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特開2023-160740多層コリメータ及び多層コリメータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160740
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】多層コリメータ及び多層コリメータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
G01T7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023045156
(22)【出願日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】22169353.4
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523104524
【氏名又は名称】ヒタチ ハイ-テク アナリティカル サイエンス フィンランド オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ハッシ ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】クルッキ ヴェサ
(72)【発明者】
【氏名】ミカンダー ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】ピルッカネン トゥオマス
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188CC01
2G188CC28
2G188DD16
2G188DD30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】干渉蛍光量を最小限に抑えるコリメータを提供する。
【解決手段】放射線検出器用の多層コリメータは、第1減衰材料からなる第1層501と、第2減衰材料からなる第2層502、503、504とを含み、そのそれぞれ一致する開口部を有する。第2減衰材料は、第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有する。第2層502、503、504は、第2層の平面から離れた延伸部の中に連続する。第2層502、503、504には、第2層502、503、504の表面に対する法線が第1層501の一部を通過して延伸部に進入して、第1層501と第2層502、503、504とを多層コリメータの組立構成に係止する場所が少なくとも1つ存在する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器用の多層コリメータであって、
貫通する開口部を有する、第1減衰材料からなる第1層(501)と、
前記第1層(501)の前記開口部と一致する貫通する開口部を有する、第2減衰材料からなる第2層(502、503、504)と、
を含み、
前記第2減衰材料が、前記第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有し、
前記第2層(502、503、504)は、前記第2層の平面から離れた延伸部に連続し、前記第2層(502、503、504)には、前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを前記多層コリメータの組立構成に係止するために、前記第2層(502、503、504)の表面に対する法線が前記第1層(501)の一部を通過して前記延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在することを特徴とする、多層コリメータ。
【請求項2】
前記延伸部は、前記開口部を囲むように画定表面の全体に沿って連続し、前記画定表面の全体を覆う、請求項1に記載の多層コリメータ。
【請求項3】
前記延伸部は、前記第2層(502、503、504)から前記第1層(501)及び第2層(502、503、504)に実質的に垂直に連続する第1部分と、前記第1層(501)の前記第2層(502、503、504)とは反対側の前記第1部分から連続する第2部分とを有する、請求項1又は2に記載の多層コリメータ。
【請求項4】
前記延伸部は、前記開口部の縁部の少なくとも一部に沿って前記第1層(501)及び前記第2層(502、503、504)に対して傾斜角で連続する部分を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層コリメータ。
【請求項5】
前記延伸部は、第1延伸部であり、
前記第2層(502、503、504)は、前記多層コリメータの外縁部の少なくとも一部に沿った第2延伸部の中に連続し、前記第2層(502、503、504)には、前記第2層(502、503、504)の表面法線が前記第1層(501)の一部を通過して前記第2延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層コリメータ。
【請求項6】
前記第2減衰材料からなる第3層を含み、前記第3層は、前記第1層(501)及び前記第2層(502、503、504)の前記開口部と一致する貫通する開口部を有し、前記第3層は前記第1層(501)の前記第2層(502、503、504)とは反対側にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層コリメータ。
【請求項7】
