(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156192
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
D06F58/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065913
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】柴山 総一郎
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA24
3B166AB24
3B166AB29
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA55
3B166BA84
3B166CA01
3B166CA11
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3B166CC01
3B166EA03
3B166EA15
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3B166EC13
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3B166EC44
3B166GA02
3B166GA07
3B166GA12
3B166GA22
3B166GA45
(57)【要約】
【課題】本体ケース内に収容される回転ドラムの容量をできるだけ大きくするとともに、バーナの燃焼不良を防止する。
【解決手段】燃焼室5を、ファンケース4と本体ケース11後方の周壁110との間に形成される空間Sに配設し、燃焼室5に、複数の炎孔列91が前後方向に所定の間隔で並列するようにバーナ9を配置し、燃焼室5の構成壁51~56に空気取り込み用開口部58を開設し、空気取り込み用開口部58の燃焼排気の流路の下流側の開口縁58aに、燃焼排気の流路の上流側で、且つ燃焼室5の外方に向かって突出する突出片59を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に衣類取出し口を有する略矩形箱状の本体ケースと、衣類取出し口を開閉する開閉扉とを有する衣類乾燥機であって、
本体ケース内に、
衣類を収容する回転ドラムと、
バーナを収容する燃焼室と、
回転ドラムの後方に設けられ、空気を燃焼室に取り込んで、バーナによって加熱された空気を温風として回転ドラム内に供給し、回転ドラム内から温風を外部に排気する給排気ファンを収容するファンケースと、を有し、
燃焼室は、ファンケースと本体ケース後方の上下左右の周壁との間に形成される空間に配設され、
バーナは、複数の炎孔が所定の間隔で並設された炎孔列を有し、
燃焼室には、複数の炎孔列が前後方向に所定の間隔で並列するようにバーナが配置され、
燃焼室の構成壁には、空気を燃焼室に取り込む空気取り込み用開口部が開設され、
空気取り込み用開口部の燃焼排気の流路の下流側の開口縁には、燃焼排気の流路の上流側で、且つ燃焼室の外方に向かって突出する突出片が形成されている衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転ドラムの後方に給排気ファンを、回転ドラムの側方下方にバーナが収容された燃焼室を配設するとともに、燃焼室と回転ドラムの前方に設けられた温風吹き出し口とを給気ダクトで接続した衣類乾燥機がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、製品ごとに衣類乾燥機全体の大きさは決められているため、特許文献1のように、回転ドラムの側方下方に、炎孔が左右方向外方を向くようにバーナが横向きに配置された燃焼室を配設すると、燃焼室の幅だけ回転ドラムの径を小さくする必要がある。また、特許文献1のように、給排気ファンによって燃焼室内に取り込んだ空気を加熱して、前方の温風吹き出し口から温風を回転ドラムに供給する場合、燃焼室で温風の流路方向を左右方向から前後方向に偏向させる必要がある。そのため、燃焼室の幅がさらに大きくなり、回転ドラムの径をさらに小さくする必要がある。
【0004】
