(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155400
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】光学測定装置および光学測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/06 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
G01B11/06 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139645
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2019193275の分割
【原出願日】2019-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000206967
【氏名又は名称】大塚電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】田口 都一
(57)【要約】
【課題】より正確に測定対象物の透過率または反射率を測定する。
【解決手段】対象領域へ複数波長を含む照射光を直線状に照射する照射光学系と、対象領域への照射光の照射により対象領域から生じる透過光または反射光である測定光を受光する受光光学系と、受光光学系における測定光の受光結果に基づいて、受光スペクトルを生成し、生成した受光スペクトルに基づいて、測定領域に配置される測定対象物の波長ごとの透過率または反射率を算出する算出部とを備え、算出部は、測定対象物が存在しないときの測定領域から生じる測定光に基づく第1の基準スペクトル、非測定領域から生じる測定光に基づく第2の基準スペクトル、および測定対象物が存在するときの測定領域から生じる測定光に基づく測定スペクトルに基づいて、測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定領域と、前記測定領域とは異なる領域である非測定領域とを含む対象領域へ、複数波長を含む照射光を直線状に照射する照射光学系と、
前記対象領域への前記照射光の照射により前記対象領域から生じる透過光または反射光である測定光を受光する受光光学系と、
前記受光光学系における前記測定光の受光結果に基づいて、前記対象領域における位置ごとの、波長と前記測定光の強度との関係である受光スペクトルを生成し、生成した前記受光スペクトルに基づいて、前記測定領域に配置される測定対象物の波長ごとの透過率または反射率を算出する算出部とを備え、
前記算出部は、前記測定対象物が存在しないときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第1の基準スペクトル、前記非測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第2の基準スペクトル、および前記測定対象物が存在するときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである測定スペクトルに基づいて、前記測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する、光学測定装置。
【請求項2】
前記第2の基準スペクトルは、前記測定領域に前記測定対象物が存在しないときの前記非測定領域から生じる前記測定光に基づいて、前記算出部によって予め生成されたスペクトルであり、
前記算出部は、前記測定領域に前記測定対象物が存在するときの前記非測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである参照スペクトルにさらに基づいて、前記測定対象物の前記透過率スペクトルまたは前記反射率スペクトルを算出する、請求項1に記載の光学測定装置。
【請求項3】
前記参照スペクトルおよび前記測定スペクトルは、それぞれ、前記測定領域に前記測定対象物が存在するときの同じタイミングにおいて前記受光光学系によって受光された、前記非測定領域から生じる前記測定光および前記測定領域から生じる前記測定光に基づいて、前記算出部によって生成されたスペクトルである、請求項2に記載の光学測定装置。
【請求項4】
前記第1の基準スペクトルおよび前記第2の基準スペクトルは、それぞれ、前記測定領域に前記測定対象物が存在する前の同じタイミングにおいて前記受光光学系によって受光された、前記測定領域から生じる前記測定光および前記非測定領域から生じる前記測定光に基づいて、前記算出部によって生成されたスペクトルである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記測定対象物が存在しないときの前記測定領域における複数の位置から生じる前記測定光にそれぞれ基づく複数の前記第1の基準スペクトル、前記第2の基準スペクトル、および前記複数の位置から生じる前記測定光にそれぞれ基づく複数の前記測定スペクトルに基づいて、前記測定対象物の前記透過率スペクトルまたは前記反射率スペクトルを算出する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学測定装置。
【請求項6】
測定領域と、前記測定領域とは異なる領域である非測定領域とを含む対象領域へ、複数波長を含む照射光を直線状に照射するステップと、
前記対象領域への前記照射光の照射により前記対象領域から生じる透過光または反射光である測定光を受光するステップと、
前記測定光の受光結果に基づいて、前記対象領域における位置ごとの、波長と前記測定光の強度との関係である受光スペクトルを生成し、生成した前記受光スペクトルに基づいて、前記測定領域に配置される測定対象物の波長ごとの透過率または反射率を算出するステップとを含み、
前記透過率または前記反射率を算出するステップにおいては、前記測定対象物が存在しないときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第1の基準スペクトル、前記非測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第2の基準スペクトル、および前記測定対象物が存在するときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである測定スペクトルに基づいて、前記測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する、光学測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学測定装置および光学測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、測定対象物へのライン光の照射によって測定対象物から生じる透過光または反射光に基づいて、測定対象物の透過率または反射率を測定することにより、たとえば測定対象物の膜厚分布を測定する技術が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2017-146288号公報)には、以下のような膜厚分布測定方法が開示されている。すなわち、膜厚分布測定方法は、基板の表面上に形成された少なくとも1層の薄膜を有する薄膜付ウェーハの前記薄膜の膜厚分布をライン光源を用いた反射分光法によって測定する膜厚分布測定方法であって、前記ライン光源として、前記薄膜付ウェーハの直径より長い光源を有するライン光源を用い、前記ライン光源から照射される線状の光で前記薄膜付ウェーハの表面を走査して反射光を検出する際に、同時に、リファレンスに前記線状の光の一部を照射し、その反射光も検出する工程と、該リファレンスからの反射光強度を用いて前記薄膜付ウェーハからの反射光強度を補正する工程と、該補正された薄膜付ウェーハの反射光強度から、前記膜厚分布を算出する工程とを含む。
