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  • 特開-加熱調理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156121
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20231017BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065798
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】曽我 浩二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴士
(57)【要約】
【課題】調味料容器から流出する調味料の量を容易に把握することができ、的確な調味料の投入を支援することができる加熱調理システムを提供する。
【解決手段】加熱調理器2と、加熱調理器2の上面及びその上方空間を含む領域を撮像領域とする撮像装置4とを備える。加熱調理器2の使用中に撮像領域内に入った調味料容器22を撮像装置の映像から検出する容器検出手段16と、容器検出手段16により検出された調味料容器22から調味料を流出させる動作を撮像装置4の映像から検出する容器動作検出手段19と、容器動作検出手段19により調味料容器22から調味料を流出させる動作が検出されたとき、調味料容器22から流出する調味料の量を計測する調味料計測手段20とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器と、前記加熱調理器の上面及びその上方空間を含む領域を撮像領域とする撮像装置とを備える加熱調理システムであって、
前記加熱調理器の使用中に前記撮像領域内に入った調味料容器を前記撮像装置の映像から検出する容器検出手段と、
前記容器検出手段により検出された調味料容器から調味料を流出させる動作を前記撮像装置の映像から検出する容器動作検出手段と、
前記容器動作検出手段により調味料容器から調味料を流出させる動作が検出されたとき、調味料容器から流出する調味料の量を計測する調味料計測手段とを備えることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
請求項1記載の加熱料理システムにおいて、
前記調味料計測手段によって計測される調味料容器から流出する調味料の量を、視覚的に確認可能に表示する表示手段を備えることを特徴とする加熱料理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理システムに関し、詳しくは、調理中の鍋等への調味料の投入を支援する加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
調理を行うにあたり、調味料の使用は不可欠である。従来、調味料の使用料を判別するために、撮像手段によって撮影した画像から調味料の使用量を判別するシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、調理過程において、撮像手段によって撮影した画像に基づいて、計量スプーンによって調味料容器から取り出された塩等の粉体調味料の使用量を推定して指標を算出し、算出された調味料の指標が上限値を超えた時に警告を行うシステムが知られている。このものでは、調味料の指標や警告を表示可能な表示部を備えている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-101736号公報
【特許文献2】再表2014/132521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術においては、液体の調味料を調味料容器から鍋に直接注ぐ場合について、具体的な処理が不明である。液体の調味料は、調味料容器から出てくるまで視認できないので、液体の調味料に対応した処理が求められている。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、調味料容器から流出する調味料の量を容易に把握することができ、的確な調味料の投入を支援することができる加熱調理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、加熱調理器と、前記加熱調理器の上面及びその上方空間を含む領域を撮像領域とする撮像装置とを備える加熱調理システムであって、前記加熱調理器の使用中に前記撮像領域内に入った調味料容器を前記撮像装置の映像から検出する容器検出手段と、前記容器検出手段により検出された調味料容器から調味料を流出させる動作を前記撮像装置の映像から検出する容器動作検出手段と、前記容器動作検出手段により調味料容器から調味料を流出させる動作が検出されたとき、調味料容器から流出する調味料の量を計測する調味料計測手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の加熱調理システムは次のように作動する。