また、特許文献1の衣類乾燥機で、バーナの炎孔の開口方向と燃焼室内の燃焼排気の流路方向とが一致するようにバーナを狭い燃焼室に収容させることも考えられるが、複数のバーナを燃焼室に収容すると、燃焼室の構成壁に形成されている空気穴から燃焼室内に取り込まれる空気によって隣接する炎孔に形成される燃焼炎の干渉が生じやすくなり、燃焼不良が発生しやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、本体ケース内に収容される回転ドラムの容量をできるだけ大きくするとともに、前記回転ドラムの容量を大きくするために狭いスペースに燃焼室を配設する場合でも、バーナの燃焼不良を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
前方に衣類取出し口を有する略矩形箱状の本体ケースと、衣類取出し口を開閉する開閉扉とを有する衣類乾燥機であって、
本体ケース内に、
衣類を収容する回転ドラムと、
バーナを収容する燃焼室と、
回転ドラムの後方に設けられ、空気を燃焼室に取り込んで、バーナによって加熱された空気を温風として回転ドラム内に供給し、回転ドラム内から温風を外部に排気する給排気ファンを収容するファンケースと、を有し、
燃焼室は、ファンケースと本体ケース後方の上下左右の周壁との間に形成される空間に配設され、
バーナは、複数の炎孔が所定の間隔で並設された炎孔列を有し、
燃焼室には、複数の炎孔列が前後方向に所定の間隔で並列するようにバーナが配置され、
燃焼室の構成壁には、空気を燃焼室に取り込む空気取り込み用開口部が開設され、
空気取り込み用開口部の燃焼排気の流路の下流側の開口縁には、燃焼排気の流路の上流側で、且つ燃焼室の外方に向かって突出する突出片が形成されている衣類乾燥機が提供される。
【0008】
上記衣類乾燥機によれば、ファンケースは回転ドラムの後方に配設され、燃焼室はファンケースと本体ケース後方の上下左右の周壁との間に形成される空間に配設されており、回転ドラムの側方下方に燃焼室が配設されないから、衣類乾燥機のサイズを大きくすることなく、本体ケース内に収容される回転ドラムの容量を大きくすることができる。
【0009】
一方、上記衣類乾燥機では、本体ケース内の狭い空間に燃焼室を配設するため、燃焼室内にバーナを配置させるにあたって、複数の炎孔列を前後方向に並列させる必要がある。また、給排気ファンの回転駆動によって燃焼室近傍を流れる空気には燃焼排気の流路方向と逆向きのものも含まれる。そのため、燃焼室の構成壁に開設された空気取り込み用開口部から燃焼室内に取り込まれる空気によって隣接する炎孔に形成される燃焼炎の干渉が生じやすい。しかしながら、上記衣類乾燥機によれば、空気取り込み用開口部の燃焼排気の流路の下流側の開口縁には、燃焼排気の流路の上流側で、且つ燃焼室の外方に向かって突出する突出片が形成されているから、空気取り込み用開口部から燃焼室内に取り込まれる空気は燃焼室内の燃焼排気の流れに沿って、燃焼排気の流路の下流側に向かって流れ、バーナ側に向かって流れ難くなる。これにより、燃焼室内に複数の炎孔列が前後方向に並列している場合でも、隣接する炎孔に形成される燃焼炎の干渉を防止することができ、バーナの燃焼不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略縦断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略背面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の要部概略分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の燃焼室近傍を示す要部概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係るバーナ及びバーナボックスを示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る燃焼室を示す要部概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を説明する。
図1は、本実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略縦断面図であり、
図2は、本体ケースの後壁を省略した概略背面図であり、
