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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160038
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】失禁パンツ
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20231026BHJP
   A41B 9/12 20060101ALI20231026BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A41B9/02 Z
A41B9/12 E
A41B9/02 F
A41B9/02 Q
A61F13/49 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070061
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】509143457
【氏名又は名称】株式会社メイフィール
(74)【代理人】
【識別番号】100174816
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 貴久
(72)【発明者】
【氏名】山田 誠一
【テーマコード(参考)】
3B128
3B200
【Fターム(参考)】
3B128EA02
3B128EB11
3B128EB16
3B128EB18
3B128EC03
3B128EC04
3B128KA01
3B200AA12
3B200AA17
3B200CA03
3B200DB12
(57)【要約】
【課題】 失禁パンツとして、外観上、一般的な下着と変わらないものが知られている。しかしながら、それらは、尿などの吸収量が少ないものであった。そのため、十分な量の尿などを吸水・保水でき、且つ、外観が一般的な下着であるパンツに見える失禁パンツを提供することである。
【解決手段】 失禁パンツであって、パンツ本体部と、前記パンツ本体部の内側に設けられたパンツインナー部とを備え、前記パンツインナー部は、吸水拡散布と、保水布と、防水布とが重なって形成された失禁パッドを備え、前記保水布は、切り込み部が少なくとも3箇所、前記保水布の長手方向における中心線に沿うように設けられていることを特徴とする失禁パンツ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
失禁パンツであって、
パンツ本体部と、前記パンツ本体部の内側に設けられたパンツインナー部とを備え、
前記パンツインナー部は、吸水拡散布と、保水布と、防水布とが重なって形成された失禁パッドを備え、
前記保水布は、切り込み部が少なくとも3箇所、前記保水布の長手方向における中心線に沿うように設けられていることを特徴とする失禁パンツ。
【請求項2】
前記失禁パッドは、前記パンツインナー部の中央近傍に配置されており、前記パンツインナー部の面積に対して60%~80%の大きさであることを特徴とする請求項1に記載の失禁パンツ。
【請求項3】
前記切り込み部は、前記保水布の長手方向の中心線に沿うように設けられた縦の切れ込みと、前記縦の切れ込みの端部に設けられた横の切れ込みと、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の失禁パンツ。
【請求項4】
前記失禁パッドは、計4枚の生地で構成されており、
吸水拡散布、吸水拡散布、保水布、防水布の順に重ねられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の失禁パンツ。
【請求項5】
前記失禁パッドは、計6枚の生地で構成されており、
吸水拡散布、吸水拡散布、保水布、吸水拡散布、保水布、防水布の順に重ねられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の失禁パンツ。
【請求項6】
前記失禁パッドは、計8枚の生地で構成されており、
吸水拡散布、吸水拡散布、保水布、吸水拡散布、保水布、吸水拡散布、保水布、防水布の順に重ねられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の失禁パンツ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、失禁パンツに関する。
【背景技術】
【0002】
失禁パンツは、失禁した際の尿漏れを防止するものであり、例えば、特許文献1に記載の男性用失禁ショーツが知られている。特許文献1に記載の男性用失禁ショーツは、外観上、一般的な男性ショーツと変わらず、尿漏れ防止性が高いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-44061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の男性用失禁ショーツは、外観上、一般的な男性ショーツに見えるような構成としているため、尿を吸水する4層で構成される前身頃を薄くせざるを得ず、尿などの吸水量が低いものであった。
【0005】
本発明は、かかる従来発明における課題に鑑みてされたものであり、本発明の目的は、十分な量の尿などを吸水・保水でき、且つ、外観が一般的な下着であるパンツに見える失禁パンツを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも以下のような構成を備え、もしくは手順を実行する。
