(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165021
(43)【公開日】2023-11-14
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/7143 20110101AFI20231107BHJP
【FI】
H04B1/7143
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148852
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2020065828の分割
【原出願日】2020-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】516297770
【氏名又は名称】株式会社スマート・ソリューション・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(72)【発明者】
【氏名】池田 研一
(57)【要約】
【課題】好適な通信が可能な通信装置、通信方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる。また、1回あるいは複数回の周波数ホッピングにおける周波数の間隔が特定周波数以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信する通信装置であって、
前記複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信する通信装置であって、
前記複数の周波数チャネルにおいて、周波数ホッピングを行い異なる周波数チャネルによりシンボルを伝送する場合に周波数の間隔が特定周波数以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
音声信号の周波数ホッピングを行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信する通信方法であって、
前記複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項5】
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信する通信方法であって、
前記複数の周波数チャネルにおいて、周波数ホッピングを行い異なる周波数チャネルによりシンボルを伝送する場合に周波数の間隔が特定周波数以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項6】
音声信号の周波数ホッピングを行う、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の通信方法。
【請求項7】
コンピュータを、
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信するための信号処理手段として機能させ、
前記信号処理手段は、前記複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信するための信号処理手段として機能させ、
前記信号処理手段は、前記複数の周波数チャネルにおいて、周波数ホッピングを行い異なる周波数チャネルによりシンボルを伝送する場合に周波数の間隔が特定周波数以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記信号処理手段は、音声信号の周波数ホッピングを行う、
ことを特徴とする請求項7または8に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号を用いて通信を行う技術として、送信データに応じて生成した音声信号を出力し、また、入力された音声信号から受信データを取得するものが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術は、様々な通信に適用可能である一方で、通信装置の動作状態や周辺環境の影響で通信速度を確保しにくいといった問題が生じるおそれもある。
【0005】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、好適な通信が可能な通信装置、通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の目的を達成するために、この発明の第1の観点に係る通信装置は、
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信する通信装置であって、
前記複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする。
【0007】
(2)上記の目的を達成するために、この発明の第2の観点に係る通信装置は、
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信する通信装置であって、
前記複数の周波数チャネルにおいて、周波数ホッピングを行い異なる周波数チャネルによりシンボルを伝送する場合に周波数の間隔が特定周波数以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする。
【0008】
(3)また、上記(1)または(2)の通信装置において、
音声信号の周波数ホッピングを行う、
ようにしてもよい。
【0009】