図3は、回転ドラムの前後に配設される構成部品の要部概略分解斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る衣類乾燥機1は、略矩形箱状の本体ケース11と、本体ケース11の正面に開設された衣類取出し口100をその正面側から被蓋する開閉扉12とでその外郭が構成されている。なお、本明細書では、衣類乾燥機1の開閉扉12側を正面側とし、衣類乾燥機1を正面側から見たときの奥行き方向を前後方向、横方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0012】
本体ケース11は、衣類取出し口100が開口する前壁11aと、前後方向で前壁11aと対向する後壁11bと、前壁11aと後壁11bの上下左右側辺を連結する上下壁11c,11dと左右壁11e,11fとからなる周壁110とを有する。
【0013】
本体ケース11内には、その正面側に円形状の開口部130を有する円筒形状の回転ドラム3が横向き姿勢で収容されている。回転ドラム3の開口部130の前方の外周縁には、前方に突出する円環状の前リング31が形成されている。また、衣類取出し口100の回転ドラム3側の外周には、円環状の前ドラムサポート14が形成されており、前ドラムサポート14の外周部分には、円環状の前支持部140が後方に突設されている。前ドラムサポート14の前支持部140の外周には、リング状の前シール部材201が環設されている。
【0014】
回転ドラム3の開口部130に設けられた前リング31の内周面は、前ドラムサポート14の前支持部140の外周面に対向しており、前シール部材201の外周に当接支持されている。これによって、回転ドラム3内の前方の温風が上記開口部130から本体ケース11の内部へ漏出するのが防止される。
【0015】
円筒形状の衣類取出し口100の下方部分の一定領域には、半円弧形状の開口部(以下、「温風排出口」という)121が開設されている。温風排出口121には、取り外し可能な網目状のエアフィルタ19が装着されている。回転ドラム3内の温風が温風排出口121及び後述する連絡ダクト120を介して排気ダクト20内へ送り出される際、このエアフィルタ19によって回転ドラム3内に浮遊するごみや糸くずが除去される。
【0016】
回転ドラム3の胴部131の後端には後壁133が接続されている。後壁133の外周部分には、後方に膨出する円形状の凹部が形成されている。回転ドラム3の後壁133の中央部には、円筒形状の支軸15が挿通されている。
【0017】
支軸15は、回転ドラム3の後壁133の後方で本体ケース11内に立設する後ドラムサポート111に挿通されている。後ドラムサポート111は、一枚の金属板を所定形状に成形することによって、平板部と平板部の左右両端部で後方に折り曲げられた折り曲げ部とを有する略コ字状に形成されている。後ドラムサポート111の平板部の外周部分には、前方に膨出する円形状の凸部が形成されている。凸部は、後述する給気ダクト17の前面に形成されているダクト連絡口171に対向する環状領域に一定幅の開口部112を有する。また、回転ドラム3の後壁133は、支軸15の中間部外周にベアリングを介して連結されている。後ドラムサポート111の凸部の外周部分には、前方に突出する円環状の後支持部113が形成されている。
【0018】
回転ドラム3の奥側の凹部を形成する後壁133は後方に膨出しており、膨出する円環状の外周面は、リング状の後シール部材202を介して後ドラムサポート111の後支持部113の内周面に対向している。
【0019】
回転ドラム3の外周部とモータ16の図示しない一端側の出力軸のドラム駆動プーリとの間には、伝動ベルト160が架け渡されている。図示しないが、伝動ベルト160には、ベルトテンション機構によりテンションが付与されている。
【0020】
また、支軸15の後端部にはファンプーリ151が取り付けられており、ファンプーリ151とモータ16の他端側の出力軸に取付けられたファン駆動プーリ154との間には、ファンベルト155が架け渡されている。従って、共通のモータ16により回転ドラム3及び給排気ファン21がベルト伝動によって回転駆動される。
【0021】