【0004】
また、特許文献2(特開2015-17804号公報)には、以下のような膜厚分布測定方法が開示されている。すなわち、膜厚分布測定方法は、基板の表面上に形成された少なくとも1つの薄膜を有する薄膜付ウェーハの前記薄膜の膜厚分布をライン光源を用いた反射分光法によって測定する膜厚分布測定方法であって、前記薄膜付ウェーハ上のライン光源方向の各点における入射角を補正する下記の第1の工程、第2の工程、及び第3の工程と、前記補正された入射角を用いて前記薄膜付ウェーハの薄膜の膜厚分布を測定する第4の工程を有し、前記第1の工程において、予め分かっている膜厚の薄膜を有する薄膜付ウェーハを用いて、該薄膜付ウェーハの中心の反射率を測定し、該測定した反射率と前記予め分かっている膜厚からウェーハ中心における補正された入射角を算出し、前記第2の工程において、前記第1の工程で用いた前記薄膜付ウェーハの薄膜と同じ材質の薄膜を有する前記膜厚分布の測定対象の薄膜付ウェーハと、前記算出したウェーハ中心における補正された入射角を用い、該薄膜付ウェーハを前記ライン光源に垂直なウェーハ面内方向に移動させながら、前記ライン光源の中心位置でのウェーハ中心線に沿った領域の膜厚分布を測定し、前記第3の工程において、前記第2の工程後の薄膜付ウェーハを90°回転させた後、前記第2の工程で測定した領域の反射率分布を前記ライン光源方向の各点において測定し、該測定した反射率分布と前記第2の工程で測定した膜厚分布から前記ライン光源方向の各点における補正された入射角を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-146288号公報
【特許文献2】特開2015-17804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような特許文献1および特許文献2の技術を超えて、より正確に測定対象物の透過率または反射率を測定可能とする技術が望まれる。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、より正確に測定対象物の透過率または反射率を測定することができる光学測定装置および光学測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる光学測定装置は、測定領域と、前記測定領域とは異なる領域である非測定領域とを含む対象領域へ、複数波長を含む照射光を直線状に照射する照射光学系と、前記対象領域への前記照射光の照射により前記対象領域から生じる透過光または反射光である測定光を受光する受光光学系と、前記受光光学系における前記測定光の受光結果に基づいて、前記対象領域における位置ごとの、波長と前記測定光の強度との関係である受光スペクトルを生成し、生成した前記受光スペクトルに基づいて、前記測定領域に配置される測定対象物の波長ごとの透過率または反射率を算出する算出部とを備え、前記算出部は、前記測定対象物が存在しないときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第1の基準スペクトル、前記非測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第2の基準スペクトル、および前記測定対象物が存在するときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである測定スペクトルに基づいて、前記測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する。
【0009】
このように、測定対象物が存在しないときの測定領域からの測定光に基づく第1の基準スペクトル、非測定領域からの測定光に基づく第2の基準スペクトル、および測定対象物が存在するときの測定領域からの測定光に基づく測定スペクトルに基づいて、測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する構成により、たとえば、測定対象物を測定領域に配置する前と配置した後との時間差による照射光強度および受光感度の時間的変化、測定領域と非測定領域との照射位置の相違に起因する照射光強度および受光感度のばらつき等の影響を考慮して、測定スペクトルから透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出することができる。したがって、より正確に測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを測定することができる。
【0010】
(2)好ましくは、前記第2の基準スペクトルは、前記測定領域に前記測定対象物が存在しないときの前記非測定領域から生じる前記測定光に基づいて、前記算出部によって予め生成されたスペクトルであり、前記算出部は、前記測定領域に前記測定対象物が存在するときの前記非測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである参照スペクトルにさらに基づいて、前記測定対象物の前記透過率スペクトルまたは前記反射率スペクトルを算出する。
【0011】
このような構成により、たとえば、第1の基準スペクトル、第2の基準スペクトルおよび参照スペクトルに基づいて、測定スペクトルを生成すべきタイミングにおいて測定領域に測定対象物が存在しなかったと仮定した場合に生成される受光スペクトルをより正確に推定し、推定した受光スペクトルに基づいて、より正確に透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出することができる。
【0012】
(3)より好ましくは、前記参照スペクトルおよび前記測定スペクトルは、それぞれ、前記測定領域に前記測定対象物が存在するときの同じタイミングにおいて前記受光光学系によって受光された、前記非測定領域から生じる前記測定光および前記測定領域から生じる前記測定光に基づいて、前記算出部によって生成されたスペクトルである。
【0013】
このような構成により、たとえば、参照スペクトルを生成するタイミングと測定スペクトルを生成するタイミングとの時間差による照射光強度および受光感度の時間的変化の影響を小さくすることができるため、このような参照スペクトルを用いて、より正確に透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出することができる。
【0014】
(4)好ましくは、前記第1の基準スペクトルおよび前記第2の基準スペクトルは、それぞれ、前記測定領域に前記測定対象物が存在する前の同じタイミングにおいて前記受光光学系によって受光された、前記測定領域から生じる前記測定光および前記非測定領域から生じる前記測定光に基づいて、前記算出部によって生成されたスペクトルである。
【0015】
このような構成により、たとえば、第1の基準スペクトルを生成するタイミングと第2の基準スペクトルを生成するタイミングとの時間差による照射光強度および受光感度の時間的変化の影響を小さくすることができるため、このような第1の基準スペクトルおよび第2の基準スペクトルを用いて、より正確に透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出することができる。
【0016】
(5)好ましくは、前記算出部は、前記測定対象物が存在しないときの前記測定領域における複数の位置から生じる前記測定光にそれぞれ基づく複数の前記第1の基準スペクトル、前記第2の基準スペクトル、および前記複数の位置から生じる前記測定光にそれぞれ基づく複数の前記測定スペクトルに基づいて、前記測定対象物の前記透過率スペクトルまたは前記反射率スペクトルを算出する。
