の貫孔2の内面2Aに圧入固着させることも可能である。
【0014】
このテーパ状内周面を有し外周面は同一外径であるロウ材10の平均肉厚T
10は、0.1 mm~2mmに設定し、内周面の傾斜角度θ(
図1(B)参照)は、1°~3°とする。望ましくは、1.5 °~2.5 °とする。
そして、ロウ材(ろう材)10の材料としては、BAg銀ろう,BAlアルミニウムろう,BCuPリン銅ろう,BCuZn黄銅ろう等を用いる。パイプPの材質及び管継手1の本体の材質と同種のロウ材の材料を選定する。
【0015】
そして、上記管継手1は、(
図1,
図3に示すように)外周面に多数の小凹凸歯5が形成されている。
特に、
図1(A)と
図3に示すように、外周面6の軸心方向左右両側に多数の小凹凸歯5を有する(一対の)ギア部8,8が突設されている。また、一対の該ギア部8,8の間に、中央凹周溝9が形成されている。
【0016】
図2と
図3に示すように、パイプ接続装置30は、管継手1を、水平状一軸心L
1 廻りに回転自在に(下方から)保持する2枚の円板状保持輪12,12と、上方から回転自在に保持する一枚の円板状保持輪13とを、具備している。
この上下の円板状保持輪13;12,12の外周端縁の一部位を、管継手1の中央凹周溝9に、(相互に回転接触自在として)嵌め込む。
【0017】
そして、本発明のパイプ接続方法にあっては、
図3及び
図4に示す如く、金属製管継手1を、その貫孔2の軸心L
1 廻りに高速回転(矢印M
1 参照)させつつ、上記貫孔2の両端開口部2C,2Cから一対の金属パイプP,Pを矢印Yのように押込んでゆく。このように矢印M
1 のような高速回転を行いつつパイプP,Pを矢印Yのように押込むことによって、パイプPの先端外周面14と、ロウ材10との回転摩擦熱によって、ロウ材10を溶融させ、パイプPの先端外周面14と、管継手1の貫孔2の内面2Aとを、接合する。
なお、
図4に於て、(A)→(B)→(C)と順次、パイプPが深く挿入されてゆくに伴って、点々で示した固体状態のロウ材10が、網目状で示した溶融状態に変化してゆくことが判る。
【0018】
ところで、
図2と
図3にもどって追加説明すると、15,15は大径駆動ギアであって、2枚一組として、軸心L
15廻りに矢印M
15方向に回転する。
上記管継手1が2枚のギア部8,8を有することに対応して、大径駆動ギア15,15も2枚備え、その間に円板状保持輪13が挾着されている。
【0019】
大径駆動ギア15は、管継手1の小凹凸歯5に噛合するための小凸凹歯25を有する。大径駆動ギア15によって、管継手1は矢印M1 方向に高速回転するが、円板状上保持輪13が上方から、及び、円板状下保持輪12が下方から、中央凹周溝9に差込まれていることによって、パイプPの矢印Y方向への押込み時にも、管継手1は安定姿勢を保ちつつ回転できて、管継手1が軸心L1 方向に移動しない。
言い換えると、貫孔2の両端開口部2C,2Cに一対の上記パイプP,Pを押込んでゆく際に、上記管継手1が上記軸心L1 方向に不意に移動することを阻止する。
【0020】
なお、
図2に於て、16は携帯自在な電動工具の出力軸が差込み自在な六角孔部17を有する駆動用小ギアを示し、作業現場に於て、パイプ接続装置30を設置して、小型の携帯自在な電動工具の出力軸を、六角孔部17に差込めば、簡易かつ迅速に、(
図4に示した)パイプ接続作業を、行うことができる。
なお、
図2~
図4に於て、以上説明したように、回転摩擦熱によるロウ材10の溶融を行って、パイプP,P相互の接合(接続)が完了すれば、
図2に於て、回転を停止して、上下移動機構18によって、円板状保持輪12,12を下方へ移動すれば、管継手1の付着したパイプP,Pを、簡単に取外すことができる。特に、
図14について後述するように、挾持アーム43の上アーム43Aを軸心L
46廻りに上方へ揺動して、上アーム43Aを開放すれば、一層、簡単に、パイプP,Pと管継手1を取外すことができる。(勿論、最初の管継手1とパイプP,Pのセットも容易である。)
【0021】
従って、最終配管接続状態―――即ち、パイプP,Pが相互に接続されて、配管全体の一部を構成した流体を送る最終状態―――に於ても、上述の小凹凸歯5,5を管継手1として、残留させたままとする。
