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特開2023-158168制御方法、制御装置、及び制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158168
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】制御方法、制御装置、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20231019BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/123 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146005
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2022068237の分割
【原出願日】2018-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2017160878
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017170095
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】久原 俊介
(57)【要約】
【課題】配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができる車両制御権設定方法、車両制御権設定装置、車両制御権設定プログラム及び車両制御方法を提供する。
【解決手段】車両制御権設定方法は、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報と、自動運転車両を利用する利用者又は利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報とを外部装置から取得し(ステップS102,S104)、配車要求情報に基づき、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配送車両を決定し(ステップS105)、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配送車両の制御を許可する車両制御権を利用者に対して設定する(ステップS106)。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置における自動運転車両の制御方法であって、
前記制御装置が、
前記自動運転車両が目標停止位置に停止した場合に、前記目標停止位置から前記自動運転車両を移動させる方向及び距離を指定する制御指示情報の利用者による入力を受け付け、前記方向は、前方向又は後方向のいずれかを示し、
前記制御指示情報に応じて前記目標停止位置に対する移動動作を実行する前記自動運転車両に前記制御指示情報を送信する、
制御方法。
【請求項2】
さらに、前記方向を入力するための第1入力欄と、前記自動運転車両を移動させる前記距離を入力するための第2入力欄とを前記制御装置のディスプレイに表示し、
前記第1入力欄は、前記自動運転車両を前記目標停止位置から前記前方向又は前記後方向のいずれに移動させるかを示す第1入力を受け付け、
前記第2入力欄は、前記自動運転車両を前記目標停止位置から移動させる数値距離を示す第2入力を受け付ける、
請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
前記第2入力欄は、センチメートル単位で増加する前記第2入力を受け付ける、
請求項2記載の制御方法。
【請求項4】
さらに、前記制御装置によって制御される複数の自動運転車両から、前記複数の自動運転車両の現在位置を示す位置情報を取得し、
さらに、前記位置情報に基づいて前記複数の自動運転車両に対応する複数のアイコンを地図画像上に前記制御装置のディスプレイに表示し、
前記複数のアイコンのうち、前記制御装置によって制御されている前記自動運転車両に対応する1のアイコンは、第1態様で表示され、前記複数のアイコンのうち、前記制御装置によって制御されていない前記自動運転車両に対応する他のアイコンは、前記第1態様とは異なる第2態様で表示される、
請求項1記載の制御方法。
【請求項5】
前記制御装置によって制御されている前記自動運転車両に対応する前記1のアイコンが強調して表示されるとともに、前記制御指示情報が付加情報として表示される、
請求項4記載の制御方法。
【請求項6】
前記自動運転車両は、前記目標停止位置からセンチメートル単位の増加の範囲内で移動する、
請求項1記載の制御方法。
【請求項7】
前記自動運転車両は、前記制御装置が前記自動運転車両の外に位置している間に、前記制御指示情報に応じて前記目標停止位置に対する前記移動動作を実行する、
請求項1記載の制御方法。
【請求項8】
自動運転車両が目標停止位置に停止した場合に、前記目標停止位置に対して前記自動運転車両を移動させる方向及び距離を指定する制御指示情報の利用者による入力を受け付ける受付部と、前記方向は、前方向又は後方向のいずれかを示し、
前記制御指示情報に応じて前記目標停止位置に対する移動動作を実行する前記自動運転車両に前記制御指示情報を送信する送信部と、
を備える制御装置。
【請求項9】
コンピュータに、
自動運転車両が目標停止位置に停止した場合に、前記目標停止位置に対して前記自動運転車両を移動させる方向及び距離を指定する制御指示情報の利用者による入力を受け付け、前記方向は、前方向又は後方向のいずれかを示し、
前記制御指示情報に応じて前記目標停止位置に対する移動動作を実行する前記自動運転車両に前記制御指示情報を送信する、
処理を実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動運転車両の制御権を設定する車両制御権設定方法、車両制御権設定装置及び車両制御権設定プログラム、並びに自動運転車両を制御する車両制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、少なくとも1つのコンパートメントが取り付けられた自律道路車両が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、区画された少なくとも1つのコンパートメントに配送する荷物が積まれ、自律道路車両は目的地まで走行する。自律道路車両が目的地に到着すると、荷物の受取人は、アクセスシステムにPIN(Personal Identification Number)コードを入力する。これにより、コンパートメントのロックが解除され、受取人は荷物を受け取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9256852号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、自律道路車両が目的地に到着した際、荷物の受取人が、自律道路車両から荷物を受け取ることができるか否かについては、考慮されておらず、更なる改善が必要とされていた。
【0005】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができる車両制御権設定方法、車両制御権設定装置、車両制御権設定プログラム及び車両制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車両制御権設定方法は、車両制御権設定装置における車両制御権設定方法であって、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報と、前記自動運転車両を利用する利用者又は前記利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報とを外部装置から取得し、前記配車要求情報に基づき、前記利用者に対して配車される前記自動運転車両を示す配車車両を決定し、前記配車要求情報と前記利用者識別情報とに基づき、前記配車車両の制御を許可する車両制御権を前記利用者に対して設定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1における車両制御システムの全体構成を概念的に示す図である。
図2】本開示の実施の形態1における管理装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施の形態1において、利用者情報記憶部に記憶する利用者情報の一例を示す図である。
図4】本実施の形態1において、車両情報記憶部に記憶する車両情報の一例を示す図である。
図5】本実施の形態1において、制御権情報記憶部に記憶される制御権情報の一例を示す図である。
図6】本開示の実施の形態1における利用者端末の構成を示すブロック図である。
図7】本開示の実施の形態1における配送車両の構成を示すブロック図である。
図8】本開示の実施の形態1における管理装置、利用者端末及び配送車両の車両制御処理について説明するためのフローチャートである。
図9】本実施の形態1において、利用者端末に表示される制御指示支援情報の一例を示す図である。
図10】本開示の実施の形態1における配送車両の車両制御処理について説明するためのフローチャートである。
図11】本実施の形態1における利用者端末において、利用者による制御指示情報の入力を受け付ける表示画面の一例を示す図である。
図12】本実施の形態1における利用者端末において、利用者による制御指示情報の入力を受け付ける表示画面の他の例を示す図である。
図13】本実施の形態1における配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を説明するための模式図である。
図14】本実施の形態1において、街区方式での住居表示を説明するための模式図である。
図15】本実施の形態1において、街区方式の住居表示を利用して決定される配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を説明するための模式図である。
図16】本実施の形態1において、道路方式での住居表示を説明するための模式図である。
図17】本実施の形態1において、道路方式での住居表示を利用して決定される配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を説明するための模式図である。
図18】本実施の形態1における配送車両の移動を制御する処理を説明するための模式図である。
図19】本実施の形態1の第1の変形例における配送車両の移動を制御する処理を説明するための模式図である。
図20】本実施の形態1の第2の変形例における配送車両の移動を制御する処理を説明するための模式図である。
図21】本実施の形態1の第3の変形例における配送車両の移動を制御する処理を説明するための模式図である。
図22】本実施の形態1において、制御権情報記憶部に記憶される制御権情報の他の例を示す図である。
図23】本開示の実施の形態2における管理装置の構成を示すブロック図である。
図24】本実施の形態2において、配送元及び配送先において制御権の設定変更を行う際の配送状況と制御権の設定変更処理との関係を説明するための図である。
図25】本実施の形態2において、配送先において制御権の設定変更を行う際の配送状況と制御権の設定変更処理との関係を説明するための図である。
図26】本実施の形態2における制御権変更通知情報の一例を示す図である。
図27】本実施の形態2における制御権変更通知情報を含む制御指示支援情報の一例を示す図である。
図28】本開示の実施の形態2における配送車両の構成を示すブロック図である。
図29】本開示の実施の形態2における制御権の設定変更処理について説明するためのフローチャートである。
図30】本開示の実施の形態3における管理装置の構成を示すブロック図である。
図31】本開示の実施の形態4における管理装置の構成を示すブロック図である。
図32】本開示の実施の形態5における管理装置の構成を示すブロック図である。
図33】本実施の形態5において、移動先位置情報記憶部に記憶されるテーブルデータの一例を示す図である。
図34】本開示の実施の形態5における管理装置の移動先位置情報記憶処理について説明するためのフローチャートである。
図35】本開示の実施の形態5における管理装置の車両制御処理について説明するためのフローチャートである。
図36】本開示の実施の形態6における車両制御システムの全体構成を概念的に示す図である。
図37】本開示の実施の形態6における管理装置の構成を示すブロック図である。
図38】本実施の形態6において利用者端末に表示される選択画面の一例を示す図である。
図39】遠隔操縦装置において表示される車両監視画面の第1の例を示す図である。
図40】遠隔操縦装置において表示される遠隔操縦画面の第1の例を示す図である。
図41】遠隔操縦装置において表示される遠隔操縦画面の第2の例を示す図である。
図42】遠隔操縦装置において表示される車両監視画面の第2の例を示す図である。
図43】遠隔操縦装置において表示される遠隔操縦画面の第3の例を示す図である。
図44】遠隔操縦装置において表示される車両監視画面の第3の例を示す図である。
図45】遠隔操縦装置において表示される遠隔操縦画面の第4の例を示す図である。
図46】遠隔監視装置において表示される車両監視画面の一例を示す図である。
図47】遠隔操縦装置において表示される問い合わせ画面の一例を示す図である。
図48】遠隔操縦装置において表示される情報入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
従来技術では、自律道路車両が目的地に到着した際、荷物の受取人が、自律道路車両から荷物を受け取ることができるか否かについては、考慮されておらず、何ら開示がされていない。そのため、従来技術では、自律道路車両が目的地に到着したものの、荷物の受取人が、自律道路車両から荷物を受け取ることができないおそれがある。
【0010】
例えば、目的地において自律道路車両が停車した際に、コンパートメントのドアが、建物を囲む塀、道路に設置されているガードレール又は縁石などに面している場合、それらが障害となってしまい、荷物の受取人が、コンパートメントから荷物を取り出すことができないおそれがある。
【0011】
また、他の例として、目的地において自律道路車両が停車した際に、コンパートメントのドアが、用水路などの側溝又は土手などの斜面に面している場合、それらが障害となってしまい、荷物の受取人が、コンパートメントから荷物を取り出すことができないおそれがある。
【0012】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る車両制御権設定方法は、車両制御権設定装置における車両制御権設定方法であって、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報と、前記自動運転車両を利用する利用者又は前記利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報とを外部装置から取得し、前記配車要求情報に基づき、前記利用者に対して配車される前記自動運転車両を示す配車車両を決定し、前記配車要求情報と前記利用者識別情報とに基づき、前記配車車両の制御を許可する車両制御権を前記利用者に対して設定する。
【0013】
この構成によれば、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報と、自動運転車両を利用する利用者又は利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報とが外部装置から取得される。配車要求情報に基づき、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配車車両が決定される。配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定される。
【0014】
したがって、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配車車両が決定され、配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定されるので、配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができる。
【0015】
また、上記の車両制御権設定方法において、前記車両制御権の設定は、前記配車先に位置する前記配車車両の制御を許可する前記車両制御権を前記利用者に対して設定してもよい。
【0016】
この構成によれば、車両制御権の設定において、配車先に位置する配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定される。
【0017】
したがって、配車先に位置する配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定されるので、配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができる。
【0018】
また、上記の車両制御権設定方法において、さらに、前記配車先の位置に基づき、前記配車先における前記配車車両の前記利用者による制御を許可する制御許可範囲を生成し、前記車両制御権の設定は、前記制御許可範囲内に位置する前記配車車両の制御を許可する前記車両制御権を前記利用者に対して設定してもよい。
【0019】
この構成によれば、配車先の位置に基づき、配車先における配車車両の利用者による制御を許可する制御許可範囲が生成される。車両制御権の設定において、制御許可範囲内に位置する配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定される。
【0020】
したがって、配車先における配車車両の利用者による制御を許可する制御許可範囲内に位置する配車車両の車両制御権が利用者に対して設定されるので、利用者は、配車先における制御許可範囲内に位置する配車車両を制御することができる。
【0021】
また、上記の車両制御権設定方法において、さらに、前記配車先の位置に基づき、前記配車先において前記配車車両が前記利用者により移動制御可能な移動制御許可範囲を生成し、前記車両制御権の設定は、前記移動制御許可範囲内において前記配車車両の移動制御を許可する前記車両制御権を前記利用者に対して設定してもよい。
【0022】
この構成によれば、配車先の位置に基づき、配車先において配車車両が利用者により移動制御可能な移動制御許可範囲が生成される。車両制御権の設定において、移動制御許可範囲内において配車車両の移動制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定される。
【0023】
したがって、配車先において配車車両が移動可能な移動制御許可範囲内において配車車両の車両制御権が利用者に対して設定されるので、利用者は、配車先の移動制御許可範囲内において配車車両を移動させることができる。
【0024】
また、上記の車両制御権設定方法において、さらに、前記車両制御権の設定を所定の条件に基づき変更してもよい。
【0025】
この構成によれば、車両制御権の設定が所定の条件に基づき変更されるので、車両制御権の設定を変更することができ、利用者にとって、配車車両の制御が必要である場合のみ、制御権を設定することができる。
【0026】
また、上記の車両制御権設定方法において、さらに、前記配車車両から、前記配車車両が配送対象を配送する状況に関する配送状況情報を取得し、前記車両制御権の設定の変更は、前記配送状況情報に基づき、前記車両制御権の設定を変更してもよい。
【0027】
この構成によれば、配車車両から、配車車両が配送対象を配送する状況に関する配送状況情報が取得される。車両制御権の設定の変更において、配送状況情報に基づき、車両制御権の設定が変更される。
【0028】
したがって、配車車両が配送対象を配送する状況に関する配送状況情報に基づき、車両制御権の設定を変更することができ、様々な配送状況において、配車車両の制御が必要である場合のみ、利用者に対して制御権を設定することができる。
【0029】
また、上記の車両制御権設定方法において、前記車両制御権は、前記配車先において前記利用者が乗車する前記配車車両の前記利用者による制御を許可する乗車車両制御権を含み、前記車両制御権の設定の変更は、前記配送状況情報が、前記配車先における前記利用者の乗車完了を示す場合、前記乗車車両制御権の設定を解除してもよい。
【0030】
この構成によれば、車両制御権は、配車先において利用者が乗車する配車車両の利用者による制御を許可する乗車車両制御権を含む。車両制御権の設定の変更において、配送状況情報が、配車先における利用者の乗車完了を示す場合、乗車車両制御権の設定が解除される。
【0031】
したがって、配車先における利用者の乗車が完了した場合、配車先において利用者が乗車する配車車両の利用者による制御を許可する乗車車両制御権の設定が解除されるので、配車先における利用者の乗車が完了した後に、配車先において当該利用者が配車車両を制御するのを防止することができる。
【0032】
また、上記の車両制御権設定方法において、前記車両制御権は、目的地において前記利用者が降車する前記配車車両の前記利用者による制御を許可する降車車両制御権を含み、前記車両制御権の設定の変更は、前記配送状況情報が、前記目的地における前記利用者の降車完了を示す場合、前記降車車両制御権の設定を解除してもよい。
【0033】
この構成によれば、車両制御権は、目的地において利用者が降車する配車車両の利用者による制御を許可する降車車両制御権を含む。車両制御権の設定の変更において、配送状況情報が、目的地における利用者の降車完了を示す場合、降車車両制御権の設定が解除される。
【0034】
したがって、目的地における利用者の降車が完了した場合、目的地において利用者が降車する配車車両の利用者による制御を許可する降車車両制御権の設定が解除されるので、目的地における利用者の降車が完了した後に、目的地において当該利用者が配車車両を制御するのを防止することができる。
【0035】
また、上記の車両制御権設定方法において、前記車両制御権は、前記配車先において前記利用者が乗車する前記配車車両の前記利用者による制御を許可する乗車車両制御権と、目的地において前記利用者が降車する前記配車車両の前記利用者による制御を許可する降車車両制御権とを含み、前記車両制御権の設定の変更は、前記配送状況情報が、前記目的地における前記利用者の降車完了を示す場合、前記乗車車両制御権及び前記降車車両制御権の設定を解除してもよい。
【0036】
この構成によれば、車両制御権は、配車先において利用者が乗車する配車車両の利用者による制御を許可する乗車車両制御権と、目的地において利用者が降車する配車車両の利用者による制御を許可する降車車両制御権とを含む。車両制御権の設定の変更において、配送状況情報が、目的地における利用者の降車完了を示す場合、乗車車両制御権及び降車車両制御権の設定が解除される。
【0037】
したがって、目的地における利用者の降車が完了した場合、配車先において利用者が乗車する配車車両の利用者による制御を許可する乗車車両制御権と、目的地において利用者が降車する配車車両の利用者による制御を許可する降車車両制御権との設定が解除されるので、目的地における利用者の降車が完了した後、配車先及び目的地において当該利用者が配車車両を制御するのを防止することができる。
【0038】
また、上記の車両制御権設定方法において、前記車両制御権は、前記配車先において配送対象物が積載される前記配車車両の前記利用者による制御を許可する配送元車両制御権を含み、前記車両制御権の設定の変更は、前記配送状況情報が、前記配車先における前記配送対象物の積載完了を示す場合、前記配送元車両制御権の設定を解除してもよい。
【0039】
この構成によれば、車両制御権は、配車先において配送対象物が積載される配車車両の利用者による制御を許可する配送元車両制御権を含む。車両制御権の設定の変更において、配送状況情報が、配車先における配送対象物の積載完了を示す場合、配送元車両制御権の設定が解除される。
【0040】
したがって、配車先における配送対象物の積載が完了した場合、配車先において配送対象物が積載される配車車両の利用者による制御を許可する配送元車両制御権の設定が解除されるので、配車先における配送対象物の積載が完了した後、配車先において当該利用者が配車車両を制御するのを防止することができる。
【0041】
また、上記の車両制御権設定方法において、前記車両制御権は、目的地において配送対象物が降ろされる前記配車車両の前記利用者による制御を許可する配送先車両制御権を含み、前記車両制御権の設定の変更は、前記配送状況が、前記目的地における前記配送対象物の荷降ろし完了を示す場合、前記配送先車両制御権の設定を解除してもよい。
【0042】
この構成によれば、車両制御権は、目的地において配送対象物が降ろされる配車車両の利用者による制御を許可する配送先車両制御権を含む。車両制御権の設定の変更において、配送状況が、目的地における配送対象物の荷降ろし完了を示す場合、配送先車両制御権の設定が解除される。
【0043】
したがって、目的地における配送対象物の荷降ろしが完了した場合、目的地において配送対象物が降ろされる配車車両の利用者による制御を許可する配送先車両制御権の設定が解除されるので、目的地における配送対象物の荷降ろしが完了した後、目的地において当該利用者が配車車両を制御するのを防止することができる。
【0044】
また、上記の車両制御権設定方法において、前記車両制御権は、前記配車先において配送対象物が積載される前記配車車両の前記利用者による制御を許可する配送元車両制御権と、目的地において前記配送対象物が降ろされる前記配車車両の前記利用者による制御を許可する配送先車両制御権とを含み、前記車両制御権の設定の変更は、前記配送状況が、前記目的地における前記配送対象物の荷降ろし完了を示す場合、前記配送元車両制御権及び前記配送先車両制御権の設定を解除してもよい。
【0045】
この構成によれば、車両制御権は、配車先において配送対象物が積載される配車車両の利用者による制御を許可する配送元車両制御権と、目的地において配送対象物が降ろされる配車車両の利用者による制御を許可する配送先車両制御権とを含む。車両制御権の設定の変更において、配送状況が、目的地における配送対象物の荷降ろし完了を示す場合、配送元車両制御権及び配送先車両制御権の設定が解除される。
【0046】
したがって、目的地における配送対象物の荷降ろしが完了した場合、配車先において配送対象物が積載される配車車両の利用者による制御を許可する配送元車両制御権と、目的地において配送対象物が降ろされる配車車両の利用者による制御を許可する配送先車両制御権との設定が解除されるので、目的地における配送対象物の荷降ろしが完了した後、配車先及び目的地において当該利用者が配車車両を制御するのを防止することができる。
【0047】
また、上記の車両制御権設定方法において、さらに、前記車両制御権に対して、前記車両制御権が有効である期限を示す有効期限情報を設定し、前記車両制御権の設定の変更は、前記有効期限情報に基づき、前記車両制御権の設定を変更してもよい。
【0048】
この構成によれば、車両制御権に対して、車両制御権が有効である期限を示す有効期限情報が設定される。車両制御権の設定の変更において、有効期限情報に基づき、車両制御権の設定が変更される。
【0049】
したがって、有効期限が過ぎた場合に、車両制御権の設定が変更されることにより、利用者は、有効期限内において車両を制御することができる。また、利用者にとって、制御権の設定が変更されるタイミングを容易に認識することができる。また、同じ有効期限が設定された車両制御権の設定を一括して変更することができる。
【0050】
本開示の他の態様に係る車両制御権設定装置は、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報と、前記自動運転車両を利用する利用者又は前記利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報とを外部装置から取得する取得部と、前記配車要求情報に基づき、前記利用者に対して配車される前記自動運転車両を示す配車車両を決定する決定部と、前記配車要求情報と前記利用者識別情報とに基づき、前記配車車両の制御を許可する車両制御権を前記利用者に対して設定する設定部と、を備える。
【0051】
この構成によれば、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報と、自動運転車両を利用する利用者又は利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報とが外部装置から取得される。配車要求情報に基づき、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配車車両が決定される。配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定される。
【0052】
したがって、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配車車両が決定され、配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定されるので、配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができる。
【0053】
本開示の他の態様に係る車両制御権設定プログラムは、コンピュータに、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報と、前記自動運転車両を利用する利用者又は前記利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報とを外部装置から取得し、前記配車要求情報に基づき、前記利用者に対して配車される前記自動運転車両を示す配車車両を決定し、前記配車要求情報と前記利用者識別情報とに基づき、前記配車車両の制御を許可する車両制御権を前記利用者に対して設定する、処理を実行させる。
【0054】
この構成によれば、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報と、自動運転車両を利用する利用者又は利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報とが外部装置から取得される。配車要求情報に基づき、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配車車両が決定される。配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定される。
【0055】
したがって、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配車車両が決定され、配車車両の制御を許可する車両制御権が利用者に対して設定されるので、配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができる。
【0056】
本開示の他の態様に係る車両制御方法は、車両制御装置における車両制御方法であって、自動運転車両の利用者による制御を許可する制御許可位置を示す制御許可位置情報と、前記制御許可位置において、前記自動運転車両を制御する制御主体を識別するための制御主体識別情報とを関連付けた制御権情報を外部から取得し、前記自動運転車両の現在位置を示す車両位置情報を取得し、前記制御主体識別情報を含み、前記自動運転車両を制御するための制御指示情報を外部から取得し、前記車両位置情報で示される前記現在位置が、前記制御許可位置情報で示される前記制御許可位置であるか否かを判定し、前記車両位置情報で示される前記現在位置が、前記制御許可位置情報で示される前記制御許可位置であると判定した場合、前記制御指示情報に含まれる前記制御主体識別情報が、前記制御許可位置情報に関連付けられた前記制御主体識別情報と一致するか否かを判定し、前記制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、前記制御許可位置情報に関連付けられた前記制御主体識別情報と一致すると判定した場合、前記制御指示情報に従って、前記自動運転車両を制御する。
【0057】
この構成によれば、自動運転車両の利用者による制御を許可する制御許可位置を示す制御許可位置情報と、制御許可位置において、自動運転車両を制御する制御主体を識別するための制御主体識別情報とを関連付けた制御権情報が外部から取得される。自動運転車両の現在位置を示す車両位置情報が取得される。制御主体識別情報を含み、自動運転車両を制御するための制御指示情報が外部から取得される。車両位置情報で示される現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であるか否かが判定される。車両位置情報で示される現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であると判定された場合、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御許可位置情報に関連付けられた制御主体識別情報と一致するか否かが判定される。制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御許可位置情報に関連付けられた制御主体識別情報と一致すると判定された場合、制御指示情報に従って、自動運転車両が制御される。
