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特開2023-164750皮膚修復及び/或は傷口癒合に促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023164750
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】皮膚修復及び/或は傷口癒合に促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/575 20060101AFI20231102BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231102BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231102BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20231102BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20231102BHJP
   A61K 31/015 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K36/575
A61P17/02
A61P43/00 105
A61K9/06
A61K31/045
A61K31/015
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023160244
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2020219949の分割
【原出願日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】109140018
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521004804
【氏名又は名称】費生恩分子應用股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】518162809
【氏名又は名称】郭峻生
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭峻生
(57)【要約】
【課題】皮膚に簡単に吸収され、皮膚の深層に素早く到達して皮膚修復及び/又は傷口癒合を促進でき、皮膚修復及び/又は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されることを特徴とする、トウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【解決手段】皮膚修復及び/又は傷口癒合を促進する組成物の製造のための、トウオガタマの抽出物の使用。前記抽出物は、カジノール、α-クベベン、2-エチル-1-ヘキサノール、α-コパエン、リナロール、β-クベベン、β-エレメネ、カリオフィレン、γ-エレメネ、2-メチル-ブタン酸、α-フムレン、ゲルマクレンD、β-セリネン、α-セリネン、δ-カジネン、ノナデセン、ゲルマクレンB、クベボール、カリオフィレンオキシド、ネロリドール、8,11,14,17-イコサテトラエン酸メチルを含む。前記組成物は、ゲル又はオリーブオイルから選択される担体を含む皮膚外用剤であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物であって、
カジノール、α-コパエン、β-クベベン、γ-エレメネ、カリオフィレンオキシド、という有効成分を含み、エッセンシャルオイルに対して、重量百分率の範囲が0.01%~0.15%であるトウオガタマの抽出物を含む、組成物。
【請求項2】
前記トウオガタマの抽出物が、エッセンシャルオイルに対して、重量百分率が0.1%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物には、ゲルやオリーブオイルから選ぶ組成物キャリアが含まれることを特徴とする、請求項1また2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物を皮膚の表面に塗ることを特徴とする、請求項1また2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トウオガタマの抽出物の用途に関し、特に、皮膚修復及び/或は傷口癒合に促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、年齢の増加、環境、飲食や睡眠などの多重の原因によって、繊維芽細胞およびその周囲の血管が弾力性を失い、皮膚内の豊富なコラーゲンも徐々に流失し、皮膚の状況がよくなくなる。故に、皮膚の状況を緩解したり改善したりするため、多くの生物医学材料や皮膚医療関連製品が開発された。
【0003】