言い換えれば、ロウ材10を溶融させるための回転摩擦熱を発生させるために主役の管継手回転役(機能)を演じた部位―――小凹凸歯5,5―――は、取去ることなく、そのまま最終パイプ接続完了状態にまで、残留させる。即ち、小凹凸歯5の外径方向突出寸法は微小であって、配管全体の邪魔とはならない(
図5参照)。
【0022】
次に、
図6~
図8は、本発明の他の実施形態を示す。
管継手1は、外周面19の軸心方向中央部位に、多数の小凹凸歯5を有する中央ギア部20が、突設され、かつ、中央ギア部20から軸心方向両側に(上記ギア部20よりも小さい外径の)小径円筒部21,21が、形成される。
貫孔2の形状、中央の突条部3を有する点、ロウ材10,10の形状と配置は、
図1の実施形態と同様である。
【0023】
そして、
図7に示すように、下方には円板状保持輪12,12が2枚備えている。しかも、2枚の該保持輪12,12は、一体ものとして、小径筒部12Cにて連結された形状である。このような一体化された2枚の円板状保持輪12,12の外周端縁の一部位を、管継手1の両側の上記小径円筒部21,21に嵌め込んでいる。
このように、保持輪12,12を一体として有している下方サポート回転体24は、
図2にて説明した実施形態と同様に、水平状一軸心L
1 と平行な方向から見れば、左右に分離して、2個が配置されている。
【0024】
また、大径駆動ギア15は単数枚として、その両側面に当接状として、2枚の上方の円板状保持輪13,13が挾持している構造である。
電気モータM0 にて回転される駆動軸22に、キー23(又は図示省略のスプライン)を介して、大径駆動ギア15と、2枚の円板状保持輪13,13が取着される。上方の円板状保持輪13,13の(外周端縁の)一部位を管継手1の前記小径円筒部21,21に、嵌め込む。
【0025】
そして、
図4と
図7に示すように、貫孔2の両端開口部2C,2Cに、一対のパイプP,Pを押込んでゆく際に、管継手1が軸心L
1 方向に不意に移動することを、4枚の円板状保持輪12,12,13,13にて、阻止する。
図8は、
図7に示すパイプ接続装置と接続方法によって、接続完了した状態のパイプ接続構造体を示している。
【0026】
次に、
図9~
図11は、本発明の別の実施形態を示す。
即ち、
図9と
図10に示す如く、管継手1は、軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯5を有する一対のギア部8,8が、突設されると共に、この一対のギア部8,8の対面する内側面8Y,8Yは、縦断面―――つまり、軸心L
1 を含む断面―――において、ラジアル外方向へ間隔寸法が拡大する傾斜面に形成される。
これによって、両内側面8Y,8Yの間には、ラジアル方向へしだいに拡大する台形状中央凹周溝29が形成されている。
【0027】
管継手1の両端開口部2C,2Cに、
図10に示すように、一対のパイプP,Pを押込んでゆく際に、管継手1が軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪12,13は、その外周端縁が断面台形である。
言い換えると、外周端縁において、円板状保持輪12,13の肉厚寸法が、ラジアル外方にしだいに減少するように設定されて、断面台形として、その外周端縁の両面は、傾斜面12T,12T;13T,13Tとして、形成される。
そして、管継手1の断面台形状の中央凹周溝29に、傾斜面12T,12Tを有する保持輪12の断面台形の外周端縁を、嵌め込み、同時に、傾斜面13T,13Tを有する保持輪13の断面台形の外周端縁を、嵌め込み、下方と上方から、管継手1を回転自在に、保持し、かつ、軸心L
1 方向に不意に移動することを、阻止する。
【0028】
ところで、
図10に示した実施形態では、管継手1のギア部8,8に噛合する歯部(ギア部)を有する大径駆動ギア15,15と、(その間に配設される)保持輪13は、一体状(一体もの)の場合を、示している。
このような一体状(一体もの)とすることで、(