(4)この発明の第3の観点に係る通信方法は、
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信する通信方法であって、
前記複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする。
【0010】
(5)この発明の第4の観点に係る通信方法は、
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信する通信方法であって、
前記複数の周波数チャネルにおいて、周波数ホッピングを行い異なる周波数チャネルによりシンボルを伝送する場合に周波数の間隔が特定周波数以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする。
【0011】
(6)また、上記(4)または(5)の通信方法において、
音声信号の周波数ホッピングを行う、
ようにしてもよい。
【0012】
(7)この発明の第5の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信するための信号処理手段として機能させ、
前記信号処理手段は、前記複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする。
【0013】
(8)この発明の第6の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
周波数ホッピングにより複数の周波数チャネルを用いて通信するための信号処理手段として機能させ、
前記信号処理手段は、前記複数の周波数チャネルにおいて、周波数ホッピングを行い異なる周波数チャネルによりシンボルを伝送する場合に周波数の間隔が特定周波数以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる、
ことを特徴とする。
【0014】
(9)また、上記(7)または(8)のプログラムにおいて、
前記信号処理手段は、音声信号の周波数ホッピングを行う、
ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、好適な通信が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】ホッピングパターン作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】ホッピングパターンの決定例を示す図である。
【
図6】通信装置が適用される通信システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明の実施の形態に係る通信装置について説明する。この発明の通信装置は、利用者が携帯して移動可能な移動体通信端末として構成されてもよいし、特定の設置場所に固定された固定通信端末として構成されてもよい。移動体通信端末は、例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末などであればよい。通信装置は、他の移動体通信端末や固定通信端末との間で、音声信号を送受信することによる通信が可能である。なお、通信装置は、音声信号を送受信するものに限定されず、例えば音声信号の送信だけ行い、音声信号の受信を行わないものであってもよい。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態に係る通信装置100の構成例を示している。通信装置100は、音声処理部110と、記憶部120と、制御部130と、入出力部140と、通信処理部150と、を備えている。また、音声処理部110には、マイク111およびスピーカ112が接続されている。マイク111およびスピーカ112は、通信装置100に内蔵されたものであってもよいし、通信装置100に外付けされたものであってもよい。なお、通信装置100が音声信号の送信だけを行う場合に、スピーカ112が音声処理部110に接続される一方で、マイク111は設けられない構成であってもよい。通信装置100の各部は、内部バスを介して相互に電気信号を伝送可能に接続されている。
【0019】
音声処理部110は、例えば、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、デジタルアナログ変換器(Digital-to-Analog Converter:DAC)、アナログデジタル変換器(Analog-to-Digital Converter:ADC)を用いて構成され、制御部130と協働して、音声信号を送受信するための信号処理を実行する。音声処理部110による信号処理は、送信データに基づいてスピーカ112により音声信号を出力するための処理と、マイク111に入力された音声信号に基づいて受信データを取得するための処理と、を含む。音声信号は、各種データを伝送するための搬送波として用いられる。音声処理部110は、送信データに応じたデジタル信号をアナログ変換してスピーカ112に供給することにより、音声信号を出力させる。また、音声処理部110は、マイク111に入力された音声信号に対応するアナログ信号をデジタル変換して受信データを取得する。