【0058】
したがって、自動運転車両の現在位置が、自動運転車両の利用者による制御を許可する制御許可位置であると判定され、かつ動運転車両を制御するための制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御許可位置に関連付けられた制御主体識別情報と一致すると判定された場合、制御指示情報に従って、自動運転車両が制御されるので、配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができる。
【0059】
以下本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0060】
(実施の形態1)
本実施の形態1では、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報に基づき、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配送車両を決定し、配車要求情報と、自動運転車両を利用する利用者又は利用者が所持する利用者端末を識別する利用者識別情報とに基づき、配車先に位置する配送車両の制御を許可する制御権を利用者に対して設定し、配送車両への制御指示情報の入力を支援するための制御指示支援情報を利用者端末に送信する車両制御権設定方法について説明する。
【0061】
図1は、本開示の実施の形態1における車両制御システムの全体構成を概念的に示す図である。
【0062】
図1に示す車両制御システムは、管理装置1と利用者端末2と配送車両3とを備える。
【0063】
管理装置1は、利用者が有する利用者端末2から、配送元の位置情報と配送先の位置情報とを含む配車要求情報と、配送元の位置で配送車両を利用する利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための配送元利用者識別情報と、配送先の位置で配送車両を利用する利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための配送先利用者識別情報とを、ネットワーク4を介して利用者端末2から受信する。ネットワーク4は、例えば、インターネットである。
【0064】
ここで、配送元とは、配送車両3が配送対象物を配送する場合においては、配送対象物を車両に積載する積載位置を表し、配送車両3がタクシーなどのように人を配送する場合においては、配送対象となる人が乗車する乗車位置を表す。また、配送先とは、配送車両3が配送対象物を配送する場合においては、配送対象物を車両から降ろす位置を表し、配送車両3が人を配送する場合においては、配送対象となる人が降車する降車位置を表す。
【0065】
また、配送元の位置で配送車両3を利用する利用者とは、配送車両3が配送対象物を配送する場合においては、配送対象物を配送車両3に積載する人を表し、配送車両3がタクシーなどのように人を配送する場合においては、配送車両3に乗車する人を表す。同様に、配送先の位置で配送車両3を利用する利用者とは、配送車両3が配送対象物を配送する場合においては、配送対象物を配送車両3から降ろす人、つまり、配送対象物の受取人を表し、配送車両3がタクシーなどのように人を配送する場合においては、配送車両3から降車する人を表す。また、配送元は、自動運転車両が配車される配車先を表し、配送先は、目的地を表す。
【0066】
次に、管理装置1は、配車要求情報に含まれる配送先の位置情報と配送元の位置情報とに基づき、予め管理している1以上の車両の車両情報から配送車両3を決定する。そして、管理装置1は、配送元の位置情報と、配送元利用者識別情報とに基づき、配送元に位置する配送車両3の制御を許可する制御権を配送元の利用者に設定する。また、管理装置1は、配送先の位置情報と、配送先利用者識別情報とに基づき、配送先に位置する配送車両3の制御を許可する制御権を配送先の利用者に設定する。
【0067】
次に、管理装置1は、利用者に対して、配送車両3への制御指示情報の入力を支援するための制御指示支援情報を、ネットワーク4を介して利用者端末2に送信する。また、管理装置1は、設定した制御権に関する制御権情報を、ネットワーク4を介して配送車両3に送信する。
【0068】
利用者端末2は、利用者が有する端末であり、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータなどである。利用者端末2は、例えば、無線通信を用いて、管理装置1に対して配車要求情報と利用者識別情報とを送信する。配車要求情報は、配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む。なお、配車要求情報は、配送元の位置情報のみを含んでもよい。利用者識別情報は、配送元の位置で配送車両を利用する利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための配送元利用者識別情報と、配送先の位置で配送車両を利用する利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための配送先利用者識別情報とを含む。利用者識別情報は、配送元利用者識別情報のみを含んでもよい。
【0069】
利用者識別情報は、例えば、サービス利用時の利用者登録でサービス提供者側から付与される利用者ID、生体情報又は利用者端末2を識別するためのMAC(Media Access Control)アドレスであってもよい。また、生体情報は、例えば、指紋、虹彩又は顔である。
【0070】
利用者が管理装置1に対して配車要求を指示する方法としては、例えば、管理装置1などが提供する配車要求を行うためのアプリケーションプログラムを利用者端末2にインストールし、そのアプリケーションプログラムを用いて配車要求を指示する方法が考えられる。また、別の方法としては、利用者が、管理装置1が提供する配車要求を行うための専用WEBページにアクセスし、その専用WEBページを介して、配車要求を指示する方法が考えられる。なお、利用者が、利用者端末2を用いて管理装置1に対して配車要求を指示する構成であれば、任意の構成であってもよい。
【0071】
配送車両3は、管理装置1が管理する1以上の車両の車両情報から配車要求情報に基づき決定された車両であり、運転手を必要としない自動運転機能を備えた完全自動運転車両である。管理装置1が管理する車両群の各車両は、定期的に自車両の位置情報及び配送中であるか否かなどの車両の状態を示す車両状態情報などを管理装置1に対して送信する。管理装置1は、これらの情報を管理しており、利用者端末2から配車要求情報を取得した場合に、これらの情報に基づき、配送車両3を決定する。配送車両3は、配車車両の一例である。
【0072】
また、配送車両3は、管理装置1から、配送元及び配送先に位置する場合に自車両を制御するための制御権に関する制御権情報を取得し、記憶する。そして、配送車両3は、外部から自車両を制御するための制御指示情報を受信した場合、記憶した制御権情報に基づき、自車両の制御が可能であるか否かを判定する。配送車両3は、自車両の制御が可能であると判定した場合に、制御指示情報に従って、自車両を制御する。
【0073】
以下に、管理装置1、利用者端末2及び配送車両3の構成について、詳細に説明する。
【0074】
図2は、本開示の実施の形態1における管理装置の構成を示すブロック図である。管理装置1は、通信部11、制御部12及び記憶部13を備える。
【0075】
通信部11は、利用者端末2及び配送車両3などの外部装置と種々の情報を送受信する。通信部11は、例えば、WAN(Wide Area Network)又はLAN(Local Area Network)などのネットワーク4を介して、外部装置と種々の情報を送受信する。
【0076】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、配車要求情報取得部121、利用者識別情報取得部122、配送車両決定部123、制御権設定部124、制御指示支援情報生成部125及び情報送信部126を備える。
【0077】
配車要求情報取得部121は、利用者端末2から、通信部11を介して、利用者を示す利用者情報、配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む配車要求情報を取得する。配車要求情報取得部121は、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報を取得する。実施の形態1において、配送元が配車先であり、配送先が目的地である。
【0078】
利用者識別情報取得部122は、利用者端末2から、通信部11を介して、配送元に位置する配送車両を利用する利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための配送元利用者識別情報、及び、配送先に位置する配送車両を利用する利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための配送先利用者識別情報を取得する。利用者識別情報取得部122は、自動運転車両を利用する利用者又は利用者が所持する利用者端末を識別するための利用者識別情報を利用者端末2から取得する。
【0079】
なお、本実施の形態1では、配車要求情報と、配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報とを別々に取得する構成を説明するが、これらの情報を一括して取得する構成であってもよい。例えば、配車要求情報は、配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報を含んでもよく、配車要求情報取得部121は、配車要求情報と配送元利用者識別情報と配送先利用者識別情報とを一括して取得してもよい。
【0080】
ここで、配送について説明する。配送には、大きく2つのタイプがある。1つ目は、物の配送であり、2つ目は、タクシーのような人の配送である。
【0081】
配送車両が物を配送する場合、配送元で荷物を積載する利用者と配送先で荷物を受け取る利用者とは異なる。そのため、配送元利用者識別情報と配送先利用者識別情報とで示される利用者の情報は異なることになる。
【0082】
一方、配送車両が人を配送する場合、配送元で乗車する利用者と配送先で降車する利用者とは同一である。そのため、配送元利用者識別情報と配送先利用者識別情報とで示される利用者の情報は、同一になる。このため、配送車両が人を配送する場合には、利用者識別情報取得部122は、配送先と配送元とを区別せずに、単に、配送車両を利用する利用者又は利用者の有する利用者端末2を識別するための利用者識別情報を取得し、取得した利用者識別情報を配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報に設定してもよい。
【0083】
なお、利用者識別情報取得部122は、配車要求情報が取得される度に利用者識別情報を取得してもよいが、最初の配車要求情報が取得された後に取得した利用者識別情報を、配車要求情報が取得される度に再利用してもよい。特に、配送車両が人を配送するタクシーである場合、配車を依頼した人物が、乗車と降車とを行うことが多いと考えられる。そのため、利用者が配車要求情報を送信する度に、配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報を利用者に送信させることは、利用者にとって負担になってしまう。
【0084】
そこで、配送車両がタクシーである場合は、利用者識別情報取得部122は、最初の配車要求情報が取得された後に取得した利用者識別情報を、配車要求情報が取得される度に再利用することが好ましい。もしくは、利用者がタクシーを利用する際に最初に行うユーザ登録の際に利用者識別情報を登録しておき、利用者識別情報取得部122は、その登録された利用者識別情報を自動的に配送元利用者識別情報及び配送先利用者情報として利用してもよい。この構成にすることで、利用者は、配車要求情報を送信する度に、配送元利用者識別情報及び配送先利用者情報を送信する手間を省くことができる。
【0085】
一方、配送車両が物を配送する場合、配送元の利用者と配送先の利用者とのいずれかが配送依頼者とは異なる。そのため、配送依頼者は、配車要求情報を送信する度に、少なくとも配送依頼者の利用者識別情報とは異なる利用者識別情報を送信する必要がある。ただし、できる限り利用者の負担が少なくなるように、利用者端末2は、配送元利用者識別情報又は配送先利用者識別情報として多く利用する利用者識別情報を予め登録しておき、次回、配送元利用者識別情報又は配送先利用者識別情報を指定する際に簡単に利用者識別情報の指定を受け付けることが好ましい。
【0086】
配送車両決定部123は、配車要求情報に基づき、利用者に対して配車される自動運転車両を示す配送車両(配車車両)を決定する。配送車両決定部123は、管理装置1が管理している1以上の車両の情報である車両情報から、所定の配送車両決定アルゴリズムを用いて、配車要求情報に対する配送車両を決定する。ここで、管理装置1が管理する車両情報は、車両を識別するための車両識別情報と、車両の位置を示す車両位置情報と、車両が配送中であるか否かなどの車両の状態を示す車両状態情報とを含む。車両位置情報及び車両状態情報は、各車両から取得される。車両情報は、車両情報記憶部133に記憶される。配送車両決定アルゴリズムは、配送車両決定プログラム記憶部135に予め記憶されている。
【0087】
また、配送車両決定アルゴリズムは、配車要求情報に対する配送車両が決定できれば、任意のアルゴリズムであってよい。例えば、配送車両決定部123は、配車要求情報に含まれる配車元の位置情報から、管理装置1が管理している車両情報のうち、現在配送中ではなく、かつ配送元の位置から最も近い車両を配送車両3として決定する。この例では、配送元の位置に最も近い位置に存在する車両を配送車両3として決定する配送車両決定アルゴリズムを説明したが、他の配送車両決定アルゴリズムとしては、配送車両決定部123は、車両ごとに配送元に配車した場合の所要料金を算出し、所要料金が最も安くなる車両を配送車両3として決定してもよい。また、配送車両決定アルゴリズムの別の例として、配送車両決定部123は、配送先に最短で到着する車両を配送車両3として決定してもよい。
【0088】
また、配送車両決定アルゴリズムの別の例として、配送車両決定部123は、車両ごとに車両の位置から配送元までの経路を生成して、経路に基づき、車両の位置から配送元までの所要時間を算出し、所要時間が最も短い車両を配送車両3として決定してもよい。また、配送車両決定プログラム記憶部135は、複数の配送車両決定アルゴリズムを予め記憶しておき、配送車両決定部123は、複数の配送車両決定アルゴリズムの中から、例えば、管理者の好みにより、1つの配送車両決定アルゴリズムを決定してもよい。
【0089】
制御権設定部124は、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配送車両の制御を許可する制御権(車両制御権)を利用者に対して設定する。制御権設定部124は、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配車先に位置する配送車両の制御を許可する制御権(車両制御権)を利用者に対して設定する。制御権設定部124は、配車要求情報と配送元利用者識別情報と配送先利用者識別情報とに基づき、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送元利用者識別情報に対して設定し、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送先利用者識別情報に対して設定する。
【0090】
制御指示支援情報生成部125は、配送車両3への制御指示情報の入力を支援するための制御指示支援情報を生成する。制御指示支援情報生成部125は、制御権が付与された利用者に対して、配送車両3への制御指示情報の入力を支援するための制御指示支援情報を生成する。制御指示支援情報は、例えば、配送車両3への制御を指示するための制御指示画面である。なお、制御指示支援情報は、配送車両3への制御を指示するための専用のWEBページを示すアドレスを示す画面であってもよい。この場合、利用者は、利用者端末2を用いて、制御指示画面又はWEBページを介して、配送車両3に対して、制御指示を行うことができる。
【0091】
また、配送車両3が、利用者が制御指示情報を入力するための入力装置(図示しない)を搭載している場合、制御指示支援情報は、配送車両3に搭載される入力装置を介して、利用者が制御指示情報を入力するために必要となるパスワードなどの情報であってもよい。この場合、利用者は、制御指示支援情報であるパスワードなどの情報を配送車両3に搭載される入力装置に入力する。これにより、配送車両3に搭載される入力装置への認証が成功すると、利用者は、入力装置を介して、配送車両3に対して、制御指示を行うことができる。この構成にすることで、利用者以外の人が、配送車両3を制御することを防止することができる。
【0092】
情報送信部126は、制御権が与えられた利用者に対して、制御指示支援情報生成部125によって生成された制御指示支援情報を送信する。管理装置1は、利用者から、利用者毎に利用者の連絡先を示す利用者連絡先情報を含む利用者情報を取得し、利用者情報記憶部132に記憶している。情報送信部126は、利用者情報に基づき、制御権が与えられた利用者に対して、制御指示支援情報を送信する。利用者情報は、予め利用者から取得してもよいし、利用者から利用者情報を含む配車要求情報を取得し、配車要求情報から利用者情報を取得してもよい。
【0093】
配送車両が物を配送する場合、配送元の利用者と配送先の利用者とが異なり、配送元の利用者と配送先の利用者とのうちのいずれかの利用者は、配送依頼者と異なる。そのため、配車要求情報取得部121は、配送依頼者とは異なる方の利用者情報を含む配車要求情報を取得することになる。
【0094】
また、情報送信部126は、設定された制御権に関する制御権情報を配送車両3に送信する。さらに、情報送信部126は、配車要求情報に基づく配車指示情報を配送車両3に送信する。配車指示情報は、少なくとも配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む。配車指示情報は、車両の現在位置から配送元までの経路と配送元から配送先までの経路とを含む経路情報を含んでもよい。この場合、管理装置1が経路情報を生成するが、配送車両3が経路情報を生成してもよい。
【0095】
記憶部13は、例えば、半導体メモリであり、配車要求情報記憶部131、利用者情報記憶部132、車両情報記憶部133、制御権情報記憶部134、配送車両決定プログラム記憶部135、制御権設定プログラム記憶部136及び制御指示支援情報生成プログラム記憶部137を備える。
【0096】
配車要求情報記憶部131は、配車要求情報取得部121によって利用者端末2から取得された、利用者情報、配送元の位置情報及び配送先の位置情報を少なくとも含む配車要求情報を記憶する。
【0097】
利用者情報記憶部132は、利用者端末2から取得した、利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための利用者識別情報と利用者の連絡先を示す利用者連絡先情報とを含む利用者情報を記憶する。なお、利用者識別情報と利用者連絡先情報とが同一であってもよい。
【0098】
図3は、本実施の形態1において、利用者情報記憶部に記憶する利用者情報の一例を示す図である。
【0099】
利用者情報は、例えば、利用者を識別するための利用者識別情報及び利用者端末2と情報を送受信するための利用者連絡先情報を含む。図3では、利用者連絡先情報として、メールアドレスが記憶されている。なお、利用者連絡先情報は、メールアドレスに限定されず、例えば、IP(Internet Protocol)アドレス又はMAC(Media Access Control)アドレスであってもよい。利用者連絡先情報は、利用者に対して情報を送信するための情報であれば、任意の情報であってよい。また、利用者情報記憶部132からは、配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報に基づき、利用者連絡先情報が抽出される。
【0100】
車両情報記憶部133は、配車対象となる1以上の車両のうちの各車両に関する車両情報を記憶する。
【0101】
図4は、本実施の形態1において、車両情報記憶部に記憶する車両情報の一例を示す図である。例えば、車両情報は、車両を識別するための車両識別情報、車両の位置を示す車両位置情報、及び車両が空車及び配送中のいずれの状態であるかを示す車両状態情報を含む。図4に示す例では、車両状態情報として、空車の状態と配送中の状態とがある場合を示している。
【0102】
各車両の車両位置情報は、時々刻々と変化するため、定期的に、各車両から取得されることが好ましい。一方、車両状態情報は、配送車両が管理装置1から配車指示を取得した場合及び配送車両が配送を完了した場合など所定のイベント毎に変化する情報である。そのため、車両状態情報は、所定のイベントごとに各車両から取得されることが好ましい。なお、車両状態情報は、車両位置情報と同様に、定期的に各車両から取得される構成であっても上記と同様の効果を得ることができる。
【0103】
制御権情報記憶部134は、配車要求情報と配送元利用者識別情報と配送先利用者識別情報とに基づき、制御権設定部124により設定された、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権と、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権とを示す制御権情報を記憶する。
【0104】
図5は、本実施の形態1において、制御権情報記憶部に記憶される制御権情報の一例を示す図である。図5に示す制御権情報は、配車要求情報を識別するための配車要求識別番号と、配送元又は配送先のいずれかを示す情報と、制御可能位置と、利用者識別情報と、配送車両の車両識別情報とを含む。制御可能位置は、配送元の位置情報及び配送先の位置情報を示している。制御可能位置は、例えば、経度及び緯度で表される。
【0105】
図5では、例えば、(北緯x11度x12分x13秒、東経x14度x15分x16秒)である配送元の制御可能位置において、利用者識別情報が「A」である利用者に対して、車両識別情報が「a」である配送車両を制御する制御権が設定されている。また、例えば、(北緯y11度y12分y13秒、東経y14度y15分y16秒)である配送先の制御可能位置において、利用者識別情報が「B」である利用者に対して、車両識別情報が「a」である配送車両を制御する制御権が設定されている。
【0106】
配送車両決定プログラム記憶部135は、配送車両決定部123により実行される、配送車両を決定するための配送車両決定プログラムを記憶する。
【0107】
制御権設定プログラム記憶部136は、制御権設定部124により実行される、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権と、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権とを設定するための制御権設定プログラムを記憶する。
【0108】
制御指示支援情報生成プログラム記憶部137は、制御指示支援情報生成部125により実行される、制御権が付与された利用者に対して、配送車両3への制御指示情報の入力を支援するための制御指示支援情報を生成するための制御指示支援情報生成プログラムを記憶する。
【0109】
次に、本実施の形態1における利用者端末2の構成について、詳細に説明する。
【0110】
図6は、本開示の実施の形態1における利用者端末の構成を示すブロック図である。利用者端末2は、通信部21、表示部22、入力部23、制御部24及び記憶部25を備える。
【0111】
通信部21は、管理装置1に対して配車要求情報を送信したり、管理装置1から制御指示支援情報を受信したり、制御指示支援情報を介して、配送車両3に対する制御指示情報を送信したりする。通信部21は、管理装置1又は配送車両3などの外部装置と情報を送受信する。通信部21は、例えば、WAN又はLANなどのネットワーク4を介して、外部装置と情報を送受信する。
【0112】
表示部22は、例えば、液晶ディスプレイなどであり、配車要求情報を入力する際の入力画面を表示したり、管理装置1から受信した制御指示支援情報を表示したりする。
【0113】
入力部23は、例えば、キーボード又はマウスなどであり、利用者による入力操作を受け付ける。利用者は、入力部23を介して、利用者端末2へ情報を入力する。なお、スマートフォンのタッチパネルのように表示部22と入力部23とが一体に構成されてもよい。この場合、利用者は、表示部22のタッチパネルを触れることにより情報を入力する。利用者は、入力部23を介して、例えば、配車要求情報に含まれる、配送元の位置情報及び配送先の位置情報を入力する。配送元の位置情報及び配送先の位置情報の入力方法としては、例えば、タッチパネルに表示された地図情報に対して、利用者が、配送元の位置と、配送先の位置とを指などでタッチする入力方法がある。また、他の入力方法としては、例えば、表示部22に表示された、配送元の位置情報及び配送先の位置情報の入力欄に対して、利用者が、配送元の住所及び配送先の住所をキーボードから入力する入力方法がある。さらに、例えば、表示部22に表示された、配送元の位置情報及び配送先の位置情報の入力欄に対して、利用者が、配送元の施設名及び配送先の施設名をキーボードから入力してもよい。
【0114】
制御部24は、例えば、CPUであり、利用者端末2の種々の制御に関する処理を行う。
【0115】
記憶部25は、例えば、半導体メモリなどであり、管理装置1から取得した情報及び利用者から入力された情報など種々の情報を記憶する。また、記憶部25は、管理装置1に配車要求情報を送信するために、管理装置1のアドレス情報を記憶する。アドレス情報は、例えば、管理装置1が提供する配車要求情報を送信するための専用アプリケーションから取得される。また、配車要求情報を送信するための専用のWEBページなどが提供されている場合は、アドレス情報は、そのWEBページから取得されてもよい。なお、管理装置1のアドレス情報の取得方法は、任意の方法であってよい。
【0116】
次に、本実施の形態1における配送車両3の構成について、詳細に説明する。
【0117】
図7は、本開示の実施の形態1における配送車両の構成を示すブロック図である。配送車両3は、通信部31、制御部32、記憶部33、センサー部34及び駆動部35を備える。
【0118】
通信部31は、例えば、無線通信を用いて、管理装置1から制御権情報を受信したり、外部から自身を制御する制御指示情報を受信したり、管理装置1に対して自身の位置を示す車両位置情報を送信したり、管理装置1に対して自身の状態を示す車両状態情報を送信したりする。通信部31は、管理装置1又は利用者端末2などの外部装置と情報を送受信する。通信部31は、例えば、WAN又はLANなどのネットワーク4を介して、外部装置と種々の情報を送受信する。
【0119】
制御部32は、例えばCPUであり、移動制御部321、車両位置情報取得部322、配車指示情報取得部323、制御権情報取得部324、制御指示情報取得部325、制御可能位置判定部326及び制御可能主体判定部327を備える。
【0120】
移動制御部321は、自動運転基本プログラム記憶部332に記憶される自動運転基本プログラムに基づき、配送車両3の移動を制御する。具体的には、移動制御部321は、経路情報記憶部333に記憶される経路とセンサー部34で取得される車両位置情報とから、配送車両3の移動方向を決定し、決定した移動方向に向かって、自動運転基本プログラムに基づき、配送車両3の移動を制御する。
【0121】
また、移動制御部321は、外部から送信された配送車両3を制御するための制御指示情報を取得した場合に、制御可能位置判定部326及び制御可能主体判定部327により、取得した制御指示情報に従って、配送車両3を制御すると判定された場合、配送車両3を制御する。
【0122】
具体的には、まず、移動制御部321は、制御指示情報に従って配送車両3を移動制御できるか否かを判定する。この判定を行うのは、例えば、制御指示情報に従って移動しようとする移動先に障害物がある場合は、当該移動先に移動することができないためである。移動制御部321は、実際に移動する前に、配送車両3を制御指示情報に従って、移動することが可能であるか否かを確認する。移動制御部321は、例えば、制御指示情報に基づき、移動先を特定し、特定した移動先をセンサー部34でセンシングした情報に基づき、障害物の有無を判断することにより、移動可能であるか否かを判断する。次に、移動制御部321は、この判断結果に基づき、実際に配送車両3の移動を制御する。具体的には、移動制御部321は、配送車両3が移動可能であると判断した場合に、制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御する。一方、移動制御部321は、配送車両3が移動できないと判断した場合に、制御指示情報には従わず、配送車両3を移動させない。
【0123】
車両位置情報取得部322は、センサー部34を介して、配送車両3の現在位置を示す位置情報を取得する。管理装置1は、配車対象となる車両群の各車両の位置情報を管理している。各車両は、自身の位置情報を取得し、定期的に位置情報を管理装置1に送信する。そのため、車両位置情報取得部322は、センサー部34を介して、配送車両3の位置情報を取得し、通信部31を介して、管理装置1に対して位置情報を送信する。
【0124】
また、配送車両3は、外部から配送車両3を制御するための制御指示情報が受信された場合、配送車両3の位置が、制御権情報に設定された制御権に対応する位置であるか否かを判断するために、車両位置情報取得部322により、センサー部34を介して、配送車両3の位置情報を取得する。
【0125】
配車指示情報取得部323は、管理装置1から送信された、配車要求情報に対する配車指示を示す配車指示情報を取得する。配車指示情報は、少なくとも配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む。配送車両3は、取得した配車指示情報に基づき、配送元に向かって移動を開始する。配送元において、配送対象物が積載された後、又は、利用者が配送車両3に乗車した後、配送車両3配送先に向かって移動する。なお、配車指示情報は、配送車両3の現在位置から配送元までの経路情報又は配送元から配送先までの経路情報を含んでもよい。この場合、管理装置1が、配送車両3の現在位置から配送元までの経路情報又は配送元から配送先までの経路情報を作成する。もしくは、配送車両3が、配車指示情報に含まれる配送元の位置情報及び配送先の位置情報に基づき、配送車両3の現在位置から配送元までの経路情報又は配送元から配送先までの経路情報を作成してもよい。この場合、管理装置1が経路情報を作成する機能を備えず、配送車両3が、経路情報を作成する機能を備える。
【0126】
制御権情報取得部324は、管理装置1によって設定された制御権情報を取得する。制御権情報取得部324は、自動運転車両の利用者による制御を許可する制御許可位置を示す制御許可位置情報と、制御許可位置において、自動運転車両を制御する制御主体を識別するための制御主体識別情報とを関連付けた制御権情報を外部から取得する。なお、制御主体は、利用者又は利用者が所持する利用者端末を示す。
【0127】
本実施の形態1では、管理装置1から配送車両3に対して制御権情報が送信されるが、配送車両3は、管理装置1に対して制御権情報を要求することにより、管理装置1から制御権情報を取得してもよい。例えば、外部から配送車両3を制御するための制御指示情報を受信した場合に、制御権情報取得部324は、管理装置1に対して制御権情報を要求し、制御権情報を管理装置1から取得してもよい。
【0128】
制御指示情報取得部325は、制御主体識別情報を含み、配送車両3を制御するための制御指示情報を外部から取得する。制御指示情報の例としては、例えば、配送車両3を移動させる位置を示す位置情報が考えられる。この場合、配送車両3は、制御指示情報で示された位置に向かって移動する。なお、制御指示情報は、配送車両3の位置だけでなく、配送車両3の向きを示す情報を含んでもよい。この場合、配送車両3は、制御指示情報で示された位置に向かって、配送車両3の向きが制御指示情報で示された向きを向くようにして移動する。
【0129】
また、別の例としては、制御指示情報は、配送車両3を移動させる方向と、配送車両3を移動させる距離とを示す情報を含んでもよい。例えば、配送車両3を移動させる方向を示す情報が車両の前方であり、配送車両3を移動させる距離を示す情報が50cmである場合、配送車両3は、車両の前方に向かって、50cm移動することになる。
【0130】