前記多層コリメータは、3つ以上の層(501、502、503、504)を含み、前記3つ以上の層(501、502、503、504)のうち少なくとも3つは、原子質量の異なる材料で作られる、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層コリメータ。
【請求項8】
前記第1層(501)は、前記3つ以上の層(501、502、503、504)の中央層であり、
前記多層コリメータは、層の組成に関して、前記第1層(501)の面に対して対称である、請求項7に記載の多層コリメータ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の多層コリメータを少なくとも1つ含む、固体半導体放射線検出器。
【請求項10】
多層コリメータの製造方法であって、
第1減衰材料からなる第1層(501)を、貫通する開口部を有するように製造するステップと、
第2減衰材料からなる第2層(502、503、504)を、貫通する開口部を有するように製造するステップであって、前記第2減衰材料が、前記第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有する、ステップと、
前記第2層(502、503、504)を、前記開口部の縁部の少なくとも一部に沿った延伸部に連続させるステップと、
前記第2層(502、503、504)の前記開口部を前記第1層(501)の前記開口部と一致させるステップと、
前記第2層(502、503、504)には、前記第2層の表面に対する法線が前記第1層(501)の一部を通過して前記延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在するように、前記延伸部の少なくとも一部を形成することによって、前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを前記多層コリメータの組立構成に係止するステップと、
を含む、製造方法。
【請求項11】
前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを前記組立構成に係止するステップは、前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを一緒に組み立てた後に、前記延伸部又はその一部を成形するステップを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記延伸部又はその一部を成形するステップは、前記延伸部の先端を、前記第1層(501)の、前記第2層(502、503、504)に向かう側とは反対側に折り曲げるステップを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第1層(501)を貫通する前記開口部は、前記第2層(502、503、504)を貫通する前記開口部よりも直径が大きく、前記延伸部又はその一部を成形するステップは、前記第1層(501)を貫通する前記開口部を画定する縁部に対して、前記延伸部又はその一部を拡張するステップを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを前記組立構成に係止するステップは、前記第2層(502、503、504)が前記第1層(501)の2つの対向する側面の少なくとも大部分を覆うようにするステップを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項15】
前記第1層(501)に堆積して前記第2層(502、503、504)を製造する、請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に固体半導体放射線検出器に関する。特に、本発明は、実際の検出器材料に当たり入る入射放射線を選択して整形するハードウェアに関する。また、本発明は、そのようなハードウェアを製造するために使用される方法、及びそのようなハードウェアを備えた検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
固体半導体放射線検出器は、入射放射線が半導体材料において一時的に自由電荷を生成する物理現象に基づくものである。生成された自由電荷を電極に集めて測定することにより、入射放射線の強度及び/又はエネルギースペクトルを推断することができる。
【0003】
図1は、従来の固体半導体放射線検出器の分解図であり、この場合、標準化されたTO-8パッケージに組み込まれたシリコンドリフト検出器(SDD)である。パッケージの外部カバー101は、上面にある放射線窓102を除き、検出される放射線を透過しない。TOパッケージのヘッダプレート103には、熱電冷却素子104、基板パッケージ105及びコリメータ106が積み重ねられる。基板パッケージ105は、検出器結晶107及び基板108を含む。熱電冷却素子104及び基板パッケージ105へ/からの電気的接続は、リード線109を用いて、ボンディングワイヤ(図示せず)により行われる。組立構成において、コリメータ106は、基板パッケージ105の上に直接位置してもよく、基板パッケージ105から離間してもよく、例えば、放射線窓102の内面に位置しても、該内面に近接してもよい。また、コリメータ106は、パッケージの外部に、放射線窓102の上に配置されてもよい。検出器は、2つ以上のコリメータを有してもよく、例えば、1つのコリメータが基板パッケージ105の上にあり、別の1つのコリメータが放射線窓102の下又は上にあってもよい。
【0004】