【0020】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含み、各種の情報、固定データ、アプリケーション、画面データ、端末ID、及び、制御部130が各種処理を実行するためのプログラム等を記憶する。制御部130が実行するプログラムは、送信プログラム121と、受信プログラム122と、を含む。制御部130が送信プログラム121を実行することにより、通信装置100が送信機として機能する。制御部130が受信プログラム122を実行することにより、通信装置100が受信機として機能する。送信プログラム121および受信プログラム122は、別個のプログラムとして用意されてもよいし、単体のプログラムとして用意されてもよい。
【0021】
制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)といったマイクロプロセッサ等を含み、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、音声信号を使用した通信に係る制御を実行する。制御部130は、送信プログラム121および受信プログラム122のいずれか一方を実行することで、通信装置100を送信機および受信機のいずれか一方に切り替えるように制御してもよい。あるいは、制御部130は、送信プログラム121および受信プログラム122を並行して実行することで、通信装置100が送信機および受信機の双方として機能するように制御してもよい。
【0022】
入出力部140は、キーパッドや液晶ディスプレイ、発光ダイオード等を含み、各種の情報を入力あるいは出力するためのインタフェースを提供する。なお、通信装置100は、入出力部140の一部または全部を備えない構成であってもよい。マイク111およびスピーカ112は、入出力部140の一部を構成してもよい。
【0023】
通信処理部150は、例えば、アンテナ、RF(Radio Frequency)信号処理回路、ベースバンド信号処理回路等を含み、移動体通信ネットワーク、近距離無線通信ネットワーク、有線通信ネットワーク、インターネット、その他、任意の電気通信ネットワークの一部または全部を介して、外部装置と通信するための処理を実行する。
【0024】
通信装置100は、周波数ホッピング方式(Frequency Hopping:FH)により複数の周波数チャネルを切り替えてシンボルを伝送することで、音声信号における複数の周波数チャネルを用いて通信する。通信装置100は、例えば、非可聴帯域の音声信号を搬送波として使用する。このように、非可聴帯域の音声信号を用いて通信すれば、人間は聞き取ることが不可能または困難になるので、通信装置100の利用者が雑音を感じることがなく、不快感を与えることが防止できる。
【0025】
通信装置100では、制御部130が送信プログラム121を実行して音声処理部110と協働することにより、送信機500として機能する。このように、送信機500は、制御部130による送信プログラム121の実行によって実現され、各種の機能的構成を有している。
【0026】
図2は、送信機500の構成例を示している。送信機500は、一次変調部501と、シリアルパラレル変換部502と、ホッピングパターン生成部503と、ホッピング周波数生成部504と、周波数変換部505と、ウィンドウ処理部506と、パラレルシリアル変換部507と、を備える。これらの機能的構成は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより構築され、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されたものであればよい。
【0027】
一次変調部501は、例えば、周波数シフトキーイング(Frequency Shift Keying:FSK)等の狭帯域変調によって、送信データのビット値に応じた変調を行う。このときには、例えば1ビットといった、所定のサイズで送信データを分割し、分割した各データを割り当てたシンボル区間ごとに、被変調信号の周波数をシフトさせればよい。なお、送信データを1ビットごとに分割するものに限定されず、送信データを複数ビットまとめてシンボルに変換し、多周波数を使用するMFSK(M-ary FSK)であってもよい。ただし、音声信号を用いた通信では、使用できる帯域が限られるため、MFKSを用いることは困難である。送信データは、記憶部120から読み出されたデータであってもよいし、制御部130の処理により作成されたデータであってもよい。
【0028】
シリアルパラレル変換部502は、一次変調部501による被変調信号が入力され、この入力信号をシリアル信号方式からパラレル信号方式に変換する。このときには、複数のシンボルが連続したシンボル系列に対応するシリアル信号方式の入力信号を、単位区間ごとに分割したシンボル区間における信号として、パラレル信号方式で出力する。この出力信号は、複数の周波数チャネルごとに、それぞれのシンボル区間にて伝送されるシンボル値に対応した周波数を有する信号であればよい。したがって、シリアルパラレル変換部502は、シンボル系列を単位区間ごとに分割した信号を出力する。シリアルパラレル変換部502によってパラレル信号方式に変換された信号は、周波数変換部505に供給される。
【0029】
ホッピングパターン生成部503は、予め設定されたホッピングパターンを生成する。生成されたホッピングパターンに対応するホッピング制御信号が、ホッピング周波数生成部504に供給される。ホッピング制御信号は、予め設定されたホッピングパターンに対応して、ホッピング周波数生成部504の出力周波数を切替制御する信号であればよい。ホッピング周波数生成部504は、例えばトーン信号の周波数を、ホッピングパターン生成部503からのホッピング制御信号に応じて切り替えて、周波数変換部505に供給する。
【0030】