制御可能位置判定部326は、車両位置情報取得部322によって取得された位置情報で示される現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であるか否かを判定する。制御可能位置判定部326は、外部から送信された配送車両3を制御するための制御指示情報が取得された場合に、制御権情報に基づき、配送車両3の現在位置が制御権情報に示される配送元の位置又は配送先の位置であるか否かを判定する。判定の結果、配送車両3の位置が配送元の位置又は配送先の位置であると判定された場合、制御可能主体判定部327に処理が移行する。一方、判定の結果、配送車両3の位置が配送元の位置及び配送先の位置ではないと判定された場合、制御指示情報には従わず、処理が終了される。
【0131】
制御可能主体判定部327は、車両位置情報で示される現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であると判定された場合、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御許可位置情報に関連付けられた制御主体識別情報と一致するか否かを判定する。
【0132】
制御可能主体判定部327は、制御可能位置判定部326によって配送車両3の現在位置が制御権情報に示される配送元の位置又は配送先の位置であると判定された場合、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる利用者識別情報と一致するか否かを判定する。判定の結果、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる利用者識別情報と一致すると判定された場合、制御可能主体判定部327は、制御指示情報に従って制御処理を行うために移動制御部321に制御処理の依頼を行う。移動制御部321は、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御許可位置情報に関連付けられた制御主体識別情報と一致すると判定された場合、制御指示情報に従って、配送車両3を制御する。
【0133】
一方、判定の結果、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる利用者識別情報と一致しないと判定された場合、制御指示情報には従わず、処理が終了される。
【0134】
記憶部33は、例えば、半導体メモリであり、地図情報記憶部331、自動運転基本プログラム記憶部332、経路情報記憶部333、車両位置情報記憶部334、配車指示情報記憶部335、制御権情報記憶部336、制御可能位置判定プログラム記憶部337及び制御可能主体判定プログラム記憶部338を備える。
【0135】
地図情報記憶部331は、道路地図などの地図情報を記憶する。地図情報は、例えば、道路リンクに関する道路データ、交差点に関する交差点データ、施設に関する施設データ、運転車両に各種の走行上の情報(例えば、法定速度の情報)を提供したり案内したりするために道路上に設置又は形成された表示物を示す表示物データなどを含む。地図情報は、例えば、外部サーバなどから取得され、事前に記憶される。なお、新規に道路又は施設が形成されたり、変更されたりすることにより、道路状況は変化するため、配送車両3は、外部サーバ等に定期的にアクセスして、地図情報を取得し、地図情報を更新することが望ましい。地図情報は、配送車両3が自動運転で配送対象を配送する際に利用される。
【0136】
自動運転基本プログラム記憶部332は、配送車両3の自動運転を制御するための基本的なプログラムを記憶する。移動制御部321は、自動運転基本プログラムに従って、配送車両3のセンサー部34で計測されたセンシング情報及び車両位置情報に基づき、駆動部35を制御することにより、配送車両3の移動を制御する。
【0137】
経路情報記憶部333は、配送車両3の現在位置から配送元までの経路情報又は配送元から配送先までの経路情報を記憶する。経路情報は、既存の経路生成プログラムなどにより、生成することが可能である。配送車両3は、管理装置1が生成した経路情報を管理装置1から受信することにより経路情報を取得することができる。なお、配送車両3は、管理装置1から取得した配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む配車指示情報に基づき、経路情報を生成してもよい。
【0138】
車両位置情報記憶部334は、車両位置情報取得部322によって取得された配送車両3の現在位置を示す位置情報を記憶する。移動制御部321は、車両位置情報記憶部334に記憶する配送車両3の位置情報と経路情報記憶部333に記憶する経路情報とに基づき、配送車両3の移動方向を決定することができる。
【0139】
配車指示情報記憶部335は、配車指示情報取得部323によって取得された配車要求情報に対する配車指示を示す配車指示情報を記憶する。配車指示情報は、少なくとも配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む。
【0140】
制御権情報記憶部336は、制御権情報取得部324によって取得された、配送元利用者識別情報に対して設定された配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権と、配送先利用者識別情報に対して設定された配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権とを示す制御権情報を記憶する。
【0141】
制御可能位置判定プログラム記憶部337は、外部から送信された配送車両3を制御するための制御指示情報が取得された場合に、制御権情報に基づき、配送車両3の現在位置が制御権情報に示される配送元の位置又は配送先の位置であるか否かを判定するための制御可能位置判定プログラムを記憶する。制御可能位置判定プログラムは、制御可能位置判定部326により実行される。
【0142】
制御可能主体判定プログラム記憶部338は、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる利用者識別情報と一致するか否かを判定するための制御可能主体判定プログラムを記憶する。制御可能主体判定プログラムは、制御可能主体判定部327により実行される。
【0143】
センサー部34は、配送車両3の位置情報をセンシングしたり、配送車両3の周辺環境の情報をセンシングしたり、配送車両3の状態に関する情報をセンシングしたりする。センサー部34によりセンシングされる情報は、配送車両3を自律的に移動制御する際に利用される。また、センシングされる情報のうち、配送車両3の位置情報は、管理装置1に対して送信される。以下にセンサー部34のセンサーの具体例について説明する。
【0144】
まず、配送車両3の位置情報をセンシングするセンサーには、例えば、GPS(Global Positioning System)がある。配送車両3の位置情報は、例えば、緯度及び経度によって表される。
【0145】
また、配送車両3の周辺環境の情報をセンシングするセンサーには、例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging)又はミリ波レーダーがある。LIDARは、赤外線レーザーを照射し、赤外線レーザーが物体で反射して戻るまでの時間を計測して、配送車両3の周囲にある物体までの距離又は配送車両3の相対速度を検知する。これにより、配送車両3は、周辺環境の3次元的な構造を読み取ることができる。また、ミリ派レーダーは、LIDARと同様の計測を行うが、赤外線ではなく、電波を用いて、電波が物体で反射して戻るまでの時間を計測する。赤外線を用いるLIDARは、夜間でも使えるが、悪天候では機能が低下する特徴があり、電波を用いるミリ波レーダーは、分解能はLIDARよりも劣るものの、天候に関わらず検知可能である特徴がある。そのため、LIDARとミリ波レーダーとをそれぞれ単独で利用するのではなく、それらを組み合わせて用いることで、お互いのデメリットを補完することができる。
【0146】
配送車両3の状態をセンシングするセンサーには、例えば、走行距離計又は慣性センサーなどがある。走行距離計は、タイヤの回転数を計測して、配送車両3が進んだ距離を計測する。慣性センサーは、3軸の角速度センサーと3方向の加速度センサーとからなる慣性運動量を検出するセンサーであり、配送車両3の挙動を検知する。
【0147】
なお、上記で説明したセンサーは、一例であり、他のセンサーのセンシング情報を用いて、配送車両3が自動運転を行ってもよい。配送車両3が自動運転に利用するセンサーであれば、任意のセンサーを用いてもよい。
【0148】
配送車両3がエンジン車両である場合、駆動部35は、例えば、エンジン及びトランスミッションである。また、配送車両3が狭義の電気自動車(battery vehicle)である場合、駆動部35は、例えば、走行モータ及びトランスミッションである。これらのエンジン及び走行モータは、いずれもイグニッションスイッチを介して始動及び停止が行われる。
【0149】
次に、利用者が送信する配車要求情報及び利用者を識別する利用者識別情報に基づき、配送車両を決定し、配送元及び配送先において配送車両を移動制御するための制御権を設定し、配送車両への制御指示情報の入力を支援するための制御指示支援情報を利用者に対して送信すると共に、制御権情報を配送車両に対して送信する車両制御方法について、図8のフローチャートを用いて、詳細に説明する。
【0150】
図8は、本開示の実施の形態1における管理装置、利用者端末及び配送車両の車両制御処理について説明するためのフローチャートである。
【0151】
まず、利用者端末2の通信部21は、利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための利用者識別情報、配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む配車要求情報を管理装置1へ送信する(ステップS101)。配送元の位置情報及び配送先の位置情報は、例えば、緯度及び経度であるGPS情報、住所、又は施設の名前を含む。
【0152】
次に、管理装置1の配車要求情報取得部121は、利用者端末2から送信された配車要求情報を受信し、受信した配車要求情報を配車要求情報記憶部131に記憶する(ステップS102)。
【0153】
次に、利用者端末2の通信部21は、配送元に位置する配送車両3を利用する利用者又は利用者の有する利用者端末2を識別するための配送元利用者識別情報、及び、配送先に位置する配送車両3を利用する利用者又は利用者の有する利用者端末2を識別するための配送先利用者識別情報を管理装置1へ送信する(ステップS103)。なお、利用者端末2は、配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報を含む配車要求情報を管理装置1に送信してもよい。また、利用者端末2は、配車要求情報を送信する前に、配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報を送信してもよい。
【0154】
また、配車要求情報を送信する利用者端末と、配送元に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末とが異なる場合がある。例えば、配車要求情報を送信する利用者端末がパーソナルコンピュータであり、配送元に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末がスマートフォンである場合、配車要求情報を送信する利用者端末と、配送元に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末とが異なる。この場合、配車要求情報を送信する利用者端末2は、利用者端末2とは異なる、配送元に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末の選択を受け付け、利用者端末2の利用者識別情報とは異なる配送元利用者識別情報の入力を受け付けてもよい。また、配送元に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末が選択された後、利用者端末2は、配送元に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末の変更を利用者により受け付けてもよい。
【0155】
同様に、配車要求情報を送信する利用者端末2は、利用者端末2とは異なる、配送先に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末の選択を受け付け、利用者端末2の利用者識別情報とは異なる配送先利用者識別情報の入力を受け付けてもよい。また、配送先に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末が選択された後、利用者端末2は、配送先に位置する配送車両3を利用する利用者の有する利用者端末の変更を利用者により受け付けてもよい。
【0156】
次に、管理装置1の利用者識別情報取得部122は、利用者端末2から送信された配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報を受信する(ステップS104)。なお、配送車両3が人を配送する場合、配送元にて乗車する利用者と配送先にて降車する利用者とは同一であり、かつ、配送依頼者が配送車両3の利用者である場合、配車要求情報に含まれる利用者識別情報を配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報とみなすことができる。そのため、配送依頼者が配送車両3の利用者である場合は、配送元利用者識別情報及び配送先利用者識別情報を送受信するステップS103及びステップS104は省略することが可能である。
【0157】
次に、管理装置1の配送車両決定部123は、管理装置1が管理している1以上の車両の車両情報から、所定の配送車両決定アルゴリズムを用いて、配送元に配車する配送車両を決定する(ステップS105)。例えば、配送車両決定部123は、配車要求情報に含まれる配送元の位置情報から、管理装置1が管理している車両のうち、配送元に最も近い位置に存在する車両を配送車両として決定する配送車両決定アルゴリズムを用いる。なお、配送車両決定アルゴリズムは、配車要求情報に対する配送車両が決定できれば、任意の配送車両決定アルゴリズムであってもよい。
【0158】
次に、管理装置1の制御権設定部124は、配車要求情報と配送元利用者識別情報と配送先利用者識別情報とに基づき、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送元利用者識別情報に対して設定し、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送先利用者識別情報に対して設定する(ステップS106)。
【0159】
なお、例えば、配送元又は配送先において、子供とその保護者とが利用する場合、高齢者とその介護者とが利用する場合、又は複数の利用者がグループで利用する場合が考えられる。そこで、本実施の形態1において、制御権設定部124は、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配車先に位置する配送車両の制御を許可する制御権(車両制御権)を複数の利用者に対して設定してもよい。
【0160】
より具体的には、利用者端末2の入力部23は、配送元に位置する配送車両3を利用する複数の利用者又は複数の利用者の有する複数の利用者端末2を識別するための複数の配送元利用者識別情報、及び、配送先に位置する配送車両3を利用する複数の利用者又は複数の利用者の有する複数の利用者端末2を識別するための複数の配送先利用者識別情報の入力を受け付ける。通信部21は、複数の配送元利用者識別情報及び複数の配送先利用者識別情報を管理装置1へ送信する。管理装置1の利用者識別情報取得部122は、利用者端末2から送信された複数の配送元利用者識別情報及び複数の配送先利用者識別情報を受信する。制御権設定部124は、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権を複数の配送元利用者識別情報に対して設定し、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を複数の配送先利用者識別情報に対して設定する。このとき、制御権設定部124は、配車要求識別番号と、配送元又は配送先のいずれかを示す情報と、制御可能位置と、複数の利用者識別情報と、車両識別情報とを対応付けた制御権情報を制御権情報記憶部134に記憶する。
【0161】
また、配送先の利用者が荷物を受け取ることが困難である場合、コンビニエンスストアなどで代理受取人が荷物を受け取ることがある。そこで、本実施の形態1において、制御権設定部124は、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配車先に位置する配送車両の制御を許可する制御権(車両制御権)を利用者とは異なる代理受取人に対して設定してもよい。より具体的には、利用者端末2の入力部23は、配送先に位置する配送車両3を利用する利用者とは異なる代理受取人又は代理受取人の有する複数の利用者端末2を識別するための配送先利用者識別情報の入力を受け付ける。なお、制御権設定部124は、代理受取人に制御権を自動的に変更してもよい。
【0162】
また、利用者の都合が急に悪くなったため、利用者が利用者端末2を用いて荷物の受取先をコンビニエンスストアに変更する場合もある。この場合、利用者端末2は、荷物の受取先を、利用者が希望するコンビニエンスストアに変更するための受取先変更要求を管理装置1に送信する。管理装置1の制御権設定部124は、配車先を、利用者が希望するコンビニエンスストアに変更するとともに、制御権をコンビニエンスストアの端末又はコンビニエンスストアの従業員に設定する。管理装置1の記憶部13は、受取先(例えば、コンビニエンスストアの名称)、受取先の位置情報(例えば、コンビニエンスストアの住所)及び受取先の識別情報(例えば、コンビニエンスストアの従業員の端末)を関連付けた受取先情報を予め記憶する。なお、管理装置1は、受取先情報を外部サーバから参照又は取得してもよい。管理装置1は、利用者端末2から受取先変更要求を取得すると、受取先情報を参照して、配車先及び制御権付与の設定を変更する。
【0163】
次に、管理装置1の制御指示支援情報生成部125は、制御権が設定された配送元利用者識別情報又は配送先利用者識別情報に対して、配送車両3に制御指示情報の入力を支援するための制御指示支援情報を生成する(ステップS107)。制御指示支援情報は、例えば、配送車両3への制御を指示するための制御指示画面である。また、制御指示支援情報は、配送車両3への制御を指示するための専用のWEBページを示すアドレスを示す画面であってもよい。この場合、利用者は、利用者端末2を用いて、制御指示画面又は制御指示専用のWEBページを介して、配送車両3に対して、制御指示を行うことができる。
【0164】
図9は、本実施の形態1において、利用者端末2に表示される制御指示支援情報の一例を示す図である。図9に示す制御指示支援情報は、制御指示専用のWEBページを示すアドレスを示す画面の一例を表している。利用者は、画面上に表示されるアドレスをタッチする。これにより、制御指示専用のWEBページが利用者端末2の表示部22に表示される。
【0165】
また、配送車両3が、利用者が制御指示情報を入力するための入力装置(図示しない)を搭載している場合、制御指示支援情報は、配送車両3に搭載される入力装置を介して、利用者が制御指示情報を入力するために必要となるパスワードなどの情報であってもよい。この場合、利用者は、制御指示支援情報であるパスワードなどの情報を配送車両3に搭載される入力装置に入力する。これにより、利用者は、配送車両3に対して、制御指示を行うことができる。この構成にすることで、利用者以外の人が、配送車両3を制御することを防止することができる。
【0166】
次に、管理装置1の情報送信部126は、通信部11を介して、制御権が与えられた配送元又は配送先の利用者端末2に対して、制御指示支援情報を送信する(ステップS108)。管理装置1は、利用者から、利用者毎に利用者の連絡先を示す利用者連絡先情報を含む利用者情報を取得し、利用者情報記憶部132に記憶している。情報送信部126は、利用者情報に基づき、制御権が与えられた利用者に対して、制御指示支援情報を送信する。利用者情報は、予め利用者から取得してもよいし、利用者から利用者情報を含む配車要求情報を取得し、配車要求情報から利用者情報を取得してもよい。配送車両3が物を配送する場合、配送元の利用者と配送先の利用者とが異なり、配送元の利用者と配送先の利用者とのいずれかの利用者は、配送依頼者と異なることになる。そのため、配車要求情報取得部121は、配送依頼者とは異なる方の利用者情報を含む配車要求情報を取得することになる。
【0167】
次に、利用者端末2の通信部21は、管理装置1から送信された、制御指示支援情報を受信する(ステップS109)。利用者は、利用者端末2に送信された制御指示支援情報に基づき、配送車両3の制御指示を行うことができる。
【0168】
次に、管理装置1の情報送信部126は、配車要求情報に基づく配車指示情報を配送車両3に送信する(ステップS110)。配車指示情報は、少なくとも配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む。配車指示情報には、配送車両3の現在位置から配送元までの経路情報と配送元から配送先までの経路情報を含んでもよい。この場合、管理装置1が、経路情報を生成する。なお、別の構成として、配送車両3が、配車指示情報の配送元の位置情報及び配送先の位置情報に基づき、車両の現在位置から配送元までの経路情報と配送元から配送先までの経路情報とを生成してもよい。
【0169】
配送車両3の配車指示情報取得部323は、管理装置1から送信された、配車要求情報に基づく配車指示情報を受信する(ステップS111)。配送車両3の移動制御部321は、配車指示情報に基づき、車両の移動制御を行う。
【0170】
次に、管理装置1の情報送信部126は、制御権設定部124により設定された制御権に関する制御権情報を配送車両3に送信する(ステップS112)。
【0171】
次に、配送車両3の制御権情報取得部324は、管理装置1から送信された、制御権設定部124により設定された制御権に関する制御権情報を受信する(ステップS113)。配送車両3の移動制御部321は、外部から配送車両3の制御指示情報を受信した場合に、制御権情報に基づき、配送車両3を制御する。
【0172】
次に、管理装置1から制御権情報を取得した配送車両3が、外部から配送車両3を制御するための制御指示情報を受信した場合の処理について、図10のフローチャートを用いて、詳細に説明する。
【0173】
図10は、本開示の実施の形態1における配送車両の車両制御処理について説明するためのフローチャートである。
【0174】
まず、配送車両3の制御指示情報取得部325は、配送車両3を制御するための制御指示情報を受信する(ステップS21)。制御指示情報は、例えば、利用者が配送車両3を移動させる位置を示す位置情報を含む。
【0175】
図11は、本実施の形態1における利用者端末2において、利用者による制御指示情報の入力を受け付ける表示画面の一例を示す図である。図11に示す表示画面には、配送元又は配送先の近傍の地図画像201と、地図画像201上の配送元又は配送先の位置に配送車両3を表す車両画像202とが表示される。表示画面において、利用者は、配送車両3を移動させたい位置を指定する。例えば、利用者は、地図画像201上の車両画像202を所望の位置に移動させる。利用者端末2の通信部21は、利用者が指定した配送車両3の位置を示す位置情報を含む制御指示情報を配送車両3に送信する。この場合、配送車両3は、制御指示情報で示される位置に向かって移動する。なお、制御指示情報は、車両の位置だけでなく、車両の向きを示す情報を含んでもよい。この場合、配送車両3は、制御指示情報で指定された位置に向かって移動すると共に、車両の向きが、制御指示情報で指定された方向を向くように移動する。
【0176】
また、利用者端末2は、地図画像201上に、車両の駐車又は停車が禁止されている領域を識別可能に表示してもよい。車両の駐車又は停車が禁止されている領域は、地図情報から取得可能である。さらに、利用者端末2は、利用者によって入力された移動後の車両画像202の位置が、駐車又は停車が禁止されている領域内であるか否かを判定してもよい。移動後の車両画像202の位置が、駐車又は停車が禁止されている領域内であると判定された場合、利用者端末2は、警告画像を表示してもよく、又は警告音を出力してもよい。
【0177】
また、制御指示情報の別の入力方法としては、配送車両3を移動させる方向と、配送車両3を移動させる距離とを入力する方法が考えられる。
【0178】
図12は、本実施の形態1における利用者端末2において、利用者による制御指示情報の入力を受け付ける表示画面の他の例を示す図である。図12に示す表示画面には、配送車両3を移動させる方向を入力する第1入力欄211と、配送車両3を移動させる距離を入力する第2入力欄212とが表示される。第1入力欄211は、車両を前方及び後方のいずれに移動させるかの選択を受け付ける。第2入力欄212は、車両を移動させる距離の入力を受け付ける。利用者端末2の通信部21は、利用者が指定した方向と距離とを含む制御指示情報を配送車両3に送信する。図12の表示画面において、例えば、配送車両3を移動させる方向を示す情報が車両の前方であり、配送車両3を移動させる距離を示す情報が50cmである場合、配送車両3は、車両の前方に向かって、50cm移動することになる。
【0179】
図10に戻って、次に、車両位置情報取得部322は、センサー部34より配送車両3の現在位置を示す位置情報を取得する(ステップS22)。
【0180】
次に、制御可能位置判定部326は、制御権情報に基づき、車両位置情報取得部322によって取得された配送車両3の現在位置が、制御権情報に示される配送元の位置又は配送先の位置であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0181】
ここで、配送車両3の現在位置が配送元の位置及び配送先の位置ではないと判定された場合(ステップS23でNO)、制御指示情報には従わず、処理が終了される。
【0182】
一方、配送車両3の現在位置が配送元の位置又は配送先の位置であると判定された場合(ステップS23でYES)、制御可能主体判定部327は、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる利用者識別情報と一致するか否かを判定する(ステップS24)。
【0183】
ここで、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる利用者識別情報と一致しないと判定された場合(ステップS24でNO)、制御指示情報には従わず、処理が終了される。
【0184】
一方、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる利用者識別情報と一致すると判定された場合(ステップS24でYES)、移動制御部321は、取得された制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御する(ステップS25)。
【0185】
具体的には、まず、移動制御部321は、制御指示情報に従って配送車両3を移動させることができるか否かを判定する。例えば、制御指示情報に従って移動しようとする移動先の場所に障害物がある場合は、その場所に移動することができない。そのため、移動制御部321は、実際に移動する前に、制御指示情報に従って、配送車両3を移動させることができるか否かを判定する。この判定処理は、例えば、制御指示情報に基づき、移動先の場所を特定し、特定した場所について、センサー部34でセンシングした情報に基づき、障害物が存在するか否かを判断することにより行う。
【0186】
次に、移動制御部321は、この判定結果に基づき、実際に配送車両3の移動を制御する。具体的には、移動制御部321は、移動先に配送車両3を移動させることができると判定した場合、制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御する。一方、移動制御部321は、移動先に配送車両3を移動させることができないと判定した場合、制御指示情報には従わず、配送車両3を移動させない。
【0187】
なお、配送車両3の現在位置と、制御指示情報で示される移動先の場所との間に障害物がある場合、又は配送車両3の現在位置から制御指示情報で示される移動先の場所までの経路がカーブしている場合、移動先に配送車両3を移動させることができるか否かを判断できない場合がある。そこで、配送車両3の他の移動制御方法として、まず、移動制御部321は、制御指示情報に従って配送車両3の移動を開始させる。そして、移動制御部321は、移動中に、移動先に配送車両3を停車不可能であるか否かを繰り返し判断する。停車不可能ではないと判断した場合、移動制御部321は、移動先への移動を続ける。一方、停車不可能であると判断した場合、移動制御部321は、その場に配送車両3を停車させる。
【0188】
なお、停車不可能であると判断した場合、移動制御部321は、指示された移動先に配送車両3を停車させることができないことを利用者端末2に通知してもよい。この場合、利用者端末2は、利用者による他の移動先の入力を受け付けてもよい。また、利用者端末2は、移動先の近傍の停車可能位置を提示し、利用者による停車可能位置の選択を受け付けてもよい。また、停車不可能であると判断した場合、移動制御部321は、現在の場所までの移動経路上の最も近い停車可能位置を検索し、当該停車可能位置に配送車両3を停車させてもよい。また、停車不可能であると判断した場合、移動制御部321は、最も近い停車可能位置を検索し、当該停車可能位置に配送車両3を停車させてもよい。
【0189】
また、本実施の形態1において、制御指示情報は、利用者端末2の現在位置を示す位置情報をさらに含んでもよい。配送車両3の制御部32は、利用者端末2の現在位置が、配送車両3の現在位置の近傍であるか否かを判定する利用者位置判定部をさらに備えてもよい。利用者端末2の現在位置が、配送車両3の現在位置の近傍であると判定された場合、移動制御部321は、取得された制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御する。一方、利用者端末2の現在位置が、配送車両3の現在位置の近傍ではないと判定された場合、制御指示情報には従わず、処理が終了される。なお、利用者位置判定部は、利用者端末2の現在位置が、配送車両3の現在位置から所定の距離範囲内である場合、利用者端末2の現在位置が、配送車両3の現在位置の近傍であると判定する。また、利用者位置判定部は、利用者端末2の現在位置が、配送車両3の現在位置から所定の距離範囲内ではない場合、利用者端末2の現在位置が、配送車両3の現在位置の近傍ではないと判定する。
【0190】
これにより、利用者が配送車両3の近傍にいる状態で、配送車両3が移動されるので、利用者は、配送車両3の周囲を確認しながら、より安全に配送車両3を移動させることができる。
【0191】
なお、配送車両3の利用者位置判定部は、利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波が検知されたか否かを判定してもよい。利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波が検知されたと判定された場合、移動制御部321は、取得された制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御する。一方、利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波が検知されないと判定された場合、制御指示情報には従わず、処理が終了される。配送車両3と利用者端末2との間の距離が短ければ、配送車両3は、利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波を検知することができる。そのため、利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波が検知されたか否かを判定することにより、利用者が配送車両3の近傍にいるか否かを容易に判定することができる。
【0192】
また、配送車両3の利用者位置判定部は、利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波の強度が所定の閾値より大きいか否かを判定してもよい。利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波の強度が所定の閾値より大きいと判定された場合、移動制御部321は、取得された制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御する。一方、利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波の強度が所定の閾値以下であると判定された場合、制御指示情報には従わず、処理が終了される。配送車両3と利用者端末2との間の距離が短ければ、配送車両3で検知される近距離無線通信の電波の強度は大きくなる。そのため、利用者端末2から出力される近距離無線通信の電波の強度が所定の閾値より大きいか否かを判定することにより、利用者が配送車両3の近傍にいるか否かを容易に判定することができる。