用語「コリメータ」は、互いにコリメートされた光線のみを通過させることにより放射線ビームを整形する部品に用いられることが多く、放射線検出器、例えば、図1中の放射線検出器において、コリメータ106の役割は、入射放射線が検出器結晶107の所望の領域のみに当たるようにすることに過ぎない。しかしながら、検出される放射線の源と検出器結晶との間に追加のハードウェアが配置されている全ての場合に共通する問題がある。上記問題を図2に概略的に示す。コリメータ106(又は任意の他のハードウェアの部品)に当たる入射放射線201は、蛍光放射線202を発生することがあり、該蛍光放射線は、コリメータ106の残りの厚さを透過し、検出器結晶に伝搬して干渉を引き起こすことになる。入射光子がたまたまコリメータの内縁部に接近すると、干渉蛍光光子203もコリメータ106の中央開口部の壁から検出器結晶の方向に逃げることがある。
【0005】
そのような不要な蛍光の発生は、多くの要因に依存し、コリメータの材料が1つの要因となる。製造上の観点からは、最も簡単な方法は、コリメータを金、パラジウム又は銀などの単一材料で作ることである。そのようなコリメータを備えた固体半導体放射線検出器は、興味のある波長とコリメータ材料の特徴的な蛍光波長とが離れていることが予め知られている測定に非常に適している。しかしながら、できるだけ多くの用途に適する放射線検出器を提供することが最も有利であるため、コリメータからの干渉蛍光量を最小限に抑えることができる解決手段を探すことがより好ましい。
【0006】
従来の解決手段は、多層コリメータ306であり、その一例を図3に示す。各層の材料は、入射放射線の伝搬方向で原子質量が減少する順に選択される。言い換えれば、入射放射線に最初に接触する層301は、最も重い(Zが最も大きい)材料であり、その他の層(図3に示す層302、層303、層304)は、Zが連続的に小さい材料で作られる。その概念は、第1層301で発生した一次蛍光放射線が、第2層302におけるより低いエネルギーの二次蛍光の発生により吸収されることなどである。図4は、この原理の変形例を示し、該変形例では、積層コリメータ406は、層302、層303、層304を有し、これらの層は、この順で連続的にZが小さい材料で作られ、中央開口部の面に沿って延伸している。
【0007】
積層コリメータを開示する参考文献としては、特許文献1がある。別の参考文献の特許文献2では、(基板パッケージを透過したエネルギー放射線により)冷却素子で発生した蛍光放射線が検出器結晶に向かって後方に伝搬することを防止するために、基板パッケージと冷却素子との間に設けられた積層遮蔽構造が検討されている。図3図4及び上記参考文献のような積層コリメータの公知の欠点は、固体半導体放射線検出器の製造及び組立プロセスが対応してより複雑になることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,835,857号
【特許文献2】米国特許第8,648,313号
【発明の概要】
【0009】
この発明の概要は、簡略化された形式で概念の選択を紹介するために提供され、その概念は、以下の発明を実施するための形態において更に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものでも、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図したものでもない。
【0010】
第1態様において、放射線検出器用の多層コリメータは、貫通する開口部を有する、第1減衰材料からなる第1層と、前記第1層の開口部と一致する貫通する開口部を有する、第2減衰材料からなる第2層と、を含む。前記第2減衰材料は、前記第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有する。前記第2層は、前記第2層の平面から離れた延伸部に連続し、前記第2層には、前記第1層と前記第2層とを前記多層コリメータの組立構成に係止するために、前記第2層の表面に対する法線が前記第1層の一部を通過して前記延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在する。
【0011】
一実施形態において、前記延伸部は、前記開口部を囲むように画定表面の全体に沿って連続し、前記画定表面の全体を覆う。これにより、延伸部が、開口部の壁から逃げる可能性のある二次蛍光光子をガードするための積層構造の一部を構成するという利点を少なくとも有する。
【0012】
一実施形態において、前記延伸部は、前記第2層から前記第1層及び第2層に実質的に垂直に連続する第1部分と、前記第1層の前記第2層とは反対側の前記第1部分から連続する第2部分とを有する。これにより、突出延伸部を中心軸として用いて、該突出延伸部を囲むように1つ以上の環状層を配置してから、延伸部の残りの突出部を外側に積み重ねた層に折り曲げて前記第2部分を形成することにより、前記構造を形成することができるという利点を少なくとも有する。
【0013】
一実施形態において、前記延伸部は、前記開口部の縁部の少なくとも一部に沿って前記第1層及び第2層に対して傾斜角で連続する部分を有する。これにより、多層コリメータの三次元形状に関する様々な可能性の利点を少なくとも有する。
【0014】
一実施形態において、前記延伸部は、第1延伸部であり、前記第2層は、前記多層コリメータの外縁部の少なくとも一部に沿った第2延伸部に連続する。前記第2層には、前記第2層の表面に対する法線が前記第1層の一部を通過して前記第2延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在してもよい。これにより、第2延伸部の構造強度が向上することができるという利点を少なくとも有する。
【0015】