従来の生物医学材料や皮膚医療関連製品が、大体、動物由来の成分を持ち、動物由来の成分が、一般的に分子量が大きく、大分子に属するので、皮膚に吸収され難い、或は、皮膚の表層だけにしか吸収されず、皮膚の深層に到達して作用することができないので、根本的に皮膚の問題を改善し、解決し難しい。これ以外、動物由来の成分で製造する生物医学材料や皮膚医療関連製品が道徳面で潜在の争議もある。
【0004】
ヒト皮膚の組織学の構造は、表皮層(epidermis)、真皮層(dermis)および皮下組織(subcutis、subcutaneous tissue)に分ける。一般的には、表皮層が、上から下まで、順に、角質層(活性細胞のない)、透明層(stratum lucidum)、顆粒層(stratum granulosum)、有棘層(stratum spinosum)および基底層(stratum basale)の4~5層に分けられる。
【0005】
角質層は、活性のない角質細胞(corneocytes)で形成される。角質細胞が、形成し続け、外側へ移動して上層に上昇し、表皮層の最外層に到達し、最外層の旧い角質が皮垢になって剥がれることで、角質層が一定の厚さに維持する。この基底層から角質層まで常に入れ替わることが皮膚の入れ替わりという。入れ替わりの速度が、人の体質、部位や年齢によって異なっている。一般的には、基底層から角質層までの形成が約2週間かかり、「皮膚の生長小周期」と言われ、角質層から皮垢になって皮膚から剥がれることも約2週間かかる。このため、角質化の全過程は約4週間で完成し、「皮膚の生長大周期」と言われる。角質層が外の異物や環境の原因で破壊されると、入れ替わりの速度が速まって異物を排除し皮膚を修復する。角質層は、基本の耐摩擦作用以外、全ての美容品や保養品に直接に接触する部位である。
【0006】
その中、角質層は、更に、上から、脂質層および皮膚細菌層の二つの層に分けることができる。脂質層がリン脂質(phospholipid)により形成される。皮膚細菌層が、益多菌層や皮膚常在菌層とも言われ、皮膚の健康状態のバランスと密接に関係する。皮膚細菌層に存在する菌叢が、正常な菌叢と人に有害な菌叢に分けられる。皮膚が健康な状態である時、皮膚の菌叢の割合は、正常菌叢が有害菌叢より多く、逆に、皮膚が健康な状態ではない時、皮膚の菌叢の割合は、有害菌叢が正常菌叢より多い状態になっている可能性がある。
【0007】
表皮層の最下層は基底層であり、基底層と真皮層の間に、基底層の下にある基底膜(basement membrane)があり、表皮層と真皮層の繋がりである。基底膜は、コラーゲン(collagen)を製造するための繊維芽細胞(fibroblast)を有する。詳細には、基底膜がIV型コラーゲンから形成され、基底膜にあるIV型コラーゲンが、皮膚の養分の維持や水分を搬送する機能を持つ。基底膜は、養分と水分の搬送、廃棄物の排除や細胞間の信号の伝送などの機能以外、皮膚を正常に保つために、表皮層と真皮層の間の構造を維持する機能もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
皮膚の状況の劣化は、表皮が落屑する状況を含む。表皮の落屑とは、患者の皮膚の角質層が不均一に積層することである。角質層の不均一積層は、患者の皮膚において、細胞同士の結合力が悪く、皮膚の更新速度が加速され、表皮層が細胞分裂を行い続け、角質細胞が積層し続けることになり、角質層の不均一積層の現象になる。角質層の不均一積層を発生させる原因は複雑で、例えば、洗剤により脂質層や皮菌層の構造のバランスが失われ、患者の皮膚にアレルギーが生じて皮菌層の菌叢の割合が大幅に変動し、或は、菌叢数が相対的に減少し感染を起こし、角質層の不均一積層を発生させる可能がある。皮膚の状況の劣化の問題を改善するために、皮膚修復、即ち、皮膚の症状で皮膚構造を影響する生理的経路の面で着手する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明は、皮膚に簡単に吸収され、皮膚の深層に素早く到達して皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進でき、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されることを特徴とする、トウオガタマの抽出物の用途を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、トウオガタマの抽出物の用途であって、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されることを特徴とする、トウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【0011】
本発明の1つの実施例では、前記トウオガタマの抽出物が、重量百分率の範囲が0.01%~0.15%のエッセンシャルオイル抽出物であり、或は、重量百分率の範囲が90%~99%の花水抽出物であることを特徴とする、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【0012】