【0193】
なお、本実施の形態1では、制御可能位置判定部326によるステップS23の処理の後、制御可能主体判定部327によるステップS24の処理を行っているが、制御可能主体判定部327による処理の後、制御可能位置判定部326による処理を行ってもよく、上記と同様の効果を得ることができる。
【0194】
なお、配送車両3の制御部32は、制御可能位置判定部326及び制御可能主体判定部327に加え、さらに、制御可能状態判定部(図示しない)を備えてもよい。制御可能状態判定部は、配送車両3が移動中及び停車中のいずれであるかを判定する。制御可能状態判定部によって配送車両3が停車中であると判定された場合、移動制御部321は、制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御してもよい。また、制御可能状態判定部によって配送車両3が移動中であると判定された場合、移動制御部321は、配送車両3の移動を禁止してもよい。
【0195】
配送車両3がまだ目的地に到着していない、つまり、配送車両3が移動中である場合に、制御指示情報に従って、配送車両3を移動させると、目的地に移動するのか、制御指示情報に従って移動するのかを選択するための判断処理が必要になる。しかしながら、本構成にすることで、その判断処理が不要になるため、処理量を削減することができる。また、利用者が配送車両3に搭載された入力装置を介して、配送車両3を移動させる場合、配送車両3の移動中に利用者が配送車両3の入力装置を介して制御指示情報を入力するのは危険である。そのため、配送車両3の移動中に制御指示情報の入力を受け付けないようにすることで、利用者は制御指示情報を安全に入力することができる。
【0196】
以上の構成により、配送元及び配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を利用者に設定できるため、利用者にとって不都合な位置に配送車両3が停車した場合であっても、利用者は、配送車両3を移動させることができる。
【0197】
また、本構成では、配送車両3が、配送元及び配送先に位置する場合にのみ、配送車両3を制御することができる。そのため、配送車両3が、配送元及び配送先以外の場所に位置する場合に、つまり、配送車両3の制御が不要である場合において、利用者が、配送車両3を移動させることを防止することができる。
【0198】
なお、本実施の形態1では、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送元利用者識別情報に対して設定し、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送先利用者識別情報に対して設定しているが、配送元の位置情報及び配送先の位置情報のそれぞれに基づき、所定ルールに従って、配送車両3に制御指示可能な領域を表す配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を決定し、配送元制御権行使可能範囲に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送元利用者識別情報に対して設定し、配送先制御権行使可能範囲に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送先利用者識別情報に対して設定してもよい。
【0199】
本実施の形態1では、利用者が、配送車両3を移動させる制御指示情報を入力して、配送車両3を移動させた後、再度、利用者が、配送車両3への制御を指示する場合、利用者が、配送車両3に対する制御指示情報を再度入力したとしても、配送車両3の位置が、配送元の位置及び配送先の位置とは異なっており、配送車両3は、制御指示情報に従って制御されることはない。しかしながら、本構成の場合、利用者が、配送車両3を移動させる制御指示情報を入力して、配送車両3を移動させた後、再度、利用者が、配送車両3への制御を指示する場合、配送車両3の位置が、配送元制御権行使可能範囲又は配送先制御権行使可能範囲の範囲内であれば、利用者が、配送車両3に対して制御指示することが可能となる。配送車両3の位置を細かく移動させる場合、すなわち、配送車両3を例えば数十cm単位で移動させる場合、一度の制御指示では、配送車両3を所望の場所に移動させることが難しいため、複数回にわたって、配送車両3を移動させる。このような状況において、本構成であれば、限られた範囲内ではあるが、利用者が制御指示を複数回数行うことが可能となる。
【0200】
なお、本構成では、決定した配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を示す情報を制御指示支援情報に含めて利用者に送信することが望ましい。この構成にすることで、利用者は、配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を確認しながら、配送車両3の制御指示を行うことができる。なお、配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を示す情報を含む制御指示支援情報を利用者端末2にて表示する場合、配送車両3の位置を重畳して表示することが好ましい。これにより、利用者は、制御指示を複数回行った場合であっても、配送車両3の位置、配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を把握することが可能となる。この場合、利用者端末2は、制御指示に従って移動した後の配送車両3の位置を定期的に更新することが望ましい。この構成にすることで、利用者は、現在の配送車両3の位置を把握できるため、配送車両3が配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲の範囲内のどこに存在するかを把握することができる。
【0201】
制御権設定部124は、配車先の位置に基づき、配車先における配送車両の利用者による制御を許可する制御権行使可能範囲(制御許可範囲)を生成する。なお、制御権設定部124は、配送元の位置に基づき、配送元における配送車両の利用者による制御を許可する配送元制御権行使可能範囲を生成する。また、制御権設定部124は、配送先の位置に基づき、配送先における配送車両の利用者による制御を許可する配送先制御権行使可能範囲を生成する。配送元の位置及び配送先の位置は、例えば、緯度及び経度(GPS情報)、住所、又は施設の名前で表される。
【0202】
そして、制御権設定部124は、制御権行使可能範囲内に位置する配送車両の制御を許可する制御権(車両制御権)を利用者に対して設定する。なお、制御権設定部124は、配送元制御権行使可能範囲内に位置する配送車両の制御を許可する制御権を利用者に対して設定する。また、制御権設定部124は、配送先制御権行使可能範囲内に位置する配送車両の制御を許可する制御権を利用者に対して設定する。
【0203】
配送元の位置情報及び配送先の位置情報のそれぞれに基づき、配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を決定する方法としては、例えば、配送元及び配送先の位置情報で示される場所から所定の範囲を配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲に決定する方法が考えられる。
【0204】
図13は、本実施の形態1における配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を説明するための模式図である。具体的な例として、制御権設定部124は、配送車両3の幅の領域を、配送元の位置から車道に沿って前方及び後方に3mずつ伸ばした領域を配送元制御権行使可能範囲301に決定する。図13の斜線で示す領域が、配送元制御権行使可能範囲301である。なお、配送先制御権行使可能範囲についても、配送元制御権行使可能範囲と同様に決定される。また、配送元の位置及び配送先の位置は、例えば、緯度及び経度(GPS情報)で表される。
【0205】
また、配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲の別の決定方法としては、配送元の位置情報又は配送先の位置情報が、住所で示されている場合において、住居表示の仕組みを用い、住所で示される領域を配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲に決定する方法が考えられる。
【0206】
住居表示の仕組みには、大きく分けて、街区方式と道路方式とがあり、それぞれの仕組みと配送元又は配送先の住所で示される領域とについて、次に、説明する。
【0207】
まず、日本で主に採用されている街区方式の仕組みについて説明する。街区方式は、原則として道路に囲まれた区画(ブロック)が単位(街区)となり、1つの町名は1又は複数の街区で構成される。街区方式では、街区符号とよばれる符号が付与される。この街区符号は、街区周辺を市町村の中心に近い角を起点にし、起点から街区の外周に沿って時計回りに距離を測って、10m~15mごとに区切り、順番に1、2、3…と基礎番号がつけられる仕組みとなっている。例えば、「・・・X丁目Y番Z号」という住居表示の場合、「Y」の部分が、街区を示す番号であり、「Z」の部分が、基礎番号である。
【0208】
この街区方式での住居表示は、住居表示の対象となる建物の玄関または主要な出入り口が接する位置の基礎番号により表される。
【0209】
図14は、本実施の形態1において、街区方式での住居表示を説明するための模式図である。図14で示される街区は、起点から外周に沿って時計回りに1、2、3、・・・、12と順に基礎番号が付与されている。図14において、建物41の住居表示は、建物41の玄関が接する位置の基礎番号で表されるため、例えば、建物41の住居表示の号(上記のZ)に相当する部分は、「3」となる。このため、配送元として建物41の住所が指定された場合、配送元制御権行使可能範囲は、住居表示で示される基礎番号「3」に対応する領域全てとなる。街区方式の住居表示を利用する場合、住所で示される領域のうち、道の端部から例えば1.5mの範囲を配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲に決定してもよい。
【0210】
図15は、本実施の形態1において、街区方式の住居表示を利用して決定される配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を説明するための模式図である。制御権設定部124は、街区方式の住居表示を利用して、配送元である建物41の住所で示される領域のうち、道の端部から1.5mの範囲を配送元制御権行使可能範囲302に決定する。図15の斜線で示す領域が、配送元制御権行使可能範囲302である。なお、配送先制御権行使可能範囲についても、配送元制御権行使可能範囲と同様に決定される。
【0211】
次に、海外で主に採用されている道路方式の仕組みについて説明する。道路方式は、道路の名前と、当該道路に接する建物又は当該道路に通ずる道路を有する建物に付与される住居番号とで構成される仕組みになっている。そのため、道路方式の住居表示は、建物が面している道路の名前と、建物に付与される住居番号によって表される。
【0212】
図16は、本実施の形態1において、道路方式での住居表示を説明するための模式図である。図16では、名前が「ABC Street」である道に沿って、建物に住居番号が付与されている。図16では、道の一方側の建物に奇数の住居番号が付与され、他方側の建物に偶数の住居番号が付与されている。住居番号の付与方法は、国又は地域により異なるが、道路の名前と建物に付与された住居番号とにより、住居を表示する仕組みは同じである。図16において、建物41の住居番号は「1」であり、建物41の範囲は、建物41が接する道の一部分の領域となる。このため、配送元として建物41の住所が指定された場合、配送元として指定される位置は、住居表示で示される建物41が接する道の一部分の領域となる。
【0213】
道路方式の住居表示を利用する場合、住所で示される領域のうち、道の端部から例えば1.5mの範囲を配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲に決定してもよい。
【0214】
図17は、本実施の形態1において、道路方式の住居表示を利用して決定される配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を説明するための模式図である。制御権設定部124は、道路方式の住居表示を利用して、配送元である建物41の住所で示される領域のうち、道の端部から1.5mの範囲を配送元制御権行使可能範囲303に決定する。図17の斜線で示す領域が、配送元制御権行使可能範囲303である。
【0215】
このように、住居表示で示される住所は、点を示すのではなく、領域を示すため、配送元の位置情報が、住所で示されている場合、制御権設定部124は、住居表示の仕組みに基づき、配送元制御権行使可能範囲を決定してもよい。この構成の場合、住居表示の仕組みを利用するため、簡単な構成により、配送元制御権行使可能範囲又は配送先制御権行使可能範囲を決定することができる。なお、上述した例では、道の端部から1.5mの範囲を配送元制御権行使可能範囲又は配送先制御権行使可能範囲として決定しているが、住居表示の仕組みを利用して配送元制御権行使可能範囲又は配送先制御権行使可能範囲を決定する方法であれば、任意の方法であってよい。
【0216】
また、配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲の別の決定方法としては、配送元の位置情報又は配送先の位置情報が、施設の名前で示されている場合において、施設の名前から当該施設の住所を特定し、特定した住所で示される領域を配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲に決定する方法が考えられる。なお、施設の名前に基づいて決定される配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲の大きさは、施設のオーナー又は管理者等によって変更可能であってもよい。例えば、施設内でも、停車が許可されている場所と、停車が禁止されている場所とがある場合、施設のオーナー又は管理者等は、配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を、施設の中の停車が許可されている場所の範囲に設定してもよい。
【0217】
なお、利用者が、配送元制御権行使可能範囲又は配送先制御権行使可能範囲を超えて、配送車両3の制御を希望する場合は、配車サービス事業者の操縦オペレータが、利用者の要望を受けて配送車両3を制御してもよい。このとき、制御指示支援情報は、配車サービス事業者の操縦オペレータに配送車両3の制御を依頼するための制御依頼情報を含んでもよい。この構成の場合、依頼を受けた配車サービス事業者の操縦オペレータが、配送車両3を遠隔操縦する。
【0218】
ここで、利用者に配送車両3の制御権を付与せずに、配送車両3を制御させる場合は、常に、利用者は、配車サービス事業者の操縦オペレータを介して、配送車両3を制御する構成が考えられる。しかしながら、本実施の形態1では、配送車両3と同じ場所にいる利用者が、配送車両3を数cm~数十cmといった細かい範囲で移動させることを想定している。そのため、遠隔地にいる配車サービス事業者の操縦オペレータを介して、配送車両3を制御するよりも、配送元又は配送先にいる利用者が直接配送車両3を制御するほうが望ましい。
【0219】
なお、本実施の形態1では、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送元利用者識別情報に対して設定し、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送先利用者識別情報に対して設定するが、配送元の位置情報及び配送先の位置情報のそれぞれに基づき、所定ルールに従って、配送車両3が制御指示情報により移動可能な領域を表す配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲を決定し、配送元に位置する配送車両3を配送元制御可能範囲内において制御する制御権を配送元利用者識別情報に対して設定し、配送先に位置する配送車両3を配送先制御可能範囲内において制御する制御権を配送先利用者識別情報に対して設定してもよい。
【0220】
制御権設定部124は、配車先の位置に基づき、配車先において配送車両が利用者により移動制御可能な制御可能範囲(移動制御許可範囲)を生成する。なお、制御権設定部124は、配送元の位置に基づき、配送元において配送車両が移動可能な配送元制御可能範囲を生成する。また、制御権設定部124は、配送先の位置に基づき、配送先において配送車両が移動可能な配送先制御可能範囲を生成する。配送元の位置及び配送先の位置は、例えば、緯度及び経度(GPS情報)、住所、又は施設の名前で表される。
【0221】
そして、制御権設定部124は、制御可能範囲内において配送車両の移動制御を許可する制御権(車両制御権)を利用者に対して設定する。なお、制御権設定部124は、配送元制御可能範囲内において配送車両の移動制御を許可する制御権を利用者に対して設定する。また、制御権設定部124は、配送先制御可能範囲内において配送車両の移動制御を許可する制御権を利用者に対して設定する。
【0222】
本実施の形態1の場合、配送車両3が制御指示情報により移動可能な領域に制約がないため、利用者は、配送車両3に対して、任意の場所へ移動するための制御指示を行うことができる。そのため、利用者が、配送元に到着した配送車両3に対して、配送先とは異なる経由地に移動するように制御指示することができる。例えば、利用者が、配送元から経由地に配送車両3を移動させ、経由地において荷物を積載すれば、配送元に加え、経由地においても荷物を積載することができ、配送元及び経由地で積載した荷物を配送先まで配送することができる。これは、利用者が荷物を積載しやすい位置又は利用者が荷物を降ろしやすい位置に配送車両3を移動させる、又は、利用者が乗車しやすい位置又は利用者が降車しやすい位置に配送車両3を移動させるという本来の目的の範疇を超えてしまう。
【0223】
しかしながら、本構成にすることで、配送車両3が制御指示情報により移動可能な領域を制限できるため、利用者が、配送元と配送先との間に経由地を設定し、その経由地において、荷物を積載して配送先まで配送するという本来の目的とは異なる目的で配送車両3を制御することを防止することができる。また、配送車両3が人を配送する場合も同様に、利用者が、配送元と配送先との間に経由地を設定し、その経由地において、利用者以外の別の人を乗車させて配送先まで配送するという本来の目的とは異なる目的で配送車両を制御することを防止することができる。
【0224】
なお、利用者が、配送元制御可能範囲又は配送先制御可能範囲を超えて、配送車両3の制御を希望する場合は、配車サービス事業者の操縦オペレータが、利用者の要望を受けて配送車両3を制御してもよい。このとき、制御指示支援情報は、配車サービス事業者の操縦オペレータに配送車両3の制御を依頼するための制御依頼情報を含んでもよい。この構成の場合、依頼を受けた配車サービス事業者の操縦オペレータが、配送車両3を遠隔操縦する。
【0225】
なお、本構成では、決定した配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲を示す情報を制御指示支援情報に含めて利用者に送信することが望ましい。この構成にすることで、利用者は、配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲を確認しながら、配送車両3の制御指示を行うことができる。
【0226】
配送元の位置情報及び配送先の位置情報のそれぞれに基づき、配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲を決定する方法としては、配送元制御権行使可能範囲及び配送先制御権行使可能範囲を決定する方法で例示した方法を用いることができる。
【0227】
すなわち、制御権設定部124は、配送元及び配送先のGPS情報(緯度及び経度)で示される場所から所定の範囲を配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲に決定してもよい。また、制御権設定部124は、配送元及び配送先の住所で示される領域を配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲に決定してもよい。また、制御権設定部124は、配送元及び配送先の施設の名前から当該施設の住所を特定し、特定した住所で示される領域を配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲に決定してもよい。なお、施設の名前に基づいて決定される配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲の大きさは、施設のオーナー又は管理者等によって変更可能であってもよい。例えば、施設の中でも、停車が許可されている場所と、停車が禁止されている場所とがある場合、施設のオーナー又は管理者等は、配送元制御可能範囲及び配送先制御可能範囲を、施設の中の停車が許可されている場所の範囲に設定してもよい。
【0228】
なお、配送元利用者識別情報に対して、配送元制御権行使可能範囲と配送元制御可能範囲との両方が設定されてもよい。同様に、配送先利用者識別情報に対して、配送先制御権行使可能範囲と配送先制御可能範囲との両方が設定されてもよい。この場合、配送元制御可能範囲と配送元制御権行使可能範囲とは、同一であってもよい。この構成の場合、それぞれ別々に領域を決定する必要がないため処理量が削減でき、また、同一の領域情報を用いるため記憶する情報量も削減することができる。
【0229】
なお、利用者端末2から配送車両3の制御指示を行う場合、利用者端末2が配送車両3へ制御指示情報を直接送信する構成と、利用者端末2が管理装置1を介して配送車両3へ制御指示情報を送信する構成とが考えられる。また、制御指示情報に基づいて配送車両3の移動を制御するか否かを判定する制御可否判定処理を、配送車両3が行う構成と、管理装置1が行う構成とが考えられる。
【0230】
利用者端末2が配送車両3へ制御指示情報を直接送信する場合、本実施の形態1で説明したように、配送車両3は、利用者端末2からの制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御するか否かを判定する。一方、利用者端末2が管理装置1を介して配送車両3へ制御指示情報を送信する場合は、管理装置1又は配送車両3が、利用者端末2からの制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御するか否かを判定してもよい。また、利用者端末2からの制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御するか否かの判定処理の一部を管理装置1が行い、残りの部分を配送車両3が行ってもよい。
【0231】
図18は、本実施の形態1における配送車両の移動を制御する処理を説明するための模式図である。
【0232】
図18に示すように、本実施の形態1では、管理装置1は、制御権情報を配送車両3へ送信する。配送車両3は、管理装置1によって送信された制御権情報を受信する。制御権情報は、配送車両3の利用者による制御を許可する制御許可位置を示す制御許可位置情報と、制御許可位置において、配送車両3を制御する制御主体を識別するための制御主体識別情報とを含む。利用者端末2は、制御指示情報を配送車両3へ送信する。制御指示情報は、配送車両3を移動させる位置を示す位置情報と、利用者端末2を識別するための制御主体識別情報とを含む。配送車両3は、利用者端末2によって送信された制御指示情報を受信する。
【0233】
そして、配送車両3は、配送車両3の移動を制御するか否かを判定する制御可否判定処理を行う。なお、制御可否判定処理は、制御可能位置判定部326による、現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であるか否かを判定する処理と、制御可能主体判定部327による、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる制御主体識別情報と一致するか否かを判定する処理とを含む。そして、配送車両3は、制御可否判定処理の結果、配送車両3の移動を制御すると判定された場合、制御指示情報に含まれる位置情報に基づいて、配送車両3の移動を制御する。
【0234】
図19は、本実施の形態1の第1の変形例における配送車両の移動を制御する処理を説明するための模式図である。
【0235】
図19に示すように、本実施の形態1の第1の変形例では、管理装置1は、制御権情報を配送車両3へ送信する。配送車両3は、管理装置1によって送信された制御権情報を受信する。制御権情報は、配送車両3の利用者による制御を許可する制御許可位置を示す制御許可位置情報と、制御許可位置において、配送車両3を制御する制御主体を識別するための制御主体識別情報とを含む。利用者端末2は、制御指示情報を管理装置1へ送信する。制御指示情報は、配送車両3を移動させる位置を示す位置情報と、利用者端末2を識別するための制御主体識別情報とを含む。管理装置1は、利用者端末2によって送信された制御指示情報を受信する。管理装置1は、利用者端末2から受信した制御指示情報を配送車両3へ送信する。配送車両3は、管理装置1によって送信された制御指示情報を受信する。
【0236】
そして、配送車両3は、配送車両3の移動を制御するか否かを判定する制御可否判定処理を行う。なお、制御可否判定処理は、制御可能位置判定部326による、現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であるか否かを判定する処理と、制御可能主体判定部327による、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる制御主体識別情報と一致するか否かを判定する処理とを含む。そして、配送車両3は、制御可否判定処理の結果、配送車両3の移動を制御すると判定された場合、制御指示情報に含まれる位置情報に基づいて、配送車両3の移動を制御する。
【0237】
図20は、本実施の形態1の第2の変形例における配送車両の移動を制御する処理を説明するための模式図である。
【0238】
図20に示すように、本実施の形態1の第2の変形例では、管理装置1は、制御権情報を記憶しているが、制御権情報を配送車両3へは送信しない。制御権情報は、配送車両3の利用者による制御を許可する制御許可位置を示す制御許可位置情報と、制御許可位置において、配送車両3を制御する制御主体を識別するための制御主体識別情報とを含む。利用者端末2は、制御指示情報を管理装置1へ送信する。制御指示情報は、配送車両3を移動させる位置を示す位置情報と、利用者端末2を識別するための制御主体識別情報とを含む。管理装置1は、利用者端末2によって送信された制御指示情報を受信する。
【0239】
そして、管理装置1は、配送車両3の移動を制御するか否かを判定する制御可否判定処理を行う。なお、制御可否判定処理は、現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であるか否かを判定する処理と、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる制御主体識別情報と一致するか否かを判定する処理とを含む。この処理を行う場合、配送車両3の現在位置の情報が必要になるため、管理装置1は、配送車両3から配送車両3の現在位置を取得する。管理装置1は、利用者端末2から制御指示情報を受信したタイミングで配送車両3に位置情報の送信を要求する。また、制御指示情報を受信するタイミングの直前に配送車両3の位置情報を取得している場合は、管理装置1は、新たに配送車両3に位置情報の送信要求を行わず、直前に取得した位置情報を用いる構成であってもよい。
【0240】
この場合、管理装置1の制御部12は、現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であるか否かを判定する制御可能位置判定部と、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる制御主体識別情報と一致するか否かを判定する制御可能主体判定部とをさらに備える。管理装置1は、制御可否判定処理の結果、配送車両3の移動を制御すると判定された場合、利用者端末2から受信した制御指示情報を配送車両3へ送信する。このとき、制御指示情報は、制御主体識別情報を含まずに、位置情報のみを含む。配送車両3は、管理装置1によって送信された制御指示情報を受信する。そして、配送車両3は、受信した制御指示情報に含まれる位置情報に基づいて、配送車両3の移動を制御する。また、制御指示情報は、制御主体識別情報を含んでもよい。その場合、制御主体識別情報は、配送車両3側では無視される構成であってもよい。
【0241】
また、管理装置1は、制御可否判定処理の結果、配送車両3の移動を制御しないと判定された場合、制御指示情報を配送車両3に送信しない構成であってもよいし、制御指示情報を受信したが、正当な制御指示でなかった旨を配送車両3に通知する構成であってもよい。前者の構成によれば、通信量を削減できるとともに、配送車両3に無駄な処理をさせずに済む。
【0242】
図21は、本実施の形態1の第3の変形例における配送車両の移動を制御する処理を説明するための模式図である。
【0243】
図21に示すように、本実施の形態1の第3の変形例では、管理装置1は、制御権情報を記憶しているが、制御権情報を配送車両3へは送信しない。制御権情報は、配送車両3の利用者による制御を許可する制御許可位置を示す制御許可位置情報と、制御許可位置において、配送車両3を制御する制御主体を識別するための制御主体識別情報とを含む。利用者端末2は、制御指示情報を配送車両3へ送信する。制御指示情報は、配送車両3を移動させる位置を示す位置情報と、利用者端末2を識別するための制御主体識別情報とを含む。配送車両3は、利用者端末2によって送信された制御指示情報を受信する。配送車両3は、利用者端末2から受信した制御指示情報を管理装置1へ送信する。管理装置1は、配送車両3によって送信された制御指示情報を受信する。なお、この送信タイミングで、配送車両3は、配送車両3の位置情報を送信する。また、この構成には限らず、管理装置1が常時配送車両3の位置情報を取得している場合は、配送車両3はこのタイミングで位置情報を送信しなくてもよい。
【0244】
そして、管理装置1は、配送車両3の移動を制御するか否かを判定する制御可否判定処理を行う。なお、制御可否判定処理は、現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であるか否かを判定する処理と、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる制御主体識別情報と一致するか否かを判定する処理とを含む。この場合、管理装置1の制御部12は、現在位置が、制御許可位置情報で示される制御許可位置であるか否かを判定する制御可能位置判定部と、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報が、制御権情報に含まれる制御主体識別情報と一致するか否かを判定する制御可能主体判定部とをさらに備える。管理装置1は、制御可否判定処理の結果、配送車両3の移動を制御すると判定された場合、配送車両3から受信した制御指示情報を配送車両3へ送信する。このとき、制御指示情報は、制御主体識別情報を含まずに、位置情報のみを含む。配送車両3は、管理装置1によって送信された制御指示情報を受信する。そして、配送車両3は、受信した制御指示情報に含まれる位置情報に基づいて、配送車両3の移動を制御する。また、管理装置1は、制御可否判定処理の結果を配送車両3に送信してもよい。配送車両3は、制御可否判定処理の結果に基づき、制御指示情報に従って制御するか否かを判断してもよい。
【0245】
利用者端末2が管理装置1を介して配送車両3を制御する場合、通信状況が悪く、利用者端末2から管理装置1へ通信できない場合も考えられる。そのため、管理装置1は、配送車両3に制御権情報を予め送信し、利用者端末2は、配送車両3へ制御指示情報を直接送信し、配送車両3が、制御可能であるか否かを判定する構成が望ましい。
【0246】
なお、本実施の形態1では、配送車両3は、制御指示情報に含まれる制御主体識別情報と制御権情報に含まれる利用者識別情報とに基づき、利用者が正当な制御主体であるか否かを判定しているが、制御指示情報を取得する前に、利用者が正当な制御主体であるか否かを認証してもよい。例えば、配送車両3が、外部からアクセスした利用者の利用者識別情報を用いて、認証処理を行い、利用者が正当であると判断した後、その利用者から送信された制御指示情報を受信して、制御指示情報に従って、配送車両3の移動を制御してもよい。