【0017】
このような構成により、測定領域における測定対象物の透過率分布または反射率分布を測定することができる。
【0018】
(6)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる光学測定方法は、測定領域と、前記測定領域とは異なる領域である非測定領域とを含む対象領域へ、複数波長を含む照射光を直線状に照射するステップと、前記対象領域への前記照射光の照射により前記対象領域から生じる透過光または反射光である測定光を受光するステップと、前記測定光の受光結果に基づいて、前記対象領域における位置ごとの、波長と前記測定光の強度との関係である受光スペクトルを生成し、生成した前記受光スペクトルに基づいて、前記測定領域に配置される測定対象物の波長ごとの透過率または反射率を算出するステップとを含み、前記透過率または前記反射率を算出するステップにおいては、前記測定対象物が存在しないときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第1の基準スペクトル、前記非測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第2の基準スペクトル、および前記測定対象物が存在するときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである測定スペクトルに基づいて、前記測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する。
【0019】
このように、測定対象物が存在しないときの測定領域からの測定光に基づく第1の基準スペクトル、非測定領域からの測定光に基づく第2の基準スペクトル、および測定対象物が存在するときの測定領域からの測定光に基づく測定スペクトルに基づいて、測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する方法により、たとえば、測定対象物を測定領域に配置する前と配置した後との時間差による照射光強度および受光感度の時間的変化、測定領域と非測定領域との照射位置の相違に起因する照射光強度および受光感度のばらつき等の影響を考慮して、測定スペクトルから透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出することができる。したがって、より正確に測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを測定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、より正確に測定対象物の透過率または反射率を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置における受光光学系の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置における処理装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第1の基準スペクトルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第2の基準スペクトルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第1の基準スペクトルの他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第2の基準スペクトルの他の例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第1の基準スペクトルと第2の基準スペクトルとの強度比を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される透過率スペクトルを示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置において測定対象物の透過率スペクトルを算出する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0023】
<第1の実施の形態>
[光学測定装置]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【0024】
図1を参照して、光学測定装置101は、照射光学系10と、受光光学系20と、処理装置30と、ベース部材4と、支持部材6とを備える。ベース部材4および支持部材6は、受光光学系20を固定する。なお、光学測定装置101は、ベース部材4および支持部材6を備える構成に限定されず、ベース部材4および支持部材6の代わりに、またはベース部材4および支持部材6に加えて、受光光学系20を固定するための他の部材を備える構成であってもよい。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
図2は、光学測定装置101の測定対象である測定対象物Sが配置された状態を示している。
【0026】
図2を参照して、光学測定装置101は、測定領域R1に配置される、フィルム等の測定対象物Sの透過率を測定する。
【0027】
たとえば、光学測定装置101は、測定対象物Sの製造ラインにおいて、測定領域R1を通って搬送される測定対象物S上の、複数の測定位置Mにおける透過率スペクトルを自動で測定する。すなわち、光学測定装置101は、測定対象物S上の複数の測定位置Mにおける透過率スペクトルをインラインで測定する。
【0028】
より詳細には、光学測定装置101は、たとえば周期的に透過率測定を行うことにより、搬送される測定対象物Sの測定位置Mにおける波長ごとの透過率を算出する。
【0029】
[照射光学系]
照射光学系10は、測定領域R1と、測定領域R1とは異なる領域である非測定領域R2とを含む対象領域Rへ、複数波長を含む照射光を直線状に照射する。
【0030】
より詳細には、照射光学系10は、直線状の領域である測定領域R1と、測定領域R1の長手方向の端部において当該測定領域R1に隣接する非測定領域R2とを含む対象領域Rへ照射光を照射する。
【0031】
照射光学系10は、光源11と、ラインライトガイド12とを含む。
【0032】
光源11は、複数波長を含む光を出射する。光源11が出射する光のスペクトルは、連続スペクトルであってもよいし、線スペクトルであってもよい。光源11が出射する光の波長は、測定対象物Sから取得すべき波長情報の範囲等に応じて設定される。光源11は、たとえばハロゲンランプである。
【0033】
ラインライトガイド12は、光源11から出射される光を受けて、受けた光をライン状の開口部から出射することにより、対象領域Rに照射光を直線状に照射する。ラインライトガイド12における照射光の出射面には、たとえば、光量ムラを抑制するための拡散部材等が配置される。ラインライトガイド12は、測定対象物Sが搬送される面の直下に配置される。
【0034】
たとえば、照射光学系10は、測定対象物Sの透過率スペクトルのインライン測定を行う場合、測定タイミングにおいて対象領域Rへ照射光を照射する一方、測定タイミング以外のタイミングにおいて対象領域Rへの照射光の照射を停止する。なお、照射光学系10は、測定タイミングに関わらず、継続的に対象領域Rへ照射光を照射する構成であってもよい。
【0035】
[受光光学系]
受光光学系20は、対象領域Rへの照射光の照射により対象領域Rから生じる透過光である測定光を受光する。
【0036】
受光光学系20は、対物レンズ21と、イメージング分光器22と、撮像部23とを含む。
【0037】
受光光学系20は、測定対象物Sを挟んで、ラインライトガイド12と対向する位置に配置される。