【0007】
本発明の一局面に係る失禁パンツは、失禁パンツであって、パンツ本体部と、前記パンツ本体部の内側に設けられたパンツインナー部とを備え、前記パンツインナー部は、吸水拡散布と、保水布と、防水布とが重なって形成された失禁パッドを備え、前記保水布は、切り込み部が少なくとも3箇所、前記保水布の長手方向における中心線に沿うように設けられていることを特徴とする。
かかる構成により、十分な量の尿などを吸水・保水することができ、且つ、外観が一般的な下着であるパンツに見える失禁パンツを提供することができる。また、保水布の中心線に沿って切り込み部が少なくとも3箇所設けられているため、よりスピーディに尿などを深部まで吸水・保水することができる。
【0008】
また、好ましくは、前記失禁パッドは、前記パンツインナー部の中央近傍に配置されており、前記パンツインナー部の面積に対して60%~80%の大きさであることを特徴とする。
かかる構成により、より尿などを吸水・保水することができる。
【0009】
また、好ましくは、前記切り込み部は、前記保水布の長手方向の中心線に沿うように設けられた縦の切れ込みと、前記縦の切れ込みの端部に設けられた横の切れ込みと、を有することを特徴とする。
かかる構成により、尿などが保水布により広がって吸水されるため、尿などの吸水スピードがより向上する。
【0010】
また、好ましくは、前記失禁パッドは、計4枚の生地で構成されており、吸水拡散布、吸水拡散布、保水布、防水布の順に重ねられていることを特徴とする。
かかる構成により、失禁パッドが薄く構成されるため、より一般的な下着(パンツ)に見えるようになる。
【0011】
また、好ましくは、前記失禁パッド部は、計6枚の生地で構成されており、吸水拡散布、吸水拡散布、保水布、吸水拡散布、保水布、防水布の順に重ねられていることを特徴とする。
かかる構成により、一般的な下着(パンツ)に見えつつ、尿などの吸水・保水量が向上する。
【0012】
また、好ましくは、前記失禁パッド部は、計8枚の生地で構成されており、吸水拡散布、吸水拡散布、保水布、吸水拡散布、保水布、吸水拡散布、保水布、防水布の順に重ねられていることを特徴とする。
かかる構成により、一般的な下着(パンツ)に見えつつ、尿などの吸水・保水量が向上する。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係る失禁パンツは、外観が一般的な下着であるパンツに見えるにも係わらず十分な量の尿などを吸水・保水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る失禁パンツの斜視図である。
図2】本発明に係る失禁パンツの正面(a)及び背面(b)を示す図である。
図3】本発明に係る失禁パンツのパンツインナー部を示す図である。
図4】本発明に係る失禁パンツに使用されている失禁パッドを示す図である。
図5】失禁パッドの断面の様子を示す概略図である。
図6】失禁パッドを構成する保水布を示す図である。
図7】保水布の長手方向における中心線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る失禁パンツ100の斜視図であり、図2は、本発明に係る失禁パンツ100の正面(a)及び背面(b)を示す図である。失禁パンツ100は、パンツ本体部110と、パンツ本体部110の内側に取り付けられたパンツインナー部120を備えている。また、詳細は後述するが、パンツインナー部120には、尿などを吸水・保水するための失禁パッド200が設けられている。失禁パンツ100は、パンツ本体部110の内側にパンツインナー部120が設けられている2重構造となっており、パンツインナー部120に設けられた失禁パッド200が股間部にフィットするように形成されている。一方、パンツ本体部110は、比較的ゆったりとした形状、例えば、トランクスのような形に形成されている。この構造によって、失禁パッド200が比較的大きくても、外観が一般的な下着であるパンツに見えるように構成されている。また、パンツインナー部120に設けられた失禁パッド200が股間部にフィットするように形成されているので、失禁パッド200に尿などが吸収されて重くなっても動きやすい構造となっている。
【0017】
パンツ本体部110は、伸縮性のある布で構成されたトランクス型のものであり、上端にはゴム入りのウエストバンド130を有している。
【0018】
図3は、本発明に係る失禁パンツのパンツインナー部120を示す図である。この図は、パンツ本体部110からパンツインナー部120を引っ張り出した状態を示している。また、パンツインナー部120には、尿などを吸水・保水するための失禁パッド200が縫い付けられている。
【0019】
パンツインナー部120は、通気性の良い生地で構成されており、使用者にフィットするように形成されている。なお、パンツインナー部120は、ウエストバンド130の内側の付け根の部分に縫い合わせてある。また、パンツインナー部120には、尿などが横漏れしないように、横漏れ防止部121が設けられている。なお、横漏れ防止部121は、失禁パッド200のくびれている箇所に沿って形成されている。
【0020】
失禁パッド200は、パンツインナー部120の中央近傍に縫い付けられており、失禁パッド200の大きさは、パンツインナー部120の面積に対して70%程度の大きさである。通常、失禁パッド200を大きくすると、外観が一般的な下着に見えなくなるが、本発明の構成、つまり、パンツインナー部120の外側にパンツ本体部110を設けることで、失禁パッド200が大きくても、外観が一般的な下着に見える。なお、失禁パッド200の大きさは、パンツインナー部120の面積に対して60%~80%の範囲であるのが好ましい。当該範囲であれば、十分な量の尿などを吸水でき、且つ、外観が一般的な下着であるパンツに見えるためである。