図3等の場合よりも、)剛性と強度が向上し、一層確実に安定して、管継手1の回転駆動、及び、軸心L
1 方向の微小位置ずれ(移動)防止を、達成できる。
【0029】
次に、
図12~
図14は、上述のパイプ接続作業に用いられるパイプ接続装置の一実施形態を示す。また、
図12~
図14に示したパイプ接続装置は、
図2,
図3に於て、一部を図示して軽く説明済みではあるが、以下、さらに具体的に説明すると、以下の通りである。
平行な2枚の板材36,36を平行に有し、この板材36は、(
図14のように)側面視が、下辺板37と、後方の上下連結板38と、上辺板39をもって、略コの字形状であり、上下中間位置に前方開口状の切欠部41を有する。この切欠部41の空間内に、管継手1及びパイプPが
図14に示すように対応する。
つまり、
図2に於て既述した、(下方の)円板状保持輪12,12と、これに支持される管継手1と、一対の被接続用パイプPの先端部位と、(上方の)円板状保持輪13の下半部位が、側面視において、切欠部41に、対応配置される。
【0030】
図2と
図14に於て、(携帯式の)電動工具の突出状出力軸が連結自在な小ギア16は、大径駆動ギア15に噛合し、矢印M
15方向にこのギア15を回転させて矢印M
1 方向に管継手1を回転駆動すると同時に、連動機構40を介して、パイプP,Pを各々上下方向から
挾持した
挾持アーム43,43を矢印J,K方向に往復移動させることができる。
即ち、上記連動機構40は、
図14に示した2個のギア44,45、及び、ネジ軸46と、(
挾持アーム43の)ネジ孔47等から構成される。
【0031】
挾持アーム43は、ネジ軸46の軸心L
46廻りに、
図14に示した水平姿勢から、同図の左端が上方へ開くように、上方へ揺動可能な上アーム43Aと、(常に水平姿勢の)下アーム43Bとから、成っている。しかも、
図14のように、上アーム43Aと下アーム43Bが閉じた状態を保つように維持するロック部材48を有する。
このロック部材48は、ネジ孔付き回転軸48Aと、ピン48Bにて下アーム43Bに枢着されたボルト杆48Cから、構成される。そして、回転輪48Aを緩めると、矢印N
48方向にロック部材48を倒して、上アーム43Aを軸心L
46廻りに揺動して、開放状態とすることができる。
このような開放状態下で、管継手1のセッティングと(パイプ接続完了状態での)取出しを行うことができる。
【0032】
ところで、パイプPを、上下から閉じて挾持する挾持アーム43の上アーム43A・下アーム43Bには、多数の滑り止め用三角凸条部50を内面に有する。
【0033】
本発明に係る金属パイプ接続方法は、以上詳述したように、直線状貫孔2の内面2Aに、薄肉円筒状のロウ材10を予め形成
すると共に、外周面に多数の小凹凸歯5を予め形成した金属製管継手1を、
該小凹凸歯5に噛合する小凸凹歯25を有する大径駆動ギア15によって、上記貫孔2の軸心L
1 廻りに高速回転させつつ、上記貫孔2の両端開口部2C,2Cから一対の金属パイプP,Pを
非回転状態で押込んでゆき
;パイプPの先端外周面14と、上記ロウ材10との回転摩擦熱によって、該ロウ材10を溶融させ、パイプPの先端外周面14と、管継手1の貫孔2の内面2Aとを、接合
させ;しかも、最終パイプ接続完了状態に於て、上記小凹凸歯5を管継手1に残留したままとする方法であるので、
配管(パイプ)接続作業中に、長尺パイプPを単に直接運動させる(押込する)のみであり、小型部品の管継手1のみを高速回転させれば良く、安全性が高く、しかも、確実かつ容易に、ロウ材の溶融を実現できる。さらに、部品点数は管継手1の一個のみであって、かつ、管継手1の形状・寸法は、従来例(
図15,
図16参照)のような超精密加工も必要とせず、容易かつ安価に作製できる。また
、短い時間にてロウ付けにてパイプ接続を行い得る。
しかも、高速回転のために重要な機能を発揮した小凹凸歯5を、取去る作業(手間)が省略されて、パイプ接続作業全体の所要時間が著しく短縮でき、かつ、捨て材も発生しないで済む。
【0034】