周波数変換部505は、シリアルパラレル変換部502から供給された信号を、複数の周波数チャネルに応じた音声周波数帯域の信号に変換する。例えば、シリアルパラレル変換部502から供給された信号を、ホッピング周波数生成部504から供給された信号と、乗算すればよい。これにより、複数のシンボルをそれぞれ伝送するための複数のシンボル期間と対応して、複数の周波数チャネルにシンボルを割り当てた複数のチャネル信号が生成される。各チャネル信号は、シンボル期間における局在波を形成する信号であればよい。したがって、周波数変換部505は、シリアルパラレル変換部502によりシンボル系列を単位区間ごとに分割した信号を、周波数ホッピングに使用される複数の周波数チャネルに割り当てた複数のチャネル信号を生成する。周波数変換部505から出力されたチャネル信号は、ウィンドウ処理部506に入力される。ウィンドウ処理部506は、帯域通過フィルタとして機能することで、不要な周波数成分を除去する。これにより、符号間干渉の発生が防止される。その後、各チャネル信号は、パラレルシリアル変換部507に入力される。
【0031】
パラレルシリアル変換部507は、ウィンドウ処理部506からの出力信号が入力され、この入力信号を加算器に供給することで、パラレル信号方式からシリアル信号方式に変換する。このときには、複数の周波数チャネルにおいて、1の周波数チャネルによりシンボルを伝送するシンボル期間よりも短い間隔で、他の周波数チャネルによりシンボルを伝送するシンボル期間を開始させる。このように、パラレル信号方式からシリアル信号方式に変換するシリアル化を行うときに、複数の周波数チャネルに割り当てたシンボルの間隔を、各周波数チャネルにおいてシンボルの伝送に要するシンボル期間よりも短く詰める。そして、先に伝送を開始したシンボル期間の一部が、後に伝送を開始したシンボル期間の一部と、同一期間になることで、シンボルを重ねながら周波数ホッピングを行う。
【0032】
例えば1ビットのデータをシンボルに変換するFSKの場合に、従来の周波数ホッピングでは、シンボル長Tsであれば、通信速度は最大1/Ts[bps]となる。これに対し、複数の周波数チャネルに割り当てたシンボルの間隔を、各周波数チャネルにおいてシンボルの伝送に要するシンボル期間よりも短く詰めることにより、通信速度は1/Ts[bps]よりも高速化することができる。
【0033】
パラレルシリアル変換部507によってシリアル信号方式に変換された信号は、音声出力用信号として、音声処理部110のDACに供給され、アナログ信号に変換されるようにすればよい。こうして、アナログ信号に変換された音声出力用信号は、スピーカ112に供給され、音声信号として出力される。
【0034】
図3は、複数の周波数チャネルに割り当てたシンボルを重ねる処理であるチャネル多重化の有無に応じた周波数ホッピング信号を例示している。ここでは、ホッピングレートがシンボルレート以上となるFFH(Fast-FH)のうち、ホッピングレートがシンボルレートと同一になる場合を示している。また、複数の周波数チャネルとして、8つの周波数チャネルCh0~Ch7を用いるものとしている。なお、ホッピングレートがシンボルレート未満となるSFH(Slow-FH)であってもよい。ホッピングレートがシンボルレートよりも高いFFHであってもよい。この実施例におけるチャネル多重化は、複数の周波数チャネルにおいてシンボルを伝送する期間の全部が重なるものではなく、複数の周波数チャネルに含まれる第1チャネルで先にシンボルの伝送を開始した期間の一部分(後半部分)が、複数の周波数チャネルに含まれる第2チャネルで後にシンボルの伝送を開始した期間の一部分(前半部分)と、重なるものであればよい。
【0035】
図3(a)は、チャネル多重化なしの場合を示し、複数の周波数チャネルに含まれる1の周波数チャネルによりシンボルを伝送するシンボル期間と同一の間隔で、複数の周波数チャネルに含まれる他の周波数チャネルによりシンボルを伝送するシンボル期間を開始させる。例えば、
図3(a)に示す場合に、タイミングT0からタイミングT1までのシンボル伝送期間では、周波数チャネルCh0によりシンボルの伝送が行われ、他の周波数チャネルによるシンボルの伝送は行われない。タイミングT1では、シンボルの伝送に使用する周波数を切り替える周波数ホッピングが行われる。これにより、タイミングT1からタイミングT2までのシンボル伝送期間では、周波数チャネルCh2によりシンボルの伝送が行われ、他の周波数チャネルによるシンボルの伝送は行われない。
【0036】
図3(b)は、チャネル多重化ありの場合を示し、複数の周波数チャネルに割り当てたシンボルの間隔を、シンボル長Tsの1/3である時間Ts/3に短く詰めている。すなわち、複数の周波数チャネルに含まれる1の周波数チャネルによりシンボルを伝送するシンボル期間よりも短い間隔となる時間Ts/3で、複数の周波数チャネルに含まれる他の周波数チャネルによりシンボルを伝送するシンボル期間を開始させる。なお、1の周波数チャネルに対応して設定されたシンボル期間が終了するまでは、他の周波数チャネルによりシンボルを伝送するシンボル期間が開始されても、先に開始した1の周波数チャネルによるシンボルの伝送が継続して行われる。そのため、1の周波数チャネルにおけるシンボル期間の一部が、他の周波数チャネルにおけるシンボル期間の一部と、同一期間になることで、シンボルを重ねながら周波数ホッピングを行う。
【0037】
図3(b)に示す場合に、タイミングT0からタイミングT1までは、
図3(a)に示す場合と同様に、周波数チャネルCh0によりシンボルを伝送するシンボル期間となる。これに対し、
図3(b)に示す場合では、