【0038】
受光光学系20は、ラインライトガイド12から出射された照射光のうち、対象領域Rを透過した透過光を測定光として受光する。具体的には、受光光学系20は、ラインライトガイド12から出射された照射光のうち、測定領域R1に配置された測定対象物Sの透過光を受光する。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置における受光光学系の構成を示す図である。
【0040】
図3を参照して、イメージング分光器22は、スリット221と、第1レンズ222と、回折格子223と、第2レンズ224とを有する。スリット221、第1レンズ222、回折格子223および第2レンズ224は、対物レンズ21側からこの順に配置される。
【0041】
撮像部23は、2次元の受光面を有する撮像素子231により構成される。このような撮像素子231は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像部23は、イメージング分光器22から受光した測定光に基づいて、2次元画像Pを生成する。撮像部23によって生成される2次元画像Pは、波長情報および位置情報を含む。
【0042】
対物レンズ21は、対象領域Rからの測定光を収束してイメージング分光器22へ導く。
【0043】
イメージング分光器22におけるスリット221は、対物レンズ21を介して自己へ入射した測定光のビーム断面を所定形状に整形する。スリット221の長手方向の長さは、対象領域Rの長さに応じた長さに設定され、スリット221の短手方向の幅は回折格子223の分解能等に応じて設定される。
【0044】
イメージング分光器22における第1レンズ222は、スリット221を通過した測定光を平行光に変換し、変換後の測定光を回折格子223へ導く。第1レンズ222は、たとえばコリメートレンズである。
【0045】
イメージング分光器22における回折格子223は、測定光を当該測定光の長手方向とは直交する方向に波長展開(Wavelength Expansion)する。より詳細には、回折格子223は、スリット221を通過してきたライン状の測定光を、ライン方向とは直交する方向に波長展開すなわち分光する。
【0046】
イメージング分光器22における第2レンズ224は、回折格子223によって波長展開された測定光を、波長情報および位置情報を反映した2次元的な光学スペクトルとして撮像部23における撮像素子231の受光面に結像する。
【0047】
撮像部23は、撮像素子231の受光面に結像された2次元画像Pを示す2次元画像データを、受光光学系20における受光結果として処理装置30へ送信する。
【0048】
以下では、2次元画像Pにおける
図3中のD1方向を「位置方向」と称し、位置方向と直交する方向であるD2方向を「波長方向」と称する。位置方向における各点は、対象領域R上の各測定点Xに対応する。波長方向における各点は、対応する測定点Xからの測定光の波長に対応する。また、撮像素子231の受光面は、波長方向の分解能としてmチャネルを有し、位置方向の分解能としてnチャネルを有しているものとする。nは、たとえば1200である。
【0049】
[処理装置]
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置における処理装置の構成を示す図である。
【0050】
図4を参照して、処理装置30は、受信部31と、算出部32と、記憶部33とを含む。
【0051】
受信部31は、受光光学系20における撮像部23から2次元画像データを受信し、受信した2次元画像データを記憶部33に保存する。
【0052】
算出部32は、受光光学系20における測定光の受光結果に基づいて、対象領域Rにおける位置ごとの、波長λと測定光の強度との関係である受光スペクトルS(λ)を生成する。そして、算出部32は、生成した受光スペクトルS(λ)に基づいて、測定領域R1に配置される測定対象物Sの波長ごとの透過率を算出する。
【0053】
より詳細には、算出部32は、記憶部33に保存された2次元画像データに基づいて、受光スペクトルS(λ)を生成し、生成した受光スペクトルS(λ)に基づいて、測定対象物Sの波長λごとの透過率を算出する。
【0054】
算出部32は、測定対象物Sが存在しないときの測定領域R1から生じる測定光に基づく受光スペクトルS(λ)である第1の基準スペクトルSt1(λ)、非測定領域R2から生じる測定光に基づく受光スペクトルS(λ)である第2の基準スペクトルSt2(λ)、および測定対象物Sが存在するときの測定領域R1から生じる測定光に基づく受光スペクトルS(λ)である測定スペクトルStm(λ)に基づいて、測定対象物Sの透過率スペクトルを算出する。
【0055】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第1の基準スペクトルの一例を示す図である。
図5において、横軸は波長であり、縦軸は強度である。
図5は、測定領域R1上のn個の各測定点Xから生じる透過光に基づく第1の基準スペクトルSt1(λ,X)を示している。
【0056】
図5を参照して、算出部32は、測定対象物Sが存在しないときの測定領域R1における複数の位置すなわち測定点Xから生じる測定光にそれぞれ基づく複数の第1の基準スペクトルSt1(λ,X)を生成する。
【0057】
そして、算出部32は、生成した複数の第1の基準スペクトルSt1(λ,X)、第2の基準スペクトルSt2(λ)、および複数の測定点Xから生じる測定光にそれぞれ基づく複数の測定スペクトルStm(λ,X)に基づいて、測定対象物Sの透過率スペクトルを算出する。
【0058】
たとえば、算出部32は、第1の基準スペクトルSt1(λ,X)、第2の基準スペクトルSt2(λ)および測定スペクトルStm(λ,X)に基づいて、測定対象物Sの測定位置Mにおける透過率分布を算出する。
【0059】
より詳細には、算出部32は、第1の基準スペクトルSt1(λ,X)および第2の基準スペクトルSt2(λ)をリファレンスデータとして用いて、リファレンスデータおよび測定スペクトルStm(λ,X)に基づいて、測定対象物Sの測定位置Mにおける透過率分布を算出する。
【0060】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第2の基準スペクトルの一例を示す図である。
図6において、横軸は波長であり、縦軸は強度である。
図6は、非測定領域R2から生じる透過光に基づく第2の基準スペクトルSt2(λ)を示している。
【0061】
たとえば、第2の基準スペクトルSt2(λ)は、測定領域R1に測定対象物Sが存在しないときの非測定領域R2から生じる測定光に基づいて、算出部32によって予め生成されたスペクトルである。
【0062】
たとえば、第1の基準スペクトルSt1(λ,X)および第2の基準スペクトルSt2(λ)は、それぞれ、測定領域R1に測定対象物Sが存在する前の同じタイミングにおいて受光光学系20によって受光された、測定領域R1から生じる測定光および非測定領域R2から生じる測定光に基づいて、算出部32によって生成されたスペクトルである。
【0063】
より詳細には、第1の基準スペクトルSt1(λ,X)および第2の基準スペクトルSt2(λ)は、測定領域R1に測定対象物Sが存在しない状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において受光された、測定領域R1からの透過光および非測定領域R2からの透過光に基づいて、算出部32によってそれぞれ生成されたスペクトルである。
【0064】