【0247】
ここで、利用者識別情報は、例えば、利用者ID及びパスワードの組み合わせ、又は生体情報であってもよい。生体情報は、例えば、指紋、虹彩又は顔である。利用者端末2は、制御指示情報の入力を受け付ける前に、利用者識別情報の利用者による入力を受け付け、受け付けた利用者識別情報を配送車両3へ送信する。配送車両3は、利用者端末2によって送信された利用者識別情報を受信し、受信した利用者識別情報を認証する。なお、認証に用いられる利用者識別情報は、配送車両3に予め登録されている。配送車両3は、受信した利用者識別情報を承認した場合、利用者端末2とのログイン状態を維持する。その後、利用者端末2は、制御指示情報の入力を受け付ける際に、配送車両3とのログイン状態が維持されていれば、利用者識別情報の入力を受け付ける必要がない。なお、利用者端末2によって送信された利用者識別情報の認証は、管理装置1で行われてもよい。
【0248】
なお、配送車両3が物を配送する場合の配送元及び配送先において、及び配送車両3が人を配送する場合の配送元においては、利用者は、配送車両3の外側から配送車両3を制御するため、配送車両3の周辺を確認しながら制御指示を行うことができる。一方、配送車両3が人を配送する場合の配送先においては、利用者は車内にいるため、配送車両3内から配送車両3を制御することになる。この場合、利用者は、配送車両3の周辺を確認しながら制御指示を行うことができない。そこで、配送車両3が人を配送する場合、配送車両3が配送先に到着した際に、配送車両3は、配送車両3の周辺に関する車両周辺情報を利用者端末2に対して送信してもよい。車両周辺情報とは、例えば、利用者が降車する部分を含む画像又は動画の情報などである。この構成にすることで、利用者は車内にいながら、配送車両3の周辺を確認しつつ、配送車両3に制御指示を行うことができる。なお、配送車両3は、車両周辺情報を直接利用者端末2に送信してもよいし、管理装置1など他の装置を介して利用者端末2に送信してもよい。
【0249】
また、本実施の形態1では、配送元又は配送先において、配送車両3の移動を制御しているが、本開示は特にこれに限定されず、配送元又は配送先において、配送車両3のドアの開閉を制御してもよく、配送車両3のライトの点灯を制御してもよく、配送車両3の他の動作を制御してもよい。
【0250】
また、本実施の形態1では、管理装置1の制御指示支援情報生成部125が制御指示支援情報を生成し、情報送信部126が制御指示支援情報を送信し、利用者端末2の通信部21が管理装置1から制御指示支援情報を受信しているが、本開示は特にこれに限定されない。例えば、利用者端末2が、配車要求を行うためのアプリケーションプログラムをインストールしている場合、利用者端末2の記憶部25は、制御指示支援情報を予め記憶していてもよい。そして、表示部22は、記憶部25に記憶された制御指示支援情報を表示してもよく、入力部23は、利用者による制御指示情報の入力を受け付けてもよい。この場合、管理装置1は、制御指示支援情報生成部125を備えていなくてもよく、情報送信部126は、制御指示支援情報を送信する機能を有していなくてもよい。また、表示部22は、配送車両3の制御指示が可能な状態の表示態様と、配送車両3の制御指示が不可能な状態の表示態様とを異ならせてもよい。
【0251】
具体的には、表示部22は、配送車両3の位置が、利用者端末2による配車制御を許可する位置になったタイミングで、制御指示が可能な状態の表示態様で制御指示支援情報を表示し、配送車両3の位置が、利用者端末2による配車制御を許可する位置から外れたタイミングで、制御指示が不可能な状態の表示態様で制御指示支援情報を表示する。この構成の場合、管理装置1は、配送車両3の位置を監視する。そして、配送車両3の位置が利用者端末2による配車制御を許可する位置になったタイミングで、管理装置1は、利用者端末2のアプリケーションに対して、表示態様を切り替える指示を行う。
【0252】
なお、配送車両3の位置が、利用者端末2による配車制御を許可する位置になったタイミングであり、かつ、配送車両3が停車した場合、つまり配送車両3が配送先又は配送元に到着した場合に、表示部22は、制御指示が可能な状態の表示態様で制御指示支援情報を表示してもよい。また、表示部22は、表示態様を切り替えるのではなく、制御可能な状態になったことを利用者に通知する構成であってもよい。
【0253】
また、配送車両3が、利用者が制御指示情報を入力するための入力装置(図示しない)を搭載している場合、配送車両3の記憶部33は、制御指示支援情報を予め記憶していてもよい。そして、配送車両3の表示部(図示しない)は、記憶部33に記憶された制御指示支援情報を表示してもよく、入力装置は、利用者による制御指示情報の入力を受け付けてもよい。
【0254】
また、本実施の形態1では、制御権情報は、配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含んでいるが、本開示は特にこれに限定されず、制御権情報は、配送元の位置情報及び配送先の位置情報に替えて、配送車両の配送元における到着予定時刻及び配送車両の配送先における到着予定時刻を含んでもよい。
【0255】
図22は、本実施の形態1において、制御権情報記憶部に記憶される制御権情報の他の例を示す図である。図22に示す制御権情報は、配車要求情報を識別するための配車要求識別番号と、配送元又は配送先のいずれかを示す情報と、到着予定時刻と、利用者識別情報と、配送車両の車両識別情報とを含む。到着予定時刻は、配送車両の配送元における到着予定時刻及び配送車両の配送元における到着予定時刻を示している。
【0256】
利用者端末2は、配送車両の配送元における到着予定時刻及び配送車両の配送元における到着予定時刻の利用者による入力を受け付ける。利用者端末2は、利用者情報、配送車両の配送元における到着予定時刻及び配送車両の配送元における到着予定時刻を含む配車要求情報を管理装置1へ送信する。
【0257】
なお、利用者端末2は、利用者情報、配送元の位置情報及び配送先の位置情報を含む配車要求情報を管理装置1へ送信してもよい。管理装置1は、配車車両の現在位置と、配送元の位置情報とに基づいて、配車車両の現在位置を出発してから配送元の位置に到着するまでの到着予定時刻を算出してもよい。また、管理装置1は、配車車両の現在位置と、配送先の位置情報とに基づいて、配車車両の現在位置を出発してから配送先の位置に到着するまでの到着予定時刻を算出してもよい。
【0258】
図22では、例えば、15時30分である配送元の到着予定時刻において、利用者識別情報が「A」である利用者に対して、車両識別情報が「a」である配送車両を制御する制御権が設定されている。また、例えば、16時00分である配送先の到着予定時刻において、利用者識別情報が「B」である利用者に対して、車両識別情報が「a」である配送車両を制御する制御権が設定されている。
【0259】
配送車両3は、制御可能位置判定部326に替えて、制御可能時刻判定部を備える。制御可能時刻判定部は、現在時刻が、制御権情報に含まれる到着予定時刻であるか否かを判定する。制御可能時刻判定部は、外部から送信された配送車両3を制御するための制御指示情報が取得された場合に、制御権情報に基づき、現在時刻が制御権情報に示される配送元の到着予定時刻又は配送先の到着予定時刻であるか否かを判定する。判定の結果、現在時刻が制御権情報に示される配送元の到着予定時刻又は配送先の到着予定時刻であると判定された場合、制御可能主体判定部327に処理が移行する。一方、判定の結果、現在時刻が制御権情報に示される配送元の到着予定時刻及び配送先の到着予定時刻ではないと判定された場合、制御指示情報には従わず、処理が終了される。
【0260】
なお、現在時刻が、配送元の到着予定時刻又は配送先の到着予定時刻と完全に一致するか否かを判定する必要はなく、例えば、現在時刻が、配送元の到着予定時刻又は配送先の到着予定時刻の15分前から、配送元の到着予定時刻又は配送先の到着予定時刻の15分後までの間であるか否かを判定してもよい。
【0261】
なお、到着予定時刻に基づいて制御権を付与する構成ではなく、実際に到着したタイミングで到着時点から所定期間の間、利用者端末2に対して、制御権を付与する構成であってもよい。到着予定時刻に合わせて制御権を付与すると、配送車両3が実際にその到着予定時刻に到着するとは限らないため、到着が予定時刻から前後することで、利用者が配送車両3を制御できない可能性も考えられる。しかしながら、本構成ではそれを防ぐことができる。
【0262】
また、時間により利用者に対して制御権を付与する場合、利用者端末2の表示部22は、制御が許可される期間を表示することが好ましい。本構成にすることで、利用者はいつまで配送車両3を制御可能であるのかを把握することができる。
【0263】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、管理装置が、配送車両の配送状況に応じて、配車要求情報に基づき設定した配送車両を制御するための制御権の設定を変更する方法について説明する。
【0264】
図23は、本開示の実施の形態2における管理装置の構成を示すブロック図である。管理装置1Aは、通信部11、制御部12A及び記憶部13Aを備える。なお、図23において、図2と同様の構成要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0265】
図23に示す管理装置1Aは、図2に示す管理装置1に対して、制御部12A及び記憶部13Aが異なる。
【0266】
制御部12Aは、配車要求情報取得部121、利用者識別情報取得部122、配送車両決定部123、制御権設定部124、制御指示支援情報生成部125、情報送信部126、配送状況情報取得部127A、制御権変更部128A及び制御権変更通知情報生成部129Aを備える。図23に示す制御部12Aは、図2に示す管理装置1の制御部12に対して、配送状況情報取得部127A、制御権変更部128A及び制御権変更通知情報生成部129Aが異なる。
【0267】
配送状況情報取得部127Aは、配送車両3Aから、配車要求情報に対して配送車両3Aが配送対象を配送する状況に関する配送状況情報を取得する。配送状況情報とは、例えば、配送車両3Aが配送元に未到着、配送車両3Aが配送元での配送対象物の積載を完了、配送車両3Aが配送元から配送先まで配送対象物を配送中、配送車両3Aが配送先での配送対象物の荷降ろし完了、などの配送車両3Aの配送状況を示す情報である。この配送状況情報は、後述する配送車両3Aの配送状況情報生成部328Aがセンサー部34から取得した配送車両3Aの車両位置情報、又は、配送状況情報生成部328Aが後述する積載検知部36Aから取得した積載検知情報に基づき、生成される情報である。
【0268】
なお、配送状況情報は、配送車両3Aのセンサー部34から取得した配送車両3Aの車両位置情報、又は、積載検知部36Aから取得した積載検知情報であってもよい。この場合、配送状況情報とは、具体的には、配送先又は配送元で停車したことを示す情報、配送先において配送対象物を積載したことを示す情報、利用者が乗車したことを示す情報、配送元において配送対象物を降ろしたことを示す情報、及び利用者が降車したことを示す情報のような配送状況を判断するために利用可能な情報である。ただし、この構成の場合には、管理装置1Aは、取得した配送状況情報を用いて、配送状況を判断する機能を別途有する必要がある。
【0269】
制御権変更部128Aは、車両制御権の設定を所定の条件に基づき変更する。制御権変更部128Aは、配送状況情報取得部127Aで取得した配送状況情報に基づき、所定の条件を満たしているか否かを判断し、その判断結果に基づき、制御権の設定を変更する。具体的には、配送状況情報が、配送元(配車先)における配送対象物の積載完了を示す場合、制御権変更部128Aは、配送元において配送対象物が積載される配送車両3Aの利用者による制御を許可する制御権(配送元車両制御権)の配送元利用者識別情報に対する設定を解除する。この構成にすることで、配送元での配送対象物の積載完了後に、配送元利用者識別情報に対応する利用者が、配送元に位置する配送車両3Aを制御できないようにすることができる。また、別のタイミングで、配送元と同じ位置に配送車両3Aが存在する場合であっても、配送元利用者識別情報に対応する利用者が、不正に配送車両3Aを制御することを防止することができる。
【0270】
なお、ここで示した例は、配送車両3Aが物を配送する場合について説明したが、配送車両3Aが人を配送する場合であっても同様の効果を得ることができる。すなわち、配送関連情報が、配送元(配車先)における利用者の乗車完了を示す場合、制御権変更部128Aは、配送元において利用者が乗車する配送車両3Aの利用者による制御を許可する制御権(乗車車両制御権)の配送元利用者識別情報に対する設定を解除する。
【0271】
なお、この例では、配送状況情報が、配送元における配送対象物の積載完了を示す場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除しているが、本開示は特にこれに限定されない。配送状況情報が、配送元における配送対象物の積載完了を示すと判断された後であれば、任意のタイミングで、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。例えば、配送状況情報が、配送元における配送対象物の積載完了を示すと判断されてから、所定期間が経過した後、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。
【0272】
また、別の例として、配送状況情報が、配送元における配送対象物の積載完了を示すと判断されてから、配送車両3Aが所定距離移動した後、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。また、別の例として、配送状況情報が、配送元における配送対象物の積載完了を示すと判断されてから、所定時刻になった場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。例えば、配送対象物を積載した日の翌日になった時点で、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。
【0273】
ただし、配送状況情報が、配送元における配送対象物の積載完了を示すと判断された後、長時間が経過してしまうと、配送元における配送対象物の積載完了後に、配送元利用者識別情報に対応する利用者が、配送元に存在する配送車両3Aを制御することが可能となる。そのため、配送状況情報が、配送元における配送対象物の積載完了を示すと判断された後、できる限り早く、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除することが好ましい。
【0274】
また、他の例として、配送関連情報が、配送先(目的地)における配送対象物の荷降ろし完了を示す場合、制御権変更部128Aは、配送先において配送対象物が降ろされる配送車両3Aの利用者による制御を許可する制御権(配送先車両制御権)の配送先利用者識別情報に対する設定を解除する。この構成にすることで、配送先における配送対象物の荷降ろし完了後に、配送元利用者識別情報に対応する利用者が、配送先に位置する配送車両3Aを制御できないようにすることができる。また、別のタイミングで、配送先と同じ位置に配送車両3Aが存在する場合であっても、配送先利用者識別情報に対応する利用者が、不正に配送車両3Aを制御することを防止することができる。
【0275】
なお、ここで示した例は、配送車両3Aが物を配送する場合について説明したが、配送車両3Aが人を配送する場合であっても同様の効果を得ることができる。すなわち、配送関連情報が、配送先(目的地)における利用者の降車完了を示す場合、制御権変更部128Aは、配送先において利用者が降車する配送車両3Aの利用者による制御を許可する制御権(降車車両制御権)の配送先利用者識別情報に対する設定を解除する。
【0276】
なお、この例では、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示す場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除しているが、本開示は特にこれに限定されない。配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断された後であれば、任意のタイミングで、制御権変更部128Aは、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。例えば、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断されてから、所定期間が経過した後、制御権変更部128Aは、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。
【0277】
また、別の例として、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断されてから、配送車両3Aが所定距離移動した後、制御権変更部128Aは、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。また、別の例として、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断されてから、所定時刻になった場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。例えば、配送対象物を降ろした日の翌日になった時点で、制御権変更部128Aは、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除してもよい。
【0278】
また、先述の例では、配送元にて配送対象物を積載した時点、及び、配送先にて配送対象物を降ろした時点のそれぞれにおいて、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定、及び、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除しているが、本開示は特にこれに限定されない。他の例として、配送先における配送対象物の荷降ろしが完了した時点において、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定、及び、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を一括して解除してもよい。
【0279】
具体的には、配送関連情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示す場合に、制御権変更部128Aは、配送元(配車先)において配送対象物が積載される配送車両3Aの利用者による制御を許可する制御権(配送元車両制御権)の配送元利用者識別情報に対する設定と、配送先(目的地)において配送対象物が降ろされる配送車両3Aの利用者による制御を許可する制御権(配送先車両制御権)の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除する。この構成の場合、一括して制御権の設定変更処理を行うため、処理量を削減することができる。
【0280】
なお、ここで示した例は、配送車両3Aが物を配送する場合について説明したが、配送車両3Aが人を配送する場合であっても同様の効果を得ることができる。すなわち、配送関連情報が、配送先における利用者の降車完了を示す場合、制御権変更部128Aは、配送元(配車先)において利用者が乗車する配送車両3Aの利用者による制御を許可する制御権(乗車車両制御権)の配送元利用者識別情報に対する設定と、配送先(目的地)において利用者が降車する配送車両3Aの利用者による制御を許可する制御権(降車車両制御権)の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除する。
【0281】
なお、この例では、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示す場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除しているが、本開示は特にこれに限定されない。配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断された後であれば、任意のタイミングで、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除してもよい。例えば、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断されてから、所定期間が経過した後、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除してもよい。
【0282】
また、別の例として、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断されてから、配送車両3Aが所定距離移動した後、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除してもよい。また、別の例として、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断されてから、所定時刻になった場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除してもよい。例えば、配送対象物を降ろした日の翌日になった時点で、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除してもよい。
【0283】
ただし、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断されてから、長時間が経過してしまうと、配送先における配送対象物の荷降ろし完了後に、配送元利用者識別情報に対応する利用者、又は、配送先利用者識別情報に対応する利用者が、配送元又は配送先に存在する配送車両3Aを制御することが可能となる。そのため、配送状況情報が、配送先における配送対象物の荷降ろし完了を示すと判断された後、できる限り早く、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除することが好ましい。
【0284】
なお、どのような配送状況で、どのように制御権の設定を変更するかのルールについては、例えば、管理者などが事前に設定することが好ましい。ここで、配送状況と制御権の設定変更処理との関係について図24及び図25を用いて説明する。
【0285】
図24は、本実施の形態2において、配送元及び配送先において制御権の設定変更を行う際の配送状況と制御権の設定変更処理との関係を説明するための図である。
【0286】
図24では、配送元において配送対象物の積載が完了した場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除する。また、配送元において利用者の乗車が完了した場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定を解除する。また、配送先において配送対象物の荷降ろしが完了した場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除する。さらに、配送先において利用者の降車が完了した場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定を解除する。
【0287】
図25は、本実施の形態2において、配送先において制御権の設定変更を行う際の配送状況と制御権の設定変更処理との関係を説明するための図である。
【0288】
図25では、配送先において配送対象物の荷降ろしが完了した場合、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除する。この場合、配送元において積載又は乗車が完了したとしても、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定は解除されない。
【0289】
制御権変更通知情報生成部129Aは、制御権が設定された利用者に対して、制御権の設定が変更されたことを通知するための制御権変更通知情報を生成する。
【0290】
図26は、本実施の形態2における制御権変更通知情報の一例を示す図である。図26では、図25で示した配送状況と制御権の設定変更処理との関係に基づき、配送先において配送対象物の荷降ろしが完了し、制御権変更部128Aは、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とが解除された際の制御権変更通知情報の一例を示している。なお、図26の例のように、予め制御権の設定が変更されることが明らかになっている場合は、制御指示支援情報生成部125は、制御権変更通知情報を含む制御指示支援情報を生成し、送信してもよい。
【0291】
図27は、本実施の形態2における制御権変更通知情報を含む制御指示支援情報の一例を示す図である。図27では、図25で示した配送状況と制御権の設定変更処理との関係に基づき、配送先において配送対象物の荷降ろしが完了した場合に、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とが解除されることを通知するための制御権変更通知情報の一例を示している。利用者端末2は、配送元に配車が完了した際に、図27に示す制御指示支援情報を表示する。このとき、制御指示支援情報は、制御権変更通知情報を含む。
【0292】
記憶部13Aは、配車要求情報記憶部131、利用者情報記憶部132、車両情報記憶部133、制御権情報記憶部134、配送車両決定プログラム記憶部135、制御権設定プログラム記憶部136、制御指示支援情報生成プログラム記憶部137、制御権設定変更プログラム記憶部138A及び制御権変更通知情報生成プログラム記憶部139Aを備える。記憶部13Aは、図2に示す管理装置1の記憶部13に対して、制御権設定変更プログラム記憶部138A及び制御権変更通知情報生成プログラム記憶部139Aが異なる。
【0293】
制御権設定変更プログラム記憶部138Aは、配送状況情報取得部127Aで取得した配送状況情報を基に、所定の条件を満たしているか否かを判断し、その判断結果に基づき、制御権の設定を変更するための制御権設定変更プログラムを記憶する。制御権設定変更プログラムは、制御権変更部128Aにより実行される。
【0294】
制御権変更通知情報生成プログラム記憶部139Aは、制御権が設定された利用者に対して、制御権の設定が変更になったことを通知するための制御権変更通知情報を生成するための制御権変更通知情報生成プログラムを記憶する。制御権変更通知情報生成プログラムは、制御権変更通知情報生成部129Aにより実行される。
【0295】
次に、本実施の形態2における配送車両3Aについて、説明する。
【0296】
図28は、本開示の実施の形態2における配送車両の構成を示すブロック図である。配送車両3Aは、通信部31、制御部32A、記憶部33A、センサー部34、駆動部35及び積載検知部36Aを備える。図28において、図7と同様の構成要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0297】
図28に示す配送車両3Aは、図7に示す配送車両3に対して、制御部32A、記憶部33A及び積載検知部36Aが異なる。
【0298】
制御部32Aは、移動制御部321、車両位置情報取得部322、配車指示情報取得部323、制御権情報取得部324、制御指示情報取得部325、制御可能位置判定部326、制御可能主体判定部327、配送状況情報生成部328A及び配送状況情報送信部329Aを備える。制御部32Aは、図7に示す配送車両3の制御部32に対して、配送状況情報生成部328A及び配送状況情報送信部329Aが異なる。
【0299】
配送状況情報生成部328Aは、センサー部34から取得した配送車両3Aの車両位置情報、又は、積載検知部36Aから取得した積載検知情報に基づき、配送状況情報を生成する。
【0300】
例えば、配送状況情報生成部328Aは、センサー部34から取得した配送車両3Aの位置情報に基づき、配送車両3Aが配送元にて停車した後、配送元から移動を再開したことを検知する。配送状況情報生成部328Aは、その検知結果より、配送車両3Aが配送元にて配送対象物の積載を完了したと判断して、配送車両3Aが配送元にて配送対象物の積載を完了したことを示す配送状況情報を生成する。なお、この例の場合、実際に、配送元において配送対象物の積載が完了したか否かは不明である。そのため、配送状況情報生成部328Aは、センサー部34から取得した配送車両3Aの位置情報と、積載検知部36Aから取得した積載検知情報とを組み合わせて、実際に配送元にて配送対象物が積載されたことを判断して、配送車両3Aが配送元にて配送対象物の積載を完了したことを示す配送状況情報を生成することが望ましい。
【0301】
また、例えば、配送状況情報生成部328Aは、積載検知部36Aから取得した配送対象物が積載されたことを示す積載検知情報に基づき、配送車両3Aに配送対象物の積載が完了されたことを検知する。配送状況情報生成部328Aは、その検知結果より、配送車両3Aが配送元にて配送対象物の積載を完了したと判断して、配送車両3Aが配送元にて配送対象物の積載を完了したことを示す配送状況情報を生成する。なお、この例の場合、実際に、配送元において配送対象物の積載が完了したか否かは不明である。そのため、配送状況情報生成部328Aは、センサー部34から取得した配送車両3Aの車両位置情報と、積載検知部36Aから取得した積載検知情報とを組み合わせて、配送元において配送対象物が積載されたことを判断して、配送車両3Aが配送元にて配送対象物の積載を完了したことを示す配送状況情報を生成することが望ましい。
【0302】
上記で説明した例と同様に、配送状況情報生成部328Aは、配送先にて配送対象物が降ろされたことを検知して、配送車両3Aが配送先にて配送対象物の荷降ろしを完了したことを示す配送状況情報を生成する。
【0303】
他の例としては、配送状況情報生成部328Aは、配送車両3Aの位置情報に基づき、配送車両3Aが配送元に向かって移動していると判断した場合は、配送車両3Aが配送元へ移動中であることを示す配送状況情報を生成する。同様に、配送状況情報生成部328Aは、配送車両3Aの位置情報に基づき、配送車両3Aが配送元で停車した後、配送先へ向かって移動していると判断した場合は、配送車両3Aが配送先へ移動中であることを示す配送状況情報を生成する。
【0304】
なお、本実施の形態2において、配送状況としては、配送車両3Aが配送元において配送対象物の積載を完了した状況、配送車両3Aが配送先において配送対象物の荷降ろしを完了した状況、配送車両3Aが配送元へ移動している状況、及び配送車両3Aが配送先へ移動している状況の4つの状況について説明したが、配送状況情報生成部328Aは、さらに詳細に配送状況を検知して、配送状況情報を生成してもよい。また、配送状況情報生成部328Aは、センサー部34から取得した配送車両3Aの位置情報以外に、配送車両3Aの車両状態を示す車両状態情報も用いて配送状況情報を生成してもよい。
【0305】
なお、配送状況情報生成部328Aは、センサー部34から取得した配送車両3Aの位置情報、又は、積載検知部36Aから取得した積載検知情報に基づき、配送車両3Aが配送対象を配送する状況に関する配送状況情報を生成しているが、配送状況情報生成部328Aは、センサー部34から取得した配送車両3Aの位置情報、又は、積載検知部から取得した積載検知情報そのものを配送状況情報として生成してもよい。この構成の場合、管理装置1Aは、取得した配送状況情報を用いて、配送状況を判断する機能を別途有する必要がある。
【0306】
なお、配送状況情報生成部328Aが配送状況情報を生成するタイミングは、任意のタイミングであってよい。例えば、配送状況情報生成部328Aは、定期的に配送状況情報を生成する。しかしながら、配送状況が変化するのは、配送車両3Aが配送元及び配送先の周辺に位置する場合であるため、配送状況情報生成部328Aは、配送車両3Aが配送元及び配送先の周辺にいることを検知した場合にのみ、定期的に配送状況情報を生成することが好ましい。この構成にすることで、配送状況が変化しないとみなされる場合における処理を削減することができる。
【0307】
配送状況情報送信部329Aは、通信部31を介して、配送状況情報生成部328Aによって生成された配送状況情報を管理装置1Aに送信する。配送状況情報送信部329Aは、管理装置1Aに対して、定期的に配送状況情報を送信してもよいし、配送状況が変化した場合にのみ、配送状況情報を送信してもよい。
【0308】
記憶部33Aは、地図情報記憶部331、自動運転基本プログラム記憶部332、経路情報記憶部333、車両位置情報記憶部334、配車指示情報記憶部335、制御権情報記憶部336、制御可能位置判定プログラム記憶部337、制御可能主体判定プログラム記憶部338及び配送状況情報生成プログラム記憶部339Aを備える。記憶部33Aは、図7に示す配送車両3の記憶部33に対して、配送状況情報生成プログラム記憶部339Aが異なる。