一実施形態において、前記多層コリメータは、前記第2減衰材料からなる第3層を含み、前記第3層は、前記第1層及び前記第2層の開口部と一致する貫通する開口部を有する。前記第3層は、前記第1層の前記第2層とは反対側にあってもよい。これにより、第2層及び第3層を堆積法で形成できるという利点を少なくとも有する。
【0016】
一実施形態において、前記多層コリメータは、3つ以上の層を含み、前記3つ以上の層のうち少なくとも3つの層は、原子質量の異なる材料で作られる。これにより、不要な蛍光放射線の減衰を強化するという利点を少なくとも有する。
【0017】
一実施形態において、前記第1層は、前記3つ以上の層の中央層である。前記多層コリメータは、層の組成に関して、前記第1層の平面に対して対称であってもよい。これにより、組立時に多層コリメータの配向が重要ではないという利点を少なくとも有する。
【0018】
第2態様によれば、上述のような多層コリメータを少なくとも1つ含む固体半導体放射線検出器が提供される。
【0019】
第3態様によれば、多層コリメータの製造方法が提供される。前記方法は、第1減衰材料からなる第1層を、貫通する開口部を有するように製造するステップと、第2減衰材料からなる第2層を、貫通する開口部を有するように製造するステップと、を含む。前記第2減衰材料は、前記第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有する。前記方法はまた、前記第2層を、前記開口部の縁部の少なくとも一部に沿った延伸部に連続させるステップと、前記第2層の開口部を前記第1層の開口部と一致させるステップと、を含む。前記方法はまた、前記第2層には、前記第2層の表面に対する法線が前記第1層の一部を通過して前記延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在するように前記延伸部の少なくとも一部を形成することにより、前記第1層と前記第2層とを前記多層コリメータの組立構成に係止するステップと、を含む。
【0020】
一実施形態において、前記第1層と前記第2層とを前記組立構成に係止するステップは、前記第1層と前記第2層とを一緒に組み立てた後に、前記延伸部又はその一部を成形するステップを含む。これにより、比較的シンプルで直接的な製造方法を用いることができるという利点を少なくとも有する。
【0021】
一実施形態において、前記延伸部又はその一部を成形するステップは、前記延伸部の先端を、前記第1層の、前記第2層に向かう側とは反対側に折り曲げるステップを含む。これにより、突出延伸部を中心軸として用いて、該突出延伸部を囲むように1つ以上の環状層を配置してから、延伸部の残りの突出部を外側に積み重ねた層に折り曲げて前記第2部分を形成することにより、前記構造を形成することができるという利点を少なくとも有する。
【0022】
一実施形態において、前記第1層を貫通する開口部は、前記第2層を貫通する開口部よりも直径が大きく、前記延伸部又はその一部を成形するステップは、前記第1層を貫通する開口部を画定する縁部に対して前記延伸部又はその一部を拡張するステップを含む。これにより、多層コリメータの三次元形状に関する様々な可能性の利点を少なくとも有する。
【0023】
一実施形態において、前記第1層と前記第2層とを前記組立構成に係止するステップは、前記第2層が前記第1層の2つの対向する側面の少なくとも大部分を覆うようにするステップを含む。これにより、いろいろな製造方法を使用できるという利点を少なくとも有する。
【0024】
一実施形態において、前記第1層に堆積して前記第2層を製造する。これにより、製造中に第1層と第2層とは非常に強固に結合することができるという利点を少なくとも有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0026】
図1】固体半導体放射線検出器を示す。
図2】コリメータにおける干渉蛍光の発生を示す。
図3】公知の多層コリメータを示す。
図4】公知の多層コリメータを示す。
図5】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図6】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図7】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図8】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図9】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図10】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図11】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図12】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図13】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図14】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
図15】一実施形態に係る多層コリメータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明では、本開示の一部を形成する添付の図面が参照され、添付の図面では、本開示が配置され得る特定の態様が例示として示される。他の態様を利用することができ、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的な変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきものではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。