たとえば、算出部32は、測定対象物Sの透過率分布のインライン測定を開始する前であって、かつ測定領域R1に測定対象物Sが配置されていない状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において同じタイミングで受光された、測定領域R1からの透過光および非測定領域R2からの透過光に基づいて、第1の基準スペクトルSt1(λ,X)および第2の基準スペクトルSt2(λ)を生成する。
【0065】
ここで、算出部32により生成される受光スペクトルS(λ)は、照射光学系10からの照射光の照射位置に応じた照射光強度のばらつき、および撮像素子231の受光位置における感度のばらつき等の影響を受ける。
【0066】
したがって、
図5および
図6を参照して、たとえば第1の基準スペクトルSt1(λ,x1)および第2の基準スペクトルSt2(λ)は、上記照射光強度のばらつきおよび上記感度のばらつき等の影響により互いに異なる。
【0067】
また、照射光学系10からの照射光の強度、および受光光学系20における受光感度は、経時的すなわち時間的に変動する。
【0068】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第1の基準スペクトルの他の例を示す図である。
図7において、横軸は波長であり、縦軸は強度である。
図7中の破線は、
図5における、測定点x1に対応する第1の基準スペクトルSt1(λ,x1)を示しており、
図7中の実線は、
図5の第1の基準スペクトルSt1(λ,x1)の測定タイミングとは異なるタイミングで測定された第1の基準スペクトルSt1(λ,x1)を示している。
【0069】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第2の基準スペクトルの他の例を示す図である。
図8において、横軸は波長であり、縦軸は強度である。
図7中の破線は、
図6における第2の基準スペクトルSt2(λ)を示しており、
図8中の実線は、
図6の第2の基準スペクトルSt2(λ)の測定タイミングとは異なるタイミングで測定された第2の基準スペクトルSt2(λ)を示している。
【0070】
図7を参照して、第1の基準スペクトルSt1(λ,x1)の強度は、上述した照射光の強度の経時変化および受光感度の経時変化等の影響により、測定タイミングに応じて変動する。
【0071】
また、
図8を参照して、第2の基準スペクトルSt2(λ)の強度は、上述した照射光の強度の経時変化および受光感度の経時変化等の影響により、測定タイミングに応じて変動する。
【0072】
したがって、たとえば、長尺状の測定対象物Sを搬送しながら、当該測定対象物Sの透過率分布を長時間に亘ってインラインで測定する場合、インライン測定を開始する前に生成した第1の基準スペクトルSt1(λ,X)および第2の基準スペクトルSt2(λ)、ならびにインライン測定中に生成した測定スペクトルStm(λ,X)に基づいて透過率スペクトルを算出する方法では、上述した照射光の強度の経時変化および受光感度の経時変化等の影響により、算出される透過率スペクトルにばらつきが生じる場合がある。
【0073】
そこで、算出部32は、測定領域R1に測定対象物Sが存在するときの非測定領域R2から生じる測定光に基づく受光スペクトルである参照スペクトルStr(λ)にさらに基づいて、測定対象物Sの透過率スペクトルを算出する。
【0074】
より詳細には、算出部32は、第1の基準スペクトルSt1(λ,X)および第2の基準スペクトルSt2(λ)を用いて、参照スペクトルStr(λ)を補正することにより、受光スペクトルS(λ)のばらつきおよび変動が考慮された、測定領域R1における仮想的なリファレンスデータである仮想リファレンススペクトルStv(λ,X)を生成する。そして、算出部32は、生成した仮想リファレンススペクトルStv(λ,X)および測定スペクトルStm(λ,X)に基づいて、測定対象物Sの透過率スペクトルを算出する。
【0075】
参照スペクトルStr(λ)および測定スペクトルStm(λ,X)は、たとえば、それぞれ、測定領域R1に測定対象物Sが存在するときの同じタイミングにおいて受光光学系20によって受光された、非測定領域R2から生じる測定光および測定領域R1から生じる測定光に基づいて、算出部32によって生成されたスペクトルである。
【0076】
より詳細には、参照スペクトルStr(λ)および測定スペクトルStm(λ,X)は、測定領域R1に測定対象物Sが存在する状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において受光された、非測定領域R2からの透過光および測定領域R1すなわち測定対象物Sからの透過光に基づいて、算出部32によってそれぞれ生成されたスペクトルである。
【0077】
たとえば、算出部32は、測定対象物Sの透過率分布のインライン測定を開始後であって、かつ測定領域R1に測定対象物Sが配置された状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において同じタイミングで受光された、非測定領域R2からの透過光および測定領域R1からの透過光に基づいて、参照スペクトルStr(λ)および測定スペクトルStm(λ,X)を生成する。
【0078】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される第1の基準スペクトルと第2の基準スペクトルとの強度比を示す図である。
図9において、横軸は波長であり、縦軸は強度比である。
【0079】
たとえば、記憶部33は、インライン測定開始前のある時刻t(t=t0)において予め生成された、各測定点Xにおける波長λごとの、第1の基準スペクトルSt1(λ,t,X)と第2の基準スペクトルSt2(λ,t)との比率である強度比Pt(λ,X)を記憶している。強度比Pt(λ,X)は、以下の式(1)により表される。
【数1】
【0080】
算出部32は、インライン測定開始後のある時刻t(t=t1)において測定スペクトルStm(λ,t,X)および参照スペクトルStr(λ,t)を生成すると、記憶部33における強度比Pt(λ,X)を取得し、以下の式(2)で表される仮想リファレンススペクトルStv(λ,t,X)を用いて、以下の式(3)で表される、測定対象物Sの複数の測定点Xにおける透過率を示す透過率スペクトルST(λ,t,X)を算出する。
【0081】
【0082】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置により生成される透過率スペクトルを示す図である。
図10において、横軸は波長であり、縦軸は透過率である。
図10中の実線は、仮想リファレンススペクトルStv(λ,t,X)および測定スペクトルStm(λ,t,X)に基づいて算出される透過率スペクトルST(λ,t,X)を示しており、
図10中の破線は、比較例として、第1の基準スペクトルSt1(λ,t,X)および測定スペクトルStm(λ,t,X)に基づいて算出される透過率スペクトルを示している。
【0083】
図10を参照して、第1の基準スペクトルSt1(λ,t,X)の代わりに仮想リファレンススペクトルStv(λ,t,X)を用いることにより、第1の基準スペクトルSt1(λ,t,X)を用いた場合に算出される透過率スペクトルとは異なる透過率スペクトルST(λ,t,X)が算出される。
【0084】
たとえば、算出部32は、算出した透過率スペクトルST(λ,t,X)に基づいて、測定対象物Sの各測定点Xにおける膜厚を示す膜厚分布を算出する。あるいは、算出部32は、算出した透過率スペクトルST(λ,t,X)に基づいて、測定対象物Sの色相を算出する。
【0085】
[動作の流れ]