【0021】
図4は、本発明に係る失禁パンツ100に使用されている失禁パッド200を示す図である。失禁パッド200は、中央が狭くなったくびれ形状をしており、後方の臀部側の方が前方の陰部側より大きく形成されている。
【0022】
図5は、失禁パッド200の断面の様子を示す概略図である。失禁パッド200は、吸水拡散布210、保水布220、防水布230を重ねて形成されている。具体的には、陰部に近い内側から、吸水拡散布210、吸水拡散布210、保水布220、吸水拡散布210、保水布220、吸水拡散布210、保水布220、防水布230の計8枚で構成されている。吸水拡散布210を使用して、尿などをより広い範囲に拡散させることで、より吸水スピードを向上させている。さらに、拡散させた尿などを3枚の保水布220で保水することができるため、比較的多くの尿などを保水することができる。そのため、夜間などに遺尿が2回あったとしても、十分に対応することができる。
【0023】
吸水拡散布210は、毛細管現象を利用して液体をスピーディに吸収・拡散する生地を使用している。具体的には、TORAYのフィールドセンサー(登録商標)を使用している。なお、吸水拡散布210は、型番が異なる2種類のフィールドセンサー(登録商標)を使用しても構わない。具体的には、比較的目の粗い吸水拡散布210と比較的目が細かい吸水拡散布210を使用しても構わない。2種類の吸水拡散布210を重ねるようにして使用することで、尿などをより拡散して吸水することができる。
【0024】
保水布220は、優れた吸水性及び保水性を有する生地で形成されており、比較的厚みを有している。具体的には、帝人フロンティア株式会社のベルオアシス(登録商標)を厚さ3mm程度に形成して使用している。この生地を使用することにより、比較的多くの尿などを保水することができる。また、詳細は後述するが、保水布220には布を貫通する切り込み部221が設けられており、その切り込み部221から尿などがスピーディに浸透するため、奥側の生地にまで尿などがより吸収されやすくなっている。なお、保水布220には、これに限らずに比較的厚みを有する綿などを使用した生地を使用しても構わない。
【0025】
防水布230は、防水加工が施された布であり、パンツ本体部110に尿などが浸み込むのを防止するものである。
【0026】
図6は、失禁パッド200を構成する保水布220を示す図であり、図7は、保水布220の長手方向における中心線Oを示す図である。失禁パッド200は、中央が狭くなったくびれ形状で、保水布220を貫通する切り込み部221が少なくとも3箇所、保水布220の長手方向の中心線Oに沿うように設けられている。切り込み部221の長さは約6cmであり、中央付近と両端付近に設けられている。切り込み部221の間隔は約5cmである。この切り込み部221から尿などが拡散していき、保水布220の全体に尿などが広がる。これにより、より多くの尿などを保水することができる。また、切り込み部221から尿などが浸透しやすくなっているため、外側に設けられた吸水拡散布210、保水布220により尿などが浸透しやすくなっている。また、切り込み部221は、長手方向である縦の切れ込み222だけでなく、縦の切れ込み222の端に短手方向である横の切れ込み223を有している。横の切れ込み223を有することにより、より尿などが拡散しやすくなっている。
【0027】
次に、失禁パッド200が計4枚の生地で形成されている場合について説明する。失禁パッド200が計4枚の生地で構成されている場合、吸水拡散布210、吸水拡散布210、保水布220、防水布230の順に重ねる。失禁パッド200が計4枚であれば、失禁パッド200を薄く形成することができる。これにより、動きやすく、より外観が一般的な下着であるパンツに見えるようになる。
【0028】
次に、失禁パッド200が計6枚の生地で形成されている場合について説明する。失禁パッド200を計6枚の生地で構成する場合、吸水拡散布210、吸水拡散布210、保水布220、吸水拡散布210、保水布220、防水布230の順に重ねる。失禁パッド200が計6枚であれば、失禁パッド200を比較的薄く形成することができる。これにより、動きやすく、より外観が一般的な下着であるパンツに見えるようになる。
【0029】
なお、失禁パッド200の生地の枚数については、使用する目的に合わせて設定すればよい。具体的には、尿漏れの回数が少ない場合などは、4枚の生地で構成される失禁パッド200を使用すればよい。また、尿漏れの回数が多い場合などは、8枚の生地で構成される失禁パッド200を使用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、十分な量の尿などを吸水でき、且つ、外観が一般的な下着であるパンツに見える失禁パンツを提供することができるため、外出時や就寝時に使用すると有用である。
【符号の説明】
【0031】
100 失禁パンツ
110 パンツ本体部
120 パンツインナー部
121 横漏れ防止部
130 ウエストバンド
200 失禁パッド
210 吸水拡散布
220 保水布
221 切り込み部
222 縦の切れ込み
223 横の切れ込み
230 防水布
O 中心線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7