【0028】
例えば、説明される方法に関連する開示は、この方法を実行するように構成された対応する装置又はシステムにも当てはまり、逆もまた同様であることを理解されたい。例えば、特定の方法ステップが説明される場合、対応する装置は、説明される方法ステップを実行するユニットを、明示的に説明又は図示されていなくても含んでもよい。一方、例えば、特定の装置が機能ユニットに基づいて説明される場合、対応する方法は、説明される機能を実行するステップを、明示的に説明又は図示されていなくても含んでもよい。更に、特段の定めがない限り、本明細書において説明された様々な例示的な態様の特徴を互いに組み合わせることができることを理解されたい。
【0029】
図5は、放射線検出器用の多層コリメータ510の一部切欠き図である。多層コリメータ510は、略円環形状であるものとされるが、その以下の特徴を説明するために、その一部のみが図に示される。略円環形状の中央の開口部は、図5の左前部に見られる。図5の右前部の観察者を向く表面は、多層コリメータ510の積層構造を示すための象徴的な切欠き面である。
【0030】
なお、以下に説明する他の実施形態においても、多層コリメータ510の円環形状は、通常の円環形状とすることができる。通常の円環形状のコリメータが固体半導体放射線検出器に用いられることが多いが、本明細書で説明される多層コリメータのうちいずれかはまた、他の一般的形状、例えば、正方形、六角形、八角形などを有してもよい。コリメータとして作用する場合、例えば、選択された部分の入射放射線のみが基板パッケージに当たるようにするために、コリメータは、貫通する開口部を有するべきであるので、形状の一般的な指定が環状である。
【0031】
この種類のコリメータの重要な用途は、固体半導体放射線検出器であるが、他の種類の放射線検出器、例えばガス充填比例計数管のコリメータにも同じ構造原理及び製造方法を用いることができることに留意すべきである。
【0032】
図5の多層コリメータ510は、第1減衰材料からなる第1層501を含む。コリメータの略円環形状に合わせて、第1層501は、貫通する開口部を有する。また、図5の多層コリメータ510は、符号502、符号503、符号504が付された他の層を含む。多層コリメータの層として、これらの層は、他の減衰材料を含む。層502、層503、層504のいずれか(又は、全てをまとめて考えると)は、言語による記述のために「第2」層と表すことができる。特に層504は、「第2」層と考えられる。コリメータの略円環形状に合わせて、層502、層503及び層504のそれぞれは、第1層501の開口部と一致する貫通する開口部を有する。
【0033】
強制的でないが、層502、層503及び層504は、第1層501の第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有する減衰材料で作られることが好ましい。多層コリメータの一般的原理に従って、上記層の材料は、一連の連続的に減少する原子質量を有してもよい。一般に、少なくとも「第2」層504は、第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有する第2減衰材料で作られる。
【0034】
発生した蛍光放射線の波長と減衰した蛍光放射線の波長との関係を容易に保つために、減衰材料として実質的に純粋な元素を用いることが好ましい。この点において、実質的に純粋というのは、材料が妥当なコストで実際に実現可能な程度に単一の元素からなることである。このような場合、減衰材料を原子質量で特徴づけることも比較的明確である。層が2つ以上の元素からなる場合、その原子質量は、そのような材料の興味のある波長で観察される大部分の蛍光特性を説明する特徴的な原子質量を意味すると考えられるべきである。2つ以上の層が言語による記述のためにまとめて1つの「層」と考えられる場合、そのような両方又は全ての層の材料の原子質量をまとめて考えるべきである。
【0035】
同じ積層構造もコリメータの内縁部、即ち、円環形状の中央の開口部を画定する(limit)表面に存在する。本明細書の前の図4を参照して説明されたコリメータ構造と対比すると、開口部の縁部に延伸するこれらの層の部分の少なくとも1つは、積層構造を機械的に保持するという点で相違する。
【0036】
特に、「第2」層504について考えると、第2層504は、その平面から離れた延伸部に連続する。図5において、延伸部は、開口部の縁部に沿って(図5に示す配向に対して)上向きに第1層501の上方に部分的に達する。図5の部分拡大は、第2層504には、第2層の表面に対する法線505が第1層501の一部を通過して上記延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在する様子を示す。法線505が描かれている上記表面は、第2層504の第1層501を向く平らな表面である。これにより、第1層501と第2層504(並びに他の層502及び503)とは、多層コリメータ510の組立構成に係止される。
【0037】
図5は、多層コリメータの一例を示し、該多層コリメータでは、第2層504の延伸部は、コリメータの中央の開口部を囲むように画定表面に沿って連続し、画定表面の全体を覆う。これは、延伸部が開口部の縁部に沿ってコリメータの全体積層構造の一部を形成した結果である。しかしながら、これが唯一の可能性ではないが、そのことについては、本明細書で後に詳述する。