本発明の実施の形態に係る光学測定装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算算出部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。この装置のプログラムは、外部からインストールすることができる。この装置のプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0086】
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る光学測定装置において測定対象物の透過率スペクトルを算出する際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0087】
図11を参照して、まず、光学測定装置101は、測定対象物Sの透過率分布のインライン測定を開始する前に、測定領域R1に測定対象物Sを配置していない状態において、測定領域R1と非測定領域R2とを含む対象領域Rへ複数波長を含む照射光を直線状に照射する(ステップS102)。
【0088】
次に、光学測定装置101は、対象領域Rへの照射光の照射による対象領域Rから生じる測定光すなわち透過光を受光する(ステップS104)。
【0089】
次に、光学測定装置101は、測定光の受光結果に基づいて、第1の基準スペクトルSt1(λ,t,X)および第2の基準スペクトルSt2(λ,t)を生成する(ステップS106)。
【0090】
次に、光学測定装置101は、第1の基準スペクトルSt1(λ,t,X)と第2の基準スペクトルSt2(λ,t)との強度比Pt(λ,X)を算出し、算出した強度比Pt(λ,X)を記憶部33に保存する。
【0091】
次に、光学測定装置101は、インライン測定の開始後、測定を行うべきタイミングである測定タイミングを待ち受け(ステップS110でNO)、測定タイミングにおいて(ステップS110でYES)、対象領域Rへ照射光を直線状に照射する。具体的には、光学測定装置101は、測定対象物Sおよび非測定領域R2へ照射光を直線状に照射する(ステップS112)。
【0092】
次に、光学測定装置101は、対象領域Rへの照射光の照射による対象領域Rから生じる測定光すなわち透過光を受光する。具体的には、光学測定装置101は、測定対象物Sを透過する透過光および非測定領域R2からの透過光を受光する(ステップS114)。
【0093】
次に、光学測定装置101は、測定光の受光結果に基づいて、参照スペクトルStr(λ,t)および測定スペクトルStm(λ,t,X)を生成する(ステップS116)。
【0094】
次に、光学測定装置101は、参照スペクトルStr(λ,t)および強度比Pt(λ,X)を用いて算出される仮想リファレンススペクトルStv(λ,t,X)、ならびに測定スペクトルStm(λ,t,X)に基づいて、測定対象物Sの測定位置Mにおける透過率スペクトルST(λ,t,X)を算出する(ステップS118)。
【0095】
次に、光学測定装置101は、次の測定タイミングを待ち受ける(ステップS110でNO)。
【0096】
なお、本発明の実施の形態に係る光学測定装置101では、照射光学系10は、測定領域R1と、測定領域R1の長手方向の一方の端部において測定領域R1に隣接する非測定領域R2とを含む対象領域Rへ照射光を照射する構成であるとしたが、これに限定するものではない。照射光学系10は、測定領域R1と、測定領域R1の長手方向の一方の端部において測定領域R1に隣接する非測定領域R2aと、測定領域R1の長手方向の他方の端部において測定領域R1に隣接する非測定領域R2bとを含む対象領域Rへ照射光を照射する構成であってもよい。
【0097】
この場合、たとえば、算出部32は、第2の基準スペクトルSt2(λ)またはSt2(λ,t)として、非測定領域R2aから生じる測定光に基づく受光スペクトルおよび非測定領域R2bから生じる測定光に基づく受光スペクトルとの平均値を算出する。また、たとえば、算出部32は、参照スペクトルStr(λ)またはStr(λ,t)として、測定領域R1に測定対象物Sが存在するときの、非測定領域R2aから生じる測定光に基づく受光スペクトルおよび非測定領域R2bから生じる測定光に基づく受光スペクトルの平均値を算出する。
【0098】
また、本発明の実施の形態に係る光学測定装置101では、算出部32は、測定領域R1に測定対象物Sを配置していない状態において、対象領域Rへの照射光の照射により受光された非測定領域R2からの透過光に基づいて、第2の基準スペクトルSt2(λ)またはSt2(λ,t)を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。算出部32は、測定領域R1に測定対象物Sを配置した状態において、対象領域Rへの照射光の照射により受光された非測定領域R2からの透過光に基づいて、第2の基準スペクトルSt2(λ)またはSt2(λ,t)を生成する構成であってもよい。すなわち、算出部32は、たとえば測定対象物Sの透過率分布のインライン測定の開始後、参照スペクトルStr(λ)またはStr(λ,t)の生成タイミングとは異なるタイミングにおいて、第2の基準スペクトルSt2(λ)またはSt2(λ,t)を生成する構成であってもよい。
【0099】
また、本発明の実施の形態に係る光学測定装置101では、算出部32は、測定領域R1に測定対象物Sが配置された状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において同じタイミングで受光された、非測定領域R2からの透過光および測定領域R1からの透過光に基づいて、参照スペクトルStr(λ)またはStr(λ,t)、および測定スペクトルStm(λ,X)またはStm(λ,t,X)を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。算出部32は、異なるタイミングにおいて受光光学系20によって受光された透過光に基づいて、参照スペクトルStr(λ)またはStr(λ,t)、および測定スペクトルStm(λ,X)またはStm(λ,t,X)を生成する構成であってもよい。
【0100】
また、本発明の実施の形態に係る光学測定装置101では、算出部32は、測定領域R1に測定対象物Sが配置されていない状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において同じタイミングで受光された、測定領域R1からの透過光および非測定領域R2からの透過光に基づいて、第1の基準スペクトルSt1(λ,X)またはSt1(λ,t,X)、および第2の基準スペクトルSt2(λ)またはSt2(λ,t)を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。算出部32は、測定領域R1に測定対象物Sが配置されていない状態であって、かつ異なるタイミングにおいて受光光学系20によって受光された透過光に基づいて、第1の基準スペクトルSt1(λ,X)またはSt1(λ,t,X)、および第2の基準スペクトルSt2(λ)またはSt2(λ,t)を生成する構成であってもよい。
【0101】
また、本発明の実施の形態に係る光学測定装置101では、算出部32は、測定領域R1における複数の測定点Xから生じる測定光にそれぞれ基づく複数の第1の基準スペクトルSt1(λ,X)またはSt1(λ,t,X)、第2の基準スペクトルSt2(λ)またはSt2(λ,t)、および複数の測定点Xから生じる測定光にそれぞれ基づく複数の測定スペクトルStm(λ,X)またはStm(λ,t,X)に基づいて、複数の測定点Xにおける測定対象物Sの透過率スペクトルST(λ,X)またはST(λ,t,X)を算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。算出部32は、測定領域R1における1つの位置xjから生じる測定光に基づく第1の基準スペクトルSt1(λ,xj)またはSt1(λ,t,xj)、第2の基準スペクトルSt2(λ)またはSt2(λ,t)、および位置xjから生じる測定光に基づく測定スペクトルStm(λ,xj)またはStm(λ,t,xj)に基づいて、測定対象物Sの位置xjにおける透過率スペクトルST(λ,xj)またはST(λ,t,xj)を算出する構成であってもよい。