【0309】
配送状況情報生成プログラム記憶部339Aは、配送車両3Aの配送状況を示す配送状況情報を生成するための配送状況情報生成プログラムを記憶する。配送状況情報生成プログラムは、配送状況情報生成部328Aによって実行される。
【0310】
積載検知部36Aは、配送車両3Aに配送対象物が積載されたこと又は配送車両3Aから配送対象物が降ろされたことを検知する。また、積載検知部36Aは、配送車両3Aに利用者が乗車したこと又は配送車両3Aから利用者が降車したことを検知する。積載検知部36Aは、具体的には、配送車両3Aの配送対象物を積載する位置又は利用者を乗せる位置に配置された圧力センサーである。また、積載検知部36Aは、配送車両3Aの配送対象物を積載する位置又は利用者を乗せる位置に配置された照度センサーであってもよい。また、積載検知部36Aは、配送車両3Aの配送対象物を積載する位置又は利用者を乗せる位置を撮影するカメラであってもよい。また、積載検知部36Aは、配送車両3Aのドアの開閉を検知するセンサーであってもよい。
【0311】
圧力センサーは、配送対象物又は乗車する利用者の重さによる圧力を計測することにより、配送対象物が積載されているか否か又は利用者が乗車しているか否かを検知する。照度センサーは、配送対象物の積載位置又は利用者の乗車位置の照度の変化を計測することにより、配送対象物が積載されているか否か又は利用者が乗車しているか否かを検知する。カメラは、配送対象物の積載位置又は利用者の乗車位置を撮影した画像の差分により、配送対象物が積載されているか否か又は利用者が乗車しているか否かを検知する。
【0312】
また、配送対象物が積載される際、配送対象物が降ろされる際、利用者が乗車する際、又は利用者が降車する際には、ドアが開閉されることになる。そのため、配送車両3Aのドアの開閉センサーは、ドアの開閉を検知することにより、配送対象物が積載されているか否か又は利用者が乗車しているか否かを検知する。ただし、積載検知部36Aがドアの開閉センサーである場合、先述した他のセンサーに比べると、配送車両3Aに配送対象物が積載されたこと、配送車両3Aから配送対象物が降ろされたこと、配送車両3Aに利用者が乗車したこと又は配送車両3Aから利用者が降車したことの検知精度は低くなるが、簡単な構成で判断することができる。
【0313】
また、配送車両3Aが人を配送する場合、赤外線センサーなどの人検知センサーにより、利用者の乗車又は降車を検知してもよい。なお、上記で説明した例に限らず、積載検知部36Aは、配送車両3Aに配送対象物が積載されたこと、配送車両3Aから配送対象物が降ろされたこと、配送車両3Aに利用者が乗車したこと又は配送車両3Aから利用者が降車したことを検知することができれば、他のセンサーを用いてもよい。
【0314】
次に、以上のように構成された管理装置1Aが、配送車両3Aから取得した配送状況情報に基づいて、配送車両3Aの制御権の設定を変更する処理について、図29のフローチャートを用いて説明する。
【0315】
図29は、本開示の実施の形態2における制御権の設定変更処理について説明するためのフローチャートである。
【0316】
まず、管理装置1Aの配送状況情報取得部127Aは、配送車両3Aから送信された配送状況情報を取得する(ステップS31)。
【0317】
次に、制御権変更部128Aは、取得した配送状況情報を基に、配送状況が所定の条件を満たすか否かを判断する(ステップS32)。例えば、制御権変更部128Aは、図25に示す情報を用いて、制御権の設定変更処理を行う場合、配送先において配送対象物の荷降ろし又は利用者の降車が完了したか否かを判断する。ここで、配送状況が所定の条件を満たさないと判断された場合、すなわち、配送先において配送対象物の荷降ろしが完了していない又は利用者の降車が完了していないと判断された場合(ステップS32でNO)、制御権の設定が変更されることなく、処理が終了される。
【0318】
一方、配送状況が所定の条件を満たすと判断された場合、すなわち、配送先において配送対象物の荷降ろしが完了した又は利用者の降車が完了したと判断された場合(ステップS32でYES)、制御権変更部128Aは、制御権の設定を変更する(ステップS33)。例えば、図25に示す情報を用いて、制御権の設定変更処理を行う場合、制御権変更部128Aは、配送先において配送対象物の荷降ろしが完了した又は利用者の降車が完了したと判断された場合、制御権の配送元利用者識別情報に対する設定と、制御権の配送先利用者識別情報に対する設定とを解除する。
【0319】
次に、制御権変更通知情報生成部129Aは、制御権の設定が変更された配送元利用者識別情報又は配送先利用者識別情報に対応する利用者に対して、制御権の設定が変更されたことを通知するための制御権変更通知情報を生成する(ステップS34)。例えば、図26に示すように、利用者端末2は、配送先への荷物の配送が完了し、配送先に位置する配送車両3Aの制御ができなくなったことを通知するための制御権変更通知情報を表示する。なお、どのような条件で制御権の設定が変更されるのかが予め分かっている場合は、制御指示支援情報生成部125は、制御権変更通知情報を含む制御指示支援情報を生成してもよい。例えば、図27に示すように、利用者端末2は、配送先への荷物の配送が完了した後は、配送車両3Aの制御ができなくなることを通知するための制御権変更通知情報を含む制御指示支援情報を表示する。
【0320】
次に、情報送信部126は、制御権変更通知情報生成部129Aによって生成された制御権変更通知情報を、制御権の設定が変更された配送元利用者識別情報又は配送先利用者識別情報に対応する利用者の利用者端末2に送信する(ステップS35)。
【0321】
次に、情報送信部126は、設定が変更された制御権に関する制御権情報を配送車両3Aに送信する(ステップS36)。
【0322】
以上の処理により、管理装置1Aは、配送車両3Aの配送状況に応じて、配車要求情報に応じた配送車両3Aを制御するための制御権の設定を変更することができる。これにより、配車要求情報に基づく配送が完了したにもかかわらず、制御権が設定された利用者が、配送車両3Aを制御することを防止することができる。例えば、以前、第1の利用者に対して配送車両への制御権が設定されたままになっている状況において、第2の利用者が、第1の利用者と同じ場所を配送元又は配送先として配車要求を行い、配送元に配送車両が到着した場合、第1の利用者が、到着した配送車両に対して制御指示を行うことができる。もし、第1の利用者が、悪意のある利用者であった場合、到着した配送車両を異なる場所へ移動させることができる。しかしながら、本実施の形態2の構成により、制御権の設定を変更することができ、第2の利用者以外の他の利用者が配送車両を制御することを防止することができる。特に、マンションなどの集合住宅の場合、同じ配送元又は配送先を指定する利用者がいるため、このような課題に直面する可能性が高いと考えられる。
【0323】
なお、本実施の形態2では、配車要求情報に基づき、配送処理が順調に行われた場合について説明したが、配送処理は、常に順調に行われるとは限らない。例えば、配送車両が物を配送する場合、配送先の利用者が不在であれば、配送車両は、配送処理を完遂できない。配送先の利用者が不在であった場合、配送車両は、再度、時間を変更して配送することがある。このような状況に対応するため、制御権変更部128Aは、配送先の利用者が不在であった場合、配送先利用者識別情報に対する制御権の設定を一時的に無効にしてもよい。そして、制御権変更部128Aは、配送対象物を配送先に再送する場合に、再度、配送先利用者識別情報に対する制御権の設定を有効にしてもよい。
【0324】
制御権の設定を有効又は無効にする方法としては、制御権変更部128Aは、配送元利用者識別情報又は配送先利用者識別情報に対して付与される制御権に対して、その制御権が有効であるか無効であるかを示す情報を付与し、その情報を変更する。また、別の構成として、制御権変更部128Aは、制御権を無効にする場合は、制御権を削除し、制御権を再度有効にする場合は、制御権を改めて登録してもよい。この構成の場合、制御権変更部128Aは、制御権を再度有効にするための情報を記憶部13Aに記憶しておく必要がある。例えば、制御権変更部128Aは、再度の配送に関する情報を記憶部13Aに記憶しておき、その情報に含まれる配送先の情報に基づき、制御権を再度登録することができる。
【0325】
なお、配送先の利用者が不在であり、再度、時間を変更して配送する場合において、再配送するまでの期間が短い場合は、制御権変更部128Aは、制御権の設定を変更しなくてもよい。それは、再配送するまでの短い期間に制御権が不正に利用される可能性は低いと考えられるためである。この構成にすることで、制御権の設定変更処理を削減することができる。例えば、配送先の利用者が不在であり、同日に、再度、配送する場合は、制御権変更部128Aは、制御権の設定を変更しない。一方、再配送する日が、翌日以降である場合は、制御権変更部128Aは、制御権の設定を変更してもよい。なお、再配送するまでの期間が短いか否かを判断するための閾値は、管理者などにより予め設定されることが好ましい。
【0326】
なお、配送先の利用者が不在であり、再度、時間を変更して配送する場合において、再配送するまでの期間が短い場合であっても、同じ配送車両3が、同じ配送先に何度も配送する場合は、制御権変更部128Aは制御権の設定を変更することが好ましい。なぜなら、制御権を有する利用者が不正に配送車両3を制御することができるためである。そのため、この構成にすることで、制御権を有する利用者が不正に配送車両3を制御することを防止することができる。また、配送先の利用者が不在であり、再度、時間を変更して配送する場合において、再配送するまでの期間が長い場合であっても、同じ配送車両3が、同じ配送先に配送しないのであれば、制御権変更部128Aは制御権の設定を変更しなくてもよい。つまり、ここで示した例は、再配送するまでの期間には関係なく、制御権変更部128Aは、配送車両3が配送先に配送する頻度に基づき、制御権の設定を変更してもよい。
【0327】
なお、宅配業者による荷物の配送の場合、配送先が複数あり、複数の配送先に対して順番に荷物を配送することが考えられる。そのため、制御権設定部124は、配送車両3Aが向かっている配送先に対してのみ、制御権を有効にしてもよい。この場合、制御権が必要となる利用者に対してのみ制御権を有効にするので、不正な利用者が、配送車両3Aを制御することを防止することができる。また、別の構成として、複数の配送先がある場合であっても、制御権設定部124は、全ての配送先の利用者に対して、制御権を有効にしてもよい。それは、配送先の利用者は、制御権が設定されている配送先でのみ配送車両3を制御することができ、他の配送先では配送車両3を制御することはできないので、配送先の異なる利用者が、不正に配送車両3Aを制御することはないためである。この場合、一括して制御権を有効にするので、制御権を設定する処理をより少ない処理工数で行うことができる。
【0328】
なお、利用者端末2から配送元の位置情報又は配送先の位置情報の変更要求、又は配送元利用者識別情報又は配送先利用者識別情報の変更要求があった場合は、制御権変更部128Aは、変更要求に応じて、制御権の設定を変更することが好ましい。この構成により、利用者の要求に応じて、柔軟に制御権の設定を変更することができる。また、利用者端末2から配車要求をキャンセルする要求があった場合も同様に制御権の設定を解除することが好ましい。また、制御権の設定が変更された場合は、制御指示支援情報生成部125は、変更された制御権に基づいて、制御指示支援情報を生成して、変更された制御権に対応する利用者に対して送信してもよい。また、通信部11は、配送車両3に対して、変更された制御権に関する制御権情報を送信してもよい。この構成にすることで、利用者は、変更された制御権に基づき、配送車両3Aに対して制御指示を行うことができ、また、配送車両3Aは、変更された制御権に基づき、配送車両3Aの制御指示に従って、配送車両3Aを制御するか否かを判断することができる。
【0329】
なお、制御権の設定を変更することができる利用者を限定してもよい。この構成にすることで、例えば、制御権とは関係ない利用者が、不正に制御権の設定を変更しないようにすることができる。制御権の設定を変更することができる利用者は、管理装置1Aの管理者などにより予め決められてもよく、配車要求を行う利用者により設定されてもよい。例えば、管理装置1Aは、配車要求を行う利用者、配送元の利用者及び配送先の利用者を制御権の設定を変更することができる利用者として予め設定してもよい。
【0330】
なお、本実施の形態2では、配送車両3Aの配送状況に応じて、制御権の設定を変更しているが、配送状況以外の情報に基づき、制御権の設定を変更してもよい。例えば、制御権に有効期限を設けて、その有効期限内のみ制御権を有効にしてもよい。制御権設定部124は、制御権に対して、制御権が有効である期限を示す有効期限情報を設定する。そして、制御権変更部128Aは、有効期限情報に基づき、制御権の設定を変更する。例えば、制御権設定部124は、配送車両3Aが実際に配送対象物を配送する日のみ、制御権を有効とする有効期限情報を設定してもよい。制御権変更部128Aは、配送日の翌日になると、制御権の設定を解除してもよい。
【0331】
この構成の場合、配送車両3Aの配送状況情報を取得して、配送状況に基づき、制御権の設定を変更する場合に比べ、簡単な処理で制御権の設定を変更することができる。また、利用者にとっては、制御権の設定が解除されるタイミングがわかりやすくなる。また、同じ有効期限である制御権の設定を一括して変更することができる。
【0332】
ただし、制御権が有効である期間が長くなってしまうと、制御権を有する利用者により不正に配送車両3が制御される可能性が高くなるため、有効期限は、できる限り短い期間であることが好ましい。制御権に有効期限を設定する場合、制御指示支援情報生成部125は、制御指示を行うための画面、制御指示を行うための専用WEBページへのリンク情報又はパスワード情報などの制御指示支援情報にも有効期限を設定してもよい。有効期限を越えた場合に、管理装置1Aは、制御指示を行うための画面を表示しない、制御指示を行うための専用WEBページへのリンク情報を削除する、又はパスワード情報を入力しても認証できなくするなど、利用者が、制御指示を行うことができないようにする。この構成にすることで、利用者が、有効期限を越えて制御指示を行うことを防止することができる。
【0333】
(実施の形態3)
本実施の形態1,2では、オンデマンド型の物の配送サービス又はオンデマンド型のタクシーサービスのように、配送元において、配送対象物を積載した後又は利用者を乗車させた後、配送先において、配送対象物を降ろす又は利用者を降車させる例を説明したが、本開示はこれらのサービスに限定されない。配送車両が配送対象物を配送する場合、上記のサービス以外にも、配送センターから配送先へ直接配送対象物を配送するサービスがあり、このようなサービスに対しても、本開示を適用することができる。実施の形態3では、配送車両が、配送センターから配送先へ直接配送対象物を配送する例について説明する。
【0334】
実施の形態3の場合、配送センターから配送車両が商品を配送することになるため、配送元の情報は不要であり、配送先の情報だけが必要である。そのため、実施の形態3においては、配車要求情報には、配送元の情報は不要であり、配車要求情報は、配送先の情報だけを含む。また、それに伴い、配送元で配送車両を利用する配送元利用者情報も不要となり、配送先で配送車両を利用する配送先利用者情報のみが必要となるので、管理装置は配送先利用者情報のみを取得する。
【0335】
図30は、本開示の実施の形態3における管理装置の構成を示すブロック図である。管理装置1Bは、通信部11、制御部12B及び記憶部13Bを備える。なお、図30において、図2と同様の構成要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0336】
図30に示す管理装置1Bは、図2に示す管理装置1に対して、制御部12B及び記憶部13Bが異なる。
【0337】
制御部12Bは、配車要求情報取得部121B、利用者識別情報取得部122B、配送車両決定部123、制御権設定部124B、制御指示支援情報生成部125及び情報送信部126Bを備える。
【0338】
配車要求情報取得部121Bは、利用者端末2から、通信部11を介して、利用者を示す利用者情報、及び配送先の位置情報を含む配車要求情報を取得する。配車要求情報取得部121Bは、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報を取得する。実施の形態3において、配送先が配車先である。
【0339】
利用者識別情報取得部122Bは、利用者端末2から、通信部11を介して、配送先に位置する配送車両を利用する利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための配送先利用者識別情報を取得する。
【0340】
なお、本実施の形態3では、配車要求情報と、配送先利用者識別情報とを別々に取得する構成を説明するが、これらの情報を一括して取得する構成であってもよい。例えば、配車要求情報は、配送先利用者識別情報を含んでもよく、配車要求情報取得部121Bは、配車要求情報と配送先利用者識別情報とを一括して取得してもよい。
【0341】
制御権設定部124Bは、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配車先に位置する配送車両の制御を許可する制御権(車両制御権)を利用者に対して設定する。制御権設定部124Bは、配車要求情報と配送先利用者識別情報とに基づき、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送先利用者識別情報に対して設定する。
【0342】
情報送信部126Bは、設定された制御権に関する制御権情報を配送車両3に送信する。情報送信部126Bは、通信部11を介して、制御権が与えられた配送先の利用者端末2に対して、制御指示支援情報を送信する。さらに、情報送信部126Bは、配車要求情報に基づく配車指示情報を配送車両3に送信する。配車指示情報は、少なくとも配送先の位置情報を含む。配車指示情報は、車両の現在位置から配送先までの経路を含む経路情報を含んでもよい。この場合、管理装置1Bが経路情報を生成するが、配送車両3が経路情報を生成してもよい。
【0343】
記憶部13Bは、配車要求情報記憶部131、利用者情報記憶部132、車両情報記憶部133、制御権情報記憶部134B、配送車両決定プログラム記憶部135、制御権設定プログラム記憶部136及び制御指示支援情報生成プログラム記憶部137を備える。
【0344】
制御権情報記憶部134Bは、配車要求情報と配送先利用者識別情報とに基づき、制御権設定部124Bにより設定された、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を示す制御権情報を記憶する。制御権情報は、配車要求情報を識別するための配車要求識別番号と、配送先を示す情報と、制御可能位置と、利用者識別情報と、配送車両の車両識別情報とを含む。制御可能位置は、配送先の位置情報を示している。制御可能位置は、例えば、経度及び緯度で表される。
【0345】
実施の形態3における利用者端末及び配送車両の構成は、実施の形態1と基本的には同じである。ただし、実施の形態3では、配送車両3の配車指示情報取得部323は、管理装置1Bから送信された、少なくとも配送先の位置情報を含む配車指示情報を取得する。また、制御可能位置判定部326は、外部から送信された配送車両3を制御するための制御指示情報が取得された場合に、制御権情報に基づき、配送車両3の現在位置が制御権情報に示される配送先の位置であるか否かを判定する。判定の結果、配送車両3の位置が配送先の位置であると判定された場合、制御可能主体判定部327に処理が移行する。一方、判定の結果、配送車両3の位置が配送先の位置ではないと判定された場合、制御指示情報には従わず、処理が終了される。
【0346】
以上の構成により、配送先に位置する配送車両3を制御するための制御権を利用者に設定できるため、利用者にとって不都合な位置に配送車両3が停車した場合であっても、利用者は、配送車両3を移動させることができる。
【0347】
また、本構成では、配送車両3が、配送先に位置する場合にのみ、配送車両3を制御することができる。そのため、配送車両3が、配送先以外の場所に位置する場合に、つまり、配送車両3の制御が不要である場合において、利用者が、配送車両3を移動させることを防止することができる。
【0348】
また、本実施の形態3において、制御権設定部124Bは、配送先の位置情報に基づき、所定ルールに従って、配送車両3に制御指示可能な領域を表す配送先制御権行使可能範囲を決定し、配送先制御権行使可能範囲に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送先利用者識別情報に対して設定してもよい。制御権設定部124Bは、配車先が配送先である場合、配送先の位置に基づき、配送先における配送車両の利用者による制御を許可する配送先制御権行使可能範囲を生成する。そして、制御権設定部124Bは、配車先が配送先である場合、配送先制御権行使可能範囲内に位置する配送車両の制御を許可する制御権を利用者に対して設定する。
【0349】
また、本実施の形態3において、制御権設定部124Bは、配送先の位置情報に基づき、所定ルールに従って、配送車両3が制御指示情報により移動可能な領域を表す配送先制御可能範囲を決定し、配送先に位置する配送車両3を配送先制御可能範囲内において制御する制御権を配送先利用者識別情報に対して設定してもよい。制御権設定部124Bは、配車先が配送先である場合、配送先の位置に基づき、配送先において配送車両が移動可能な配送先制御可能範囲を生成する。そして、制御権設定部124Bは、配車先が配送先である場合、配送先制御可能範囲内において配送車両の移動制御を許可する制御権を利用者に対して設定する。
【0350】
なお、本実施の形態3においても、管理装置1Bが、配送車両の配送状況に応じて、配車要求情報に基づき設定した配送車両を制御するための制御権の設定を変更してもよい。なお、制御権の設定を変更する方法については、実施の形態2と同様である。
【0351】
(実施の形態4)
本実施の形態1,2では、オンデマンド型の物の配送サービス又はオンデマンド型のタクシーサービスのように、配送元において、配送対象物を積載した後又は利用者を乗車させた後、配送先において、配送対象物を降ろす又は利用者を降車させる例を説明したが、本開示はこれらのサービスに限定されない。配送車両が配送対象物を配送する場合、上記のサービス以外にも、配送センターから配送元へ移動し、配送元において配送対象物の受け取りのみを行う集荷サービスがあり、このような集荷サービスであっても本開示を適用することができる。実施の形態4では、配送車両が、配送センターから配送元へ移動し、配送元において配送対象物を集荷する例について説明する。
【0352】
実施の形態4の集荷サービスにおいては、配送センターから配送車両が商品を受け取りに配送元へ移動することになるため、配送先の情報は不要であり、配送元の情報だけが必要である。そのため、実施の形態4においては、配車要求情報には、配送先の情報は不要であり、配車要求情報は、配送元の情報だけを含む。また、それに伴い、配送先で配送車両3を利用する配送先利用者情報も不要となり、配送元で配送車両3を利用する配送元利用者情報のみが必要となるので、管理装置は配送元利用者情報のみを取得する。
【0353】
図31は、本開示の実施の形態4における管理装置の構成を示すブロック図である。管理装置1Cは、通信部11、制御部12C及び記憶部13Cを備える。なお、図31において、図2と同様の構成要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0354】
図31に示す管理装置1Cは、図2に示す管理装置1に対して、制御部12C及び記憶部13Cが異なる。
【0355】
制御部12Cは、配車要求情報取得部121C、利用者識別情報取得部122C、配送車両決定部123、制御権設定部124C、制御指示支援情報生成部125及び情報送信部126Cを備える。
【0356】
配車要求情報取得部121Cは、利用者端末2から、通信部11を介して、利用者を示す利用者情報、及び配送元の位置情報を含む配車要求情報を取得する。配車要求情報取得部121Cは、自動運転車両が配車される配車先の位置を示す位置情報を少なくとも含む配車要求情報を取得する。実施の形態4において、配送元が配車先である。
【0357】
利用者識別情報取得部122Cは、利用者端末2から、通信部11を介して、配送元に位置する配送車両を利用する利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための配送元利用者識別情報を取得する。
【0358】
なお、本実施の形態4では、配車要求情報と、配送元利用者識別情報とを別々に取得する構成を説明するが、これらの情報を一括して取得する構成であってもよい。例えば、配車要求情報は、配送元利用者識別情報を含んでもよく、配車要求情報取得部121Cは、配車要求情報と配送元利用者識別情報とを一括して取得してもよい。
【0359】
制御権設定部124Cは、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配車先に位置する配送車両の制御を許可する制御権(車両制御権)を利用者に対して設定する。制御権設定部124Cは、配車要求情報と配送元利用者識別情報とに基づき、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送元利用者識別情報に対して設定する。
【0360】
情報送信部126Cは、設定された制御権に関する制御権情報を配送車両3に送信する。情報送信部126Cは、通信部11を介して、制御権が与えられた配送元の利用者端末2に対して、制御指示支援情報を送信する。さらに、情報送信部126Cは、配車要求情報に基づく配車指示情報を配送車両3に送信する。配車指示情報は、少なくとも配送元の位置情報を含む。配車指示情報は、車両の現在位置から配送元までの経路を含む経路情報を含んでもよい。この場合、管理装置1Cが経路情報を生成するが、配送車両3が経路情報を生成してもよい。
【0361】
記憶部13Cは、配車要求情報記憶部131、利用者情報記憶部132、車両情報記憶部133、制御権情報記憶部134C、配送車両決定プログラム記憶部135、制御権設定プログラム記憶部136及び制御指示支援情報生成プログラム記憶部137を備える。
【0362】
制御権情報記憶部134Cは、配車要求情報と配送元利用者識別情報とに基づき、制御権設定部124Cにより設定された、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権を示す制御権情報を記憶する。制御権情報は、配車要求情報を識別するための配車要求識別番号と、配送元を示す情報と、制御可能位置と、利用者識別情報と、配送車両の車両識別情報とを含む。制御可能位置は、配送元の位置情報を示している。制御可能位置は、例えば、経度及び緯度で表される。
【0363】
実施の形態4における利用者端末及び配送車両の構成は、実施の形態1と基本的には同じである。ただし、実施の形態4では、配送車両3の配車指示情報取得部323は、管理装置1Cから送信された、少なくとも配送元の位置情報を含む配車指示情報を取得する。また、制御可能位置判定部326は、外部から送信された配送車両3を制御するための制御指示情報が取得された場合に、制御権情報に基づき、配送車両3の現在位置が制御権情報に示される配送元の位置であるか否かを判定する。判定の結果、配送車両3の位置が配送元の位置であると判定された場合、制御可能主体判定部327に処理が移行する。一方、判定の結果、配送車両3の位置が配送元の位置ではないと判定された場合、制御指示情報には従わず、処理が終了される。
【0364】
以上の構成により、配送元に位置する配送車両3を制御するための制御権を利用者に設定できるため、利用者にとって不都合な位置に配送車両3が停車した場合であっても、利用者は、配送車両3を移動させることができる。
【0365】
また、本構成では、配送車両3が、配送元に位置する場合にのみ、配送車両3を制御することができる。そのため、配送車両3が、配送元以外の場所に位置する場合に、つまり、配送車両3の制御が不要である場合において、利用者が、配送車両3を移動させることを防止することができる。
【0366】
また、本実施の形態4において、制御権設定部124Cは、配送元の位置情報に基づき、所定ルールに従って、配送車両3に制御指示可能な領域を表す配送元制御権行使可能範囲を決定し、配送元制御権行使可能範囲に位置する配送車両3を制御するための制御権を配送元利用者識別情報に対して設定してもよい。制御権設定部124Cは、配車先が配送元である場合、配送元の位置に基づき、配送元における配送車両の利用者による制御を許可する配送元制御権行使可能範囲を生成する。そして、制御権設定部124Cは、配車先が配送元である場合、配送元制御権行使可能範囲内に位置する配送車両の制御を許可する制御権を利用者に対して設定する。
【0367】
また、本実施の形態4において、制御権設定部124Cは、配送元の位置情報に基づき、所定ルールに従って、配送車両3が制御指示情報により移動可能な領域を表す配送元制御可能範囲を決定し、配送元に位置する配送車両3を配送元制御可能範囲内において制御する制御権を配送元利用者識別情報に対して設定してもよい。制御権設定部124Cは、配車先が配送元である場合、配送元の位置に基づき、配送元において配送車両が移動可能な配送元制御可能範囲を生成する。そして、制御権設定部124Cは、配車先が配送元である場合、配送元制御可能範囲内において配送車両の移動制御を許可する制御権を利用者に対して設定する。
【0368】
なお、本実施の形態4においても、管理装置1Cが、配送車両の配送状況に応じて、配車要求情報に基づき設定した配送車両を制御するための制御権の設定を変更してもよい。なお、制御権の設定を変更する方法については、実施の形態2と同様である。
【0369】
(実施の形態5)
実施の形態5では、利用者が指定した配送車両の配車先の位置情報と、配車先に到着した配送車両を利用者が移動させた際の配送車両の移動先の位置情報とを対応付けたテーブルデータを記憶しておくことにより、同じ配車先の位置情報が再度指定された場合に、指定された配車先の位置情報に対応付けられている移動先の位置情報をテーブルデータから抽出し、抽出した移動先の位置情報を配送車両の配車先の停車位置に決定する。
【0370】
図32は、本開示の実施の形態5における管理装置の構成を示すブロック図である。管理装置1Dは、通信部11、制御部12D及び記憶部13Dを備える。なお、図32において、図2と同様の構成要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0371】
図32に示す管理装置1Dは、図2に示す管理装置1に対して、制御部12D及び記憶部13Dが異なる。
【0372】
制御部12Dは、配車要求情報取得部121、利用者識別情報取得部122、配送車両決定部123、制御権設定部124、制御指示支援情報生成部125、情報送信部126、移動先位置情報取得部127D及び停車位置決定部128Dを備える。
【0373】
記憶部13Dは、配車要求情報記憶部131、利用者情報記憶部132、車両情報記憶部133、制御権情報記憶部134、配送車両決定プログラム記憶部135、制御権設定プログラム記憶部136、制御指示支援情報生成プログラム記憶部137、移動先位置情報記憶部138D及び停車位置決定プログラム記憶部139Dを備える。
【0374】
移動先位置情報取得部127Dは、制御指示情報に従って移動した配送車両3から、移動先の位置を示す移動先位置情報を、通信部11を介して取得する。配送車両3は、利用者端末2からの制御指示情報に従って移動した場合、移動先の位置を示す移動先位置情報を取得し、取得した移動先位置情報を管理装置1Dへ送信する。
【0375】
また、移動先位置情報取得部127Dは、利用者端末2から受信した配車要求情報に含まれる配車先の位置情報と、取得した移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶する。なお、配車先の位置情報は、配送先の位置情報と、配送元の位置情報とを含む。また、移動先位置情報は、配送先の移動先位置情報と、配送元の移動先位置情報とを含む。
【0376】
移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報とを対応付けたテーブルデータを記憶する。
【0377】
図33は、本実施の形態5において、移動先位置情報記憶部に記憶されるテーブルデータの一例を示す図である。図33に示すように、配車先の位置情報及び移動先位置情報は、GPS情報(緯度及び経度)で表される。
【0378】