後ドラムサポート111の後面側の左領域には、バーナ9によって加熱された温風を回転ドラム3内へ送り込むための扁平な略半円弧形状の給気ダクト17が配設されている。給気ダクト17は、所定形状に成形した2枚の金属板を接合することにより形成されている。給気ダクト17の後面上部には、後方に開放し、後述する燃焼室5に連通する流入口(上流側開口部)170が開設されている。また、給気ダクト17の前面の略全面には、前方に開放し、温風を前方に吹き出すダクト連絡口171が開設されている。従って、給気ダクト17や、後ドラムサポート111と回転ドラム3の後壁133との間の間隙は、給気通路の一部を構成している。
【0022】
後ドラムサポート111の後面側の中心部には、略半円弧形状の給気ダクト17の内周に嵌まり込み、前後に開放する扁平な円筒形状の排気部200を有する排気ダクト20が配設されている。排気部200の後方の開口部(以下、「排気出口」という)210は、ファンケース4の吸気口40と対向しており、排気部200の前方の開口部は、後ドラムサポート111の後面に当接して閉塞されている。また、排気ダクト20は、排気部200から斜め右下方に延びており、下端で左右に広がっている。また、排気ダクト20の下端には、前方に開放する開口部が設けられており、排気ダクト20は、後ドラムサポート111の下端の開口を介して、衣類取出し口100の下方領域の温風排出口121から回転ドラム3と本体ケース11の下壁11dとの間に形成される隙間Gを通って回転ドラム3の後方まで延びる連絡ダクト120と接続されている。このため、温風排出口121から排出される温風は連絡ダクト120及び排気ダクト20を通って、ファンケース4に送り込まれる。
【0023】
給気ダクト17及び排気ダクト20の後方には、給排気ファン21を収容するファンケース4が配設されている。ファンケース4は、所定形状に成形した後方に開放する浅皿形状の前壁43と、所定形状に成形した平板形状の後壁44とを接合することにより、扁平な略円筒箱状に形成されている。ファンケース4は、前壁43に開口し、排気ダクト20の排気出口210と連通する吸気口40と、ファンケース4の周面から接線方向に上方に突出し、本体ケース11の上壁11cに形成された排気口10に連通する吐出口41とを有する。従って、本実施の形態では、給排気ファン21を回転駆動させることにより、外部の空気が図示しない本体ケース11の取り込み口から本体ケース11内に取り込まれる。そして、後述する燃焼室5でバーナ9によって加熱された温風が、既述した給気ダクト17を通って回転ドラム3内へ導かれる。また、回転ドラム3内の温風は、既述した温風排出口121に排出され、排出された温風は、連絡ダクト120及び排気ダクト20を通ってファンケース4内に導かれ、本体ケース11の排気口10から外部に排気される。
【0024】
回転ドラム3の後壁133の凹部には、支軸15から放射状に複数の小円孔(以下、「温風吹き出し口」という)135が穿設されており、給気ダクト17へ送り込まれる温風がこれらの温風吹き出し口135を通って、後壁133と後述するカバー板153との間隙へ導かれる。
【0025】
支軸15の前端部には、その外周方向へ広がる略円板形状の固定フランジ152が固設されており、さらにこの固定フランジ152の前面には、後壁133の前面の略全体を回転ドラム3の内側から覆う円板形状のカバー板153が非回転状態で固設されている。図示しないが、カバー板153の外周の所定幅の環状領域には、複数の小円孔が穿設されている。
【0026】
図4は、燃焼室5近傍を示す要部概略斜視図である。
図2及び
図4に示すように、ファンケース4と、本体ケース11の周壁110の上壁11cと右壁11fとのコーナ部に形成される空間Sには、略横L字状の燃焼室5が配設されている。燃焼室5は、所定形状に形成した複数の金属板を接合することにより形成されており、前後、左右及び上下の構成壁51~56を有する。
【0027】
燃焼室5の下構成壁56は、ファンケース4の外周形状と略一致する上方に凸の略半円弧形状を有する。このため、ファンケース4と燃焼室5とは、狭い隙間を介して対向しており、燃焼室5の上下方向の高さが抑制されている。
【0028】
燃焼室5の前後方向の長さは、ファンケース4のそれより大きく、略横L字状の後構成壁52の後面は、ファンケース4の前壁43の外周縁で外方に突出するフランジ部に略当接している。このため、燃焼室5は、前後方向でファンケース4よりも後方に飛び出していない(