【0102】
次に、本開示の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0103】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る光学測定装置101と比べて、対象領域Rへの照射光の照射により対象領域Rから生じる反射光を受光し、反射光の受光結果に基づいて、測定対象物Sの波長ごとの反射率スペクトルを生成する光学測定装置102に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る光学測定装置101と同様である。
【0104】
[光学測定装置]
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【0105】
図12を参照して、光学測定装置102は、照射光学系10と、受光光学系20と、処理装置30と、ベース部材4と、支持部材6とを備える。ベース部材4および支持部材6は、受光光学系20を固定する。なお、光学測定装置102は、ベース部材4および支持部材6を備える構成に限定されず、ベース部材4および支持部材6の代わりに、またはベース部材4および支持部材6に加えて、受光光学系20を固定するための他の部材を備える構成であってもよい。
【0106】
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
図13は、測定領域R1に反射板41が配置され、非測定領域R2に反射板40が配置された状態を示している。
【0107】
反射板40,41は、たとえば、ガラス板、Si板またはアルミミラーである。たとえば、反射板40の反射率および反射板41の反射率は、略同一である。反射板40および反射板41は、一体化された1つの反射板であってもよい。
【0108】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
図14は、光学測定装置102の測定対象である測定対象物Sが配置された状態を示している。
【0109】
図14を参照して、光学測定装置102は、非測定領域R2に反射板40が配置された状態で、測定領域R1に配置される測定対象物Sの反射率スペクトルを測定する。
【0110】
たとえば、光学測定装置102は、測定対象物Sの製造ラインにおいて、測定領域R1を通って搬送される測定対象物S上の、複数の測定位置Mにおける反射率スペクトルを自動で測定する。すなわち、光学測定装置102は、測定対象物S上の複数の測定位置Mにおける反射率スペクトルをインラインで測定する。
【0111】
より詳細には、光学測定装置102は、たとえば周期的に反射率測定を行うことにより、搬送される測定対象物Sの測定位置Mにおける波長ごとの反射率を算出する。
【0112】
[照射光学系]
照射光学系10は、測定領域R1と、測定領域R1とは異なる領域である非測定領域R2とを含む対象領域Rへ、複数波長を含む照射光を直線状に照射する。
【0113】
照射光学系10のラインライトガイド12は、測定領域R1に配置される測定対象物Sへの照射光の入射角がθとなるように配置される。
【0114】
[受光光学系]
受光光学系20は、対象領域Rへの照射光の照射により対象領域Rから生じる反射光である測定光を受光する。
【0115】
受光光学系20は、測定対象物Sに関してラインライトガイド12と同じ側であって、かつ、測定対象物Sにおける反射角がθの反射光を受光可能な位置に配置される。
【0116】
受光光学系20は、ラインライトガイド12から出射された照射光のうち、対象領域Rにおいて反射した反射光を測定光として受光する。具体的には、受光光学系20は、ラインライトガイド12から出射された照射光のうち、測定領域R1に配置された測定対象物Sの反射光を受光する。
【0117】
[処理装置]
処理装置30における算出部32は、受光光学系20における測定光の受光結果に基づいて、対象領域Rにおける位置ごとの、波長λと測定光の強度との関係である受光スペクトルS(λ)を生成する。そして、算出部32は、生成した受光スペクトルS(λ)に基づいて、測定領域R1に配置される測定対象物Sの波長ごとの反射率を算出する。
【0118】
より詳細には、算出部32は、記憶部33に保存された2次元画像データに基づいて、受光スペクトルS(λ)を生成し、生成した受光スペクトルS(λ)に基づいて、測定対象物Sの波長λごとの反射率を算出する。
【0119】
算出部32は、
図13に示すように、測定対象物Sが存在せず、かつ反射板41が存在するときの測定領域R1から生じる測定光に基づく受光スペクトルS(λ)である第1の基準スペクトルSr1(λ)、反射板40が存在するときの非測定領域R2から生じる測定光に基づく受光スペクトルS(λ)である第2の基準スペクトルSr2(λ)、および
図14に示すように、測定対象物Sが存在するときの測定領域R1から生じる測定光に基づく受光スペクトルS(λ)である測定スペクトルSrm(λ)に基づいて、測定対象物Sの反射率スペクトルを算出する。
【0120】
たとえば、算出部32は、測定対象物Sが存在せず、かつ反射板41が存在するときの測定領域R1における複数の測定点Xから生じる測定光にそれぞれ基づく複数の第1の基準スペクトルSr1(λ,X)を生成する。
【0121】
そして、算出部32は、生成した複数の第1の基準スペクトルSr1(λ,X)、第2の基準スペクトルSr2(λ)、および複数の測定点Xから生じる測定光にそれぞれ基づく複数の測定スペクトルSrm(λ,X)に基づいて、測定対象物Sの反射率スペクトルを算出する。
【0122】
たとえば、算出部32は、第1の基準スペクトルSr1(λ,X)、第2の基準スペクトルSr2(λ)および測定スペクトルSrm(λ,X)に基づいて、測定対象物Sの測定位置Mにおける反射率分布を算出する。
【0123】
たとえば、第2の基準スペクトルSr2(λ)は、測定領域R1に測定対象物Sが存在しないときの非測定領域R2から生じる測定光に基づいて、算出部32によって予め生成されたスペクトルである。
【0124】
第1の基準スペクトルSr1(λ,X)および第2の基準スペクトルSr2(λ)は、それぞれ、測定領域R1に測定対象物Sが存在する前の同じタイミングにおいて受光光学系20によって受光された、測定領域R1から生じる測定光および非測定領域R2から生じる測定光に基づいて、算出部32によって生成されたスペクトルである。
【0125】
より詳細には、第1の基準スペクトルSr1(λ,X)および第2の基準スペクトルSr2(λ)は、
図13に示すように、測定領域R1に測定対象物Sが存在せず、かつ測定領域R1および非測定領域R2に反射板41および反射板40がそれぞれ存在する状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において受光された、測定領域R1からの反射光および非測定領域R2からの反射光に基づいて、算出部32によってそれぞれ生成されたスペクトルである。
【0126】
たとえば、光学測定装置102は、測定対象物Sの反射率分布のインライン測定を開始する前であって、かつ対象領域Rに反射板40,41を配置した状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において受光された、反射板41および反射板40からの反射光に基づいて、第1の基準スペクトルSr1(λ,X)および第2の基準スペクトルSr2(λ)をそれぞれ生成する。
【0127】