本発明の1つの実施例では、前記トウオガタマの抽出物が、重量百分率が0.1%のエッセンシャルオイル抽出物であることを特徴とする、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【0013】
本発明の1つの実施例では、前記トウオガタマの抽出物が、重量百分率が99%の花水抽出物であることを特徴とする、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【0014】
本発明の1つの実施例では、前記エッセンシャルオイル抽出物が、トウオガタマの抽出物を有機溶剤の中に浸して前記トウオガタマの抽出物の成分を有する脂溶性溶剤を抽出する抽出ステップと、前記脂溶性溶剤における不純物をろ過してろ過脂溶性溶剤を得るろ過ステップと、ろ過脂溶性溶剤から有機溶剤を分離して排除することで凝縮体を得る分離ステップと、前記凝縮体にアルコールを加えて前記凝縮体のエッセンシャルオイルを溶解しアルコールエッセンシャルオイルを得る溶解ステップと、前記アルコールエッセンシャルオイルを蒸留することで前記エッセンシャルオイル抽出物を得る蒸留ステップと、を含む方法で製造されることを特徴とする、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【0015】
本発明の1つの実施例では、前記花水抽出物が、トウオガタマを洗浄して砕く前処理ステップと、低温真空抽出の方法を利用して前記花水抽出物を得る抽出ステップと、を含む方法で製造されることを特徴とする、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【0016】
本発明の1つの実施例では、前記トウオガタマの抽出物が、カジノール、α-クベベン、2-エチル-1-ヘキサノール、α-コパエン、リナロール、β-クベベン、β-エレメネ、カリオフィレン、γ-エレメネ、2-メチル-ブタン酸、α-フムレン、ゲルマクレンD、β-セリネン、α-セリネン、δ-カジネン、ノナデセン、ゲルマクレンB、クベボール、カリオフィレンオキシド、ネロリドール、8,11,14,17-イコサテトラエン酸メチルを含むことを特徴とする、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【0017】
本発明の1つの実施例では、前記組成物には、ゲルやオリーブオイルから選ぶ組成物キャリアが含まれることを特徴とする、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【0018】
本発明の1つの実施例では、前記組成物を皮膚の表面に塗ることを特徴とする、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途に採用される技術手段によって、組成物は、使用者の皮膚に簡単に吸収され、皮膚の深層に素早く到達して皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進できる。また、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する効果と伴い、使用者の皮膚の保湿度および色の変化などの皮膚状況指標が改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚修復の効果を示す図である。
図1B】本発明の実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚修復の効果を示す図である。
図2A】本発明の他の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚修復の効果を示す図である。
図2B】本発明の実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚修復の効果を示す図である。
図3A】本発明のもう1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚癒合の効果を示す図である。
図3B】本発明の実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚癒合の効果を示す図である。
図4A】本発明の更にもう1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚癒合の効果を示す図である。
図4B】本発明の実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚癒合の効果を示す図である。
図4C】本発明の実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚癒合の効果を示す図である。
図4D】本発明の実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚癒合の効果を示す図である。
図5】本発明の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途のトウオガタマ抽出物の抽出フロー図である。