図3(a)に示す場合とは異なり、タイミングT0からタイミングT1となるまでに、他の周波数チャネルによるシンボルの伝送が開始される。例えば、タイミングT0からの時間Ts/3が経過したタイミングT01にて、周波数チャネルCh2によるシンボルの伝送が開始される。また、タイミングT01からの時間Ts/3が経過したタイミングT02にて、周波数チャネルCh6によるシンボルの伝送が開始される。タイミングT01にて開始された周波数チャネルCh2によるシンボルの伝送は、タイミングT11まで継続して行われる。タイミングT02にて開始された周波数チャネルCh6によるシンボルの伝送は、タイミングT12まで継続して行われる。
【0038】
図3(b)に示すタイミングT0からタイミングT1までの期間を第1期間とし、タイミングT01からタイミングT11までの期間を第2期間とした場合に、複数の周波数チャネルに含まれる1の周波数チャネルCh0を用いてシンボルを伝送する第1期間よりも短い間隔にて、複数の周波数チャネルに含まれる他の周波数チャネルCh2を用いてシンボルを伝送する第2期間が開始される。また、タイミングT0からタイミングT1までの第1期間において一部に含まれるタイミングT01からタイミングT1までの期間は、タイミングT01からタイミングT11までの第2期間において一部に含まれるタイミングT01からタイミングT1までの期間と、重なる同一期間になる。
【0039】
図3(b)に示すタイミングT01からタイミングT11までの期間を第1期間とし、タイミングT02からタイミングT12までの期間を第2期間とした場合に、複数の周波数チャネルに含まれる1の周波数チャネルCh2を用いてシンボルを伝送する第1期間よりも短い間隔にて、複数の周波数チャネルに含まれる他の周波数チャネルCh6を用いてシンボルを伝送する第2期間が開始される。また、タイミングT01からタイミングT11までの第1期間において一部に含まれるタイミングT02からタイミングT11までの期間は、タイミングT02からタイミングT12までの第2期間において一部に含まれるタイミングT02からタイミングT11までの期間と、重なる同一期間になる。
【0040】
図3(b)に示すタイミングT02からタイミングT1までの期間では、周波数チャネルCh0、Ch2、Ch6による3つのシンボルが、多重化して伝送されることになる。以後の各期間においても、同様に3つのシンボルが、多重化して伝送される。このように、シンボルの間隔を、シンボル長Tsの1/3である時間Ts/3に短く詰めて伝送した場合には、チャネル多重化なしの場合と比べて、通信速度が3倍の3/Tsに高速化することができる。なお、シンボルの間隔を短く詰める短縮量は、通信仕様として予め定めておけばよく、例えば1/2といった1/3よりも短縮量が少ないものであってもよいし、例えば1/4といった1/3よりも短縮量が多いものであってもよい。いずれにしても、シンボルの間隔を短く詰めて伝送することにより、通信速度を高速化できる。
図3に示した例では、ホッピングレートがシンボルレートと同一になる場合なので、1のシンボルが他のシンボルと多重化して伝送される。これに対し、ホッピングレートがシンボルレートよりも高いFFHの場合に、1のシンボルを伝送する複数のチップに対応する局在波が重なるように、チャネル多重化が行われてもよい。例えば、
図3(a)に示す場合に、タイミングT0からタイミングT1までのシンボル伝送期間と、タイミングT1からタイミングT2までのシンボル伝送期間とを用いて、1のシンボルを伝送してもよい。この場合に、
図3(b)に示すタイミングT0からタイミングT1までの第1期間では、タイミングT01からタイミングT11までの第2期間と、共通する1のシンボルが伝送される。そして、タイミングT0からタイミングT1までの第1期間において一部に含まれるタイミングT01からタイミングT1までの期間は、タイミングT01からタイミングT11までの第2期間において一部に含まれるタイミングT01からタイミングT1までの期間と、重なる同一期間になる。この場合にも、シンボルの間隔を短く詰めて伝送することができ、さらに、1のシンボルを伝送するチップの間隔を短く詰めて伝送することにより、通信速度を高速化できる。
【0041】
ただし、音声信号は空気の振動によって伝達されるので、通信装置100の動作状態や周辺環境の影響を受けやすい。そのため、シンボルの間隔を短く詰めすぎると、同一の周波数チャネルにおいて伝送されるシンボル同士が、マルチパス環境による干渉の影響を受けやすくなるという問題が生じる。また、先に伝送を開始したシンボル期間の一部が、後に伝送を開始したシンボル期間の一部と、同一期間になることで、シンボルを重ねながら周波数ホッピングを行う場合に、周波数の間隔が狭すぎると、ドップラーシフトによる干渉の影響を受けやすくなるという問題が生じる。これらの問題を解決するために、ホッピングパターン生成部503により生成されるホッピングパターンとして、所定の条件を満たすパターンを予め設定する。
【0042】
図4は、ホッピングパターンを作成するために実行されるホッピングパターン作成処理の一例を示すフローチャートである。ホッピングパターン作成処理は、通信装置100の制御部130が記憶部120から読み出したプログラムにしたがって実行されてもよいし、通信装置100とは異なるコンピュータシステムを用いて実行されてもよい。ホッピングパターン作成処理によって作成されたホッピングパターンは、通信装置100の記憶部120に記憶されて、ホッピングパターン生成部503により使用される。このホッピングパターン作成処理では、はじめに変数iの初期値「0」をセットする(ステップS101)。