【0038】
図5はまた、多層コリメータの一例を示し、該多層コリメータでは、延伸部は、上記第2層504から上記第1層501及び第2層504に実質的に垂直に連続する第1部分と、上記第1層501の反対側の上記第1部分から連続する第2部分とを有し、「反対側」とは、上記第2層504を向く側以外の側を意味する。図5の実施形態において、上記第2部分は、第1層501の上記反対側のみに部分的に連続して、第1層501の開口部の縁部を囲むようにリップを形成する。図6は、多層コリメータ610の一例を示し、該多層コリメータ610は、延伸部の第2部分が第1層501の上に外側に連続して、第1層501の上面全体を実質的に覆うことを除いて、図5の多層コリメータと類似する。
【0039】
図5及び図6の実施形態において、第1層501と第2層504との間の中間層は、延伸部を有し、該延伸部は、中央開口部を囲むようにコリメータの全体積層構造の一部を形成するが、各層を組立構成に係止する解決手段に関与しない。図7及び図8はそれぞれ、多層コリメータ710及び810の例を示し、多層コリメータ710及び810では、1つ以上の上記中間層も第1層501の反対側の延伸部に連続する。一般に、全ての実施形態において、多層コリメータは、3つ以上の層を含み、このような3つ以上の層のうち少なくとも3つは、原子質量の異なる材料で作られる。
【0040】
図9は、多層コリメータ910の一例を示し、該多層コリメータ910では、第2層504からの延伸部が2つある。コリメータの中央開口部の縁部を囲む第1延伸部は、図5を参照して説明された種類の延伸部である。その外縁部において、第2層504は、多層コリメータの外縁部の少なくとも一部に沿った第2延伸部906に連続する。図9の部分拡大は、第1延伸部に最も近い構造のみを示すが、図9から容易に分かるように、第2層504には、第2層504の表面に対する法線が第1層501の一部を通過して第2延伸部に進入する場所、即ち、第1層501の上面に延伸する部分が少なくとも1つ存在する。
【0041】
図10は、多層コリメータ1010の一例を示し、該多層コリメータ1010では、図9の第1層501の上の第1延伸部と第2延伸部は、共に第1層501の上に第2減衰材料からなる連続層を形成する程度に互いに向かって連続する。この構造原理は、一般に、多層コリメータが上述した第2層504の第2減衰材料と同じ材料で作られる第3層を含み、上記第3層は、第1層及び第2層の開口部と一致する貫通する開口部を有し、上記第1層501の上記第2層504とは反対側にあるように記述されてもよい。
【0042】
上記図7及び図8に示された例に従って、1つ以上の中間層はまた、多層コリメータの断面において第1層501を部分的又は完全に囲むように連続してもよい。そのような例では、第1層501は、多層コリメータの3つ以上の層の中央層であり、多層コリメータは、(層の組成に関して)、第1層501の平面に対して対称である。
【0043】
図11及び図12は、多層コリメータ1110の例を示し、該多層コリメータ1110では、延伸部は、多層コリメータの中央開口部の少なくとも一部に沿って第1層及び第2層に対して傾斜角で連続する部分を有する。図11において、上記傾斜角が90度に近いこと、及び/又は構造の全体厚さが薄いことにより、上述で「第2」層と呼ばれた最下層504には、上記層の表面に対する法線が第1層501の一部を通過して、最下層504の傾斜して立ち上がる延伸部に進入する場所が存在しない。しかしながら、本明細書において既に指摘されているように、積み重ねた層502、層503及び層504を「第2」層と見なして、上記特性特徴が図11の多層コリメータ1110にも存在することを了解してもよい。これは、図12の多層コリメータ1210についても同様であり、そのそれぞれの延伸部は、傾斜して立ち上がる部分に連続する垂直に立ち上がる部分を有する。
【0044】
実施形態、例えば、図11及び図12の実施形態などは、更に、3つ以上の層を備えた多層コリメータにおいて、(第1層から下向きに順で数える)第2層、第3層のそれぞれが延伸部を有し、その形態が該層を該層の上の他の全ての層と一緒に多層コリメータの組立構成に係止することを特徴とすることができる。このような同じ特徴は、延伸部の傾斜配向した部分を有さない実施形態、例えば、図8の実施形態にも必然的に適用することができる。
【0045】
上述のように、延伸部(その形態は各層を多層コリメータの組立構成に係止するもの)は、コリメータの中央開口部を画定する縁部に沿って全周に亘って延伸することは必須ではない。図13は、多層コリメータ1310の一例を示し、該多層コリメータ1310では、「第2」層504からの延伸部が複数あり、各延伸部は、積み重ねた層の内縁部を囲んで第1層504の上に折り曲げられたストリップのみを形成している。
【0046】
図14は、全ての実施形態が、コリメータの中央開口部を画定する縁部に沿った延伸部(その形態は各層を多層コリメータの組立構成に係止するもの)を有する必要がないことを示す。図14の多層コリメータ1410は、その開口部を囲む内縁部に積層構造を有するが、いずれの層も、該層を組立構成に係止する延伸部を有していない。むしろ、「第2」層504は、外縁部、即ち、多層コリメータの外側リムにこのような延伸部を有する。
【0047】
図15は、各層を多層コリメータの組立構成に係止する形態の延伸部を画定する「第2」層が、多層コリメータの全表面領域を覆う必要がないことを示す。図15の多層コリメータ1510は、「第2」層504を、多層コリメータ1510の外側リムを取り囲む円形クランプの下部でリップとしてのみ有する。