図6】本発明の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途のトウオガタマ抽出物の抽出フロー図である。
図7】本発明の他の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚水分保持変化の効果を示す図である。
図8】本発明のもう1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚水分保持変化の効果を示す図である。
図9】本発明の更にもう1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマの抽出物の用途の皮膚水分保持変化の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1A図9に基いて本発明の実施形態を説明する。その説明は本発明を制限するものではなく、本発明の一つの実施例である。
【0022】
図1A図1Bに示すように、本発明の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマ(Michelia figo)の抽出物の用途によれば、前記トウオガタマの抽出物が、重量百分率の範囲が0.01%~0.15%のエッセンシャルオイル抽出物であり、前記組成物にはゲルの組成物キャリアが含まれる。前記用途は、前記組成物を皮膚の表面に塗ることである。
【0023】
図1A図1Bに示すように、重量百分率が0.1%のエッセンシャルオイル抽出物と前記ゲルを含む組成物を落屑する皮膚の表面に塗り、皮膚の表面の画像によって組成物の皮膚修復の皮膚落屑改善の効果を観察する。この実験と他の実験には、活性皮膚表面解析システム(Visioscan(登録商標) VC 98)を用いて皮膚表面の状況を検出し、検出結果が画像とデータで表示され、画像が皮膚の構造と乾燥程度を示し、この実験において、データが皮膚落屑改善のパーセンテージを示し、傷口の癒合の実験において、データが傷口癒合改善の効果のパーセンテージを示す。図1Aは、被験者の皮膚に前記組成物を使用する前の皮膚状況であり、被験者の皮膚に表皮の落屑を観察できる。図1Bは、連続28日、毎日皮膚の表面に前記組成物を塗っていた皮膚の状況を示し、被験者の表皮落屑の状況が明白に改善されることを観察でき、Visioscan(登録商標) VC 98の検出結果によると、被験者の皮膚が優れる皮膚落屑改善の効果(例えば、81%)を獲得している。
【0024】
図2A図2Bに示すように、本発明の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマ(Michelia figo)の抽出物の用途によれば、前記トウオガタマの抽出物が、重量百分率の範囲が90%~99%の花水抽出物であり、前記組成物にはゲルの組成物キャリアが含まれる。前記用途は、前記組成物を皮膚の表面に塗ることである。
【0025】
図2A図2Bに示すように、重量百分率が99%の花水抽出物と前記ゲルを含む組成物を落屑する皮膚の表面に塗り、皮膚の表面の画像によって組成物の皮膚修復の皮膚落屑改善の効果を観察する。図2Aは、被験者の皮膚に前記組成物を使用する前の皮膚状況である。図2Bは、連続28日、毎日皮膚の表面に前記組成物を塗っていた皮膚の状況を示し、被験者の表皮落屑の状況が少々改善されることが観察でき、Visioscan(登録商標) VC 98の検出結果によると、被験者の皮膚が良い皮膚落屑改善の効果(例えば、59%)を獲得している。
【0026】
詳細には、図1A図2Bに示すように、本発明は、2つの実験を行い、両実験において、前記組成物が、それぞれ、重量百分率が0.1%のエッセンシャルオイル抽出物と前記ゲルを含む前記組成物(FMO-01ゲルと称する)と、重量百分率が99%の花水抽出物と前記ゲルを含む組成物(FMW-01ゲルと称する)と、を使用した。連続で28日間、毎日前記組成物を使用していた皮膚落屑改善効果のパーセンテージによれば、皮膚落屑改善効果について、FMO-01ゲルの方がFMW-01ゲルより顕著である。これは、FMW-01ゲルに含まれるエッセンシャルオイル抽出物が天然の脂質体(lipid)であり、皮膚の脂質層と近似であり、その近似の程度が、脂質層と高効果化合物(例えば、ヒアルロン酸、天然保湿因子、銅ペプチドなど)の近似程度より高い。また、前記エッセンシャルオイル抽出物の分子量が低い(300Daより低い)ので、前記エッセンシャルオイル抽出物が快速で簡単に皮膚の毛細血管に吸収されて皮膚の深層に到達して皮膚細胞の修復を促進する。
【0027】
図3A図3Bに示すように、本発明のもう1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマ(Michelia figo)の抽出物の用途によれば、前記トウオガタマの抽出物が、重量百分率の範囲が0.01%~0.15%のエッセンシャルオイル抽出物であり、前記組成物にはゲルの組成物キャリアが含まれる。その用途は、前記組成物を皮膚の表面に塗ることである。