図1参照)。また、本実施の形態では、ファンケース4の後壁44に設けられた支軸15の軸受け以外にファンケース4よりも後方に突出する構成部品が設けられておらず、ファンケース4は本体ケース11の後壁11bに近接して配設されている。
【0029】
また、既述したように、後ドラムサポート111とファンケース4との間には、略半円弧形状の給気ダクト17が配設されているため、燃焼室5が位置するファンケース4の前壁43の右領域前方には、給気ダクト17の前後方向の長さ分の隙間が形成されている。このため、燃焼室5は、前構成壁51がファンケース4の前壁43よりも前方の隙間に位置するように配置される。これにより、燃焼室5をファンケース4よりも後方に突出させることなく、前後方向に一定の長さを有する燃焼室5を配設することができる。
【0030】
前構成壁51は変形五角形状を有し、前構成壁51の左右方向の長さは後構成壁52のそれよりも小さい。このため、燃焼室5の前構成壁51の左方には、流出口(下流側開口部)57が前方に開放している。この燃焼室5の流出口57は、給気ダクト17の後面上部に設けられた流入口(上流側開口部)170と前後方向で対向するように接続されている。燃焼室5の前構成壁51はファンケース4の前壁43よりも前方に位置するため、燃焼室5と給気ダクト17とは前後方向で重なるように配置されている。このため、
図1に示すように、燃焼室5の流出口57と給気ダクト17の流入口170とは前後方向で一部重なるように接続されている。これにより、燃焼室5と給気ダクト17とを合わせた前後方向の長さを抑制することができるとともに、燃焼室5から直線的に給気ダクト17に温風を送り込むことができる。なお、燃焼室5と給気ダクト17とは、これらの一部または全部を一体に形成してもよい。
【0031】
燃焼室5の上構成壁55は、左右方向に長手の略矩形状を有し、本体ケース11の右壁11f近傍から本体ケース11の左右方向中央部よりも左方まで略水平に延びている。従って、この燃焼室5では、左右方向が長手方向となる。燃焼室5内の右構成壁53は、略矩形状を有し、本体ケース11の上壁11c近傍からファンケース4の約上半分の高さまで略垂直に下方に延びている。燃焼室5の左構成壁54は、本体ケース11の上壁11c近傍からファンケース4の上方まで略垂直に下方に延びている。
【0032】
燃焼室5内の右端近傍には、
図5に示すバーナ9が配置されたバーナボックス7が収容されている。
図5に示すように、本実施の形態では、2本のバーナ9が縦置きにバーナボックス7内に配置されている。各バーナ9は、複数(ここでは、10個)の炎孔90が上下方向の一方向に所定の間隔で並設された複数(ここでは、2列)の炎孔列91を有する。このため、バーナボックス7には、複数(ここでは、4列)の炎孔列91が前後方向に並列している。各炎孔90は、上下方向に長手のスリット形状を有し、中央部に保炎のための仕切り板を有している。また、いずれの炎孔90も、同一の左方向に向かって略水平に開口している。このため、燃焼排気は、燃焼室5の長手方向の右から左に向かって流れる。図示しないが、各バーナ9のガス入口は開口方向を揃えて下方に開口しており、ガス入口にはガスノズルが臨んでいる。なお、バーナ9は燃焼室5内に炎孔列91が前後方向に複数、並列される構造であれば、バーナ9の本数や炎孔90及び炎孔列91の数、形状は適宜設定することができる。
【0033】
バーナボックス7は、所定形状に形成した複数の金属板を接合することによって箱状に形成されている。バーナボックス7が燃焼室5内に配置されたとき、バーナボックス7は左側面にバーナ9の炎孔90が燃焼室5内に露出するように各バーナ9の2列の炎孔列91が挿通される炎孔用開口部71が開設された端板70を有する。炎孔用開口部71は、取り付けの便宜を考慮して、挿通されるバーナ9の2列の炎孔列91の寸法よりも若干大きな前後及び上下方向の寸法を有する。また、炎孔用開口部71の上下両端部から上下方向外方に離間した端板70の上下両端部にはそれぞれ、燃焼室5内に空気を流入させる開口部(以下、「外方開口部」という)72が開口している。好ましくは、外方開口部72は、バーナ9の炎孔列91が炎孔用開口部71に挿通されたとき、バーナ9と炎孔用開口部71との間の隙間よりも大きな開口面積を有する。なお、外方開口部72は、炎孔用開口部71の前後両端部から前後方向外方に離間した端板70の前後両端部に形成してもよい。
【0034】