【0043】
次に、ホッピングパターンにおいて変数iを用いて示される系列値Pn[i]を決定する(ステップS102)。系列値Pn[i]は、ホッピングパターンにおけるi+1番目の系列値であり、シンボルの伝送に使用される周波数チャネルの番号を示している。例えば、変数i=0の場合には、1番目(最初)の系列値Pn[0]を、任意の値に決定する。変動i≧1の場合には、系列値Pn[i]を、例えばPN系列発生器といった、乱数発生器を用いて発生させた乱数により決定する。
【0044】
続いて、決定された系列値Pn[i]について、これより先に決定された系列値Pn[i-j]と同一であるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、変数jは、1~mの範囲における整数であり、定数mは、ホッピングパターンの仕様として予め定めておけばよい。ステップS103では、今回の決定よりも1個前からm個前までに決定された系列値のうちに、今回決定された系列値Pn[i]と同一のものが含まれている場合に、同一であると判定すればよい。系列値Pn[i]が系列値Pn[i-j]と同一である場合には(ステップS103;Yes)、ステップS102に戻り、系列値Pn[i]を再決定する。
【0045】
系列値Pn[i]が系列値Pn[i-j]と同一ではない場合には(ステップS103;No)、今回決定された系列値Pn[i]と、前回決定された系列値Pn[i-1]とを比較し、その差分が範囲kに含まれるか否かを判定する(ステップS104)。範囲kを示す変数kは、1~nの範囲における整数であり、定数nは、ホッピングパターンの仕様として予め定めておけばよい。系列値Pn[i]と系列値Pn[i-1]との差分は、ホッピング距離とも称され、周波数ホッピングにより切り替える周波数チャネルにおける周波数の間隔に対応している。ステップS104では、今回決定された系列値Pn[i]と前回決定された系列値Pn[i-1]との差分が、予め定めた定数n(正の整数)を用いて、-n以上n以下の範囲内である場合に、差分が範囲kに含まれると判定すればよい。この範囲kに含まれる場合には(ステップS104;Yes)、ステップS102に戻り、系列値Pn[i]を再決定する。なお、ステップS104では、今回決定された系列値Pn[i]について、前回決定された系列値Pn[i-1]との差分だけでなく、さらに前に決定された系列値Pn[i-j’]との差分が、範囲kに含まれるか否かを判定してもよい。変数j’は、2以上の整数であり、ドップラーシフトによる干渉を防止できるように、ホッピングパターンの仕様として予め定めておけばよい。範囲kに含まれる場合の処理と、範囲kに含まれない場合の処理は、系列値Pn[i-1]との差分の場合と同様であればよい。
【0046】
差分が範囲kに含まれない場合には(ステップS104;No)、変数iが作成上限値となったか否かを判定する(ステップS105)。作成上限値ではない場合に(ステップS105;No)、変数iを1加算するように更新して(ステップS106)、ステップS102に戻り、次の系列値を決定する。
【0047】
変数iが作成上限値である場合には(ステップS105;Yes)、所定の巡回チェックを行い、予め定めた基準を満たすか否かを判定する(ステップS107)。例えば、ステップS101~S106により決定されたホッピングパターンの先頭部と末尾部とを接続した場合に、ステップS103、S104と同様の条件を満たすか否かを判定すればよい。
【0048】
巡回チェック結果が条件を満たさない場合には(ステップS107;No)、巡回用再決定として、ホッピングパターンの一部または全部を決定し直す(ステップS108)。例えば、ホッピングパターンの末尾部について、ステップS103、S104と同様の条件を満たすように、系列値の決定をやり直せばよい。
【0049】
巡回チェック結果が条件を満たす場合や(ステップS107;Yes)、巡回用再決定を行った後には、所定の品質評価を行い、予め定めた基準を満たすか否かを判定する(ステップS109)。例えば、決定されたホッピングパターンの系列値を用いて、自己相関関数を計算により求めた場合に、S/N比(Signal-to-Noise Ratio)が所定の基準値以上であるかを判定すればよい。また、決定されたホッピングパターンの系列値における全体と、その一部との相関関数を計算により求めた場合に、S/N比が所定の基準値以上であるかを判定すればよい。
【0050】
品質評価結果が条件を満たさない場合には(ステップS109;No)、品質用再決定として、ホッピングパターンを決定し直す(ステップS110)。例えば、ステップS101~S108を再度実行することにより、ホッピングパターンを決定し直せばよい。なお、ステップS101~S108を複数回実行することで決定された複数のホッピングパターンのうちで、自己相関関数を計算により求めた場合のS/N比が最も高いホッピングパターンを選択してもよい。また、ステップS101~S108を複数回実行することで決定された複数のホッピングパターンのうちで、系列値の全部と一部との相関関数を計算により求めた場合のS/N比が最も高いホッピングパターンを選択してもよい。
【0051】