【0028】
図3A図3Bに示すように、重量百分率が0.1%のエッセンシャルオイル抽出物と前記ゲルを含む組成物を、動物にひっかかれた皮膚の表面に塗り、皮膚の表面の画像によって組成物の傷口癒合の効果を観察する。図3Aは、被験者の皮膚がひっかかれた後前記組成物を使用する前の皮膚状況であり、Visioscan(登録商標) VC 98の検出によって被験者の皮膚表面の傷口が観察できる。図3Bは、毎日皮膚の傷口に前記組成物を塗る皮膚の状況を示し、7日経過すると、皮膚の傷口が不明白になり、傷口の深さが減少し、被験者が前記組成物を使用して傷口癒合の具合が改善されることが示された。
【0029】
図4A図4Dに示すように、本発明の更にもう1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマ(Michelia figo)の抽出物の用途によれば、前記トウオガタマの抽出物が、重量百分率の範囲が0.01%~0.15%のエッセンシャルオイル抽出物であり、前記組成物にはオリーブオイルの組成物キャリアが含まれる。その用途は、前記組成物を皮膚の表面に塗ることである。
【0030】
図4A図4Dに示すように、重量百分率が0.1%のエッセンシャルオイル抽出物と前記オリーブオイルを含む組成物を、切り傷のある皮膚の表面に塗り、皮膚の表面の画像によって組成物の傷口癒合の効果を観察する。図4Aは、被験者の皮膚が切られた後前記組成物を使用する前の皮膚状況であり、カメラの撮影で検出することによって被験者の皮膚表面の傷口が観察できる。図4Bは、毎日皮膚の傷口に前記組成物を塗り、24時間経過後の傷口の状況を示す。図4Cは、48時間経過の傷口の状況を示し、カメラの撮影検出結果によると、被験者の皮膚が良い傷口癒合改善の効果(例えば、31%)を獲得している。図4Dは、7日目の傷口の状況を示し、カメラの撮影検出結果によると、被験者の皮膚が優れた傷口癒合改善の効果(例えば、85%)を獲得し、目視で観察しても傷跡の面積の減少が観察でき、被験者が前記組成物を使用して傷口癒合の具合が改善されることが示された。
【0031】
詳細には、図3A図4Dに示すように、本発明は、2つの実験を行い、両実験において、前記組成物が、それぞれ、重量百分率が0.1%のエッセンシャルオイル抽出物と前記ゲルを含む前記組成物(FMO-01ゲルと称する)である組成物と、重量百分率が0.1%のエッセンシャルオイル抽出物と前記オリーブオイルを含む前記組成物(FMO-01オリーブオイルと称する)である組成物と、を使用された。両実験において、皮膚の異なる具合の傷に対して前記組成物を使用する傷口癒合の改善効果を観察する。切り傷は引っ掻き傷よりひどいので、本発明の切り傷の傷口癒合の改善効果を観察する実験において、前記組成物として、浸透力がFMO-01ゲルより高いFMO-01オリーブオイルを作用することで、前記エッセンシャルオイル抽出物が素早くかつ簡単に皮膚の毛細血管に吸収されて皮膚の深層に到達して傷口の癒合を促進する。
【0032】
図5に示すように、本発明の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマ(Michelia figo)の抽出物の用途によれば、前記エッセンシャルオイル抽出物が、トウオガタマの抽出物を有機溶剤の中に浸して前記トウオガタマの抽出物の成分を有する脂溶性溶剤を抽出する抽出ステップS1と、前記脂溶性溶剤における不純物をろ過してろ過脂溶性溶剤を得るろ過ステップS2と、ろ過脂溶性溶剤から有機溶剤を分離して排除することで凝縮体を得る分離ステップS3と、前記凝縮体にアルコールを加えて前記凝縮体のエッセンシャルオイルを溶解しアルコールエッセンシャルオイルを得る溶解ステップS4と、前記アルコールエッセンシャルオイルを蒸留することで前記エッセンシャルオイル抽出物を得る蒸留ステップS5と、を含む方法で製造される。
【0033】
詳細には、前記抽出ステップS1が、蒸留、超臨界流体抽出や他の抽出方法を利用してトウオガタマ抽出物を抽出する。
【0034】
図5に示すように、本発明の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマ(Michelia figo)の抽出物の用途によれば、前記花水抽出物が、トウオガタマを洗浄して砕く前処理ステップS1aと、低温真空抽出の方法を利用して前記花水抽出物を得る抽出ステップS2aと、を含む方法で製造される。
【0035】
本発明において使用する組成物は、皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する用途だけでなく、皮膚の保湿度の向上、水分の皮膚経由の蒸発、皮膚の色の美白、皮膚の黒ずみや皮膚の潤いなどについても明確な効果がある。
【0036】