外方開口部72の炎孔用開口部71側の開口縁には、端板70の上下両端部を切り起こすことによって、炎孔90の開口方向である左方向に向かって炎孔90の突出高さよりも高く突出する立設壁73が形成されている。このため、燃焼室5の右方から燃焼室5内に取り込まれる空気は、バーナ9と炎孔用開口部71との間の隙間だけでなく、外方開口部72に分散して流入する。また、バーナ9と炎孔用開口部71との間の隙間よりも大きな外方開口部72を形成すれば、より外方開口部72から燃焼室5内に空気が流入しやすくなる。また、外方開口部72から燃焼室5内に流入する空気は、立設壁73により炎孔90に向かって流れ難くなる。
【0035】
図2、
図4及び
図6に示すように、燃焼室5の前後及び上下の構成壁51,52,55,56にはいずれも、バーナ9の炎孔90近傍位置から燃焼室5の長手方向である左右方向の中央部まで、複数の第1空気取り込み用開口部58が所定の間隔で開口している。前後の構成壁51,52に形成されている第1空気取り込み用開口部58は、燃焼排気の流路方向に交差する上下方向に長手のスリット形状を有する。また、上下の構成壁55,56に形成されている第1空気取り込み用開口部58は、燃焼排気の流路方向に交差する前後方向に長手のスリット形状を有する。また、後構成壁52の左右方向の中央部よりも左方には、複数の第2空気取り込み用開口部60が所定の間隔で開口している。第2空気取り込み用開口部60は燃焼排気の流路方向に沿った左右方向に長手のスリット形状を有し、燃焼室5の流出口57(下流側開口部)に対向している。給排気ファン21を回転駆動させることにより、これらの第1及び第2空気取り込み用開口部58,60から本体ケース11内の空気が燃焼室5に取り込まれる。なお、第1及び第2空気取り込み用開口部58,60は、三角形状や台形状を有してもよい。
【0036】
前後方向及び上下方向に長手の第1空気取り込み用開口部58の燃焼排気の下流側の第1開口縁58aには、燃焼排気の流路の上流側(すなわち、バーナ側)で、且つ燃焼室5の外方に向かって突出するルーバ状の第1突出片59が形成されている。このため、これらの第1空気取り込み用開口部58から燃焼室5内に取り込まれる空気はバーナ9側に向かって流れ難くなる。
【0037】
また、左右方向に長手の第2空気取り込み用開口部60の下方の第2開口縁60aには、上方、且つ燃焼室5の外方に向かって突出するルーバ状の第2突出片61が形成されている。このため、これらの第2空気取り込み用開口部60から燃焼室5内に取り込まれる空気は下方に向かって流れやすくなる。また、第2空気取り込み用開口部60は、給気ダクト17の流入口170と接続されている流出口57と対向している。これにより、燃焼室5の上流側から流れてくる燃焼排気や空気を円滑に流出口57及び流入口170を介して、給気ダクト17に導くことができる。
【0038】
燃焼室5の上構成壁55と本体ケース11の上壁11cとの間には、上構成壁55全体を覆うように略矩形状の遮熱板62が配設されている。これにより、燃焼室5の上構成壁55が燃焼炎で炙られた場合でも、本体ケース11の上壁11cの温度上昇を防止することができる。
【0039】
図2に示すように、遮熱板62には、遮熱板62の後縁から燃焼室5の後構成壁52と略平行に一定距離離間して下方に延びる略矩形状の固定板63が接続されている。固定板63の後面には、温度ヒューズやOHS(Over Heat Switch)などからなる過熱防止装置300の検知部301が固定されている。過熱防止装置300は、検知部301で過熱防止温度以上が検知されると、バーナ9の燃焼を禁止する。
【0040】
本実施の形態によれば、燃焼室5は、ファンケース4と、本体ケース11後方の周壁110のうち上壁11cと右壁11fとの間に形成される空間Sに配設されており、回転ドラム3の側方下方に燃焼室5が配設されないから、衣類乾燥機1のサイズを大きくすることなく、本体ケース11内に収容される回転ドラム3の容量を大きくすることができる。なお、衣類乾燥機1の構成に応じて、燃焼室5は、ファンケース4と、本体ケース11後方の周壁110との間に形成される空間であれば、任意の位置に配設することができる。例えば、燃焼室5を、ファンケース4と、本体ケースの後方上部の上壁11cと左壁11eとの間に形成される空間に配設してもよい。この場合、燃焼室5内で、複数の炎孔90は同一の右方向に向かって開口し、各炎孔列91で複数の炎孔90は上下方向に並設し、複数の炎孔列91は前後方向に並列する。また、燃焼室5を、ファンケース4と、下壁11dと左壁11eまたは右壁11fとの間に形成される空間に配設してもよい。