また、上記直線状貫孔2の内面2Aには、軸心方向中央部位に、パイプ先端止め用突条部3が、形成され、薄肉円筒状の上記ロウ材10は、その内端10Aが上記突条部3に当接すると共に、アキシャル外方向にしだいに拡径するテーパ状内周面を有しているので、金属パイプPを押込んでゆく最中にも、薄肉円筒状ロウ材10が軸心方向(内方)へ逃げずに固定され、短秒間でパイプPを強力に押込み可能である(
図4参照)。しかも、ロウ材10の内周面がアキシャル内方に縮径しており、パイプPの押込みY(
図4参照)が進むに伴って、
図4(B)に示すように、パイプ先端に対応するロウ材10の摩擦加熱による温度上昇速度が加速し、ロウ材10の全体を、最も効率良く溶融できる(パイプ押込みに要する秒時を短縮可能である)。
【0035】
また、上記管継手1は、外周面6の軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯5を有する一対のギア部8,8が、突設され、一対の該ギア部8,8の間に中央凹周溝9が形成され、上記貫孔2の両端開口部2C,2Cに一対の上記パイプP,Pを押込んでゆく際に、上記管継手1が上記軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪12,13の外周端縁の一部位を、管継手1の上記中央凹周溝9に、嵌め込む構成であるので、パイプP,Pを短秒間で押込むことが可能となり、安定したロウ付けの品質を保つことができる(
図1~
図5参照)。
【0036】
また、上記管継手1は、外周面19の軸心方向中央部位に、多数の小凹凸歯5を有する中央ギア部20が、突設され、該中央ギア部20から軸心方向両側に小径円筒部21,21が形成され、上記貫孔2の両端開口部2C,2Cに一対の上記パイプP,Pを押込んでゆく際に、上記管継手1が上記軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪12,12,13,13の外周端縁の一部位を、管継手1の上記小径円筒部21,21に、嵌め込む構成であるので、パイプP,Pを短秒間で押込むことができて、安定したロウ付けの品質を保つことができる(
図6~
図8参照)。
【0037】
また、上記管継手1は、軸心方向左右両側に、多数の小凹凸歯5を有する一対のギア部8,8が、突設され、上記一対のギア部8,8の対面する内側面8Y,8Yは、縦断面においてラジアル外方向へ間隔寸法が拡大する傾斜面に形成され、上記両内側面8Y,8Yの間にはラジアル方向へしだいに拡大する台形状中央凹周溝29を有し;上記貫孔2の両端開口部2C,2Cに一対のパイプP,Pを押込んでゆく際に、上記管継手1が上記軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する円板状保持輪12,13の外周端縁の肉厚寸法が、ラジアル外方にしだいに減少するように設定して、該外周端縁の両面は傾斜面12T,12T,13T,13Tを有し、管継手1の上記断面台形状の中央凹周溝29に嵌め込むと共に、上記傾斜面12T,12T,13T,13Tを上記両内側面8Y,8Yに接触させて、上記管継手1が上記軸心L
1 方向に不意に移動することを阻止する構成であるので、管継手1を、一層、安定姿勢で確実に保持でき、これに伴って、ロウ材10の接合の品質が安定・向上できる。また、
図10に示すように、管継手1の台形状中央凹周溝29の溝底29Bと、保持輪12,13の外周端面12P,13Pとの間に、微小ギャップG,Gが生ずるために、金属パイプPを押込んでゆく最中のロウ材10との回転摩擦熱が(外部へ)逃げ難く、ロウ付けのための規定の高温に、保持され易く、ロウ付けの品質・強度が高く維持できる利点もある。
【符号の説明】
【0038】
1 管継手
2 貫孔
2A 内面
2C 両端開口部
3 突条部
5 小凹凸歯
6 外周面
8 ギア部
8Y 内側面
9 中央凹周溝
10 ロウ材
10A 内端
12 円板状保持輪
12T 傾斜面
13 円板状保持輪
13T 傾斜面
14 先端外周面
15 大径駆動ギア
20 中央ギア部
21 小径円筒部
25 小凸凹部
29 台形状中央凹周溝
L1 軸心
P パイプ
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】