即ち、コンロ等の加熱調理機で調理を行い、加熱調理機上の鍋等にしょうゆやみりん等の調味料を投入するとき、先ず、調理作業者は、しょうゆやみりん等が入った調味料容器を手に持ち、鍋等の上方に移動させる。このとき、加熱調理器の上面及びその上方空間を含む領域を撮像領域とする撮像装置により、調味料容器が撮影され、撮像装置によって撮影された調味料容器は、容器検出手段により検出される。
【0009】
続いて、調理作業者は、鍋等の上方に移動させた調味料容器から調味料を流出させるために、調味料容器を傾ける動作や、調味料容器を変形させる動作等の調味料容器から調味料を流出させるための動作を行う。
【0010】
撮像装置の映像から、上記のような調味料を流出させるための動作が容器動作検出手段により検出されると、調味料計測手段が、例えば、撮像装置の映像上の流出する調味料の体積と経過時間との積を算出することで、調味料の投入量を自動計測する。
【0011】
以上のように、本発明によれば、調理中の鍋等へ調味料を投入するときに、計量カップを用いることなく調味料の計量を行うことができる。しかも、様々な調味料の使用量を自動計測することが可能となる。よって、本発明によれば、調味料毎の計量カップの洗浄作業等をなくすことができ、調理に専念することができる。
【0012】
また、本発明の加熱調理システムは、前記調味料計測手段によって計測される調味料容器から流出する調味料の量を、視覚的に確認可能に表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0013】
前記表示手段が、調味料容器から流出する調味料の量を表示することにより、調味料の量の変化(例えば、次第に増加している投入量)を視覚的に確認しながら調味料の投入を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の加熱調理システムの概略構成を示す図。
図2】本実施形態の加熱調理システムの要部の構成を示すブロック図。
図3】加熱調理システムの使用状態を示す説明図。
図4】表示形態の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の加熱調理システム1は、図1に示すように、ガスコンロ2と、ガスコンロ2の上方に設置されているレンジフード3の下面に設けられたカメラ4と、表示画面5とを備えている。
【0016】
ガスコンロ2は、本発明における加熱調理器であり、図示しないシステムキッチンに落とし込んで設定される本体6と、本体6の上面を覆ってシステムキッチンのカウンタトップから露出する天板7とを備えている。
【0017】
本体6の中央部には内部のグリル庫の前面を開閉するグリル扉8が設けられ、グリル扉8の両側の前面パネルには電源スイッチ9及び点消火や火力調整等を行う操作摘み10等が設けられている。
【0018】
天板7の上面には、3つのコンロバーナ11,12,13が設けられている。コンロバーナ11,12,13上には、五徳11a,12b,13cを介して鍋14等が載置される。
【0019】
カメラ4は、動画撮影が可能な本発明における撮像装置であり、レンジフード3の下面の中央部後方に設置され、ガスコンロ2の天板7の上面及びその上方空間を含む領域を撮像領域としている。
【0020】
なお、カメラ4の設置位置は、これ以外に、レンジフード3の下面の左右部3L,3Rや中央部前方3Fを挙げることができる。また、本実施形態においては、一台のカメラ4を用いているが、各設置位置3L,3R,3Fに選択的に複数台のカメラを設けてもよい。
【0021】
カメラ4はコントローラ15に接続されている。コントローラ15は、カメラ4が撮影した映像を処理することにより各種の判断および制御を行うもので、CPU、ROM、RAM等の電子部品からなる周知のマイクロコンピュータを含んで構成されている。
【0022】
表示画面5は、本発明の表示手段に相当し、無線又は有線によりコントローラ15に接続される。なお、表示画面5は、タブレットやスマートフォン等の通信端末、モバイルパソコン等を採用することができ、それ以外には、キッチンの壁面等に投影するプロジェクタを採用することもできる。
【0023】
また、表示画面5としてタブレット、スマートフォン、モバイルパソコンを採用する場合には、これらのものに上記のコントローラ15としての機能を付与してカメラ4を接続してもよい。
【0024】