【0048】
多層コリメータの製造方法の実施形態は、第1減衰材料からなる第1層を、貫通する開口部を有するように製造するステップと、第2減衰材料からなる第2層を、貫通する開口部を有するように製造するステップであって、上記第2減衰材料が、上記第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有するステップと、を含む。方法の実施形態は、また、上記第2層を、上記第2層の平面から離れた延伸部に連続させるステップも含む。上記第2層の開口部と上記第1層の開口部とを一致させる必要がある。そして、方法の実施形態は、上記第2層には、上記第2層の表面に対する法線が上記第1層の一部を通過して上記延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在するように上記延伸部の少なくとも一部を形成することにより、上記第1層と上記第2層とを上記多層コリメータの組立構成に係止するステップを含む。
【0049】
第2層がアルミニウム又は他の金属などの可鍛性材料で作られる場合、各層を組立構成に係止するステップは、上記第1層と上記第2層とを上記組立構成に係止する方法ステップは、上記第1層と上記第2層とを一緒に組み立てた後に、上記延伸部又はその一部を成形するステップを含んでもよい。延伸部は、まず、直円筒表面を構成してもよく、それを囲むように円環状の第1層(場合によっては、それぞれが対応する円環形状を有する中間層)が配置される。そして、積み重ねた層の上の多層コリメータの中央開口部を取り囲むリップとなるように、円筒状に形成された延伸部の縁部を外側に折り曲げてもよい。構造の詳細に応じて、上記方法ステップはまた、上記延伸部の先端を、上記第1層の、上記第2層に向かう側とは反対側に折り曲げる他の形態を含んでもよい。
【0050】
図11及び図12の多層コリメータのような多層コリメータを製造することを目的とする方法の実施形態では、第1層を貫通する開口部は、まず、上記第2層を貫通する開口部よりも直径が大きくてもよい。そして、上記延伸部又はその一部を成形するステップは、上記第1層を貫通する開口部を画定する縁部に対して上記延伸部又はその一部を拡張するステップを含んでもよい。その結果、上記延伸部が、上記開口部の縁部の少なくとも一部に沿って上記第1層及び上記第2層に対して傾斜角で連続する部分を有する多層コリメータを得る。
【0051】
上記第1層と上記第2層とを上記組立構成に係止する方法ステップはまた、図6図7図8及び図10に示すように、上記第2層が上記第1層の2つの対向する側面の少なくとも大部分を覆うようにするステップを含んでもよい。このような構造は、例えば、第1層に第2層を形成する堆積法を用いて製造することができる。
【0052】
本明細書で与えられるいずれかの範囲又は装置の値は、求められる効果を失うことなく、拡張又は変更されてもよい。また、明示的に禁止されない限り、いずれかの実施形態を別の実施形態と組み合わせることができる。
【0053】
構造的特徴及び/又は動作に固有の言語で主題を説明しているが、添付の特許請求の範囲で定義されている主題は、必ずしも上述した特定の特徴又は動作に限定されるとは限らないことを理解されたい。むしろ、上述した特定の特徴及び動作は、請求項を実施する例として開示され、他の等価な特徴及び動作は、特許請求の範囲内にあると意図されている。
【0054】
上述した利益及び利点は、一実施形態に関連するか、又はいくつかの実施形態に関連し得ることを理解されたい。実施形態は、記載された問題のいずれか又は全てを解決するもの、又は記載された利益及び利点のいずれか又は全てを有するものに限定されない。更に、「1つの」アイテムへの言及は、それらのアイテムのうちの1つ又は複数を指し得ることを理解されたい。
【0055】
本明細書で説明した方法のステップを必要に応じて任意の適切な順序で実行してもよいし、同時に実行してもよい。追加的に、個々のブロックは、本明細書に記載の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、任意の方法から削除され得る。また、上述した実施形態のうちのいずれかの態様は、求められる効果を失うことなく、上述した他の実施形態のいずれかの態様と組み合わされて、更なる実施形態を形成することができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「含む」は、特定された方法、ブロック又は要素を含むことを意味するが、そのようなブロック又は要素は、排他的リストを含まず、方法又は装置は、追加のブロック又は要素を含んでもよい。
【0057】
上述の説明は、単に例として与えられており、当業者であれば様々な修正を行うことができることを理解されたい。上述の明細書、例及びデータは、例示的な実施形態の構造及び使用の完全な説明を提供する。様々な実施形態が、ある程度の特殊性で、又は1つ以上の個々の実施形態を参照して以上に説明されているが、当業者であれば、本明細書の精神又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対して多数の変更を実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器用の多層コリメータであって、
貫通する開口部を有する、第1減衰材料からなる第1層(501)と、
前記第1層(501)の前記開口部と一致する貫通する開口部を有する、第2減衰材料からなる第2層(502、503、504)と、
を含み、
前記第2減衰材料が、前記第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有し、