このようなホッピングパターン作成処理では、複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間未満であれば、ステップS103の判定による適合条件を満たさないものとして、系列値の再決定が行われる。また、複数の周波数チャネルにおいて、1回あるいは複数回の周波数ホッピングにより選択された周波数チャネルについて周波数の間隔が特定周波数未満であれば、ステップS104の判定による適合条件を満たさないものとして、系列値の再決定が行われる。こうして作成されたホッピングパターンを記憶部120に記憶させ、ホッピングパターン生成部503が生成するホッピングパターンとして予め設定する。したがって、複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる。また、1回あるいは複数回の周波数ホッピングにおける周波数の間隔が特定周波数以上となるように、すなわち、複数の周波数チャネルにおいて、所定回数の周波数ホッピングを行い異なる周波数チャネルによりシンボルを伝送する場合に周波数の間隔が特定周波数以上となるように、設定されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングが行われる。こうして、周波数ホッピングによる変更後の周波数チャネルが、同一の周波数チャネルの使用間隔という、時間について予め定められた時間適合条件を満たすように、ホッピングパターンが設定される。また、周波数ホッピングによる変更後の周波数チャネルが、変更前に使用された1または2以上の周波数チャネルに対する周波数間隔という、周波数について予め定められた周波数適合条件を満たすように、ホッピングパターンが設定される。これにより、マルチパス環境による干渉の影響や、ドップラーシフトによる干渉の影響といった、通信装置100の動作環境や周辺環境の影響を受けにくくなり、音声信号を用いた通信の品質を向上させることができる。
【0052】
ホッピング周波数生成部504は、ホッピングパターン生成部503によって生成されたホッピングパターンに対応するホッピング制御信号に応じて出力周波数を切り替えて、周波数変換部505に供給する。周波数変換部505は、シリアルパラレル変換部502から供給された信号を、ホッピング周波数生成部504から供給された信号と乗算することなどにより、シンボル期間における局在波を形成するチャネル信号を生成する。複数の周波数チャネルに応じたチャネル信号では、時間領域において隣接する局在波同士が特定時間以上の間隔を有し、また、周波数領域において隣接する局在波同士が特定周波数以上の間隔を有する。このように、局在波が重ならないように配置するホッピングパターンを生成することで、相互干渉が回避され、音声信号を用いた通信の品質を向上させることができる。
【0053】
図5は、ホッピングパターンの決定例を示している。ここでは、
図4のホッピングパターン作成処理を実行するために、予め定められる定数m=6および定数n=1としている。すなわち、6個前までに決定された系列値のうちに、同一の系列値が含まれている場合には、ステップS103の判定結果により、ステップS102に戻り系列値が再度決定される。また、前回決定された系列値との差分が±1である場合には、ステップS104の判定結果により、ステップS102に戻り系列値が再度決定される。
【0054】
図5(a)は、ホッピングパターンHP01の決定例であり、ステップS103の条件を満たさない系列値と、ステップS104の条件を満たさない系列値が、含まれている。例えば、変数i=6のときと変数i=8のときに系列値Pn[i]=6であるが、ステップS103では、変数i=8および変数j=2の場合にPn[8]=Pn[6]となり、同一であると判定される。また、変数i=11のときに系列値Pn[i]=0であり、変数i=12のときに系列値Pn[i]=1であるが、ステップS104では、変数i=12の場合にPn[12]=Pn[11]+1となり、差分が範囲kに含まれると判定される。
【0055】
図5(b)は、ホッピングパターンHP02の決定例であり、ステップS103の条件を満たさない系列値や、ステップS104の条件を満たさない系列値が、含まれていない。ホッピングパターンHP02では、変数i=3であるときの系列値Pn[3]=2、変数i=4であるときの系列値Pn[4]=0、変数i=5であるときの系列値Pn[5]=4、変数i=8であるときの系列値Pn[8]=3、変数i=9であるときの系列値Pn[9]=5、変数i=12であるときの系列値Pn[12]=2、変数i=13であるときの系列値Pn[13]=6、変数i=14であるときの系列値Pn[14]=4、変数i=15であるときの系列値Pn[15]=1が、ホッピングパターンHP01から変更されている。
【0056】
通信装置100では、制御部130が受信プログラム122を実行して音声処理部110と協働することにより、受信機として機能する。受信機は、送信機500が送信データに応じた音声信号を作成するのに用いられた方式と逆の方式によって、受信した音声信号から受信データを取得する。あるいは、単に送信方式の逆方式を用いるよりも信頼性の高い受信データ出力を得るために、受信方式の一部または全部に変更を加えてもよい。受信機となる通信装置100は、制御部130による受信プログラム122の実行によって実現され、各種の機能的構成を有している。
【0057】
図6は、通信装置100を適用可能な通信システム1の構成例を示している。通信システム1は、利用者が所持するユーザ端末10と、店舗に設置された店舗端末20と、を備える。ユーザ端末10及び店舗端末20として、前述した通信装置100が適用され、音声信号を送受信して相互に通信する。
【0058】