コントローラ15は、図2に示すように、容器検出部16、調味料判別部17、計測モード起動部18、容器動作検出部19、調味料計測部20、表示制御部21を機能として備えている。上記の各機能の作動を説明する。
【0025】
容器検出部16は、カメラ4によって撮影された映像から、図3に示すように、カメラ4の撮像領域内に設定された検出範囲の内側に移動してきた調味料容器22を検出する。容器検出部16においては、動画に基づく動体検知を行い、図外のデータベースを参照して撮影された物体が調味料容器22であることを識別する。
【0026】
動画による動体検知については、例えば、カメラ4から得られる画像データの各コマ毎の容量差によって判別する周知の方法を挙げることができるが、これに限定されない。
【0027】
図2を参照して、調味料判別部17は、図外のデータベースを参照して容器検出部16で得られた調味料容器22の調味料の種類を判別する。本実施形態においては、瓶体入りの液体調味料であり、例えば、しょうゆ、みりん、だし、酢等を挙げることができる。
【0028】
計測モード起動部18は、容器検出部16が調味料容器22を検出すると、調味料の自動計測モードを起動する。なお、計測モード起動部18による自動計測モードの起動は、これに限るものではなく、例えば、ガスコンロ2の電源スイッチ9が投入されたときに自動計測モードを起動してもよい。調味料の自動計測モードは、調味料計測部20によって調味料の投入量を計測するモードである。計測モード起動部18は、容器動作検出部19からの指示に応じて調味料計測部20による計測を実行する。
【0029】
容器動作検出部19は、調味料容器22から液体の調味料を流出させる動作をカメラ4が撮影した映像から検出し、当該動作を検出した場合には、計測モード起動部18に対して、調味料計測部20による計測実行を指示する。
【0030】
調味料容器22から調味料を流出させるとき、図3に示すように、調味料容器22を傾斜させる(調味料容器22の注ぎ口を下に向ける)ことが行われる。容器動作検出部19は、この動作をカメラ4で撮影した動画の映像に基づいて検出する。
【0031】
なお、調味料容器22から調味料を流出させる動作は、注ぎ口を下に向ける動作以外に、調味料容器22の胴部を握り潰すようにして、調味料を押し出す動作等も考えられる。よって、容器動作検出部19は、調味料容器22から調味料を流出させる動作を一つのみ限定せず、動作を判定するデータを、適宜、図示しないデータベースに登録された動作パターンを参照することによって対応させる。
【0032】
図2を参照して、調味料計測部20は、調味料容器22から流出する調味料の量を計測する。具体的には、例えば、カメラ4の映像によって、調味料容器22から流出している調味料の体積と経過時間の積を算出し、算出された値から鍋14等に投入されている現時点での調味料の量を計測する。
【0033】
更に、本実施形態においては、鍋14等に投入されている調味料の量と、調味料判別部17によって判別された調味料の種類に対応する塩分量等の成分データを図外のデータベースから抽出する。
【0034】
表示制御部21は、調味料計測部20によって計測された調味料の量と、調味料の種類に対応する塩分量等の成分データとを、図4に示すように、表示画面5に表示する。表示制御部21により、表示画面5では、計量カップを模したイラストにより鍋14等に投入している調味料の量を、その増加に対応させて表示される。
【0035】
これによれば、次第に目標量に近づく調味料の量が視覚的に確認でき、調味料の投入し過ぎや少な過ぎを防止することができるので、調理失敗を防止することができる。更に、投入している調味料の成分の量(図4では塩分量)を表示することで、例えば、塩分摂取量や糖分摂取量等を視覚的に確認することができ健康管理にも有利である。
【0036】
また、容器検出部16は、カメラ4によって撮影された映像から、調味料容器22が検出範囲(図3参照)の外側に退出したことも検出することができる。そして、計測モード起動部18は、容器検出部16が調味料容器22の退出を検出すると、調味料の自動計測モードを解除する。
【0037】
以上のように、上記構成によれば、計量カップを用いることなく、調理中の鍋に調味料容器から調味料を直接投入して、調味料の投入量を容易に把握することができる。従って、調理失敗が防止できるだけでなく、計量カップの洗浄作業も不要となり、調理に伴う調理作業者の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…加熱調理システム、2…ガスコンロ(加熱調理器)、4…カメラ(撮像装置)、5…表示画面(表示手段)、16…容器検出手段、19…容器動作検出手段、20…調味料計測手段。
図1
図2
図3
図4