なお、本実施の形態5における配車先の位置情報は、GPS情報(緯度及び経度)であるが、本開示は特にこれに限定されず、住所又は施設の名前であってもよい。また、本実施の形態5における移動先位置情報は、GPS情報(緯度及び経度)であるが、本開示は特にこれに限定されず、配車先の位置情報に対する移動方向及び移動距離であってもよい。例えば、配送車両3が配車先の位置から北の方角へ1メートル移動した場合、移動先位置情報は、「北」という移動方向と、「1メートル」という移動距離とを含む。
【0379】
停車位置決定部128Dは、配車要求情報に含まれる配車先の位置情報に対応付けられている移動先位置情報をテーブルデータから抽出し、抽出した移動先位置情報を配送車両3の配車先の停車位置に決定する。
【0380】
続いて、管理装置1が、配送車両3から受信した移動先位置情報を記憶する処理について、図34のフローチャートを用いて、詳細に説明する。
【0381】
図34は、本開示の実施の形態5における管理装置の移動先位置情報記憶処理について説明するためのフローチャートである。
【0382】
まず、管理装置1の移動先位置情報取得部127Dは、制御指示情報に従って移動した配送車両3から、移動先の位置を示す移動先位置情報を取得する(ステップS41)。
【0383】
次に、移動先位置情報取得部127Dは、利用者端末2から受信した配車要求情報に含まれる配車先の位置情報と、取得した移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶する(ステップS42)。
【0384】
続いて、本実施の形態5における管理装置1の車両制御処理について、図35のフローチャートを用いて、詳細に説明する。
【0385】
図35は、本開示の実施の形態5における管理装置の車両制御処理について説明するためのフローチャートである。
【0386】
まず、管理装置1の配車要求情報取得部121は、利用者端末2から送信された配車要求情報を受信し、受信した配車要求情報を配車要求情報記憶部131に記憶する(ステップS51)。配車要求情報は、利用者又は当該利用者の有する利用者端末2を識別するための利用者識別情報と、配送先の位置情報とを含む
次に、管理装置1の利用者識別情報取得部122は、配車先に位置する配送車両3を利用する利用者又は利用者の有する利用者端末2を識別するための配車先利用者識別情報を利用者端末2から受信する(ステップS52)。配車先利用者識別情報は、配送元に位置する配送車両3を利用する利用者又は利用者の有する利用者端末2を識別するための配送元利用者識別情報と、配送先に位置する配送車両3を利用する利用者又は利用者の有する利用者端末2を識別するための配送先利用者識別情報とを含む。
【0387】
次に、停車位置決定部128Dは、配車要求情報から配車先の位置情報を抽出する(ステップS53)。
【0388】
次に、停車位置決定部128Dは、抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあるか否かを判断する(ステップS54)。ここで、抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにないと判断された場合(ステップS54でNO)、停車位置決定部128Dは、抽出した配車先の位置情報を配送車両3の停車位置に決定する(ステップS55)。
【0389】
一方、抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあると判断された場合(ステップS54でYES)、停車位置決定部128Dは、抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報を移動先位置情報記憶部138Dから取得する(ステップS56)。
【0390】
次に、停車位置決定部128Dは、取得した移動先位置情報を配送車両3の停車位置に決定する(ステップS57)。
【0391】
なお、ステップS58~ステップS61の処理は、図8に示すステップS105~ステップS108の処理と同じであるので説明を省略する。
【0392】
次に、管理装置1の情報送信部126は、停車位置決定部128Dによって決定された停止位置に基づく配車指示情報を配送車両3に送信する(ステップS62)。配車指示情報は、少なくとも配車先の配送車両3の停止位置を含む。
【0393】
なお、ステップS63の処理は、図8に示すステップS112の処理と同じであるので説明を省略する。
【0394】
このように、利用者端末2から受信した配車要求情報に含まれる配車先の位置情報と、制御指示情報に従って移動した配送車両の移動先の位置を示す移動先位置情報とが対応付けられて移動先位置情報記憶部138Dに記憶されるので、同じ配車先の位置情報が再度要求された場合、移動先の位置を配送車両の停車位置に決定することができ、配送車両を移動させる処理を削減することができる。
【0395】
なお、本実施の形態5では、移動先位置情報を取得した後、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶しているが、本開示は特にこれに限定されず、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよいかを利用者端末2に問い合わせてもよい。利用者が一時的に配車先の位置を移動させた可能性があるため、次回以降も配車先を移動させてもよいかを利用者に確認する。
【0396】
この場合、管理装置1は、移動先位置情報を取得した場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよいかの問い合わせを利用者端末2へ送信する。利用者端末2は、管理装置1からの問い合わせを受信し、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよいか否かの利用者による応答を受け付ける。利用者端末2は、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよいか否かの応答結果を管理装置1へ送信する。管理装置1の移動先位置情報取得部127Dは、問い合わせに対して肯定的な応答結果を受信した場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶する。一方、移動先位置情報取得部127Dは、問い合わせに対して否定的な応答結果を受信した場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶せずに、取得した移動先位置情報を破棄する。
【0397】
また、本実施の形態5において、配車先の位置を所定の移動先に移動させた回数を計数し、計数した回数が閾値以上になった場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよい。
【0398】
この場合、管理装置1の移動先位置情報取得部127Dは、移動先位置情報を取得した場合、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、配車先の位置を所定の移動先に移動させた回数とを対応付けて記憶部13Dに記憶する。そして、移動先位置情報取得部127Dは、移動先位置情報を再度取得した場合、移動先位置情報に対応付けられている回数をインクリメントする。移動先位置情報取得部127Dは、移動先位置情報に対応付けられている回数が閾値以上であるか否かを判断する。移動先位置情報取得部127Dは、回数が閾値以上であると判断した場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶する。
【0399】
また、本実施の形態5において、移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けたテーブルデータを利用者識別情報毎に記憶してもよい。これにより、特定の利用者の好みに応じて配車先の位置を変更することができ、特定の利用者の利便性を向上させることができる。
【0400】
また、本実施の形態5において、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けたテーブルデータは、移動制御を行った一の利用者識別情報のみに対応付けるのではなく、他の利用者識別情報に対応付けてもよい。すなわち、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けたテーブルデータは、複数の利用者により共有されてもよい。例えば、一の利用者と同じ配車先を指定する他の利用者も、一の利用者と同様に配車先の配送車両を移動させる可能性がある。特に、同じマンションに住む複数の利用者は、それぞれ同じ配車先を指定し、同じ移動先を指定する可能性がある。そこで、停車位置決定部128Dは、一の利用者により要求された配車先の位置情報と一の利用者により移動された移動先位置情報とを対応付けたテーブルデータを参照し、他の利用者により要求された配車先の位置情報が一の利用者により要求された配車先の位置情報と同じである場合、一の利用者により移動された移動先位置情報を停車位置に決定する。
【0401】
これにより、一の利用者による配車先の配送車両の移動が、他の利用者にも反映されるので、他の利用者が配送車両を移動させる処理を削減することができる。
【0402】
また、本実施の形態5において、移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、利用者の属性情報とを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。属性情報とは、例えば、利用者が配車先の施設の客及び従業員のいずれであるかを示す情報である。店舗及び病院などでは、客と従業員との出入り口が異なる場合がある。そのため、移動先位置情報と、利用者の属性情報とを対応付けることにより、利用者の属性に応じて配車先の位置を移動先の位置に修正することができ、より利用者の利便性を向上させることができる。この場合、属性情報は、配車要求情報に含まれる。利用者端末2は、配車先の位置情報の入力を受け付ける際に、属性情報の入力を受け付ける。なお、属性情報は、利用者情報記憶部132に予め記憶されていてもよい。移動先位置情報取得部127Dは、移動先位置情報を取得した場合、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、利用者情報記憶部132に記憶されている属性情報とを対応付けて記憶部13Dに記憶してもよい。
【0403】
また、移動先位置情報取得部127Dは、互いに異なる複数の利用者が同じ配車先の位置に対して同じ位置に移動させた場合に、配車先の位置情報と、移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよい。
【0404】
また、本実施の形態5において、配車先の位置情報がGPS情報で表される場合、配車要求情報に含まれる配車先の位置情報と、移動先位置情報記憶部138Dに記憶されている配車先の位置情報とが完全に一致しなければ、移動先位置情報記憶部138Dから移動先位置情報が取得されることはない。そのため、配車要求情報に含まれる配車先の位置情報と、移動先位置情報記憶部138Dに記憶されている配車先の位置情報とが少しだけずれている場合には、配車要求情報に含まれる配車先の位置情報は、移動の対象とはならない。
【0405】
そこで、停車位置決定部128Dは、配車要求情報から抽出した配車先の位置情報から所定範囲内に存在する配車先の位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあるか否かを判断してもよい。配車要求情報から抽出した配車先の位置情報から所定範囲内に存在する配車先の位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあると判断された場合、停車位置決定部128Dは、配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報を移動先位置情報記憶部138Dから取得する。一方、配車要求情報から抽出した配車先の位置情報から所定範囲内に存在する配車先の位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにないと判断された場合、停車位置決定部128Dは、配車要求情報から抽出した配車先の位置情報を配送車両3の停車位置に決定する。
【0406】
なお、停車位置決定部128Dは、配車要求情報から抽出した配車先の位置情報からの距離が所定の距離内である配車先の位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあるか否かを判断してもよい。
【0407】
また、本実施の形態5において、移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、配送車両の荷物の取り出し口の向きとを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。荷物の取り出し口が、配送車両の左側面、右側面及び後面のいずれにあるかによって、配車先の位置を変更するか否かが決まる場合がある。例えば、荷物の取り出し口が配送車両の左側面にある場合には、配車先の位置は変更されないが、荷物の取り出し口が配送車両の後面にある場合には、配車先の位置は変更されることがある。
【0408】
そこで、移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、配送車両の荷物の取り出し口の向きとを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。この場合、管理装置1は、荷物の取り出し口の向きを示す情報を移動先位置情報とともに配送車両3から受信する。管理装置1は、荷物の取り出し口の向きを示す情報を予め記憶部13Dに記憶していてもよく、配送車両に関する情報を管理する他の装置から荷物の取り出し口の向きを示す情報を受信してもよい。
【0409】
そして、停車位置決定部128Dは、配送車両3を決定し、決定した配送車両3の荷物の取り出し口の向きを特定した後、配車要求情報から抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあるか否かを判断する。抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあると判断された場合、停車位置決定部128Dは、特定した荷物の取り出し口の向きが、移動先位置情報に対応付けられた荷物の取り出し口の向きと同じであるか否かを判断する。特定した荷物の取り出し口の向きが、移動先位置情報に対応付けられた荷物の取り出し口の向きと同じであると判断された場合、停車位置決定部128Dは、抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報を移動先位置情報記憶部138Dから取得する。一方、特定した荷物の取り出し口の向きが、移動先位置情報に対応付けられた荷物の取り出し口の向きと異なると判断された場合、停車位置決定部128Dは、抽出した配車先の位置情報を配送車両3の停車位置に決定する。
【0410】
また、荷物の取り出し口の向きが同じであっても、車種によって、位置が異なる場合がある。例えば、荷物の取り出し口の向きが配送車両の左側面にあっても、車種によっては、配送車両の前方側、中央側又は後方側に、荷物の取り出し口が存在する場合もある。そこで、移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、配送車両の車種とを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。この場合、管理装置1は、配送車両の車種を示す情報を移動先位置情報とともに配送車両3から受信する。管理装置1は、配送車両の車種を示す情報を予め記憶部13Dに記憶していてもよく、配送車両に関する情報を管理する他の装置から配送車両の車種を示す情報を受信してもよい。
【0411】
そして、停車位置決定部128Dは、配送車両3を決定し、決定した配送車両3の車種を特定した後、配車要求情報から抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあるか否かを判断する。抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報が移動先位置情報記憶部138Dにあると判断された場合、停車位置決定部128Dは、特定した車種が、移動先位置情報に対応付けられた車種と同じであるか否かを判断する。特定した車種が、移動先位置情報に対応付けられた車種と同じであると判断された場合、停車位置決定部128Dは、抽出した配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報を移動先位置情報記憶部138Dから取得する。一方、特定した車種が、移動先位置情報に対応付けられた車種と異なると判断された場合、停車位置決定部128Dは、抽出した配車先の位置情報を配送車両3の停車位置に決定する。
【0412】
また、荷物の取り出し口の位置に関する情報を車種毎に取得することが可能である場合、移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と、車種に応じて補正した移動先位置情報と、配送車両の車種とを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。この場合、記憶部13Dは、配送車両の車種と、荷物の取り出し口の位置とを対応付けたテーブルデータをさらに記憶する。例えば、第1の車種の荷物の取り出し口が車両の前方から1メートルの位置にあり、第2の車種の荷物の取り出し口が車両の前方から1.5メートルの位置にあり、第1の車種の配送車両の配車先の位置が変更された場合、まず、移動先位置情報取得部127Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、第1の車種とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶する。次に、移動先位置情報取得部127Dは、第1の車種の移動先の位置に0.5メートル加算した位置を第2の車種の移動先位置情報として算出し、配車先の位置情報と、算出した移動先位置情報と、第2の車種とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶する。
【0413】
このように、複数の車種と、それぞれの荷物の取り出し口の位置とを対応付けたテーブルデータが記憶されており、複数の車種のうちの一の車種の移動先位置情報が取得された場合、一の車種の荷物の取り出し口の位置と、他の車種の荷物の取り出し口の位置との関係から、他の車種の移動先位置情報を算出することができる。
【0414】
また、利用者は、荷積みを開始するまでに又は荷降ろしを開始するまでに、配送車両3を複数回移動させる可能性がある。そのため、移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と、最終的に荷積みを行った移動先の位置を示す移動先位置情報又は最終的に荷降ろしを行った移動先の位置を示す移動先位置情報とを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。利用者が荷積みを行わなかった移動先の位置及び荷降ろしを行わなかった移動先の位置は不要であるので、不要な情報を記憶する処理を省略することができる。
【0415】
また、移動先位置情報記憶部138Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、配送先の天候情報とを対応付けたテーブルデータを記憶してもよい。例えば、天候が晴れである場合の配送車両の停止位置と、天候が雨である場合の配送車両の停止位置とが異なる場合がある。そこで、移動先位置情報取得部127Dは、移動先位置情報を取得した場合、配送先の天候情報を取得する。そして、移動先位置情報取得部127Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、取得した配送先の天候情報とを対応付けて記憶部13Dに記憶する。管理装置1は、配送先の天候情報を、外部サーバから取得することが可能である。
【0416】
天候情報は、配送車両3が雨センサーを有している場合は、配送車両3から取得される構成であってもよい。また、天候情報は、利用者端末2に停車位置を問い合わせる際に、利用者に天候情報の入力を促すことにより、利用者端末2から取得される構成であってもよい。
【0417】
また、気温が高い日又は低い日は、屋内で配送車両3が到着するのを待機する利用者が多いと考えられ、このような場合は、建物の出入口に近いところに停車することが望まれる。そのため、気温の高い日及び低い日と、それら以外の日とで停車位置が異なることも考えられる。そのため、気温の情報を停車位置に関連付ける構成であってもよい。
【0418】
(実施の形態6)
実施の形態1~5では、配送車両3の制御権が利用者に与えられ、利用者が利用者端末2を用いて配送車両3の移動を制御しているが、実施の形態6では、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、及び遠隔地にいる操縦オペレータに配送車両3を遠隔操縦させるかのいずれかが選択され、利用者又は操縦オペレータが利用者端末2又は遠隔操縦装置を用いて配送車両3の移動を制御する。
【0419】
図36は、本開示の実施の形態6における車両制御システムの全体構成を概念的に示す図である。
【0420】
図36に示す車両制御システムは、管理装置1Eと利用者端末2と配送車両3と遠隔操縦装置5とを備える。
【0421】
遠隔操縦装置5は、配送車両3から、車速、現在位置及び操舵角などの車両本体に関する車両状態情報又は配送車両3の周囲環境を撮影した周囲環境情報を受信すると共に、操縦オペレータ6により入力された配送車両3の走行指示を示す走行指示情報を配送車両3に対して送信する。遠隔操縦装置5は、ネットワーク4を介して管理装置1E及び配送車両3と通信可能に接続されている。
【0422】
遠隔操縦装置5は、配送車両3から離れた場所に設置されており、操縦オペレータ6は、配送車両3を目視することができない。遠隔操縦装置5に配送車両3の制御権が付与された場合、遠隔操縦装置5は、操縦オペレータ6による操作を受け付け、配送車両3を遠隔制御する。
【0423】
例えば、配車先の利用者が利用者端末を持っていない場合、配車先の利用者が利用者端末を持っているか否かが分からない場合、又は配車先の利用者が利用者端末の操作に不得手であると予測される場合、利用者に配送車両3の制御権を付与せずに、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させることが好ましい。
【0424】
図37は、本開示の実施の形態6における管理装置の構成を示すブロック図である。管理装置1Eは、通信部11、制御部12E及び記憶部13を備える。なお、図37において、図2と同様の構成要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0425】
図37に示す管理装置1Eは、図2に示す管理装置1に対して、制御部12Eが異なる。
【0426】
制御部12Eは、配車要求情報取得部121、利用者識別情報取得部122、配送車両決定部123、制御権設定部124E、制御指示支援情報生成部125及び情報送信部126を備える。
【0427】
制御権設定部124Eは、配車先の利用者の属性情報に基づいて、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるか否かを判断する。属性情報とは、例えば、配車先の利用者の年齢を示す情報である。属性情報は、配車要求情報に含まれる。利用者端末2は、配車先の位置情報の入力を受け付ける際に、属性情報の入力を受け付ける。なお、属性情報は、利用者情報記憶部132に予め記憶されていてもよい。
【0428】
制御権設定部124Eは、配車先の利用者の年齢が第1の年齢以下であるか否かを判断するとともに、配車先の利用者の年齢が第1の年齢より高い第2の年齢以上であるか否かを判断する。第1の年齢は、例えば12歳であり、第2の年齢は、例えば70歳である。すなわち、制御権設定部124Eは、配車先の利用者が子供であるか否か、及び配車先の利用者が高齢者であるか否かを判断する。制御権設定部124Eは、配車先の利用者の年齢が第1の年齢以下であると判断した場合、又は配車先の利用者の年齢が第2の年齢以上であると判断した場合、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させると判断する。
【0429】
一方、制御権設定部124Eは、配車先の利用者の年齢が第1の年齢より高く、第2の年齢より低いと判断した場合、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配送車両3の制御を許可する制御権を配車先の利用者に対して設定する。
【0430】
なお、本実施の形態6では、属性情報は、配車先の利用者の年齢を示す情報であるが、本開示は特にこれに限定されず、属性情報は、配車先の利用者が障害者であるか否かを示す情報であってもよい。制御権設定部124Eは、配車先の利用者が障害者であると判断した場合、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させると判断する。また、制御権設定部124Eは、配車先の利用者が障害者ではないと判断した場合、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配送車両3の制御を許可する制御権を配車先の利用者に対して設定する。
【0431】
操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させると判断された場合、情報送信部126は、操縦オペレータ6に配送車両3の制御を依頼するための制御依頼情報を遠隔操縦装置5へ送信する。遠隔操縦装置5は、管理装置1Eによって送信された制御依頼情報を受信し、操縦オペレータ6による配送車両3の遠隔操縦を受け付ける。
【0432】
このように、配車先の利用者が利用者端末2による配送車両3の制御に不得手であると予測される場合は、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるので、配車先に到着した配送車両3を直ちに移動させることができる。
【0433】
なお、本実施の形態6では、制御権設定部124Eは、配車先の利用者の属性情報に基づいて、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるか否かを判断しているが、本開示は特にこれに限定されず、制御権設定部124Eは、配車先における過去の移動制御の履歴に基づいて、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるか否かを判断してもよい。すなわち、過去に移動制御が行われた配車先では、今回も移動制御が行われる可能性が高い。そこで、配車先において過去に移動制御が行われていた場合、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させる。記憶部13は、配車先の位置情報と、移動先位置情報とを対応付けた履歴情報を記憶する。なお、履歴情報は、実施の形態5の移動先位置情報記憶部が記憶するテーブルデータと同じであってもよい。なお、履歴情報は、配車先の利用者の履歴情報であってもよいし、他の利用者の履歴情報であってもよい。また、履歴情報は、過去に移動制御が行われた配車先の位置情報のみであってもよい。
【0434】
この場合、制御権設定部124Eは、配車先において過去に移動制御が行われたか否かを判断する。制御権設定部124Eは、配車先において過去に移動制御が行われたと判断した場合、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させると判断する。一方、制御権設定部124Eは、配車先において過去に移動制御が行われていないと判断した場合、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配送車両3の制御を許可する制御権を配車先の利用者に対して設定する。
【0435】
そして、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させると判断された場合、情報送信部126は、操縦オペレータ6に配送車両3の制御を依頼するための制御依頼情報を遠隔操縦装置5へ送信する。このとき、制御依頼情報は、配車先の位置情報に対応する移動先位置情報を含んでもよい。また、利用者が、移動先の位置を操縦オペレータ6に伝えてもよい。
【0436】
また、制御権設定部124Eは、配車先において過去に移動制御された割合を算出し、算出した割合が所定の値以上であるか否かを判断してもよい。例えば、配車先において5人の利用者のうちの1人の利用者が移動制御を行っていた場合、制御権設定部124Eが算出する割合は、20%となる。そして、制御権設定部124Eは、算出した割合が所定の値以上であると判断した場合、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させると判断する。一方、制御権設定部124Eは、算出した割合が所定の値より低いと判断した場合、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配送車両3の制御を許可する制御権を配車先の利用者に対して設定する。
【0437】
このように、配車先において過去に移動制御が行われていた場合は、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるので、配車先に到着した配送車両3を直ちに移動させることができ、利用者へのサービスを向上させることができる。
【0438】
また、利用者が固定電話を用いた通話により配車を要求した場合、配車先において操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させてもよい。利用者が固定電話を用いた通話により配車を要求した場合、利用者が利用者端末を持っているか否かが不明である。そのため、通話の際に、利用者に利用者端末を持っているか否かを確認する作業が必要になるが、利用者が固定電話を用いた通話により配車を要求した場合に、配車先において操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させることにより、この確認作業を省くことができる。
【0439】
また、固定電話に限らず、利用者が通話により配車を要求した場合、配車先において操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させてもよい。利用者が通話により配車を要求した場合、利用者が利用者端末の操作に不慣れである可能性がある。そのような利用者に利用者端末を用いて配送車両3を制御させるのは大きな負担となる。そこで、利用者が通話により配車を要求した場合、配車先において操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させることにより、利用者の負担を軽減することができる。
【0440】
なお、利用者が通話により配車を要求する場合、まず、利用者は、配車先の位置を通信オペレータ(不図示)に対し通話により伝える。通信オペレータは、配車先の位置情報をオペレータ端末(不図示)に入力する。オペレータ端末は、通信オペレータによる配車先の位置情報の入力を受け付け、配車先の位置情報を含む配車要求情報を管理装置1Eへ送信する。利用者が通話により配車を要求したか否かは、配車要求情報がオペレータ端末から送信されたか否かにより、判断することができる。すなわち、制御権設定部124Eは、受信された配車要求情報がオペレータ端末から送信されたか否かを判断する。制御権設定部124Eは、受信された配車要求情報がオペレータ端末から送信されたと判断した場合、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させると判断する。一方、制御権設定部124Eは、受信された配車要求情報がオペレータ端末から送信されていないと判断した場合、すなわち、受信された配車要求情報が利用者端末2から送信されたと判断した場合、配車要求情報と利用者識別情報とに基づき、配送車両3の制御を許可する制御権を配車先の利用者に対して設定する。なお、操縦オペレータ6と通信オペレータとは、同一の人物であっても、異なる人物であってもよく、遠隔操縦装置5とオペレータ端末とは、同一の装置であっても、異なる装置であってもよい。
【0441】
このように、利用者が、利用者端末2のアプリケーションを利用して配車を要求した場合、すなわち、配車要求情報が利用者端末2から送信された場合は、配送車両3の制御を許可する制御権が配車先の利用者に対して設定される。
【0442】
また、本実施の形態6では、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかを自動的に選択しているが、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかを操縦オペレータ6が選択してもよい。
【0443】