図7に示すように、連続28日重量百分率が0.1%のエッセンシャルオイル抽出物と前記ゲルを含む前記組成物(0.1%FMO-01ゲルと称する)を使用し、28日目、前記0.1%FMO-01ゲルが、皮膚の保湿度に対して15.2%の改善率を有し、水分の皮膚経由の蒸発の防止に対して14.8%の改善率を有する。皮膚の色の美白、皮膚の黒ずみや皮膚の潤いなどに対する効果が表1に示される。皮膚の色の美白に対して、連続28日0.1%FMO-01ゲルを使用し、28日目、皮膚の色の美白値(ΔL値>1.50が色差を改善可能)が1.65上げ、皮膚の黒ずみに対して、皮膚の色の黄色値のΔb値が1.49下げ(Δb値<-1.50が色差を改善可能)、皮膚の潤いに対して、皮膚の色の赤色値のΔa値が0.96上った。
【0037】
【表1】
【0038】
図8に示すように、連続28日重量百分率が99%の花水抽出物と前記ゲルを含む組成物(99%FMW-01ゲルと称する)を使用し、28日目、前記99%FMW-01ゲルが、皮膚の保湿度に対して15.9%の改善率を有し、水分の皮膚経由の蒸発の防止に対して9.7%の改善率を有する。皮膚の色の美白、皮膚の黒ずみや皮膚の潤いなどに対する効果が表1に示される。皮膚の色の美白に対して、連続28日99%FMW-01ゲルを使用し、28日目、皮膚の色の美白値(ΔL値>1.50が色差を改善可能)が0.97上げ、皮膚の黒ずみに対して、皮膚の色の黄色値のΔb値が1.24下げ(Δb値<-1.50が色差を改善可能)、皮膚の潤いに対して、皮膚の色の赤色値のΔa値が0.59上がった。
【0039】
図9に示すように、連続28日重量百分率が10%の花水抽出物と前記ゲルを含む組成物(10%FMW-01ゲルと称する)を使用し、28日目、前記10%FMW-01ゲルが、皮膚の保湿度に対して8.6%の改善率を有し、水分の皮膚経由の蒸発の防止に対して5.1%の改善率を有する。皮膚の色の美白、皮膚の黒ずみや皮膚の潤いなどに対する効果が表1に示される。皮膚の色の美白に対して、連続28日10%FMW-01ゲルを使用し、28日目、皮膚の色の美白値(ΔL値>1.50が色差を改善可能)が0.85上がり、皮膚の黒ずみに対して、皮膚の色の黄色値のΔb値が0.49下がり(Δb値<-1.50が色差を改善可能)、皮膚の潤いに対して、皮膚の色の赤色値のΔa値が0.16下がった。
【0040】
本発明の1つの実施例に係る皮膚修復及び/或は傷口癒合を促進する組成物の製造に使用されるトウオガタマ(Michelia figo)の抽出物の用途によれば、前記トウオガタマの抽出物が、カジノール、α-クベベン、2-エチル-1-ヘキサノール、α-コパエン、リナロール、β-クベベン、β-エレメネ、カリオフィレン、γ-エレメネ、2-メチル-ブタン酸、α-フムレン、ゲルマクレンD、β-セリネン、α-セリネン、δ-カジネン、ノナデセン、ゲルマクレンB、クベボール、カリオフィレンオキシド、ネロリドール、8,11,14,17-イコサテトラエン酸メチルを含む。
【0041】
詳細には、前記トウオガタマの抽出物が、人に有益な複数の植物化学成分(phytochemistry constituents)を含む。その内、カジノール(化1)が媒介蚊幼虫の活性を抑制する効果を持つ。
【化1】
【0042】
詳細には、トウオガタマの抽出物に含まれるクベベン(化2)が抗菌、抗アレルギーの効果を持つ。
【化2】
【0043】
詳細には、トウオガタマの抽出物に含まれるコパエン(化3)が抗酸化、抗菌の効果を持つ。
【化3】
【0044】
詳細には、トウオガタマの抽出物に含まれるエレメネ(化4)が抗がん、抗腫瘍の効果を持つ。
【化4】
【0045】
詳細には、トウオガタマの抽出物に含まれるカリオフィレン(化5)が抗がん、抗腫瘍の効果を持つ。
【化5】
【0046】
本発明に採用される技術手段によれば、分子量が低い組成物が簡単に皮膚に吸収されて基底膜に到達して皮膚の症状の修復を促進し、基底膜周囲の血管をあるべき弾力を戻し、コラーゲンの大量流失を避け、コラーゲンの継続生成を確保し、血管とコラーゲンが再生でき、表皮層の細胞同士の結合力を最適な状態に戻し、角質層の不均一積層の問題を改善して表皮の落屑、ひび割れなどの皮膚劣化の現象を減少できる。本発明は、更に、傷口癒合を促進する用途を有し、怪我の程度によって組成物キャリアとしてゲルやオリーブオイルから選ぶことができる。なお、本発明は、皮膚の保湿度の向上、水分の皮膚経由の蒸発、皮膚の色の美白、皮膚の黒ずみや皮膚の潤いなどについて顕著な効果もある。
【0047】
また、従来の生物医学材料や皮膚医療関連製品は、分子量が大きく、せいぜい角質層に入って作用するだけゆえ、一時の効果だけを有し、長期間の効果がない。従来の生物医学材料や皮膚医療関連製品に対して、本発明に採用される技術手段が細胞レベルで、即ち、根本的な皮膚の問題を改善し、解決する。且つ、本発明は、動物由来の成分に関わらないので、倫理面の争議も存在しない。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様の作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0049】
S1 抽出ステップ
S2 ろ過ステップ
S3 分離ステップ
S4 溶解ステップ
S5 蒸留ステップ
S1a 前処理ステップ
S2a 抽出ステップ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9