通信システム1では、例えば、利用者が店舗に来店した際に、ユーザ端末10が利用者を識別する情報を店舗端末20に送信する。店舗端末20は、ユーザ端末10からの受信情報に応答して、様々な店舗情報などを返信することができる。店舗情報は、商品情報、サービス情報、スケジュール情報、ポイント付与情報、位置情報、これらの情報の一部又は全部、その他、店舗に関する任意の情報を含んでいればよい。
【0059】
通信システム1は、決済システムとして用いられてもよい。この場合に、店舗端末20は決済端末としての各種処理を実行する。例えば商品購入の際には、利用者の操作に応答して、ユーザ端末10が音声信号を用いた通信により、利用者ID(Identifier)を店舗端末20に送信する。店舗端末20は、ユーザ端末10から受信した利用者IDと、商品購入時の手続きで取得された決済金額とを使用して決済処理を行う。決済処理では、例えば店舗端末20が、電気通信ネットワークを介して接続された決済サーバに利用者IDと決済金額を送信し、決済サーバから認証結果と決済結果を受信する。決済処理を実行した後には、店舗端末20が、音声信号を用いた通信により、認証結果と決済結果をユーザ端末10に送信する。認証結果と決済結果を受信したユーザ端末10は、画面の表示、音声の出力などにより、決済が完了したこと、あるいは、エラーが発生したことなどを、利用者に報知する。
【0060】
以上に説明したように、通信装置100は、音声信号の周波数ホッピンによる複数の周波数チャネルを用いた通信において、複数の周波数チャネルに含まれる1の周波数チャネルを用いてシンボルを伝送する第1期間よりも短い間隔にて、複数の周波数チャネルに含まれる他の周波数チャネルを用いてシンボルを伝送する第2期間が開始され、第1期間の一部と第2期間の一部が、重なることで同一期間になる。これにより、音声信号を用いた場合の通信速度を高速化して、通信データ量の増大を図ることができる。
【0061】
図4に示されたホッピングパターン作成処理により作成されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングを行うことで、複数の周波数チャネルにおいて、同一の周波数チャネルによりシンボルを伝送する期間の間隔が特定時間以上となる。これによって、マルチパス環境による干渉の影響を軽減して、音声信号を用いた通信の品質を向上させ、通信速度の低下を防止することができる。
【0062】
図4に示されたホッピングパターン作成処理により作成されたホッピングパターンを用いて周波数ホッピングを行うことで、1回の周波数ホッピングにおける周波数の間隔が特定周波数以上となる。これによって、ドップラーシフトによる干渉の影響を軽減して、音声信号を用いた通信の品質を向上させ、通信速度の低下を防止することができる。
【0063】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば通信装置100は、上記実施の形態で示された全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で示された構成や機能、動作の一部を可能にするものであってもよい。
【0064】
信号や情報は、任意の技術を用いて表すことができ、例えば、データ、指示、命令、情報、信号、ビット、シンボル、チャネルは、電圧、電流、電磁波、磁場または粒子、光電場あるいは光粒子、これらの一部または全部の組合せにより表されてもよい。音声信号を用いた通信に限定されず、電磁波信号を用いた無線通信を行う場合に、上記実施の形態で説明した通信装置100や、これによる通信方法が適用されてもよい。
【0065】
通信装置100の構成や機能、動作を実現する論理ブロック、モジュール、回路、処理ステップ、アルゴリズムは、電子回路などのハードウェア、コンピュータプログラムなどのソフトウェア、あるいは、これらの組合せとして実装されるものであればよい。例えば、上記実施の形態で説明した通信装置100の機能を実現するためのアプリケーションソフトウェアが提供され、スマートフォンなどの情報通信装置にインストールすることで、新たに専用のハードウェアを追加することなく、音声信号を用いた通信が可能になればよい。
【0066】
通信装置100の構成や機能、動作を実現する論理ブロック、モジュール、回路は、汎用のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含めたプログラマブル論理デバイス、その他の半導体集積回路、あるいは、これらの組合せとして実装されるものであればよい。
【0067】
通信装置100の構成や機能、動作を実現するソフトウェアは、コンピュータ読取可能な各種媒体における1または複数の命令やコードとして記憶または送信されてもよい。コンピュータ読取可能な各種媒体は、記憶媒体であってもよいし、通信媒体であってもよい。記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、半導体記憶装置といった、任意の記憶装置を用いて構成可能である。通信媒体は、有線、赤外線、無線、マイクロ波、超音波といった、任意の信号伝送媒体を用いて構成可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 通信システム
10 ユーザ端末
20 店舗端末
100 通信装置
110 音声処理部
111 マイク
112 スピーカ
120 記憶部
121 送信プログラム
122 受信プログラム
130 制御部
140 入出力部
150 通信処理部
500 送信機
501 一次変調部
502 シリアルパラレル変換部
503 ホッピングパターン生成部
504 ホッピング周波数生成部
505 周波数変換部
506 ウィンドウ処理部
507 パラレルシリアル変換部