【0041】
一方、本実施の形態によれば、本体ケース11内の狭い空間に燃焼室5を配設するため、燃焼室5にバーナ9を配置させるにあたって、複数の炎孔列91を前後方向に所定の間隔で並列させている。また、給排気ファン21の回転駆動によって燃焼室5近傍を流れる空気には、燃焼排気の流路方向と逆向きのものも含まれる。そのため、燃焼室5の構成壁51,52,55,56の燃焼排気の流路の上流側であるバーナ9が収容されている側の一定範囲に開設された第1空気取り込み用開口部58から燃焼室5内に取り込まれる空気によって隣接する炎孔90に形成される燃焼炎の干渉が生じやすい。しかしながら、本実施の形態によれば、第1空気取り込み用開口部58の燃焼排気の流路の下流側の第1開口縁58aには、燃焼排気の流路の上流側で、且つ燃焼室5の外方に向かって突出する第1突出片59が形成されているから、第1空気取り込み用開口部58から燃焼室5内に取り込まれる空気は燃焼室5内の燃焼排気の流れに沿って、燃焼排気の流路の下流側である給気ダクト17側に向かって流れ、バーナ9側に向かって流れ難くなる。また、本実施の形態によれば、燃焼室5の給気ダクト17と接続される側の流出口57に対向する一定範囲の後構成壁52には、本体ケース11内の空気を燃焼室5内に取り込む左右方向に長手の第2空気取り込み用開口部60が開設されており、第2空気取り込み用開口部60の下方の第2開口縁60aには、上方、且つ燃焼室5の外方に向かって突出する第2突出片61が形成されているから、第2空気取り込み用開口部60から燃焼室5内に流入する空気によって燃焼排気は給気ダクト17に向かって流れやすくなる。これにより、狭隘な空間Sに燃焼室5が配設されており、燃焼室5内に複数の炎孔列91が前後方向に並列している場合でも、隣接する炎孔90に形成される燃焼炎の干渉を防止することができるとともに、燃焼排気や燃焼室5に取り込まれた空気を円滑に給気ダクト17に供給することができる。
【0042】
以上のように、本実施の形態によれば、衣類乾燥機1のサイズを大きくすることなく、本体ケース11内に収容される回転ドラム3の容量を大きくすることができる。また、本実施の形態によれば、バーナ9の燃焼不良を防止することができる。
【0043】
なお、上記実施の形態では、第1空気取り込み用開口部58は、燃焼室5の前後及び上下の構成壁51,52,55,56に形成されている。しかしながら、第1空気取り込み用開口部58は、燃焼室5の構成壁のいずれか1つに形成してもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、第1空気取り込み用開口部58は、燃焼排気の流路方向と略垂直に交差する上下方向または前後方向に長手のスリット形状を有する。しかしながら、第1空気取り込み用開口部58は、燃焼排気の流路方向と傾斜した角度で交差する方向に形成してもよい。同様に、第2空気取り込み用開口部60は、燃焼排気の流路方向に傾斜した角度に沿って形成していてもよい。
【0045】
また、第1及び第2突出片59,61はそれぞれ、ルーバ状に形成されている。しかしながら、第1及び第2突出片59,61は、任意の形状を選択することができる。例えば、第1及び第2突出片59,61は、各開口縁58a,60aから燃焼排気の流路の上流側で、且つ燃焼室5の外方に向かって突出する傾斜片のみから構成されてもよいし、各開口縁58a,60aから燃焼室5の外方に略垂直に突出して先端部で燃焼排気の流路の上流側に向かって屈曲して延びる略横L字状の屈曲片から構成されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 衣類乾燥機
3 回転ドラム
4 ファンケース
5 燃焼室
57 流出口
58 第1空気取り込み用開口部
58a 第1開口縁
59 第1突出片
60 第2空気取り込み用開口部
60a 第2開口縁
61 第2突出片
9 バーナ
90 炎孔
91 炎孔列
11 本体ケース
11c 上壁
11d 下壁
11e 左壁
11f 右壁
110 周壁
12 開閉扉
21 給排気ファン
17 給気ダクト
170 流入口
100 衣類取出し口
S 空間