算出部32は、測定領域R1に測定対象物Sが存在するときの非測定領域R2から生じる測定光に基づく受光スペクトルである参照スペクトルSrr(λ)にさらに基づいて、測定対象物Sの反射率スペクトルを算出する。
【0128】
参照スペクトルSrr(λ)および測定スペクトルSrm(λ,X)は、たとえば、それぞれ、測定領域R1に測定対象物Sが存在するときの同じタイミングにおいて受光光学系20によって受光された、非測定領域R2から生じる測定光および測定領域R1から生じる測定光に基づいて、算出部32によって生成されたスペクトルである。
【0129】
より詳細には、参照スペクトルSrr(λ)および測定スペクトルSrm(λ,X)は、
図14に示すように、測定領域R1に測定対象物Sが存在する状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において受光された、非測定領域R2すなわち反射板40からの反射光および測定領域R1すなわち測定対象物Sからの反射光に基づいて、算出部32によってそれぞれ生成されたスペクトルである。
【0130】
たとえば、算出部32は、測定対象物Sの反射率分布のインライン測定を開始後であって、かつ、測定領域R1に反射板41の代わりに測定対象物Sが配置された状態において、照射光学系10による対象領域Rへの照射光の照射により受光光学系20において同じタイミングで受光された、非測定領域R2からの反射光および測定領域R1からの反射光に基づいて、参照スペクトルSrr(λ)および測定スペクトルSrm(λ,X)を生成する。
【0131】
たとえば、記憶部33は、インライン測定開始前のある時刻t(t=t0)において予め生成された、各測定点Xにおける波長λごとの、第1の基準スペクトルSr1(λ,t,X)と第2の基準スペクトルSr2(λ,t)との比率である強度比Pr(λ,X)を記憶している。強度比Pr(λ,X)は、以下の式(4)により表される。
【数4】
【0132】
算出部32は、インライン測定開始後のある時刻t(t=t1)において測定スペクトルSrm(λ,t,X)および参照スペクトルSrr(λ,t)を生成すると、記憶部33における強度比Pr(λ,X)を取得し、以下の式(5)で表される仮想リファレンススペクトルSrv(λ,t,X)を用いて、以下の式(6)で表される、測定対象物Sの複数の測定点Xにおける反射率を示す反射率スペクトルSR(λ,t,X)を算出する。
【0133】
【0134】
たとえば、算出部32は、算出した反射率スペクトルSR(λ,t,X)に基づいて、測定対象物Sの各測定点Xにおける膜厚を示す膜厚分布を算出する。あるいは、算出部32は、算出した反射率スペクトルSR(λ,t,X)に基づいて、測定対象物Sの色相を算出する。
【0135】
なお、本発明の第2の実施の形態に係る光学測定装置102では、照射光学系10のラインライトガイド12は、測定領域R1に配置される測定対象物Sへの照射光の入射角がθとなるように配置される構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0136】
また、本発明の第2の実施の形態に係る光学測定装置102では、受光光学系20は、測定対象物Sに関してラインライトガイド12と同じ側であって、かつ、測定対象物Sにおける反射角がθの反射光を受光可能な位置に配置される構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0137】
図15は、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る光学測定装置の構成の一例を示す図である。
【0138】
図15を参照して、ラインライトガイド12は、ハーフミラー121を有する。ラインライトガイド12は、ハーフミラー121において反射された照射光を対象領域Rに照射する。この場合、たとえば、ラインライトガイド12は、測定領域R1に配置される測定対象物Sへの照射光の入射角が0°となるよう、測定対象物Sが搬送される面の直上に配置される。すなわち、光学測定装置102の照射光学系10は、同軸落射照明である。
【0139】
受光光学系20は、対象領域Rへの照射光の照射により対象領域Rから生じる反射光を、ハーフミラー121を介して受光する。この場合、たとえば、受光光学系20は、測定対象物Sにおける反射角が0°の反射光を受光可能な位置、すなわちラインライトガイド12を挟んで対象領域Rと対向する位置に配置される。
【0140】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0141】
10 照射光学系
20 受光光学系
30 処理装置
31 受信部
32 算出部
33 記憶部
101,102 光学測定装置
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定領域と、前記測定領域とは異なる領域である非測定領域とを含む対象領域へ、複数波長を含む照射光を直線状に照射する照射光学系と、
前記対象領域への前記照射光の照射により前記対象領域から生じる透過光または反射光である測定光を受光する受光光学系と、
前記受光光学系における前記測定光の受光結果に基づいて、前記対象領域における位置ごとの、波長と前記測定光の強度との関係である受光スペクトルを生成し、生成した前記受光スペクトルに基づいて、前記測定領域に配置される測定対象物の波長ごとの透過率または反射率を算出する算出部とを備え、
前記算出部は、前記測定対象物が存在しないときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第1の基準スペクトル、前記非測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第2の基準スペクトル、および前記測定対象物が存在するときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである測定スペクトルを用いた演算処理を行うことにより、前記測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する、光学測定装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記演算処理において、前記第1の基準スペクトルおよび前記第2の基準スペクトルをリファレンスデータとして用いて、前記リファレンスデータおよび前記測定スペクトルに基づいて、前記測定対象物の前記透過率スペクトルまたは前記反射率スペクトルを算出する、請求項1に記載の光学測定装置。
【請求項3】
測定領域と、前記測定領域とは異なる領域である非測定領域とを含む対象領域へ、複数波長を含む照射光を直線状に照射するステップと、
前記対象領域への前記照射光の照射により前記対象領域から生じる透過光または反射光である測定光を受光するステップと、
前記測定光の受光結果に基づいて、前記対象領域における位置ごとの、波長と前記測定光の強度との関係である受光スペクトルを生成し、生成した前記受光スペクトルに基づいて、前記測定領域に配置される測定対象物の波長ごとの透過率または反射率を算出するステップとを含み、
前記透過率または前記反射率を算出するステップにおいては、前記測定対象物が存在しないときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第1の基準スペクトル、前記非測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである第2の基準スペクトル、および前記測定対象物が存在するときの前記測定領域から生じる前記測定光に基づく前記受光スペクトルである測定スペクトルを用いた演算処理を行うことにより、前記測定対象物の透過率スペクトルまたは反射率スペクトルを算出する、光学測定方法。