前記第2層(502、503、504)は、前記第2層の平面から離れた延伸部に連続し、前記第2層(502、503、504)には、前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを前記多層コリメータの組立構成に係止するために、前記第2層(502、503、504)の表面に対する法線が前記第1層(501)の一部を通過して前記延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在することを特徴とする、多層コリメータ。
【請求項2】
前記延伸部は、前記開口部を囲むように画定表面の全体に沿って連続し、前記画定表面の全体を覆う、請求項1に記載の多層コリメータ。
【請求項3】
前記延伸部は、前記第2層(502、503、504)から前記第1層(501)及び第2層(502、503、504)に実質的に垂直に連続する第1部分と、前記第1層(501)の前記第2層(502、503、504)とは反対側の前記第1部分から連続する第2部分とを有する、請求項1又は2に記載の多層コリメータ。
【請求項4】
前記延伸部は、前記開口部の縁部の少なくとも一部に沿って前記第1層(501)及び前記第2層(502、503、504)に対して傾斜角で連続する部分を有する、請求項1又は2に記載の多層コリメータ。
【請求項5】
前記延伸部は、第1延伸部であり、
前記第2層(502、503、504)は、前記多層コリメータの外縁部の少なくとも一部に沿った第2延伸部の中に連続し、前記第2層(502、503、504)には、前記第2層(502、503、504)の表面法線が前記第1層(501)の一部を通過して前記第2延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在する、請求項1又は2に記載の多層コリメータ。
【請求項6】
前記第2減衰材料からなる第3層を含み、前記第3層は、前記第1層(501)及び前記第2層(502、503、504)の前記開口部と一致する貫通する開口部を有し、前記第3層は前記第1層(501)の前記第2層(502、503、504)とは反対側にある、請求項1又は2に記載の多層コリメータ。
【請求項7】
前記多層コリメータは、3つ以上の層(501、502、503、504)を含み、前記3つ以上の層(501、502、503、504)のうち少なくとも3つは、原子質量の異なる材料で作られる、請求項1又は2に記載の多層コリメータ。
【請求項8】
前記第1層(501)は、前記3つ以上の層(501、502、503、504)の中央層であり、
前記多層コリメータは、層の組成に関して、前記第1層(501)の面に対して対称である、請求項7に記載の多層コリメータ。
【請求項9】
請求項1に記載の多層コリメータを少なくとも1つ含む、固体半導体放射線検出器。
【請求項10】
多層コリメータの製造方法であって、
第1減衰材料からなる第1層(501)を、貫通する開口部を有するように製造するステップと、
第2減衰材料からなる第2層(502、503、504)を、貫通する開口部を有するように製造するステップであって、前記第2減衰材料が、前記第1減衰材料の原子質量より小さい原子質量を有する、ステップと、
前記第2層(502、503、504)を、前記開口部の縁部の少なくとも一部に沿った延伸部に連続させるステップと、
前記第2層(502、503、504)の前記開口部を前記第1層(501)の前記開口部と一致させるステップと、
前記第2層(502、503、504)には、前記第2層の表面に対する法線が前記第1層(501)の一部を通過して前記延伸部に進入する場所が少なくとも1つ存在するように、前記延伸部の少なくとも一部を形成することによって、前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを前記多層コリメータの組立構成に係止するステップと、
を含む、製造方法。
【請求項11】
前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを前記組立構成に係止するステップは、前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを一緒に組み立てた後に、前記延伸部又はその一部を成形するステップを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記延伸部又はその一部を成形するステップは、前記延伸部の先端を、前記第1層(501)の、前記第2層(502、503、504)に向かう側とは反対側に折り曲げるステップを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第1層(501)を貫通する前記開口部は、前記第2層(502、503、504)を貫通する前記開口部よりも直径が大きく、前記延伸部又はその一部を成形するステップは、前記第1層(501)を貫通する前記開口部を画定する縁部に対して、前記延伸部又はその一部を拡張するステップを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第1層(501)と前記第2層(502、503、504)とを前記組立構成に係止するステップは、前記第2層(502、503、504)が前記第1層(501)の2つの対向する側面の少なくとも大部分を覆うようにするステップを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項15】
前記第1層(501)に堆積して前記第2層(502、503、504)を製造する、請求項14に記載の製造方法。
【外国語明細書】