管理装置1Eは、利用者端末2から配車要求情報及び配車先利用者識別情報を受信すると、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかを通信オペレータ(不図示)に選択させるための選択依頼情報をオペレータ端末(不図示)へ送信する。オペレータ端末は、選択依頼情報を受信すると、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかのいずれかの選択を受け付けるための選択画面を表示する。そして、オペレータ端末は、選択依頼情報を受信すると、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかのいずれかの通信オペレータによる選択を受け付ける。オペレータ端末は、通信オペレータによる選択結果を管理装置1Eへ送信する。管理装置1Eは、受信した選択結果に応じて、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかのいずれかを選択する。なお、操縦オペレータ6と通信オペレータとは、同一の人物であっても、異なる人物であってもよく、遠隔操縦装置5とオペレータ端末とは、同一の装置であっても、異なる装置であってもよい。
【0444】
なお、配車要求情報が属性情報を含む場合、遠隔操縦装置5は、配車先の利用者の年齢及び配車先の利用者が障害者であるか否かの少なくとも一方を選択画面に表示してもよい。また、管理装置1Eが、配車先における過去の移動制御の履歴を記憶している場合、遠隔操縦装置5は、配車先において過去に移動制御された割合を選択画面に表示してもよい。例えば、配車先において5人の利用者のうちの1人の利用者が移動制御を行っていた場合、遠隔操縦装置5は、配車先において過去に移動制御された割合が20%であることを選択画面に表示する。これにより、操縦オペレータ6は、配車先の利用者の年齢、配車先の利用者が障害者であるか否か、又は配車先において過去に移動制御された割合を参考にして、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかを選択することができる。
【0445】
また、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかを利用者が選択してもよい。
【0446】
管理装置1Eは、利用者端末2から配車要求情報及び配車先利用者識別情報を受信すると、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかを利用者に選択させるための選択依頼情報を利用者端末2へ送信する。利用者端末2は、選択依頼情報を受信すると、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかのいずれかの選択を受け付けるための選択画面を表示する。
【0447】
図38は、本実施の形態6において利用者端末に表示される選択画面の一例を示す図である。
【0448】
利用者端末2は、選択依頼情報を受信すると、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかのいずれかの利用者による選択を受け付ける。利用者は、選択画面において、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかのいずれかを選択する。利用者端末2は、利用者による選択結果を管理装置1Eへ送信する。管理装置1Eは、受信した選択結果に応じて、配送車両3の制御権を利用者に付与するか、又は遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させるかを選択する。
【0449】
また、配送車両3が配車先に到着した時点で、常に、遠隔地にいる操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させてもよい。この場合、配送車両3は、配送車両3の現在位置を示す車両位置情報を取得し、第1の走行モード切替条件を満たすか否か、つまり、配送車両3の現在位置が配車先の位置であるか否かを判断する。自律走行モードでの移動が開始されると、配送車両3は、記憶部33に記憶されている第1の走行モード切替条件を満たすか否かを判断する。本説明では、第1の走行モード切替条件は、配送車両3の現在位置が配車先の位置である場合に、走行モードを自律走行モードから遠隔操縦モードに切り替えるという条件である。第1の走行モード切替条件を満たさないと判断された場合、すなわち、配送車両3の現在位置が配車先の位置ではないと判断された場合、配送車両3は、配送車両3の車両位置情報を取得する。一方、第1の走行モード切替条件を満たすと判断された場合、すなわち、配送車両3の現在位置が配車先の位置であると判断された場合、配送車両3は、走行モードを自律走行モードから遠隔操縦モードに切り替える。次に、配送車両3は、遠隔操縦装置5から受信した走行指示情報に従って、遠隔操縦モードで配送車両3の走行を制御する。
【0450】
なお、第1の走行モード切替条件は、配送車両3の現在位置から配車先の位置までの所要距離が所定の閾値より短いという条件、又は配送車両3の現在位置から配車先の位置までの所要時間が所定の閾値より短いという条件を含んでもよい。
【0451】
走行モードが自律走行モードから遠隔操縦モードに切り替えられた後、定期的に、配送車両3は、配送車両3の車速及び操舵角などの車両本体に関する車両状態情報と、配送車両3の現在位置を示す車両位置情報と、配送車両3の周囲環境を撮影した周囲環境情報とを取得する。配送車両3は、車両状態情報、車両位置情報及び周囲環境情報を遠隔操縦装置5に対して送信する。
【0452】
なお、遠隔操縦モードである期間、操縦オペレータ6は、常に車両状態情報、車両位置情報及び周囲環境情報を確認しているが、常に遠隔操縦の命令を行っているわけではない。操縦オペレータ6は、必要と判断した場合に遠隔操縦の命令を行うため、常に遠隔操縦の命令が遠隔操縦装置5から配送車両3に対して送信されているわけではない。
【0453】
次に、配送車両3は、タスク状態情報を取得する。タスク状態情報は、例えば、配送車両3に対する配送対象物の積載が完了したか否かを示す情報である。次に、配送車両3は、所定のタスクの状態が第2の走行モード切替条件を満たすか否か、つまり、配送車両3に対する配送対象物の積載が完了したか否かを判断する。配送車両3が遠隔操縦モードで制御される期間、配送車両3は、タスク状態情報で示されるタスクの状態が、記憶部33に記憶されている第2の走行モード切替条件を満たすか否かを判断する。本説明では、第2の走行モード切替条件は、配送車両3に対する配送対象物の積載が完了した場合に、走行モードを遠隔操縦モードから自律走行モードに切り替えるという条件である。
【0454】
なお、第2の走行モード切替条件は、配送車両3から配送対象物の荷降ろしが完了したという条件であってもよい。また、第2の走行モード切替条件は、配送車両3への利用者の乗車が完了したという条件であってもよい。さらに、第2の走行モード切替条件は、配送車両3からの利用者の降車が完了したという条件であってもよい。
【0455】
所定のタスクの状態が第2の走行モード切替条件を満たさないと判断された場合、すなわち、配送車両3への配送対象物の積載が完了していないと判断された場合、配送車両3は、遠隔操縦装置5からの走行指示情報に従って、遠隔操縦モードで配送車両3の走行を制御する。一方、所定のタスクの状態が第2の走行モード切替条件を満たすと判断された場合、すなわち、配送車両3への配送対象物の積載が完了したと判断された場合、配送車両3は、走行モードを遠隔操縦モードから自律走行モードに切り替える。そして、走行モードが遠隔操縦モードから自律走行モードに切り替えられる際、配送車両3は、次の停車位置を決定し、次の停車位置に向かって、自律走行モードで移動を開始する。
【0456】
このように、配送車両3が配車先に到着した時点で、操縦オペレータ6は、配送車両3の停車位置が第3者にとって不都合な場所でないかを確認することができ、配送車両3の停車位置が第3者にとって不都合な場所である場合、配送車両3を直ちに移動させることができる。
【0457】
また、上記のように、配送車両3が配車先に到着した時点で、常に、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させる場合、操縦オペレータ6の負担が大きくなる。そこで、配送車両3は、配送車両3が配車先に到着した時点で、制御権が設定された利用者が配車先に存在するか否かを判断してもよい。そして、配送車両3は、制御権が設定された利用者が配車先に存在すると判断された場合、操縦オペレータ6による配送車両3の遠隔操縦をキャンセルし、制御権が設定された利用者が配車先に存在しないと判断された場合、操縦オペレータ6に配送車両3を遠隔操縦させてもよい。
【0458】
このように、配送車両3が配車先に到着した時点で、配送車両3の近傍に利用者が存在する場合には、利用者が、配送車両3の停車位置が第3者にとって不都合な場所でないかを確認することができるので、操縦オペレータ6は常に配送車両3を監視する必要がなく、操縦オペレータ6の負担を軽減することができる。
【0459】
続いて、遠隔操縦モードにおける遠隔操縦装置5の遠隔制御について、さらに詳細に説明する。
【0460】
遠隔操縦モードでは、操縦オペレータ6が即座に遠隔操縦できるように、配送車両3で撮影された画像が、少なくとも操縦オペレータ6に提示される。操縦オペレータ6は、配送車両3で撮影された画像を見ながら、配送車両3の遠隔操縦を行う。なお、安全に運転するためには、遠隔操縦時に必要となる配送車両3の周囲の画像が操縦オペレータ6に提示されることが好ましい。また、遠隔操縦装置5は、画像だけでなく、音声を出力したり、配車先の位置における道路標識情報を提示したりしてもよい。道路標識情報は、例えば、配車先の道路で禁止、規制及び制限されている事項を示す。
【0461】
図39は、遠隔操縦装置において表示される車両監視画面の第1の例を示す図である。
【0462】
遠隔操縦装置5の表示部51は、操縦オペレータ6が配送車両を監視するための車両監視画面を表示する。車両監視画面は地図画像521を含む。地図画像521上には、複数の配送車両の現在位置が表示される。図39では、5台の配送車両が移動中であり、遠隔操縦装置5は、各配送車両から定期的に位置情報を受信し、各配送車両の現在位置に対応する地図画像上の位置に各配送車両を示すアイコンを表示する。操縦オペレータ6は、車両監視画面により、複数の配送車両の配車状況を監視する。
【0463】
図40は、遠隔操縦装置において表示される遠隔操縦画面の第1の例を示す図である。
【0464】
遠隔操縦装置5の表示部51は、配車先に配送車両が到着し、操縦オペレータ6による遠隔操縦が可能となったタイミングで、操縦オペレータ6が配送車両を遠隔操縦するための遠隔操縦画面を表示する。遠隔操縦画面は、地図画像521と、カメラ画像522とを含む。地図画像521上には、複数の配送車両の現在位置が表示され、配車先に到着した配送車両が視認可能に表示される。図40では、配車先に到着した配送車両を示すアイコンを囲む枠が所定の色で表示される。カメラ画像522は、配車先に到着した配送車両の前方、後方、右方及び左方をリアルタイムに撮影した画像を含む。遠隔操縦装置5は、配車先に到着した配送車両によって送信されたカメラ画像を受信し、受信したカメラ画像を表示する。操縦オペレータ6は、カメラ画像522を見ながら、配送車両を遠隔操縦する。
【0465】
なお、本実施の形態では、配車先に配送車両が到着した際に、到着した配送車両のカメラ画像522が自動的に表示されるが、本開示は特にこれに限定されず、操縦オペレータ6が遠隔制御する配送車両を地図画像521上から選択し、選択された配送車両のカメラ画像522が表示されてもよい。また、図40に示す遠隔操縦画面には、地図画像521が表示されているが、カメラ画像522のみが表示されてもよい。また、管理装置1Eは、配車先に到着した配送車両を遠隔操縦装置5に通知してもよく、遠隔操縦装置5は、通知された配送車両が操縦オペレータ6により選択されることで、カメラ画像522を表示してもよい。
【0466】
さらに、遠隔操縦装置5は、配送車両の遠隔監視と配送車両の遠隔操縦とを行うため、地図画像521とカメラ画像522とを同時に表示しているが、配送車両を遠隔監視するための遠隔監視装置と、配送車両を遠隔操縦するための遠隔操縦装置とが個別に配置されている場合、遠隔監視装置が地図画像521を表示し、遠隔操縦装置がカメラ画像522を表示してもよい。
【0467】
図41は、遠隔操縦装置において表示される遠隔操縦画面の第2の例を示す図である。
【0468】
図41に示す遠隔操縦装置5は、車両監視画面を表示せずに、遠隔操縦画面のみを表示する。遠隔操縦画面はカメラ画像522を含む。カメラ画像522は、配車先に到着した配送車両の前方、後方、右方及び左方をリアルタイムに撮影した画像を含む。遠隔操縦装置5は、配車先に到着した配送車両によって送信されたカメラ画像を受信し、受信したカメラ画像を表示する。操縦オペレータ6は、カメラ画像522を見ながら、配送車両を遠隔操縦する。
【0469】
なお、車両制御システムは、複数の遠隔操縦装置を備えてもよい。配車先に配送車両が到着した場合、複数の遠隔操縦装置のうちの使用されていない遠隔操縦装置に、配車先に到着した配送車両の前方、後方、右方及び左方をリアルタイムに撮影した画像が表示される。また、複数の配送車両のそれぞれに対して複数の遠隔操縦装置が割り当てられている場合、配車先に到着した配送車両に割り当てられている遠隔操縦装置に、配車先に到着した配送車両の前方、後方、右方及び左方をリアルタイムに撮影した画像が表示されてもよい。
【0470】
図42は、遠隔操縦装置において表示される車両監視画面の第2の例を示す図である。
【0471】
遠隔操縦装置5の表示部51は、操縦オペレータ6が配送車両を監視するための車両監視画面を表示する。車両監視画面は複数のカメラ画像を含む。複数のカメラ画像は、複数の配送車両のそれぞれの前方を撮影した画像である。図42では、4台の配送車両が移動中であり、遠隔操縦装置5は、各配送車両から定期的に前方のみを撮影したカメラ画像を受信し、受信したカメラ画像を表示する。操縦オペレータ6は、車両監視画面により、複数の配送車両の配車状況を監視する。
【0472】
なお、図42では、遠隔操縦装置5は、各配送車両の前方のみを撮影したカメラ画像を表示しているが、本開示は特にこれに限定されず、各配送車両の他の方向を撮影したカメラ画像を表示してもよく、各配送車両の全ての方向を撮影したカメラ画像を表示してもよい。また、遠隔操縦装置5は、データ量を削減するため、解像度を低下させたカメラ画像を受信して表示してもよい。
【0473】
図43は、遠隔操縦装置において表示される遠隔操縦画面の第3の例を示す図である。
【0474】
遠隔操縦装置5の表示部51は、配車先に配送車両が到着し、操縦オペレータ6による遠隔操縦が可能となったタイミングで、操縦オペレータ6が配送車両を遠隔操縦するための遠隔操縦画面を表示する。遠隔操縦画面は、第1のカメラ画像531と、第2のカメラ画像532とを含む。第1のカメラ画像531は、複数の配送車両のそれぞれの前方を撮影した複数のカメラ画像を含み、配車先に到着した配送車両のカメラ画像が視認可能に表示される。図43では、配車先に到着した配送車両のカメラ画像を囲む枠が所定の色で表示される。
【0475】
第2のカメラ画像532は、配車先に到着した配送車両の前方、後方、右方及び左方をリアルタイムに撮影した画像を含む。配車先に到着した配送車両からは、前方を撮影したカメラ画像だけでなく、後方、右方及び左方を撮影したカメラ画像が送信される。遠隔操縦装置5は、配車先に到着した配送車両によって送信されたカメラ画像を受信し、受信したカメラ画像を表示する。操縦オペレータ6は、カメラ画像532を見ながら、配送車両を遠隔操縦する。
【0476】
図44は、遠隔操縦装置において表示される車両監視画面の第3の例を示す図である。
【0477】
遠隔操縦装置5の表示部51は、操縦オペレータ6が配送車両を監視するための車両監視画面を表示する。車両監視画面は複数のカメラ画像を含む。複数のカメラ画像は、複数の配送車両のそれぞれの前方、後方、右方及び左方を撮影した画像である。図44では、3台の配送車両が移動中であり、遠隔操縦装置5は、各配送車両から定期的に前方、後方、右方及び左方を撮影したカメラ画像を受信し、受信したカメラ画像を表示する。操縦オペレータ6は、車両監視画面により、複数の配送車両の配車状況を監視する。
【0478】
図45は、遠隔操縦装置において表示される遠隔操縦画面の第4の例を示す図である。
【0479】
遠隔操縦装置5の表示部51は、配車先に配送車両が到着し、操縦オペレータ6による遠隔操縦が可能となったタイミングで、操縦オペレータ6が配送車両を遠隔操縦するための遠隔操縦画面を表示する。図45に示す遠隔操縦画面は、図44に示す車両監視画面と同じである。図45では、配車先に到着した配送車両のカメラ画像を囲む枠541が所定の色で表示される。操縦オペレータ6は、カメラ画像を見ながら、配送車両を遠隔操縦する。
【0480】
なお、遠隔操縦装置5は、配車先におけるタスクが完了した時点で、図40図43及び図45に示す遠隔操縦画面から図39図42及び図44に示す車両監視画面に切り替えてもよい。配送サービスにおけるタスクは、荷物を積載すること又は荷物を降ろすことを表し、タクシーサービスにおけるタスクは、利用者が乗車すること又は利用者が降車することを表す。
【0481】
また、本実施の形態6において、配送車両3は、利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われた場合、利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたことを遠隔操縦装置5へ通知してもよい。利用者が、複数回数移動制御を行った場合、当該利用者は適切に移動制御を行えていないと考えられる。そこで、このような場合には、操縦オペレータ6が配送車両3を遠隔制御することにより、配送車両3の移動制御を支援してもよい。配送車両3は、利用者による配送車両3の移動制御履歴を記憶する。配送車両3は、移動制御履歴に基づいて、利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたか否かを判断する。利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたと判断された場合、配送車両3は、利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたことを遠隔操縦装置5へ通知する。通知を受けた遠隔操縦装置5は、配送車両3の移動制御支援を受けるか否かを利用者端末2へ問い合わせる。利用者端末2から移動制御支援を受ける旨の応答を受信した場合、遠隔操縦装置5は、操縦オペレータ6による配送車両3の遠隔操縦を受け付ける。
【0482】
なお、上記の例では、配送車両3が、利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたことを遠隔操縦装置5へ通知しているが、本開示は特にこれに限定されず、利用者端末2が、利用者による配送車両3の移動制御が所定回数以上行われた場合、利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたことを遠隔操縦装置5へ通知してもよい。利用者端末2は、利用者による配送車両3の移動制御履歴を記憶する。利用者端末2は、移動制御履歴に基づいて、利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたか否かを判断する。利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたと判断された場合、利用者端末2は、利用者により配送車両3の移動制御が所定回数以上行われたことを遠隔操縦装置5へ通知する。
【0483】
なお、管理装置1又は遠隔操縦装置5が、配車車両3又は利用者端末2の移動制御履歴を取得し、管理装置1又は遠隔操縦装置5が、移動制御が所定回数以上行われたか否かを判断する構成であってもよい。管理装置1が、配車車両3又は利用者端末2の移動制御履歴を取得し、移動制御が所定回数以上行われたと判断した場合、移動制御が所定回数以上行われたことを遠隔操縦装置5に通知する。
【0484】
また、車両制御システムは、管理装置1Eと利用者端末2と配送車両3と遠隔監視装置(不図示)とを備えてもよい。遠隔監視装置は、監視オペレータ(不図示)によって操作される。配送車両3は、利用者端末2により行われた配送車両3の移動制御を示す移動制御情報を遠隔監視装置へ送信する。遠隔監視装置は、配送車両3によって送信された移動制御情報を受信する。遠隔監視装置は、利用者端末2により行われた配送車両3の移動制御情報を表示する。これにより、監視オペレータは、利用者端末2により行われた配送車両3の移動制御を監視することができる。そして、監視オペレータは、例えば、配送車両3を長距離移動させるなどの本来の目的とは異なる制御が行われていること、又は、例えば、配送車両3を複数回数移動させるなどの適切な制御が行われていないことを把握することができる。
【0485】
図46は、遠隔監視装置において表示される車両監視画面の一例を示す図である。
【0486】
遠隔監視装置7の表示部71は、監視オペレータが配送車両を監視するための車両監視画面を表示する。車両監視画面は地図画像721を含む。地図画像721上には、複数の配送車両の現在位置が表示される。図46では、5台の配送車両が移動中であり、遠隔監視装置7は、各配送車両から定期的に位置情報を受信し、各配送車両の現在位置に対応する地図画像721上の位置に各配送車両を示すアイコンを表示する。監視オペレータは、車両監視画面により、複数の配送車両の配車状況を監視する。
【0487】
遠隔監視装置7の表示部71は、利用者により移動制御が行われている配送車両と、利用者により移動制御が行われていない配送車両とを互いに異なる態様で表示してもよい。図46では、前方に50センチメートル移動させた配送車両が強調して表示されており、移動制御が行われている配送車両を示すアイコンを囲む枠が所定の色で表示されるとともに、移動制御の内容が付加情報として表示されている。付加情報は、例えば、移動方向及び移動距離を含む。また、付加情報は、例えば、移動制御が行われた回数を含んでもよい。
【0488】
なお、表示部71は、利用者により移動制御が行われている配送車両を示すアイコンと、利用者により移動制御が行われていない配送車両を示すアイコンとを、互いに異なる色、形状、透明度又は模様で表示してもよい。これにより、監視オペレータは、どの配送車両が利用者により移動制御されているのかを把握することができる。また、どのような移動制御が行われたかを表示することにより、監視オペレータは、利用者によりどのような移動制御が行われたかを把握することができる。さらに、移動制御が行われた回数を表示することにより、監視オペレータは、利用者が適切に移動制御を行っているのかを把握することができる。
【0489】
また、管理装置は、本来の目的とは異なる移動制御が行われた場合、本来の目的とは異なる移動制御を行った利用者又は利用者端末を識別するための利用者識別情報と、本来の目的とは異なる移動制御が行われたことを示す不正制御情報とを対応付けて記憶部に記憶してもよい。そして、制御権を設定する際に、制御権設定部は、配車先の利用者を識別するための利用者識別情報に不正制御情報が対応付けられているか否かを判断する。配車先の利用者を識別するための利用者識別情報に不正制御情報が対応付けられていないと判断した場合、制御権設定部は、当該利用者識別情報に対して制御権を設定する。一方、配車先の利用者を識別するための利用者識別情報に不正制御情報が対応付けられていると判断した場合、制御権設定部は、当該利用者識別情報に対して制御権を設定しない。
【0490】
また、管理装置は、本来の目的とは異なる移動制御が行われた場合、利用者により本来の目的とは異なる移動制御が行われたことを遠隔監視装置7へ通知し、当該利用者に対して制御権を設定するか否かを問い合わせてもよい。遠隔監視装置7は、本来の目的とは異なる移動制御を行った利用者に対して制御権を設定するか否かの監視オペレータによる選択を受け付ける。遠隔監視装置7は、本来の目的とは異なる移動制御を行った利用者に対して制御権を設定するか否かの選択結果を管理装置へ送信する。管理装置は、遠隔監視装置7からの選択結果に基づいて、制御権を設定する。なお、制御権が設定されていない利用者は、配車先において配送車両を移動させる場合、遠隔監視装置7へ配送車両の移動を依頼し、遠隔監視装置7による遠隔制御により配送車両を移動させることが好ましい。
【0491】
また、制御権情報は、本来の目的とは異なる移動制御が行われたことを示す不正制御情報を含んでもよい。配送車両3は、配送先に到着した際、配送先の利用者の利用者識別情報に不正制御情報が対応付けられている場合、その旨を遠隔監視装置7へ通知する。これにより、監視オペレータは、利用者による移動制御を監視することができる。また、利用者は、監視オペレータによる監視の下で移動制御を行うことになるので、利用者が本来の目的とは異なる移動制御を行うことを抑止することができる。また、この場合、利用者端末2は、監視オペレータにより移動制御が監視されていることを表示してもよい。これにより、利用者が本来の目的とは異なる移動制御を行うことを抑止することができる。
【0492】
上記の実施の形態5では、管理装置1Dの移動先位置情報取得部127Dは、制御指示情報に従って移動した配送車両3から、移動先の位置を示す移動先位置情報を取得し、利用者端末2から受信した配車要求情報に含まれる配車先の位置情報と、取得した移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶しているが、本開示は特にこれに限定されず、情報送信部126は、移動先位置情報取得部127Dによって移動先の位置を示す移動先位置情報が配送車両3から取得された場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて記憶するか否かを、操縦オペレータ6に問い合わせてもよい。
【0493】
図47は、遠隔操縦装置において表示される問い合わせ画面の一例を示す図である。
【0494】
管理装置1Dは、移動先位置情報を取得した場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよいかの問い合わせを遠隔操縦装置5へ送信する。遠隔操縦装置5は、管理装置1Dからの問い合わせを受信し、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよいか否かの操縦オペレータ6による応答を受け付ける。このとき、遠隔操縦装置5の表示部51は、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて記憶するか否かを操縦オペレータ6に問い合わせるための問い合わせ画面を表示する。操縦オペレータ6は、問い合わせ画面において、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて記憶するか否かを選択する。遠隔操縦装置5は、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶してもよいか否かの応答結果を管理装置1Dへ送信する。管理装置1Dの移動先位置情報取得部127Dは、問い合わせに対して肯定的な応答結果を受信した場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶する。一方、移動先位置情報取得部127Dは、問い合わせに対して否定的な応答結果を受信した場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶せずに、取得した移動先位置情報を破棄する。
【0495】
なお、図47に示す問い合わせ画面では、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて記憶するか否かを操縦オペレータ6に問い合わせているが、さらに、配車先の位置情報及び移動先位置情報と対応付ける情報の選択を操縦オペレータ6に問い合わせてもよい。
【0496】
図48は、遠隔操縦装置において表示される情報入力画面の一例を示す図である。
【0497】
遠隔操縦装置5の表示部51は、配車先の位置情報及び移動先位置情報に対して、さらに対応付けて記憶する情報の入力を受け付けるための情報入力画面を表示する。操縦オペレータ6は、情報入力画面において、配車先の位置情報及び移動先位置情報に対して、さらに対応付けて記憶する情報を選択する。例えば、図48に示す情報入力画面では、天気情報、利用者の名前、配送車両の車種及びタスクを対応付けるか否かが選択可能に表示されている。遠隔操縦装置5は、配車先の位置情報及び移動先位置情報に対応付ける情報を管理装置1Dへ送信する。管理装置1Dは、配車先の位置情報と、移動先位置情報と、受信した情報とを対応付けて移動先位置情報記憶部138Dに記憶する。
【0498】
また、上記の実施の形態5において、配車先の位置情報に対応付けられた移動先位置情報を配送車両3の停車位置に決定したにも拘わらず、利用者によってさらに配送車両が移動された場合、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて記憶するか否かを操縦オペレータ6に問い合わせてもよい。これにより、操縦オペレータ6の判断により、配車先の位置情報と移動先位置情報とを対応付けて記憶させることができる。
【0499】
以上、本開示のシステムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0500】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0501】
本開示の実施の形態1~4に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0502】
また、本開示の実施の形態1~4に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0503】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0504】
また、上記のフローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0505】
さらに、本開示の主旨を逸脱しない限り、本開示の各実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0506】
本開示にかかる車両制御権設定方法、車両制御権設定装置、車両制御権設定プログラム及び車両制御方法は、配車先において自動運転車両の利用者が当該自動運転車両を制御することができ、自動運転車両の制御権を設定する車両制御権設定方法、車両制御権設定装置及び車両制御権設定プログラム、並びに自動運転車両を制御する車両制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0507】
1,1A,1B,1C,1D,1E 管理装置
2 利用者端末
3,3A 配送車両
4 ネットワーク
5 遠隔操縦装置
6 操縦オペレータ
7 遠隔監視装置
11 通信部
12,12A,12B,12C,12D,12E 制御部
13,13A,13B,13C,13D 記憶部
21 通信部
22 表示部
23 入力部
24 制御部
25 記憶部
31 通信部
32,32A 制御部
33,33A 記憶部
34 センサー部
35 駆動部
36A 積載検知部
51 表示部
71 表示部
121,121B,121C 配車要求情報取得部
122,122B,122C 利用者識別情報取得部
123 配送車両決定部
124,124B,124C,124E 制御権設定部
125 制御指示支援情報生成部
126,126B,126C 情報送信部
127A 配送状況情報取得部
127D 移動先位置情報取得部
128A 制御権変更部
128D 停車位置決定部
129A 制御権変更通知情報生成部
131 配車要求情報記憶部
132 利用者情報記憶部
133 車両情報記憶部
134,134B,134C 制御権情報記憶部
135 配送車両決定プログラム記憶部
136 制御権設定プログラム記憶部
137 制御指示支援情報生成プログラム記憶部
138A 制御権変更プログラム記憶部
138D 移動先位置情報記憶部
139A 制御権変更通知情報生成プログラム記憶部
139D 停車位置決定プログラム記憶部
321 移動制御部
322 車両位置情報取得部
323 配車指示情報取得部
324 制御権情報取得部
325 制御指示情報取得部
326 制御可能位置判定部
327 制御可能主体判定部
328A 配送状況情報生成部
329A 配送状況情報送信部
331 地図情報記憶部
332 自動運転基本プログラム記憶部
333 経路情報記憶部
334 車両位置情報記憶部
335 配車指示情報記憶部
336 制御権情報記憶部
337 制御可能位置判定プログラム記憶部
338 制御可能主体判定プログラム記憶部
339A 配送状況関連情報生成プログラム記憶部
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